【0026】
なお、これらを2種以上組み合わせて使用してもよい。
界面活性剤は、ガラス粉体へ大きな滑り性を与えるために、本発明のガラス粉体顆粒は大きな流動性を有し、マトリックス樹脂と配合調製される際、押出機へのフィード部での詰まり、食い込み不良等を起こさせない。また、ガラス粉体のマトリックス樹脂との濡れ性を改善し、ガラス粉体のマトリックス樹脂への均一分散性を与え、コンパウンド樹脂成形品の強度が安定する。
しかし、通常、これら界面活性剤を結合剤に過剰に加えると、ガラス粉体同士の結合力が阻害され、造粒し顆粒状にしたガラス粉体顆粒は崩れやすくなるが、特にノニオン界面活性剤のポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルは、結合力阻害への影響が低い。また、ノニオン界面活性剤は、結合剤含有液を構成するの他の成分であるシランカップリング剤や樹脂のエマルジョンと混合しても沈殿を生ずることなく長時間に亘って安定であるために扱いやすい。
[エポキシ樹脂エマルジョン]
結合剤中のエポキシ樹脂は、前記ガラス粉体同士を結合させる働きと、前記ガラス粉体とマトリックス樹脂との馴染みを良くし、前記ガラス粉体とマトリックス樹脂との接着性発現に寄与する。特に、エポキシ等量(1グラム当量のエポキシ基を含む樹脂のグラム数)が小さいものが良く、例えば、エポキシ等量が170〜210g/eqのエポキシ樹脂が良い。前記エポキシ樹脂は、ノニオン界面活性剤と共にホモジナイザーで攪拌混合してエマルジョンにして使用することができる。前記エポキシ樹脂としてビスフェノールA型樹脂は株式会社ADEKA製の商品名アデカレジンPCシリーズなどが、フェノールノボラック型樹脂は新日鉄住金化学株式会社の商品名YDPN−638などを用いることができる。また、フェノールノボラック型のエポキシ樹脂のエマルジョン品としてヘンケルジャパン株式会社製の商品名エポルジョンEA10、HC32、HC35及びHC78が入手できる。
[ウレタン樹脂エマルジョン]
ウレタン樹脂は、主に前記ガラス粉体同士の結合力の発現に寄与する。ウレタン樹脂は、ポリオールとジイソシアネートの重合体であるが、ポリオールとしてポリエーテルを用いたウレタン樹脂は比較的耐水性に優れ、ポリエステルを用いたものは耐熱性に優れる。ジイソシアネートとしてキシリレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートを用いた場合は、ウレタン樹脂が黄色に変色し難くい。例えば、ポリエーテルとキシリレンジイソシアネートと重合させたウレタン樹脂のエマルジョンとしてヘンケルジャパン株式会社製の商品名ヨドゾールRC32が入手できる。また、ソープフリータイプ即ち乳化剤を含まない自己乳化型のウレタン樹脂のエマルジョンとしてDIC株式会社製の商品名ボンディック2210、2220が入手できる。
[シランカップリング剤]
シランカップリング剤は、有機ケイ素化合物であり、分子中に2種以上の反応基をもち、その1つがガラス粉体の表面と反応し、他の反応基がマトリックス樹脂と作用するため、ガラス粉体とマトリックス樹脂との馴染みを改善させることができる。
シランカップリング剤としては、アミノシラン又は/及びエポキシシランが好適に用いられ、アミノシランは、特に限定されるものではないが、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、3−(N−フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン及びN−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩が好ましい。特に、汎用的に使用され入手が容易でコスト的に利点のある、3−アミノプロピルトリエトキシシランが好適に使用でき、サイラエースS330(チッソ株式会社製、純度98質量%)として入手できる。
