特許第6578198号(P6578198)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6578198金属缶の自動製造ライン用ワーク搬送装置。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6578198
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】金属缶の自動製造ライン用ワーク搬送装置。
(51)【国際特許分類】
   B21D 51/26 20060101AFI20190909BHJP
   B65G 25/04 20060101ALI20190909BHJP
【FI】
   B21D51/26 J
   B65G25/04
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-244068(P2015-244068)
(22)【出願日】2015年12月15日
(65)【公開番号】特開2017-109210(P2017-109210A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2018年8月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】396024819
【氏名又は名称】株式会社三友機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100083633
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏
(72)【発明者】
【氏名】徳永 朋丈
【審査官】 豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−166153(JP,A)
【文献】 米国特許第06185979(US,B1)
【文献】 実公昭61−042695(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 51/26
B21D 43/00 − 43/10
B65G 25/00 − 25/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属缶の製造を行う自動製造ラインの加工ステーション間で、ワーク(W)を搬送するための少なくとも一定のストロークで往復移動する2本平行したキャリアバー(1a),(1b)を備え、そのキャリアバー(1a),(1b)に設けた多数のワーク保持部材(3)で複数の前記ワーク(W)を挟持し、そのワーク(W)を前記キャリアバー(1a),(1b)で移動し、次の加工ステーションに順次搬送するワーク搬送装置に於いて、
前記キャリアバー(1a),(1b)を個別に各々の搬送ガイドレール(2)上に移動自在に設けると共に、それらを製造ラインの搬送方向に2本平行に配し、前記キャリアバー(1a),(1b)を往復移動させるキャリアバー移動手段(4)が、サーボモータ(41)と、その駆動軸(41a)に一端側を二個並列に固着した駆動レバー(42)と、その各駆動レバー(42)の先端側と各前記キャリアバー(1a),(1b)とを、両端を自在継手(5)、(6)を有する連結棒(7)を介して連結させて構成し、前記キャリアバー(1a),(1b)の上面には、前記キャリアバー(1a),(1b)間で対向する位置に、ワーク(W)を把持可能な一対の前記ワーク保持部材(3)を所定間隔で多数突出させ、且つ、前記搬送ガイドレール(2)及び前記キャリアバー(1a),(1b)と共に、上部の前記ワーク保持部材(3)が開閉してワーク(W)の挟持と解除を成す角度可変手段(8)を前記キャリアバー(1a),(1b)別に設け、しかも一方の前記キャリアバー(1a)側における前記角度可変手段(8)の可変角度が、少なくとも2段階に可変可能とする金属缶の自動製造ライン用ワーク搬送装置。
【請求項2】
