(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部(40)は、前記刺激付与モードにおいて、前記空調モードよりも前記空気調和装置(2)による空調能力を低くするように前記空気調和装置(2)を制御する請求項1又は2に記載の室内環境制御システム。
前記制御部(40)は、前記刺激付与モードにおいて予め設定された時間が経過すると、前記刺激付与モードを終了して次のモードに移行するように前記空気調和装置(2)及び前記外気導入装置(3)を制御する請求項1〜3の何れか1項に記載の室内環境制御システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1,2の装置では、ルームエアコンの空調機能によって高温保持動作と低温保持動作とが実行されるので、高温保持動作及び低温保持動作の一方から他方への環境変化に時間がかかる。このように環境変化に時間がかかると、生徒が不快に感じる時間が長くなるので、生徒の集中力が阻害されることもある。その結果、生徒の集中力が重要な要素となる学習塾や学校では、かえって成績が下がる可能性もある。また、通常、学習塾や学校の教室は、一般住宅の部屋に比べると大容積である。このように学習塾や学校の教室の大きさも、環境変化に時間がかかる原因となる。
【0008】
本発明の目的は、室内の環境を温熱環境又は冷熱環境に迅速に変化させることができる室内環境制御システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の室内環境制御システムは、室内の冷房又は暖房を行う空気調和装置(2)と、前記室内に外気を導入する外気導入装置(3)と、制御部(40)と、を備え、前記制御部(40)は、空調モードよりも前記室内への外気の導入量を増やす刺激付与モードを行った後、前記空調モードに戻すように前記空気調和装置(2)及び前記外気導入装置(3)を制御する。
【0010】
本発明では、空調モードよりも室内への外気の導入量を増やす刺激付与モードが行われる。この刺激付与モードでは、通常の空調モードよりも室内への外気の導入量を増やすので、冷房時には、室外の暖かい空気を利用して室内を一時的に温熱環境に変化させることができ、暖房時には、室外の冷たい空気を利用して室内を一時的に冷熱環境に変化させることができる。このように本発明では、刺激付与モードにおいて、外気を利用して室内環境を室外環境に素早く近づけることができるので、通常の空調モードにおける快適環境から刺激付与モードにおける温熱環境又は冷熱環境に迅速に変化させることができる。そして、刺激付与モードが行われた後には、再び通常の空調モードに戻される。このような刺激付与モードと通常の空調モードの切り換えが行われることにより、室内の人に対して温熱又は冷熱の刺激(ストレス)を与えることができる。このような刺激を受ける機会が増えることにより、その人の自律神経の活性が高められると推測され、これにより、生理機能の健全性が取り戻されると考えられる。また、刺激付与モードへの環境変化が迅速に行われるので、環境変化に時間がかかることに起因する集中力の低下を抑制することもできる。
【0011】
前記室内環境制御システムにおいて、前記制御部(40)は、前記刺激付与モードにおいて、前記空調モードよりも前記空気調和装置(2)による空調能力を低くするように前記空気調和装置(2)を制御するのが好ましい。
【0012】
この構成では、冷房が行われる時期には、刺激付与モードにおいて、空気調和装置(2)による空調能力(冷房能力)を通常の空調モードよりも低くすることにより、室内をより迅速に温熱環境に変化させることができ、暖房が行われる時期には、刺激付与モードにおいて、空気調和装置(2)による空調能力(暖房能力)を通常の空調モードよりも低くすることにより、室内をより迅速に冷熱環境に変化させることができる。これにより、自律神経を活性化する効果をさらに高めることができ、しかも、環境変化に時間がかかることに起因する集中力の低下をさらに抑制することもできる。
【0013】
前記室内環境制御システムにおいて、前記制御部(40)は、前記刺激付与モードと前記空調モードとの間に、前記空調モードよりも前記空気調和装置(2)による空調能力を高くして前記刺激付与モードから前記空調モードに復帰させる復帰モードを行うように前記空気調和装置(2)を制御す
る。
【0014】
この構成では、通常の空調モードよりも空調能力を高くする復帰モードが行われるので、刺激付与モードによる温熱環境又は冷熱環境から快適環境へより迅速に室内環境を変化させることができる。このように刺激付与モードによる温熱環境又は冷熱環境から空調モードによる快適環境への移行時間を短縮できるので、温熱環境又は冷熱環境を不快に感じる時間が長くなることに起因する集中力の低下を抑制することができる。
【0015】
前記室内環境制御システムにおいて、前記制御部(40)は、前記復帰モードにおいて、前記刺激付与モードよりも前記室内への外気の導入量を減らすように前記外気導入装置(3)を制御す
る。
【0016】
この構成では、復帰モードにおいて、外気導入装置(3)による外気の導入量を減らすことにより、室内をより迅速に快適環境に変化させることができる。これにより、刺激付与モードによる温熱環境又は冷熱環境から空調モードによる快適環境への移行時間をさらに短縮できるので、温熱環境又は冷熱環境を不快に感じる時間が長くなることに起因する集中力の低下をさらに抑制することができる。
【0017】
本発明の他の室内環境制御システム
は、
