特許第6578265号(P6578265)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6578265
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】切断用平行定規
(51)【国際特許分類】
   B23D 47/02 20060101AFI20190909BHJP
   B23D 45/16 20060101ALI20190909BHJP
   B27B 9/04 20060101ALI20190909BHJP
【FI】
   B23D47/02
   B23D45/16
   B27B9/04
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-206154(P2016-206154)
(22)【出願日】2016年10月20日
(65)【公開番号】特開2018-65225(P2018-65225A)
(43)【公開日】2018年4月26日
【審査請求日】2018年10月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】591073050
【氏名又は名称】シンワ測定株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 知之
(74)【代理人】
【識別番号】100188994
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 裕介
(72)【発明者】
【氏名】橋本 俊則
【審査官】 久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−150312(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3051874(JP,U)
【文献】 特開2016−000465(JP,A)
【文献】 特開平10−175747(JP,A)
【文献】 特開2007−008063(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0095186(US,A1)
【文献】 実開平05−016204(JP,U)
【文献】 特開2015−100882(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 47/02
B23D 45/16
B27B 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
丸鋸に着脱自在に取り付けられ、鋸刃の進行方向と直交する方向に配置される定規杆と、該定規杆の長さ方向一側に設けられ、被加工物の側面に当接する鋸刃の進行方向と平行なガイド面を有するガイド部材とを備え、
前記定規杆は、前記丸鋸に取り付けられ前記被加工物の上方に配置される竿板部と、前記被加工物の側方にして前記竿板部の下側に配置された基板部と、それら竿板部と基板部との間に設けられ長さ方向他側が開口する隙間とを有する切断用平行定規において、
前記基板部の長さ方向他側に、該長さ方向の回動中心を中心にして前記ガイド部材を回動可能に設け、
前記ガイド部材は、
第1の回動位置で前記被加工物の側面に当接すると共に前記隙間を開放する第1ガイド面と、
前記第1ガイド面と交差方向に設けられ、第2の回動位置で前記被加工物の側面に当接すると共に前記隙間を塞ぐ第2ガイド面とを有することを特徴とする切断用平行定規。
【請求項2】
前記第1ガイド面と前記第2ガイド面は前記回動中心からの距離が等しいことを特徴とする請求項1記載の切断用平行定規。
【請求項3】
前記ガイド部材は、前記第1ガイド面と平行で対向する第1対向面と、前記第2ガイド面と平行で対向する第2対向面とを有し、前記第1対向面と第2対向面は前記回動中心からの距離が等しいことを特徴とする請求項1又は2記載の切断用平行定規。
【請求項4】
前記第1対向面と前記第2対向面の間の角部に面取り部を設けたことを特徴とする請求項3記載の切断用平行定規。
【請求項5】
前記基板部に前記ガイド部材を前記定規杆の幅方向に移動可能に設け、第2の回動位置における前記第2ガイド面の上縁部に前記幅方向に長い切欠き部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の切断用平行定規。
【請求項6】
前記基板部に、前記ガイド部材を取り付ける取付体を設け、この取付体は、上下の帯板の間に前記竿板部の幅方向に長い長孔を有し、
前記長孔に挿通すると共に前記ガイド部材に螺合する螺子本体を有し、前記取付体に前記ガイド部材を固定する固定手段を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の切断用平行定規。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、丸鋸を被加工物の側面と平行にガイドする切断用平行定規に関する。
【背景技術】
【0002】
