(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示されるように、圧縮空気吐出装置10は、ほぼ直方体形状のポートブロック11を有する。主弁12がポートブロック11の外面11aに装着され、副弁13が外面11aに対して直角となった外面11bに装着される。
図2に示されるように、底付きの供給口14がポートブロック11に設けられ、供給口14はポートブロック11の一方の端面に開口し、空気供給源20が図示しない供給用の配管やホースからなる供給流路を介して供給口14に接続される。底付きの吐出口15がポートブロック11に設けられ、吐出口15はポートブロック11の他方の端面に開口し、供給口14と同軸である。エアガンGが吐出口15に接続され、圧縮空気吐出装置10は、エアガンGの上流側つまり手前側に配置される。
【0015】
圧縮空気流路の配管において、圧縮空気吐出装置10をエアガンGの手前側に配置すると、作業者はエアガンGを把持することができるので、被加工物、治工具等の対象物への圧縮空気の噴出操作を容易に行うことができる。
【0016】
図3に示されるように、主弁12は、ほぼ直方体形状の弁ハウジング組立体16を有する。弁ハウジング組立体16は、本体ブロック16aと、この一端面に取り付けられるパイロットブロック16bと、本体ブロック16aの他端面に取り付けられるパイロットブロック16cとを備えている。大径孔17と小径孔18とが本体ブロック16aに長手方向に貫通して形成され、大径孔17と小径孔18とは同軸となっている。大径孔17とほぼ同一径の収容孔19が、パイロットブロック16cに形成されている。小径孔18は本体ブロック16aの一端面に開口し、大径孔17は本体ブロック16aの他端面に開口している。スリーブ21が本体ブロック16aとパイロットブロック16cとの間に固定され、大径孔17と収容孔19はスリーブ21により仕切られている。内径J1の案内孔22がスリーブ21に設けられている。底付きのパイロット孔23がパイロットブロック16bに形成され、底付きのパイロット孔23の内径J2は、案内孔22の内径J1よりも大径である。
【0017】
大径孔17は連通孔24により供給口14に連通され、小径孔18は連通孔25により吐出口15に連通される。
図3に示されるように、主弁軸26が弁ハウジング組立体16内に軸方向に往復動自在に装着される。主弁軸26は弁体27が設けられた軸部28を有し、弁体27は大径孔17と小径孔18との間の径方向の境界面に設けられた弁座29に当接する。ピストン31がパイロット孔23内に軸方向に往復動自在に装着され、ピストン31は軸部28の端面に突き当てられる。パイロット孔23の内周面に接触するシール部材32がピストン31に設けられている。復帰ピストン33が軸部28に設けられ、案内孔22の内周面に接触するシール部材34が復帰ピストン33に設けられている。さらに、フランジ35が軸部28に設けられ、シール部材36がフランジ35に設けられている。
【0018】
このように、主弁軸26の一端にピストン31が設けられ、他端に復帰ピストン33が設けられ、軸方向中央部に弁体27が設けられている。主弁軸26は、復帰ピストン33とフランジ35により支持され、弁ハウジング組立体16の内部を軸方向に往復移動する。パイロット室37がピストン31とパイロット孔23とにより区画され、復帰パイロット室38が復帰ピストン33と収容孔19とにより区画される。復帰パイロット室38は、弁ハウジング組立体16に形成された分岐流路39により連通孔24に連通される。従って、空気供給源20から供給口14に流入した圧縮空気は、連通孔24を介して復帰パイロット室38に常に供給される。なお、ピストン31は軸部28に突き当てられているが、ピストン31を軸部28にねじ部材等により固定しても良い。
【0019】
図3の大径孔17は
図4に示す主弁12の給気ポートAに対応し、
図3に示す小径孔18のうちシール部材36と弁体27の間の部分が
図4に示す主弁12の吐出ポートBに対応する。給気ポートAは連通孔24を介して供給口14に連通し、吐出ポートBは連通孔25を介して吐出口15に連通する。主弁軸26は、弁体27が弁座29から離れる吐出位置と、弁体27が弁座29に当接する遮断位置とのいずれかに切り換えられる。主弁軸26が吐出位置になると、給気ポートAと吐出ポートBが連通し、空気供給源20からの一次側の圧縮空気が吐出口15に吐出される。一方、主弁軸26が遮断位置になると、給気ポートAと吐出ポートBの連通が遮断され、吐出口15からの圧縮空気の吐出は停止される。
【0020】