室内の冷房又は暖房を行う空気調和装置(2)と、前記室内に外気を導入する外気導入装置(3)と、制御部(40)と、を備え、前記制御部(40)は、空調モードよりも前記室内への外気の導入量を増やす刺激付与モードを行った後、前記空調モードに戻すように前記空気調和装置(2)及び前記外気導入装置(3)を制御し、前記制御部(40)は、前記刺激付与モードにおいて、前記室内の温度が予め設定された制限温度に到達すると、前記室内への外気の導入量を減らすように前記外気導入装置(3)を制御
する。
【0018】
この構成では、刺激付与モードのための制限温度が予め設定されており、室内の温度がこの制限温度に到達すると、外気の導入量が減らされるので、冷房が行われる時期には、刺激付与モードにおいて室内が過度に温熱環境になるのを抑制することができ、暖房が行われる時期には、刺激付与モードにおいて室内が過度に冷熱環境になるのを抑制することができる。
【0019】
前記室内環境制御システムにおいて、前記制御部(40)は、前記刺激付与モードにおいて予め設定された時間が経過すると、前記刺激付与モードを終了して次のモードに移行するように前記空気調和装置(2)及び前記外気導入装置(3)を制御してもよい。
【0020】
この構成のように刺激付与モードの終了条件として時間が採用される場合には、制御を簡素化することができる。
【0021】
前記室内環境制御システムは、前記刺激付与モードを行う時間帯に関するデータが受け付けられる設定受付部(41)を備え、前記制御部(40)は、前記設定受付部(41)によって受け付けられた前記時間帯に前記刺激付与モードを行うように前記外気導入装置(3)を制御してもよい。
【0022】
この構成では、刺激付与モードを行う時間帯をユーザーが予め設定することができるので、室内に確実に人がいる時間帯と、そうでない時間帯とを明確に区別することができる。これにより、人がいない時間帯に刺激付与モードが行われないので、無駄な電力を消費することが防止される。また、設定された時間帯に刺激付与モードが自動的に実行されるので、室内に人がいる時間帯に確実に刺激付与モードを実行することができる。
【0023】
前記室内環境制御システムにおいて、前記時間帯は、学習塾又は学校の授業の時間帯に応じた時間帯であるのが好ましい。
【0024】
この構成では、学習塾又は学校の生徒が教室において授業を受けているときに、自動的に刺激付与モードを行うことができる。一般に、学習塾や学校には生徒が長期間継続的に高い頻度で通うことが多い。したがって、この構成では、生徒は、学習塾や学校において、刺激付与モードによる刺激を長期間継続的に繰り返し受けることができる。これにより、生徒の自律神経の活性が高められると推測され、その結果、生理機能の健全性が取り戻され、取り戻された健全性が維持される。このような生理機能の健全化は、学業成績の向上にもつながると考えられる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、室内の環境を温熱環境又は冷熱環境に迅速に変化させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態に係る室内環境制御システム1について図面を参照しながら説明する。
【0028】
[室内環境制御システム]
図1は、本発明の実施形態に係る室内環境制御システム1を示す概略の構成図である。本実施形態の室内環境制御システム1は、室内Sの環境変化を迅速に行うことにより、室内Sの人に対して温熱又は冷熱の刺激(ストレス)を効果的に与えることができる。このような刺激を受ける機会が増えることにより、その人の自律神経の活性化につながると推測される。
【0029】
図1に示すように、室内環境制御システム1は、空気調和装置2と、外気導入装置3と、空気調和装置2及び外気導入装置3の動作を制御するコントローラ4とを備えている。コントローラ4は、通常の空調モードと刺激付与モード(ストレス付与モード)とが行われるように空気調和装置2と、外気導入装置3とを制御する。
【0030】
空調モードは、室内Sの温度を調節して室内Sの環境を快適環境に空調するための運転モードである。具体的に、空調モードでは、夏季などのように室外の気温が高い時期(冷房時期)には室内Sを冷房することによって室内Sが快適環境に調節され、冬季などのように室外の気温が低い時期(暖房時期)には室内Sを暖房することによって室内Sが快適環境に調節される。すなわち、空調モードでは、室内Sの気温が目標温度(ユーザーによって設定される後述の設定温度T1)になるように空気調和装置2の空調能力が制御される。
【0031】
刺激付与モードは、室内Sの環境を快適環境から温熱環境又は冷熱環境に変化させるための運転モードである。具体的に、刺激付与モードでは、冷房時期には、空調モードによって快適環境に調節されている室内Sに気温の高い外気(より具体的には、高温高湿の外気)を大風量で導入することによって室内Sを一気に温熱環境に変化させ、暖房時期には、空調モードによって快適環境に調節されている室内Sに気温の低い外気(より具体的には、低温低湿の外気)を大風量で導入することによって室内Sを一気に冷熱環境に変化させる。刺激付与モードでは、空調モードにおいて行われるような設定温度T1への制御が外され、外気を利用して室内Sが迅速に外気環境に近づくように外気導入装置3が制御される。
【0032】
刺激付与モードが終了すると、室内Sへの外気導入量が刺激付与モードに比べて低減され(例えば空調モード時の外気導入量に戻され)、室内Sの環境は、空気調和装置2による空調能力によって温熱環境又は冷熱環境から快適環境(定常状態)に戻される。すなわち、室内Sの温湿度が素早く元の定常状態に戻される。
