特許第6578295号(P6578295)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6578295積層構造体、ドライフィルムおよびフレキシブルプリント配線板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6578295
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】積層構造体、ドライフィルムおよびフレキシブルプリント配線板
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/11 20060101AFI20190909BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20190909BHJP
   G03F 7/028 20060101ALI20190909BHJP
   H05K 3/28 20060101ALI20190909BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20190909BHJP
【FI】
   G03F7/11 503
   G03F7/004 512
   G03F7/004 501
   G03F7/004 502
   G03F7/028
   H05K3/28 F
   H05K3/28 D
   H05K1/03 670Z
   H05K1/03 630D
【請求項の数】5
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-554131(P2016-554131)
(86)(22)【出願日】2015年10月16日
(86)【国際出願番号】JP2015079291
(87)【国際公開番号】WO2016060237
(87)【国際公開日】20160421
【審査請求日】2017年1月19日
(31)【優先権主張番号】特願2014-211634(P2014-211634)
(32)【優先日】2014年10月16日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】310024066
【氏名又は名称】太陽インキ製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 一郎
(72)【発明者】
【氏名】宮部 英和
(72)【発明者】
【氏名】林 亮
(72)【発明者】
【氏名】小田桐 悠斗
(72)【発明者】
【氏名】小池 直之
【審査官】 川口 真隆
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/099885(WO,A1)
【文献】 特開2010−238704(JP,A)
【文献】 特開2009−048170(JP,A)
【文献】 特開2007−310201(JP,A)
【文献】 特開2010−204174(JP,A)
【文献】 特開2004−145013(JP,A)
【文献】 特開2004−140313(JP,A)
【文献】 特開2010−032743(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/171888(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/094606(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/11
G03F 7/004
G03F 7/028
H05K 1/03
H05K 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂層(A)と、該樹脂層(A)を介してフレキシブルプリント配線板に積層される樹脂層(B)と、を有する積層構造体であって、
前記樹脂層(B)が、アルカリ溶解性樹脂と、光塩基発生剤としての機能も有する光重合開始剤と、熱反応性化合物とを含む感光性熱硬化性樹脂組成物からなり、かつ、
前記樹脂層(A)が、アルカリ溶解性樹脂と、エチレン性不飽和結合を有する化合物と、熱反応性化合物と、さらに重合禁止剤とを含み、光重合開始剤を含まないアルカリ現像型樹脂組成物からなり、
前記重合禁止剤の配合量が、前記樹脂層(A)に含まれるアルカリ溶解性樹脂100質量部に対して0.05〜100質量部であることを特徴とする積層構造体。
【請求項2】
フレキシブルプリント配線板の屈曲部および非屈曲部のうちの少なくともいずれか一方に用いられる請求項1記載の積層構造体。
【請求項3】
フレキシブルプリント配線板のカバーレイ、ソルダーレジストおよび層間絶縁材料のうちの少なくともいずれか1つの用途に用いられる請求項1記載の積層構造体。
【請求項4】
請求項1記載の積層構造体の少なくとも片面が、フィルムで支持または保護されていることを特徴とするドライフィルム。
【請求項5】
フレキシブルプリント配線板上に請求項1記載の積層構造体の層を形成し、光照射によりパターニングし、現像液にてパターンを一括して形成してなる絶縁膜を有することを特徴とするフレキシブルプリント配線板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルプリント配線板の絶縁膜として有用な積層構造体、ドライフィルムおよびフレキシブルプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンやタブレット端末の普及による電子機器の小型薄型化により、回路基板の小スペース化が必要となってきている。そのため、折り曲げて収納できるフレキシブルプリント配線板の用途が拡大し、フレキシブルプリント配線板についても、これまで以上に高い信頼性を有するものが求められている。
