(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載の復水器は、前述したように、上下方向に並ぶ複数の伝熱管群を有する。このため、伝熱管群を構成する複数の伝熱管に冷却水を供給する冷却水ポンプは、最も上方向の伝熱管群のうちで、最も上部に配置されている伝熱管に冷却水を供給できる能力が必要になる。従って、上記特許文献1に記載の技術では、揚程の高い冷却水ポンプが必要になり、イニシャルコスト及びランニングコストがかさむ。
【0007】
そこで、本発明は、イニシャルコスト及びランニングコストを抑えることができる復水器、及びこれを備える蒸気タービンプラントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための発明に係る第一態様としての復水器は、蒸気と熱交換する冷却水が内部を通る複数の伝熱管で構成される複数の伝熱管群と、複数の前記伝熱管群を覆う本体胴と、前記本体胴に連結し、蒸気を前記本体胴内に導く中間胴と、を備える。前記中間胴は、内部から水平方向に開口して蒸気が流入する中間胴入口と、内部から下方に開口して蒸気を排気する中間胴出口と、前記中間胴入口と前記中間胴出口とを接続し、前記中間胴入口から流入した蒸気を、水平方向で前記中間胴入口から遠ざかる側に向かわせつつ次第に下方に向わせて、前記中間胴出口に至らせる流路と、を有する。前記本体胴は、内部から上方に開口し、前記中間胴出口に接続され、前記中間胴からの蒸気が流入する本体胴入口を有する。複数の前記伝熱管群は、水平方向に並んで、前記本体胴内に配置されている。前記中間胴出口であって水平方向における前記中間胴入口に近い側の縁である近側出口縁が、複数の前記伝熱管群中で最も上の位置よりも下に位置する。
【0009】
当該復水器では、複数の伝熱管群が水平方向に並んで、本体胴内に配置されているので、複数の伝熱管群中で最も上の位置と伝熱管群に供給される冷却水の水源とのレベル差を小さくすることができる。よって、当該復水器では、伝熱管に水源からの冷却水を供給する冷却水ポンプの揚程を低くすることができる。このため、当該復水器は、冷却水ポンプの設置コスト及びランニングコストを抑えることができる。
【0010】
さらに、当該復水器では、中間胴出口の近側出口縁が、複数の伝熱管群中で最も上の位置よりも下に位置する。このため、当該復水器では、この復水器に接続される蒸気タービンの設置位置を低くすることができる。よって、当該復水器では、蒸気タービンの設置コストを抑えることができる。
【0011】
第二態様の復水器は、前記第一態様の復水器において、前記中間胴の前記流路を形成する前記中間胴の内面であって、前記近側出口縁を含む近側内面は、前記近側出口縁から上方に向いつつ前記中間胴入口に近づく側に向かう面である。
【0012】
当該復水器では、中間胴の流路中で、中間胴出口側の流路の流路面積を大きくすることができる。このため、当該復水器では、伝熱管群に流入する蒸気の平均流速を抑えることができ、伝熱管のエロージョン抑制に一定の効果があると考えられる。
【0013】
第三態様の復水器は、前記第一又は前記第二態様の復水器において、前記中間胴出口であって水平方向における前記中間胴入口から遠い側の縁である遠側出口縁が、複数の前記伝熱管群中で最も上の位置よりも上に位置する。
【0014】
当該復水器では、中間胴出口縁が遠側出口縁から近側出口縁に向って傾斜することになる。よって、当該復水器では、中間胴出口の開口面積を大きくすることができる。このため、当該復水器では、伝熱管群に流入する蒸気の平均流速を抑えることができ、伝熱管のエロージョン抑制に一定の効果があると考えられる。
【0015】
また、第四態様の復水器は、前記第一態様から前記第三態様のうちのいずれかの復水器において、複数の前記伝熱管群は、前記本体胴内で、前記中間胴入口の下端より下方の位置に配置されている。
【0016】
当該復水器では、蒸気タービンから水平方向に直進してきた蒸気が直接伝熱管群に流入することが無くなるため、伝熱管のエロージョン抑制に一定の効果があると考えられる。