【0033】
[空気調和装置]
空気調和装置2は、室内Sの冷房又は暖房を行うためのものである。空気調和装置2は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷媒回路2Cを備えている。空気調和装置2は、室外ユニット21と、室内ユニット22とを備えている。室外ユニット21と室内ユニット22は、液側連絡配管及びガス側連絡配管を介して互いに接続されている。
【0034】
冷媒回路2Cには、圧縮機23と、四方切換弁24と、室外熱交換器25と、膨張機構26と、室内熱交換器27とが設けられている。圧縮機23、四方切換弁24、室外熱交換器25及び膨張機構26は、室外ユニット21に設けられている。室内熱交換器27は、室内ユニット22に設けられている。室外ユニット21には、室外熱交換器25へ室外空気を供給するための室外ファン28が設けられており、室内ユニット22には、室内熱交換器27へ室内空気を供給するための室内ファン29が設けられている。
【0035】
冷媒回路2Cにおいて、圧縮機23は、その吐出側が四方切換弁24の第1のポートに接続され、その吸入側が四方切換弁24の第2のポートに接続されている。また、冷媒回路2Cにおいて、四方切換弁24の第3のポートから第4のポートへ向かって順に、室外熱交換器25と、膨張機構26と、室内熱交換器27とが配置されている。
【0036】
圧縮機23は、スクロール型、ロータリ型などの圧縮機を用いることができるが、これらに限られない。本実施形態では、圧縮機23は、その回転速度が可変となるように構成されている。具体的に、圧縮機23の電動機は、インバータを介して商用電源に接続されている。インバータの出力周波数を変更すると、電動機の回転速度が変化し、その結果、圧縮機23の回転速度が変化する。圧縮機23の回転速度を上昇させると圧縮機23の運転容量が増加し、圧縮機23の回転速度を低下させると圧縮機23の運転容量が減少する。
【0037】
室外熱交換器25及び室内熱交換器27は、例えばフィンアンドチューブ型の熱交換器を用いることができるが、これに限られない。室外熱交換器25は、室外空気を冷媒回路2Cの冷媒と熱交換させる。室内熱交換器27は、室内空気を冷媒回路2Cの冷媒と熱交換させる。膨張機構26は、例えば電子膨張弁などの膨張弁を用いることができるが、これに限られない。
【0038】
四方切換弁24は、第1のポートが第3のポートと連通し且つ第2のポートが第4のポートと連通する第1状態(
図1において実線で示す状態)と、第1のポートが第4のポートと連通し且つ第2のポートが第3のポートと連通する第2状態(
図1において破線で示す状態)とに切り換わる。空気調和装置2は、第1状態のときには冷房運転を行い、第2状態のときには暖房運転を行う。
【0039】
室内環境制御システム1は、室内Sの空気の温度を測定する温度センサ11を備えている。本実施形態では、温度センサ11は、室内ユニット22に設けられている。具体的に、温度センサ11は、例えば、室内Sの空気を室内ユニット22の筐体20内に吸い込む吸込口付近に設けることができる。ただし、温度センサ11は、室内Sの空気の温度を測定可能な場所に設けられていればよく、例えば部屋の天井に設けられていてもよく、部屋の側壁(例えば側壁に配置された図略のリモコンなど)に設けられていてもよく、外気導入装置3に設けられていてもよい。また、温度センサ11は、空気調和装置2と外気導入装置3のそれぞれに設けられていてもよい。コントローラ4は、温度センサ11の検知結果に基づいて空気調和装置2及び外気導入装置3の運転を制御する。
【0040】
本実施形態では、室内ユニット22は、天井埋込型、天井吊り下げ型などの天井設置型の室内機であるが、これに限られず、例えば壁掛け型、床置き型などの他のタイプの室内機であってもよい。
【0041】
[外気導入装置]
外気導入装置3は、室内Sに外気を導入するためのものである。外気導入装置3は、室内Sに外気を案内する給気経路と、給気経路を通じて外気を室内Sに送るファン31とを備えている。
【0042】
ファン31は、回転速度が一定となるように構成されていてもよいが、回転速度が可変となるように構成されていてもよい。回転速度が可変である場合には、回転速度は、段階的に変化するように構成されていてもよい。具体的に、例えば、ファン31の電動機は、外気の導入量が最も多い「Hモード」と、外気の導入量が最も少ない「Lモード」とに切り換え可能に構成されていてもよい。この場合には、ファン31の電動機は、室内Sに外気を導入しない停止モードと、外気の導入量が少ないLモードと、外気の導入量が多いHモードとを含む複数の段階に風量調節可能に構成される。
【0043】
また、ファン31の電動機は、インバータを介して商用電源に接続されていてもよい。この場合には、インバータの出力周波数を変更すると、電動機の回転速度が変化し、その結果、ファン31の回転速度が変化する。ファン31の回転速度を上昇させるとファン31による室内Sへの外気の導入量が増加し、ファン31の回転速度を低下させるとファン31による室内Sへの外気の導入量が減少する。
【0044】
また、外気導入装置3は、複数のファン31を備えていてもよい。この場合には、運転するファン31の台数に応じて外気の導入量を変えることができる。
【0045】
本実施形態では、外気導入装置3は、筐体30と、ダクト32,33と、吹出口34とを備えている。ファン31は、筐体30内に収容されている。本実施形態では、ダクト32と、筐体30と、ダクト33と、吹出口34とは、この順に並んで配置され、前記給気経路を構成している。