エポキシシランは、特に限定されるものではないが、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン及び3-グリシドキシプロピルトリエトキシシランが望ましい。特に、汎用的に使用され入手が容易でコスト的に利点のある、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが好適に使用でき、KBM−403(信越化学工業株式会社製、純度100質量%)として入手できる。
なお、前記シランカップリング剤を2種類以上組み合わせて使用してもよい。
また、前記のエポキシ樹脂とウレタン樹脂は、前記シランカップリング剤及びマトリックス樹脂との馴染みがよい。前記のエポキシ樹脂とウレタン樹脂及び前記シランカップリング剤を併用すれば、前記ガラス粉体はマトリックス樹脂と強固に結合し、補強材としての十分な機能を発揮することができる。
前記のエポキシ樹脂とウレタン樹脂及び前記シランカップリング剤の各成分の造粒皮膜中の含有比率は特に限定されないが、エポキシ樹脂とウレタン樹脂及びシランカップリング剤を合わせた固形分質量を100%基準とする質量百分率で表して、エポキシ樹脂が40〜70質量%、ウレタン樹脂が20〜50質量%、シランカップリング剤が10〜40質量%が好ましい。エポキシ樹脂の含有比率が過小即ちウレタン樹脂の含有比率が過大の場合、マトリックス樹脂成形品の強度が劣る又は/及びマトリックス樹脂成形品が着色しやすくなる。また、ガラス粉体顆粒のガラス粉体同士の結合力が過大となり、押出機でマトリックス樹脂と溶融混合した後も、ガラス粉体顆粒は、そのままの形態で存在し、補強材としての効果が低下する。一方、エポキシ樹脂の含有比率が過大即ちウレタン樹脂の含有比率が過小の場合、射出成形時のマトリックス樹脂の溶融粘度が高く、微細な形の成形品を成形する際支障をきたす又は/及びガラス粉体顆粒のガラス粉体同士の結合力が低下し、前記ガラス粉体の顆粒が崩れやすくなり押出機へのフィード部での詰まり、食込み不良を起こす。シランカップリング剤の含有比率が過小の場合、マトリックス樹脂成形品の強度が劣り、過大即ち上記比率が40質量%を超えてもマトリックス樹脂成形品の強度上昇は見込めない。
[結合剤]
結合剤含有液は、通常は水又はアルコールを溶媒として、前記ガラス粉体の表面に各成分が均一に存在しうるようにその濃度を調整される。溶媒を含む結合剤含有液の全質量に対して結合剤は、1〜10質量%であることが好ましい。この結合剤の含有率が1質量%未満の場合は、濃度が低すぎて、ガラス粉体の表面に結合剤が十分に付着することができず、一方、10質量%を越えると、濃度が高すぎて、所望の結合剤の付着率に調整すること及びガラス粉体の表面に均一に塗布することが困難になる。結合剤にはシランカップリング剤、樹脂成分及び界面活性剤の他に、この発明の目的を損なわない範囲で公知の添加剤、例えば消泡剤、帯電防止剤を加えてもよい。
結合剤含有液の調製方法は、とくに限定されるものではなく、常温大気圧下でシランカップリング剤を溶媒中に添加して加水分解後、樹脂エマルジョン、界面活性剤等を溶媒中に適宜添加し、均一になるまで撹拌することにより調製される。
前記ガラス粉体に結合剤含有液を塗布し造粒して乾燥させる。その結合剤の付着率、即ち、結合剤含有液を塗布し乾燥させた前記ガラス粉体の顆粒に対する前記結合剤の質量百分率は0.1〜2質量%である。
【実施例】
【0035】
以下、実施例と比較例により本発明を詳細に説明する。
【0036】
実施例及び比較例では下記のガラス紛体を使用した。
<ミルドファバー>
平均繊維径11μm、平均繊維長150μmのEガラス組成のミルドファイバー(セントラルグラスファイバー株式会社製、EFH150−31)
<鱗片状ガラス体>
平均粒径140μm、平均厚さ5μmのEガラス組成の鱗片状ガラス体。
【0037】
本実施例と比較例で得たガラス粉体顆粒の評価は以下の方法で実施した。
<強熱減量>
ガラス粉体顆粒に付着している結合剤の付着量である。
【0038】
ガラス粉体顆粒を、625℃で20分間加熱後の質量変化率を、加熱前の顆粒の質量を基準に質量百分率で表す。式は、(結合剤の付着率、質量%)=(加熱前後のガラス粉体顆粒の質量変化量)/(加熱前のガラス粉体顆粒の質量)×100である。
<フィード性>