【0017】
また、第五態様の復水器は、前記第一態様から前記第四態様のうちのいずれかの復水器において、前記伝熱管群を構成する複数の伝熱管のうちで最も外側に位置する複数の伝熱管に外接する仮想面で形成される管群外形の上下方向の寸法は、前記管群外形の水平方向の寸法よりも大きい。
【0018】
当該復水器では、管群外形の底面を小さくすることができる。このため、当該復水器では、複数の伝熱管群を本体胴内に水平方向に並べて配置しても、復水器の占有面積の増大を抑えることができる。
【0019】
第六態様の復水器は、前記第五態様の復水器において、前記管群外形は、上方を向く上面と下方を向く底面とを有し、前記管群外形における前記上面を含む上部は、水平方向の断面積が下方に向うに連れて次第に大きくなる。
【0020】
中間胴を通った蒸気は、本体胴入口から本体胴内に流入する。この蒸気は、本体胴内を主として下方に向って流れる。蒸気は、本体胴内を流れる過程で、各伝熱管群を構成する複数の伝熱管内を流れる冷却水と熱交換する。
【0021】
本体胴内で蒸気が下向に流れる場合、この流れに対向する管群外形の上面の面積が広いほど、蒸気と伝熱管群を構成する伝熱管内の冷却水との熱交換の効率が高まる。当該復水器では、管群外形の上面の一部が傾斜面になるため、上面の全てが水平な面である場合よりも、上面の面積を広くすることができる。よって、当該復水器では、管群外形の上面の全てが水平な面である場合よりも、蒸気と伝熱管群を構成する伝熱管内の冷却水との熱交換の効率を高めることができる。
【0022】
第七態様の復水器は、前記第六態様の復水器において、少なくとも一の前記伝熱管群の前記管群外形は、前記上面のうちで最も上の位置の頂面の中心が、同管群外形における前記底面の中心よりも水平方向における前記中間胴入口側に位置する偏心外形である。
【0023】
当該復水器では、一の伝熱管群に流入する蒸気の流れ方向成分のうち、水平方向成分の割合が多い場合でも、蒸気と一の伝熱管群を構成する伝熱管内の冷却水との熱交換の効率を高めることができる。
【0024】
第八態様の復水器は、前記第七態様の復水器において、複数の前記伝熱管群は、水平方向であって前記中間胴入口に対する遠近方向に並んでおり、複数の前記伝熱管群のうち、前記遠近方向で前記中間胴入口に最も近い前記伝熱管群の前記管群外形が、前記偏心外形である。
【0025】
遠近方向で中間胴入口に最も近い伝熱管群に流入する蒸気の流れ方向成分は、他の伝熱管群に流入する蒸気の流れ方向成分に比べて、水平方向成分の割合が多くなる。よって、遠近方向で中間胴入口に最も近い伝熱管群の管群外形を偏心外形にすることで、この伝熱管群を構成する伝熱管内の冷却水との熱交換の効率を高めることができる。
【0026】
第九態様の復水器は、前記第五態様又は前記第六態様の復水器において、前記中間胴内に配置され、前記中間胴入口から流入した蒸気の流れの向きを次第に下方に向ける蒸気ガイドを備える。
【0027】
当該復水器では、複数の伝熱管群に流入する蒸気の流れ方向成分のうち、下方成分を多くすることができる。このため、当該復水器では、蒸気と伝熱管群を構成する伝熱管内の冷却水との熱交換の効率を高めることができる。
【0028】
上記目的を達成するための発明に係る第十態様としての蒸気タービンプラントは、前記第一態様から前記第九態様のうちのいずれかの復水器と、前記復水器中に蒸気を排気する蒸気タービンと、を備える。
【0029】
第十一態様の蒸気タービンプラントは、前記第十態様の蒸気タービンプラントにおいて、前記蒸気タービンは、軸流排気型の蒸気タービンである。
【0030】
第十二態様の蒸気タービンプラントは、前記第十態様の蒸気タービンプラントにおいて、前記蒸気タービンは、側方排気型の蒸気タービンである。
【発明の効果】
【0031】
本発明の一態様によれば、蒸気タービンプラントのイニシャルコスト及びランニングコストを抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明に係る蒸気タービンプラントの各種実施形態及び各種変形例について、図面を用いて説明する。