ピストン31の径は復帰ピストン33の径よりも大径である。したがって、パイロット室37と復帰パイロット室38とにほぼ同圧の圧縮空気が供給されると、弁体27を弁座29から離す方向の推力が、逆方向の推力、つまり主弁軸26を遮断位置に向けて付勢する推力よりも大きくなる。これより、弁体27が弁座29から離れて主弁軸26は吐出位置に切り換えられる。一方、復帰パイロット室38に圧縮空気が供給された状態のもとで、パイロット室37から圧縮空気が排出されると、復帰ピストン33に加わる圧縮空気の推力により弁体27が弁座29に当接し、主弁軸26は遮断位置に切り換えられる。このように、パイロット室37は吐出動作用のパイロット室であり、復帰パイロット室38は吐出停止動作用のパイロット室である。
【0021】
前述のように、復帰パイロット室38は分岐流路39、大径孔17、連通孔24を介して常に供給口14に連通しているので、圧縮空気が復帰パイロット室38に常に供給されており、主弁軸26には遮断位置に向かう復帰方向の推力が常に加えられている。従って、パイロット室37へ圧縮空気を供給することで弁体27は弁座29から離れ、主弁軸26は吐出位置に切り換えられる。一方、パイロット室37の圧縮空気が排出されることで弁体27は弁座29に当接し、給気ポートAと吐出ポートBとの連通が遮断される。
【0022】
図3に示される主弁12においては、主弁軸26に遮断位置に向けて復帰方向の推力を付勢する復帰機構として、復帰パイロット室38に圧縮空気を常に供給するようにしているが、これに代えて、復帰パイロット室38に圧縮コイルばねを設けて、主弁軸26に弁座29に向かう方向の復帰方向の推力を与えても良い。
【0023】
図2に示されるように、副弁13は、ほぼ直方体形状の弁ハウジング組立体41を有する。弁ハウジング組立体41は、本体ブロック41aと、この一端面に取り付けられるパイロットブロック41bと、本体ブロック41aの他端面に取り付けられるパイロットブロック41cとを備えている。弁孔42が本体ブロック41aに形成され、弁孔42は本体ブロック41aを長手方向に貫通している。入力ポートCと出力ポートDと排気ポートEがそれぞれ弁孔42に連通して本体ブロック41aに形成され、それぞれのポートはポートブロック11の外面11bに向けて開口している。ポートブロック11の外面11bは、副弁13が取り付けられる取付面として機能する。出力ポートDは本体ブロック41aの軸方向中央部に設けられ、入力ポートCと排気ポートEがこの出力ポートDの軸方向両側に配置されており、副弁13は3ポート弁である。
【0024】
パイロット弁軸43が弁孔42内に軸方向に往復動自在に装着される。パイロット弁軸43は軸部45と4つのパイロット弁体44とを有し、摺動部46a,46bが軸部45の両端に設けられている。摺動部46a,46bが弁孔42の内周面に案内されて、軸部45は軸方向に往復動する。パイロット弁軸43は入力ポートCと出力ポートDとを連通させる給気位置と、入力ポートCと出力ポートDとの連通を遮断して出力ポートDを排気ポートEとを連通させる排気位置とのいずれかに切り換えられる。パイロット弁軸43が排気位置になると、パイロット弁体44に設けられたシール部材47bが、
図2に示されるように、入力ポートCと出力ポートDの間の弁座51に当接し、パイロット弁体44に設けられたシール部材47aが、出力ポートDと排気ポートEの間の弁座52から離れる。一方、パイロット弁軸43が給気位置になると、シール部材47aが、出力ポートDと排気ポートEの間の弁座52に当接し、シール部材47bが弁座51から離れる。
【0025】
底付きのパイロット孔53がパイロットブロック41cに形成され、パイロット孔53の内径はK1である。一方、底付きのパイロット孔54がパイロットブロック41bに形成され、パイロット孔54の内径K2は、パイロット孔53の内径K1よりも大きい。副弁ピストン55がパイロット孔54に軸方向に摺動自在に装着され、副弁ピストン55はパイロット弁軸43の一端面に突き当てられる。副弁復帰ピストン56がパイロット孔53に軸方向に摺動自在に装着され、副弁復帰ピストン56はパイロット弁軸43の他端面に突き当てられる。シール部材57aが副弁ピストン55の外周部に設けられ、シール部材57bが副弁復帰ピストン56の外周部に設けられる。
【0026】
副弁パイロット室58が副弁ピストン55とパイロット孔54により区画され、副弁復帰パイロット室59が副弁復帰ピストン56とパイロット孔53とにより区画される。副弁パイロット室58はパイロット弁軸43に排気位置に向かう方向の推力を付勢する。これに対し、副弁復帰パイロット室59はパイロット弁軸43に給気位置に向かう方向の推力を付勢する。副弁ピストン55の径は副弁復帰ピストン56の径よりも大きい。したがって、副弁パイロット室58と副弁復帰パイロット室59とにほぼ同圧の圧縮空気が供給されると、副弁ピストン55に加えられる推力が副弁復帰ピストン56に加えられる推力に勝るので、パイロット弁軸43は、給気位置に付勢する推力に抗して排気位置に付勢され、パイロット弁体44は弁座51に当接される。これにより、パイロット弁軸43は排気位置に切り換えられる。一方、副弁復帰パイロット室59に圧縮空気が供給された状態のもとで、副弁パイロット室58から圧縮空気が排出されると、副弁復帰ピストン56に加えられる復帰方向の推力によりパイロット弁体44が弁座52に当接し、パイロット弁軸43は給気位置に切り換えられる。
