(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6578270
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
F21V 29/503 20150101AFI20190909BHJP
F21S 8/08 20060101ALI20190909BHJP
F21V 5/00 20180101ALI20190909BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20190909BHJP
F21V 29/508 20150101ALI20190909BHJP
F21V 29/70 20150101ALI20190909BHJP
F21Y 105/10 20160101ALN20190909BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20190909BHJP
F21Y 115/15 20160101ALN20190909BHJP
【FI】
F21V29/503
F21S8/08 200
F21V5/00 510
F21V23/00 150
F21V29/508
F21V29/70
F21Y105:10
F21Y115:10
F21Y115:15
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-252167(P2016-252167)
(22)【出願日】2016年12月27日
(62)【分割の表示】特願2016-15767(P2016-15767)の分割
【原出願日】2011年9月27日
(65)【公開番号】特開2017-84810(P2017-84810A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2016年12月27日
【審判番号】不服2018-8461(P2018-8461/J1)
【審判請求日】2018年6月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古閑 隆一
(72)【発明者】
【氏名】戸田 雅宏
(72)【発明者】
【氏名】高橋 浩司
【合議体】
【審判長】
島田 信一
【審判官】
出口 昌哉
【審判官】
中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−99627(JP,A)
【文献】
特開2004−55800(JP,A)
【文献】
特開2009−277552(JP,A)
【文献】
特開2007−5058(JP,A)
【文献】
特開2011−175863(JP,A)
【文献】
特開2003−281908(JP,A)
【文献】
特開2010−67367(JP,A)
【文献】
特開2004−241729(JP,A)
【文献】
特開2004−241509(JP,A)
【文献】
特開2011−76881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 29/503
F21S 8/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面に設けられる複数のボスと、内面に設けられ上端部が前記ボスの上端部よりも上側に突出する複数のリブを有し、上側に開口を有し、下側に底面を有する箱状に形成された金属製の器具本体と;
前記リブの上端部に接触する金属製の放熱板に載置され、複数の発光素子が実装されている略長方形の第1の基板と;
前記複数の発光素子を点灯させるための回路部品を実装した略長方形の第2の基板と:
透光性樹脂からなり、前記器具本体に取り付けられるカバーと;
を具備し、
前記第1の基板は、長手方向及び短手方向の長さが、それぞれ、前記第2の基板の長手方向及び短手方向の長さよりも長く、前記第2の基板よりも面積が広い基板であり、前記金属製の放熱板を介して前記複数のリブに載置されることで、前記第2の基板よりも前記上側の前記器具本体内に固定され、
前記第2の基板は、絶縁部材の仕切板を介して、前記複数のボスを用いて固定されることにより、前記第1の基板よりも前記下側の前記器具本体内に固定されており、
前記第1の基板の短手方向における前記複数のリブ同士の距離および前記第1の基板の短手方向の距離は、前記第1の基板の短手方向における前記複数のボス同士の距離よりも長いことを特徴とする照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、光源としてLED等の発光素子を用い、その発光素子の放熱性を向上できる照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
LED等の発光素子を用いた街路灯が存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−188685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように発光素子としてLEDを用いる場合に、街路灯のケースの内部に熱が籠もることがあり、放熱性の向上に関するニーズが存在していた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の照明器具は、内面に設けられる複数のボスと、内面に設けられ上端部が前記ボスの上端部よりも
上側に突出する複数のリブを有し、
上側に開口を有し、下側に底面を有する箱状に形成された金属製の器具本体と;前記リブの上端部に接触する金属製の放熱板に載置され