丸鋸に着脱自在に取り付けられ、鋸刃の進行方向と直交する方向に配置される定規板材と、該定規板材の一方側部側に設けられ、被加工物の側面に当接する鋸刃の進行方向と平行なガイド面を有するガイド部材とからなり、前記定規板材は、丸鋸に取り付けられて被加工物の上方に配置される定規竿板部と、被加工物の側方にして前記定規竿板部の下側に配置され、前記ガイド部材が設けられた基板部とを備え、前記定規竿板部とガイド部材との間に、丸鋸のベースが挿入可能な隙間を設け、ボルト部材によりガイド部材を丸鋸の鋸刃の進行方向の前後方向にスライド自在に固定するように構成した丸鋸用ガイド具(例えば特許文献1)が提案されており、この丸鋸用ガイド具では、ガイド面から丸鋸の切断刃までの距離を固定することにより、被加工物を一定幅で切断することができる。
【0003】
そして、上記定規竿板部に丸鋸のベースが固定され、被加工物を細幅で切断する際には、丸鋸の刃を被加工物の側面に近付けるため、前記定規竿板部とガイド部材との間の隙間に、丸鋸のベースを挿入することにより、細幅切断を行うことができる。
【0004】
しかし、被加工物が薄板の場合、定規竿板部とガイド部材の間に隙間があるため、隙間に薄板が入り込み、ガイド面を被加工物の側面に添わせることができない。
【0005】
上記の問題を解決するものとして、切断移動方向のガイドを兼ねる定規板を丸ノコ刃物の面方向に平行するよう固定した電動丸ノコ盤において、前記定規板に補助定規板を上下に位置調整が自在となるよう重ねて取付けた電動丸ノコ盤(例えば特許文献2)がある。この電動丸ノコ盤では、被切断物の板厚が薄い場合は補助定規板を定規板に対して上昇位置に固定化することにより、薄い板厚の被切断物を切断することができる。
【0006】
ところで、丸鋸を使用する現場では、石膏ボードが重なり合って置かれている場合、上段の石膏ボードの下にスポンジなどからなる下敷きを配置し、この状態で厚さ9.5mm程度の薄い石膏ボードの切断が行われる。この場合、下の下敷きにガイド部材が当たらないようにするため、本体を薄くすると共にガイド部材の高さ寸法を低くした薄型の切断用定規が用いられている。尚、上段の石膏ボードと共に下敷きの上面が丸鋸により部分的に切断される。
【0007】
上記薄型のタイプのものは、ガイド部材を上下に動かすスペースがないため、細幅切断用であれば、竿板部とガイド部材との間に隙間があり、薄板切断を行うことができず、一方、薄板切断用であれば、竿板部とガイド部材との間の隙間を開くことができず、細幅切断を行うことができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実用新案登録第3176526号公報
【特許文献2】特開平9−150312号公報
【特許文献3】特開平11−34003号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、細幅切断と薄板切断の両方に適した切断用平行定規を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、丸鋸に着脱自在に取り付けられ、鋸刃の進行方向と直交する方向に配置される定規杆と、該定規杆の長さ方向一側に設けられ、被加工物の側面に当接する鋸刃の進行方向と平行なガイド面を有するガイド部材とを備え、前記定規杆は、前記丸鋸に取り付けられ前記被加工物の上方に配置される竿板部と、前記被加工物の側方にして前記竿板部の下側に配置された基板部と、それら竿板部と基板部との間に設けられ長さ方向他側が開口する隙間とを有する切断用平行定規において、前記基板部の長さ方向他側に、該長さ方向の回動中心を中心にして前記ガイド部材を回動可能に設け、前記ガイド部材は、第1の回動位置で前記被加工物の側面に当接すると共に前記隙間を開放する第1ガイド面と、前記第1ガイド面と交差方向に設けられ、第2の回動位置で前記被加工物の側面に当接すると共に前記隙間を塞ぐ第2ガイド面とを有することを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、前記第1ガイド面と前記第2ガイド面は前記回動中心からの距離が等しいことを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、前記ガイド部材は、前記第1ガイド面と平行で対向する第1対向面と、前記第2ガイド面と平行で対向する第2対向面とを有し、前記第1対向面と第2対向面は前記回動中心からの距離が等しいことを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、前記第1対向面と前記第2対向面の間の角部に面取り部を設けたことを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明は、前記基板部に前記ガイド部材を前記定規杆の幅方向に移動可能に設け、第2の回動位置における前記第2ガイド面の上縁部に前記幅方向に長い切欠き部を設けたことを特徴とする。
【0015】
請求項6の発明は、前記基板部に、前記ガイド部材を取り付ける取付体を設け、この取付体は、上下の帯板の間に前記竿板部の幅方向に長い長孔を有し、前記長孔に挿通すると共に前記ガイド部材に螺合する螺子本体を有し、前記取付体に前記ガイド部材を固定する固定手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の構成によれば、第1の回動位置で第1ガイド面を被加工物の側面に当て、隙間に丸鋸のベース板を挿入し、細幅切断を行うことができ、第2の回動位置で第2ガイド面を被加工物の側面に当接して隙間を塞ぐことにより、薄板切断等を行うことができる。
【0017】
請求項2の構成によれば、第1ガイド面と第2ガイド面は、回動中心からの距離が等しいから、第1の回動位置での第1ガイド面と第2の回動位置での第2ガイド面の竿板部の長さ方向に対する位置が一定となる。
