(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
HRSG(Heat Recovery Steam Generator、排ガスボイラ)の煙突に、スプリッタ型のサイレンサ(消音器)を配置することで、排ガスなどの流体が流れる際に生じる音を低減することができる。しかしながら、サイレンサを配置した場合、サイレンサから気流音が発生する場合がある。ところが、サイレンサの各部位の気流音の減音効果への寄与度は不明であり、適切なサイレンサ設計が困難であった。サイレンサから発生する気流音は、境界層騒音と呼ばれ、物体表面の圧力変動が物体表面を加振することで発生する音である。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、気流音を低減することができる吸音スプリッタ、サイレンサ、ガスタービン用煙突、および、ガスタービンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の吸音スプリッタは、流体の流れる配管に前記流体が流れる方向と平行に配置され、表面に多数の孔が形成され、内部に吸音部材が配置された平板状の本体部と、前記本体部の前記流体の流入側の端部に配置され、前記流入側に向かってスプリッタ厚さが小さく形成された前端部と、前記本体部の前記流体の流出側の端部に配置され、前記流出側に向かってスプリッタ厚さが小さく形成された後端部と、を有し、前記後端部は、前記前端部よりも、前記流体の流れる方向の長さが長く形成されていることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、吸音スプリッタは、前端部が、流入側に向かうにつれてスプリッタ厚さが小さく形成され、後端部が、流出側に向かうにつれてスプリッタ厚さが小さく形成されている。さらに、後端部は、前端部よりも、排ガスの流れる方向の長さが長く形成されている。このため、排ガスは、吸音スプリッタの後端部において剥離せず、後端部に沿って緩やかに広がりながら流れる。言い換えると、吸音スプリッタは、後端部における排ガスの流れの剥離を抑制することができる。このため、吸音スプリッタは、気流音を低減することができる。
【0008】
本発明の吸音スプリッタにおける、前記後端部は、前記流体の流れる方向の長さが、前記後端部の最大スプリッタ厚さより大きいことを特徴とする。この構成によれば、吸音スプリッタの後端部における排ガスの流れの剥離を抑制することができる。このため、吸音スプリッタは、気流音を低減することができる。
【0009】
本発明の吸音スプリッタにおける、前記後端部は、外周面が、前記流体の流れる方向との間の角度が所定角度の平面を含んで形成されていることを特徴とする。この構成によれば、吸音スプリッタの後端部における排ガスの流れの剥離を抑制することができる。このため、吸音スプリッタは、気流音を低減することができる。
【0010】
本発明の吸音スプリッタにおける、前記後端部は、外周面が、前記流体の流れる方向との間の角度が所定角度の平面を接平面とする曲面を含んで形成されていることを特徴とする。この構成によれば、吸音スプリッタの後端部における排ガスの流れの剥離をより抑制することができる。このため、吸音スプリッタは、気流音を低減することができる。
【0011】
本発明の吸音スプリッタにおける、前記後端部は、前記流体の流れる方向との間の角度が所定角度ずつずれた平面が前記流体の流れる方向に連なって形成されていることを特徴とする。この構成によれば、吸音スプリッタの後端部における排ガスの流れの剥離をより抑制することができる。このため、吸音スプリッタは、気流音を低減することができる。
【0012】
本発明の吸音スプリッタにおける、前記後端部は、前記流体の流れる方向との間の角度が所定角度ずつずれた平面を接平面とする曲面が前記流体の流れる方向に連なって形成されていることを特徴とする。この構成によれば、吸音スプリッタの後端部における排ガスの流れの剥離を抑制することができる。このため、吸音スプリッタは、気流音を低減することができる。
【0013】
本発明の吸音スプリッタにおける、前記所定角度は、5°〜15°であることを特徴とする。この構成によれば、吸音スプリッタの後端部における排ガスの流れの剥離を抑制することができる。このため、吸音スプリッタは、気流音を低減することができる。
【0014】
