特許第6578425号(P6578425)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6578425長繊維不織布のフレーク、それを充填している衣類および寝具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6578425
(24)【登録日】2019年8月30日
(45)【発行日】2019年9月18日
(54)【発明の名称】長繊維不織布のフレーク、それを充填している衣類および寝具
(51)【国際特許分類】
   D04H 3/00 20120101AFI20190909BHJP
   A41D 31/00 20190101ALI20190909BHJP
   A41D 3/00 20060101ALI20190909BHJP
   A41D 1/02 20060101ALI20190909BHJP
   A41D 27/18 20060101ALI20190909BHJP
   A47G 9/02 20060101ALI20190909BHJP
   A47G 9/08 20060101ALI20190909BHJP
   A47G 9/10 20060101ALI20190909BHJP
【FI】
   D04H3/00
   A41D31/00
   A41D3/00 C
   A41D1/02 Z
   A41D31/00 503G
   A41D31/00 503F
   A41D31/00 503H
   A41D31/00 503E
   A41D31/00 503K
   A41D31/00 503J
   A41D31/00 502L
   A41D27/18 Z
   A41D3/00 K
   A47G9/02 B
   A47G9/08 B
   A47G9/10 B
【請求項の数】6
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-186521(P2018-186521)
(22)【出願日】2018年10月1日
【審査請求日】2018年10月1日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504113190
【氏名又は名称】株式会社finetrack
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金山 洋太郎
【審査官】 堀内 建吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−125377(JP,A)
【文献】 特開平05−269264(JP,A)
【文献】 特開2015−203161(JP,A)
【文献】 実開昭51−132213(JP,U)
【文献】 特表平04−507353(JP,A)
【文献】 特開2006−307364(JP,A)
【文献】 特開平07−088259(JP,A)
【文献】 特開2014−196585(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/154871(WO,A1)
【文献】 特開2002−058619(JP,A)
【文献】 特開昭63−085153(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H
A41D
A47G
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不規則なシワまたは不規則な立体形状を有し、かつ所定サイズの長繊維不織布のフレーが特定部位に1または2以上充填されているまたは全体的に充填されている衣類であって、
前記所定のサイズが、
前記フレークが仮想直方体(VP)に収まるサイズであって、当該仮想直方体(VP)の主面の第一辺および第二辺がそれぞれ10mmから500mmであって、前記主面の第一辺の長さが、前記主面の第二辺の長さの40%から160%の範囲であり、当該仮想直方体(VP)の高さが、前記フレークの厚み(t)が0.01mm〜1.0mmであるときに前記フレークの厚み(t)の100倍以上から500倍の範囲であり、または、
前記フレークの最大対角線(L1)と、それと交差する次に長い対角線(L2)の2つの対角線が仮想矩形枠(VF)に収まるサイズであって、最大対角線(L1)の少なくとも一方端または一方端から5mm以内の端部が仮想矩形枠(VF)の線に接する条件のときに、前記フレークのサイズが、仮想矩形枠(VF)の一対の第一辺およびそれと直交する一対の第二辺がそれぞれ10mmから500mmであって、前記仮想矩形枠(VF)の第一辺の長さが、前記第二辺の長さの40%から160%の範囲であり、前記フレークの厚み(t)が0.01mm〜1.0mmであるときに前記フレークの前記サイズ当たりの最大嵩高さ(hmax)が、そのフレークの厚み(t)の100倍以上であり、
前記フレークが、特定部位の空間を構成するための生地と固定されずに特定部位に充填されている、衣類。
【請求項2】
前記特定部位が、小空間または細長い空間、首回り、フード、襟、および側生地の収納部位から選択される、請求項1に記載の衣類。
【請求項3】
前記特定部位が、
断面直径が10mmから60mm、高さが10mmから600mmの円柱状を有する、
長半径が10mmから60mm、短半径が5mmから50mm、高さが10mmから600mmの楕円柱状を有する、および/または、
縦が10mmから60mm、横が5mmから50mm、高さが10mmから600mmの直方体状を有する、請求項1または2に記載の衣類。
【請求項4】
前記特定部位に充填された状態において、前記フレークの充填密度が、30g/m〜600g/mである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の衣類。
【請求項5】
不規則なシワまたは不規則な立体形状を有し、かつ所定サイズの長繊維不織布のフレークが特定部位に1または2以上充填されているまたは全体的に充填されている寝具であって、
前記所定のサイズが、
前記フレークが仮想直方体(VP)に収まるサイズであって、当該仮想直方体(VP)の主面の第一辺および第二辺がそれぞれ10mmから500mmであって、前記主面の第一辺の長さが、前記主面の第二辺の長さの40%から160%の範囲であり、当該仮想直方体(VP)の高さが、前記フレークの厚み(t)が0.01mm〜1.0mmであるときに前記フレークの厚み(t)の100倍以上から500倍の範囲であり、または、
前記フレークの最大対角線(L1)と、それと交差する次に長い対角線(L2)の2つの対角線が仮想矩形枠(VF)に収まるサイズであって、最大対角線(L1)の少なくとも一方端または一方端から5mm以内の端部が仮想矩形枠(VF)の線に接する条件のときに、前記フレークのサイズが、仮想矩形枠(VF)の一対の第一辺およびそれと直交する一対の第二辺がそれぞれ10mmから500mmであって、前記仮想矩形枠(VF)の第一辺の長さが、前記第二辺の長さの40%から160%の範囲であり、前記フレークの厚み(t)が0.01mm〜1.0mmであるときに前記フレークの前記サイズ当たりの最大嵩高さ(hmax)が、そのフレークの厚み(t)の100倍以上であり、
