(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
(アゾールシラン化合物)
本発明で用いるアゾールシラン化合物は前記の化学式(I)で示される。
このアゾールシラン化合物は、化学式(Ia)〜(Id)で示されるアゾールシラン化合物を包含する。
【0014】
【化3】
(式中、X、Y、Rおよびmは前記と同様である)
【0015】
すなわち、化学式(Ia)で示されるアゾールシラン化合物は、前記の化学式(I)においてnが0である場合のアゾールシラン化合物(以下、アゾールシラン化合物(Ia)と云うことがある)である。
同様に、化学式(Ib)で示されるアゾールシラン化合物は、nが1である場合のアゾールシラン化合物(以下、アゾールシラン化合物(Ib)と云うことがある)であり、化学式(Ic)で示されるアゾールシラン化合物は、nが2である場合のアゾールシラン化合物(以下、アゾールシラン化合物(Ic)と云うことがある)であり、化学式(Id)で示されるアゾールシラン化合物は、nが3である場合のアゾールシラン化合物(以下、アゾールシラン化合物(Id)と云うことがある)である。
【0016】
化学式(Ib)〜(Id)で示されるアゾールシラン化合物は、表面処理剤中に存在するアゾールシラン化合物(Ia)が、加水分解されて生成するものである。
【0017】
本発明の実施においては、表面処理剤および樹脂組成物の成分として、アゾールシラン化合物(Ia)を使用することが好ましい。
【0018】
このアゾールシラン化合物(Ia)としては、例えば、
3−トリメトキシシリルメチルチオ−1,2,4−トリアゾール、
3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾール、
3−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾール、
3−[6−(トリエトキシシリル)ヘキシルチオ]−1,2,4−トリアゾール、
3−[12−(トリメトキシシリル)ドデシルチオ]−1,2,4−トリアゾール、
3−メチル−5−[2−(トリエトキシシリル)エチルチオ]−1,2,4−トリアゾール、
3−メチル−5−[4−(トリメトキシシリル)ブチルチオ]−1,2,4−トリアゾール、
3−メチル−5−[10−(トリメトキシシリル)デシルチオ]−1,2,4−トリアゾール、
3−アミノ−5−(トリエトキシシリル)メチルチオ−1,2,4−トリアゾール、
3−アミノ−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾール、
3−アミノ−5−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾール、
3−アミノ−5−[6−(トリメトキシシリル)ヘキシルチオ]−1,2,4−トリアゾール、
3−アミノ−5−[12−(トリメトキシシリル)ドデシルチオ]−1,2,4−トリアゾール、
3−メルカプト−5−[2−(トリメトキシシリル)エチルチオ]−1,2,4−トリアゾール、
3−メルカプト−5−[5−(トリメトキシシリル)ペンチルチオ]−1,2,4−トリアゾール、
3−メルカプト−5−[8−(トリメトキシシリル)オクチルチオ]−1,2,4−トリアゾール、
3−メチルチオ−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾール、
3−メチルチオ−5−[4−(トリエトキシシリル)ブチルチオ]−1,2,4−トリアゾール、
3−メチルチオ−5−[10−(トリメトキシシリル)デシルチオ]−1,2,4−トリアゾール(以上、Yが−NH−の場合)や、
2−トリメトキシシリルメチルチオ−1,3,4−チアジアゾール、
2−[6−(トリメトキシシリル)ヘキシルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、
2−[8−(トリエトキシシリル)オクチルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、
5−メチル−2−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、
5−メチル−2−[5−(トリメトキシシリル)ペンチルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、
5−メチル−2−[12−(トリエトキシシリル)ドデシルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、
2−アミノ−5−[2−(トリエトキシシリル)エチルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、
2−アミノ−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、
2−アミノ−5−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、
2−アミノ−5−[8−(トリメトキシシリル)オクチルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、
2−メルカプト−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、
2−メルカプト−5−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、
2−メルカプト−5−[5−(トリメトキシシリル)ペンチルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、
2−メルカプト−5−[10−(トリエトキシシリル)デシルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、
2−メチルチオ−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、
2−メルカプト−5−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、
2−メチルチオ−5−[4−(トリメトキシシリル)ブチルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、
2−メチルチオ−5−[3−(トリエトキシシリル)プロピルチオ]−1,3,4−チアジアゾール、
2−メチルチオ−5−[8−(トリエトキシシリル)オクチルチオ]−1,3,4−チアジアゾール(以上、Yが−S−の場合)等を挙げることができる。
なお、本発明の実施においては、これらの化合物等から選択される2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0019】
当該アゾールシラン化合物(Ia)は、化学式(II)で示されるアゾール化合物(以下、アゾール化合物(II)と云う)と、化学式(III)で示されるハロゲン化アルキルトリアルコキシシラン化合物(以下、ハロゲン化アルキルシラン化合物(III)と云う)を、脱ハロゲン化水素剤の存在下、適量の反応溶媒中において、適宜の反応温度および反応時間にて、反応させることにより合成することができる(スキーム(A)参照)。
【0020】
【化4】
(式中、X、Y、Rおよびmは、前記と同様である。Halは塩素原子、臭素原子または沃素原子を表す)
【0021】
前記のアゾール化合物(II)としては、例えば、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−メチル−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−5−メチルチオ−1,2,4−トリアゾール、2−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−5−メチル−1,3,4−チアジアゾール、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール及び2−メルカプト−5−メチルチオ−1,3,4−チアジアゾール等を挙げることができる。
【0022】