【0003】
これに対し現在、フレキシブルプリント配線板の絶縁信頼性を確保するための絶縁膜として、折り曲げ部(屈曲部)には、耐熱性および屈曲性などの機械的特性に優れたポリイミドをベースとしたカバーレイを用い(例えば、特許文献1,2参照)、実装部(非屈曲部)には、電気絶縁性やはんだ耐熱性などに優れ微細加工が可能な感光性樹脂組成物を用いた混載プロセスが広く採用されている。
【0004】
すなわち、ポリイミドをベースとしたカバーレイは、金型打ち抜きによる加工を必要とするため、微細配線には不向きである。そのため、微細配線が必要となるチップ実装部には、フォトリソグラフィーによる加工ができるアルカリ現像型の感光性樹脂組成物(ソルダーレジスト)を部分的に併用する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭62−263692号公報
【特許文献2】特開昭63−110224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、従来のフレキシブルプリント配線板の製造工程では、カバーレイを張り合わせる工程とソルダーレジストを形成する工程の混載プロセスを採用せざるを得ず、コスト性と作業性に劣るという問題があった。
【0007】
これに対し、従来、ソルダーレジストとしての絶縁膜またはカバーレイとしての絶縁膜を、フレキシブルプリント配線板のソルダーレジストおよびカバーレイとして適用することが検討されているが、双方の要求性能を十分満足できる材料は、未だ実用化には至っていなかった。
【0008】
そこで本発明の目的は、屈曲性に優れ、フレキシブルプリント配線板の絶縁膜、特に折り曲げ部(屈曲部)と実装部(非屈曲部)との一括形成プロセスに適した積層構造体、ドライフィルム、および、その硬化物を保護膜、例えば、カバーレイまたはソルダーレジストとして有するフレキシブルプリント配線板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の積層構造体は、樹脂層(A)と、該樹脂層(A)を介してフレキシブルプリント配線板に積層される樹脂層(B)と、を有する積層構造体であって、前記樹脂層(B)が、アルカリ溶解性樹脂と光重合開始剤と熱反応性化合物とを含む感光性熱硬化性樹脂組成物からなり、かつ、前記樹脂層(A)が、アルカリ溶解性樹脂と熱反応性化合物とを含み、光重合開始剤を含まないアルカリ現像型樹脂組成物からなることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の積層構造体においては、前記樹脂層(A)が、さらに重合禁止剤を含む樹脂組成物からなることが好ましい。
【0011】
本発明の積層構造体は、フレキシブルプリント配線板の屈曲部および非屈曲部のうちの少なくともいずれか一方に用いることができ、また、フレキシブルプリント配線板のカバーレイ、ソルダーレジストおよび層間絶縁材料のうちの少なくともいずれか1つの用途に用いることができる。
【0012】
また、本発明のドライフィルムは、上記本発明の積層構造体の少なくとも片面が、フィルムで支持または保護されていることを特徴とするものである。
【0013】
さらに、本発明のフレキシブルプリント配線板は、フレキシブルプリント配線板上に上記本発明の積層構造体の層を形成し、光照射によりパターニングし、現像液にてパターンを一括して形成してなる絶縁膜を有することを特徴とするものである。
【0014】
ここで、本発明のフレキシブルプリント配線板は、本発明に係る積層構造体を使用せずに、樹脂層(A)と樹脂層(B)を順次に形成し、その後に、光照射によりパターニングし、現像液にてパターンを一括して形成してもよい。なお、本発明において「パターン」とはパターン状の硬化物、すなわち絶縁膜を意味する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、屈曲性に優れ、フレキシブルプリント配線板の絶縁膜、特に折り曲げ部(屈曲部)と実装部(非屈曲部)との一括形成プロセスに適した積層構造体、ドライフィルム、および、その硬化物を保護膜、例えば、カバーレイまたはソルダーレジストとして有するフレキシブルプリント配線板を実現することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明のフレキシブルプリント配線板の製造方法の一例を模式的に示す工程図である。
図2】本発明のフレキシブルプリント配線板の製造方法の他の例を模式的に示す工程図である。
図3】実施例で得られた開口形状を示す写真図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について詳述する。
(積層構造体)
本発明の積層構造体は、樹脂層(A)と、樹脂層(A)を介してフレキシブルプリント配線板に積層される樹脂層(B)と、を有しており、樹脂層(B)が、アルカリ溶解性樹脂と光重合開始剤と熱反応性化合物とを含む感光性熱硬化性樹脂組成物からなるとともに、樹脂層(A)がアルカリ溶解性樹脂と熱反応性化合物とを含み、光重合開始剤を含まないアルカリ現像型樹脂組成物からなるものである。
【0018】