【0034】
「第一実施形態」
図1〜
図3を参照して、本発明に係る蒸気タービンプラントの第一実施形態について説明する。
【0035】
本実施形態の蒸気タービンプラントは、
図1に示すように、ボイラー等の蒸気発生器17と、蒸気発生器17で発生した蒸気により駆動する蒸気タービン20と、蒸気タービン20の駆動で発電する発電機19と、蒸気タービン20から排気された蒸気Sを凝縮させる復水器30と、復水器30中の水を蒸気発生器17に戻す給水ポンプ15と、復水器30に蒸気冷却用の冷却水を供給する冷却水ポンプ11と、を備える。
【0036】
蒸気発生器17と蒸気タービン20とは、主蒸気ライン18で接続されている。蒸気発生器17で発生した蒸気は、この主蒸気ライン18を経て、蒸気タービン20に供給される。復水器30と蒸気発生器17とは、給水ライン16で接続されている。給水ポンプ15は、この給水ライン16に設けられている。復水器30内で蒸気Sから液体に戻った水は、この給水ライン16を経て、蒸気発生器17に供給される。
【0037】
蒸気タービン20は、タービン軸線Atを中心として回転するロータ21と、このロータ21を覆う本体ケーシング22と、本体ケーシング22内からの蒸気を排気する排気ケーシング25と、を有する。タービン軸線Atは、実質的に水平方向に延びている。なお、以下では、タービン軸線Atが延びる方向を軸線方向Da、この軸線方向Daの一方側を軸線上流側Dau、他方側を軸線下流側Dadとする。
【0038】
蒸気タービン20のロータ21は、発電機19のロータに接続されている。本体ケーシング22及び排気ケーシング25は、タービン軸線At回りに筒状に形成されている。筒状の本体ケーシング22の軸線上流側Dauには、蒸気入口23が形成されている。また、本体ケーシング22の軸線下流側Dadの端には、蒸気出口24が形成されている。この蒸気出口24は、本体ケーシング22内から軸線下流側Dadに向って開口している。排気ケーシング25の軸線上流側Dauの端には、排気蒸気入口26が形成されている。この排気蒸気入口26は、排気ケーシング25内から軸線上流側Dauに向って開口している。この排気蒸気入口26は、本体ケーシング22の蒸気出口24に接続されている。排気ケーシング25の軸線下流側Dadの端には、排気蒸気出口27が形成されている。この排気蒸気出口27は、排気ケーシング25内から軸線下流側Dadに向って開口している。よって、この蒸気タービン20は、軸線方向Daに排気する軸流排気型である。
【0039】
復水器30は、
図2に示すように、複数の伝熱管群41と、複数の伝熱管群41を覆う本体胴35と、蒸気タービン20からの蒸気Sを本体胴35内に導く中間胴31と、を備える。
【0040】
中間胴31には、内部から水平方向に向かって開口して蒸気Sが流入する中間胴入口32と、内部から下方に向けって開口して蒸気Sを排気する中間胴出口33と、中間胴入口32と中間胴出口33とを接続する流路34と、が形成されている。中間胴31内の流路34は、中間胴入口32から、水平方向であって中間胴入口32に対する遠近方向Dfに延びつつ、中間胴入口32から遠ざかるに連れて次第に下方に延びて、中間胴出口33に至る。中間胴入口32は、蒸気タービン20の排気蒸気出口27に接続されている。よって、中間胴入口32に対する遠近方向Dfは、蒸気タービン20の軸線方向Daに一致する。
【0041】
本体胴35は、底板36bと、この底板36bの縁から上方に延びる側板36sを有する。本体胴35内は、図示されていないが、凝縮室37と、冷却水入口室(不図示)と、冷却水出口室(不図示)と、に仕切られている。凝縮室37の上部は、開口している。この開口は、本体胴入口38を成す。よって、この本体胴入口38は、凝縮室37から上方に向って開口している。この本体胴入口38は、中間胴出口33に接続されている。凝縮室37内の下部は、蒸気Sが凝縮して液体になった水が溜まるホットウェル39を構成する。
【0042】