前記のハロゲン化アルキルシラン化合物(III)としては、例えば、クロロメチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−ブロモプロピルトリメトキシシラン、3−ブロモプロピルトリエトキシシラン、3−ヨードプロピルトリメトキシシラン、3−ヨードプロピルトリエトキシシラン、4−ブロモブチルトリメトキシシラン、4−ブロモブチルトリエトキシシラン、5−ブロモペンチルトリメトキシシラン、5−ブロモペンチルトリエトキシシラン、6−ブロモヘキシルトリメトキシシラン、6−ブロモヘキシルトリエトキシシラン、8−ブロモオクチルトリメトキシシラン、8−ブロモオクチルトリエトキシシラン、10−ブロモデシルトリメトキシシラン、10−ブロモデシルトリエトキシシラン、12−ブロモドデシルトリメトキシシラン、12−ブロモドデシルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
【0023】
前記の反応溶媒としては、アゾール化合物(II)とハロゲン化アルキルシラン化合物(III)に対して不活性な溶剤であれば特に限定されず、例えば、ヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;アセトニトリル、ジメチルスルホキシドやヘキサメチルホスホロアミド等を挙げることができる。
【0024】
前記の脱ハロゲン化水素剤としては、例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムtert−ブトキシド等の金属アルコキシド;炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の金属炭酸塩;ジアザビシクロウンデセン等の有機塩基;水素化ナトリウム等の金属水素化物等を挙げることができる。
【0025】
アゾール化合物(II)とハロゲン化アルキルシラン化合物(III)との反応は、前記の反応スキーム(A)に示される如く、化学量論的に進行するが、アゾール化合物の使用量(仕込量)に対する、ハロゲン化アルキルシラン化合物の使用量(仕込量)は、反応温度や反応時間の他、使用する原料や反応溶媒の種類、反応スケール等の要因を考慮して、0.8〜1.2倍モルの範囲における適宜の割合とすることが好ましい。ハロゲン化アルキルシラン化合物の仕込量が1.2倍モルよりも多いと、該化合物が重合してゲル化する惧れがあり、0.8倍モルよりも少ないと、生成物の純度が低下したり、生成物の分離操作が煩雑になる等の惧れがある。また、脱ハロゲン化水素剤は、アゾール化合物とハロゲン化アルキルシラン化合物の反応により副生するハロゲン化水素を中和するために使用されるので、その使用量(仕込量)は、ハロゲン化アルキルシラン化合物の使用量に対して等モル以上であればよい。
【0026】
前記の反応温度は、アゾール化合物(II)のメルカプト基と、ハロゲン化アルキルシラン化合物(III)が反応する温度範囲であれば特に限定されないが、0〜150℃の範囲が好ましく、5〜100℃の範囲がより好ましい。前記の反応時間は、設定した反応温度に応じて適宜決定されるが、30分〜10時間の範囲が好ましく、1〜5時間の範囲がより好ましい。
【0027】
(表面処理剤)
本発明の表面処理剤は、前記化学式(I)で示されるアゾールシラン化合物を含有する。本発明の表面処理剤は、このアゾールシラン化合物とともに溶媒を含有していてもよい。溶媒としては、水、有機溶剤、水と有機溶剤の混合液が挙げられる。この場合の表面処理剤は、このアゾールシラン化合物と溶媒とを適宜な混合手段を用いて混合することにより調製できる。なお、表面処理剤を処理液と云うことがある。
【0028】
前記有機溶剤としては、可溶化剤として作用するものであれば、液体または固体を問わず、特に制限なく使用されるが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフルフリルアルコール、フルフリルアルコール、アセトン、エチルメチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、2−ピロリドン、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、炭酸ジメチル、エチレンカーボネート、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、グリコール酸、乳酸、グルコン酸、グリセリン酸、マロン酸、コハク酸、レブリン酸、フェノール、安息香酸、シュウ酸、酒石酸、リンゴ酸、酢酸メチル、酢酸エチル、ギ酸エチル、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、アリルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、1−アミノ−2−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、N,N−ジメチルエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピリジンが好ましい。これらの有機溶剤(可溶化剤)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、固体の可溶化剤を使用する場合には、水および/または液体の可溶化剤と組み合わせて使用する。
【0029】
溶媒として水と有機溶剤の混合液を用いる場合、表面処理剤の調製方法としては、化学式(I)で示されるアゾールシラン化合物と水を混合した後に有機溶剤を加えてもよいし、該化合物と水および有機溶剤の混合液を混合してもよいし、該化合物と有機溶剤を混合した後に水を加えてもよい。また、表面処理剤の調製に使用される水としては、イオン交換水や蒸留水等の純水が好ましい。
【0030】
化学式(I)で示されるアゾールシラン化合物(nが3である場合を除く)は、前述のとおり、水と接触すると加水分解されるが、この加水分解の態様をスキーム(B)に示した。このスキームにおいては、前記の化学式(Ia)〜(Ic)で示されるアゾールシラン化合物の有するシリル基が加水分解される態様、即ち、トリアルコキシシリル基が、漸次、ジアルコキシヒドロキシシリル基、ジヒドロキシアルコキシシリル基、トリヒドロキシシリル基に変化する様子が簡略的に示される。
【0031】
【化5】
(式中、Rは前記に同じ。Xは繰り返し単位の数を表す整数である)
【0032】
一般に、分子中にアルコキシシリル基を有する物質は、シランカップリング剤として作用することが知られている。例えば、銅と樹脂材料との接着を例に挙げると、本発明の実施において使用するアゾールシラン化合物は、分子中にアゾール環とアルコキシシリル基(−Si−OR)を有しており、アゾール環は、樹脂および銅と相互作用し、化学結合を形成する。また、アルコキシシリル基は加水分解を受けて、ヒドロキシシリル基(−Si−OH)に変換され、このヒドロキシシリル基は銅の表面に点在する酸化銅と化学結合する。従って、銅と表面処理剤を接触させることにより、銅の表面にはアゾール環やヒドロキシシリル基との結合により、化学式(I)で示されるアゾールシラン化合物に由来する化成皮膜が形成されて、この化成皮膜の表面に樹脂層を形成させた場合には、銅の表面に直に樹脂層を形成させる場合に比べて、銅と樹脂との接着性を高めることができる。
【0033】
本発明の実施においては、表面処理剤中における化学式(I)で示されるアゾールシラン化合物の濃度が、トリアルコキシ体のアゾールシラン化合物(Ia)の濃度に換算して、0.001〜10重量%であることが好ましく、0.01〜5重量%であることがより好ましい。この濃度が0.001重量%未満である場合には、接着性の向上効果が十分ではなく、この濃度が10重量%を超える場合には、接着性の向上効果がほぼ頭打ちとなり、アゾールシラン化合物の使用量が増えるばかりで経済的ではない。
【0034】
ところで、表面処理剤中に生成したヒドロキシシリル基を有するアゾールシラン化合物(Ib)〜(Id)は、徐々に、互いに反応して脱水縮合し、ヒドロキシシリル基がシロキサン結合(Si−O−Si)を形成し(スキーム(B)参照)、水に溶け難いシランオリゴマー(スキーム(B)中の化学式(e)で示される基を有するアゾールシラン化合物)に変換される。
【0035】