前記フレークが、特定部位の空間を構成するための生地と固定されずに特定部位に充填されている、寝具。
【請求項6】
前記特定部位に充填された状態において、前記フレークの充填密度が、30g/m〜600g/mである、請求項5に記載の寝具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長繊維不織布フレーク、それを充填している衣類および寝具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、袋状側地内に中綿を有する衣服であって、中綿が、短繊維を袋状側地内に吹き込んで得られ、短繊維が実質的にランダム状に充填されている中綿衣服が記載されている。
特許文献2には、表地と裏地と中綿とを有する衣服において、中綿がポリエステルの短繊維と再生セルロースの短繊維とからなる粒状綿と、形状および大きさがランダムな合成樹脂フィルム製小片とから構成され、粒状綿と合成樹脂フィルム製小片とが混合されている衣服が記載されている。
特許文献3には、発泡合成樹脂シートを抜き加工、あるいは裁断してなる紐状物を多数集合させてなるクッション体であって、発泡合成樹脂シートが、厚みに厚薄があり、見掛け密度が10〜60g/L、平均気泡数が350個/cm以上、厚みの平均値が0.1〜5.0mmであることと、紐状物の幅が0.1〜5.0mm、長さが10mm以上であることを特徴とするクッション体を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−307364号公報
【特許文献2】特開2015−203161号公報
【特許文献3】特開2014−180460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1は、短繊維をランダムかつ独立的に圧入しており、上記特許文献2は、ポリエステルの短繊維中綿と再生セルロースとからなる粒状綿と合成樹脂フィルム製小片とが混合された構成であり、側生地の縫製の針穴、あるいは生地表面の織り目もしくは編み目から、中綿の繊維が抜け出てしまう。それを防ぐため側生地を非常に高密度な生地にするための、シレー加工などの圧熱処理や樹脂コーティングを施すなど、生地表面の織り目の隙間を埋める加工が必要だった。
また、上記特許文献3は、発泡合成シートをひも状に裁断して衣類などの保温材とするものであるが、ポリオレフィン系の発泡樹脂であるため、材料自体に厚みがあり、収納袋に詰め込んで小さくして収納するような、コンパクト性に難があった。
【0005】
本発明は、上記従来から知られている短繊維あるいは発泡樹脂を材料としたものではなく、独立した短繊維や綿状の中綿素材と異なり、繊維がバラけたり抜け出たりすることなく、かつ発泡合成シートよりも軽量で小さな袋などに詰め込んで圧縮するとコンパクトになり、収納に場所を取らない利点がある、不規則なシワあるいは不規則な立体形状を有する長繊維不織布のフレーク(小片)を提供することを目的とする。
また、本発明は、長繊維不織布のフレークが特定部位に充填されている衣類、寝具などを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、不規則なシワまたは不規則な立体形状を有し、かつ所定サイズの長繊維不織布のフレークである。
【0007】
長繊維不織布フレークの「不規則なシワまたは不規則な立体形状」は、平坦状の長繊維不織布を、その不織布の厚み方向に立体的に嵩高くなるように加工し、裁断することで形成される。また、別製造方法として、平坦状の長繊維不織布を所定サイズに裁断後に、不規則なシワまたは不規則な立体形状に加工することでもよい。詳細は後述する。
【0008】
不規則なシワまたは不規則な立体形状を有するフレークの厚み(t)は、0.01mm〜1.0mmである。嵩高さ性の理由から0.02mm〜0.5mmが好ましく、0.02mm〜0.3mmがより好ましく、0.05mm〜0.2mmまたは0.05mm〜0.15mmがさらに好ましい。なお、本発明において、特に明示しない限り、数値範囲の下限値〜上限値は、それぞれその値を含む、下限値以上〜上限値以下であることを意味する。
【0009】
不規則なシワまたは不規則な立体形状を有するフレークの目付けは、15g/m〜300g/mであり、好ましくは15g/m〜250g/m未満であり、より好ましくは15g/m〜100g/m未満または15g/m〜50g/m未満である。本発明において目付けの測定方法は、不規則なシワまたは不規則な立体形状が形成されたフレークにおける目付けを測定したものである。
不規則なシワまたは不規則な立体形状を有する長繊維不織布またはフレークを平面に置き、不規則なシワまたは不規則な立体形状を有する長繊維不織布またはフレークを平面視した時の面積を求め、その面積でフレーク重量を除算することで得られる。
【0010】
不規則なシワまたは不規則な立体形状を有するフレークの長繊維は、その繊維太さ(直径)が1μm〜100μmが好ましく、2μ以上10μm未満がより好ましく、2μm以上8μm未満がさらに好ましい。不規則なシワまたは不規則な立体形状を形成するための加工前の繊維太さと、その加工後の繊維太さは、同じまたはほぼ同じでもよく、繊維太さが異なっていてもよい。
【0011】
不規則なシワまたは不規則な立体形状を有するフレーク(f)は、そのすべてが仮想直方体(VP)(図2D参照)に収まるサイズである。仮想直方体(VP)は、主面の第一辺(例えば縦)および第二辺(例えば横)のそれぞれが10mmから500mm、好ましくは40mmから400mm、より好ましくは40mmから300mm、衣類などの特定部位の充填空間サイズが小さいほど、フレークも小さいサイズとなることが好ましい。高さが10mm以上100mm以下、好ましくは10mm以上80mm以下である。
主面の上記第一辺の長さが、上記第二辺の長さの40%から160%の範囲、好ましくは50%から150%の範囲である。
本発明において、「所定サイズの長繊維不織布のフレーク」は、例えば、仮想直方体のサイズでフレークを規定してもよい。
【0012】
(製造方法)
フレークを製造する第一方法は、シート状の長繊維不織布に不規則なシワまたは不規則な立体形状を形成する立体加工工程(A)と、不規則なシワまたは不規則な立体形状が形成された長繊維不織布を所定形状および所定サイズに切断する切断工程(A)とを含む。第一方法は、さらに、切断された長繊維不織布のフレーク(小片)に、再度、不規則なシワまたは不規則な立体形状を形成する再立体加工工程をさらに含んでいても良い。
また、別の方法としての第二方法は、シート状の長繊維不織布を所定形状および所定サイズに切断する切断工程(B)と、切断された長繊維不織布のフレーク(小片)に不規則なシワまたは不規則な立体形状を形成する立体加工工程(B)とを含む。
【0013】
「立体加工工程(A)」または「立体加工工程(B)」は、例えば、シート状の長繊維不織布またはフレークを袋体に詰めて湿熱を与える工程を含む。これにより、シート状の長繊維不織布またはフレークに不規則なシワまたは不規則な立体形状が形成される。不規則なシワまたは不規則な立体形状が形成されるように、それらが形成されていない長繊維不織布またはフレークを無造作に(他の表現で、乱雑に、不規則に、規則正しく折らない状態で、等)袋体にギュウギュウに詰め込むことが好ましい。綺麗に折りたたんで袋体に詰め込むと不規則なシワまたは不規則な立体形状が形成され難いからである。袋体に長繊維不織布が詰め込まれた状態としては、袋体の内積において、その隙間空間:長繊維不織布の体積との体積比が50:50〜20:80が好ましい。