ガラス粉体顆粒又は/及びガラス粉体2kg、ABS樹脂(旭化成株式会社製 スタイラックABS120)3kgとをV型混合機で混合して配合し、押出機(ユニオンプラスチック株式会社製、型式V−USV)のホッパーに投入し、ガラス粉体顆粒又は/及びガラス粉体とABS樹脂配合物の押出機へのフィード(供給)性を観察した。ホッパーに滞ることなく押出機へ供給された場合は○、ホッパーに滞り押出機への供給に支障が生じた場合を×とした。
<ミルドファイバーと鱗片状ガラス体との混合紛体のマトリックス樹脂中への分散性>
ここで得られたガラス紛体顆粒をマトリックス樹脂に配合して、その分散性を測定した。押出成形機(ユニオンプラスチック株式会社製、型式V−USV)を用いて、ガラス紛体顆粒40質量部、ABS樹脂100質量部の割合で配合し、ペレットを成型した。このペレットについて軟X線写真で観察した。この観察において、ペレット500個中に存在する鱗片状ガラス体の塊の数により、分散性を評価した。鱗片状ガラス体の塊が存在しなかった場合を「5」、1つの場合を「4」、2つの場合を「3」、3つの場合を「2」、4つ以上の場合を「1」とした。
<引張強さ(ウエルド強さ)>
押出機(ユニオンプラスチック株式会社製、型式V−USV)を用いて、ミルドファイバーと鱗片状ガラス体との混合粉体の顆粒2kgとABS樹脂3kgとをV型混合機で混合して配合し、上記押出機のホッパに投入し、ペレットを成型した。
さらに、前記ペレットを射出成型機(日精樹脂工業株式会社製、型式FS80S12ASE)と1点ゲートの引張試験片金型を用いて引張試験片を、2点ゲートの引張試験片金型を用いてウエルドラインが形成された引張試験片を射出成型し、各々10本作製し、引張強さを測定し、その平均値を求めた(ASTM D638に準拠:測定温度23℃)。1点ゲートの引張試験片金型を用いて作製した引張試験片の引張強さを「引張強さ」、2点ゲートの引張試験片金型を用いてウエルドラインが形成された引張試験片の引張強さを「ウエルド強さ」と以下記載する。
【0039】
実施例1
(ビスフェノールA型エポキシ樹脂エマルジョンの調整)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(D)(株式会社ADEKA製、商品名アデカレジンEP−4100、エポキシ当量190)100質量部に、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル(A)(第一工業製薬株式会社製、ノイゲンEA197D、固形分濃度60質量%)8.3質量部とに、水20質量部を加え、ホモジナイザーで3分間5000rpmで攪拌混合した。引き続き、加えた水の総量が91.7質量部になるまで、水の添加及び攪拌を繰り返し、転相を確認して、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(D)エマルジョンを得た。
【0040】
前記ビスフェノールA型エポキシ樹脂(D)エマルジョン中のビスフェノールA型エポキシ樹脂(D)とポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル(A)の濃度は、各々、50.0質量%、2.5質量%となる。
(結合剤含有液の調製)
水を溶媒として、先ず、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(B)(チッソ株式会社製、商品名サイラエースS330、純度98質量%)、ポリエステル系ウレタン樹脂(C)エマルジョン(DIC株式会社製、商品名ボンディック2210、固形分濃度40質量%)、及び前記ビスフェノールA型エポキシ樹脂(D)エマルジョンを、各々、25.5質量部、87.5質量部、80質量部と、全固形分が6質量%となるように水を加え結合剤含有液の前駆体を調整した。前記(D)に内在するポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル(A)も含め、前記(A)、(B)、(C)及び(D)を合わせた固形分質量を100%基準とする質量百分率で表して、前記(A)が2質量%、前記(B)が25質量%、前記(C)が34質量%、及び前記(D)が39質量%であった。
【0041】