このような本発明の積層構造体は、フレキシブル基板に銅回路が形成されたフレキシブルプリント配線板上に、樹脂層(A)と樹脂層(B)とを順に有し、上層側の樹脂層(B)が光照射によりパターニングが可能な感光性熱硬化性樹脂組成物からなり、かつ、樹脂層(B)と樹脂層(A)とが現像によりパターンを一括形成することが可能なものである。
【0019】
このような本発明の積層構造体において、プリント配線板側の樹脂層(A)は、光重合開始剤を含まないために単層ではパターニングが不可能であるが、露光時には、その上層の樹脂層(B)に含まれる光重合開始剤から発生したラジカル等の活性種が直下の樹脂層(A)に拡散することで、両層は同時にパターニングすることが可能となる。特に、PEB(POST EXPOSURE BAKE)工程を含むプリント配線板の製造方法では、上記活性種の熱拡散により、その効果が顕著であった。
一方で、プリント配線基板側の樹脂層(A)に光重合開始剤が含まれる場合には、光重合開始剤自体が光を吸収する特性を有することから、深部に向かうほど光重合開始剤の重合開始能が低下し、深部の光反応性が低下してしまうことによりアンダーカットとなる傾向にあり、高精細なパターン形成が困難であったが、本発明の積層構造体における上層の樹脂層(B)からの活性種の拡散の影響により、かかる問題も改善できるものと本発明者らは考えた。しかしながら、上記活性種の拡散があるにも関わらず、この光重合開始剤との相互作用により依然として深部の光反応性(深部硬化性)が悪く、アンダーカットを生じるという問題があった。
したがって、本発明の積層構造体の構成では、樹脂層(A)が光重合開始剤を含まないことが必要であり、その結果、アンダーカットのない深部硬化性に優れるパターン形成が可能となる。
また、本願発明のような積層構造体では、理由は明らかではないが、上記活性種の拡散が、界面の影響により露光部以外にも生じるために開口形状が閉じ気味になる等、樹脂層(A)と樹脂層(B)の界面近傍でいわゆるハレーションが起こりやすいという新たな問題があった。この問題は特にPEB工程において顕著であった。この点、本発明の積層構造体では、樹脂層(A)を構成する組成物にさらに重合禁止剤を配合することにより、意外にもこのハレーションを防止して、開口形状の安定化と、良好な深部硬化性とを両立することができる解像性に優れた高精細なパターンを形成することが可能となるものである。
【0020】
[樹脂層(A)]
(樹脂層(A)を構成するアルカリ現像型樹脂組成物)
樹脂層(A)を構成するアルカリ現像型樹脂組成物としては、フェノール性水酸基、カルボキシル基のうち1種以上の官能基を含有し、アルカリ溶液で現像可能なアルカリ溶解性樹脂と、熱反応性化合物とを含み、光重合開始剤を含まない組成物であればよい。上記アルカリ溶解性樹脂としては、例えば、フェノール性水酸基を有する化合物、カルボキシル基を有する化合物、フェノール性水酸基およびカルボキシル基を有する化合物が挙げられ、公知慣用のものが用いられる。
【0021】
特にカルボキシル基を有する化合物を含む、従来からソルダーレジスト組成物として用いられている、カルボキシル基含有樹脂またはカルボキシル基含有感光性樹脂と、エチレン性不飽和結合を有する化合物と、熱反応性化合物を含み、光重合開始剤を含まない樹脂組成物が挙げられる。
【0022】
ここで、カルボキシル基含有樹脂またはカルボキシル基含有感光性樹脂、および、エチレン性不飽和結合を有する化合物としては、公知慣用の化合物が用いられ、また、熱反応性化合物としては、環状(チオ)エーテル基などの熱による硬化反応が可能な官能基を有する公知慣用の化合物が用いられる。
【0023】
樹脂層(A)を構成するアルカリ現像型樹脂組成物には、さらに重合禁止剤を配合することが好ましい。この重合禁止剤の配合により、露光の影響を最小限に抑えて、PEB工程における熱の影響を抑制し、開口形状を安定化させることが可能となる。また、この場合、深部における硬化不良の問題を生ずることもない。よって、樹脂層(A)を構成するアルカリ現像型樹脂組成物に重合禁止剤を配合することで、開口形状の安定化と良好な深部硬化性とを両立することができる。
【0024】
この重合禁止剤としては、公知慣用の重合禁止剤を用いることができる。重合禁止剤としては、フェノチアジン、ヒドロキノン、N−フェニルナフチルアミン、クロラニール、ピロガロール、ベンゾキノン、t−ブチルカテコール、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、tert−ブチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、ピロガロール、ナフトキノン、4−メトキシ−1−ナフトール、2−ヒドロキシ1,4−ナフトキノン、フェノール性水酸基を有するリン含有化合物、ニトロソアミン系化合物等が挙げられる。これらの重合禁止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0025】
この重合禁止剤の配合量は、アルカリ溶解性樹脂100質量部に対して、好適には0.01〜100質量部であり、より好適には0.03〜50質量部である。重合禁止剤の配合量を上記範囲とすることで、ハレーションを防止することができ、好ましい。
【0026】
[樹脂層(B)]
(樹脂層(B)を構成する感光性熱硬化性樹脂組成物)
樹脂層(B)を構成する感光性熱硬化性樹脂組成物は、アルカリ溶解性樹脂と、光重合開始剤と、熱反応性化合物とを含むものである。このうちアルカリ溶解性樹脂としては、上記樹脂層(A)と同様の公知慣用のものを用いることができるが、耐屈曲性、耐熱性などの特性により優れるイミド環を有するアルカリ溶解性樹脂を好適に用いることができる。また、熱反応性化合物としては、上記樹脂層(A)と同様の公知慣用のものを用いることができる。