【0027】
副弁復帰パイロット室59は、後述のように供給口14に常に連通しているので、副弁復帰ピストン56には常に推力が加えられており、パイロット弁軸43には給気位置に向かう復帰方向の推力が常に加えられている。従って、副弁パイロット室58に圧縮空気を供給するとパイロット弁軸43は排気位置に位置する。副弁パイロット室58の圧縮空気を排気するとパイロット弁軸43は給気位置に位置する。
【0028】
図2に示される副弁13においては、パイロット弁軸43に給気位置に向けて復帰方向の推力を付勢する復帰機構として、副弁復帰パイロット室59に圧縮空気を常時供給するようにしているが、これに代えて、圧縮コイルばねを副弁復帰パイロット室59に設けて、パイロット弁軸43に給気位置に向かう推力を常に加えてもよい。
【0029】
給気流路61が供給口14と入力ポートCの間に設けられ、空気供給源20から供給される圧縮空気が入力ポートCに供給される。供給口14に連通する連通孔24と給気流路61は、図示しない流路で連通している。
図3に示されるように、絞り孔61aが本体ブロック16aに形成され、この絞り孔61aはこれよりも大径の絞り弁取付孔61bに連通している。絞り弁取付孔61bは、本体ブロック16aからポートブロック11に延びる連通孔61cに連通する。連通孔61cは外面11bに開口する給気孔61dに連通し、給気孔61dは入力ポートCに連通する。このように、給気流路61は、絞り孔61a、絞り弁取付孔61b、連通孔61cおよび給気孔61dにより形成される。
【0030】
図3に示されるように、可変絞り弁からなる給気絞り62が弁ハウジング組立体16に装着される。給気絞り62は、絞り弁取付孔61bに取り付けられる弁ケース63と、この弁ケース63にねじ結合されるねじ軸64とを備え、絞り孔61aに挿入されるニードル軸65がねじ軸64の先端に設けられている。操作ノブ66がねじ軸64の基端部に設けられ、ロックナット67がねじ軸64に設けられている。ねじ軸64が操作ノブ66により回動されると、ニードル軸65が回転しながら軸方向に移動し、絞り孔61aとニードル軸65との間の隙間つまり絞り量が調整される。ロックナット67を弁ケース63に締結すると、ねじ軸64は固定される。この給気絞り62は、副弁13が給気位置となって、入力ポートCから出力ポートDに流れる圧縮空気の流量を調整する。給気絞り62により、主弁12が遮断位置から給気位置に切り換えられるまでの時間が設定される。
【0031】
給排流路71が出力ポートDとパイロット室37との間に設けられ、出力ポートDは給排流路71によりパイロット室37に連通する。
図2に示されるように、給排孔71aが外面11bに開口してポートブロック11に形成され、
図3に示されるように、給排孔71bが主弁12の弁ハウジング組立体16に形成され、給排孔71bはパイロット室37に連通している。両方の給排孔71a,71bは、ポートブロック11と本体ブロック16aに形成された連通孔71cにより連通している。このように、給排流路71は、給排孔71a、給排孔71bおよび連通孔71cにより形成される。したがって、副弁13が給気位置になると、空気供給源20からの一次側空気がパイロット室37に供給される。
【0032】
主パイロット流路72が吐出口15と副弁パイロット室58との間に設けられている。主弁軸26が吐出位置となって、圧縮空気が吐出口15から吐出されると、主パイロット流路72は圧縮空気を副弁ピストン55に供給する。外面11bに開口するパイロット孔72aがポートブロック11に形成され、パイロット孔72aは連通孔25を介して吐出口15に連通する。このパイロット孔72aに連通するパイロット孔72bが、副弁13の弁ハウジング組立体41に形成されている。パイロット孔72bは、副弁パイロット室58に開口している。このように、主パイロット流路72は、パイロット孔72aとパイロット孔72bとにより形成される。
【0033】
副パイロット流路73が供給口14と副弁復帰パイロット室59との間に設けられている。副パイロット流路73は、空気供給源20から供給された圧縮空気を副弁復帰ピストン56に供給する。外面11bに開口するパイロット孔73aがポートブロック11に形成され、パイロット孔73aは供給口14に連通する。このパイロット孔73aに連通するパイロット孔73bが弁ハウジング組立体41に形成されている。パイロット孔73bは、副弁復帰パイロット室59に開口している。このように、副パイロット流路73は、パイロット孔73aとパイロット孔73bとにより形成される。