本発明の吸音スプリッタにおける、前記後端部は、その内部に吸音部材が充填されていることを特徴とする。この構成によれば、吸音スプリッタの後端部において吸音し、気流音の音響パワーレベルをより低減することができる。このため、吸音スプリッタは、気流音を低減することができる。
【0015】
本発明のサイレンサは、上記の吸音スプリッタを複数有し、前記吸音スプリッタは、前記配管内に互いに平行に配置されていることを特徴とする。この構成によれば、吸音スプリッタの後端部における排ガスの流れの剥離を抑制することができる。このため、サイレンサは、気流音を低減することができる。
【0016】
本発明のガスタービン用煙突は、ガスタービンから排出された排ガスを外部に排出する煙突と、前記煙突の内部に配置された上記のサイレンサと、を有することを特徴とする。この構成によれば、煙突に配置されたサイレンサの吸音スプリッタの後端部における排ガスの流れの剥離をより抑制することができる。このため、ガスタービン用煙突は、気流音を低減することができる。
【0017】
本発明のガスタービンは、空気取込口から取り込んだ空気を圧縮する圧縮機と、該圧縮機によって圧縮された圧縮空気に対して燃料を供給し、点火及び燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器と、前記燃焼ガスによってロータに回転動力を発生させるタービン部と、該タービン部から排出された排ガスを外部に排出する排気ダクトと、前記排気ダクトを通過した前記排ガスを外部に排出する煙突と、前記煙突の内部に配置された上記のサイレンサと、を有することを特徴とする。この構成によれば、煙突に配置されたサイレンサの吸音スプリッタの後端部における排ガスの流れの剥離をより抑制することができる。このため、ガスタービンは、気流音を低減することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、気流音を低減することができる吸音スプリッタ、サイレンサ、ガスタービン用煙突、および、ガスタービンを実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下の各実施形態に限定されるものではなく、適宜変更して実施可能である。
【0021】
(第一実施形態)
まず、
図1を参照して第一実施形態に係るサイレンサ1を有するガスタービン100について説明する。
図1は、本発明の第一実施形態に係るサイレンサを有するガスタービンを示す概略図である。
図1に示すように、ガスタービン100は、空気取込口から取り込んだ空気を圧縮する圧縮機101と、圧縮機101によって圧縮された圧縮空気に対して燃料を供給し、点火及び燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器102と、燃焼ガスによってロータに回転動力を発生させるタービン部103と、圧縮機101の回転軸に連結された発電機104と、タービン部103から排出された燃焼ガスを外部に排出する排気ダクト105と、排気ダクト105を通過した燃焼ガスを外部に排出する煙突106とを備えている。
【0022】
以下、
図2と
図3と
図4とを参照して、サイレンサ1について説明する。
図2は、吸音スプリッタの概略構成を示す斜視図である。
図3は、吸音スプリッタの後端部を示す部分拡大図である。
図4は、サイレンサにおける流れを示す概略図である。
図2と
図3と
図4とは、説明のために形状を誇張して図示している。
図2は、一枚の吸音スプリッタのみを図示し、他の吸音スプリッタは図示していない。
【0023】
サイレンサ1は、煙突106の内部の排ガスの流路に配置されている。サイレンサ1は、燃焼ガス(排ガス)の流れる方向と平行に間隔を空けて平板状の吸音スプリッタ10と吸音スプリッタ20とが配置されている。本実施形態において、サイレンサ1は、一枚の吸音スプリッタ10と、吸音スプリッタ10を挟んで煙突106の内周面に配置された一対の吸音スプリッタ20とが配置されている。サイレンサ1は、複数の吸音スプリッタ10を備えていてもよい。サイレンサ1は、煙突106の内部の排ガスの流路を、吸音スプリッタ10と吸音スプリッタ20とによって区画する。言い換えると、サイレンサ1は、吸音スプリッタ10と吸音スプリッタ20とで、流入する排ガスを分流させる。
【0024】