【0027】
(イミド環を有するアルカリ溶解性樹脂)
本発明において、イミド環を有するアルカリ溶解性樹脂は、フェノール性水酸基、カルボキシル基のうち1種以上のアルカリ溶解性基と、イミド環とを有するものである。このアルカリ溶解性樹脂へのイミド環の導入には公知慣用の手法を用いることができる。例えば、カルボン酸無水物成分とアミン成分および/またはイソシアネート成分とを反応させて得られる樹脂が挙げられる。イミド化は、熱イミド化で行っても、化学イミド化で行ってもよく、またこれらを併用して実施することができる。
【0028】
ここで、カルボン酸無水物成分としては、テトラカルボン酸無水物やトリカルボン酸無水物などが挙げられるが、これらの酸無水物に限定されるものではなく、アミノ基やイソシアネート基と反応する酸無水物基およびカルボキシル基を有する化合物であれば、その誘導体を含め用いることができる。また、これらのカルボン酸無水物成分は、単独でまたは組み合わせて使用してもよい。
【0029】
アミン成分としては、脂肪族ジアミンや芳香族ジアミンなどのジアミン、脂肪族ポリエーテルアミンなどの多価アミン、カルボン酸を有するジアミン、フェノール性水酸基を有するジアミンなどを用いることができるが、これらのアミンに限定されるものではない。また、これらのアミン成分は、単独でまたは組み合わせて使用してもよい。
【0030】
イソシアネート成分としては、芳香族ジイソシアネートおよびその異性体や多量体、脂肪族ジイソシアネート類、脂環式ジイソシアネート類およびその異性体などのジイソシアネートやその他汎用のジイソシアネート類を用いることができるが、これらのイソシアネートに限定されるものではない。また、これらのイソシアネート成分は、単独でまたは組み合わせて使用してもよい。
【0031】
以上説明したようなイミド環を有するアルカリ溶解性樹脂は、アミド結合を有していてもよい。これはカルボキシル基を有するイミド化物とイソシアネートとカルボン酸無水物とを反応させて得られるポリアミドイミドであってもよく、それ以外の反応によるものでもよい。さらにその他の付加および縮合からなる結合を有していてもよい。
【0032】
このようなアルカリ溶解性基とイミド環とを有するアルカリ溶解性樹脂の合成においては、公知慣用の有機溶剤を用いることができる。かかる有機溶媒としては、原料であるカルボン酸無水物類、アミン類、イソシアネート類と反応せず、かつこれら原料が溶解する溶媒であれば問題はなく、特にその構造は限定されない。特に、原料の溶解性が高いことから、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン等の非プロトン性溶媒が好ましい。
【0033】
以上説明したようなフェノール性水酸基、カルボキシル基のうち1種以上のアルカリ溶解性基とイミド環を有するアルカリ溶解性樹脂は、フォトリソグラフィー工程に対応するために、その酸価が20〜200mgKOH/gであることが好ましく、より好適には60〜150mgKOH/gであることが好ましい。この酸価が20mgKOH/g以上の場合、アルカリに対する溶解性が増加し、現像性が良好となり、さらには、光照射後の熱硬化成分との架橋度が高くなるため、十分な現像コントラストを得ることができる。また、この酸価が200mgKOH/g以下の場合には、特に、後述する光照射後のPEB(POST EXPOSURE BAKE)工程でのいわゆる熱かぶりを抑制でき、プロセスマージンが大きくなる。
【0034】
また、このアルカリ溶解性樹脂の分子量は、現像性と硬化塗膜特性を考慮すると、質量平均分子量1,000〜100,000が好ましく、さらに2,000〜50,000がより好ましい。この分子量が1,000以上の場合、露光・PEB後に十分な耐現像性と硬化物性を得ることができる。また、分子量が100,000以下の場合、アルカリ溶解性が増加し、現像性が向上する。
【0035】
(光重合開始剤)
樹脂層(B)において用いる光重合開始剤としては、公知慣用のものを用いることができ、例えば、ベンゾイン化合物、アシルホスフィンオキサイド系化合物、アセトフェノン系化合物、α−アミノアセトフェノン化合物、オキシムエステル化合物、チオキサントン系化合物等が挙げられる。
特に、後述する光照射後のPEB工程に用いる場合には、光塩基発生剤としての機能も有する光重合開始剤が好適である。なお、このPEB工程では、光重合開始剤と光塩基発生剤とを併用してもよい。
【0036】
光塩基発生剤としての機能も有する光重合開始剤は、紫外線や可視光等の光照射により分子構造が変化するか、または、分子が開裂することにより、後述する熱反応性化合物の重合反応の触媒として機能しうる1種以上の塩基性物質を生成する化合物である。塩基性物質として、例えば2級アミン、3級アミンが挙げられる。
このような光塩基発生剤としての機能も有する光重合開始剤としては、例えば、α−アミノアセトフェノン化合物、オキシムエステル化合物や、アシルオキシイミノ基,N−ホルミル化芳香族アミノ基、N−アシル化芳香族アミノ基、ニトロベンジルカーバメート基、アルコオキシベンジルカーバメート基等の置換基を有する化合物等が挙げられる。中でも、オキシムエステル化合物、α−アミノアセトフェノン化合物が好ましく、オキシムエステル化合物がより好ましい。α−アミノアセトフェノン化合物としては、特に、2つ以上の窒素原子を有するものが好ましい。
【0037】
α−アミノアセトフェノン化合物は、分子中にベンゾインエーテル結合を有し、光照射を受けると分子内で開裂が起こり、硬化触媒作用を奏する塩基性物質(アミン)が生成するものであればよい。