【0046】
ファン31が運転されると、外気は、ダクト32を通じて筐体30内に流入し、ダクト33を通じて吹出口34に送られ、この吹出口34から室内Sに供給される。本実施形態では、吹出口34は、部屋の天井に設けられているが、これに限られず、例えば部屋の側壁に設けられていてもよい。
【0047】
ファン31としては、遠心ファン、斜流ファン、軸流ファン、クロスフローファンなどの種々の送風機を用いることができる。例えば、部屋の側壁に設けられた吹出口34に、ファン31としての軸流ファンが取り付けられる場合には、筐体30、ダクト32,33を省略することもできる。この場合には、前記給気経路は、側壁に設けられた吹出口34によって構成される。
【0048】
外気導入装置3は、排気経路をさらに有していてもよいが、部屋の気密性があまり高くない場合には、排気経路を省略することもできる。前記排気経路は、室内Sの空気を室外に排出できるものであればよく、特に限定されるものではない。前記排気経路は、天井、側壁などに設けられた開口のみによって構成されていてもよい。また、前記排気経路は、天井、側壁などに設けられた開口に接続された図略の排気ダクトを備えていてもよい。また、前記排気経路には、図略の排気用ファンが設けられていてもよい。
【0049】
また、外気導入装置3は、図略の全熱交換器を備えた換気装置であってもよい。全熱交換器は、前記給気経路を流れる外気と、前記排気経路を流れる室内Sからの空気との間で顕熱及び潜熱の熱交換を行わせるものである。ただし、刺激付与モードにおいて室内Sの環境を快適環境から温熱環境又は冷熱環境に迅速に変化させるという観点では、全熱交換器を用いることなく、室外の空気をそのまま室内Sに供給するのが好ましい。
【0050】
本実施形態では、外気導入装置3は、天井(具体的には天井裏)に設けられているが、これに限られず、例えば部屋の側壁に設けられていてもよく、床に設置されていてもよい。
【0051】
[コントローラ]
コントローラ4は、通常の空調モードと、刺激付与モードとが行われるように空気調和装置2と、外気導入装置3とを制御する。空調モードは、冷房運転モードと暖房運転モードとを含む。コントローラ4は、CPU、メモリなどを有する。コントローラ4は、空気調和装置2に設けられていてもよく、外気導入装置3に設けられていてもよく、これらとは別の場所に設けられていてもよい。コントローラ4は、図略の通信線を介して、空気調和装置2、外気導入装置3、温度センサ11などに接続されており、これらと情報の送受信を行うことができる。なお、情報の送受信は通信線ではなく無線で行われるものであってもよい。
【0052】
コントローラ4は、通常の空調モードと、刺激付与モードなどの種々の運転モードとを実行する制御部40と、ユーザーからの入力を受ける設定受付部41と、時間計測部42とを機能として備えている。制御部40は、空気調和装置2を制御する空調制御部と、外気導入装置3を制御する外気導入制御部とを含む。本実施形態では、制御部40は、空調モードよりも室内Sへの外気の導入量を増やす刺激付与モードを行った後、空調モードに戻すように空気調和装置2及び外気導入装置3を制御する。
【0053】
設定受付部41は、例えば、空調モードにおける室内Sの設定温度、刺激付与モードを行う時間帯の設定値、刺激付与モードにおける制限温度の設定値などをユーザーから受け付ける機能を有する。そして、制御部40は、これらの設定温度、時間帯、制限温度などのデータ、温度センサ11から入力されるデータなどに基づいて、空気調和装置2及び外気導入装置3を制御して各種運転モードを実行する。
【0054】
時間計測部42は、時計機能を有している。また、時間計測部42は、タイマー機能、カレンダー機能などを有していてもよい。制御部40は、時間計測部42の時計機能に基づいて、例えば刺激付与モードを実行する時間帯であるか否かの判断を行うことができる。
【0055】
[運転動作]
通常の空調モードにおいて、コントローラ4の制御部40は、ユーザーによって設定された設定温度に室内Sの温度が近づくように、圧縮機23、膨張機構26、室外ファン28、室内ファン29などを制御することにより、冷房運転又は暖房運転を行う。具体的に、制御部40は、膨張機構26の開度変更により冷媒回路2Cを流れる冷媒流量を調整したり、圧縮機23の回転数を変更して圧縮機23の運転容量を増減させたり、室外ファン28による風量、室内ファン29による風量を調節したりすることにより、空調能力を調節する。
【0056】
冷房運転中の冷媒回路2Cでは、四方切換弁24を第1状態に設定した状態で、冷凍サイクルが行われる。この状態では、室外熱交換器25、膨張機構26、室内熱交換器27の順に冷媒が循環する。室外熱交換器25は凝縮器として機能し、室内熱交換器27は蒸発器として機能する。室外熱交換器25では、圧縮機23から吐出された冷媒が、室外空気へ放熱して凝縮する。一方、室内熱交換器27では、膨張機構26を通過する際に膨張した冷媒が、室内空気から吸熱して蒸発する。室内ユニット22は、吸い込んだ室内空気を室内熱交換器27へ供給し、室内熱交換器27において冷却された空気を室内Sへ吹き出す。
【0057】