表面処理剤中におけるシランオリゴマーの生成量が多くなると、不溶解分が析出して(処理剤が白濁し)、処理槽や処理槽に接続された配管、処理剤中に浸漬された処理剤の温度や液面を検出するためのセンサー類に付着し、円滑な表面処理が阻害される惧れがある。これを避けるために、水に難溶性であるシランオリゴマーの溶解剤として、有機溶剤を表面処理剤中に含有させることが好ましい。有機溶剤の含有量については、水100重量部に対して0.1〜90重量部の割合とすることが好ましく、1〜50重量部の割合とすることがより好ましい。この有機溶剤としては、前述の有機溶剤として例示したものを使用できる。
【0036】
本発明の表面処理剤の調製においては、アゾールシラン化合物(Ia)の加水分解を促進させるために、酢酸や塩酸等の酸、あるいは、水酸化ナトリウムやアンモニア等のアルカリを使用してもよい。
【0037】
同様に、表面処理剤の安定性や化成皮膜の均一性を向上させるために、塩素イオン、臭素イオン等のハロゲンイオンや銅イオン、鉄イオン、亜鉛イオンなどの金属イオンを生成する物質を使用することもできる。
【0038】
また、本発明の効果を損なわない範囲において、公知のカップリング剤を併用してもよい。公知のカップリング剤としては、チオール基(メルカプト基)、ビニル基、エポキシ基、(メタ)アクリル基、アミノ基、クロロプロピル基等を有するシラン系カップリング剤が挙げられる。
【0039】
このようなシラン系カップリング剤としては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のメルカプトシラン化合物、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルシラン化合物、p−ビニルフェニルトリメトキシシラン等のビニルフェニルシラン化合物、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン化合物、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリロキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のメタクリロキシシラン化合物、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン化合物、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイドシラン化合物、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のクロロプロピルシラン化合物、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィドシラン化合物、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネートシラン化合物等を挙げることができる。その他、アルミニウム系カップリング剤、チタン系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤等も挙げることができる。
【0040】
なお、本発明の表面処理剤は、上記のほか、適用する被処理材(後述)の種類、用途等に応じて、適宜の添加剤を含有していてもよい。
【0041】
(被処理材)
本発明の表面処理剤を適用する被処理材としては、例えば、金属、無機材料、樹脂材料等から形成された粒状、針状、繊維状、薄膜状、板状、無定形等のものが挙げられる。
【0042】
前記の金属としては、例えば、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、スズ、鉄、銀、金およびこれらの合金等が挙げられる。前記合金の具体例としては、銅合金では、銅を含む合金であれば特に限定されず、例えば、Cu−Ag系、Cu−Te系、Cu−Mg系、Cu−Sn系、Cu−Si系、Cu−Mn系、Cu−Be−Co系、Cu−Ti系、Cu−Ni−Si系、Cu−Zn−Ni系、Cu−Cr系、Cu−Zr系、Cu−Fe系、Cu−Al系、Cu−Zn系、Cu−Co系等の合金が挙げられる。また、その他の合金では、アルミニウム合金(Al−Si合金)、ニッケル合金(Ni−Cr合金)、鉄合金(Fe−Ni合金、ステンレス)等が挙げられる。これらの金属の中では、銅および銅合金が好ましい。
また、金属の態様としては、プリント配線板、リードフレーム等の電子デバイス、装飾品、建材等に用いられる箔(例えば、電解銅箔、圧延銅箔)、メッキ膜(例えば、無電解銅メッキ膜、電解銅メッキ膜)、蒸着法、スパッタ法、ダマシン法等により形成された薄膜や、粒状、針状、繊維状、線状、棒状、管状、板状等の用途・形態において用いられるものが挙げられる。なお、近年の高周波の電気信号が流れる銅配線の場合には、銅の表面は平均粗さが0.1μm以下の平滑面であることが好ましい。銅の表面に、前処理として、ニッケル、亜鉛、クロム、スズ等のメッキを施してもよい。
【0043】
前記の無機材料としては、例えば、シリコン、セラミックや、フィラーとして使用されるカーボン、無機塩およびガラス等が挙げられる。具体的には、シリコン、炭化ケイ素、シリカ、ガラス、珪藻土、珪酸カルシウム、タルク、硝子ビーズ、セリサイト活性白土、ベントナイト等のケイ素化合物、アルミナ、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化チタン等の酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム等の水酸化物、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、硫酸バリウム、石膏等の硫酸塩、チタン酸バリウム等のチタン酸塩、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物、鱗片状黒鉛(天然黒鉛)、膨張黒鉛、膨張化黒鉛(合成黒鉛)等のグラファイト類、活性炭類、炭素繊維類、カーボンブラック等が挙げられる。これらの無機材料の中では、シリコン、セラミック(アルミナ、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素やチタン酸バリウム)、ガラスおよび無機塩が好ましい。
【0044】
前記の樹脂材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の何れであってもよい。具体的には、耐熱性や絶縁性に優れた、アクリレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、マレイミド樹脂、シアネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリブタジエン樹脂、オレフィン樹脂、フッ素含有樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、液晶樹脂等が挙げられ、これらを混合したり、互いに変性したりして、組み合わせたものであってもよい。また、これらの樹脂の重合度に特に制限はなく、表面処理後に、適宜重合(硬化)したものであってもよい。これらの樹脂材料の中では、アクリレート樹脂、エポキシ樹脂およびポリイミド樹脂が好ましい。
【0045】
(表面処理方法)
本発明の表面処理剤を被処理材の表面に接触させる方法としては、特に制限はなく、浸漬、塗布、スプレー等の手段を採用することができる。表面処理剤と被処理材を接触させる時間(処理時間)については、1秒〜10分とすることが好ましく、5秒〜3分とすることがより好ましい。処理時間が1秒未満の場合には、被処理材表面に形成される皮膜の膜厚が薄くなり、材質の異なる材料間の接着力が十分に得られず、一方10分より長くしても、皮膜の膜厚に大差はなく、接着性の向上も期待できない。また、表面処理剤を被処理材表面に接触させる際の処理剤の温度については、5〜50℃とすることが好ましいが、前記の処理時間との関係において、適宜設定すればよい。
【0046】
本発明の表面処理剤と被処理材を接触させた後は、水洗してから乾燥してもよいし、水洗せずに乾燥させてもよい。乾燥は、室温〜150℃の温度とすることが好ましい。なお、水洗に用いる水としては、イオン交換水や蒸留水等の純水が好ましいが、水洗の方法や時間には特に制限なく、スプレーや浸漬等の手段による適宜の時間で構わない。
【0047】