、複数の発光素子が実装されている略長方形の第1の基板と;前記複数
の発光素子を点灯させるための回路部品を実装した略長方形の第2の基板と:透光性樹脂からなり、前記器具本体に取り付けられるカバーと;を具備し、前記第1の基板は、長手方向
及び短手方向の長さが
、それぞれ、前記第2の基板の長手方向
及び短手方向の長さよりも長く、前記第2の基板よりも面積が広い基板であり、前記金属製の放熱板を介して前記複数のリブに載置されることで、前記第2
の基板よりも前記
上側の前記
器具本体内に固定され、前記第2の基板は、絶縁部材の仕切
板を介して、前記複数のボスを用いて固定されることにより、前記第1の基板よりも前記
下側の前記
器具本体
内に固定されており、前記
第1の基板の短手方向における前記複数のリブ同士の距離および前記第1の基板の短手方向の距離は、
前記第1の基板の短手方向における前記
複数のボス同士の距離よりも長いことを特徴とす
る。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、第1の基板および第2の基板における放熱性の向上が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係る照明器具を、下面側を上方に向けて示した斜視図である。
【
図2】
図1に示す照明器具を分解して示す斜視図である。
【
図3】
図1に示す照明器具を上方から透視して内部を示した上面図である。
【
図4】
図3に示す照明器具のF4−F4線に沿った断面図である。
【
図5】
図4に示す照明器具の放熱経路を模式的に示した断面図である。
【
図6】
図1に示す照明器具の第2の基板および仕切板を分解して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施形態に係る照明器具について、
図1から
図6を参照して説明する。本実施形態の照明器具(照明装置)は、主として屋外で使用されるいわゆる街路灯(防犯灯)である。
【0009】
図1から
図4に示すように、照明器具11は、本体部(器具本体)12、カバー13、12と連続的に設けられるとともに12を屋外の柱等に取り付けるための取付部16と、を備える。さらに、照明器具11は、12の内部空間14に設けられる第1の基板17と、第2の基板18と、第2の基板18を本体部(器具本体)12から分離された位置に支持して本体部12に取り付ける支持部21を有し、第1の基板17の裏面(他方の面31B)に密着して設けられるレンズ23と、を備える。さらに、照明器具11は、本体部12とカバー13との間に介在されるリング状のパッキン24と、外界の光を感知するセンサ(照度センサ)25と、センサ25を覆うセンサカバー26と、センサ25のノイズを防止するためのコンデンサ42と、を備えている。
【0010】
第1の基板(プリント回路板)17は、一方の面31Aとそれとは反対側の他方の面31Bとを有する基板本体31と、基板本体31の一方の面31Aに実装された複数の発光素子32と、を含んでいる。発光素子32のそれぞれは、例えばLEDで構成されている。また、発光素子32としては、有機EL素子等の固体発光素子なども適用できる。第1の基板17の発熱量は、照明器具11全体の発熱量のうちの概ね8割〜9割程度を占めている。
【0011】
第2の基板(プリント回路板)18は、複数の発光素子32を点灯させるための複数の回路部品33および回路を含んでいる。
図4に示すように、第2の基板18は、支持部21によって本体部12から分離された位置(浮いた位置)で支持されている。第2の基板18は、後述する仕切板36からも分離された位置に支持されている。第2の基板18は、12の外部にある電源と接続されている。また、第2の基板18は、センサ25と接続されており、センサ25を介して昼間に外界の光を感知した際(例えば、外界の照度があるしきい値以上の場合)には発光素子32を消灯させる。また、第2の基板18は、外界の光をセンサ25で感知できない夜間(例えば、外界の照度があるしきい値以下の場合)には発光素子32を点灯させる。第2の基板18の発熱量は、照明器具11全体の発熱量のうちの概ね1割から2割程度を占めている。
【0012】
図2、
図4に示すように放熱板22は、金属、例えば鉄によって長円形の板状に形成されている。放熱板22は、後述するリブ34および縁部39を介して本体部12と熱的に接続されている。
図2に示すように、レンズ23は、透光性のある樹脂材料によって方形板状に一体成形されている。
図4等に示すように、レンズ23は、発光素子32に対応する位置に複数の凹部23Aおよび複数の凸部23Bを有しており、発光素子32からの光を所望の角度に案内して、照明器具11の配光を制御する。
【0013】
図4等に示すように、本体部12は、金属、例えばアルミダイカストによって段付きの箱状に成形されている。本体部12は、
図6に示すように、その両側面で、内部空間14の後述する第1の部分14Aに対応する位置に、複数のリブ34を有している。
図4、
図6に示すように、複数のリブ34のそれぞれは、本体部12の内面から突出して設けられており、放熱板22の1つの面と接触している。本体部12は、リブ34によって、放熱板22との接触面積を多くして良好な熱伝導性を確保しつつ、本体部12の極端な重量増加を抑制している。
図4に示すように、第1の基板17は、放熱板22およびリブ34を介して12と熱的に接続されている。
【0014】
図1、
図2に示すように、カバー13は、透光性のある樹脂材料によって半球状に成形されている。カバー13は、ねじ35等の固定部材によって本体部12に固定されている。