【0038】
オキシムエステル化合物としては、光照射により塩基性物質を生成する化合物であればいずれをも使用することができる。
【0039】
このような光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。樹脂組成物中の光重合開始剤の配合量は、好ましくはアルカリ溶解性樹脂100質量部に対して0.1〜40質量部であり、さらに好ましくは、0.3〜20質量部である。0.1質量部以上の場合、光照射部/未照射部の耐現像性のコントラストを良好に得ることができる。また、40質量部以下の場合、硬化物特性が向上する。
【0040】
以上説明したような樹脂層(A)および樹脂層(B)において用いる樹脂組成物には、必要に応じて以下の成分を配合することができる。
【0041】
(高分子樹脂)
高分子樹脂は、得られる硬化物の可撓性、指触乾燥性の向上を目的に、公知慣用のものを配合することができる。このような高分子樹脂としては、セルロース系、ポリエステル系、フェノキシ樹脂系ポリマー、ポリビニルアセタール系、ポリビニルブチラール系、ポリアミド系、ポリアミドイミド系バインダーポリマー、ブロック共重合体、エラストマー等が挙げられる。この高分子樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0042】
(無機充填剤)
無機充填材は、硬化物の硬化収縮を抑制し、密着性、硬度などの特性を向上させるために配合することができる。このような無機充填剤としては、例えば、硫酸バリウム、無定形シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ノイブルグシリシャスアース等が挙げられる。
【0043】
(着色剤)
着色剤としては、赤、青、緑、黄、白、黒などの公知慣用の着色剤を配合することができ、顔料、染料、色素のいずれでもよい。
【0044】
(有機溶剤)
有機溶剤は、樹脂組成物の調製のためや、基材やキャリアフィルムに塗布するための粘度調整のために配合することができる。このような有機溶剤としては、ケトン類、芳香族炭化水素類、グリコールエーテル類、グリコールエーテルアセテート類、エステル類、アルコール類、脂肪族炭化水素、石油系溶剤などを挙げることができる。このような有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
【0045】
(その他成分)
必要に応じてさらに、メルカプト化合物、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの成分を配合することができる。これらは、公知慣用のものを用いることができる。また、微粉シリカ、ハイドロタルサイト、有機ベントナイト、モンモリロナイトなどの公知慣用の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系などの消泡剤および/またはレベリング剤、シランカップリング剤、防錆剤などのような公知慣用の添加剤類を配合することができる。
【0046】
本発明の積層構造体は、屈曲性に優れることから、フレキシブルプリント配線板の屈曲部および非屈曲部のうちの少なくともいずれか一方に用いることができ、さらに、フレキシブルプリント配線板のカバーレイ、ソルダーレジストおよび層間絶縁材料のうちの少なくともいずれか1つの用途として用いることができる。
【0047】
以上説明したような構成に係る本発明の積層構造体は、その少なくとも片面がフィルムで支持または保護されているドライフィルムとして用いることが好ましい。
【0048】
(ドライフィルム)
本発明のドライフィルムは、以下のようにして製造できる。すなわち、まず、キャリアフィルム(支持フィルム)上に、上記樹脂層(B)および樹脂層(A)を構成する組成物を、有機溶剤で希釈して適切な粘度に調整し、常法に従い、コンマコーター等の公知の手法で順次塗布する。その後、通常、50〜130℃の温度で1〜30分間乾燥することで、キャリアフィルム上に樹脂層(B)および樹脂層(A)からなるドライフィルムを形成することができる。このドライフィルム上には、膜の表面に塵が付着することを防ぐ等の目的で、さらに、剥離可能なカバーフィルム(保護フィルム)を積層することができる。キャリアフィルムおよびカバーフィルムとしては、従来公知のプラスチックフィルムを適宜用いることができ、カバーフィルムについては、カバーフィルムを剥離するときに、樹脂層とキャリアフィルムとの接着力よりも小さいものであることが好ましい。キャリアフィルムおよびカバーフィルムの厚さについては特に制限はないが、一般に、10〜150μmの範囲で適宜選択される。
【0049】
(配線板の製造方法)
本発明の積層構造体を用いたフレキシブルプリント配線板の製造は、図1の工程図に示す手順に従い行うことができる。すなわち、導体回路を形成したフレキシブル配線基板上に本発明の積層構造体の層を形成する工程(積層工程)、この積層構造体の層に活性エネルギー線をパターン状に照射する工程(露光工程)、および、この積層構造体の層をアルカリ現像して、パターン化された積層構造体の層を一括形成する工程(現像工程)を含む製造方法である。また、必要に応じて、アルカリ現像後、さらなる光硬化や熱硬化(ポストキュア工程)を行い、積層構造体の層を完全に硬化させて、信頼性の高いフレキシブルプリント配線板を得ることができる。
【0050】