「再立体加工」は、上記と同様に、フレークを袋体に詰めて湿熱を与える工程を含んでもいてもよい。この場合に、フレークを無造作に袋体にギュウギュウに詰め込むことが好ましい。
【0014】
「切断工程(A)」は、例えば、レーザカット、刃による引き切り、押し切り、打ち抜きのいずれの切断方法でも採用できる。切断工程(A)に際し、不規則なシワまたは不規則な立体形状が形成された長繊維不織布を平らにした状態(シワまたは立体形状を伸ばした状態)で切断すること、例えば、少なくとも1枚の長繊維不織布において切断面に対し垂直上下方向で長繊維不織布の重なりがない状態で切断することが好ましいが、これに制限されず、シワなどを伸ばさない状態で切断してもよい。
シワなどを伸ばした状態で切断した場合、フレークが形状回復した後は、切断されたフレーク面積(<仮想矩形枠の面積)が切断面積(例えば、打ち抜き刃の切断面積)よりも小さくなり、例えば、フレーク面積(<仮想矩形枠の面積)は切断面積(例えば、打ち抜き刃の切断面積)の0.7倍から0.99倍、好ましくは0.75倍から0.95倍であってもよい。
シワなどを伸ばさずに切断した場合、切断されたフレーク面積(<仮想矩形枠の面積)が切断面積(例えば、打ち抜き刃の切断面積)と同じまたは略同じ(例えば、フレーク面積(<仮想矩形枠の面積)は切断面積(例えば、打ち抜き刃の切断面積)の0.95倍から1.05倍の範囲)であってもよい。
打ち抜き刃の形状は、例えば、菱形、平行四辺形、正方形、長方形などの矩形、多角形、円形、楕円形、異形などが挙げられる。例えば、菱形のサイズは2つの対角線で表現し、菱形面積は対角線×対角線÷2となる。平行四辺形のサイズは底辺と高さで表現し、平行四辺形面積は底辺×高さとなる。
「切断工程(A)」において、シート状の長繊維不織布を1枚または複数枚重ねた状態で切断してもよい。
本発明において、「所定サイズの長繊維不織布のフレーク」は、例えば、切断されたフレーク面積でフレークのサイズを規定してもよい。
【0015】
不規則なシワまたは不規則な立体形状が形成された長繊維不織布のフレークの形状は、例えば、菱型状、四角状、三角状、丸状、雲状、ランダム状が例示される。
「切断加工(A)」は、切断加工性、歩留りの観点から、複数枚重ねた状態でのプレス機による打ち抜きが好ましい。不規則なシワまたは不規則な立体形状が形成された長繊維不織布を、シワや立体形状を伸ばした状態で切断しない場合にフレーク(小片)の切断端部(切断面)の形状は、シワなどが形成されているためギザギザ状であってもよい。
「切断加工(B)」は、切断加工性、歩留りの観点から、シート状の長繊維不織布を複数枚重ねた状態でのプレス機による打ち抜きが好ましい。切断後のフレークの形状は、例えば、菱形状、四角状、三角状、丸状、雲状、ランダム状が例示される。ここで「菱形状」は、完全な菱形ではなく、全体の外観が菱形に見える形を含む。他の「〜状」も同様の意味である。
【0016】
立体加工前のシート状の長繊維不織布またはフレークの厚み(t)は、立体加工前と立体加工後とで、同じあるいは略同じであることが好ましい。その厚み(t)は、例えば、0.01mm〜1.0mmである。嵩高さ性の理由から0.02mm〜0.5mmが好ましく、0.02mm〜0.3mmがより好ましく、0.05mm〜0.2mmまたは0.05mm〜0.15mmがさらに好ましい。
立体加工前のシート状の長繊維不織布またはフレークの目付けは、5g/m〜60g/mであり、好ましくは5g/m〜20g/m未満であり、より好ましくは6g/m2〜10g/mである。目付けが小さいほど加工後の形状維持性が弱く、一方、目付けが大きくなるほど嵩高性が損なわれることから、上記範囲の目付けが好ましい。
立体加工前のシート状の長繊維不織布の繊維長は、下限値としては、100mm以上、好ましくは150mm以上、より好ましくは200mm以上である。繊維長の上限値としては、2000mm以下であり、より好ましくは1000mm以下である。
または、その繊維長の平均が100mm以上500mm以下、より好ましくは150mm以上500mm以下、さらに好ましくは200mm以上500mm以下でもよい。
繊維長が長い方が、切断加工した時の切断断面から生じる繊維屑を押えることができ、また、不規則なシワまたは不規則な立体形状の長時間保持性能が高くなるので好ましい。
フレークの切断面または端面以外に、長繊維の末端が200個以内、好ましくは100個以内、より好ましくは50個以内である、さらに好ましくは30個以内である。
【0017】
立体加工後のフレークの「所定サイズ」は、フレーク(f)を平面(図2Bのx−y平面を参照)に置き、上から平面視した時に、仮想矩形枠(VF)(図2Cを参照)の内にフレークのすべてが収まるサイズとして定義してもよい。つまり、本発明において、「所定サイズの長繊維不織布のフレーク」は、例えば、仮想矩形枠(VF)のサイズでフレークを規定してもよい。
より具体的には、図2Cに示すように、少なくともフレーク(f)の最大対角線(L1)と、それと交差する次に長い対角線(L2)の2つの対角線が、仮想矩形枠(VF)の中に入り、最大対角線(L1)の少なくとも一方端(または一方端から5mm以内の端部)が仮想矩形枠(VF)の線に接する条件のときに、この仮想枠線(VF)が、フレーク(f)のサイズであると定義する。本発明において、特に明示しない限り、フレークのサイズは平面視サイズである。平面視サイズは、上記の仮想直方体の主面のサイズに相当する。
立体加工後のフレークのサイズ(つまり仮想矩形枠(VF)で規定されるサイズ)は、一対の第一辺とそれと直交する一対の第二辺が、それぞれ10mmから500mm、好ましくは40mmから400mm、より好ましくは40mmから300mmである。
上記第一辺の長さが、上記第二辺の長さの40%から160%の範囲、好ましくは50%から150%の範囲である。
立体加工後のフレークから、シワまたは立体形状を伸ばして完全に平らにした状態のフレークの平面サイズは、上記平面視サイズよりも大きくなる。
上述したフレーク面積は、仮想矩形枠の面積よりも小さくなる。
【0018】
また、立体加工後のフレークにおいて、所定サイズ当たり(例えば、シワ形成された状態の菱形状で2つの対角線が(1)10cm×10cm、(2)5cm×12cm、(3)18cm×27cm、(4)4cm×6cm)の最高嵩高さ(hmax:平面に置いたときに平面から最上部までの垂直高さ)は、そのフレークの厚み(t)の100倍以上から500倍であり、好ましくは120倍以上から500倍、より好ましくは150倍以上500倍、特に好ましくは200倍以上から500倍である(図2B参照)。
また、立体加工後の長繊維不織布(フレークではない)の1m当たりの最高嵩高さ(hmax)は、その長繊維不織布の厚み(t)の100倍以上から500倍であり、好ましくは120倍以上から500倍、より好ましくは150倍以上500倍、特に好ましくは200倍以上から500倍である(図1B参照)。
ここで「所定サイズ」は、平面に置いたフレークを上から投影させた投影面積で、フレークのサイズを規定してもよく、上述の「切断されたフレーク面積」でフレークのサイズを規定してもよい。