吸音スプリッタ10は、煙突106の内部の排ガスの流路に、排ガスの流れる方向に沿って配置されている。吸音スプリッタ10は、板状の金属材を加工してパネル状に形成されている。吸音スプリッタ10は、煙突106の内部の排ガスの流路と同じ高さに形成されている。言い換えると、吸音スプリッタ10は、煙突106の内部の排ガスの流路の区画壁である。吸音スプリッタ10は、本体部11と、本体部11の上流側(前側)に配置された前端部12と、本体部11の下流側(後側)に配置された後端部13とを備える。吸音スプリッタ10は、スプリッタ厚さを二等分する平面に対して対称である。
【0025】
本体部11は、板所の部材である。本体部11は、内部に吸音部材が充填されて、吸音部材の周りを壁で覆う形状である。本体部11は、外周面が、前端部12および後端部13と嵌合する部分が空洞となった筒状である。本体部11の外周面は、本体部11が前端部12および後端部13と嵌合すると、前端部12の外周面および後端部13の外周面と滑らかに連続する。本体部11は、流入側から流出側まで一定のスプリッタ厚さdに形成されている。本体部11は、側面(表面)11aに、複数の微細孔11bが穿設されている。本体部11は、内部の空間に、吸音性を有する多孔質材料で形成された吸音部材が充填されている。多孔質材料は、例えば、グラスウール等の無機繊維系の材料、ポリエステル等の高分子繊維系の材料、及び、発泡軟質ウレタン等の樹脂発泡系の材料等である。これにより、本体部11は、側面11aにおいて吸音する。
【0026】
前端部12は、排ガスの流入側の端部である。前端部12は、本体部11と嵌合する開口を有する箱型状に形成されている。前端部12は、流入側に向かうにつれて厚さが小さく形成されている。本実施形態において、前端部12は、本体部11との接続部の厚さがdであり、流入側に向かうにつれて厚さが小さく形成されている。より詳しくは、前端部12は、断面が、本体部11との接続部を底辺とし、流入側を頂点とする二等辺三角形状である。前端部12は、外周面が、本体部11の側面11aと異なる方向に延在する傾斜面12aを含んで構成される。本実施形態において、本体部11の側面11aの延在する方向と傾斜面12aとの間の角度αは27°である。
【0027】
後端部13は、排ガスの流出側の端部である。後端部13は、本体部11と嵌合する開口を有する箱型状に形成されている。後端部13は、流出側に向かうにつれて厚さが小さく形成されている。本実施形態において、後端部13は、本体部11との接続部の厚さがdであり、流出側に向かうにつれて厚さが小さく形成されている。より詳しくは、後端部13は、断面が、本体部11との接続部を底辺とし、流出側を頂点とする二等辺三角形状である。後端部13は、前端部12よりも、排ガスの流れる方向の長さLが長く形成されている。後端部13は、d<Lとなるように形成されている。後端部13は、外周面が、側面11aと異なる方向に延在する傾斜面13aを含んで構成される。傾斜面13aは、後端部13における排ガスの流れの剥離を抑制する傾斜に設定されている。本実施形態において、側面11aの延在する方向と傾斜面13aとの間の角度αは9°である。
【0028】
吸音スプリッタ20は、吸音スプリッタ10と平行に、煙突106の内周面に一対配置されている。吸音スプリッタ20は、吸音スプリッタ10のスプリッタ厚さを二等分する平面で分割した形状である。吸音スプリッタ20は、本体部21と、本体部21の上流側に配置された前端部22と、本体部21の下流側に配置された後端部23とを備える。
【0029】
本体部21は、吸音スプリッタ10の本体部11を、スプリッタ厚さを二等分する平面で分割した形状である。本体部21は、流入側から流出側まで一定のスプリッタ厚さd/2に形成されている。本体部21は、煙突106の内部の排ガスの流路に露出する側面21aに、複数の微細孔が穿設されている。本体部21は、内部の空間に、吸音性を有する多孔質材料で形成された吸音部材が充填されている。
【0030】
前端部22は、吸音スプリッタ10の前端部12を、スプリッタ厚さを二等分する平面で分割した形状である。前端部22は、断面が、本体部21との接続部を底辺とし、流入側を頂点とする直角三角形状である。前端部22は、外周面が、本体部21の側面21aと異なる方向に延在する傾斜面22aを含んで構成される。傾斜面22aは、傾斜面12aと同様に構成されている。
【0031】
後端部23は、吸音スプリッタ10の後端部13を、スプリッタ厚さを二等分する平面で分割した形状である。後端部23は、断面が、本体部21との接続部を底辺とし、流出側を頂点とする直角三角形状である。後端部23は、外周面が、本体部21の側面21aと異なる方向に延在する傾斜面23aを含んで構成される。傾斜面23aは、傾斜面13aと同様に構成されている。