複数の伝熱管群41は、水平方向に並んで、凝縮室37内に配置されている。複数の伝熱管群41のうち、いずれか2以上の伝熱管群41は、前述の遠近方向Dfに並んでいる。
【0043】
複数の伝熱管群41は、いずれも、複数の伝熱管42で構成されている。各伝熱管42は、水平方向に延びている。
【0044】
ここで、伝熱管群41を構成する複数の伝熱管42のうちで最も外側に位置する複数の伝熱管42に外接する仮想面で形成される立体形状を管群外形43とする。この管群外形43は、下方を向く底面44と、底面44の縁から上方に延びる側面45と、上方を向く上面46と、を有する。管群外形43の上下方向の寸法は、管群外形43の水平方向の寸法よりも大きい。この管群外形43の上面46を含む上部は、水平方向の断面積が下方に向うに連れて次第に大きくなっている。よって、この上面46は、側面45に近づくに連れて次第に下方に下がる傾斜面47を有する。本実施形態では、この上面46のうちで、最も高い位置の点の集まりである頂面48の中心Ctと、底面44の中心Cbとは、水平方向の位置が一致している。
【0045】
また、ここで、遠近方向Dfで中間胴入口を基準にして本体胴の側を遠い側Dffとし、遠近方向Dfで本体胴を基準にして中間胴入口の側を近い側Dfnとする。
【0046】
中間胴出口33であって遠近方向Dfにおける近い側Dfnの縁である近側出口縁33nは、複数の伝熱管群41中で最も上の位置よりも下に位置する。より具体的に、近側出口縁33nは、上下方向における伝熱管群41の中間位置近傍に位置する。一方、中間胴出口33であって遠近方向Dfにおける遠い側Dffの縁である遠側出口縁33fは、複数の伝熱管群41中で最も上の位置よりも上に位置する。このため、中間胴出口33の縁の位置は、遠側出口縁33fから近い側Dfに向うに連れて、次第に下方に位置することになる。なお、複数の伝熱管群41中で最も上の位置とは、管群外形43の頂面48の位置である。
【0047】
中間胴31の流路34を形成する中間胴31の内面であって、近側出口縁33nを含む近側内面34nは、近側出口縁33nから上方に向いつつ遠近方向Dfにおける近い側Dfnに向かう面である。また、中間胴31の内面であって、遠側出口縁33fを含む遠側内面34fは、遠側出口縁33fから上方に向いつつ遠近方向Dfにおける近い側Dfnに向かう面である。
【0048】
給水ライン16は、復水器30のホットウェル39に接続されている。冷却水ポンプ11は、本体胴35内の冷却水入口室(不図示)を介して、複数の伝熱管群41を構成する各伝熱管42と冷却水ライン12で接続されている。この冷却水ポンプ11は、海や河川等の水源Wから水を汲み上げて、この水を複数の伝熱管群41を構成する各伝熱管42に供給する。複数の伝熱管群41を構成する各伝熱管42は、本体胴35内の冷却水出口室(不図示)を介して、排水ライン13に接続されている。排水ライン13は、排水ピット14内又は直接水源Wまで延びている。排水ピット14は、例えば、前述の水源Wまで延びている。
【0049】
蒸気発生器17で発生した蒸気は、主蒸気ライン18を介して、蒸気タービン20の本体ケーシング22内に流入する。この蒸気は、本体ケーシング22内を流れる過程で、ロータ21を回転させる。この結果、発電機19のロータが回転し、発電機19が発電する。
【0050】
本体ケーシング22内に流入した蒸気は、排気ケーシング25内を経て、この排気ケーシング25の排気蒸気出口27から軸線下流側Dadに排気される。蒸気タービン20から排気された蒸気Sは、中間胴入口32から復水器30の中間胴31内に流入する。蒸気タービン20の排気蒸気出口27は、前述したように、排気ケーシング25内から水平方向(軸線下流側Dad)に向って開口している。また、排気蒸気出口27に接続されている中間胴入口32は、中間胴31内から水平方向に向かって開口している。従って、中間胴31に流入する蒸気Sの流れ方向成分は、水平方向成分が大きい。中間胴31内に流入した蒸気Sは、この中間胴31内を中間胴入口32から中間胴出口33に向かうに連れて、蒸気Sの流れの方向成分のうち下方成分が次第に大きくなる。言い換えると、中間胴31内に流入した蒸気Sは、この中間胴31内を中間胴入口32から中間胴出口33に向かうに連れて、次第に下向の流れになる。