また、本発明の積層構造体を用いたフレキシブルプリント配線板の製造は、図2の工程図に示す手順に従い行うこともできる。すなわち、導体回路を形成したフレキシブル配線基板上に本発明の積層構造体の層を形成する工程(積層工程)、この積層構造体の層に活性エネルギー線をパターン状に照射する工程(露光工程)、この積層構造体の層を加熱する工程(加熱(PEB)工程)、および、積層構造体の層をアルカリ現像して、パターン化された積層構造体の層を一括形成する工程(現像工程)を含む製造方法である。また、必要に応じて、アルカリ現像後、さらなる光硬化や熱硬化(ポストキュア工程)を行い、積層構造体の層を完全に硬化させて、信頼性の高いフレキシブルプリント配線板を得ることができる。特に、樹脂層(B)においてイミド環含有アルカリ溶解性樹脂を用いた場合には、この図2の工程図に示す手順を用いることが好ましい。
【0051】
以下、図1または図2に示す各工程について、詳細に説明する。
[積層工程]
この工程では、導体回路2が形成されたフレキシブルプリント配線基板1に、アルカリ溶解性樹脂等を含むアルカリ現像型樹脂組成物からなる樹脂層3(樹脂層(A))と、樹脂層3上の、アルカリ溶解性樹脂等を含む感光性熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂層4(樹脂層(B))と、からなる積層構造体を形成する。ここで、積層構造体を構成する各樹脂層は、例えば、樹脂層3,4を構成する樹脂組成物を、順次、配線基板1に塗布および乾燥することにより樹脂層3,4を形成するか、あるいは、樹脂層3,4を構成する樹脂組成物を2層構造のドライフィルムの形態にしたものを、配線基板1にラミネートする方法により形成してもよい。
【0052】
樹脂組成物の配線基板への塗布方法は、ブレードコーター、リップコーター、コンマコーター、フィルムコーター等の公知の方法でよい。また、乾燥方法は、熱風循環式乾燥炉、IR炉、ホットプレート、コンベクションオーブン等、蒸気による加熱方式の熱源を備えたものを用い、乾燥機内の熱風を向流接触させる方法、およびノズルより支持体に吹き付ける方法等、公知の方法でよい。
【0053】
[露光工程]
この工程では、活性エネルギー線の照射により、樹脂層4に含まれる光重合開始剤をネガ型のパターン状に活性化させて、露光部を硬化する。露光機としては、直接描画装置、メタルハライドランプを搭載した露光機などを用いることができる。パターン状の露光用のマスクは、ネガ型のマスクである。
【0054】
露光に用いる活性エネルギー線としては、最大波長が350〜450nmの範囲にあるレーザー光または散乱光を用いることが好ましい。最大波長をこの範囲とすることにより、効率よく光重合開始剤を活性化させることができる。また、その露光量は膜厚等によって異なるが、通常は、100〜1500mJ/cmとすることができる。
【0055】
[PEB工程]
この工程では、露光後、樹脂層を加熱することにより、露光部を硬化する。この工程により、光塩基発生剤としての機能を有する光重合開始剤を用いるか、光重合開始剤と光塩基発生剤とを併用した組成物からなる樹脂層(B)の露光工程で発生した塩基によって、樹脂層(B)を深部まで硬化できる。加熱温度は、例えば、80〜140℃である。加熱時間は、例えば、2〜140分である。本発明における樹脂組成物の硬化は、例えば、熱反応によるエポキシ樹脂の開環反応であるため、光ラジカル反応で硬化が進行する場合と比べてひずみや硬化収縮を抑えることができる。
【0056】
[現像工程]
この工程では、アルカリ現像により、未露光部を除去して、ネガ型のパターン状の絶縁膜、特には、カバーレイおよびソルダーレジストを形成する。現像方法としては、ディッピング等の公知の方法によることができる。また、現像液としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、アミン類、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(TMAH)等のアルカリ水溶液、または、これらの混合液を用いることができる。
【0057】
[ポストキュア工程]
この工程は、現像工程の後に、樹脂層を完全に熱硬化させて信頼性の高い塗膜を得るものである。加熱温度は、例えば140℃〜180℃である。加熱時間は、例えば、20〜120分である。さらに、ポストキュアの前または後に、光照射してもよい。
【実施例】
【0058】
以下、実施例、比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例、比較例によって制限されるものではない。
【0059】
<合成例1:ポリアミドイミド樹脂溶液の合成例>
撹拌機、窒素導入管、分留環、冷却環を取り付けたセパラブル3つ口フラスコに、3,5−ジアミノ安息香酸を3.8g、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンを6.98g、ジェファーミンXTJ−542(ハンツマン社製、分子量1025.64)を8.21g、γ−ブチロラクトンを86.49g、室温で仕込み、溶解した。
【0060】
次いで、シクロヘキサン−1,2,4−トリカルボン酸−1,2−無水物17.84gおよびトリメリット酸無水物2.88gを仕込み、室温で30分間保持した。次いで、トルエンを30g加え、160℃まで昇温して、トルエンおよび水を留去しながら3時間撹拌した後、室温まで冷却し、イミド化物溶液を得た。
【0061】
得られたイミド化物溶液に、トリメリット酸無水物9.61gおよびトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート17.45gを仕込み、温度160℃で32時間撹拌した。こうしてカルボキシル基を有するポリアミドイミド樹脂溶液(PAI−1)を得た。得られた樹脂(固形分)の酸価は83.1mgKOH、Mwは4300であった。