一方の前記キャリアバー(1a)の前記角度可変手段(8)が、少なくともワーク保持部材(3)の開閉角度を垂直から外側に10度〜20度の角度(θ1)と60度〜90度の角度(θ2)の2段階に可変可能とする請求項1記載の金属缶の自動製造ライン用ワーク搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦長な金属缶等の製造ラインで、その各加工装置にワークを順次搬送する自動製造ライン用ワーク搬送装置に関し、特には、一定のストロークで往復移動すると共に、ワークを把持して次の加工装置に順次搬送する金属缶の自動製造ライン用ワーク搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、縦長な丸缶や角缶の金属缶等を 自動製造ラインで製造する際に、例えば18リットルの角形溶接缶の製造工程として、金属板を所定の寸法に切断する切断工程、この切断した金属板を円筒形の缶胴部に加工するロール成形工程、缶胴部の継ぎ目を接合する溶接工程、接合した缶胴部の内外面の塗装を補修する補修工程、円筒形の缶胴部を四角形状に成形する角形成形工程、缶胴部を補強するパネリング加工工程、缶胴部の両開口端部にフランジを形成するフランジ加工工程、フランジ加工した一方の開口端部に地板を巻締めて装着する地板装着工程、フランジ加工した他方の開口端部に天板を巻締めて装着する天板装着工程とから成り、これらの各製造工程は、各製造工程別に専用の加工装置を少なくとも製造ライン上に配置し、その加工装置間をワーク搬送装置で接続し、この連続する製造ラインにて自動的に行われている。
この製造工程で、切断工程から補修工程まではコンベアラインで搬送され、角形成形工程から天板装着工程までを、一定ピッチ往復移動する2本平行に配したキャリアバーを使用し、複数のワークを挟持して次の加工装置に順次搬送する自動製造ライン用ワーク搬送装置で行っていた。
【0003】
このキャリアバーを使用する一定ピッチ往復移動するワーク搬送装置としては、例えば特許文献1(実開平05−31852号公報)には、トランスファバー上に異なる種類の工作物をそれぞれ保持する複数種類の工作位置決め基準部材を一定のピッチで相互に配置し、この複数種類の工作位置決め基準部材を加工ステーションの所定の搬送位置と対応する搬送ピッチに変更させるトランスファバーシフトシリンダーを設けたものである。
これにより、工作位置決め基準部材を段取り替えすることなく複数種類の工作物の搬送を可能とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平05−31852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来使用されている縦長な金属缶の自動製造ライン(コンビネーションマシン)において使用する一定ピッチ往復移動するワーク搬送装置は、平行に設けた2本のキャリアバーに、その間を対向して開閉する一対のワーク保持部材を多数突出させ、そのワーク保持部材で縦長な缶胴部の縦方向略中央部を保持するため保持部材がキャリアバーから上方に長く突出し、しかもワーク保持部材の開閉角度、つまり垂直から外に開く角度が少ないため、製造工程の一部途中で加工不良が生じた場合、少なくともキャリアバー及び保持部材が邪魔をして加工不良品を製造ラインから容易に排出できない問題点があった。
【0006】
また、特許文献1の工作物搬送装置では、工作物位置決め基準部材が工作物の下部だけを保持するため、缶のように縦長な工作物を加工する場合、工作物位置決め基準部材が開閉して工作物の途中を保持できないので、搬送時に工作物が倒れやすく、缶の加工には不向きで、特に縦長な缶の加工には使用できない。
【0007】
本発明は金属製缶等の縦長なワークを確実に搬送でき、しかも製造ラインの途中で加工不良品が発生しても、それを製造ラインのワーク搬送装置から容易に排出できる金属缶の自動製造ライン用ワーク搬送装置を提供することを目的とする。
【0008】
本発明の他の目的は、加工のワークを搬送するキャリアバーが往復移動の他に開閉移動しても、キャリアバーとその移動手段との連結関係を良好に維持できる金属缶の自動製造ライン用ワーク搬送装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
金属缶の製造を行う自動製造ラインの加工ステーション間で、ワーク(W)を搬送するための少なくとも一定のストロークで往復移動する2本平行したキャリアバー(1a),(1b)を備え、そのキャリアバー(1a),(1b)に設けた多数のワーク保持部材(3)で複数の前記ワーク(W)を挟持し、そのワーク(W)を前記キャリアバー(1a),(1b)で移動し、次の加工ステーションに順次搬送するワーク搬送装置に於いて、