次に、前記前駆体にポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル(A)(第一工業製薬株式会社製、ノイゲンEA197D、固形分濃度60質量%)14質量部を加え、前記(A)、(B)、(C)及び(D)を合わせた固形分質量を100%基準とする質量百分率で表して、前記(A)が9.4質量%になるように調製した。さらに、水を添加し、全固形分が4.5質量%になるように調製し、結合剤含有液を調製した。
【0042】
結合剤中の前記(A)、前記(B)、前記(C)、及び前記(D)の各々の質量は各々の固形分濃度から固形分に換算して求めた。また、前記(B)の質量は、未加水分解物として求めた。
(ミルドファイバーと鱗片状ガラス体との混合粉体の造粒)
平均繊維径11μm、平均繊維長150μmのEガラス組成のミルドファイバーと、平均粒径140μm、平均厚さ5μmのEガラス組成の鱗片状ガラス体とを質量比率で1:1の割合で、アキシャルミキサー(杉山重工株式会社製)に投入した後予備混合し、前記結合剤含有液を投入して攪拌造粒したあと、120℃に設定した乾燥機にて水分率が0.1質量%以下になるまで乾燥し、ミルドファイバーと鱗片状ガラス体の混合粉体の顆粒を得た。結合剤の付着率は強熱減量で0.6質量%であった。
(引張試験片の作製)
前記の<引張強さ(ウエルド強さ)>に従い、試験片を作製した。なお、押出機から採取したペレットは、全量一括してよく混合して射出成形機に投入した。
実施例2
(結合剤含有液の調製)
実施例1と同様にして、同じ組成、固形分濃度の結合剤含有液の前駆体を調整した。
次に、前記前駆体にポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル(A)(第一工業製薬株式会社製、ノイゲンEA197D、固形分濃度60質量%)1.9質量部を加え、前記(A)、(B)、(C)及び(D)を合わせた固形分質量を100%基準とする質量百分率で表して、前記(A)が3質量%になるように調製した。さらに、水を添加し、全固形分が4.5質量%になるように調製し、結合剤含有液を調製した。
(ミルドファイバーと鱗片状ガラス体との混合粉体の造粒)
実施例1と同様にして、ミルドファイバーと鱗片状ガラス体との混合粉体の造粒を行い、強熱減量で0.6質量%のミルドファイバーと鱗片状ガラス体との混合粉体の顆粒を得た。
(引張試験片の作製)
前記の<引張強さ(ウエルド強さ)>に従い、試験片を作製した。なお、押出機から採取したペレットは、全量一括してよく混合して射出成形機に投入した。
実施例3
(結合剤含有液の調製)
実施例1と同様にして、同じ組成、固形分濃度の結合剤含有液の前駆体を調整した。
次に、前記前駆体にポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル(A)(第一工業製薬株式会社製、ノイゲンEA197D、固形分濃度60質量%)28.5質量部を加え、前記(A)、(B)、(C)及び(D)を合わせた固形分質量を100%基準とする質量百分率で表して、前記(A)が16質量%になるように調製した。さらに、水を添加し、全固形分が4.5質量%になるように調製し、結合剤含有液を調製した。
(ミルドファイバーと鱗片状ガラス体との混合粉体の造粒)
実施例1と同様にして、ミルドファイバーと鱗片状ガラス体との混合粉体の造粒を行い、強熱減量で0.6質量%のミルドファイバーと鱗片状ガラス体との混合粉体の顆粒を得た。
(引張試験片の作製)
前記の<引張強さ(ウエルド強さ)>に従い、試験片を作製した。なお、押出機から採取したペレットは、全量一括してよく混合して射出成形機に投入した。
実施例4
(結合剤含有液の調製)
実施例1と同様にして、同じ組成の結合剤含有液を調整した。
(ミルドファイバーと鱗片状ガラス体との混合粉体の造粒)
平均繊維径11μm、平均繊維長150μmのEガラス組成のミルドファイバーと、平均粒径140μm、平均厚さ5μmのEガラス組成の鱗片状ガラス体とを質量比率で2:1の割合で、アキシャルミキサー(杉山重工株式会社製)に投入した後予備混合し、前記結合剤含有液を投入して攪拌造粒したあと、120℃に設定した乾燥機にて水分率が0.1質量%以下になるまで乾燥し、ミルドファイバーと鱗片状ガラス体の混合粉体の顆粒を得た。結合剤の付着率は強熱減量で0.6質量%であった。