【0032】
次に、上記構成を有するサイレンサ1の作用について説明する。
【0033】
図4に示すように、排気ダクト105を通過した排ガスは、煙突106の内部において、サイレンサ1の吸音スプリッタ10と吸音スプリッタ20とで区画された流路を通過する。より詳しくは、吸音スプリッタ10の前端部12と、吸音スプリッタ20の前端部22との間の流路においては、前端部12の傾斜面12a、前端部22の傾斜面22aに沿った気流が生じる。前端部12、前端部22との間の流路は、排ガスの流れる方向に直交する断面の面積(流路面積)が流出側に向かうにつれて狭められる。本体部11と本体部21との間の流路においては、本体部11の側面11a、本体部21の側面21aに沿った気流が生じる。本体部11、本体部21との間の流路は、流路面積が一定である。後端部13と後端部23との間の流路において、後端部13の傾斜面13a、後端部23の傾斜面23aに沿った気流が生じる。後端部13と後端部23との間の流路は、流路面積が流出側に向かうにつれて緩やかに広げられる。このため、排ガスは、後端部13と後端部23との間の流路において、後端部13の傾斜面13a、後端部23の傾斜面23aから剥離せず、後端部13の傾斜面13a、後端部23の傾斜面23aに沿って緩やかに広がりながら流れる。
【0034】
図5を参照して、サイレンサ1の気流試験での、計測点ごとの気流音の音響パワーレベルの評価結果について説明する。
図5は、サイレンサにおける計測点ごとの気流音を示す図である。
図5に示すように、計測点1の気流音の音響パワーレベルは、計測点2の気流音の音響パワーレベルより小さく、計測点3〜計測点9の気流音の音響パワーレベルより大きい。計測点2の気流音の音響パワーレベルは、最大となる。計測点3〜計測点9の気流音の音響パワーレベルは、計測点1、計測点2、計測点10より小さく、ほぼ一定である。計測点10の気流音の音響パワーレベルは、計測点1の気流音の音響パワーレベルとほぼ同じである。言い換えると、サイレンサ入口、出口での気流音の音響パワーレベルは、ほぼ同じである。これに対して、図中に破線で示す、従来のサイレンサは、サイレンサ出口での気流音の音響パワーレベルがサイレンサ出口での気流音の音響パワーレベルより大きい。
【0035】
つぎに、
図6、
図7、
図8を参照して、従来のサイレンサ3の気流試験での、サイレンサ3の計測点ごとの気流音の音響パワーレベルの評価結果について説明する。ここで、サイレンサ3は、
図6、
図7に示すように、本体部31と、前端部32と、後端部33とを備える。前端部32と後端部33とは、対称な形状である。より詳しくは、側面31aの延在する方向と傾斜面33aとの間の角度αは27°である。
図7に示すように、排ガスの流れる方向に沿って離間する点を、流入側から流出側に向かって計測点1〜計測点10とする。計測点1は、サイレンサ3より上流側に位置する点である。計測点2は、サイレンサ3の前端部32と本体部31との接続部と、前端部42と本体部41との接続部との間に位置する点である。計測点3〜計測点9は、サイレンサ3の本体部31、本体部41間に位置する点である。計測点10は、サイレンサ3の後端部33、後端部43間に位置する点である。気流試験の結果、
図8に示すように、サイレンサ3の入口、出口で音響パワーレベルが上昇することが確認された。これは、サイレンサ3の上流側(計測点1〜計測点9)から発生する気流音はサイレンサ3自ら減音する一方、サイレンサ3の下流側(計測点10)、特に後端部33、後端部43以降には吸音構造がないので、見た目上、音響パワーレベルが上昇するためと考えられる。さらに、後端部33、後端部43では急激に流路面積が変化して流れが剥離し、後端部33、後端部43で大きな圧力変動を受けるので、発生する気流音の音響パワーレベルが上昇するためであると考えられる。
【0036】
以上説明したように、本実施形態によれば、吸音スプリッタ10と吸音スプリッタ20とは、前端部12、前端部22が、流入側に向かうにつれて厚さが小さく形成され、後端部13、後端部23が、流出側に向かうにつれて厚さが小さく形成されている。さらに、後端部13、後端部23は、前端部12、前端部22よりも、排ガスの流れる方向の長さLが長く形成されている。このため、排ガスは、後端部13、後端部23において、後端部13、後端部23から剥離せず、後端部13、後端部23に沿って緩やかに広がりながら流れる。このように、サイレンサ1は、後端部13、後端部23における排ガスの流れの剥離を抑制することができる。