前記キャリアバー(1a),(1b)を個別に各々の搬送ガイドレール(2)上に移動自在に設けると共に、それらを製造ラインの搬送方向に2本平行に配し、前記キャリアバー(1a),(1b)の往復移動させるキャリアバー移動手段(4)が、サーボモータ(41)と、その駆動軸(41a)に一端側を二個並列に固着した駆動レバー(42)と、その各駆動レバー(42)の先端側と各前記キャリアバー(1a),(1b)とを、両端を自在継手(5)、(6)を有する連結棒(7)を介して連結させて構成し、前記キャリアバー(1a),(1b)の上面には、前記キャリアバー(1a),(1b)間で対向する位置に、ワーク(W)を把持可能な一対の前記ワーク保持部材(3)を所定間隔で多数突出させ、且つ、前記搬送ガイドレール(2)及び前記キャリアバー(1a),(1b)と共に、上部の前記ワーク保持部材(3)が開閉してワーク(W)の挟持と解除を成す角度可変手段(8)を前記キャリアバー(1a),(1b)別に設け、しかも一方の前記キャリアバー(1a)側における前記角度可変手段(8)の可変角度が、少なくとも2段階に可変可能とする。
【0010】
また、一方の前記キャリアバー(1a)の前記角度可変手段(8)が、少なくともワーク保持部材(3)の開閉角度を垂直から外側に10度〜20度の角度(θ1)と60度〜90度の角度(θ2)の2段階に可変可能とするのがよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、前記キャリアバー(1a),(1b)と共にワーク保持部材(3)の角度を可変する角度可変手段(8)を前記キャリアバー(1a),(1b)別に設け、しかも一方の前記キャリアバー(1a)の角度可変手段(8)が、その角度を2段階に可変可能としたことにより、製造工程の途中で縦長なワーク(W)の加工不良品が発生しても、一方の前記キャリアバー(1a)側を60度〜90度の角度(θ2)に開いて倒すことにより、ワーク(W)と前記キャリアバー(1a)側との間に広いスペースができ、これにより、ワーク(W)の加工不良品を製造ラインから容易に排出できる。
【0012】
また、前記キャリアバー(1a),(1b)のキャリアバー移動手段(4)が、サーボモータ(41)と、その駆動軸(41a)に一端側を二個並列に固着した駆動レバー(42)と、その各駆動レバー(42)の先端側と各前記キャリアバー(1a),(1b)とを、両端を自在継手(5)、(6)を有する連結棒(7)を介して連結させたことにより、駆動レバー(42)の一定幅の搖動に対し、前記キャリアバー(1a),(1b)を直線的に往復移動でき、且つ、前記キャリアバー(1a),(1b)を角度可変手段(8)で開閉しても、連結棒(7)の両端の自在継手(5)、(6)が角度変動を吸収すると共に、前記キャリアバー(1a),(1b)も移動し、連結棒(7)に無理な付加が掛からず良好な連結関係を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明のワーク搬送装置を示す斜視図である。
図2】本発明のキャリアバーの移動手段を示す説明図である。
図3】本発明のキャリアバーの角度可変手段を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態につき、図1乃至3を基に説明する。
(1a),(1b)は断面四角形状で長尺なキャリアバーであり、そのキャリアバー(1a),(1b)を個別に各々の搬送ガイドレール(2)上に移動自在に設けると共に、それらを製造ラインの搬送方向に2本平行に配している。
更に詳述すると、キャリアバー(1a),(1b)は搬送ガイドレール(2)の上部に形成した長溝、例えばアリ溝等にキャリアバー(1a),(1b)の下部が嵌入し、キャリアバー(1a),(1b)が搬送ガイドレール(2)上を移動自在に装着しており、このキャリアバー(1a),(1b)と搬送ガイドレール(2)は製造ライン全長に亘って設けている。
また、図示しないが、キャリアバー(1a),(1b)はリニアレールを介して搬送ガイドレール(2)上に移動自在に装着させてもよく、この場合は搬送ガイドレール(2)にリニアレールを上下移動可能に装着させると、キャリアバー(1a),(1b)が上下にも多少移動可能になり、加工装置にワーク(W)を供給するのに都合がよく、いずれにしても、キャリアバー(1a),(1b)が搬送ガイドレール(2)から脱落しないように装着させる。
【0015】