【0019】
また、立体加工後のフレークの所定サイズ当たり(例えば、シワ形成された状態の菱形状で2つの対角線が(1)10cm×10cm、(2)5cm×12cm、(3)18cm×27cm、(4)4cm×6cm)の嵩高さ(h)の分布として、平面からの垂直高さが0mm以上10mm未満が5ポイント(箇所)以上、10mm以上20mm未満が5ポイント以上、20mm以上30mm未満が5ポイント以上、30mm以上40mm未満が5ポイント以上、40mm以上50mm未満が2ポイント以上、および50mm以上が1ポイント以上となる構成のうち1種または2種以上が成立することが好ましい。
嵩高さ測定方法としては、測定試料のフレークを平面に置き、縦横格子状(例えば10mm間隔)の交点をポイントとし、そのポイントの垂直高さをゲージなどで測定してもよい。
異なる嵩高さのポイント(箇所)が、所定サイズ当たりに不規則に存在しており、一定間隔に繰り返し配置されていないことが好ましい。規則的に配置されていないことで、小空間あるいは細い空間に充填された時に、フレークが一カ所に集まったり偏ったりした配置とならず、適度にフレーク同士が重なったり、絡み合ったりすることが可能となり、保温性、空間形状維持に優れることになる。通常のシリンダによる連続エンボス加工で形成された凹凸の場合には、シート面に小突起や凹凸が形成されるに過ぎず、本体部(厚み)が不規則に波打つような形状にはならない。
ここで「所定サイズ」は、平面に置いたフレークを上から投影させた「投影フレーク面積」で、フレークのサイズを規定してもよく、上述の「切断されたフレーク面積」でフレークのサイズを規定してもよい。
【0020】
本発明のフレークは、エンボス加工のような生地面に凹凸を形成して生地厚みが変形するのではなく、厚み(t)を一定に維持したままで、多数の不規則なシワが形成されたものであることが好ましい。
本発明のフレークは、シワを伸ばすと面積がシワを伸ばす前の面積よりも1.2倍以上大きくなり、好ましくは1.5倍以上大きくなり、より好ましくは2倍以上大きくなることを特徴とする。
2個以上10個以下のフレークで平均したその面積比の範囲が、1.2倍〜2.5倍の範囲、好ましくは1.5倍から2.5倍の範囲、より好ましくは1.7倍から2.5倍の範囲である。
【0021】
(フレークを充填した衣類、寝具)
充填される衣類の部位の形状およびサイズに基づいて、フレークの形状およびサイズ、詰め込む枚数を設定できる。
例えば、羽毛中綿のダウンジャケットのような保温着の中綿として使用する場合は、矩形状、菱形状あるいは平行四辺形状が好ましい。立体加工した後に切断加工する場合に、シワまたは立体形状を伸ばした状態では、完全な、矩形、菱形あるいは平行四辺形にはならないが特に支障はない。
また、衣類または寝具に詰め込まれた後で取り出したフレークは、シワまたは立体形状の状態が、詰め込む前と変化している可能性があるが、上記の仮想直方体(VP)および/または仮想矩形枠(VF)に収まるサイズであってもよい。
詰め込む前のフレークの仮想直方体(VP)および/または仮想矩形枠(VF)と、取り出したフレークの仮想直方体(VP)および/または仮想矩形枠(VF)とが、同じ(または実質的に同じ)でもよく、取り出したフレークの方が、主面がより小さく、かつ高さ方向がより大きくなっていてもよい。
詰め込む前のフレークの「投影フレーク面積(または投影フレーク形状)」と取り出したフレークの「投影フレーク面積(投影フレーク形状)」とが異なっていてもよい。
また、衣類または寝具に詰め込まれた後で取り出したフレークは、その嵩高さ(h)の分布として、平面からの垂直高さ0mm以上10mm未満が10ポイント(箇所)以上、10mm以上20mm未満が10ポイント以上、20mm以上30mm未満が10ポイント以上、30mm以上40mm未満が5ポイント以上、40mm以上50mm未満が5ポイント以上、および50mm以上が2ポイント以上となる構成のうち、少なくとも1種、少なくとも2種、または3種以上が成立することが好ましい。
また、小さい空間あるいは細長い空間に詰める(充填する)場合は、仮想矩形枠(VF)の一対の第一辺と一対の第二辺のそれぞれが、60mmから400mm、好ましくは60mmから300mm、より好ましくは60mmから200mmである。仮想直方体(VP)としては、主面の縦および横のそれぞれが60mmから400mm、好ましくは60mmから300mm、より好ましくは60mmから200mmである。高さが10mm以上60mm以下である。
ここで、フレークのサイズが小さ過ぎたり、大き過ぎると、不規則なシワまたは不規則な立体形状を有する長繊維不織布の原料シートからフレーク状にカットし、衣類の特定部位(例えば側生地)に詰めるなど一連の作業性が悪くなるため、切断加工および詰め作業も考えたサイズ設定が好ましい。
詰め込むフレークは、1枚よりも2枚以上が好ましく、3枚以上でもよい。充填される空間サイズにより設定できる。
【0022】
他の本発明は、不規則なシワまたは不規則な立体形状を有し、かつ所定サイズの長繊維不織布のフレーク(小片)が特定部位に1または2以上充填されている衣類である。
他の本発明は、不規則なシワまたは不規則な立体形状を有し、かつ所定サイズの長繊維不織布のフレークが特定部位に1または2以上充填されている寝具である。
【0023】
充填されるフレークとしては、異なるサイズのフレークであってもよく、同じ切断工程で得られたフレークであってもよい。
充填された状態においてフレークの移動を規制するために、特定部位の空間サイズを製品仕様に応じて設定してもよい。
また、本発明において、特定部位に充填されたフレークが、特定部位の空間を構成するための生地(側生地)と固定(例えば縫製)されないことが好ましい。フレークは、単に詰められた状態である。単に詰められた状態であっても、使用時、洗濯後の偏りを抑制できる。
【0024】
「特定部位」は、例えば、小空間または細長い空間、首回り、フード、襟などの空間、側生地の収納部位などである。羽毛や綿、短冊状シートなどが充填しにくい部位でも、本発明のフレークは簡単に素早く充填できる。
特定部位が円柱状の場合、断面直径が10mmから60mm、高さが10mmから600mm、楕円柱状の場合、長半径が10mmから60mm、短半径が5mmから50mm、高さが10mmから600mm、直方体状の場合、縦が10mmから60mm、横が5mmから50mm、高さが10mmから600mmなどが例示される。
特定部位の端部は、例えば縫製加工の都合により、上記円柱状、楕円柱状、直方体状でなくともよい。
特定部位に充填されるフレークの充填密度は、30g/m〜600g/mであり、好ましくは30g/m〜500g/m未満であり、より好ましくは30g/m〜200g/m未満または30g/m〜100g/m未満である。
【0025】
また、他の本発明は、不規則なシワまたは不規則な立体形状を有し、かつ所定サイズの長繊維不織布のフレーク(小片)が全体的に充填されている、衣類である。
他の本発明は、不規則なシワまたは不規則な立体形状を有し、かつ所定サイズの長繊維不織布のフレーク(小片)が全体的に充填されている、寝具である。
