【実施例】
【0021】
表1に示す配合からなる13種類のゴム組成物(標準例、比較例1〜4、実施例1〜
4、参考例1〜4)を、それぞれ加硫促進剤及び硫黄を除く配合成分を秤量し、1.8Lの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練し、温度150℃でマスターバッチを放出し室温冷却した。その後このマスターバッチを1.8Lの密閉式バンバリーミキサーに供し、加硫促進剤及び硫黄を加え3分間混合し、タイヤ用ゴム組成物を調製した。
【0022】
得られた13種類のタイヤ用ゴム組成物について、下記に示す方法により、加工性(ムーニー粘度)の評価を行った。
【0023】
加工性(ムーニー粘度)
得られたゴム組成物のムーニー粘度をJIS K6300に準拠して、ムーニー粘度計にてL型ロータ(38.1mm径、5.5mm厚)を使用し、予熱時間1分、ロータの回転時間4分、100℃、2rpmの条件で測定した。得られた結果は、標準例の値を100とする指数として、表1の「加工性」の欄に示した。この指数値が小さいほど粘度が小さく加工性が優れることを意味する。
【0024】
また、得られた13種類のゴム組成物を、それぞれ所定形状の金型中で、150℃、20分間加硫して試験片を作製し、下記に示す方法により、硬度、耐破断性、発熱性(60℃におけるtanδ)の評価を行った。
【0025】
硬度
得られた試験片を用いJIS K6253に準拠しデュロメータのタイプAにより温度20℃で測定した。得られた結果は、標準例の値を100として、表1の「硬度」の欄に示した。この指数値が大きいほど、硬度が高いことを意味する。
【0026】
耐破断性
得られた試験片から、JIS K6251に準拠してJIS3号ダンベル型試験片(厚さ2mm)を打ち抜き、500mm/分の引張り速度で試験を行い、引張り破断伸びを測定した。得られた結果は、標準例のそれぞれの値を100とする指数として、表1の「耐破断性」の欄に示した。この指数値が大きいほど破断伸びが良好で、耐破断性に優れることを意味する。
【0027】
低発熱性(60℃におけるtanδ)
得られた試験片をJIS K6394に準拠して、東洋精機製作所社製粘弾性スペクトロメーターを用いて、初期歪み10%、振幅±2%、周波数20Hzの条件で、温度60℃における損失正接tanδを測定した。得られた結果は、標準例の値を100とする指数として、表1の「低発熱性」の欄に示した。この指数値が小さいほど、発熱性が低いことを意味する。
【0028】
【表1】
【0029】
なお、表1において使用した原材料の種類を下記に示す。
−NR:天然ゴム、STR20
−CB:カーボンブラック、東海カーボン社製シーストKH
−酸化亜鉛:正同化学工業社製酸化亜鉛3種
−ステアリン酸:日新理科社製ステアリン酸50S
−オイル1:昭和シェル石油社製エキストラクト4号S(ガラス転移温度:−41℃)
−オイル2:昭和シェル石油社製プロセスオイル123(ガラス転移温度:−85℃)
−カシューオイル1:東北化工社製CD‐5L(ガラス転移温度:−67℃)
−カシューオイル2:東北化工社製LB‐7000(ガラス転移温度:−98℃)
−カシューオイル3:東北化工社製LB‐3025(ガラス転移温度:−92℃)
−加硫促進剤:大内新興化学社製ノクセラーNS‐P
−硬化剤1:メチレン供与体、三新化学工業社製サンセラー HT‐PO
−硬化剤2:メチレン供与体、住友化学社製スミカノール 507AP
−硫黄:鶴見化学工業社製金華印油入微粉硫黄
【0030】
表1から明らかなように実施例1〜
4および参考例1〜4のタイヤ用ゴム組成物は、標準例と同等の加工性を得ながら、硬度、耐破断性、低発熱性を従来レベル以上に改善することが確認された。
【0031】
特に、硬化剤としてメチレン供与体を使用し、その配合量を好ましい範囲に設定した実施例
1〜4は、良好な加工性、耐破断性、低発熱性を維持・改善しながら、更に硬度を向上することができた。
【0032】
一方、比較例1は、カシューオイルを用いていないので、オイルのガラス転移温度が−75℃以下であっても、充分な加工性が得られず、また硬度および耐破断性が悪化した。比較例2は、標準例と同じオイルを用いて、硬度を補うためにカーボンブラックを増量しているが、カーボンブラックが過多であるため、耐破断性と低発熱性が悪化した。比較例3は、カシューオイルは用いているものの、そのガラス転移温度が−75℃よりも高いため、低発熱性が悪化した。比較例4は、ガラス転移温度が−75℃以下のカシューオイルの配合量が多すぎるため、耐破断性および低発熱性が悪化した。