暖房運転中の冷媒回路2Cでは、四方切換弁24を第2状態に設定した状態で、冷凍サイクルが行われる。この状態では、室内熱交換器27、膨張機構26、室外熱交換器25の順に冷媒が循環する。室内熱交換器27は凝縮器として機能し、室外熱交換器25は蒸発器として機能する。室内熱交換器27では、圧縮機23から吐出された冷媒が、室内空気へ放熱して凝縮する。室内ユニット22は、吸い込んだ室内空気を室内熱交換器27へ供給し、室内熱交換器27において加熱された空気を室内Sへ吹き出す。一方、室外熱交換器25では、膨張機構26を通過する際に膨張した冷媒が、室外空気から吸熱して蒸発する。
【0058】
刺激付与モードにおいて、コントローラ4の制御部40は、室内Sに外気が導入されるように外気導入装置3を制御する。制御部40は、刺激付与モードにおける室内Sへの外気の導入量が、空調モードにおける室内Sへの外気の導入量よりも多くなるように外気導入装置3を制御する。なお、通常の空調モードにおいては、制御部40は、室内Sに外気を導入しないように外気導入装置3の運転を停止してもよく、室内Sに外気を導入するように外気導入装置3を運転してもよい。
【0059】
本実施形態では、刺激付与モードは、室内Sに確実に人がいる時間帯に行われるのが好ましい。例えば、室内Sに人がいる時間帯がある程度規則性を有している場合には、刺激付与モードを行うスケジュールが予め決められており、刺激付与モードが自動で実行されるのが好ましい。具体例を挙げると、例えば学習塾又は学校の生徒に温熱又は冷熱のストレスを与えて自律神経を活性化して学業成績を向上させることを目的とする場合には、刺激付与モードを行う時間帯は、学習塾又は学校の授業の時間帯に合うように設定される。そして、設定された時間帯以外の時間帯には、刺激付与モードが行われずに、通常の空調モードが行われるか、空気調和装置2及び外気導入装置3の運転が停止されている。
【0060】
以下、本実施形態の室内環境制御システム1の制御例について具体的に説明するが、室内環境制御システム1の制御は、以下の制御例に限られるものではない。
【0061】
[制御例1]
図2(A),(B)は、実施形態に係る室内環境制御システム1の制御例1を示すタイムチャートである。
図2(A),(B)は、時間の経過とともに空調モードと刺激付与モードとが行われるタイミングを示しており、実線は室内Sの気温の変化を示している。
図2(A)は、冷房時期における制御例を示しており、
図2(B)は、暖房時期における制御例を示している。
図2(A),(B)に示すように、室内環境制御システム1では、通常の空調モードが行われ、その後、刺激付与モードが行われ、刺激付与モードが終了すると、再び空調モードに戻される。
【0062】
制御例1では、刺激付与モードを行う時間帯が、学習塾又は学校の授業の時間帯に合うようにユーザーによって予め設定されている。すなわち、コントローラ4の設定受付部41は、ユーザーによる時間帯の設定を受け付けて、制御部40は、設定受付部41によって受け付けられた時間帯に、刺激付与モードを行うように空気調和装置2及び外気導入装置3を制御する。
【0063】
図2(A),(B)に示すように、制御例1では、設定された時間帯において、通常の空調モードと刺激付与モードとが交互に実行される。制御例1では、設定された時間内に刺激付与モードが繰り返し行われる。すなわち、制御例1では、設定された時間帯において刺激付与モードが複数回実行されるが、これに限られず、刺激付与モードは、設定された時間帯に1回だけ行われてもよい。
【0064】
刺激付与モードは、空調モードが開始されてから所定時間経過すると行われるようにしてもよい。また、刺激付与モードは、空調モードにおいて室内Sの気温が設定温度T1に到達してから所定時間経過すると行われるようにしてもよい。また、設定された時間帯において刺激付与モードが複数回実行される場合には、刺激付与モードは、例えば一定時間毎に行われるようにしてもよい。
【0065】
図3は、実施形態に係る室内環境制御システム1において、室内Sが通常の空調モードによって快適環境に制御されているときの状態を示す概略図である。
図2(A),(B)及び
図3に示すように、空調モードでは、制御部40は、ユーザーによって設定された設定温度T1に室内Sの気温が近づくように空気調和装置2を制御する。
図3に示す空調モードでは、外気導入装置3の運転は停止されており、室内Sに外気が導入されない状態で、空気調和装置2によって室内Sの気温が設定温度T1に調節されているが、これに限られない。空調モードでは、外気導入装置3を運転して外気を連続的又は断続的に室内Sに導入しながら、室内Sの気温を設定温度T1に調節するように空気調和装置2及び外気導入装置3が制御されてもよい。ただし、この場合には、外気導入装置3による外気の導入量は、室内Sの空調負荷が過度に高くならないように少なく抑えられる(例えば、前述の「Lモード」に設定される)。
【0066】
図4は、実施形態に係る室内環境制御システム1において、室内Sが刺激付与モードによって温熱環境又は冷熱環境に制御されているときの状態を示す概略図である。
図2(A),(B)及び
図4に示すように、刺激付与モードでは、制御部40は、空調モードよりも室内Sへの外気の導入量を増やすように外気導入装置3を制御する。
図4に示す刺激付与モードでは、空気調和装置2の運転は停止されており、空気調和装置2による室内Sの空調が行われない状態で、外気導入装置3によって室内Sへの外気の導入が行われているが、これに限られない。刺激付与モードでは、空気調和装置2を運転して室内Sの空調を行いながら、室内Sに外気を導入するように空気調和装置2及び外気導入装置3が制御されてもよい。
【0067】
ただし、刺激付与モードにおいて、室内Sの環境を迅速に室外環境に近づけるという観点では、制御部40は、刺激付与モードにおいて、空調モードよりも空気調和装置2による空調能力を低くするように空気調和装置2を制御するのが好ましい。
