特許第6578554号(P6578554)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6578554
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】振動スピーカ
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/24 20060101AFI20190912BHJP
   H04R 1/00 20060101ALI20190912BHJP
   H04R 7/04 20060101ALI20190912BHJP
   H04R 9/02 20060101ALI20190912BHJP
   H04R 17/00 20060101ALI20190912BHJP
【FI】
   H04R1/24 Z
   H04R1/00 310F
   H04R7/04
   H04R9/02 102E
   H04R17/00
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-124273(P2016-124273)
(22)【出願日】2016年6月23日
(65)【公開番号】特開2017-228958(P2017-228958A)
(43)【公開日】2017年12月28日
【審査請求日】2019年4月22日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516188836
【氏名又は名称】株式会社ARI大阪
(72)【発明者】
【氏名】藤原 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】大木 研一
(72)【発明者】
【氏名】大槻 智子
【審査官】 柴垣 俊男
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭50−52927(JP,U)
【文献】 実開昭63−200999(JP,U)
【文献】 特開2006−140740(JP,A)
【文献】 特開昭56−149900(JP,A)
【文献】 実開昭60−129799(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/24
H04R 1/00
H04R 7/04
H04R 9/02
H04R 17/00
H04R 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁石を含む磁性体で構成された磁気回路体と、ボイスコイルと、振動板とを備え、
前記磁気回路体は、筒孔を有する内壁、前記内壁の下部と接続する下壁、前記下壁の外周側と接続する外壁、前記外壁の上部と接続する上壁により、略ドーナツ状の磁気回路で、かつ、一部に磁気ギャップが形成された磁気回路を形成し、
前記ボイスコイルは、前記磁気ギャップに配置されるとともに、その上端が前記振動板に固定され、
前記振動板の周縁はフレームを介して前記磁気回路体に支持される振動スピーカであって、
前記磁気回路体の前記内壁の筒孔に積層圧電振動体を備えた高音アクチュエータが配設され、
前記高音アクチュエータの上端が前記振動板に固定され、下端が前記振動板に支持された保持部材に固定され、前記振動板と前記保持部材との間で前記高音アクチュエータが圧接されるように保持され、
入力電圧信号が前記ボイスコイルと前記積層圧電振動体とを駆動することを特徴とする振動スピーカ。
【請求項2】
前記高音アクチュエータは、前記積層圧電振動体の下端に、少なくとも金属錘または弾性体のいずれかを含む振動遮断部材が取り付けられ、当該振動遮断部材を介して前記保持部材に固定される請求項1に記載の振動スピーカ。
【請求項3】
前記保持部材は、底面および当該底面から左右一対の側面が延設されたコの字型をなし、前記底面は前記左右一対の側面を介して振動板に固定され、前記底面により前記高音アクチュエータが圧接される請求項1または請求項2に記載の振動スピーカ。
【請求項4】
前記振動板は、内側に円板状の金属製振動板が設けられ、外側に環状の樹脂製振動板が設けられ、前記ボイスコイルおよび前記高音アクチュエータが前記金属製振動板に固定され、前記樹脂製振動板が前記フレームを介して前記磁気回路体に支持され、
前記金属製振動板と前記樹脂製振動板とは振動が伝達されるように周縁で接触するようにしてある請求項1〜請求項3のいずれかに記載の振動スピーカ。