【0062】
<合成例2:イミド環、フェノール性水酸基およびカルボキシル基を有するポリイミド樹脂溶液の合成>
撹拌機、窒素導入管、分留環、冷却環を取り付けたセパラブル3つ口フラスコに、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン22.4g、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンを8.2g、NMPを30g、γ−ブチロラクトンを30g、4,4’−オキシジフタル酸無水物を27.9g、トリメリット酸無水物を3.8g加え、窒素雰囲気下、室温、100rpmで4時間撹拌した。次いでトルエンを20g加え、シリコン浴温度180℃、150rpmでトルエンおよび水を留去しながら4時間撹拌して、フェノール性水酸基およびカルボキシル基を有するポリイミド樹脂溶液(PI−1)を得た。
得られた樹脂(固形分)の酸価は18mgKOH、Mwは10,000、水酸基当量は390であった。
【0063】
<合成例3:カルボキシル基含有ウレタン樹脂の合成>
撹拌装置、温度計およびコンデンサーを備えた反応容器に、1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールから誘導されるポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ(株)製、T5650J、数平均分子量800)を2400g(3モル)、ジメチロールプロピオン酸を603g(4.5モル)、および、モノヒドロキシル化合物として2−ヒドロキシエチルアクリレートを238g(2.6モル)投入した。次いで、ポリイソシアネートとしてイソホロンジイソシアネート1887g(8.5モル)を投入し、撹拌しながら60℃まで加熱して停止し、反応容器内の温度が低下し始めた時点で再度加熱して80℃で撹拌を続け、赤外線吸収スペクトルでイソシアネート基の吸収スペクトル(2280cm−1)が消失したことを確認して、反応を終了した。その後、固形分が50質量%となるようにカルビトールアセテートを添加した。得られたカルボキシル基含有樹脂の固形分の酸価は、50mgKOH/gであった。
【0064】
(参考例1〜6,比較例1〜4)
下記表中に記載の配合に従って、参考例および比較例に記載の材料をそれぞれ配合、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルにて混練し、各樹脂層を構成する樹脂組成物を調製した。表中の値は、特に断りがない限り、固形分の質量部である。
【0065】
<樹脂層(A)の形成>
銅厚18μmの回路が形成されているフレキシブルプリント配線基板を用意し、メックブライトCB−801Yを使用して、前処理を行った。その後、前処理を行ったフレキシブルプリント配線基板に、各樹脂組成物をそれぞれ乾燥後の膜厚が25μmになるように塗布した。その後、熱風循環式乾燥炉にて90℃/30分にて乾燥し、樹脂組成物からなる樹脂層(A)を形成した。
【0066】
<樹脂層(B)の形成>
上記で形成された樹脂層(A)上に、各樹脂組成物をそれぞれ乾燥後の膜厚が10μmになるように塗布した。その後、熱風循環式乾燥炉にて90℃/30分にて乾燥し、樹脂組成物からなる樹脂層(B)を形成した。
【0067】
<感度>
得られた各積層構造体を、メタルハライドランプ搭載の露光装置(HMW−680−GW20)を用いて、41段のステップタブレット(STOUFFER製 T−4105)を介して500mJ/cmで露光した。その後、参考例3〜6および比較例3,4については90℃で30分間PEB工程を行ってから、現像(30℃、0.2MPa、1質量%NaCO水溶液)を60秒で行って、残存するステップタブレットの段数を感度の指標とした。残存段数が多いほど、感度が良好である。
【0068】
<最小残存ライン幅>
得られた各積層構造体を、メタルハライドランプ搭載の露光装置(HMW−680−GW20)を用いて、500mJ/cmで露光した。露光パターンは、幅20/30/40/50/60/70/80/90/100μmのラインを露光するネガ型のマスクを使用した。その後、参考例3〜6および比較例3,4については90℃で30分間PEB工程を行ってから、現像(30℃、0.2MPa、1質量%NaCO水溶液)を60秒で行ってパターンを描き、150℃×60分で熱硬化することにより硬化塗膜を得た。得られた硬化塗膜の最小残存ライン幅を、200倍に調整した光学顕微鏡を用いてカウントした。最小残存ライン幅が小さいほど、深部硬化性が良好である。
【0069】
<屈曲性試験(マンドレル試験)>
得られた各積層構造体をメタルハライドランプ搭載の露光装置(HMW−680−GW20)を用いて500mJ/cmで全面露光した。その後、参考例3〜6および比較例3,4については90℃で30分間PEB工程を行ってから、現像(30℃、0.2MPa、1質量%NaCO水溶液)を60秒で行い、150℃×60分で熱硬化することにより、硬化積層構造体を得た。得られた硬化積層構造体を約50mm×約200mmに切断し、円筒型マンドレル試験機(BYKガードナー社,No.5710)を用いて屈曲性評価を行った。樹脂組成物を塗布した面を外側に配置し、直径2mmの芯棒を中心に屈曲させて、変色、クラック発生の有無を評価した。屈曲部に変色、クラックの発生がなかった場合を◎、変色がありクラックの発生がなかった場合を○、クラックが発生した場合を×とした。