【0018】
請求項3の構成によれば、第1の回動位置で下になる第2対向面と第2の回動位置で下になる第1ガイド面との高さ位置が同一となり、第1及び第2の回動位置でガイド部材の下部の高さ位置が同一となる。
【0019】
請求項4の構成によれば、ガイド部材の回動操作を円滑に行うことができる。
【0020】
請求項5の構成によれば、第2の回動位置で、ガイド部材の前後位置を変えても、さらに、ガイド部材を回転させても、切欠き部により第2ガイド面が竿板部に干渉することがない。
【0021】
請求項6の構成によれば、上下の帯板により長孔を構成することにより、固定手段を固定部材に強く螺合しても上下の帯板が変形せず、ガイド部材を安定して固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施例1を示す切断用平行定規の全体斜視図である。
図2】同上、切断用平行定規の他側から見た全体斜視図である。
図3】同上、一部を切り欠いた取付体とガイド部材の要部の斜視図である。
図4】同上、側面図である。
図5】同上、底面図である。
図6】同上、位置決め部の断面図である。
図7】同上、取付体の要部の断面図である。
図8】同上、ガイド部材と取付体の要部の側面図であり、図8(A)は第2の回動位置、図8(B)は第1の回動位置を示す。
図9】同上、ガイド部材と取付体の要部の一部を切り欠いた側面図である。
図10】同上、ガイド部材の要部の分解斜視図である。
図11】同上、回動軸部の断面図である。
図12】同上、使用状態の平面図である。
図13】同上、螺子手段の断面図である。
図14】同上、一部を切欠いた上方変位防止部材の正面図である。
図15】同上、一部を切欠いた上方変位防止部材の正面図であり、抜止め部を設けている。
図16】同上、上方変位防止部材の斜視図である。
図17】本発明の実施例2を示す螺子手段の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。各実施例では、従来とは異なる新規な切断用平行定規を採用することにより、従来にない切断用平行定規が得られ、その切断用平行定規について記述する。
【実施例1】
【0024】
本発明の実施例1を図1図16を参照して説明する。切断用平行定規1は、定規杆2と、この定規杆2の一側に連結した取付体3と、この取付体3に左右方向スライド可能に固定するガイド部材4とを備える。
【0025】
前記定規杆2は、丸鋸101に取り付けられて被加工物102の上方に配置される竿板部5と、被加工物102の側方にして前記竿板部5の下側に配置され、前記取付体3に固定された基板部6と、それら竿板部5の一側と基板部6の一側とを連結する連結部7とを備える。この場合、連結部7は竿板部5と基板部6とを一体に連結する折曲板部分に形成され、上の竿板部5と下の基板部6との間には、丸鋸101のベース板103が挿入可能な隙間8が設けられている。
【0026】
竿板部5の上面には目盛り5Aが設けられている。また、定規杆2と取付体3は金属等からなり、ガイド部材4は合成樹脂やアルミニウム合金等からなる。尚、丸鋸101の前後進行方向の前後は、切断用平行定規1の左右である。
【0027】
前記取付体3は、取付上部11と取付下部21とを備える。前記取付上部11は、その左右方向中央に略三角形の上中央部12を有し、この上中央部12の左右両側に上向きの段差部13,13を設け、これら段差部13,13の左右方向外側に帯板状の上腕部14,14を設け、この上腕部14の端部に下向きの折曲げ縁部15を設け、この折曲げ縁部15に係止受部たる係止孔16を穿設し、この係止孔16は前後方向に長く形成されている。
【0028】
図5に示すように、前記取付下部21は、その左右方向中央に略三角形の下中央部22を有し、この下中央部22の左右両側に帯板状の下腕部24,24を設け、この下腕部24の端部に、前記係止孔16に係止する係止突起26を設けている。尚、上腕部14と下腕部24とは同一幅である。また、下中央部22の上面左右に位置決め突部27,27を設けると共に、これら位置決め突部27,27が嵌入する位置決め受け部たる位置決め孔部17,17が前記上中央部12の左右に形成されている。
【0029】
前記位置決め孔部17と位置決め突部27により位置決め部を構成している。尚、位置決め部は、逆に、位置決め孔部17を下中央部22に設け、位置決め突部27を上中央部12に設けてもよい。
【0030】
前記取付上部11と取付下部21とを組み立てるには、左右の前記位置決め孔部17,17に位置決め突部27,27を嵌入すると共に、前記折曲げ縁部15,15の間に左右の係止突起26,26を嵌め入れると、左右の上腕部14,14が上側に反るように弾性変形して前記係止孔16に前記係止突起26が係入する。
【0031】
このように中央側における位置決め孔部17と位置決め突部27との嵌合と、左右両側における係止孔16と係止突起26との嵌合により、上,下腕部14,24の前縁14F,24Fが前後で同じ位置に位置決めされると共に、上,下腕部14,24の後縁14B,24Bが前後で同じ位置に位置決めされ、左右の上,下腕部14,24により結合部9,9が形成され、これら結合部9,9に前記ガイド部材4が回動可能に取り付けられる。また、前記結合部9には、左右方向に長い長孔10が設けられ、この長孔10は前後に開口する。
【0032】