図4に示すように、内部空間14は、第1の基板17および放熱板22が設けられた第1の部分14Aと、第2の基板18が設けられた第2の部分14Bと、を含んでいる。
【0015】
支持部21は、内部空間14を第1の部分14Aと第2の部分14Bとに仕切る仕切板36と、第2の基板18を仕切板36に固定するためのロッキングサポート37と、を含んでいる。
図4、
図6に示すように、仕切板36は、第1の基板17と第2の基板18との間の位置に設けられており、本体部12から突出した計4個のボス38に対して第2のねじ41等で固定されている。仕切板36は、例えば合成樹脂材料によって方形の板状に形成されており、第2の基板18を固定的に支持している。仕切板36は、内部空間を第1の部分14Aと第2の部分14Bとに仕切るだけでなく、第2の基板18を12から絶縁して落雷等に起因した第2の基板18の故障を防ぐ役割も果たしている。
【0016】
ロッキングサポート37は、樹脂材料、例えばナイロン等によって成形されている。ロッキングサポート37は、一対の返し部37Aを有しており、この返し部37Aの間に第2の基板18を挟みこんでこれを保持することができる。第2の基板18は、仕切板36およびロッキングサポート37によって、内部空間14の第2の部分14B内に固定的に保持される。このように、本実施形態の照明器具11では、第2の基板18が発光素子32などの発熱部品から可能な限り熱的に隔離された構造を採用している。
【0017】
続いて、
図5を参照して、本実施形態の照明器具の放熱経路について説明する。第2の基板18から発光素子32に電力を供給すると、発光素子32が発光するとともに、発光素子32において熱が発生する。この発光素子32で生じた熱は、主として放熱板22に伝達され、放熱板22から例えばリブ34や本体部12の縁部39を介して本体部12側に伝達される。発光素子32からの熱は、主として本体部12のうち、第1の部分14Aに対応する部分から外界に向けて放出される。このため、発光素子32からの熱が第2の基板18側に伝達されにくくなっている。一方、第2の基板18から発生した熱は、内部空間14(第2の部分14B)中の空気を介して本体部12に伝達される。このとき、第2の基板18からの熱は、本体部12のうち、第2の部分14Bに対応する部分から外界に向けて放出される。このため、第2の基板18からの熱が発光素子32側に伝えられにくい構造となっている。
【0018】
第1の実施形態によれば、照明器具11は、内部空間14を有する本体部12と、一方の面31Aに複数の発光素子32が設けられ、本体部12と熱的に接続されて内部空間14に設けられる第1の基板17と、内部空間14に設けられ、発光素子32を点灯させる第2の基板18と、第2の基板18を本体部12から分離された位置に支持する支持部21と、を備える。この構成によれば、第1の基板17からの熱は本体部12側に積極的に伝えられ、第2の基板18側に伝達されにくくすることができる。同様に、第2の基板18からの熱が本体部12に伝達されにくくなり、当該熱が本体部12を介して第1の基板17側に伝達されにくくすることができる。これらによって、第1の基板17と第2の基板18との間で、互いに熱的な悪影響を及ぼし合うことを防止することができる。
【0019】
また、第1の基板17の一方の面31Aとは反対側の他方の面31Bに密着して設けられるとともに本体部12と熱的に接続される放熱板22を備える。この構成によれば、発光素子32からの熱を効率よく本体部12側に伝達させることができる。これによって、発光素子32の熱が第2の基板18側に伝達されることを防ぎ、第2の基板18に熱暴走や異常動作を生じてしまうことを防止することができる。
【0020】
支持部21は、仕切板36を含み、この仕切板36は、第1の基板17と第2の基板18との間の位置に設けられ、内部空間14を第1の基板17のある第1の部分14Aと第2の基板18のある第2の部分14Bとに仕切る。この構成によれば、仕切板36によって内部空間14を二つの部分に分けることができ、発光素子32から本体部12に向かう熱の伝達経路と、第2の基板18から空気を介して本体部12に向かう熱の伝達経路と、を互いに分離することができる。これによって、発光素子32の熱が第2の基板18側に伝達されたり、第2の基板18からの熱が第1の基板17側に伝達されたりすることが極力防止され、第1の基板17と第2の基板18との間で熱的な分離性をより一層向上できる。
【0021】
また、照明器具11は、本体部12の内面から突出して設けられ放熱板22と接触する複数のリブ34を備える。この構成によれば、放熱板22と本体部12との間の接触面積を増加させて、放熱板22から本体部12に向かう熱の伝導効率を向上することができる。これによって、発光素子32からの熱を効率よく本体部12側に伝達し、発光素子32からの熱の放熱性を向上することができる。また、本体部12における重量の増加を最小限にすることができる。
【0022】
この場合、リブ34は、第1の部分14Aに設けられる。この構成によれば、リブ34によって発光素子32から本体部12に向かう熱の伝達効率を向上しつつ、発光素子32からの熱がリブ34を伝って第2の部分14Bにある第2の基板18に伝達されることを防止できる。
【0023】
以上に本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0024】
11…照明器具、14…内部空間、14A…第1の部分、14B…第2の部分、17…第1の基板、18…第2の基板、21…支持部、22…放熱板、31A…一方の面、31B…他方の面、32…発光素子、34…リブ、36…仕切板