(3)はキャリアバー(1a),(1b)の上面に所定間隔で多数突出させて設けたワ−ク保持部材であり、キャリアバー(1a),(1b)間で対面する位置に、ワーク(W)を把持可能な一対の前記ワーク保持部材(3)を所定間隔で多数突出させ、このワ−ク保持部材(3)はキャリアバー(1a),(1b)の上面に設けた保持板(3a)と、保持板(3a)から立設する保持部本体(3b)と、保持部本体(3b)の上部に設けた保持爪(3c)とから成る。
しかも、各ワ−ク保持部材(3)は、両キャリアバー(1a),(1b)間で対向する一対のものを配列し、例えば角缶では両キャリアバー(1a),(1b)間で対向する2本づつのワーク保持部材(3)が一対を成し、また保持爪(3c)も両キャリアバー(1a),(1b)間で対向し、対向する一対の各保持爪(3c)が複数のワーク(W)を同時に挟持できるようにしている。
この際に、ワーク(W)の挟持は、角缶ではワーク(W)の四隅を対向する各保持爪(3c)が挟持して搬送し、この保持爪(3c)も保持部本体(3b)に上下2段に設けてもよい。
尚、図示しないが、丸缶では保持爪(3c)の表面が丸缶の曲率に合わせた曲面を有し、且つ保持爪(3c)が丸缶を保持した状態で更にエアーで丸缶を吸着保持できるようしている。
また、ワ−ク保持部材(3)はキャリアバー(1a),(1b)に多数配列させているが、その配列は、両キャリアバー(1a),(1b)間で対向する一対のワ−ク保持部材(3)を通常等間隔に配列するが、加工ステーションの加工工程、例えば缶の反転工程等によっては一部間隔を広くして異なる場合もある。
【0016】
(4)はキャリアバー(1a),(1b)を一定のストロークで往復移動させるキャリアバー移動手段であり、このキャリアバー移動手段(4)は、図2に示すように、サーボモータ(41)と、サーボモータ(41)の駆動軸(41a)と一端側を二個並列に固着した駆動レバー(42)とから成り、駆動レバー(42)の先端側とキャリアバー(1a),(1b)とを、両端がユニバーサルやボールジョイント等の自在継手(5)、(6)で連結した連結棒(7)を介して連結させている。
【0017】
このキャリアバー移動手段(4)は、サーボモータ(41)の一定角度の正逆回転で駆動レバー(42)を搖動させてキャリアバー(1a),(1b)を一定のストロークで往復移動させる。この際に駆動レバー(42)の搖動で連結棒(7)が上下に振られて移動するが、それを両端の自在継手(5)、(6)が吸収してキャリアバー(1a),(1b)に直線的に伝達し、キャリアバー(1a),(1b)を往復移動させるのである。
また、キャリアバー(1a),(1b)の移動は一定のストロークで往復移動するが、この一定のストロークは隣接する各加工ステーション間の距離に相当する。
【0018】
(8)は、図3に示すように、両搬送ガイドレール(2)の下部にそれぞれ個別に設け、搬送ガイドレール(2)及びキャリアバー(1a),(1b)と共に、上部のワーク保持部材(3)が垂直状態から外側に傾斜して開き、外側に傾斜した状態から垂直状態に戻るように移動し、対向するワーク保持部材(3)間の間隔を可変する角度可変手段であり、この角度可変手段(8)は、各搬送ガイドレール(2)の下方に並行に配した開閉シャフト(81)と、この開閉シャフト(81)と搬送ガイドレール(2)とを連結固定する連結部材(82)と、開閉シャフト(81)を開閉駆動するサーボモータ(83)と、サーボモータ(83)と開閉シャフト(81)を連結するリンク機構(84)とから成る。
【0019】
開閉シャフト(81)はワーク搬送装置の基台にベアリングユニットで回動自在に装着しており、リンク機構(84)は、一端部をサーボモータ(83)の駆動軸(83a)と固着した駆動リンク(84a)と、一端部を開閉シャフト(81)と固着した従動リンク(84b)と、駆動リンク(84a)及び従動リンク(84b)の先端側間を回動自在に連結する中間リンク(84c)とから成り、所定の回転角度まで正逆回転するサーボモータ(83)の駆動で駆動リンク(84a)を揺動させると、その搖動が中間リンク(84c)を介して従動リンク(84b)に伝動され、従動リンク(84b)が揺動して開閉シャフト(81)を回動させる。
この開閉シャフト(81)が回動することにより、搬送ガイドレール(2)、キャリアバー(1a),(1b)、ワ−ク保持部材(3)等が開閉シャフト(81)を中心として開閉し、上部のワ−ク保持部材(3)の開閉角度を変えて、ワーク保持部材(3)が垂直状態から外側に傾斜して開き、外側に開いた状態から元の垂直状態に閉じて戻るように開閉移動させられる。