前記上中央部12の後部には中央後部18が一体に設けられている。この中央後部18の上にスペーサである帯板31を重ね、この帯板31の上に前記基板部6の下面を重ね合わせ、前記帯板31は前記基板部6より幅狭に形成されており、それら中央後部18と帯板31と基板部6とを固定することにより、基板部6の下部両側に、内側に凹んだ係合凹部32,32が形成されている。この例では帯板31は、他の部材とは別体であるが、帯板31を基板部6または取付上部11に一体に設けてもよい。
【0033】
図7に示すように、定規杆2の他側(平行定規1の前側)において、前記基板部6と帯板31と上中央部12と下中央部22とには、上下方向の透孔6A,31A,12A,22Aをそれぞれ貫通形成し、前記基板部6の透孔6Aの上端に、上方に拡大するテーパ部6Tを形成している。また、後側において、前記基板部6と帯板31と中央後部18とには、上下方向の透孔6A,31A,18Aをそれぞれ貫通形成し、前記基板部6の透孔6Aの上端に、上方に拡大するテーパ部6Tを形成している。
【0034】
そして、定規杆2の一側(平行定規1の後側)において、径大頭部33Tを有する棒状の加締め部材33を、透孔6A,31A,12A,22Aに挿通し、他側において、加締め部材33を透孔6A,31A,18Aに挿通し、その加締め部材33の先端33Sを潰すことにより、前記基板部6と帯板31と取付上部11と取付下部21とを固定して一体化している。尚、この場合、潰された加締め部材33の先端33Sはテーパ部6Tに収納されて基板部6の上面と略面一となり、又は該上面より前記先端33Sが多少出っ張る場合もある。
【0035】
前記取付上部11は、その上中央部12の後側周囲と中央後部18の周囲に、下向きに折り曲げた中央折曲げ縁部19を設け、この中央折曲げ縁部19の下縁19Fは左右の前記折曲げ縁部15,15の下縁と略同一高さ位置にある。
【0036】
前記ガイド部材4は、左右方向に長いガイド本体41を備え、このガイド本体41は、前記被加工物102の側面104に選択的に当接する第1ガイド面42と第2ガイド面43を有し、これら第1,第2ガイド面42,43は角部44を挟んで直交して設けられている。
【0037】
図9などに示すように、前記ガイド本体41の断面形状は、薄板部48を除いて略正方形をなし、そのガイド本体41の外面には、前記第1ガイド面42に対向して該第1ガイド面42と平行な第1対向面45が設けられると共に、前記第2ガイド面43に対向して該第2ガイド面43と平行な第2対向面46が設けられている。また、第1対向面45と第2対向面46とは直交し、第1対向面45と第2対向面46との角部には略45度の面取り部47が設けられている。
【0038】
そして、それら第1ガイド面42と第1対向面45との間の距離と、第2ガイド面43と第2対向面46との間の距離とは等しく、いずれも平坦面に形成されている。また、第1,第2ガイド面42,43には、滑り止め効果のあるテープ50が貼設されている。尚、実際にはガイド本体41の貫通孔52と回動軸部53との間には隙間があり、貫通孔52に回動軸部53を遊挿している。
【0039】
前記第2対向面46と第1ガイド面42とは直交し、前記第1対向面45と第2ガイド面43とは直交する。前記第2ガイド面43は延長部43Aを有する。この延長部43Aは、第2ガイド面43と第1対向面45の角部から外側に薄板部48を延長し、この薄板部48の外面により構成されている。そして、前記延長部43Aの分だけ該第2ガイド面43の幅W2は前記第1ガイド面42の幅W1より広く形成され、使用位置で、第2ガイド面43の上端は竿板部5の略下面に位置し、第2ガイド面43により前記隙間8が塞がれる。また、前記第2ガイド面43の上縁の中央に切欠き部49を設け、この切欠き部49によりガイド部材4の回動時に該上縁が竿板部5に当接することを防止している。尚、前記切欠き部49は、前記竿板部5の左右幅に対して左右方向に長く形成されている。
【0040】
図8などに示すように、前記第1ガイド面42が前記側面104に当接する第1の回動位置(第1の使用位置)で、前記第2対向面46は前記下縁19Fと略同一高さとなり、前記第2ガイド面43が前記側面104に当接する第2の回動位置(第2の使用位置)で、前記第1ガイド面42は前記下縁19Fと略同一高さとなる。
【0041】
尚、図4図5図8(B)及び図12はガイド部材4が第1の回動位置であり、図1図2図3図8(A)はガイド部材4が第2の回動位置である。そして、第1の回動位置で、第2ガイド面43の上縁部43Fは一側に位置する。
【0042】
前記ガイド部材4を前記結合部9,9に回動可能に取付ける回動取付手段51を備える。この回動取付手段51は、図3に示すように、前記ガイド本体41の全長に貫通孔52を形成し、この貫通孔52の断面形状は略長方形をなす。また、前記貫通孔52に回動軸部53を回動自在に挿入し、図10に示すように、前記回動軸部53は断面形状が略円形で、前記貫通孔52よりも短い。さらに、前記貫通孔52の両端から位置決め部材54の本体55を挿入し、両側の位置決め部材54,54の本体55,55に挟まれることにより、前記ガイド部材4における前記回動軸部53の左右位置が位置決めされる。
【0043】
図10に示すように、前記位置決め部材54の本体55の断面形状は前記貫通孔52と略同一であり、挿入状態でガイド本体41に対して前記本体55は回り止め状態となる。また、位置決め部材54の本体55の端部には、操作部となる頭部56が設けられ、この頭部56には断面略三角形の肉厚部57が設けられ、該頭部56は前記本体55より断面が大きい。また、前記頭部56が前記ガイド本体41の端部に当接することにより、前記本体55の左右位置が位置決めされる。尚、前記肉厚部57の一面57Aは前記第2ガイド面43と面一となり、前記肉厚部57の一面57Aが第2ガイド面43の一部を構成する。