【0051】
中間胴31を通った蒸気Sは、本体胴入口38から本体胴35の凝縮室37内に流入する。この蒸気Sは、凝縮室37内を主として下方に向って流れる。蒸気Sは、凝縮室37内を流れる過程で、各伝熱管群41を構成する複数の伝熱管42内を流れる冷却水と熱交換する。
【0052】
蒸気Sは、各伝熱管群41を構成する複数の伝熱管42内を流れる冷却水との熱交換で凝縮して、液体に水になる。この水は、凝縮室37内の下方のホットウェル39に溜まる。ホットウェル39に溜まった水は、給水ライン16及び給水ポンプ15を介して、蒸気発生器17に戻る。
【0053】
本実施形態では、複数の伝熱管群41が、本体胴35内で水平方向に並んで配置されている。このため、本実施形態では、伝熱管群が上下方向に並んで配置された復水器と比較して、最も高い位置の伝熱管42と水源Wの水面とのレベル差を相対的に小さくすることができる。よって、本実施形態では、冷却水ポンプ11の揚程を低くすることができる。このため、本実施形態では、冷却水ポンプ11の設置コスト及びランニングコストを抑えることができる。
【0054】
伝熱管42の位置が高い場合、この伝熱管42から流出した冷却水が水源Wに至る過程で、減圧沸騰するおそれがある。このため、このような場合、伝熱管群41と水源Wとの間の排水ピット14の水位をあげて、最も高い位置の伝熱管42と排水ピット14の水面とのレベル差を小さくする方法がとられる。本実施形態では、前述したように、最も高い位置の伝熱管42の高さを下げることができるので、排水ピット14の設置コストを抑えることができる。
【0055】
従って、本実施形態では、蒸気タービンプラントのイニシャルコスト及びランニングコストを抑えることができる。
【0056】
また、本実施形態の管群外形43は、水平方向の寸法が上下方向の寸法より小さい。よって、本実施形態では、管群外形43の底面44を小さくすることができる。このため、本実施形態では、複数の伝熱管群41を本体胴35内に水平方向に並べて配置しても、復水器30の占有面積の増大を抑えることができる。
【0057】
さらに、
図3を参照して、本実施形態の蒸気タービンプラントの効果について、比較例の蒸気タービンプラントと比較しつつ説明する。
【0058】
比較例の蒸気タービンプラントも、
図3中、二点鎖線で示す蒸気タービン20と、蒸気タービン20から排気された蒸気を凝縮させる復水器30xと、を備える。比較例の蒸気タービン20は、本実施形態の蒸気タービン20と同一である。一方、比較例の復水器30xは、本実施形態の復水器30と異なる。
【0059】
比較例の復水器30xも、複数の伝熱管群41と、複数の伝熱管群41を覆う本体胴35xと、蒸気タービン20からの蒸気Sを本体胴35x内に導く中間胴31xと、を備える。
【0060】
中間胴31xには、内部から水平方向に向かって開口して蒸気Sが流入する中間胴入口32xと、内部から下方に向けって開口して蒸気Sを排気する中間胴出口33xと、中間胴入口32xと中間胴出口33xとを接続する流路34xと、が形成されている。中間胴31x内の流路34xは、中間胴入口32xから、水平方向であって中間胴入口32xに対する遠近方向Dfに延びつつ、中間胴入口32xから遠ざかるに連れて次第に下方に延びて、中間胴出口33xに至る。中間胴入口32xは、蒸気タービン20の排気蒸気出口27に接続されている。中間胴出口33xは、本体胴35xの本体胴入口38xに接続されている。比較例の中間胴31xに関する以上の構成は、本実施形態の中間胴31の構成と同様である。
【0061】
しかしながら、比較例では、中間胴出口33xであって遠近方向Dfにおける近い側Dfnの縁である近側出口縁33nxと、中間胴出口33xであって遠近方向Dfにおける遠い側Dffの縁である遠側出口縁33fxとは、上下方向の位置が同じである。しかも、比較例では、中間胴出口33xの縁全体が複数の伝熱管群41中で最も上の位置よりも上に位置する。なお、比較例の遠側出口縁33fxと本実施形態の遠側出口縁33fとは、上下方向の位置が同じである。