本発明の表面処理剤を金属の表面に接触させる場合は、その前に、当該金属の表面に、酸洗処理、アルカリ洗処理、粗化処理、耐熱処理、防錆処理または化成処理から選択される少なくとも1つの前処理を行ってもよい。
【0048】
また、本発明の表面処理剤を無機材料または樹脂材料の表面に接触させる場合は、その前に、当該無機材料または樹脂材料の表面に、酸洗処理、アルカリ洗処理、粗化処理または耐熱処理から選択される少なくとも1つの前処理を行ってもよい。
【0049】
前記の酸洗処理は、金属、無機材料または樹脂材料の表面に付着した油脂成分を除去する為と、金属の表面の酸化皮膜を除去する為に行うものである。この酸洗処理には、塩酸系溶液、硫酸系溶液、硝酸系溶液、硫酸−過酸化水素系溶液、有機酸系溶液、無機酸−有機溶媒系溶液、有機酸−有機溶媒系溶液等の溶液を用いることができる。
【0050】
前記のアルカリ洗処理は、金属、無機材料または樹脂材料の表面に付着した油脂成分を除去する為に行うものである。このアルカリ洗処理には、水酸化ナトリウム系溶液、水酸化カリム系溶液、水酸化マグネシウム系溶液、水酸化カルシウム系溶液、アミン系溶液、無機アルカリ−有機溶媒系溶液、アミン−有機溶媒系溶液等の溶液を用いることができる。
【0051】
前記の粗化処理は、金属、無機材料または樹脂材料の表面に凹凸形状を形成して、そのアンカー効果により金属、無機材料および樹脂材料から選択される2つの材料の接着性(密着性)を高める為に行うものである。この粗化処理には、デスミア法、プラズマエッチング法、金属スパッタリング法、無電解めっき法、電気めっき法、防錆処理、酸化・還元法、ブラシ研磨法、ジェットスクラブ法等の方法を採用することができる。
【0052】
デスミア法においては、例えば、過マンガン酸カリウム塩系や過マンガン酸ナトリウム塩系のデスミア剤を使用することができる。また、デスミア法による粗化処理前後に膨潤処理や中和処理を行っても良い。
金属スパッタリング法や無電解めっき法においては、金属、無機材料または樹脂材料の表面に微細な金属粒子を析出させることにより、金属、無機材料または樹脂材料の表面に凹凸を形成させる。
【0053】
前記の耐熱処理は、金属、無機材料または樹脂材料の表面に、ニッケル、ニッケル−リン、亜鉛、亜鉛−ニッケル、銅−亜鉛、銅−ニッケル、銅−ニッケル−コバルトまたはニッケル−コバルトから選択される少なくとも1種の皮膜が形成される。
この皮膜の形成においては、公知の無電解めっき法を採用することができるが、蒸着その他の手段であってもよい。
【0054】
前記の防錆処理は、金属の表面が酸化腐食することを防止する為に行うものであり、金属の表面に、亜鉛または亜鉛合金組成のメッキ皮膜や、電解クロメートのメッキ皮膜を形成させる方法を採用することができる。
【0055】
前記の化成処理は、スズの不動態皮膜を形成する方法や、酸化銅の不動態皮膜を形成する方法を採用することができる。
【0056】
本発明の表面処理剤を金属、無機材料または樹脂材料の表面に接触させる場合は、その前に、銅イオンを含む水溶液を当該金属、無機材料または樹脂材料の表面に接触させてもよい。この銅イオンを含む水溶液は、金属、無機材料または樹脂材料の表面に形成される化成皮膜の厚みを均一にさせる機能を有する。銅イオンを含む水溶液の銅イオン源としては、水に溶解する銅塩であれば特に限定されず、硫酸銅、硝酸銅、塩化銅、ギ酸銅、酢酸銅等の銅塩が挙げられる。銅塩を水に可溶化するために、アンモニアや塩酸等を併用してもよい。
【0057】
また、本発明の表面処理剤を金属、無機材料または樹脂材料の表面に接触させた後に、酸性水溶液またはアルカリ性水溶液を当該金属、無機材料または樹脂材料の表面に接触させてもよい。この酸性水溶液またはアルカリ性水溶液も、前記の銅イオンを含む水溶液と同様に、金属、無機材料または樹脂材料の表面に形成される化成皮膜の厚みを均一にさせる機能を有する。
酸性水溶液またはアルカリ性水溶液は、特に限定されないが、酸性水溶液としては、硫酸、硝酸、塩酸等の鉱酸や、ギ酸、酢酸、乳酸、グリコール酸、アミノ酸等の有機酸を含む水溶液等を挙げることができる。アルカリ性水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物や、アンモニア、エタノールアミン、モノプロパノールアミン等のアミン類を含む水溶液を挙げることができる。
【0058】
本発明の表面処理剤を前記の金属、無機材料または樹脂材料の表面に接触させる前あるいは接触させた後に、プラズマ、レーザー、イオンビーム、オゾン、加熱もしくは加湿等の処理を行い、金属、無機材料または樹脂材料の表面を改質させてもよい。また、プラズマ、レーザー、イオンビーム、パーミス・ブラシ等の機械研磨やドリル等の加工方法を用いて、金属、無機材料または樹脂材料の樹脂・イオン残渣除去を目的とした洗浄を行ってもよい。
【0059】
本発明の表面処理剤を接触させた金属、無機材料または樹脂材料の表面に、金属めっきあるいは、実装する工程において、プラズマ、レーザー、イオンビーム、オゾン、加熱もしくは加湿等の処理を行い、表面改質や、残渣除去を目的とした洗浄を行ってもよい。
【0060】
本発明の表面処理剤を接触させた金属、無機材料または樹脂材料の表面に、金属めっきあるいは、実装する工程において、密着性向上を目的とした有機皮膜や金属皮膜等のプライマー処理を行ってもよい。
【0061】
前記の前処理および後処理は、適宜に組み合わせて実施してもよい。
【0062】
本発明の表面処理剤は、前記の金属、無機材料および樹脂材料から選択される少なくとも1つの被処理材の表面を処理するために用いることができる。本発明の表面処理剤を用いて被処理材の表面を処理することで、被処理材表面に皮膜を形成し、他の材料との接着性を高めることができる。この皮膜は耐熱性が高く、例えば、はんだリフロー加熱(260℃程度)によっても接着力は保持される。なお、この処理による効果を高めるために、表面処理した被処理材を加熱処理してもよい。
【0063】
(接着方法)
本発明において、前記の金属、無機材料、樹脂材料から選択される2つの材料を本発明の表面処理剤を用いて接着させることができる。本発明の表面処理剤により形成される皮膜を介して2つの材料を接着することで、互いの親和性を向上させることができるため、材質の異なる材料同士であってもより強固に接着することができる。前記皮膜の厚みは、0.0001〜1μm、好ましくは0.001〜0.5μmである。
【0064】
接着方法としては、公知の方法を採用することができる。金属、無機材料または樹脂材料から選択される被処理材の表面に本発明の表面処理剤を接触させて皮膜を形成し、形成した皮膜の一部または全体に他の被処理材を塗布、圧着、混合等の手段や、接着剤、接着シート(フィルム)の利用あるいはこれらの手段を組合わせて接着する方法が挙げられる。
【0065】
また、金属、無機材料、樹脂材料から選択される2つの被処理材の表面に、本発明の表面処理剤を接触させて、2つの被処理材の表面にそれぞれ皮膜を形成し、2つの被処理材を塗布、圧着、混合等の手段や、接着剤、接着シート(フィルム)の利用あるいはこれらの手段を組合わせて接着する方法が挙げられる。
【0066】
(表面処理剤の利用)
本発明の表面処理剤を用いることにより、前記のように2つの材料、特に材質の異なる2つの材料を接着させることができるので、電気・電子用途(各種電気・電子部品やプリント配線板等の電子デバイス)、建築用途、土木用途、自動車用途、医療材料用途等に好適に利用することができる。
【0067】
本発明の表面処理剤は、金属、特に銅または銅合金から形成される被処理材に対して、好適に用いることができる。例えば、銅回路(銅配線層)と、半硬化または硬化したプリプレグやソルダーレジスト、半硬化または硬化したドライフィルム(絶縁樹脂層)との間の接着性(密着性)を高めることを目的とする場合に好適であり、銅配線層に接して絶縁樹脂層を有するプリント配線板において、銅配線層と絶縁樹脂層との間の接着性を高めることができる。
【0068】
本発明の表面処理剤を材料の表面処理に用いた例として、当該表面処理剤による処理により形成された皮膜を有する銅箔、プリプレグ、銅張積層板、層間絶縁材、シート状部材や、銅箔と樹脂層とが当該表面処理剤による皮膜を介して積層された樹脂付銅箔の他、これらの部材を備えたプリント配線板等を挙げることができる。
【0069】