【0034】
排気ポートEは、ポートブロック11に形成された排気流路74によりポートブロック11の外部に連通する。排気ポートEに連通する排気孔74aが外面11bに開口してポートブロック11に形成され、この排気孔74aに連通する排気孔74bがポートブロック11の外面11cに開口している。排気孔74bが開口する外面11cは、
図1に示されるように外面11aの反対側の面であり、外部に露出されている。排気孔74aよりも内径が小径となった排気絞り孔が、排気絞り75として排気孔74bに設けられている。排気絞り75による排気空気の絞り量は一定であり、排気絞り75は固定絞りである。この排気絞り75により、パイロット室37内の圧縮空気が外部に排出されるまでの時間が設定される。但し、排気絞り75は固定絞りに限らず、可変絞りとしてもよい。
【0035】
図4は、
図1〜
図3に示された圧縮空気吐出装置10の空気圧回路図である。供給流路76が供給口14に接続され、供給流路76により主弁12の給気ポートAに空気供給源20から圧縮空気が供給される。空気供給源20は、圧縮空気を発生させるコンプレッサ、圧縮空気を貯留するアキュムレータ、および供給流路76に供給される圧縮空気つまり一次側空気の圧力を調整する調圧弁等を有しており、供給口14に供給される圧縮空気は任意の圧力に設定される。
【0036】
モード切換弁77が排気流路74と大気開放口の間に設けられており、モード切換弁77により排気流路74が開閉される。モード切換弁77は
図2,3には示されていないが、排気流路74の排気絞り75の下流側に設けられる。モード切換弁77は、作業者により手動操作され、排気流路74から外部に圧縮空気を排出する排出状態と、排出を停止する停止状態とのいずれかに切り換えられる。後述するように、モード切換弁77により排気流路74から圧縮空気を排出する開放状態に切り換えられると、圧縮空気吐出装置10は間欠吐出モードに設定され、排気流路74が閉じられて排出が停止されると、圧縮空気吐出装置10は連続吐出モードに設定される。
【0037】
図4に示される圧縮空気吐出装置10は、モード切換弁77を備えており、間欠吐出モードと連続吐出モードとに切り換えることができる。ただし、モード切換弁77が設けられない形態においては、間欠吐出モードのみを有する圧縮空気吐出装置となる。
【0038】
次に、圧縮空気吐出装置10を立ち上げるときにおける装置内部へ圧縮空気が充填される充填動作と、間欠吐出モードと、連続吐出モードとについて説明する。充填動作が完了した後に、吐出操作弁81による圧縮空気の吐出操作が行われていない状態を待機状態とする。吐出操作弁81
の押しボタン81aは、例えばエアガンGのトリガースイッチであり、
図4に示されるトリガースイッチ81aが操作されると、噴出口82から圧縮空気が噴出される。
[充填動作]
(間欠吐出モードにおける充填動作)
排気流路74がモード切換弁77により開放されて間欠吐出モードが設定された状態においては、充填動作、つまり空気供給源からの圧縮空気が最初に供給された時の圧縮空気吐出装置10は、以下のように動作する。なお、吐出操作弁81は、通常行われるように、閉じられているものと仮定する。
【0039】
図4のように、空気供給源20から供給流路76に圧縮空気が供給されると、分岐流路39を介して主弁12の復帰パイロット室38に圧縮空気が供給される。これにより、主弁12は遮断位置M1に切り換えられる。また、副パイロット流路73を介して副弁復帰パイロット室59に供給される圧縮空気により、副弁13は給気位置P2に切り換えられる。圧縮空気が、給気流路61を介して副弁13の入力ポートCに供給されている。副弁13は給気位置P2に切り換えられているので、圧縮空気は入力ポートCから出力ポートDに流れ、パイロット室37に供給される。パイロット室37に圧縮空気が供給されると、主弁12は吐出位置M2に切り換えられる。遮断位置M1から吐出位置M2に切り換えられるまでの時間は、給気絞り62の絞り量により設定される。
【0040】
主弁12が吐出位置M2に切り換えられると、給気ポートAから吐出ポートBに圧縮空気が流れる。吐出操作弁81は操作されずに停止位置となっているので、吐出ポートBに吐出された圧縮空気は、主パイロット流路72により副弁パイロット室58に供給される。これにより、副弁13は排気位置P1に切り換えられ、出力ポートDは排気ポートEに連通する。副弁13が排気位置P1に切り換えられると、パイロット室37内の圧縮空気は、出力ポートDおよび排気ポートEとモード切換弁77を介して排気流路74から外部に排出される。すると、主弁12は遮断位置M1に戻される。吐出位置M2から遮断位置M1に切り換えられるまでの時間は、排気絞り75の絞り量により設定される。