「全体的に充填されている」とは、フレークが充填可能な空間を有する充填部位を、1個または2個以上有する衣類において、全ての充填部位にフレークが充填されている、好ましくは80%以上の数の充填部位にフレークが充填されていることを意味する。充填部位には、本発明のフレーク以外の生地(形状は問わない)が充填されていてもよい。フレーク以外の生地としては、長繊維不織布、羽毛、綿などを含んでいてもよい。
フレークが充填される充填部位は、フレークの移動を規制するための仕切り部(縫製加工)を有していてもよい。
充填部位中のフレークは、充填部位を構成するための生地と固定されないことが好ましい。
全体的に充填されるフレークの充填密度は、30g/m〜600g/mであり、好ましくは30g/m〜500g/m未満であり、より好ましくは30g/m〜200g/m未満または30g/m〜100g/m未満である。
【0026】
上記発明の一実施形態として、前記長繊維不織布およびフレークを構成する長繊維は、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、ビニロン、アラミド、アクリル、レーヨン、ポリエチレン、ポリウレタンおよび絹のうちの1種の長繊維あるいは2種以上の長繊維である。不規則なシワ形状または不規則な立体形状の形成、長時間形状保持、形状変形させた後の形状回復性の理由から、ポリエステルが好ましい。
ポリエステルとしては、ポリエステル(PET)と例えばイソフタル酸等で融点を変化させた変性PETの芯鞘糸の構成が例示される。
【0027】
また、他の発明の衣類または寝具は、特定部位に充填される上記長繊維不織布のフレークと、特定部位以外の部位の空間に、1枚または2枚以上重ねて設けられる上記不規則なシワまたは不規則な立体形状が形成された長繊維不織布とを有する構成である。
第一生地(表生地)と第二生地(裏生地)との間に上記不規則なシワまたは不規則な立体形状が形成された長繊維不織布が設けられ、第一、第二生地または他の生地における小空間あるいは細長い空間に上記長繊維不織布フレークが設けられる。これにより、大サイズの上記不規則なシワまたは不規則な立体形状が形成された長繊維不織布では充填できない小空間あるいは細長い空間に上記長繊維不織布のフレークを充填でき、小空間あるいは細長い空間における断熱性、保温性も向上させることができる。なお、第一、第二生地および他の生地は、長繊維不織布以外の生地である。
本発明のフレークは、不規則なシワまたは不規則な立体形状が形成されていない長繊維不織布で構成された衣類(または衣類の一部)、寝具(または寝具の一部)の特定部位に充填されてもよい。
【0028】
衣類は、特に制限されず、例えば、ベストタイプ、半袖タイプ、長袖タイプ、半ズボンタイプ、長ズボンタイプ、カバーオールタイプ、帽子、手袋、靴下、バラクラバ、ショール、腰巻、マフラーなどが挙げられる。
また、寝具は、特に制限されず、例えば、寝袋、掛け布団、敷き布団、枕、クッション、ブランケットなどが挙げられる。
【0029】
上記発明のフレークにおいて、不織布加工される前の長繊維、加工前の長繊維不織布、加工後の長繊維不織布、フレークは、各種加工処理(例えば、透湿防水加工、撥水加工、反発加工、抗菌防臭加工、吸水加工、難燃加工等)が適宜施されていてもよい。
【0030】
上記発明において、フレークが充填される側生地、および/または不規則なシワまたは不規則な立体形状が形成された長繊維不織布(フレークよりも大きいサイズ)を内層(単層、2以上の層でもよい)として収納する、第1、第2生地(大サイズの長繊維不織布を内層としたときに、第1、第2生地は表裏の外層を構成する)は、糸材料、縫製方法は特に制限されない。
また、内層の長繊維不織布、第1、第2生地は、各種加工処理(例えば、透湿防水加工、撥水加工、反発加工、抗菌防臭加工、吸水加工、難燃加工等)も適宜施されていてもよい。
第1、第2生地(第1、第2外層)は、同じ生地でもよく、異なる生地でもよい。
第1、第2生地は、例えば、編み組織、織り組織、不織布、フィルムである。第1、第2生地は、1層構造でも複層構造でもよいが、軽量性の観点から単層の方がより好ましい。第1、第2生地は、例えば、ポリエステル、ナイロン等の合成繊維でもよく、天然繊維でもよい。第1、第2生地は、1種類の繊維で構成されていてもよく、複数種類の繊維の組み合わせで構成されていてもよい。また、第1、第2生地の原糸(繊維)自体に上記各種加工処理が施されていてもよい。
【0031】
また、上記内層の生地は、第1外層と第2外層(第1生地と第2生地)と間に配置されるが、第1生地と第2生地との間に必ず配置されている必要はなく、衣類(衣類の形状、衣類のパーツ形状、パーツの必要性、目的)、寝具(寝具の形状、寝具のパーツ形状、パーツの必要性、目的)に応じて、内層が省略され、第1外層と第2外層のみ、あるいはその第1外層と第2外層との間に別の生地(あるいは部材)が存在している場合もある。例えば、フィット性あるいは締め付け用にゴム素材や、開閉自在の留め具が設けられていてもよい。留め具としては、例えば、通常のボタン、点ファスナー(例えば、スナップボタン)、線ファスナー(例えば、ジッパー、チャック)または面ファスナー(例えば、マジックテープ(登録商標))が挙げられ、これらを単独でまたは2種類以上を適宜組み合わせて用いることもできる。また、衣類には、ポケットが設けられていてもよい。
【0032】
また、上記発明において、衣類または寝具の特定部位(パーツ)に応じて、異なる立体形状(あるいは異なる嵩高さシワが形成された)の長繊維不織布を用いてもよい。不規則なシワの形状または不規則な立体形状としては、例えば、波形状、凹凸形状、シボ状、ひだ状等が挙げられる。
【0033】
また、上記発明の一実施形態として、内層として積層されるシート状の長繊維不織布同士は、所定間隔でお互いに縫製されていてもよく、さらに、第一生地側のシート状の長繊維不織布が第一生地と部分的に縫製され、第二生地側の長繊維不織布が第二生地と部分的に縫製されていてもよい。
【0034】
(原料となるシート状の長繊維不織布)
シート状の長繊維不織布(原反シート)は、湿式法(例えば、ウォーターパンチ方式)、乾式法(例えば、トウ開繊法、バーストファイバー法)、スパンボンド法(例えば、ケミカルボンド方式、サーマルボンド方式、ニードルパンチ方式)、メルトブロー法または直交積層結合で製造される。シワ形状の形成、維持の理由から、スパンボンド法、メルトブロー法または直交積層結合の製造方法が好ましい。図1Bで示すとおり、直交積層結合で製造された直交積層不織布は、整列した縦糸1と整列した横糸2とが重なった一体構造である。これは、厚みを薄くでき、かつ表面が平滑である。そのため、直交積層不織布は、スパンボンド法で製造された不織布よりも、薄肉化が可能であり、寸法安定性があり、引張強度も高い。例えば、目付が5g/m〜60g/m、厚みが50μm〜130μmである。引張強度は、縦方向が25〜300[N/50mm]、横方向が10〜90[N/50mm]である。また、直交積層結合の製造方法として、特開2003−213560に開示された製造方法が一例として挙げられる。
【0035】
シート状の長繊維不織布(原反シート)の長繊維は、繊維太さ(直径)が1μm〜100μmが好ましく、2μから50μmがより好ましく、5μm〜30μmがさらに好ましい。長繊維の繊維太さは、加工後も維持されることが好ましい。
【発明の効果】
【0036】