【0044】
前記回動軸部53の両側には雌螺子部58,58が設けられ、両側の雌螺子部58,58の中心軸同士は平行で前記回動軸部53の中心軸に対し直交して配置されている。前記ガイド本体41には、左右両側の前記雌螺子部58,58に対応して、周方向の開口部59,59が形成され、この開口部59は前記面取り部47と該面取り部47の両側の第1,第2対向面45,46に連続して形成されており、前記開口部59に外部から後述する雄螺子部79を挿通し、この雄螺子部79を前記雌螺子部58に螺合することができる。尚、開口部59の左右幅は前記雄螺子部79が挿通可能な幅を有し、また、開口部59の周方向の長さは、雌螺子部58に雄螺子部79を螺合した状態で、ガイド部材4が90度回動可能な長さを有する。
【0045】
前記回動軸部53の端部と前記位置決め部材54の本体55の内端部には、前記回動軸部53の回動範囲を規制する規制機構61が設けられている。図9及び図10に示すように、前記規制機構61は、前記回動軸部53の両端部に、扇形である略4分の1円形状の突起部62を設け、この突起部62は、周方向両側に略90度の角度をなす第1の回動規制部62Aと第2の回動規制部62Bとを有し、一方、前記本体55の内端部には、前記第1の回動位置で前記第1回動規制部62Aが当接し、且つ前記第2の回動位置で前記第2回動規制部62Bが当接又は近接する面状の規制基準部63が設けられている。
【0046】
従って、前記回動軸部53を回り止めとした状態で、ガイド部材4を第1の回動位置に回動すると、第1回動規制部62Aが前記規制基準部63に当接して第1の回動位置に略位置決めされ、第1の回動位置からガイド部材4を第2の回動位置に回動すると、第2回動規制部62Bが前記規制基準部63に当接して第2の回動位置に略位置決めされる。このように規制機構61は、回動軸部53の回動範囲を略90度の範囲に規制する。尚、前記雌螺子部58の中心軸は、前記第2回動規制部62Bの方向に配置されている。
【0047】
図10及び図11に示すように、前記回動軸部53の外周面には、長さ方向及び周方向に間隔を置いて長さ方向の溝部65が複数形成されている。この例では、溝部65が長さ方向に間隔を置いて4箇所設けられると共に、前記溝部65が周方向に間隔を置いて4箇所設けられている。また、前記回動軸部53の端部には、貫通孔66を直径方向に穿設すると共に、この貫通孔66と交差方向に、圧入孔67を穿設し、この圧入孔67に金属片68が圧入され、この金属片68には前記雌螺子部58が形成されている。前記金属片68は方形をなし、前記圧入孔67は前記金属片68の厚さ形状に対応した長方形形状をなす。そして、前記金属片68を前記圧入孔67に圧入等により固定した状態で、前記雌螺子部58が前記貫通孔66に連通して位置する。
【0048】
前記基板部6に対して竿板部5の上方変位を防止する上方変位防止部材91は、螺子手段71を備える。また、前記回動取付手段51は、回動位置でガイド部材4を固定する固定手段たる螺子手段71Aを備える。尚、図17等に示す螺子手段71Aは、螺子手段71に比べて直径等が小さい点と、後述するレバー部の形状が異なる点以外は同一構成であるから、螺子手段71と同一部分に同一符号を付し、その説明を省略する。図13図16などに示すように、前記螺子手段71は、螺子本体72と、ナット73と、操作体74とを有し、この操作体74は本体75とレバー部76とを一体に有する。前記螺子本体72は、工具係合部である六角溝77Kを有する頭部77と、この頭部77に一体に設けた螺子棒78とを備え、この螺子棒78の雄螺子部79にナット73が螺合されており、ナット73の外周には六角形に形成された係合部73Kが設けられている。
【0049】
前記レバー部76は螺子本体72の軸方向に対して交差方向に突出され、本体75の直径より薄く形成され、レバー部76の先端側は本体75の基端側に向かって斜めに形成されている。また、本体75の外周の基端側には隆起部75Rを周設すると共に、この隆起部75Rから前記レバー部76が突設されている。尚、前記レバー部76が斜めに形成されているのに対して、図17等に示すように、螺子手段71Aのレバー部76Aは直線状に形成され、また、前記螺子手段71Aは、螺子本体72をワッシャー98に挿通している。
【0050】
前記操作体74は合成樹脂等からなり、前記本体75は略筒状をなし、内部の先端側に仕切り部81を有し、この仕切り部81の先端に、前記ナット73の前記係合部73Kに係脱する係合受け部たる係合受け孔82が設けられ、この係合受け孔82は前記ナット73に対応して六角形に形成され、その係合受け孔82に軸方向からナット73に係脱する。また、本体75は、仕切り部81の基端側に前記螺子本体72の頭部77がスライド可能なスライド孔83が形成され、さらに、前記係合受け孔82とスライド孔83を連通する透孔84が前記仕切り部81に穿設されている。
【0051】
尚、スライド孔83は断面が円形であり、頭部77は円柱状で断面が円形である。また、係合受け孔82は、必ずしも六角形に形成する必要はなく、ナット73に係合する形状であればよく、例えば、ナット73の対向する2つの角部に係合する係合部を備えるものなどでもよい。
【0052】