【0041】
主弁12が初期状態の遮断位置M1に戻されると、副弁13の副弁パイロット室58への一次側空気の供給が停止される。ところが、吐出操作弁81は手動操作されず閉じているので、副弁パイロット室58内と吐出流路78と主パイロット流路72の圧力は大気圧まで低下することなく、一次側空気の圧力よりは低い圧縮空気が副弁パイロット室58等の内部に残る。この残圧により副弁ピストン55に加えられる推力よりも、一次側空気の圧力により副弁復帰ピストン56に加えられる推力の方が大きければ、副弁13は給気位置P2に切り換えられる。これにより、最初に戻って再度、副弁パイロット室58に一次側空気が供給される。
【0042】
上述のように、主弁12が副弁13によって遮断位置M1と吐出位置M2とに複数回切換られると、副弁パイロット室58等の内部の残圧が高められて、副弁13は主パイロット流路72と副弁パイロット室58内の残圧により排気位置P1の位置を保持する。このように、間欠吐出モードが設定された状態においては、副弁パイロット室58と主パイロット流路72と吐出流路78の容積に応じた回数の切換動作により、副弁パイロット室58等に所定量の圧縮空気が充填される。副弁パイロット室58等の内部に所定の圧縮空気が充填されると、主弁12は遮断位置M1の状態であり、副弁13は排気位置P1の状態である充填完了状態で停止する。この充填動作は、モード切換弁77を備えていない形態においても同様である。
【0043】
(連続吐出モードにおける充填動作)
一方、排気流路74がモード切換弁77により閉じられて連続吐出モードが設定された状態においては、充填動作、つまり空気供給源からの圧縮空気が最初に供給された時の圧縮空気吐出装置10の動作は、以下のように行われる。なお、吐出操作弁81は、通常行われるように、閉じられているものと仮定する。
【0044】
図4のように、圧縮空気が空気供給源20から供給流路76に供給されると、上述した間欠吐出モードと同様に、分岐流路39を介して主弁12の復帰パイロット室38に圧縮空気が供給される。これにより、主弁12は遮断位置M1に切り換えられる。また、副パイロット流路73を介して副弁復帰パイロット室59に供給される圧縮空気により、副弁13は給気位置P2に切り換えられる。圧縮空気が、給気流路61を介して副弁13の入力ポートCに供給されている。副弁13は給気位置P2に切り換えられているので、圧縮空気は入力ポートCから出力ポートDに流れ、パイロット室37に供給される。パイロット室37に圧縮空気が供給されると、主弁12は吐出位置M2に切り換えられる。遮断位置M1から吐出位置M2に切り換えられるまでの時間は、給気絞り62の絞り量により設定される。
【0045】
主弁12が吐出位置M2に切り換えられると、給気ポートAから吐出ポートBに圧縮空気が流れる。吐出操作弁81は操作されずに停止位置となっているので、吐出ポートBに吐出された圧縮空気は、主パイロット流路72により副弁パイロット室58に供給される。これにより、副弁13は排気位置P1に切り換えられるが、排気流路74はモード切換弁77により閉じられているので、パイロット室37内の圧縮空気は排気ポートEから外部に排出されない。したがって、主弁12は吐出位置M2の状態を維持し、副弁13は排気位置P1の状態を維持する。
【0046】
このように、連続吐出モードが設定された状態においては、空気供給源20から圧縮空気吐出装置10に一次側空気が供給されると、副弁13の一度の切換動作により装置内部に対する圧縮空気の充填動作が終了する。
[待機状態]
充填動作により、副弁13の副弁パイロット室58の残圧により副弁13が排気位置P1を保持した状態となると、圧縮空気吐出装置10は待機状態になる。これにより、圧縮空気吐出装置10は、対象物に対して圧縮空気を噴出することができる状態になる。間欠吐出モードが設定されたときには、主弁12は遮断位置M1となった状態を保持する。連続吐出モードが設定されたときには、主弁12は吐出位置M2となった状態を保持する。
[間欠吐出モード]
[1]圧縮空気の吐出
モード切換弁77により間欠吐出モードが設定され、待機状態のもとで、吐出操作弁81の押ボタン81aが操作されると、吐出流路78から副弁パイロット室58内の残圧空気が噴出口82から対象物に噴出される。副弁パイロット室58内の圧縮空気が所定量だけ噴出されると、副弁パイロット室58の圧力低下により、副弁13が排気位置P1から給気位置P2に切り換えられる。これにより、主弁12のパイロット室37に一次側空気が供給される。パイロット室37に一次側空気が供給されると、主弁12は吐出位置M2に切り換えられて、主弁12の給気ポートAと吐出ポートBとが連通する。これにより、空気供給源20からの一次側空気が吐出口15に吐出され、吐出流路78を介して吐出操作弁81の噴出口82から圧縮空気が噴出される。