保温中綿材料として代表的な羽毛は、側生地で覆われた空間に自在に充填することが可能で、嵩高性に比して非常に軽量な利点があるが、非常に細くこまかいため、側生地の織り目の隙間から抜け出てしまう。それを防ぐため側生地にシレー加工などの圧熱処理や樹脂コーティングなど、生地表面の織り目の隙間を埋める加工が必要だった。織り目の隙間を埋めることで羽毛の抜けは防止できるが、側生地の通気性が失われてしまうため、衣服もしくは布団の内にムレが生じやすく、ムレが一旦生じると解消しづらいという問題があった。化学繊維や天然繊維の従来の綿も、繊維がこまかいので程度の差こそあれ、羽毛と同様に織り目から抜け出る問題があった。一方、本発明のフレークは、羽毛と同じく側生地で覆われた空間に自在に充填することが可能でありながら、綿の抜けが起こらないため、側生地の織り目の隙間を埋める加工の必要性がなく、それゆえ、側地に織地・編地・不織布など種類を問わず隙間の大きな通気性があるものを使用でき、通気性のある生地を側地に用いた製品は、必然的にムレにくい製品となる。
また、通気性のある側生地を使用できる保温中綿材料として、大きいサイズのシート状長繊維不織布が開発されている。サイズが大きいために、小空間や細長い空間に充填するのが難しい。一方、本発明のフレークは、側生地で覆われた小さな空間あるいは細長い空間にでも自在に充填することができる。
また、生地の織り目の隙間からの羽毛の抜け同様に、側生地の縫製の針穴からの羽毛の抜けの問題がある。そのため、羽毛製品用縫製糸や針穴、縫目のピッチなど細心の注意を払って縫製をしなければない上に、上記問題の根本的な解消には至らなかった。本発明のフレークは、そのような抜けも起こらないため、羽毛における対策そのものの必要がなく、縫製が容易で抜けが起きない。
また、羽毛の場合に、軽量で嵩高く、保温性が高くてしかも軽い製品を製造できる利点と、小さな袋などに詰め込んで圧縮するとコンパクトになり、収納に場所を取らない利点がある。本発明のフレークの場合でも、軽さと嵩高さ、コンパクト性を実現しており羽毛同様の利点がある。
また、羽毛は水に濡れると嵩が無くなり保温性を失う。また、濡れてしまうと乾きが遅く、乾いても本来の嵩高さが回復し難い問題があった。これに対し本発明のフレークは、長繊維不織布を原料としており、濡れても嵩高さが失われず、乾きが速く、乾くと本来の嵩高さが回復する。
ポリエステル綿は、羽毛同様の嵩高さを得るためには、重量が重くなる。また、収納時のコンパクト性は羽毛に対して劣る。これに対し、本発明のフレークは同じポリエステル原料を使用した長繊維不織布でありながら、羽毛と同様に、嵩高さ、収納時のコンパクト性で従来のポリエステル綿よりも非常に優れている。
また、通気性が高い側生地を使用できる本発明のフレークは、通気性が低い側地を使用した羽毛や綿(ワタ)を用いた保温性衣類や布団等に比べて、乾きやすいため、洗濯後の乾燥時間が短くて済む。
また、不織布であることから、ほこりが出にくい、それが要因となるアレルギーもでない。
また、ダニ、カビ、虫害に強く、それらが要因となるアレルギーもでない。
また、側生地(充填される側)と同一素材で構成することで、完全なリサイクルが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1A】シート状の長繊維不織布(原料)の一例を示す図である。
図1B】直交積層不織布を説明するための図である。
図1C】不規則なシワが形成された長繊維不織布の一例の平面視を示す。
図1D】不規則なシワが形成された長繊維不織布のX−Y平面上における嵩高さの一例を示す図である。
図2A】不規則なシワが形成された長繊維不織布の切断処理の一例を示す図である。
図2B】フレークのx−y平面上における嵩高さの一例を示す図である。
図2C】フレークの平面視サイズを規定する仮想矩形枠の一例を示す図である。
図2D】フレークの立体サイズを規定する仮想直方体の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本実施形態について図面を参照しながら説明するが、以下の実施形態に制限されるものではない。
図1A示す通り、長繊維不織布(原料)ロールR1から長尺の長繊維不織布10を引き出し、その長手方向と直交する幅方向に切断手段35で切断し、所定サイズのシート状の長繊維不織布11を得る。図1Bに、長繊維不織布が直交積層不織布であることを示す。
【0039】
直交積層不織布としては、例えば、PETと変性PETからなる芯鞘構造糸を、縦方向に配列したシート1と横方向に並列したシート2を重ね、熱処理を加えて低融点の鞘部分を溶かし、縦方向の配列繊維と横方向の配列繊維の交点を融着して一体とした不織布である。この構造は、縦糸1と横糸2が一体となった1層構造であり、多層の不織布構造とは区別されることに注意すべきである。
直交積層不織布の材料となる長繊維(芯鞘構造糸)は、太さが10μmであり、長繊維の平均長さが200mmである。長繊維は、短繊維フィラメントとは異なる。
【0040】
(フレークの製造方法)
不規則なシワまたは不規則な立体形状を形成する方法は以下のとおりである。
シート状の長繊維不織布11を袋体に詰めて湿熱(60°以上の熱水、水蒸気など)を与えることで、長繊維不織布11に不規則なシワまたは不規則な立体形状を形成する。長繊維不織布11を無造作に袋体にギュウギュウに詰め込むことが好ましい。湿熱を与える時間は、例えば10分以上が好ましい。湿熱を与えた後に、袋体から長繊維不織布を取り出し、40℃の熱風で乾燥させる。図1Cに乾燥後の不規則なシワまたは不規則な立体形状が形成された長繊維不織布111の一例の平面視を示す。
【0041】
図1Dに、不規則なシワが形成された長繊維不織布111のX−Y平面上における嵩高さの一例を示す。長繊維不織布111は、X−Y平面に置かれる。X−Y平面はX座標0〜6、Y座標0〜5の交点を有する格子形である。図1Dは、嵩高さhの一例として、Xが2〜5、Yが2から4の各位置における長繊維不織布111の断面視をグラフに示す。長繊維不織布111に、不規則なシワが多数形成されていることが分かる。
図1Dにおいて、不規則なシワが形成された長繊維不織布111の最大嵩高さ(hmax)は、長繊維不織布111の厚み(t)の200倍である。長繊維不織布111の厚み(t)は0.05mmであり、最大嵩高さ(hmax)は、10mmである。厚み(t)は、複数個所の平均値でもよい。
【0042】
次に、図2Aに示すように、不規則なシワが形成された長繊維不織布111に対し、シワを少し伸ばしてシワを伸ばした状態のシート状の長繊維不織布111aを形成し、切断面に対し垂直上下方向でシワによる同じ長繊維不織布同士の重なりがない状態で、菱形の抜き刃36でプレスカットする。不規則なシワが形成された長繊維不織布111を複数枚重ねてプレスカットしてもよい。
切断されたフレーク120は、切断前に伸ばしたシワが戻り、不規則なシワが現れる。
【0043】
図2Bに、フレーク120のx−y平面上における嵩高さの一例を示す。フレーク120は、x−y平面に置かれる。x−y平面はx座標0〜6、y座標0〜5の交点を有する格子形である。図2Bは、嵩高さhの一例として、xが2〜5、yが2から4の各位置におけるフレーク120の断面視をグラフに示す。フレーク120に、不規則なシワが多数形成されていることが分かる。