【0068】
刺激付与モードにおける空調能力を、空調モードにおける空調能力よりも低くする制御としては、次の(A)−(E)のような手段を例示することができるが、これらに限られない。
(A)刺激付与モードにおいて空気調和装置2による空調運転を停止する。
(B)刺激付与モードにおいて圧縮機23の運転容量が最低値に設定される(この場合には、室内Sの気温を設定温度T1に近づける制御が外されるのが好ましい)。
(C)刺激付与モードにおいて、冷房時期の場合には空調用の設定温度が設定温度T1よりも大きな値に設定され、暖房時期の場合には空調用の設定温度が設定温度T1よりも小さな値に設定される。
(D)部屋に複数の室内ユニット22が配置されている場合には、刺激付与モードにおいて運転される室内ユニット22の台数を、空調モードにおいて運転される室内ユニット22の台数よりも少なくする。
(E)刺激付与モードにおいて室内ユニット22から吹き出される風量を、空調モードにおいて室内ユニット22から吹き出される風量よりも下げる。
【0069】
なお、刺激付与モードにおいて、空気調和装置2による空調運転を停止する場合には、圧縮機23は停止されるが、室内ファン29は運転していてもよい。温度センサ11が室内ユニット22に設けられている場合には、室内ファン29を運転することで温度センサ11によって室内Sの気温を引き続き検知することができる。室内ファン29を停止させても室内Sの気温を検知可能な位置に温度センサ11が設けられている場合には、空調運転の停止中に室内ファン29も停止してもよい。
【0070】
図5は、実施形態に係る室内環境制御システム1の制御例1の具体例を示すフローチャートである。
図2(A),(B)及び
図5に示すように、制御部40は、まず始めに通常の空調モードが行われるように空気調和装置2及び外気導入装置3を制御する(
図5におけるステップS1)。
図2(A),(B)に示すように、空調モードでは、室内Sの気温が設定温度T1に近づくように室内Sが空調される。
【0071】
次に、制御部40は、空調モードの終了条件(次のモードの開始条件)が満たされているか否かを判断する(ステップS2)。空調モードの終了条件が満たされていない場合には(ステップS2においてNO)、空調モードが継続される。空調モードの終了条件が満たされている場合には(ステップS2においてYES)、制御部40は、通常の空調モードを終了して刺激付与モードが行われるように空気調和装置2及び外気導入装置3を制御する(ステップS3)。
【0072】
空調モードの終了条件としては、例えば、通常の空調モードが開始されてからの経過時間が予め設定された基準時間に達することを挙げることができるが、これに限られない。空調モードの終了条件は、例えば、室内Sの気温が設定温度T1に到達してから所定時間経過することなどであってもよい。また、空調モードの終了条件は、授業が開始されてからの経過時間に基づくものであってもよい。また、通常モードの終了条件は、例えば、設定受付部51によって受け付けられた時間帯に関連づけた条件とすることもできる。具体的には、空調モードの終了条件は、例えば、受け付けられた時間帯の始まりの時刻からの経過時間に基づくものであってもよい。この場合、本実施形態では、通常モードの終了条件は、授業の開始時刻(前記時間帯の始まりの時刻)からの経過時間が所定時間(例えば授業が開始されてから30分)に達することを条件とすることができる。
【0073】
刺激付与モードでは、外気導入装置3によって室外の空気が室内Sに導入されるので、室内Sが室外の環境に迅速に近づけられる。具体的に、刺激付与モードでは、冷房時期においては、
図2(A)に示すように室内Sの気温は、温度T2まで短時間で上昇する。また、刺激付与モードでは、暖房時期においては、
図2(B)に示すように室内Sの気温は、温度T2まで短時間で降下する。これらの温度T2は、室外の気温と同じであってもよく、室外の気温と空調モードにおける設定温度T1との間の温度であってもよい。
【0074】
制御例1では、制御部40は、刺激付与モードにおいて、室内Sの温度が予め設定された制限温度に到達すると、室内への外気の導入量を減らすように外気導入装置3を制御してもよい。この制限温度は、空調モードの設定温度T1よりも室外の気温に近い値に設定することができるが、これに限られない。冷房時期における制限温度は、設定温度T1よりも大きな値であり、且つ、室外の気温よりも小さい値である。暖房時期における制限温度は、設定温度T1よりも小さい値であり、且つ、室外の気温よりも大きい値である。この場合には、刺激付与モードにおいて、室内Sの温度がこの制限温度に到達すると、外気の導入量が減らされるので、冷房が行われる時期には、刺激付与モードにおいて室内Sが過度に温熱環境になるのを抑制することができ、暖房が行われる時期には、刺激付与モードにおいて室内Sが過度に冷熱環境になるのを抑制することができる。
【0075】
ただし、刺激付与モードでは、上述のような制限温度が設定されていなくてもよい。この場合には、刺激付与モードにおいて、例えば室内Sへの外気の導入量が一定となるように制御される。
【0076】
次に、制御部40は、刺激付与モードの終了条件(次のモードの開始条件)が満たされているか否かを判断する(ステップS4)。刺激付与モードの終了条件が満たされていない場合には(ステップS4においてNO)、刺激付与モードが継続される。刺激付与モードの終了条件が満たされている場合には(ステップS4においてYES)、制御部40は、刺激付与モードを終了して通常の空調モードが行われるように空気調和装置2及び外気導入装置3を制御する(ステップS1)。