【0037】
サイレンサ1は、後端部13、後端部23における排ガスの流れの剥離が抑制され、排ガスが後端部13、後端部23に沿って緩やかに広がりながら流れるので、後端部13、後端部23での圧力変動を抑制することができる。これにより、サイレンサ1は、後端部13、後端部23において発生する気流音の音響パワーレベルの上昇を抑制することができる。このように、サイレンサ1は、後端部13、後端部23から発生する気流音を低減することができる。より詳しくは、サイレンサ1は、サイレンサ入口、出口での気流音の音響パワーレベルを、ほぼ同じレベルに抑制することができる。このため、サイレンサ1が設置された煙突106は、騒音を低減することができる。
【0038】
(第二実施形態)
次に、
図9及び
図10を参照して、本実施形態に係るサイレンサ1Aの概要について説明する。
図9は、本発明の第二実施形態に係る吸音スプリッタの後端部を示す部分拡大図である。
図10は、サイレンサにおける流れを示す概略図である。
図9及び
図10は、説明のために形状を誇張して図示している。なお、本実施形態では、重複した記載を避けるべく、第一実施形態と異なる部分について説明し、第一実施形態と同様の構成である部分については、同じ符号又は対応する符号を付して説明する。以下の実施形態においても同様とする。
【0039】
サイレンサ1Aは、吸音スプリッタ10Aの後端部13A、吸音スプリッタ20Aの後端部23Aの構成が第一実施形態と異なる。後端部13Aは、側面が排ガスの流れる方向との間の角度αが所定角度ずつずれた平面が排ガスの流れる方向に連なって形成されている。後端部13Aは、側面11aと異なる方向に延在する傾斜面が排ガスの流れる方向に連なって形成されている。各傾斜面は、後縁部13Aにおける排ガスの流れの剥離を抑制する傾斜に設定されている。本実施形態では、後端部13Aは、排ガスの流れる方向との間の角度αが例えば、5°〜15°、好ましくは9°ずつずれた傾斜面13Aa、傾斜面13Abが排ガスの流れる方向に連なって形成されている。本実施形態において、傾斜面13Aaと側面11Aaの延在する方向との間の角度αは9°である。傾斜面13Abと傾斜面13Aaの延在する方向との間の角度αは9°であり、傾斜面13Abと側面11Aaの延在する方向との間の角度αは18°である。後端部13Aは、d<Lとなるように形成されている。傾斜面13Aaの長さL1と傾斜面13Abの長さL2とは、L1>L2の関係を満たす。
【0040】
吸音スプリッタ20Aの後端部23Aは、吸音スプリッタ10Aの後端部13Aを、スプリッタ厚さを二等分する平面で分割した形状である。傾斜面23Aaは、傾斜面13Aaと同様に構成されている。傾斜面23Abは、傾斜面13Abと同様に構成されている。
【0041】
以上のように、本実施形態によれば、後端部13A、後端部23Aの側面を、排ガスの流れる方向との間の角度αが所定角度ずつずれた平面である傾斜面13Aaおよび傾斜面13Ab、傾斜面23Aaおよび傾斜面23Abを排ガスの流れる方向に連ねて形成することで、後端部13A、後端部23Aの長さLを、第一実施形態の後端部13、後端部23の長さよりも短くすることができる。このように、サイレンサ1Aは、後端部13A、後端部23Aを小型化することができるので、全体を小型化することができる。
【0042】
しかも、サイレンサ1Aは、吸音スプリッタ10Aの後端部13A、吸音スプリッタ20Aの後端部23Aが、排ガスの流れる方向に傾斜面13Aaおよび傾斜面13Ab、傾斜面23Aaおよび傾斜面23Abを連ねて形成されているので、外周面を滑らかに形成することができる。これにより、サイレンサ1Aは、後端部13A、後端部23Aにおける排ガスの流れの剥離を抑制することができる。このため、サイレンサ1Aは、後端部13A、後端部23Aでの圧力変動が抑制され、発生する気流音の音響パワーレベルの上昇を抑制することができる。このように、サイレンサ1Aは、後端部13A、後端部23Aから発生する気流音をより低減することができる。
【0043】
(第三実施形態)
次に、
図11及び
図12を参照して、本実施形態に係るサイレンサ1Bの概要について説明する。