前記のプリント配線板は、例えば、本発明の表面処理剤と銅配線層の表面を接触させて、その後水洗・乾燥した後、銅配線層表面に絶縁樹脂層を形成させることにより製造することができる。この接触の方法については、前述のとおりであり、表面処理剤中への銅配線層の浸漬または該表面処理剤による銅配線層表面へのスプレー等が簡便かつ確実であり好ましい。
【0070】
また、前記の水洗の方法についても特に制限はないが、洗浄水中への銅配線層の浸漬または洗浄水による銅配線層表面へのスプレーが簡便かつ確実であり好ましい。前記の絶縁樹脂層の形成には、公知の方法、例えば半硬化の樹脂材料を貼り付ける方法や溶剤を含む液状の樹脂材料を塗布する手段等を採用することができる。次いで、上下の配線を導通させる為に、ビアホールを形成する。このプロセスを繰り返すことにより、多層プリント配線板を製造できる。
【0071】
前記の銅配線については、無電解メッキ法、電解メッキ法、蒸着法、スパッタ法、ダマシン法等どのような方法で作製されたものでもよく、インナービアホール、スルーホール、接続端子等を含んだものでもよい。
【0072】
また、本発明に係る「銅」とは、プリント配線板、リードフレーム等の電子デバイス、装飾品、建材等に用いられる箔(電解銅箔、圧延銅箔)、メッキ膜(無電解銅メッキ膜、電解銅メッキ膜)、蒸着法、スパッタ法、ダマシン法等により形成された薄膜や、粒状、針状、繊維状、線状、棒状、管状、板状等の用途・形態において用いられるものである。なお、近年の高周波の電気信号が流れる銅配線の場合には、銅の表面は平均粗さが0.1μm以下の平滑面であることが好ましい。銅の表面に、前処理として、ニッケル、亜鉛、クロム、スズ等のメッキを施してもよい。
【0073】
ところで、特開2009−19266号公報には、金属表面にシランカップリング剤を含む液を塗布する工程と、前記液を塗布した金属表面を、25〜150℃の温度で且つ5分以内で乾燥を行う工程と、乾燥させた金属表面を水洗する工程を含むことを特徴とするシランカップリング剤皮膜の形成方法に関する発明が記載されている。また、前記金属表面には、予め表面処理として、浸漬めっき液によりスズ等の接着性金属層を形成してよいとされている。本発明の表面処理剤は、前記のシランカップリング剤を含む液として用いることができるものである。なお、この特許公報に記載された事項は、引用により本明細書の一部を成すものとする。
【0074】
(樹脂組成物)
本発明の樹脂組成物は、樹脂またはその硬化前化合物と、前記化学式(I)で示されるアゾールシラン化合物を含有する。
【0075】
前記「樹脂またはその硬化前化合物」は、熱可塑性樹脂、熱または活性エネルギー線硬化性樹脂(硬化物)、それらの原料モノマー、該モノマーの部分重合物または半硬化物を包含する。熱または活性エネルギー線硬化性樹脂の場合、Aステージ樹脂、Bステージ樹脂、Cステージ樹脂の何れの状態であってもよい。
【0076】
前記の樹脂としては、耐熱性や絶縁性に優れた、アクリレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、マレイミド樹脂、シアネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、オレフィン樹脂、フッ素含有樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、液晶樹脂等が挙げられ、これらを混合したり、互いに変性したりして、組み合わせたものであってもよい。これらの樹脂材料の中では、アクリレート樹脂、エポキシ樹脂およびポリイミド樹脂が好ましい。
【0077】
本発明の樹脂組成物中の前記化学式(I)で示されるアゾールシラン化合物の含有量は、0.001〜10重量%であることが好ましく、0.01〜5重量%であることがより好ましい。該アゾールシラン化合物の含有量が樹脂組成物中0.001重量%未満である場合には、接着性の向上効果が十分ではなく、この濃度が10重量%を超える場合には、接着性の向上効果がほぼ頭打ちとなり、アゾールシラン化合物の使用量が増えるばかりで経済的ではない。
【0078】
当該樹脂組成物には、樹脂またはその硬化前化合物と、化学式(I)で示されるアゾールシラン化合物のほか、用途等に応じて、溶媒(水、有機溶剤、水と有機溶剤の混合液)、添加剤(硬化剤、硬化促進剤、難燃剤、染料、顔料、紫外線吸収剤、滑剤、フィラーなど)等を適宜量含んでいてもよい。上記有機溶剤としては、前述の有機溶剤(可溶化剤)として例示したものを使用できる。
【0079】
当該樹脂組成物は公知の方法により調製することができる。例えば、化学式(I)で示されるアゾールシラン化合物を有機溶剤に溶解させ、固形または液状の樹脂材料に混合することにより、樹脂組成物を調製することができる。また、化学式(I)で示されるアゾールシラン化合物を液状の樹脂材料に直接添加して混合して、樹脂組成物を調製してもよい。
【0080】
(樹脂組成物の利用)
本発明の樹脂組成物は、化学式(I)で示されるアゾールシラン化合物を含むので、硬化後の樹脂層は、隣接する層や部材、例えば、金属または無機材料の層や部材と高い強度で密着(接着)する。そのため、各種電気・電子用途(電気・電子部品等や、プリント配線板等の電子デバイス)、建築用途、土木用途、自動車用途、医療材料用途等に好適に利用することができる。
【0081】
本発明の樹脂組成物を用いた具体例としては、例えば、本発明の樹脂組成物から構成されたソルダーレジストインク、該ソルダーレジストインクにより形成されたソルダーレジストを備えるプリント配線板、基材(紙、ガラスクロス、ガラス不織布等)と本発明の樹脂組成物から構成されたプリプレグ、該プリプレグと銅箔から構成された銅張積層板、本発明の樹脂組成物から構成された層間絶縁材(層間絶縁膜等)、銅箔と、本発明の樹脂組成物により形成される樹脂層とから構成された樹脂付銅箔、本発明の樹脂組成物により形成される樹脂層を備えるプリント配線板、本発明の樹脂組成物から構成された半導体封止材料等を挙げることができる。
【0082】
前記ソルダーレジストは、化学式(I)で示されるアゾールシラン化合物と硬化前化合物(硬化性化合物)とを含む本発明の樹脂組成物からなるソルダーレジストインクを適宜な基板上に塗布し、乾燥して形成される硬化性樹脂層を、熱や活性エネルギー線を用いて硬化させることにより得られる。前記プリント配線板は、前記ソルダーレジストインクを用い公知の方法で製造できる。前記プリプレグは、例えば、基材(紙、ガラスクロス、ガラス不織布等)に本発明の樹脂組成物を塗布したり、前記基材を当該樹脂組成物中に浸漬して含浸させることにより製造できる。前記銅張積層板は、前記のプリプレグと銅箔とを積層することにより製造できる。前記層間絶縁材は、本発明の樹脂組成物を適宜な基板上に塗布し、乾燥、半硬化または硬化させることにより製造できる。前記樹脂付銅箔は、銅箔上に本発明の樹脂組成物を塗布し、乾燥、半硬化または硬化させることにより製造できる。前記プリント配線板において、「本発明の樹脂組成物により形成される樹脂層」には、前記ソルダーレジスト、プリプレグ、層間絶縁材、樹脂付銅箔における樹脂のほか、種々のものが含まれる。本発明の樹脂組成物は半導体封止材料として用いることができる。
【0083】
また、本発明の表面処理剤や樹脂組成物を適用した部材には、優れた接着性、耐熱性、絶縁性等を付与できるので、必要に応じて適宜の助剤を含有させることにより、導電性ペースト、アンダーフィル、ダイアタッチ材、半導体チップマウンティング材、非導電性接着剤、液晶シール剤、ディスプレイ材料、リフレクター、塗料、接着剤、硬化剤、ワニス、エラストマー、インク、ワックス、シール剤等とすることができる。
【実施例】
【0084】
以下、本発明を実施例および比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0085】
なお、実施例において使用したアゾールシラン化合物の合成例を参考例1〜4に示す。
また、合成に用いた原料のアゾール化合物およびハロゲン化アルキルシラン化合物は、以下のとおりである。
[アゾール化合物]
・3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール:東京化成工業社製
・3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール:同上