[2]吐出(ON)時間
主弁12が吐出位置M2に切り換えられると、副弁パイロット室58には一次側空気が供給され、副弁13は排気位置P1に切り換えられる。吐出流路78は、空気流に対する抵抗を有するので、上流に位置する副弁パイロット室58の圧力が上昇するからである。排気位置P1に切り換えられると、パイロット室37内の圧縮空気は、開放状態のモード切換弁77を介して排気流路74から大気に排出され、主弁12は遮断位置M1に切り換えられる。圧縮空気が排気流路74を通過する時間、つまり排出時間は、固定しぼりとしての排気絞り75により設定される。したがって、主弁12が吐出位置M2から遮断位置M1に切り換えられるまでの時間、つまり一次側空気が吐出操作弁81の噴出口82から噴出されるON時間は、排気絞り75の開度により設定される。
[3]吐出停止(OFF)時間
主弁12が遮断位置M1に切り換えられると、副弁パイロット室58の圧縮空気が噴出口82から噴出されて、副弁パイロット室58の圧力が低下し、副弁13が排気位置P1から給気位置P2に切り換えられる。これにより、一次側空気は、給気流路61と給排流路71を介してパイロット室37に供給され、主弁12は遮断位置M1から吐出位置M2に切り換えられる。このときに、圧縮空気が給気流路61を通過してパイロット室37に供給される時間、つまり給気時間は、給気絞り62により設定される。したがって、主弁12が遮断位置M1から吐出位置M2に切り換えられるまでの時間、つまり噴出口82から圧縮空気の噴出が停止されているOFF時間は、給気絞り62により設定される。
【0047】
副弁13が給気位置P2に切り換えられると、上述した[1]の圧縮空気吐出の状態に戻る。[1][2][3]を繰り返すことにより、空気供給源20から供給された一次側空気が、間欠的つまりパルス状にONとOFFを繰り返して噴出口82から吐出される。
【0048】
このように、3ポート弁である副弁13が給気位置に切り換えられると、主弁12のパイロット室37に一次側空気が供給されて主弁12は吐出位置に切り換えられる。一方、副弁13が排気位置に切り換えられると、主弁12のパイロット室37内の空気は外部に排気されて、主弁12は遮断位置に切り換えられる。したがって、副弁13を介してパイロット室37に供給される圧縮空気により主弁12は作動され、安定的に確実に間欠吐出動作を行うことができ、吐出動作特性を向上させることができる。
【0049】
図5(A)は間欠吐出モードにおける圧縮空気の吐出波形図である。モード切換弁77によって間欠吐出モードに設定された状態のもとでは、吐出口15から圧縮空気の吐出と吐出停止とを繰り返しながら、押ボタンつまりトリガースイッチ81aが戻されるまで圧縮空気が吐出される。
図5(A)における吐出時間T1は、排気絞り75の絞り量により一定値に設定される。これに対し、吐出停止時間T2は、給気絞り62により変化させることができる。
[連続吐出モード]
モード切換弁77により連続吐出モードが設定され、待機状態のもとで、吐出操作弁81の押ボタン81aが操作されると、吐出流路78から副弁パイロット室58内の残圧空気が噴出口82から対象物に吹き付けられる。副弁パイロット室58内の圧縮空気が所定量だけ噴出されると、副弁パイロット室58の圧力低下により、副弁13が排気位置P1から給気位置P2に切り換えられ、主弁12のパイロット室37に一次側空気が供給される。パイロット室37に一次側空気が供給されると、主弁12は吐出位置M2に切り換えられて、主弁12の給気ポートAと吐出ポートBとが連通する。これにより、空気供給源20からの一次側空気が吐出口15に吐出され、吐出流路78を介して噴出口82から圧縮空気が噴出される。
【0050】
主弁12が吐出位置M2に切り換えられると、副弁パイロット室58には一次側空気が供給され、副弁13は排気位置P1に切り換えられる。排気位置P1に切り換えられても、排気流路74はモード切換弁77により閉塞されているので、パイロット室37内の圧縮空気は外部に排出されない。したがって、主弁12は吐出位置M2の状態を維持し、一次側空気は噴出口82から連続的に噴出される。
【0051】
図5(B)は連続吐出モードにおける圧縮空気の吐出波形図である。モード切換弁77によって連続吐出モードに設定された状態のもとでは、吐出口15から連続的に圧縮空気が吐出される。連続吐出は、押ボタン81aの操作が解除されるまで継続される。
【0052】