【0062】
仮に、比較例の中間胴入口32xの下端32bxから中間胴出口33xの近側出口縁33nxまでの上下方向の距離が、本実施形態の中間胴入口32の下端32bから中間胴出口33の近側出口縁33nまでの上下方向の距離と同じであるとする。この場合、上下方向において、本実施形態の近側出口縁33nの方が比較例の近側出口縁33nxよりも下方に位置することになるため、本実施形態の中間胴入口32の下端32bの方が比較例の中間胴入口32xの下端32bxよりも下方に位置することなる。
【0063】
よって、本実施形態において、中間胴入口32に接続される蒸気タービン20が、比較例において、中間胴入口32xに接続される蒸気タービン20よりも、下方に位置することになる。このため、本実施形態では、比較例よりも蒸気タービン20の設置コストを抑えることができる。しがって、本実施形態では、この観点からも、蒸気タービンプラントのイニシャルコストを抑えることができる。
【0064】
また、本実施形態では、中間胴出口33の縁の位置が、遠側出口縁33fから近い側Dfに向うに連れて、次第に下方に位置する。言い換えると、本実施形態では、中間胴出口33の縁が遠側出口縁33fから近側出口縁33nに向って傾斜している。よって、本実施形態では、中間胴出口33の開口面積を大きくすることができる。また、本実施形態では、中間胴出口33の近側出口縁33nが複数の伝熱管群41中で最も上の位置よりも下に位置する上に、中間胴31の近側内面34nが近側出口縁33nから上方に向いつつ遠近方向Dfにおける近い側Dfnに向かっている。このため、本実施形態では、複数の伝熱管群41のうち、最も近い側Dfnの伝熱管群41には、上方からのみならず側方からも蒸気が流入する。言い換えると、本実施形態では、中間胴31内の流路34中で中間胴出口33側の流路の流路面積が大きくなる。この結果、本実施形態では、伝熱管群41に流入する蒸気の平均流速を比較例よりも抑えることができ、伝熱管42のエロージョン抑制に一定の効果があると考えられる。
【0065】
「第二実施形態」
図4を参照して、本発明に係る蒸気タービンプラントの第二実施形態について説明する。
【0066】
本実施形態の蒸気タービンプラントも、第一実施形態の蒸気タービンプラントと同様、蒸気タービン20aと、復水器30とを備える。
【0067】
本実施形態の蒸気タービン20aも、第一実施形態の蒸気タービン20と同様、タービン軸線Atを中心として回転するロータ21と、このロータ21を覆う本体ケーシング22aと、本体ケーシング22a内からの蒸気を排気する排気ケーシング25aと、を有する。本体ケーシング22aは、タービン軸線At回りに筒状に形成されている。筒状の本体ケーシング22aの軸線上流側には、蒸気入口(不図示)が形成されている。筒状の本体ケーシング22aの軸線下流側には、蒸気出口24aが形成されている。但し、この蒸気出口24aは、第一実施形態の蒸気出口24と異なり、本体ケーシング22a内から側方に向って開口している。
【0068】
排気ケーシング25aは、タービン軸線Atに対して垂直で且つ水平方向を向く軸線回りに筒状に形成されている。排気ケーシング25aにおける軸線方向の一方の端には、排気蒸気入口26が形成されている。また、排気ケーシング25aにおける軸線方向の他方の端には、排気蒸気出口27が形成されている。排気蒸気入口26及び排気蒸気出口27は、いずれも、排気ケーシング25a内から水平方向に向かって開口している。排気蒸気入口26は、本体ケーシング22aの蒸気出口24aに接続されている。
【0069】
よって、本実施形態の蒸気タービン20aは、タービン軸線Atに対して垂直な側方に蒸気を排気する側方排気型の蒸気タービンである。
【0070】