【請求項5】
前記ボイスコイルを駆動する入力電圧信号が、同時に前記積層圧電振動体を駆動することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の振動スピーカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動スピーカに関し、さらに詳細には、低音域から高音域まで広い周波数特性が得られるようにした振動スピーカに関する。
【背景技術】
【0002】
室内等でBGM的に音楽を聴きたい要求は高まっているが、そのために天井や壁に孔を開けてスピーカを取り付けたり、別物のスピーカボックスを設置して部屋のインテリアを変えたりすることには抵抗がある場合が多い。また、風呂場やキッチンで音楽を聴けるようにする要求も高まっているが、天井板や壁板に孔を開けたり、別物のスピーカボックスを設置したりすると、汚れが付着して汚くなり、また、場合によっては防水が必要になる。そのような場合に使用したいのが振動スピーカである。
【0003】
通常のスピーカが、スピーカ内に内蔵されている振動板で直接空気を振動させて音を出しているのに対し、振動スピーカは、それ自体では空気を大きく振動させる機能がないため大きな音は出ない。しかし、この振動スピーカの振動板を天井板や壁板等に密着設置することにより、その密着された天井板や壁板が空気を振動させて、通常のスピーカのような音を出すことができる。
例えば、壁板に振動スピーカを取り付けた壁スピーカやエレベータが開示されている(特許文献1、2参照)。
【0004】
ここで、振動スピーカの一般的な構造について説明する。図3は従来の振動スピーカの構造を示す概略断面図である。
振動スピーカ100は、その一部に磁気ギャップ12aが形成された磁気回路体12と、磁気ギャップ12a内に配置される筒状のボイスコイル13と、このボイスコイル13の上端が固定された円形の振動板14(樹脂製振動板あるいは金属製振動板)と、振動板14の周縁を磁気回路体12(後述するトッププレート20部分)に固定するフレーム15とを備える。
【0005】
磁気回路体12は、磁性体からなるボトムプレート18と、マグネット19と、磁性体からなるトッププレート20とにより構成される。
【0006】
ボトムプレート18は、内壁となる円筒部18aと、円筒部18aの下部(内壁下部)から外側方向に延設されて下壁となるフランジ状の円板部18bとからなり、円筒部18a(および円板部18b)の中心軸に沿って筒孔18cが設けられている。なお、円筒部18aは、通常のスピーカにおいては、いわゆる「センターポール」と称される部分に相当する。通常のスピーカでは、センターポールの中心に貫通孔を設けていないものも多いが、ボイスコイル13の径の半分程度の孔径の貫通孔を設けても磁気回路設計上は支障を来さないので、従来から種々の目的(例えばボイスコイル部の背圧調整や入力信号線の配線用の空間等)でこの位置に貫通孔が形成されている。
【0007】
マグネット19は、円筒部(内壁)18aの外周面18dよりも大径の内周面19aを有し、外壁となる環状体をなす。また、マグネット19は円筒部18aと同軸状になるようにして、円板部18bの外周側(下壁の外周側)に磁着してある。
トッププレート20は、円筒部(内壁)18aの外周面18dよりも大径かつマグネット19の内周面19aより小径の内周面20aを有し、上壁となる環状体をなす。トッププレート20は、円筒部18aと同軸状になるようにしてマグネット19の上部(外壁上部)に磁着されるようにしてある。
【0008】
ボトムプレート(内壁、下壁)18、マグネット(外壁)19、トッププレート(上壁)20がこのように配置されることにより、トッププレート20の内周面20aと円筒部18aの外周面18dとの間に磁気ギャップ12aを有する略ドーナツ状の磁気回路体12が形成される。そして、筒状のボイスコイル13が磁気ギャップ12a内に配置してある。
【0009】
振動スピーカ100では、振動板14とボイスコイル13の上端とは、接着剤で固定されている。したがって、信号線(図示略)を介して入力された入力電圧信号によってボイスコイル13が駆動されると、ボイスコイル13の振動が、振動板14に伝達されてこれを駆動する。
そして、振動板14に密接させてある被駆動壁(天井板、壁板等)が振動し、これがスピーカとなってボイスコイル13に加えられた入力電圧信号が音波に変換増幅されて音となって聴こえるのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実公昭52−21050号公報