そして、スライド孔83側から透孔84に螺子棒78を挿通すると共に、その螺子棒78にナット73を螺合し、且つ、螺子棒78に外装した付勢手段たるコイルスプリング85を仕切り部81と頭部77との間に配置している。図13に示す状態、即ち、頭部77の基端面が本体75の基端と略同一の位置にある状態で、コイルスプリング85は圧縮されており、このコイルスプリング85の弾性復元力により、ナット73が仕切り部81に圧接する。また、前記螺子棒78は、基端側には雄螺子部79が形成されておらず、図13に示す状態では、ナット73は雄螺子部79の基端に位置する不完全螺子部79Aに噛み合うように螺合しており、また、螺子棒78に対して操作体74を基端側に引っ張ると、コイルスプリング85が収縮して係合受け孔82からナット73が抜け、操作体74がナット73に対して非係合状態となる。
【0053】
使用においては、先ず、操作体74によりナット73を不完全螺子部79A側に回すと、ナット73が不完全螺子部79Aに部分的に螺合し、仮固定される。ここから操作体74を逆方向(捩じ込む方向)に回すと、ナット73に仮固定された螺子棒78が操作体74と一体的に回転し、雄螺子部79を上記雌螺子部58に螺入することができる。
【0054】
この状態で、後側から前記結合部9の前記長孔10に螺子棒78を挿通し、その螺子棒78の先端を前記開口部59に挿通して前記雌螺子部58に螺合する。そして、螺子手段71Aにより締め付けることにより、前縁14F,24Fに対向面45,46が正しく位置決めされ、それらガイド面42,43から同一幅W1,W1だけ離れたガイド面42,43が竿板部5の長さ方向で同一位置に正しく位置決めされる。尚、前縁14F,24Fは垂直な同一平面に位置し、後縁14B,24Bは垂直な同一平面に位置し、螺子手段71Aを締め付けると、ナット73が後縁14B,24Bに圧接する。
【0055】
また、捩じ込んで固定した状態で、レバー部76が上下に突出する場合は、操作体74を引っ張ってナット73との係合を解除し、操作体74を空転してナット73に係合することにより、レバー部76を倒した位置に収納できる。この場合、ナット73は六角であるから、レバー部76の向きを60度単位で変更することができ、レバー部76が邪魔にならない方向に向けることができる。
【0056】
そして、図12に示すように、使用時において、定規杆2の竿板部5は電動式の丸鋸101のベース板103の両立上縁部にそれぞれ形成された挿通穴部105,105に挿通され、挿通後に、蝶ボルト106を緊締することにより、定規杆2の竿板部5を丸鋸101に着脱自在に取り付けるように構成されている。尚、図12の状態で、隙間8にベース板103の端部を挿入して細幅切断を行うこともできる。また、図12中、符号101Aは丸鋸101の鋸刃である。
【0057】
前記上方変位防止部材91は、挟持部材92と、前記螺子手段71とから構成され、この例では、前記挟持部材92は竿板部5及び基板部6の幅両側に配置する一対の挟持片93,93からなる。
【0058】
前記挟持片93は、竿板部5及び基板部6の幅両側に配置する縦部94と、この縦部94の上部に設けられ幅方向内側に突設して前記竿板部5の上面に係止する上係止部95と、前記縦部94の下部に設けられ幅方向内側に突出して前記基板部6の下面に形成する下係止部96とを一体に備え、この下係止部96は前記係合凹部32に係入する。一方の前記縦部94の中心に雌螺子部94Nを穿設し、他方の前記縦部94の中心に前記螺子棒78を遊挿する透孔94Tを穿設している。尚、上係止部95は下係止部96より螺子本体72の長さ方向に長く形成されている。
【0059】
次に、上方変位防止部材91の使用方法を説明する。前記竿板部5及び基板部6を両側から挟むように挟持片93,93を配置し、他方の縦部94の透孔94Tに螺子棒78を挿通し、この螺子棒78を一方の縦部94の雌螺子部94Nに螺合する。さらに、螺子棒78を螺入すると共に、操作体74及びナット73が他方の縦部94に圧接することにより、一対の挟持片93,93により竿板部5及び基板部6が幅方向両側から挟持され、これにより竿板部5と基板部6との幅方向の位置が合わされるように規制され、且つ、上係止部95と下係止部96により竿板部5及び基板部6が上下から挟まれ、竿板部5及び基板部6の上下間隔が規制され、これにより基板部6に対する竿板部5の上方変位を防止することができる。そして、透孔94Tに螺子棒78を螺入する場合、螺子手段71を、上述した雌螺子部58に螺合する際と同様に操作する。
【0060】
そして、上述したように螺子手段71により一対の挟持片93,93を取り付けた後は、螺子棒78を外すことなく、螺子棒78を緩めれば、螺子手段71と挟持部材92を竿板部5及び基板部6の長さ方向にスライドして位置決めすることができる。即ち、被加工物102の側面104側に、前記丸鋸101を近づける場合、ベース板103を竿板部5と基板部6の間の隙間8に挿入することができ、そのベース板103の位置により挟持部材92の位置を変更する。この場合、挟持部材92をベース板103に近い位置に配置することにより、竿板部5の上方変位防止効果が向上する。
【0061】
上方変位防止部材91は取外しする必要がないから、図15に示すように、雌螺子部94Nに挿通した螺子棒78の先端に径大な抜止め部97を設けるようにしてもよい。その抜止め部97は加締めなどにより形成することができる。そして、ナット73を不完全螺子部79Aの位置より前側に位置され、ナット73を係合した状態で操作体74を回すと、雌螺子部94Nに螺合した螺子本体72は回転せずに、ナット73が回転しながら螺子棒78の先端側に移動し、そのナット73を他方の挟持片93に圧接することにより、一対の挟持片93,93の間隔を狭めるようにして固定することができる。