本実施形態の復水器30は、上記第一実施形態の復水器30と同様、複数の伝熱管群41と、複数の伝熱管群41を覆う本体胴35と、蒸気タービン20aからの蒸気Sを本体胴35内に導く中間胴31と、を備える。本実施形態における複数の伝熱管群41、本体胴35、中間胴31は、それぞれ、上記第一実施形態における複数の伝熱管群41、本体胴35、中間胴31と基本的に同一である。よって、本実施形態の中間胴31も、内部から水平方向に向かって開口して蒸気Sが流入する中間胴入口32と、内部から下方に向けって開口して蒸気Sを排気する中間胴出口33と、中間胴入口32と中間胴出口33とを接続する流路34と、が形成されている。中間胴31内の流路34は、中間胴入口32から、水平方向であって中間胴入口32に対する遠近方向Dfに延びつつ、中間胴入口32から遠ざかるに連れて下方に延びて、中間胴出口33に至る。中間胴入口32は、蒸気タービン20aの排気蒸気出口27に接続されている。よって、中間胴入口32に対する遠近方向Dfは、上記第一実施形態と異なり、タービン軸線Atに対して垂直な水平方向になる。
【0071】
以上のように、本実施形態の復水器30も、上記第一実施形態の復水器30と同じである。従って、本実施形態でも、蒸気タービンプラントのイニシャルコスト及びランニングコストを抑えることができる。
【0072】
また、本実施形態でも、管群外形43は、水平方向の寸法が上下方向の寸法より小さい。よって、本実施形態でも、復水器30の占有面積の増大を抑えることができる。
【0073】
すなわち、蒸気タービン20aが側方排気型であっても、上記第一実施形態と同構造の復水器30を採用することで、上記第一実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0074】
「第一変形例」
図5を参照して、上記第一実施形態における復水器30の第一変形例について説明する。
【0075】
本変形例の復水器30bでは、複数の伝熱管群41のうち、中間胴入口32に対する遠近方向Dfで、最も近側Dfnに配置されている伝熱管群41aの管群外形43aを変形されている。本変形例では、近側Dfnの伝熱管群41aの管群外形43aにおける頂面48aの中心Ctを、この管群外形43aにおける底面44の中心Cbよりも近側Dfnに位置させている。よって、この管群外形43aは、偏心外形になる。
【0076】
中間胴入口32の開口中、上部から中間胴31内に流入した蒸気Saは、その多くが本体胴入口38の開口中、遠側Dfnの部分から本体胴35内に流入する。一方、中間胴入口32の開口中、下部から中間胴31内に流入した蒸気Stは、その多くが本体胴入口38の開口中、近側Dfnの部分から本体胴35内に流入する。よって、近側Dfnの部分から本体胴35内に流入する蒸気Stの多くは、中間胴入口32から本体胴入口38に至るまでの上下方向の距離が、遠側Dfnの部分から本体胴35内に流入する蒸気Saよりも短い。このため、蒸気Sの流れ方向成分のうちで下方成分は、近側Dfnの部分から本体胴35内に流入する蒸気Stの方が遠側Dfnの部分から本体胴35内に流入する蒸気Saよりも小さい。言い換えると、蒸気Sの流れ方向成分のうちで水平方向成分は、近側Dfnの部分から本体胴35内に流入する蒸気Stの方が遠側Dfnの部分から本体胴35内に流入する蒸気Saよりも大きい。
【0077】
また、複数の伝熱管群41のうちで、近側Dfnに配置されている伝熱管群41aは、遠側Dfnの部分から本体胴35に流入した蒸気Stよりも、近側Dfnの部分から本体胴35内に流入した蒸気Stとの接触量が多い。
【0078】
そこで、本変形例では、近側Dfnに配置されている伝熱管群41aの管群外形43aを前述したように、偏心外形にすることで、この伝熱管群41aを構成する伝熱管42内の冷却水と蒸気Sとの熱交換の効率を高めている。
【0079】
なお、本変形例は、第一実施形態の変形例であるが、上記第二実施形態の近側Dfnの伝熱管群41を本変形例と同様に構成してもよい。
【0080】
「第二変形例」
図6を参照して、上記第一実施形態における復水器30の第二変形例について説明する。
【0081】