・5−メチル−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール:同上
【0086】
[ハロゲン化アルキルシラン化合物]
・3−ヨードプロピルトリメトキシシラン:シグマ−アルドリッチ社製
・6−ブロモヘキシルトリメトキシシラン:「D. Zhang et al., Tetrahedron 2007, 63(23), 5076−5082」に記載の方法に従って合成した。
【0087】
[参考例1]
<3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾールの合成>
3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール3.0g(30mmol)および脱水メタノール50mLからなる懸濁液を10℃に冷却し、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液5.8g(30mmol)を加えて均一溶液とした後、室温に戻して30分間攪拌し、3−ヨードプロピルトリメトキシシラン8.7g(30mmol)および脱水メタノール10mLからなる溶液を、室温にて10分間かけて滴下し、更に27〜30℃にて3時間30分間攪拌した。
反応液を減圧濃縮し、得られた白色粘稠物12.5gをジエチルエーテル40mLで3回抽出し、抽出液をろ過後、減圧濃縮し、微黄褐色の油状物として、化学式(I-1)で示される標題のアゾールシラン化合物7.3g(27mmol、収率92.3%)を得た。
【0088】
【化6】
【0089】
[参考例2]
<3−アミノ−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾールの合成>
3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール6.96g(60mmol)および脱水メタノール100mLからなる懸濁液を10℃に冷却し、ナトリウムメトキシド(固体)3.24g(60mmol)を加えて均一溶液とした後、室温に戻して30分間攪拌し、3−ヨードプロピルトリメトキシシラン17.42g(60mmol)および脱水メタノール20mLからなる溶液を、室温にて30分間かけて滴下し、更に27〜30℃にて3時間30分間攪拌した。
反応液を減圧濃縮し、得られた白色粘稠物26.4gをジエチルエーテル100mLで3回抽出し、抽出液をろ過後、減圧濃縮し、微黄褐色の油状物として、化学式(I-2)で示される標題のアゾールシラン化合物9.20g(33mmol、収率55.1%)を得た。
【0090】
【化7】
【0091】
[参考例3]
<3−アミノ−5−[6−(トリメトキシシリル)ヘキシルチオ]−1,2,4−トリアゾールの合成>
3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール3.48g(30mmol)および脱水メタノール50mLからなる懸濁液を10℃に冷却し、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液5.8g(30mmol)を加えて均一溶液とした後、室温に戻して30分間攪拌し、6−ブロモヘキシルトリメトキシシラン9.4g(30mmol)および脱水メタノール10mLからなる溶液を、室温にて10分間かけて滴下し、更に60℃にて6時間攪拌した。
反応液を減圧濃縮し、得られた白色粘稠物14.2gをジエチルエーテル40mLで3回抽出し、抽出液をろ過後、減圧濃縮し、微黄褐色の油状物として、化学式(I-3)で示される標題のアゾールシラン化合物5.3g(16mmol、収率52%)を得た。
【0092】
【化8】
【0093】
[参考例4]
<5−メチル−2−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,3,4−チアジアゾールの合成>
5−メチル−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール7.9g(60mmol)および脱水メタノール100mLからなる懸濁液を10℃に冷却し、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液11.6g(60mmol)を加えて均一溶液とした後、室温に戻して30分間攪拌し、3−ヨードプロピルトリメトキシシラン17.4g(60mmol)および脱水メタノール20mLからなる溶液を、室温にて30分間かけて滴下し、更に34〜40℃にて4時間攪拌した。
反応液を減圧濃縮し、得られた白色粘稠物26.5gをジエチルエーテル80mLで3回抽出し、抽出液をろ過後、減圧濃縮し、微黄褐色の油状物として、化学式(I-4)で示される標題のアゾールシラン化合物16.9g(60mmol、収率99.9%)を得た。
【0094】
【化9】
【0095】
比較例において使用したイミダゾールシラン化合物の合成例を参考例5に示す。
【0096】
[参考例5]
<イミダゾールシラン化合物の合成>
イミダゾール3.4g(0.05mol)を95℃で融解し、アルゴン雰囲気下で撹拌しながら、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン11.8g(0.05mol)を30分間かけて滴下した。滴下終了後、さらに95℃の温度で1時間反応させた。
反応生成物は透明な橙色の粘稠な液体として得られた(特開平5−186479号公報から引用)。
注:特開平5−186479号公報によると、反応生成物は、化学式(IV-1)〜(IV-3)で示されるイミダゾールシラン化合物の混合物とされている。
【0097】
【化10】
【0098】
<接着性の評価試験−I>
実施例(1〜4)および比較例(1〜3)において行った接着性の評価試験(a)〜(g)は、次のとおりである。
【0099】
[接着性の評価試験(a)]
(1)金属
金属として、電解銅箔(厚み:18μm)を用いた。
(2)金属の表面処理
以下の工程イ〜ハに従って行った。
イ.酸清浄/1分間(室温)、水洗
ロ.酸清浄/1分間(室温)、水洗、乾燥/1分(100℃)
ハ.表面処理剤に浸漬/1分(室温)、水洗、乾燥/1分(100℃)
(3)金属と樹脂の接着
処理した電解銅箔のS面に、ガラス布エポキシ樹脂含浸プリプレグ(FR−4グレード)を積層プレスし、銅箔とプリプレグを接着して銅張積層板を作製した。
(4)接着性の評価
この銅張積層板から、「JIS C6481(1996)」に従って、幅10mmの試験片を作製し、プレッシャークッカー処理(121℃/湿度100%/100時間)した後、銅箔の引き剥がし強さを測定した。
【0100】
[接着性の評価試験(b)]
電解銅箔のS面に、「ガラス布エポキシ樹脂含浸プリプレグ(FR−4グレード)を積層プレス」する代わりに、「ビルドアップ配線板用樹脂(味の素ファインテクノ社製、品名「GX−13」)をラミネート」した以外は、評価試験(a)と同様の手順で、銅箔と樹脂の接着性を評価した。
【0101】
[接着性の評価試験(c)]
(1)金属
金属として、両面銅張積層板(基材:FR4,板厚:1.0mm,銅箔厚:18μm,縦120mm×横110mm)の電解銅箔を利用した。
(2)金属の表面処理
以下の工程イ〜ニに従って行った。
イ.酸清浄/1分間(室温)、水洗
ロ.過酸化水素・硫酸によるマイクロエッチング/1分(室温)、水洗
ハ.酸清浄/1分間(室温)、水洗、乾燥/1分(100℃)
ニ.表面処理剤に浸漬/1分(室温)、水洗、乾燥/1分(100℃)
(3)金属への樹脂層の形成
処理した電解銅箔に、ソルダーレジストインク(太陽インキ製造社製、アクリレート・エポキシ樹脂、品名「PSR−4000AUS308」)を塗布した後、乾燥(80℃/30分)、硬化(150℃/60分)を行って、13μm厚の樹脂層(塗膜)を形成させた。
(4)接着性の評価
「JIS K5400−8.5(1990)」に従って、電解銅箔に形成した塗膜を1mm×1mmの碁盤目にクロスカット(100マス)し、プレッシャークッカー処理(121℃/湿度100%/100時間)した後、テープピールテストを行い、塗膜が剥離しないマス目の数を計測した。また、塗膜の傷み具合を目視にて観察した。
なお、接着性の判定基準は、下記表1に示したとおりである。
【0102】
【表1】
【0103】
[接着性の評価試験(d)]
(1)金属