図2Bにおいて、任意の一つの不規則なシワが形成されたフレーク120の最大嵩高さ(hmax)は、フレーク120の厚み(t)の150倍である。フレーク120の厚み(t)は0.05mmであり、最大嵩高さ(hmax)は、7.5mmである。厚み(t)は、複数個所の平均値でもよい。フレーク120は、切断されたことで、最大嵩高さが長繊維不織布111よりも小さくなる傾向にある。
【0044】
また、任意の一つのフレーク120は、の所定サイズ当たり(例えば、シワ形成された状態の菱形状で2つの対角線が(1)10cm×10cm、(2)5cm×12cm、(3)18cm×27cm、(4)4cm×6cm)の嵩高さ(h)の分布(x−y座標の交点ポイントの分布)として、x−y平面からの垂直高さ、
0mm以上10mm未満が5ポイント以上、
10mm以上20mm未満が5ポイント以上、
20mm以上30mm未満が5ポイント以上、
30mm以上40mm未満が3ポイント以上、
40mm以上50mm未満が2ポイント以上、および
50mm以上が1ポイント以上の条件において、少なくとも2種以上の条件が成立する。
1枚の長繊維不織布111を切断加工した全てのフレークが上記関係を満たしていてもよく、複数枚の長繊維不織布111を切断したフレークにおける平均値が上記関係を満たしていてもよい。
【0045】
また、フレーク120は、シワを伸ばした面積がシワを伸ばす前の面積の1.1倍から1.5倍となり、その平均面積比が1.3倍である。
【0046】
(別実施形態)
上記実施形態では、不規則なシワが形成された長繊維不織布111をフレーク形状に切断する順番であったが、長繊維不織布11をフレーク形状に切断した後で、切断後のフレークに不規則なシワまたは不規則な立体形状を形成する順番でもよい。
また、長繊維不織布111に形成されたシワを少し伸ばしてプレスカットしたが、これに制限されず、長繊維不織布111の状態のままでプレスカットしてもよい。
上記実施形態において、シワが形成される前の長繊維不織布11は、直交積層不織布で製造されるものに限定されず、他の上記で例示された製造方法でもよい。また、材料となる長繊維は太さが10μmのポリエステルに限定されず、他の上記で例示された太さが0.1μm以上5μm未満、5μm以上10μm以下でもよい。
ポリエステル以外の他の上記で例示された材料でもよい。
【0047】
また、フレーク120の最大嵩高さ(hmax)がその厚み(t)の50倍以上、好ましくは100倍以上、より好ましくは150倍以上でもよい。
【0048】
不規則なシワまたは不規則な立体形状の形成方法は、長繊維不織布を袋体に詰めて湿熱(例えば60°以上の熱水、水蒸気など)を与えることに制限されず、湿熱と一緒に大気圧以上の圧力をかけてもよい。湿熱を与える時間は、10分に限定されず、10分〜24時間が例示される。湿熱を与えた後に袋体から取り出した長繊維不織布を40℃の熱風で乾燥させることに制限されず、30°〜150°の範囲の温度、または18°〜28°の範囲の室温下で自然乾燥させることでもよい。若しくは、90以上の熱を与えたローラにそのローラの回転速度よりも速く、長繊維不織布をローラの上で接触するように送り込むことで、シワを形成する方法など、他の方法を用いてもよい。
【0049】
不規則なシワの形成された長繊維不織布111(111a)を切断する工程は、上記プレスカットに限定されず、例えば、レーザカット、カッターによる引き切り、刃型による押し切りのいずれの切断方法でもよい。切断は、長繊維不織布111(または111a)を1枚または複数枚重ねた状態で切断してもよい。
【0050】
(実施例)
原反シート形状の長繊維不織布は、直交積層不織布である。直交積層不織布として、PETと変性PETからなる芯鞘構造糸を、縦方向に配列したシートと横方向に並列したシートを重ね、熱処理を加えて低融点の鞘部分を溶かし、縦方向の配列繊維と横方向の配列繊維の交点を融着した一体の長繊維不織布を用いた。
直交積層不織布の長繊維の太さが、約10μmである。
直交積層不織布の厚みが、約50μmである。(なお、縦方向の配列繊維がそれぞれ完全に接触せず並列に配列されているとは限らず重なりがある場合があり、同じく横方向の配列繊維がそれぞれ完全に接触せず並列に配列されているとは限らず重なりがある場合があるため、縦方向の繊維が重なった部位に、さらに横方向の繊維が重なった部位が重なる場合もあり、繊維太さから直接、生地厚みを計算により得られない場合もある。本実施例はデジタルノギスで測定した。)
直交積層不織布の目付が、約8g/mである。
【0051】
原反シート形状の長繊維不織布を所定サイズに切断し、それを袋体に詰めて湿熱(例えば60°以上の熱水、水蒸気など)を与えた。湿熱を与える時間は、1時間とした。湿熱を与えた後に袋体から取り出した長繊維不織布を40℃の熱風で乾燥させた。これにより、長繊維不織布に不規則なシワまたは不規則な立体形状が形成された。
その後、長繊維不織布を平らに伸ばして、複数枚重ね、プレス機による打ち抜きで、たて160mmよこ240mmの菱形形状に切断した。切断後にフレークは形状回復し不規則なシワまたは不規則な立体形状が形成された長繊維不織布のフレークを得た。
【0052】
不規則なシワまたは不規則な立体形状が形成された長繊維不織布の1m当たりの嵩高さの分布は、平面からの垂直高さ20mm以上30mm未満が5ポイント、30mm以上40mm未満が5ポイント、40mm以上50mm未満が3ポイント、および50mm以上が1ポイントであった。
不規則なシワまたは不規則な立体形状が形成されたフレーク(n=10)の嵩高さの平均分布は、平面からの垂直高さが10mm以上20mm未満が6ポイント、20mm以上30mm未満が4ポイント、30mm以上40mm未満が1ポイントであった。
測定試料を平面に置き、縦横格子状(例えば10mm間隔)の交点をポイントとし、そのポイントの垂直高さをゲージで測定した。
【0053】
(嵩高さ安定性評価)
1.試験器具
洗濯ネット(40cm×50cm 角型サイズ)
洗濯機(マルチ洗浄器 AK−M60 株式会社アルミス)
洗濯洗剤(ウルトラアタックネオ 花王株式会社)
1cm単位方眼罫入シート
2.試験サンプル
シート状の長繊維不織布(立体加工済み)(50cm×50cmの正方形に裁断したもの)
フレーク1(サイズ:180mm×270mmの菱形状(完全な菱形ではないことを意味する)
フレーク2(サイズ:40mm×60mmの菱形状(完全な菱形ではないことを意味する)
3.嵩高さ測定方法
(1)試験サンプルを、1cm単位方眼羅入シート状に平置きする。
(2)縦横格子状(1cm間隔)の交点をポイントとして、そのポイント箇所の垂直高さをゲージで測定する。
後述する試験前に、シート状の長繊維不織布は、ランダムに20箇所を選択し、マーキングしたのち、それぞれの垂直高さを測定する。フレーク1、フレーク2はそれぞれ、N=10にて評価をするため、N=1の中でランダムで2箇所を選択し、マーキングしたのち、N=10でそれぞれの垂直高さを測定(計20箇所)する。
4.洗濯試験
(1)各試験サンプルをそれぞれ洗濯ネットに封入する。
(2)5Lの水道水(常温)を洗濯機に入れ、推奨濃度になるよう洗濯洗剤を投入する。
(3)洗濯条件は、「標準コース」にて、「15分間攪拌しその後、5分間すすぎを行う」コースを連続で4回実施する。
(4)乾燥は常温で平置きにて実施する。
(5)各試験サンプルを「嵩高さ測定方法」に従って嵩高さを測定する。