【特許文献2】特開2009−196794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、上記の振動スピーカ100においては、約3kHz以下の中低域の駆動力と許容入力確保のため、大きなボイスコイル13で重い振動板14を駆動する必要があった。これらの重い振動系では、高い周波数の駆動力が熱になって消費されてしまうため振動板14を動かすことができず、高音域の再生が不十分になるという問題があった。その一方で、振動スピーカであっても通常のスピーカと同等の広帯域の再生音を出せるようにすることが望まれていた。
【0012】
そこで、本発明は、振動スピーカを用いた場合でも、取り付けられた天井板や壁板を介して通常のスピーカと同程度、もしくはそれ以上の広帯域な音の再生ができる振動スピーカを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するためになされた本発明の振動スピーカは、磁石を含む磁性体で構成された磁気回路体と、ボイスコイルと、振動板とを備え、前記磁気回路体は、筒孔を有する内壁、前記内壁の下部と接続する下壁、前記下壁の外周側と接続する外壁、前記外壁の上部と接続する上壁により、略ドーナツ状の磁気回路で、かつ、一部に磁気ギャップが形成された磁気回路を形成し、前記ボイスコイルは、前記磁気ギャップに配置されるとともに、その上端が前記振動板に固定され、前記振動板の周縁はフレームを介して前記磁気回路体に支持される振動スピーカであって、前記磁気回路体の前記内壁の筒孔に積層圧電振動体を備えた高音アクチュエータが配設され、前記高音アクチュエータの上端が前記振動板に固定され、下端が前記振動板に支持された保持部材に固定され、前記振動板と前記保持部材との間で前記高音アクチュエータが圧接されるように保持され、入力電圧信号が前記ボイスコイルと前記積層圧電振動体とを駆動するように構成されている。
【0014】
本発明によれば、振動板にボイスコイルが固定されるとともに、積層圧電振動体からなる高音アクチュエータが磁気回路体の内壁の筒孔内(すなわち振動板の中心付近)に配置され、振動板と保持部材との間に隙間が生じないようにして、振動が伝達されるように圧接状態で振動板に固定されて保持される。
【0015】
この「積層圧電振動体」は、圧電セラミックを積層させたものであり、印加された電圧に比例して振動(伸縮)する性質を有し、振動幅(伸縮幅)は積層圧電セラミックの長さにより定まる。ボイスコイルは強く押さえると振動しなくなるのに対し、この積層圧電セラミックは積層圧電セラミックの固体自体が伸び縮みして動くため、たとえ押さえていても動き出す。この性質は(重い振動板でも振動させることができ)、高音用のアクチュエータに適している。
【0016】
積層圧電振動体を用いた高音アクチュエータを振動板に圧接状態で取り付けると、高音アクチュエータ(積層圧電振動体)の伸縮(振動)をそのまま振動板に伝達することができる。
したがって、ボイスコイルへ入力電圧信号を送るとともに、高音アクチュエータにも入力電圧信号を送り、その駆動力をボイスコイルの駆動力に足し合わせることにより、低音域から高音域まで広帯域の範囲で、振動板の駆動力を持たせることができるようになる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、天井や壁板に取り付けるだけで、通常のスピーカ並みの広帯域の周波数特性での再生が可能な振動スピーカを実現することができる。
【0018】
上記発明において、前記高音アクチュエータは、前記積層圧電振動体の下端に、少なくとも金属錘または弾性体のいずれかを含む振動遮断部材が取り付けられ、当該振動遮断部材を介して前記保持部材に固定されるようにしてもよい。
高音アクチュエータを構成する積層圧電振動体の伸縮(振動)は、上端から振動板に伝わる。その際、下端では、不要な逆方向の伸縮(振動)が使用する積層圧電振動体の重量より重い金属錘または弾性体(ゴムクッション等)のいずれかを含む振動遮断部材に伝わる。金属錘を取り付けた場合は、振動は使用する積層圧電振動体の重量より重い金属錘の重量で動きを押さえられて減衰するとともに、確実に積層圧電振動体の一方が振動板に圧着されることを助ける効果がある。また弾性体の場合は、不要な逆方向の振動が吸収されて減衰すると共に、確実に積層圧電振動体の一方が振動板に圧着されることを助ける効果がある。いずれか一方、あるいは両方を取り付けることにより不要な逆方向の振動を大きく減衰させることができる。