(引張試験片の作製)
前記の<引張強さ(ウエルド強さ)>に従い、試験片を作製した。なお、押出機から採取したペレットは、全量一括してよく混合して射出成形機に投入した。
実施例5
(結合剤願液の調製)
実施例1と同様にして、同じ組成の結合剤液を調整した。
(ミルドファイバーと鱗片状ガラス体との混合粉体の造粒)
平均繊維径11μm、平均繊維長150μmのEガラス組成のミルドファイバーと、平均粒径140μm、平均厚さ5μmのEガラス組成の鱗片状ガラス体とを質量比率で1:2の割合で、アキシャルミキサー(杉山重工株式会社製)に投入した後予備混合し、前記結合剤含有液を投入して攪拌造粒したあと、120℃に設定した乾燥機にて水分率が0.1質量%以下になるまで乾燥し、ミルドファイバーと鱗片状ガラス体の混合粉体の顆粒を得た。
結合剤の付着率は強熱減量で0.6質量%であった。
(引張試験片の作製)
前記の<引張強さ(ウエルド強さ)>に従い、試験片を作製した。なお、押出機から採取したペレットは、全量一括してよく混合して射出成形機に投入した。
比較例1
ミルドファイバーと鱗片状ガラス体との混合粉体は、実施例1と同じようにして準備し、結合剤含有液を塗布しなかった。
(引張試験片の作製)
前記の<引張強さ(ウエルド強さ)>に従い、試験片を作製した。なお、押出機から採取したペレットは、全量一括してよく混合して射出成形機に投入した。
比較例2
ミルドファイバーと鱗片状ガラス体との混合粉体は、実施例1と同じようにして準備し、前記(B)の25質量%加水分解水溶液を準備した。前記(B)の固形分濃度は、未加水分解物の質量を基準にして求めた。
前記加水分解水溶液を実施例1と同じミルドファイバーと鱗片状ガラス体との混合粉体をアキシャルミキサー(杉山重工株式会社製)に投入した後予備混合し、前記結合剤含有液を投入して攪拌造粒したあと、120℃に設定した乾燥機にて水分率が0.1質量%以下になるまで乾燥し、ミルドファイバーと鱗片状ガラス体の混合粉体の顆粒を得た。強熱減量は0.1質量%であった。前記顆粒体は、崩れやすく、樹脂ペレットと混合した際は、ほとんど顆粒体が崩れていた。
(引張試験片の作製)
前記の<引張強さ(ウエルド強さ)>に従い、試験片を作製した。なお、押出機から採取したペレットは、全量一括してよく混合して射出成形機に投入した。
比較例3
(結合剤含有液の調製)
実施例1と同様にして、同じ組成、固形分濃度の結合剤含有液の前駆体を調整した。
次に、水を添加し、全固形分が4.5質量%になるように調製し、結合剤含有液を調製した。
該結合剤に含まれる前記(A)の固形分濃度は、前記(A)、(B)、(C)及び(D)を合わせた固形分質量を100%基準とする質量百分率で表して、2質量%であった。
(ミルドファイバーと鱗片状ガラス体との混合粉体の造粒)
実施例1と同様にして、ミルドファイバーと鱗片状ガラス体との混合粉体の造粒を行い、強熱減量で0.6質量%のミルドファイバーと鱗片状ガラス体との混合粉体の顆粒を得た。
(引張試験片の作製)
前記の<引張強さ(ウエルド強さ)>に従い、試験片を作製した。なお、押出機から採取したペレットは、全量一括してよく混合して射出成形機に投入した。
比較例4
(結合剤含有液の調製)
実施例1と同様にして、同じ組成、固形分濃度の結合剤含有液の前駆体を調整した。
次に、前記前駆体にポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル(A)(第一工業製薬株式会社製、ノイゲンEA197D、固形分濃度60質量%)31.4質量部を加え、前記(A)、(B)、(C)及び(D)を合わせた固形分質量を100%基準とする質量百分率で表して、前記(A)が17.2質量%になるように調製した。さらに、水を添加し、全固形分が4.5質量%になるように調製し、結合剤含有液を調製した。
(ミルドファイバーと鱗片状ガラス体との混合粉体の造粒)
実施例1と同様にして、ミルドファイバーと鱗片状ガラス体との混合粉体の造粒を行い、強熱減量で0.6質量%のミルドファイバーと鱗片状ガラス体との混合粉体の顆粒を得た。
(引張試験片の作製)