上記第一変形例の復水器30bでは、複数の伝熱管群41のうち、最も近側Dfnの伝熱管群41aのみを偏心外形にしている。しかしながら、本変形例の復水器30cのように、遠側Dfnの伝熱管群41bも偏心外形にしてもよい。
【0082】
ここで、近側Dfnの伝熱管群41aの管群外形43aにおける底面44の中心Cbから管群外形43aの頂面48aの中心Ctまでの遠近方向Dfの距離を偏心量Δaとする。また、遠側Dfnの伝熱管群41bの管群外形43bにおける底面44の中心Cbから管群外形43bの頂面48bの中心Ctまでの遠近方向Dfの距離を偏心量Δbとする。
【0083】
本変形例のように、遠側Dfnの伝熱管群41bも偏心外形にする場合、この伝熱管群41bの管群外形43bにおける偏心量Δbを、近側Dfnの伝熱管群41aの管群外形43aにおける偏心量Δaより小さくするとよい。言い換えると、近側Dfnの伝熱管群41aの管群外形43aにおける偏心量Δaを、遠側Dfnの伝熱管群41bの管群外形43bにおける偏心量Δbより大きくするとよい。
【0084】
なお、本変形例は、第一実施形態の変形例であるが、上記第二実施形態の複数の伝熱管群41を本変形例と同様に構成してもよい。
【0085】
「第三変形例」
図7を参照して、上記第一実施形態における復水器30の第三変形例について説明する。
【0086】
本変形例の復水器30dは、中間胴31内に配置され、中間胴入口32から流入した蒸気Sの流れの向きを次第に下方に向ける蒸気ガイド51を備える。この蒸気ガイド51は、遠近方向Dfの遠側Dfnに向うに連れて次第に下方に曲がっている。
【0087】
よって、本変形例では、本体胴入口38から本体胴35内に流入する蒸気Sの流れ方向成分のうちで下方成分を上記第一実施形態における同成分より大きくすることができる。このため、本変形例では、各伝熱管群41を構成する伝熱管42内の冷却水と蒸気Sとの熱交換の効率を高めることができる。
【0088】
なお、本変形例は、第一実施形態の変形例であるが、上記第二実施形態の復水器も本変形例と同様に構成してもよい。
【0089】
「第四変形例」
図8を参照して、上記第一実施形態における復水器30の第四変形例について説明する。
【0090】
上記第一実施形態では、複数の伝熱管群41中で最も上の位置が、中間胴入口32の下端32bよりも上方である。一方、本変形例の復水器30eでは、複数の伝熱管群41中で最も上の位置が、中間胴入口32の下端32bよりも上方である。言い換えると、複数の伝熱管群41は、中間胴入口32の下端32bより下方の位置に配置されている。
【0091】
本変形例では、複数の伝熱管群41の上記配置を実現するため、中間胴31eにおける中間胴出口33の近側出口縁33neの位置を上記第一実施形態の中間胴出口33の近側出口縁33nの位置より高くしている。この関係で、本変形例の本体胴35eの形状も、上記第一実施形態の本体胴35の形状と若干異なる。さらに、これに併せて、蒸気タービン20の設置位置を高くしている。なお、本変形例において、中間胴出口33の遠側出口縁33feの位置は、上下方向で、上記第一実施形態の中間胴出口33の遠側出口縁33fの位置と同じである。
【0092】
以上、本変形例では、複数の伝熱管群41が、中間胴入口32の下端32bより下方の位置に配置されているため、蒸気タービン20から水平方向に直進してきた蒸気が直接伝熱管群41に流入することが無くなり、上記第一実施形態よりも、伝熱管42のエロージョンの発生を抑えることができると考えられる。但し、本変形例では、前述したように、蒸気タービン20の設置位置が高くなる。よって、複数の伝熱管群41中で最も上の位置が、中間胴入口32の下端32bよりも上方にするか下方にするかは、伝熱管42のエロージョン発生を抑えることと、蒸気タービン20の設置位置を低くすることとのうち、いずれに重点をおくかで定めるべきである。
【0093】
ところで、ガスタービンコンバインドサイクルプラントは、蒸気タービン及び復水器を備える蒸気タービンプラントを備える。よって、ガスタービンコンバインドサイクルの復水器に本発明を適用してもよい。