【0070】
<耐熱性試験>
得られた各積層構造体をメタルハライドランプ搭載の露光装置(HMW−680−GW20)を用いて、銅上に直径約2mmから5mmの開口が形成されるネガ型マスクを介して500mJ/cmで露光した。その後、参考例3〜6および比較例3,4については90℃で30分間PEB工程を行ってから、現像(30℃、0.2MPa、1質量%NaCO水溶液)を60秒で行い、150℃×60分で熱硬化することにより、硬化積層構造体を得た。得られた硬化積層構造体を、260℃と280℃に加熱した半田槽に漬けて、耐熱性試験を行った。樹脂組成物を塗布した面が半田に触れるように槽に5秒浮かべた後、回収、冷却して樹脂組成物の浮き、剥がれの発生の有無を評価した。280℃で浮き、剥がれの発生がなかった場合を◎、260℃で浮き、剥がれの発生がなく、280℃で浮き、剥がれが発生した場合を○、260℃で浮き、剥がれが発生した場合を×とした。
その評価結果を、下記の表中に併せて示す。
【0071】
【表1】
*1)ZFR−1401H:酸変性ビスフェノールF型エポキシアクリレート,酸価98mgKOH/g(日本化薬(株)製)
*2)PAI−1:合成例1のポリアミドイミド樹脂
*3)PI−1:合成例2のポリイミド樹脂
*4)BPE−900:エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(新中村化学(株)製)
*5)E1001:ビスフェノールA型エポキシ樹脂,エポキシ当量450〜500(三菱化学(株)製)
*6)E834:ビスフェノールA型エポキシ樹脂,エポキシ当量230〜270(三菱化学(株)製)
*7)IRGACURE OXE02:オキシム系光重合開始剤(BASF社製)
*8)IRGACURE 379:アルキルフェノン系光重合開始剤(BASF社製)
*9)カルボキシル基含有ウレタン樹脂:合成例3の樹脂
*10)E828:ビスフェノールA型エポキシ樹脂,エポキシ当量190,質量平均分子量380(三菱化学(株)製)
【0072】
【表2】
【0073】
上記表中に示す評価結果から明らかなように、各参考例の積層構造体は、各比較例の積層構造体と比較して、感度に優れるとともに、深部硬化性にも優れていることが明らかである。これに対し、樹脂層(A)が光重合開始剤を含んでいる各比較例では、光重合開始剤が光を吸収することにより深部硬化性が得られず、微細なラインは現像時に脱落してしまう。
【0074】
(実施例1〜6,比較例5)
下記表中に記載の配合に従って、実施例および比較例に記載の材料をそれぞれ配合、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルにて混練することにより、各樹脂層を構成する樹脂組成物を調製し、上記参考例1等と同様にして、樹脂層(A)および樹脂層(B)の形成を行った。表中の値は、特に断りがない限り、固形分の質量部である。
【0075】
<解像性(開口サイズおよび最小残存ライン幅)>
得られた各積層構造体を、メタルハライドランプ搭載の露光装置(HMW−680−GW20)を用いて、500mJ/cmで露光した。露光パターンは、幅30/40/50/60/70/80/90/100μmのラインを描くパターン、および、300μmの開口を開けるパターンとした。その後、90℃で30分間PEB工程を行ってから、現像(30℃、0.2MPa、1質量%NaCO水溶液)を60秒で行ってパターンを描き、150℃×60分で熱硬化することにより硬化塗膜を得た。得られた硬化塗膜について、200倍に調整した光学顕微鏡を用いて、最小残存ライン幅をカウントし、開口サイズ(設計値300μm)を測定するとともに、開口形状を写真撮影した。最小残存ライン幅が小さいほど、深部硬化性が良好である。その結果を、下記の表中および図3(a)〜(i)にそれぞれ示す。
【0076】
<耐薬品性(無電解金めっき耐性)>
上記基材上の硬化塗膜に対し、市販の無電解金めっき浴を用いて、ニッケル0.5μm、金0.03μmの条件でめっきを行い、めっきされた評価基板において、めっきのしみ込みの有無を評価した後、テープピーリングによりレジスト層の剥がれの有無を評価した。判定基準は以下のとおりである。得られた結果を下記表中に示す。
○:染み込み、剥がれが見られない。
△:めっき後に少し染み込みが確認されるが、テープピール後の剥がれは見られない。
×:テープピール後の剥がれがある。
【0077】
【表3】
*11)LUCIRIN TPO(アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤、BASFジャパン社製)
*12)QS−30:4−メトキシ−1−ナフトール(川崎化成工業(株)製)
*13)HCA−HQ:フェノール性水酸基含有リン化合物(三光(株)製)
【0078】
樹脂層(A)に重合禁止剤を配合している実施例1〜6の積層構造体は、ハレーションが少なく開口形状が安定しており、最小残存ライン幅も30μmと良好であった。一方、重合禁止剤を配合しない以外は実施例6と同じ配合の参考例6についても、開口サイズおよび金めっき耐性の評価を行ったところ、最小残存ライン幅は30μmと良好であったものの、ハレーションがあり、開口サイズが240μmと若干小さくなっていた。また、比較例5では、樹脂層(A)に光重合開始剤を使用しており、ある程度ハレーションが防止されているが、耐金めっき性に劣り、最小ライン幅も、開口サイズについても十分なものではなかった。
【符号の説明】
【0079】
1 フレキシブルプリント配線基板
2 導体回路
3 樹脂層
4 樹脂層
5 マスク
図1
図2
図3