図11は、本発明の第三実施形態に係る吸音スプリッタの後端部を示す部分拡大図である。
図12は、サイレンサにおける流れを示す概略図である。
図11及び
図12は、説明のために形状を誇張して図示している。
【0044】
サイレンサ1Bは、吸音スプリッタ10Bの後端部13B、吸音スプリッタ20Bの後端部23Bの構成が第一実施形態と異なる。後端部13Bは、側面が排ガスの流れる方向との間の角度αが所定角度ずつずれた平面を接平面とする曲面が排ガスの流れる方向に連なって形成されている。本実施形態では、後端部13Bは、排ガスの流れる方向との間の角度αが5°〜15°、好ましくは9°ずつずれた平面を接平面とする曲面13Ba、曲面13Bbが排ガスの流れる方向に滑らかに連なって形成されている。本実施形態において、曲面13Baは、側面11Baの延在する方向との間の角度αが9°の平面を接平面H1とする。曲面13Baは、接平面H1と点P1を通る接線で接する。曲面13Bbは、曲面13Baの接平面H2との間の角度αは9°であり、側面11Baの延在する方向との間の角度αが18°の平面を接平面H2とする。曲面13Bbは、接平面H2と点P2を通る接線で接する。本体部11の厚さdと後端部の長さLとは、L>dの関係を満たす。
【0045】
吸音スプリッタ20Bの後端部23Bは、吸音スプリッタ10Bの後端部13Bを、スプリッタ厚さを二等分する平面で分割した形状である。曲面23Baは、曲面13Baと同様に構成されている。曲面23Bbは、曲面13Bbと同様に構成されている。
【0046】
以上のように、本実施形態によれば、後端部13B、後端部23Bの側面を、排ガスの流れる方向との間の角度αが所定角度ずつずれた平面を接平面とする曲面13Baおよび曲面13Bb、曲面23Baおよび曲面23Bbを排ガスの流れる方向に連ねて形成することで、後端部13B、後端部23Bの長さLを、第一実施形態の後端部13、後端部23の長さよりも短くすることができる。このように、サイレンサ1Bは、後端部13B、後端部23Bを小型化することができるので、全体を小型化することができる。
【0047】
しかも、サイレンサ1Bは、吸音スプリッタ10Bの後端部13B、吸音スプリッタ20Bの後端部23Bが、排ガスの流れる方向に曲面13Baおよび曲面13Bb、曲面23Baおよび曲面23Bbが連なって形成されているので、外周面を滑らかに形成することができる。これにより、サイレンサ1Bは、後端部13B、後端部23Bにおける排ガスの流れの剥離を抑制することができる。このため、サイレンサ1Bは、後端部13B、後端部23Bでの圧力変動が抑制され、発生する気流音の音響パワーレベルの上昇を抑制することができる。このように、サイレンサ1Bは、後端部13B、後端部23Bから発生する気流音をより低減することができる。
【0048】
(第四実施形態)
次に、
図13を参照して、第四実施形態に係るサイレンサ1Cの概要について説明する。
図13は、本発明の第四実施形態に係る吸音スプリッタの後端部を示す部分拡大図である。
図13は、説明のために形状を誇張して図示している。
【0049】
サイレンサ1Cは、吸音スプリッタ10Cの後端部13C、吸音スプリッタ20Cの後端部23Cの構成が第一実施形態と異なる。後端部13Cは、側面13Caに、複数の微細孔が穿設されている。後端部13Cは、内部の空間に、吸音性を有する多孔質材料で形成された吸音部材14Cが充填されている。
【0050】
吸音スプリッタ20Cの後端部23Cは、吸音スプリッタ10Cの後端部13Cを、スプリッタ厚さを二等分する平面で分割した形状である。後端部23Cは、内部の空間に、吸音性を有する多孔質材料で形成された吸音部材24Cが充填されている。
【0051】
以上のように、本実施形態によれば、吸音スプリッタ10Cの後端部13Cに吸音部材14Cが充填され、吸音スプリッタ20Cの後端部23Cに吸音部材24Cが充填されている。
【0052】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。本実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0053】
上記実施形態では、吸音スプリッタ10は、煙突106の内部の排ガスの流路に、排ガスの流れる方向に沿って1枚配置されているものとしたが、複数枚を配置してもよい。また、吸音スプリッタ10を配置している位置に、吸音スプリッタ10に代わって、吸音スプリッタ20を配置してもよい。