金属として、アルミ箔(厚み:50μm)を用いた。
(2)金属の表面処理
以下の工程イ〜ロに従って行った。
イ.酸清浄/1分間(室温)、水洗
ロ.表面処理剤に浸漬/1分(室温)、水洗、乾燥/1分(100℃)
(3)金属と樹脂の接着
処理したアルミ箔に、ガラス布エポキシ樹脂含浸プリプレグ(FR−4グレード)を積層プレスし、アルミ箔とプリプレグを接着して積層板を作製した。
(4)接着性の評価
この積層板から、「JIS C6481(1996)」に従って、幅10mmの試験片を作製し、アルミ箔の引き剥がし強さを測定した。
【0104】
[接着性の評価試験(e)]
(1)樹脂材料
樹脂材料として、ガラス布エポキシ樹脂含浸プリプレグ(FR−4グレード)を用いた。
(2)樹脂材料の表面処理
プリプレグの表面に、スプレー方式による表面処理剤の処理を行った。
(3)樹脂材料と銅箔の接着
処理したプリプレグに、電解銅箔(厚み:35μm)S面を積層プレスし、プリプレグと銅箔を接着して銅張積層板を作製した。
(4)接着性の評価
この銅張積層板から、「JIS C6481(1996)」に従って、幅10mmの試験片を作製し、銅箔の引き剥がし強さを測定した。
【0105】
[接着性の評価試験(f)]
(1)無機材料の表面処理
表面処理剤100重量部に対して硫酸バリウムを10重量部添加して5分間撹拌した。続いて、硫酸バリウムを濾別し、100℃のオーブンで1時間乾燥して、アゾールシラン化合物が担持された硫酸バリウムを調製した。
(2)樹脂組成物の調製
ソルダーレジストインク100重量部に対して、アゾールシラン化合物が担持された硫酸バリウムを1重量部添加し、30分間撹拌を行い、樹脂組成物を調製した。
(3)銅張積層板の作製
得られた樹脂組成物を、電解銅箔(厚み:35μm)のS面上に塗布した後、150℃のオーブンで1時間加熱して、この樹脂組成物の硬化物と銅箔が接着した銅張積層板を作製した。
(4)接着性の評価
この銅張積層板から、「JIS C6481(1996)」に従って、幅10mmの試験片を作製し、銅箔の引き剥がし強さを測定した。
【0106】
[接着性の評価試験(g)]
(1)樹脂組成物の調製
ソルダーレジストインク100重量部に対して、後述の加水分解物1重量部を添加し、30分間撹拌を行い、樹脂組成物を調製した。
(2)銅張積層板の作製
得られた樹脂組成物を、電解銅箔(厚み:35μm)のS面上に塗布し後、乾燥(80℃/30分)、硬化(150℃/60分)を行って、この樹脂組成物の硬化物と銅箔が接着した銅張積層板を作製した。
(3)接着性の評価
この銅張積層板から、「JIS C6481(1996)」に従って、幅10mmの試験片を作製し、銅箔の引き剥がし強さを測定した。
【0107】
[実施例1]
シランカップリング剤成分として、3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾール10gに、エチレングリコールモノブチルエーテル200gを加え、続いて水790gを加えて、室温にて2時間撹拌し、表面処理剤(以下、処理液Aという)を調製した。
この処理液Aについて、当該アゾールシラン化合物のメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(a)〜(f)を行った。
続いて、処理液A中の揮発分を減圧下にて除去して、アゾールシラン化合物の加水分解物を得た。得られた加水分解物について、接着性の評価試験(g)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
【0108】
[実施例2]
『3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾール』の代わりに、『3−アミノ−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾール』を用いた以外は、実施例1と同様にして表面処理剤(以下、処理液Bという)を調製し、この処理液Bについて、接着性の評価試験(a)〜(g)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
【0109】
[実施例3]
『3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾール』の代わりに、『3−アミノ−5−[6−(トリメトキシシリル)ヘキシルチオ]−1,2,4−トリアゾール』を用いた以外は、実施例1と同様にして表面処理剤(以下、処理液Cという)を調製し、この処理液Cについて、接着性の評価試験(a)〜(g)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
【0110】
[実施例4]
『3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾール』の代わりに、『5−メチル−2−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,3,4−チアジアゾール』を用いた以外は、実施例1と同様にして表面処理剤(以下、処理液Dという)を調製し、この処理液Dについて、接着性の評価試験(a)〜(g)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
【0111】
[比較例1]
『3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾール』の代わりに、『イミダゾールシラン化合物』を用いた以外は、実施例1と同様にして表面処理剤(以下、処理液Eという)を調製した。
この処理液Eについて、イミダゾールシラン化合物のメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、以下、実施例1の場合と同様にして接着性の評価試験(a)〜(g)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
【0112】
[比較例2]
『3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾール』の代わりに、『3−アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、品名「KBM−903」)』を用いた以外は、実施例1と同様にして表面処理剤(以下、処理液Fという)を調製した。
この処理液Fについて、3−アミノプロピルトリメトキシシランのメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、以下、実施例1の場合と同様にして接着性の評価試験(a)〜(g)を行った。
得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
【0113】
[比較例3]
シランカップリング剤を用いることなく、エチレングリコールモノブチルエーテル200gと水790gを混合し、室温にて2時間撹拌して、表面処理剤(以下、処理液Gという)を調製した。
この処理液Gについて、接着性の評価試験(a)〜(f)を行ったところ、得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
また、接着性の評価試験(g)については、ソルダーレジストに何も加えずに実施した。得られた試験結果は、表2に示したとおりであった。
【0114】
【表2】
【0115】
<接着性の評価試験−II>
実施例(5〜13)および比較例(4〜9)において行った接着性の評価試験(h)〜(j)は、次のとおりである。
【0116】
[接着性の評価試験(h)]
(1)金属
金属として、電解銅箔(厚み:18μm)を用いた。
(2)金属の表面処理
以下の3つの処理方法(α〜γ)から選択される何れか1つを採用して行った。
<処理方法α>
イ.酸清浄(5%硫酸水溶液)/1分間(室温)、水洗
ロ.マイクロエッチング(エッチング量3μm)/1分間(室温)、水洗、乾燥/1分(100℃)
ハ.表面処理剤に浸漬/1分(室温)、水洗、乾燥/1分(100℃)
<処理方法β>
イ.酸清浄(5%硫酸水溶液)/1分間(室温)、水洗
ロ.マイクロエッチング(エッチング量3μm)/1分間(室温)、水洗、乾燥/1分(100℃)
ハ.表面処理剤を刷毛塗り、メタノール洗浄、水洗、乾燥/1分(100℃)