【0062】
尚、上述した雌螺子部58への螺合の際も、同様に螺子棒78を回転せずに、ナット73を回転しながら螺子棒78の先端側に移動して締め付けるようにしてもよい。また、ナット73を不完全螺子部79Aの位置より前側に位置される場合などに、六角溝77Kを用いて螺子本体72を操作してもよい。
【0063】
次に、被加工物102の切断方法について説明する。被加工物102の細幅切断を行う場合は、隙間8内にベース板103が挿入可能なように、上方変位防止部材91を竿板部5の一側に固定しておく。ガイド部材4を第1の回動位置に回し、螺子手段71Aを締めると、上下の前縁14F,14Fが第1対向面45に圧接し、第1ガイド面42が基準の位置(目盛り5Aの0基点)に正しく位置決めされると共に、上下の前縁14F,14Fに第1ガイド面42が平行に配置される。
【0064】
そして、第1ガイド面42を側面104に当てると共に、ベース板103を隙間8に挿入した状態で、丸鋸101により細幅切断を行うことができる。この場合、図8(B)に示すように、隙間8を開けても、ガイド部材4の下面位置が下がることがなく、ガイド部材4の下面となる第2対向面46は、取付体3の下面と略面一となるため、被加工物102の下に、上記背景技術で説明した下敷きがある場合でも、細幅切断を行うことができる。
【0065】
一方、薄板切断等を行う場合は、図8(A)に示すように、ガイド部材4を第2の回動位置に回し、螺子手段71Aを締めると、上下の前縁14F,14Fが第2対向面46に圧接し、第2ガイド面43が基準の位置に正しく位置決めされると共に、上下の前縁14F,14Fに第1ガイド面42が平行に配置される。そして、第2ガイド面43を側面104に当てた状態で、スライドして丸鋸101により薄板切断を行うことができる。このように第1の回動位置及び第2の回動位置において、前縁14F,14Fを基準として、第1及び第2ガイド面42,43が目盛り5Aの0基点に正しく位置決めされる。このように、切断用平行定規1は、細幅切断と薄板切断を行うことができ、特に、ガイド部材4が薄い定規において細幅切断と薄板切断の両方に適したものとなる。
【0066】
螺子手段71Aを緩め、ガイド部材4の固定を解除してからガイド部材4を回す際、ガイド本体41の角部に面取り部47を設けているため、螺子手段71Aを緩める量が少なく済み、その後の締付作業も容易となる。
【0067】
第2の回動位置で、竿板部5の下方の隙間8を開けないようにすると、第2ガイド面43の上縁部43Fが竿板部5と干渉してしまうが、第2ガイド面43に切欠き部49を設けたから、第2ガイド面43の端部と竿板部5が干渉することがない。即ち、図9に示すように、回動中心Sと竿板部5の下面との距離より、回動中心Sから上縁部43Fとの間の距離が長く、回転時に上縁部43Fが竿板部5に当たることを切欠き部49により防止している。
【0068】
さらに、取付体3は左右方向に長い長孔10,10を有し、これら長孔10,10に螺子手段71A,71Aの螺子本体72,72を挿通しているため、取付体3に対してガイド部材4の左右位置を調整して取り付けることができ、切欠き部49が左右方向に長く形成されているため、ガイド部材4の左右位置を変更し、この変更した位置で、図9に示すように、ガイド部材4を回動しても、竿板部5にガイド部材4の第2ガイド面43の縁部が干渉しない。尚、一般的に、切り始めのガイドを重視する使用者は、定規杆2に対してガイド部材4を切断方向前側に移動して固定し、切り終りのガイドを重視する使用者は、定規杆2に対してガイド部材4を切断方向後側に移動して固定する。また、第2の回動位置で、第2ガイド面43の上縁部43Fと竿板部5の下面の間隔は、0〜0.3mm程度であるが、竿板部5の位置に切欠き部49を設けることにより、使用時に定規杆2に対して間隔を狭める力が加わっても、竿板部5と第2ガイド面43の切欠き部49とが強く当たることがない。
【0069】
前記螺子手段71Aを螺合する雌螺子部58は、位置決め手段たる位置決め部材54により開口部59に位置決めされているから、螺子手段71Aを外しても、雌螺子部58に螺子手段71Aを容易に合わせることができる。
【0070】
前記取付体3は、中央側における位置決め孔部17と位置決め突部27との嵌合と、左右両側における係止孔16と係止突起26との嵌合により、上腕部14と下腕部24とが正しく位置決めされた状態で固定され、上腕部14と下腕部24は金属などの硬質部材の帯板からなるから、強度的に優れ、螺子手段71Aを必要以上に強く締めても変形することがなく、ガイド部材4を正しい位置に位置決め固定することができる。
【0071】
前記螺子本体72にナット73を螺合し、螺子本体72に対し進退してナット73に係脱可能な操作体74を備え、操作体74にレバー部76を設けたから、ナット73に操作体74を係合した状態で操作体74を回して締め付け、取付体3にガイド部材4を固定した後、螺子本体72に対して操作体74を進退することにより、ナット73との係合を解除し、操作体74を回し、レバー部76の向きを変えることができる。これによりレバー部76の位置を任意の位置に納めることができる。これにより、例えば図1及び図2などに示すように、レバー部76を横向きにすることにより、丸鋸101,被加工物102やこの被加工物102の下に配置した上記下敷きとの干渉を避けることができる。