これにより、ワーク保持部材(3)が外側に開いた状態から垂直状態に閉じてワーク(W)を挟持する。
【0020】
また、一方のキャリアバー(1a)の角度可変手段(8)が、少なくともワーク保持部材(3)の開閉角度を垂直から外側に10度〜20度の角度(θ1)範囲と60度〜90度の角度(θ2)範囲の2段階に可変可能としている。
この一方のキャリアバー(1a)とは、自動製造ラインの加工装置がC型では、その解放された手前側に位置する一方のキャリアバーを指し、要するに、自動製造ラインから加工不良品が排出する際に邪魔にならない位置側のキャリアバーを指す。
更に、開閉角度を2段階に可変可能にしたのは、通常のワーク(W)搬送でワーク(W)を挟持するだけの分,ワーク保持部材(3)の開閉角度(θ1)を垂直から外側に10度〜20度の範囲に設定しておけば良いが、縦長なワーク(W)が各加工ステーションの途中で加工不良が発生した場合、ワーク保持部材(3)縦長なワーク(W)の縦方向略中央部を挟持する関係上、保持部材(3)が搬送ガイドレール(2)から上方に長く突出すると共にワーク保持部材(3)の開閉角度(θ1)では、保持部材が邪魔をして加工不良品を製造ラインから容易に排出できない。
これを解決するため、一方のキャリアバー(1a)の角度可変手段(8)の開閉角度を60度〜90度の角度(θ2)に開き、加工不良品をワーク搬送装置から容易に排出できるようにしている。
【0021】
尚、開閉シャフト(81)が回動すると、搬送ガイドレール(2)と共にキャリアバー(1a),(1b)間が開閉移動するが、キャリアバー(1a),(1b)と連結したキャリアバー移動手段(4)は、両端が自在継手(5)、(6)で連結した連結棒(7)を介して連結させているため、キャリアバー(1a),(1b)間が開閉移動しても、両自在継手(5)、(6)で連結棒(7)の角度が自由に変わり、且つキャリアバー(1a),(1b)も移動してキャリアバー移動手段(4)に影響が及ばない。
【0022】
次に、本発明のワーク搬送装置の作用について、溶接缶等の製造ラインの各加工装置にワークを順次搬送する自動製造ライン用ワーク搬送装置を例に説明する。溶接缶等の製造ラインの中で、本発明のワーク搬送装置は主として角形成形工程から天板装着工程の加工ステーションに使用され、その各加工ステーション間の搬送方向に配している。
例えば、角形金属缶を製造する場合、前工程から角形ワーク(W)がワーク搬送装置に搬送されると、一定の角度(θ1)10から20度で外に開いた状態の各ワ−ク保持部材(3)が、角度可変手段(8)のサーボモータ(83)の駆動でリンク機構(84)を介して開閉シャフト(81)を一定角度(θ1)に正回転させ、各ワ−ク保持部材(3)を垂直状態に閉じて角形ワーク(W)の角部四隅を、一対の保持爪(3c)で挟持する。
そして、挟持した角形ワーク(W)は、キャリアバー移動手段(4)のサーボモータ(41)が一定角度で正回転し駆動レバー(42)を移動させると、両端がボールジョイント(5)、(6)で連結した連結棒(7)を介してキャリアバー(1a),(1b)を一定のストローク移動させ、複数の角形ワーク(W)を次工程の加工ステーションに移動する。
この移動が完了したら、角度可変手段(8)のサーボモータ(83)が逆回転し垂直状態のワ−ク保持部材(3)を15度〜20度の一定角度(θ1)まで外に開き、角形ワーク(W)の挟持を解除し、次いでキャリアバー移動手段(4)のサーボモータ(41)が一定角度で逆回転し駆動レバー(42)を復帰移動させてキャリアバー(1a),(1b)を元の位置に引き戻す。
これを繰り返して次の加工ステーションに複数の角形ワーク(W)を順送りし、角形ワーク(W)は各加工ステーションで順次加工され角缶が自動製造されるのである。
【0023】
また、各加工ステーションで加工不良品が発生した場合、ワーク搬送装置の搬送を中止し、一方のキャリアバー(1a)の角度可変手段(8)のサーボモータ(83)が逆回転し搬送ガイドレール(2)と共にワ−ク保持部材(3)を60度〜90度の角度(θ2)まで外に開き、それによりワ−ク保持部材(3)が大きく倒れて加工不良品の排出が容易にできる。
【符号の説明】
【0024】
1a,1b キャリアバー
2 搬送ガイドレール
3 保持部材
4 キャリアバー移動手段
8 角度可変手段
W ワーク
θ1、θ2 角度
図1
図2
図3