【0077】
刺激付与モードの終了条件としては、例えば、刺激付与モードが開始されてからの経過時間が予め設定された基準時間t1に達することを挙げることができるが、これに限られない。刺激付与モードの終了条件は、例えば、刺激付与モードにおいて室内Sの気温が所定温度に到達してから所定時間経過することなどであってもよい。刺激付与モードが開始されてから終了するまでの時間(
図2(A),(B)では時間t1)は、特に限定されるものではないが、数分〜十数分程度の範囲(具体的には例えば5分〜10分程度)に設定することができる。また、刺激付与モードの終了条件は、予め定められた所定の時刻に達することを条件とすることもできる。
【0078】
刺激付与モードから通常の空調モードに切り換えられると、室内Sの気温が設定温度T1に近づくように空気調和装置2が制御される。制御例1では、空調モードにおいて、刺激付与モードの終了時点の室内Sの気温T2から設定温度T1に戻るまでに時間t2を要する。この時間t2をさらに短縮するためには、次の制御例2のように制御してもよい。
【0079】
[制御例2]
図6(A),(B)は、実施形態に係る室内環境制御システム1の制御例2を示すタイムチャートである。
図6(A)は、冷房時期における制御例を示しており、
図6(B)は、暖房時期における制御例を示している。
図7は、室内環境制御システム1において、室内Sが復帰モードによって温熱環境又は冷熱環境から快適環境に戻されているときの状態を示す概略図である。
【0080】
制御例2では、復帰モードが行われる点で、制御例1と異なっており、その他の制御は制御例1と同様である。制御例2では、制御部40は、刺激付与モードと空調モードとの間に、空調モードよりも空気調和装置2による空調能力を高くして刺激付与モードから空調モードに復帰させる復帰モードを行うように空気調和装置2を制御する。この制御例2では、通常の空調モードよりも空調能力を高くする復帰モードが行われるので、刺激付与モードから通常の空調モードにより迅速に室内環境を変化させることができる。
【0081】
図8は、室内環境制御システム1の制御例2を示すフローチャートである。
図8におけるステップS1〜S4は、
図5に示す制御例1のステップS1〜S4と同じであるので説明を省略する。
【0082】
制御部40は、刺激付与モードの終了条件(次のモードの開始条件)が満たされている場合には(ステップS4においてYES)、刺激付与モードを終了して復帰モードが行われるように空気調和装置2及び外気導入装置3を制御する(ステップS5)。
【0083】
復帰モードでは、迅速に快適環境に戻すために、空気調和装置2による空調能力が通常の空調モードよりも高められる。復帰モードにおける空調能力を、通常の空調モードにおける空調能力よりも高くする制御としては、次の(F)−(I)のような手段を例示することができるが、これらに限られない。
(F)復帰モードにおいて圧縮機23の運転容量が最高値に設定される。
(G)復帰モードにおいて、冷房時期の場合には空調用の設定温度が設定温度T1よりも小さな値に設定され、暖房時期の場合には空調用の設定温度が設定温度T1よりも大きな値に設定される。
(H)部屋に複数の室内ユニット22が配置されている場合には、復帰モードにおいて運転される室内ユニット22の台数を、空調モードにおいて運転される室内ユニット22の台数よりも多くする。
(I)復帰モードにおいて室内ユニット22から吹き出される風量を、空調モードにおいて室内ユニット22から吹き出される風量よりも上げる。
【0084】
なお、復帰モードでは、室外の空気の影響を極力受けずに快適環境に迅速に復帰させるという観点で、
図7に示すように外気導入装置3の運転を停止するのが好ましい。
【0085】
復帰モードの終了条件(次のモードの開始条件)としては、例えば、室内Sの気温が予め定められた基準温度(例えば設定温度T1)に到達したか否かを条件とすることができるが、これに限られない。この基準温度は、設定温度T1と異なる値であってもよい。また、復帰モードの終了条件としては、復帰モードが開始されてからの経過時間が予め設定された基準時間に達することを条件としてもよい。
【0086】
制御例2では、復帰モードにおいて、刺激付与モードの終了時点の室内Sの気温T2から設定温度T1に戻るまでに時間t3を要する。この時間t3は、制御例1の時間t2に比べて短縮されている。
【0087】
制御部40は、復帰モードの終了条件が満たされているか否かを判断する(ステップS6)。復帰モードの終了条件が満たされていない場合には(ステップS6においてNO)、復帰モードが継続される。復帰モードの終了条件が満たされている場合には(ステップS6においてYES)、制御部40は、復帰モードを終了して通常の空調モードが行われるように空気調和装置2及び外気導入装置3を制御する(ステップS1)。
【0088】
[実施形態のまとめ]