【0019】
上記発明において、前記保持部材は、底面および当該底面から左右一対の側面が延設されたコの字型をなし、前記底面は前記左右一対の側面を介して振動板に固定され、前記底面により前記高音アクチュエータが圧接されるようにしてもよい。
保持部材をコの字型とすることで、高音アクチュエータの下端を安定して圧接状態で支持することができ、また、下端からの不要な逆方向の伸縮(振動)は、保持部材の側面を介して振動板に伝達されることになるので、側面を通過する間に減衰し、振動板にほとんど伝達されなくなる。
【0020】
上記発明において、前記振動板は、内側に円板状の金属製振動板が設けられ、外側に環状の樹脂製振動板が設けられ、前記ボイスコイルおよび前記高音アクチュエータが前記金属製振動板に固定され、前記樹脂製振動板が前記フレームを介して前記磁気回路体に支持され、前記金属製振動板と前記樹脂製振動板とは振動が伝達されるように周縁で接触するようにしてもよい。
樹脂製振動板(例えばABS樹脂製またはPOM樹脂製)は、金属製振動板(例えばアルミニウム製または鉄製)よりもダンパーバネ効果があるので、ボイスコイルおよび高音アクチュエータで発生して伝達された振動が、フレームから逃げていくことによる振動の伝達効率低下のデメリットを効果的に防ぐことができるが、その一方で、振動板に密接させた被駆動壁(天井板、壁板等)に振動を伝える伝達効率も減衰させることになる。そこで、振動板を、環状の樹脂製振動板(外側)と円板状の金属製振動板(内側)とからなるようにして、ボイスコイルや高音アクチュエータを内側の金属製振動板に固定し、振動板を支持するフレームは環状の樹脂製振動板に固定されるようにすることで、ボイスコイルや高音アクチュエータから被駆動壁への振動の伝達効率を高めることができる。
【0021】
上記発明において、前記ボイスコイルを駆動する入力電圧信号が、同時に前記積層圧電振動体を駆動するようにしてもよい。
一般に、積層圧電振動体はインピーダンスが高く、その応答周波数は約3kHz以上であるため、1つのアンプからの信号で、高音アクチュエータとボイスコイルとを並列に駆動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態である振動スピーカの構造を示す概略断面図。
図2図1の振動スピーカと従来の振動スピーカとの周波数特性を示す比較図。
図3】従来の振動スピーカの構造を示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではなく、この発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更できることはいうまでもない。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態である振動スピーカ10の構造を示す概略断面図である。なお、図3を用いて説明した従来の振動スピーカ100と同一の構成部分については、同じ符号を付すことにより説明の一部を省略する。
【0025】
振動スピーカ10は、図3で説明した従来例の振動スピーカ100のうち、磁気回路体12、ボイスコイル13、フレーム15については同じものを用いている。
また、図3の振動板14には全体が樹脂製あるいは金属製のものが用いられており、これと同じものをそのまま用いてもよいが、本実施形態では、内側に円板状の金属製振動板14aを設けるとともに、その外側に環状の樹脂製振動板14bを設け、金属製振動板14aと樹脂製振動板14bとの境界では振動が伝達されるように、境界となる周縁部分が接触するようにしてある。
【0026】
そして、ボイスコイル13、および、後述する高音アクチュエータ30が、金属製振動板14aの部分に固定され、樹脂製振動板14bの部分にはフレーム15が接続され、フレーム15が磁気回路体12(トッププレート20)に支持されるようにしてある。天井板や壁板等の被駆動壁は、金属製振動板14aの部分に接触するようにして、ボイスコイル13および高音アクチュエータ30からの振動を金属製振動板14aから効率よく被駆動壁に伝達するとともに、フレーム15を介した振動の逃げを樹脂製振動板14bで抑制するようにしてある。
【0027】