上述のように、モード切換弁77により排気流路74を閉じてパイロット室37からの排出を停止すると、圧縮空気吐出装置10は、連続的に圧縮空気を吐出口15に吐出する連続吐出モードに設定される。連続吐出モードが設定された状態においては、副弁13は排気位置P1に固定され、パイロット室37には復帰パイロット室38と同圧の圧縮空気が供給される。パイロット室37のピストン31の径は、復帰パイロット室38の復帰ピストン33の径より大きいので、ピストン31の推力は復帰ピストン33の推力よりも大きい。これにより、主弁12は吐出位置M2に切り換えられた状態を維持する。
【0053】
一方、モード切換弁77により排気流路74を開放すると、圧縮空気吐出装置10は、間欠的つまりパルス状に圧縮空気を吐出口15に吐出する間欠吐出モードに設定される。間欠吐出モードが設定された状態においては、副弁13が給気位置P2に切り換えられると、パイロット室37には復帰パイロット室38と同圧の圧縮空気が供給される。これにより、主弁12は吐出位置M2に切り換えられて、吐出口15から圧縮空気が吐出される。これに対し、副弁13が排気位置P1に切り換えられると、パイロット室37の圧縮空気が外部に排出される。これにより、主弁12は遮断位置M1に切り換えられて、吐出口15からの圧縮空気の吐出が停止される。副弁13が排気位置P1と給気位置P2とを交互に繰り返して作動することにより、吐出口15に圧縮空気が間欠的に吐出される。このように、モード切換弁77により、圧縮空気吐出装置10は、間欠吐出モードと連続吐出モードとのいずれかに切り換えられる。
【0054】
モード切換弁77は、ポートブロック11の外面11cに直接または配管等を介して装着される。
図2に示されるように排気絞り75がポートブロック11に形成された形態においては、排気絞り75により絞られた圧縮空気が、排気絞り75とモード切換弁77との間の排気流路74を介してモード切換弁77に供給される。ただし、ポートブロック11の排気孔74bに排気絞り75を設けることなく、排気孔74bに連通させてモード切換弁77を装着するようにしても良く、その場合には、モード切換弁77の内部流路や排出口または排気流路74に固定絞りからなる排気絞り75が設けられる。固定絞りの形態としては、内径が相違する複数種類のねじ部材やモード切換弁77に設けるようにし、これらの部材を交換して、絞り量を複数段階に変更できるようにしても良い。
【0055】
間欠吐出モードにおいて、圧縮空気が吐出口15から吐出される時間つまりON時間は、排気しぼりとしての排気絞り75の内径により設定される。一方、吐出が停止される時間つまりOFF時間は、絞り孔61aとニードル軸65との間の通気面積により設定される。この通気面積は給気絞り62としての可変絞り弁により無段階に調整される。
【0056】
吐出流路78が吐出口15に接続され、主弁12の吐出ポートBから吐出された圧縮空気は、吐出流路78に吐出される。吐出操作弁81が吐出流路78に設けられる。圧縮空気吐出装置10がエアガンGに装着されるときには、吐出操作弁81はエアガンGのトリガースイッチである。吐出操作弁81は、吐出ポートBから吐出された圧縮空気を噴出口82から噴出する噴出位置と、噴出を停止する停止位置とに手動により操作される。吐出操作弁81の押ボタン81aが作業者により押し込まれると、吐出操作弁81は噴出位置に切り換えられる。押込操作が解除されると、吐出操作弁81はばね力により停止位置に戻される。
【0057】
図6は、変形例である圧縮空気吐出装置10aを示す空気圧回路である。
図6においては、
図4に示された部材と共通する部材には同一の符号が付されている。
【0058】
上述した圧縮空気吐出装置10の主弁12が給気ポートAと吐出ポートBとを備えた2ポート弁であるのに対し、
図6に示される主弁12aは、給気ポートAと吐出ポートBと連通ポートFとを備えた3ポート弁である。給気ポートAに供給流路76が接続され、吐出ポートBに吐出流路78が接続され、連通ポートFに給気流路61が接続される。主弁12aは、上述した主弁12と同様に遮断位置M1と吐出位置M2とのいずれかに切り換えられる。遮断位置M1においては、給気ポートAと吐出ポートBとの連通が遮断され、給気ポートAは連通ポートFに連通される。一方、吐出位置M2に切り換えられると、給気ポートAは吐出ポートBに連通し、連通ポートFは遮断される。
【0059】
図4に示される圧縮空気吐出装置10においては、空気供給源20からの一次側空気が給気流路61により副弁13の入力ポートCに常時供給される。これに対し、