5.浸漬試験および荷重回復試験
(1)各試験サンプルをそれぞれ常温の水に、30分間浸漬する。
(2)各試験サンプルを常温、平置きにて乾燥する。
(3)各試験サンプルを「嵩高さ測定方法」に従って、嵩高性を測定する。(浸漬試験)
(4)一定の重量(3kg)にて試験サンプルに荷重をかけ、2時間放置する。
(5)各試験サンプルを30分間放置する。
(6)各試験サンプルを「嵩高さ測定方法」に従って、嵩高性を測定する。(浸漬後荷重回復試験)
【0054】
上述の評価結果は以下の通りであった。
1.洗濯試験の評価
上記洗濯試験に基づいて、洗濯前後(乾燥後)の各試験サンプルの嵩高さ(mm)の平均値を比較した。シート状の長繊維不織布は、嵩高さの平均値が洗濯前で15.55mm、4回洗濯後で8.45mmと約54%の低下が見られた。一方、フレーク1(180mm×270mm)は嵩高さの平均値が、洗濯前で21.55mm、4回洗濯後で18.4mmと約15%の低下が見られた。フレーク2(40mm×60mm)は嵩高さの平均値が、洗濯前で13.9mm、4回洗濯後で14.45mmと約4%の上昇が見られた。
嵩高さ(h)が、平面からの垂直高さが0mm以上10mm未満、10mm以上20mm未満、20mm以上30mm未満、30mm以上となる測定箇所の合算数の分布において、シート状の長繊維不織布のほうがフレークよりも、洗濯前よりも洗濯後で、嵩高さの分布の低い値への変動が顕著に大きかった。
この結果から、小さい面積のフレークの方が、それよりも大きい面積のフレークまたはシート状よりも洗濯試験における嵩高さの形態安定性、回復性が高いことが確認された。
【0055】
2.浸漬試験の評価
浸漬試験に基づいて、浸漬前後の各試験サンプルの嵩高さ(mm)の平均値を比較した。シート状の長繊維不織布は、嵩高さの平均値が浸漬前で16.25mm、浸漬乾燥後で16.45mmとほぼ変化が見られなかった。フレーク1(180mm×270mm)は嵩高さの平均値が、浸漬前で15.2mm、浸漬乾燥後で16.85mmとほぼ変化が見られなかった。フレーク2(40mm×60mm)は嵩高さの平均値が、浸漬前で11.7mm、浸漬乾燥後で11.95mmとほぼ変化が見られなかった。
この結果から、フレークは、シート状の長繊維不織布と同等の形態安定性であることが確認される。
【0056】
3.浸漬後荷重回復試験の評価
浸漬後荷重回復試験に基づいて、各試験サンプルに対し浸漬試験後に一定の加重をかけたのち、形態安定性を比較した。シート状の長繊維不織布は嵩高さの平均値が、荷重前で16.45mm、回復後で12.7mmと約22%の低下が見られた。フレーク1(180mm×270mm)は嵩高さの平均値が、荷重前で16.85mm、回復後で15.35mmと約9%の低下が見られた。フレーク2(40mm×60mm)は嵩高さの平均値が、荷重前で11.95mm、回復後で11.35mmと約5%の低下が見られた。
この結果から、小さい面積のフレークの方が、それよりも大きい面積のフレークまたはシート状よりも浸漬後荷重回復試試験における嵩高さの形態安定性、回復性が高いことが確認された。
【0057】
(フレークが充填された衣類、寝具など)
本実施形態の衣類または寝具は、上記フレーク120を小空間や細長い空間に充填して構成されている。衣類は、特に制限されず、例えば、ベストタイプ、半袖タイプ、長袖タイプ、半ズボンタイプ、長ズボンタイプ、カバーオールタイプ、帽子、手袋、靴下、バラクラバ、ショール、腰巻、マフラーなどが挙げられる。また、寝具は、特に制限されず、例えば、寝袋、掛け布団、敷き布団、枕、ブランケットなどが挙げられる。
【0058】
(実施例)
フレークを充填したベストとして、不規則なシワが形成されている長繊維不織布111がベスト前身頃に設けられ、フレーク120が首回りに充填される。充填されるフレークは、適度に小さくして充填される。収納部位の空間に応じて充填枚数も設定される。
【0059】
(保温性評価)
1.試験サンプル
シート状の長繊維不織布(立体加工済み)(30cm×30cmの正方形に裁断したもの)
フレーク1(サイズ:180mm×270mmの菱形状(完全な菱形ではないことを意味する)
フレーク2(サイズ:40mm×60mmの菱形状(完全な菱形ではないことを意味する)
2.試験方法
(1)試験環境温度を20℃、65%RHに保つ。
(2)KES−F7サーモラボII試験機(カトーテック株式会社)を用い、一定温度(環境温度+10℃)に設定した熱版に試験片をセットする。
(3)試験片を介して放散された熱量(a)を求める。
(4)試験片をセットしていない状態で放散された熱量(b)を求め、下記の式に従い保温率(%)を算出する。
(式)保温率(%)=(1−a/b)×100
(5)フレーク1、フレーク2で保温率の差を比較した。30cm×30cmの座布団形状の袋1にフレーク1を、同形状の袋2にフレーク2を、それぞれ20g充填し、保温率を測定する。
(6)フレーク2、シート状の長繊維不織布で保温率の差を比較した。30cm×30cmの座布団形状の袋3にフレーク2を24g充填し、同形状の袋4にシート状の長繊維不織布を6枚(24g)積層した状態で充填し、保温率を測定する。
【0060】
【表1】
以上の結果から、フレークは、シート状の長繊維不織布と同等の保温性を示すことが確認された。
【0061】
(保温性評価:湿潤条件)
1.試験サンプル
シート状の長繊維不織布(立体加工済み)(30cm×30cmの正方形に裁断したもの)
700フィルパワーダウン(「700フィルパワー」は1オンスの羽毛が700立法インチの体積に膨らんでいること、「ダウン」は羽毛がタンポポの綿毛のような形を意味する。)
2.試験方法
(1)試験サンプル(5g)を十分に水(20℃)に浸し、遠心脱水機によって30秒脱水する。
(2)脱水した試験サンプルを30分間静置したのち、サーモラボII型試験機にて、消費熱量を測定する。
【0062】
【表2】
消費熱量が高いほど、保温効果が低いことを意味する。よって、湿潤状態では、羽毛よりもシート状の長繊維不織布の方が、保温効果が高いことが確認された。上記表1の結果を参酌することで、羽毛よりもフレークの方が、保温効果が高いことが推察できる。
【符号の説明】
【0063】
10 原反の長繊維不織布
11 切断後のシート状の長繊維不織布
111 不規則なシワが形成された長繊維不織布
111a シワを伸ばした状態のシート状の長繊維不織布
120 長繊維不織布のフレーク
36 菱形の抜き刃
【要約】
【課題】従来の短繊維あるいは発泡樹脂を材料としたものではなく、側生地から中綿の繊維抜けが発生せず、軽量で収納袋に詰め込んで小さくして収納するコンパクト性がある、不規則なシワあるいは不規則な立体形状を有する長繊維不織布のフレークを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、不規則なシワまたは不規則な立体形状を有し、かつ所定形状および所定サイズの長繊維不織布のフレーク120である。前記長繊維不織布のフレークの所定サイズ当たりの最大嵩高さは、その長繊維不織布のフレークの厚み(t)の100倍以上であってもよい。前記長繊維不織布のフレークの厚み(t)は、0.01mm〜1.0mmであってもよい。
【選択図】図2B
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D