<処理方法γ>
イ.酸清浄(5%硫酸水溶液)/1分間(室温)、水洗
ロ.マイクロエッチング(エッチング量3μm)/1分間(室温)、水洗、乾燥/1分(100℃)
ハ.表面処理剤を刷毛塗り、乾燥/1分(100℃)
(3)金属と樹脂の接着
処理した銅箔のS面に、ガラス布エポキシ樹脂含浸プリプレグ(FR−4グレード)を積層プレスし、銅箔とプリプレグを接着して銅張積層板を作製した。
(4)接着性の評価
この銅張積層板から、「JIS C6481(1996)」に従って、幅10mmの試験片を作製し、銅箔の引き剥がし強さを測定した。また、リフロー加熱2回後(ピーク温度260℃、大気)の引き剥がし強さについても測定した。
【0117】
[接着性の評価試験(i)]
(1)樹脂材料
樹脂材料として、ガラス布エポキシ樹脂含浸プリプレグ(FR−4グレード)を用いた。
(2)樹脂材料の表面処理
以下の3つの処理方法(α〜γ)から選択される何れか1つを採用して行った。
<処理方法α>
イ.酸清浄(5%硫酸水溶液)/1分間(室温)、水洗
ロ.表面処理剤に浸漬/1分(室温)、水洗、乾燥/1分(100℃)
<処理方法β>
イ.酸清浄(5%硫酸水溶液)/1分間(室温)、水洗
ロ.表面処理剤を刷毛塗り、メタノール洗浄、水洗、乾燥/1分(100℃)
<処理方法γ>
イ.酸清浄(5%硫酸水溶液)/1分間(室温)、水洗
ロ.表面処理剤を刷毛塗り、乾燥/1分(100℃)
(3)樹脂材料と銅箔の接着
処理したプリプレグに、電解銅箔(厚み:35μm)S面を積層プレスし、プリプレグと銅箔を接着して銅張積層板を作製した。
(4)接着性の評価
この銅張積層板について、接着性の評価試験(h)の場合と同様にして行った。
【0118】
[接着性の評価試験(j)]
(1)金属
金属として、銀めっき(厚み:0.1〜0.3μm)を施した銅箔を用いた。
(2)金属の表面処理
以下の工程イ〜ロに従って行った。
イ.酸清浄(5%硫酸水溶液)/1分間(室温)、水洗
ロ.表面処理剤を刷毛塗り、メタノール洗浄、水洗、乾燥/1分(100℃)
(3)金属と樹脂の接着
処理した銀めっき銅箔の銀めっき面に、ガラス布エポキシ樹脂含浸プリプレグ(FR−4グレード)を積層プレスし、銀めっき銅箔とプリプレグを接着して銀めっき銅張積層板を作製した。
(4)接着性の評価
この銀めっき銅張積層板について、接着性の評価試験(h)の場合と同様にして行った。なお、リフロー加熱2回後の引き剥がし強さについては、未測定である。
【0119】
[実施例5]
シランカップリング剤成分として、3−アミノ−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾール10gに、水とメタノールの1:1混合液を990g加え、室温にて2時間撹拌し、表面処理剤(以下、処理液Hという)を調製した。
この処理液Hについて、当該アゾールシラン化合物のメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(h)(処理方法γ)を行った。
得られた試験結果は、表3に示したとおりであった。
【0120】
[実施例6]
処理液Hを使用して、接着性の評価試験(h)(処理方法β)を行った。得られた試験結果は、表3に示したとおりであった。
【0121】
[実施例7]
水とメタノールの1:1混合液の代わりに、メタノールを用いた以外は、実施例5と同様にして、表面処理剤(以下、処理液Iという)を調製した。
この処理液Iについて、接着性の評価試験(h)(処理方法γ)を行った。
得られた試験結果は、表3に示したとおりであった。
【0122】
[実施例8]
処理液Iを使用して、接着性の評価試験(h)(処理方法β)を行った。得られた試験結果は、表3に示したとおりであった。
【0123】
[実施例9]
水とメタノールの1:1混合液を990g加える代わりに、エチレングリコールモノブチルエーテル200gを加え、続いて、水790gを加えた以外は、実施例5と同様にして、表面処理剤(以下、処理液Jという)を調製した。
この処理液Jについて、当該アゾールシラン化合物のメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(h)(処理方法α)を行った。
得られた試験結果は、表3に示したとおりであった。
【0124】
[比較例4]
3−アミノ−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾールの代わりに、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、品名「KBM−803」)を使用した以外は、実施例5と同様にして、表面処理剤(以下、処理液Kという)を調製した。
この処理液Kについて、該シラン化合物のメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(h)(処理方法γ)を行った。
得られた試験結果は、表3に示したとおりであった。
【0125】
[比較例5]
3−アミノ−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾールの代わりに、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、品名「KBM−403」)を使用した以外は、実施例5と同様にして、表面処理剤(以下、処理液Lという)を調製した。
この処理液Lについて、該シラン化合物のメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(h)(処理方法γ)を行った。
得られた試験結果は、表3に示したとおりであった。
【0126】
[比較例6]
シランカップリング剤を用いることなく、メタノール500gと水500gを混合し、室温にて1時間撹拌して、表面処理剤(以下、処理液Mという)を調製した。
この処理液Mについて、接着性の評価試験(h)(処理方法α)を行ったところ、得られた試験結果は、表3に示したとおりであった。
【0127】
【表3】
【0128】
[実施例10]
シランカップリング剤成分として、3−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾール10gに、メタノールを990g加え、室温にて2時間撹拌し、表面処理剤(以下、処理液Nという)を調製した。
この処理液Nについて、当該アゾールシラン化合物のメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、接着性の評価試験(i)(処理方法γ)を行った。
得られた試験結果は、表4に示したとおりであった。
【0129】
[実施例11]
シランカップリング剤成分として、3−アミノ−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾール10gに、水とメタノールの1:1混合液を990g加え、室温にて2時間撹拌し、表面処理剤(以下、処理液Oという)を調製した。
この処理液Oについて、実施例10の場合と同様の接着性の評価試験を行った。
得られた試験結果は、表4に示したとおりであった。
【0130】
[実施例12]
処理液Oを使用して、接着性の評価試験(i)(処理方法β)を行った。得られた試験結果は、表4に示したとおりであった。
【0131】
[比較例7]
処理液Kを使用して、実施例10の場合と同様の接着性の評価試験を行った。得られた試験結果は、表4に示したとおりであった。
【0132】
[比較例8]
3−アミノ−5−[3−(トリメトキシシリル)プロピルチオ]−1,2,4−トリアゾールの代わりに、イミダゾールシラン化合物を使用した以外は、実施例11と同様にして、表面処理剤(以下、処理液Pという)を調製した。
この処理液Pについて、当該イミダゾールシラン化合物のメトキシシリル基が、ヒドロキシシリル基に加水分解されていることを確認し、実施例10の場合と同様の接着性の評価試験を行った。
得られた試験結果は、表4に示したとおりであった。
【0133】
【表4】
【0134】
[実施例13]
処理液Nを使用して、接着性の評価試験(j)を行った。得られた試験結果は、表5に示したとおりであった。
【0135】
[比較例9]
処理液Mを使用して、実施例13の場合と同様の接着性の評価試験を行った。得られた試験結果は、表5に示したとおりであった。
【0136】
【表5】