図6に示される圧縮空気吐出装置10aにおいては、主弁12aが遮断位置M1となっているときには一次側空気が入力ポートCに供給され、主弁12aが吐出位置M2に切り換えられると、空気供給源20と入力ポートCとの連通が遮断される。この連通が遮断されたときには、一次側空気が、主弁12aの給気ポートAから吐出ポートBを介して、副弁13の副弁パイロット室58に供給される。従って、副弁13は排気位置P1に切り換えられるので、
図6に示される圧縮空気吐出装置10aは、
図4に示される圧縮空気吐出装置10と同様に作動する。主弁12aが吐出位置M2に切り換えられると、空気供給源20と入力ポートCとの連通が遮断されるが、副弁13が給気位置P2に切り換えられると、給気流路61および給排流路71を介してパイロット室37に圧縮空気が供給されて、主弁12は遮断位置M2に切り換えられる。
【0060】
図3に示した主弁12はポペット型の2方弁であるのに対し、
図6に示した主弁12はスプール型の3方弁となる。
【0061】
図7は、他の変形例である圧縮空気吐出装置10bを示す空気圧回路である。
図7においては、
図4に示された部材と共通する部材には同一の符号が付されている。
【0062】
図7に示される主弁12bは、遮断位置M1に向かう方向の推力が復帰ばね85により常に加えられている。この形態の主弁12bにおいては、復帰機構としての復帰ばね85が
図3に示した主弁12の復帰パイロット室38に装着され、遮断位置M1に向かう方向の推力が復帰ばね85により主弁軸26に付勢される。この復帰ばね85による復帰方向のばね力は、ピストン31により主弁軸26に対して吐出位置M2に向かう方向に加えられる推力よりも小さい値に設定される。したがって、パイロット室37に圧縮空気が供給されると、復帰ばね85により遮断位置M1に向けて付勢される復帰用の推力よりも、吐出位置M2に向かう方向の推力が大きいので、主弁12は吐出位置M2に切り換えられる。
【0063】
図7に示される副弁13は、給気位置P2に向かう方向の推力が副弁復帰ばね86により常に加えられている。この形態の副弁13においては、復帰機構としての副弁復帰ばね86が
図2に示した副弁13の副弁復帰パイロット室59に装着され、給気位置P2に向かう方向の復帰用の推力が副弁復帰ばね86によりパイロット弁軸43に付勢される。この副弁復帰ばね86による復帰方向のばね力は、副弁ピストン55によりパイロット弁軸43に対して排気位置P1に向かう方向に加えられる推力よりも小さい値に設定される。したがって、副弁パイロット室58に圧縮空気が供給されると、副弁復帰ばね86により給気位置P2に向けて付勢される復帰用の推力よりも、排気位置P1に向かう方向の圧縮空気の推力が大きいので、副弁13は排気位置P1に切り換えられる。
【0064】
このように、主弁12を遮断位置M1に向けて復帰方向の推力を付勢するための復帰機構と、副弁13を給気位置P2に向けて復帰方向の推力を付勢するための復帰機構としては、ピストンを用いる形態と、ばね部材を用いる形態とがある。さらに、主弁12と副弁13の一方の復帰機構のみをばね部材とする形態もある。
【0065】
それぞれの圧縮空気吐出装置10,10a、10bにおいては、給気絞り62が可変絞りであり、排気絞り75が固定絞りとなった形態である。これに対し、給気絞り62を固定絞りとし、排気絞りを可変絞りとすると、圧縮空気吐出装置10,10a、10bは、吐出口15からの圧縮空気の吐出時間を変化させることができる形態になる。給気絞り62と排気絞り75をともに可変絞りとすると、吐出時間と吐出停止時間とのいずれをも変化させることができる形態になる。
【0066】
圧縮空気吐出装置10,10a、10bは、モード切換弁77により間欠吐出モードと連続吐出モードのいずれかに切り換えることができるので、対象物の種類に応じて最適な空気噴出作業を行うことができる。これにより、圧縮空気吐出装置10,10a、10bの汎用性が高められる。また、空気供給源20から供給口14に供給された一次側空気が吐出口15を介して噴出口82から噴出されるので、供給口14に供給される一次側空気の圧力つまり元圧を調整することよりの任意の圧力の圧縮空気を噴出口82から噴出させることができる。
【0067】
図6および
図7に示した圧縮空気吐出装置10a,10bにも、モード切換弁77が設けられているが、それぞれの圧縮空気吐出装置10a,10bにおいても、
図4に示される圧縮空気吐出装置10と同様に、モード切換弁77が設けられない形態とすると、間欠吐出モードのみの圧縮空気吐出装置となる。
【0068】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。圧縮空気吐出装置10、10a、10bは、上述のように、対象物に圧縮空気を吹き付けるためのエアガンに適用されるが、例えば、イオン化された空気を被加工物や治工具等に吹き付けるための装置等の種々の空気噴出具に、この圧縮空気吐出装置10,10aを適用することができる。