【0072】
このように本実施例では、請求項1に対応して、丸鋸101に着脱自在に取り付けられ、鋸刃101Aの進行方向と直交する方向に配置される定規杆2と、該定規杆2の長さ方向一側に設けられ、被加工物102の側面104に当接する鋸刃101Aの進行方向と平行なガイド面42,43を有するガイド部材4とを備え、定規杆2は、丸鋸101に取り付けられ被加工物102の上方に配置される竿板部5と、被加工物102の側方にして竿板部5の下側に配置された基板部6と、それら竿板部5と基板部6との間に設けられ長さ方向他側が開口する隙間8とを有する切断用平行定規1において、基板部6の長さ方向他側に、該長さ方向の回動中心Sを中心にしてガイド部材4を回動可能に設け、前記ガイド部材4は、第1の回動位置で被加工物102の側面104に当接すると共に隙間8を開放する第1ガイド面42と、第1ガイド面42と交差方向に設けられ、第2の回動位置で被加工物102の側面104に当接すると共に隙間8の他側の開口を塞ぐ第2ガイド面43とを有するから、第1の回動位置で第1ガイド面42を被加工物102の側面104に当て、隙間8に丸鋸101のベース板103を挿入し、細幅切断を行うことができ、第2の回動位置で第2ガイド面43を被加工物102の側面104に当接して隙間8を塞ぐことにより、薄板切断等を行うことができる。
【0073】
このように本実施例では、請求項2に対応して、第1ガイド面42と第2ガイド面43は回動中心Sからの距離が等しいから、第1の回動位置での第1ガイド面42と第2の回動位置での第2ガイド面43の竿板部5の長さ方向に対する位置が一定となる。
【0074】
このように本実施例では、請求項3に対応して、ガイド部材4は、第1ガイド面42と平行で対向する第1対向面45と、第2ガイド面43と平行で対向する第2対向面46とを有し、第1対向面45と第2対向面46は回動中心Sからの距離が等しいから、第1の回動位置で下になる第2対向面46と、第2の回動位置で下になる第1ガイド面42との高さ位置が同一となり、第1及び第2の回動位置でガイド部材4の下部の高さ位置が同一となる。
【0075】
このように本実施例では、請求項4に対応して、前記第1対向面45と前記第2対向面46の間の角部に面取り部47を設けたから、ガイド部材4の回動操作を円滑に行うことができる。
【0076】
このように本実施例では、請求項5に対応して、基板部6にガイド部材4を定規杆2の幅方向に移動可能に設け、第2の回動位置における第2ガイド面43の上縁部43Fに前記幅方向に長い切欠き部49を設けたから、第2の回動位置で、ガイド部材4の前後位置を変えても、さらに、ガイド部材4を回転させても、切欠き部49により第2ガイド面43の上縁部43Fが竿板部5に干渉することがない。
【0077】
このように本実施例では、請求項6に対応して、基板部6に、ガイド部材4を取り付ける取付体3を設け、この取付体3は、上下の帯板である上,下腕部14,24の間に竿板部5の幅方向に長い長孔10を有し、取付体3にガイド部材4を固定する固定手段たる螺子手段71Aを備え、この螺子手段71Aは、長孔10に挿通すると共にガイド部材4に螺合する螺子本体72を有するから、上下の帯板により長孔10を構成することにより、螺子手段71Aをガイド部材4に強く螺合しても上下の帯板が変形せず、ガイド部材4を固定することができる。
【0078】
以下、実施例上の効果として、基板部6に、ガイド部材4を取り付ける取付体3を設け、ガイド部材4内に回動軸部53を回動自在に設け、この回動軸部53に雌螺子部58を設け、ガイド部材4に雌螺子部58と外部とを連通する開口部59を設け、ガイド部材4に、雌螺子部58を開口部59に位置決めする位置決め部材54を設け、外部から雌螺子部58に螺合して取付体3にガイド部材4を固定する固定手段たる螺子手段71Aを備えるから、ガイド部材4の定規杆2の幅方向の位置(ガイド部材4の前後位置)が位置決めされているため、雌螺子部58への螺子手段71Aの位置合わせが容易となる。
【0079】
尚、本発明は、本実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、面取り部はR形状でもよい。また、規制機構は、実施例とは逆に、突起部62を本体55の端部に設けると共に、規制基準部63を回動中心軸の端部に設けてもよい。さらに、固定手段は、雌螺子部に螺合し、例えばレバーを90度回動するオン・オフ操作により固定するクランプタイプのものでもよい。また、第2の回動位置で、第2ガイド面は隙間の高さ方向全長を塞ぐ必要はなく、細板が入らない程度の隙間を塞げばよい。さらに、上下の帯板である上,下腕部の間に長孔10を設けたが、縦方向に板材に長孔10を穿設してもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 切断用平行定規
2 定規杆
3 取付体
4 ガイド部材
5 竿板部
6 基板部
8 隙間
10 長孔
14 上腕部(帯板)
24 下腕部(帯板)
41 ガイド本体
42 第1ガイド面
43 第2ガイド面
45 第1対向面
46 第2対向面
47 面取り部
49 切欠き部
59 開口部
71A 螺子手段(固定手段)
72 螺子本体
101 丸鋸
101A 鋸刃
102 被加工物
104 側面
S 回動中心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17