前記の<引張強さ(ウエルド強さ)>に従い、試験片を作製した。なお、押出機から採取したペレットは、全量一括してよく混合して射出成形機に投入した。
比較例5
(結合剤含有液の調製)
実施例1と同様にして、同じ組成の結合剤含有液を調整した。
(ミルドファイバーと鱗片状ガラス体との混合粉体の造粒)
平均繊維径11μm、平均繊維長150μmのEガラス組成のミルドファイバーと、平均粒径140μm、平均厚さ5μmのEガラス組成の鱗片状ガラス体とを質量比率で2:1の割合で、アキシャルミキサー(杉山重工株式会社製)に投入した後予備混合し、前記結合剤含有液を投入して攪拌造粒したあと、120℃に設定した乾燥機にて水分率が0.1質量%以下になるまで乾燥し、ミルドファイバーと鱗片状ガラス体の混合粉体の顆粒を得た。結合剤の付着率は強熱減量で2.5質量%であった。
(引張試験片の作製)
前記の<引張強さ(ウエルド強さ)>に従い、試験片を作製した。なお、押出機から採取したペレットは、全量一括してよく混合して射出成形機に投入した。
参考例1
(結合剤含有液の調製)
実施例1と同じ組成、同じ操作にて結合剤含有液を調製した。
(ミルドファイバーの造粒)
平均繊維径11μm、平均繊維長150μmのEガラス組成のミルドファイバーを、アキシャルミキサー(杉山重工株式会社製)に投入した後予備混合し、前記結合剤含有液を投入して攪拌造粒したあと、120℃に設定した乾燥機にて水分率が0.1質量%以下になるまで乾燥し、ミルドファイバーの顆粒を得た。結合剤の付着率は強熱減量で0.6質量%であった。
(引張試験片の作製)
前記の<引張強さ(ウエルド強さ)>に従い、試験片を作製した。なお、押出機から採取したペレットは、全量一括してよく混合して射出成形機に投入した。
参考例2
(結合剤含有液の調製)
実施例1と同じ組成、同じ操作にて造粒剤を調製した。
(鱗片状ガラス体の造粒)
平均粒径140μm、平均厚さ5μmのEガラス組成の鱗片状ガラス体を、アキシャルミキサー(杉山重工株式会社製)に投入した後予備混合し、前記結合剤含有液を投入して攪拌造粒したあと、120℃に設定した乾燥機にて水分率が0.1質量%以下になるまで乾燥し、鱗片状ガラス体の混合粉体の顆粒を得た。結合剤の付着率は強熱減量で0.6質量%であった。
(引張試験片の作製)
前記の<引張強さ(ウエルド強さ)>に従い、試験片を作製した。なお、押出機から採取したペレットは、全量一括してよく混合して射出成形機に投入した。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
実施例1〜5の結果が示すように、本発明の技術的範疇に入るミルドファイバーと鱗片状ガラス体との混合粉体の顆粒とABS樹脂ペレットとの配合物を押出機のホッパーへ投入したときフィード性は良好であった。
更に、実施例1〜5の結果から、前記配合物を押出機で溶融混練して得られたペレット中のミルドファイバーと鱗片状ガラス体との分散性は良好であり、このペレットで射出成形した試験片の引張強さは本発明の技術的範疇から外れる比較例1〜5と比較して高い値で安定していた。
【0047】
引張強さは、結合剤とマトリックス樹脂との相溶性と、ガラス粉体顆粒の分散性に影響される。本実施例1〜5と比較例1〜4の結果から、マトリックス樹脂へのミルドファイバーと鱗片状ガラス体との分散性はフィード性の影響を受けることを示す。従って、相溶性とフィード性を両立させることが重要である。なお、比較例5は、結合剤の付着率が高いので、ガラス粉体顆粒が崩れずに顆粒の状態を保っているのでフィード性が良い。しかし、ガラス粉体顆粒が崩れ難く、マトリックス樹脂中への分散性が悪いために引張強さは低い。
【0048】
補強材がミルドファイバーのみの参考例1は、ウエルド強さは低い。これはミルドファイバーを構成するガラス繊維がウエルドラインに沿って配向するためと考えられる。一方、補強材が鱗片状ガラス体のみの参考例2は、参考例1よりもウエルド強さが高く、鱗片状ガラス体を補強材として用いるとウエルド強さが改善されることがわかる。
【0049】
実際に、ミルドファイバーと鱗片状ガラス体の混合粉体を補強材としている実施例1〜5をみると、ミルドファイバーのみを補強材としている参考例1と比較してウエルド強さが高い。