円筒部18a(磁気回路体12の内壁)の筒孔18cには高音アクチュエータ30が配設してある。高音アクチュエータ30は積層圧電振動体31を備えている。積層圧電振動体31は、圧電セラミックを積層したものであり、インピーダンスが高く、応答周波数が通常500Hzから20kHz以上のものが用いられているが、それより周波数応答が広くてもよく、また、逆に狭くてもよい。
【0028】
本実施形態では、積層圧電振動体31と、金属錘32と、ゴムクッション33とが縦方向に並べて配置され、コの字型の保持部材34を用いて、金属製振動板14aに圧接状態で固定してある。すなわち積層圧電振動体31の上端側は、直接、金属製振動板14aの下面に当接してあり、積層圧電振動体31の下端側は金属錘32の上面に当接してある。金属錘32の下面はゴムクッション33の上面に当接してあり、ゴムクッション33の下面は保持部材34の底面(支持面)34aに当接してある。保持部材34の左右一対の側面34b、34bは、その縦方向の長さを、積層圧電振動体31、金属錘32、ゴムクッション33の縦方向の長さを合計した長さよりほんのわずか短くしてあり、保持部材34を締結部材(ネジ)35で金属製振動板14aに固定すると、隙間を生じることなく圧接されるようにしてある。
【0029】
なお、金属錘32、ゴムクッション33は、積層圧電振動体31の下端側から伝達される振動を遮断する振動遮断部材として機能させるために取り付けたものであり、これらを取り付けなくても実用上は問題ないが、下端での逆方向の伸縮の影響によって、振動の伝達効率が多少低下することになる。振動遮断部材(金属錘32、ゴムクッション33)を設けない場合は、保持部材34の底面34aに積層圧電振動体31の下端側が直接当接することになる。この場合も積層圧電振動体31の上端および下端で隙間が生じないように、側面34bの長さが適切なコの字型保持部材34を用いて圧接状態にしてある。
【0030】
ボイスコイル13、および、高音アクチュエータ30の積層圧電振動体31には、入力電圧信号が印加されるが、インピーダンスが高く、応答周波数が通常は3kHz付近以上から、20kHz以上までのものが用いられているので、1つのアンプからの入力信号を並列に接続して駆動することができる。ただ、実際には、積層圧電振動体31の応答周波数帯域はもっと低い数百Hzから、20kHz以上までの任意の周波数帯域としてもよい。なお、部品の増加が問題なければ、高音専用と中低音専用の2つのアンプを用いて別々に駆動するようにしてもよい。
【0031】
次に、本発明を実施した振動スピーカの周波数特性について説明する。
図2は、図1で示した振動スピーカ10の周波数特性(実線)を示す図である。なお、比較例として、図3に示した従来の振動スピーカ100の周波数特性(破線)も示してある。
比較例(破線)では3kHz付近から高音域で音圧が低下しているのに対し、本発明(実線)では20kHz付近まで音圧が低下せず、周波数特性が大きく改善されている。
【0032】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は必ずしも上記の実施形態のみに限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で変形実施することが可能である。
【0033】
例えば、上記実施形態では、積層圧電振動体31の上端は、金属製振動板14aの下面に直接当接するようにしているが、重量の軽い材質と形状の金属ロッドを介して金属製振動板14aに振動を伝達するようにしてもよい。
また、振動板14a、14bにコルゲーションを設けてもよい。
また、振動板14a、14bにスリット等を設けて共振周波数を下げるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、広い周波数特性を有する振動スピーカに利用することができる。
【符号の説明】
【0035】
10 振動スピーカ
12 磁気回路体
12a 磁気ギャップ
13 ボイスコイル
14 振動板
14a 金属製振動板
14b 樹脂製振動板
15 フレーム
18 ボトムプレート
18a 円筒部(内壁)
18b 円板部(下壁)
18c 筒孔(貫通孔)
18d 円筒部の外周面
19 マグネット(外壁)
19a マグネットの内周面
20 トッププレート(上壁)
20a トッププレートの内周面
30 高音アクチュエータ
31 積層圧電振動体
32 金属錘
33 ゴムクッション(弾性体)
34 保持部材
34a 底面
34b 側面
35 締結部材(ネジ)
図1
図2
図3