本実施形態では、刺激付与モードにおいて、通常の空調モードよりも室内への外気の導入量を増やすので、冷房時には、室外の暖かい空気を利用して室内を迅速に温熱環境に変化させることができ、暖房時には、室外の冷たい空気を利用して室内を迅速に冷熱環境に変化させることができる。したがって、刺激付与モードにおいて外気を利用して室内環境を室外環境に素早く近づけることができるので、通常の空調モードにおける快適環境から刺激付与モードにおける温熱環境又は冷熱環境に迅速に変化させることができる。そして、刺激付与モードが行われた後には、再び通常の空調モードに戻される。このような刺激付与モードと通常の空調モードの切り換えが行われることにより、室内の人に対して温熱又は冷熱の刺激(ストレス)を与えることができる。このような刺激を受ける機会が増えることにより、その人の自律神経の活性が高められると推測され、これにより、生理機能の健全性が取り戻されると考えられる。また、刺激付与モードへの環境変化が迅速に行われるので、環境変化に時間がかかることに起因する集中力の低下を抑制することもできる。
【0089】
本実施形態では、制御部40は、刺激付与モードにおいて、空調モードよりも空気調和装置2による空調能力を低くするように空気調和装置2を制御する。具体的に、冷房が行われる時期には、刺激付与モードにおいて、空気調和装置2による空調能力(冷房能力)を通常の空調モードよりも低くすることにより、室内をより迅速に温熱環境に変化させることができ、暖房が行われる時期には、刺激付与モードにおいて、空気調和装置2による空調能力(暖房能力)を通常の空調モードよりも低くすることにより、室内をより迅速に冷熱環境に変化させることができる。これにより、自律神経を活性化する効果をさらに高めることができ、しかも、環境変化に時間がかかることに起因する集中力の低下をさらに抑制することもできる。
【0090】
本実施形態の制御例2では、制御部40は、刺激付与モードと空調モードとの間に、空調モードよりも空気調和装置2による空調能力を高くして刺激付与モードから空調モードに復帰させる復帰モードを行うように空気調和装置2を制御する。したがって、刺激付与モードによる温熱環境又は冷熱環境から快適環境へより迅速に室内環境を変化させることができる。このように刺激付与モードによる温熱環境又は冷熱環境から空調モードによる快適環境への移行時間を短縮できるので、温熱環境又は冷熱環境を不快に感じる時間が長くなることに起因する集中力の低下を抑制することができる。
【0091】
本実施形態の制御例2では、制御部40は、復帰モードにおいて、刺激付与モードよりも室内への外気の導入量を減らすように外気導入装置3を制御する。したがって、室内Sをより迅速に快適環境に変化させることができる。これにより、刺激付与モードによる温熱環境又は冷熱環境から空調モードによる快適環境への移行時間をさらに短縮できるので、温熱環境又は冷熱環境を不快に感じる時間が長くなることに起因する集中力の低下をさらに抑制することができる。
【0092】
本実施形態では、制御部40は、刺激付与モードにおいて、室内Sの温度が予め設定された制限温度に到達すると、室内Sへの外気の導入量を減らすように外気導入装置3を制御するのが好ましい。この制御例では、室内Sの温度がこの制限温度に到達すると、外気の導入量が減らされるので、冷房が行われる時期には、刺激付与モードにおいて室内Sが過度に温熱環境になるのを抑制することができ、暖房が行われる時期には、刺激付与モードにおいて室内Sが過度に冷熱環境になるのを抑制することができる。
【0093】
本実施形態では、制御部40は、刺激付与モードにおいて予め設定された時間が経過すると、刺激付与モードを終了して次のモードに移行するように空気調和装置2及び外気導入装置3を制御してもよい。この構成のように刺激付与モードの終了条件として時間が採用される場合には、制御を簡素化することができる。
【0094】
本実施形態では、制御部40は、設定受付部41によって受け付けられた時間帯に刺激付与モードを行うように外気導入装置3を制御する。したがって、刺激付与モードを行う時間帯をユーザーが予め設定することができるので、室内Sに確実に人がいる時間帯と、そうでない時間帯とを明確に区別することができる。これにより、人のいない時間帯に刺激付与モードが行われないので、無駄な電力を消費することが防止される。また、設定された時間帯に刺激付与モードが自動的に実行されるので、室内に人がいる時間帯に確実に刺激付与モードを実行することができる。
【0095】
本実施形態では、学習塾又は学校の授業の時間帯に応じた時間帯に刺激付与モードが実行される。したがって、学習塾又は学校の生徒が教室において授業を受けているときに、自動的に刺激付与モードを行うことができる。そして、生徒は、学習塾や学校において、刺激付与モードによる刺激を長期間継続的に繰り返し受けることができる。これにより、生徒の自律神経の活性が高められると推測され、その結果、生理機能の健全性が取り戻され、取り戻された健全性が維持される。このような生理機能の健全化は、学業成績の向上にもつながると考えられる。
【0096】
なお、本発明は、前記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更、改良等が可能である。
【0097】
前記実施形態では、学習塾又は学校の授業の時間帯(生徒が着席している時間帯)に刺激付与モードが行われる場合を例示したが、これに限られず、例えばオフィス、公共機関などの他の場所において刺激付与モードが行われてもよい。
【0098】
前記実施形態では、制御部40は、刺激付与モードにおいて、室内Sの温度が予め設定された制限温度に到達すると、室内Sへの外気の導入量を減らすように外気導入装置3を制御したが、これに限られない。制御部40は、刺激付与モードの開始から終了まで室内Sへの外気の導入量が減少しないように外気導入装置3を制御してもよい。
【0099】
前記実施形態では、刺激付与モードを行う時間帯に関するデータが受け付けられる設定受付部41が設けられていたが、この設定受付部41は省略することもできる。