【実施例】
【0013】
図1〜
図3に実施例の搬送システム2を示す。長距離搬送用の走行レール10に沿って長距離搬送用の第1の台車4が走行し、短距離搬送用の走行レール12に沿って短距離搬送用の第2の台車6が走行する。走行レール10,12は共に支柱14により建屋の天井9側から支持されている。台車4,6は共に天井走行車であり、横移載装置と昇降装置とを備えて、キャリア8等の物品を搬送しかつ移載する。なお第1の台車4は側方へキャリア8を移載し、第2の台車6は側方と下方へキャリア8を移載する。このため第2の台車6はホイストをさらに備えている。またキャリア8は半導体ウェハー、レチクル等のキャリアで、搬送する物品の種類は任意である。
【0014】
図2に示すように、台車4,6はキャリア8を例えば共通の高さ位置に保持して搬送する。そして走行レール10,12間に、台車4,6のいずれからも、横移動と昇降とを組み合わせてキャリア8を移載できるように、上下多段の多段棚20が設けられている。
図1に示すように、多段棚20には上下のセルの列26a,b,c等が複数列設けられ、セルの列26では例えば上下3段にセルが設けられ、好ましくは2〜4段に設けられている。最上段のセル21は台車4,6が搬送中のキャリア8の底面よりもやや低い載置面を備え、台車4,6はスライドフォーク等の横移載装置を横移動させるとともに短い高さ距離だけ昇降させると、キャリア8を移載できる。22は中段のセル、23は最下段のセルである。
【0015】
走行レール12は処理装置30のロードポート32の直上部を通過し、ロードポート32に対して向き合うセルの列26が存在するように、多段棚20が走行レール10,12間に配置されている。そして長距離搬送用の第1の台車4は、多段棚20と、他の多段棚20、図示しないストッカ、あるいは他のバッファとの間でキャリア8を搬送し、セル21〜23等とキャリアを受け渡しする。また短距離搬送用の第2の台車6は、多段棚20とロードポート32間でキャリア8を搬送し、セル21〜23及びロードポート32との間でキャリア8を移載する。なお
図1に示すように、走行レール10から見て、多段棚20の他側方に追加の多段棚34を設けても良い。
【0016】
長距離搬送用の走行レール10はインターベイルートであり、多数台の第1の台車4が走行し、
図3のように、ベイ内でU字状に配置されている。短距離搬送用の走行レール12は、ベイ内で、長距離搬送用の走行レール10の外側に配置され、1台〜数台程度の小数の第2の台車6が走行する。このため、短距離搬送用の第2の台車6が渋滞し、ロードポート32への到着が遅れることは少ない。短距離搬送用の走行レール12は1個のベイ内に限って配置しても、
図3のように他のベイまで延びるように配置しても良い。
【0017】
第1の台車4はセル21〜23にキャリアを搬出入し、第2の台車6はセル21〜23とロードポート32との間でキャリアを搬出入する。
図1に示すように、1個のロードポート32aに向き合うように1個のセルの列26aがあるので、3個のセル21〜23を向かい合ったロードポート32aの専用とし、その内1個あるいは2個を、ロードポート32から搬出したキャリアの一時保管に、残りをロードポート32へ搬入するキャリアの一時保管に割り当てる。ロードポート32,32の間の位置にもセルの列26bがあり、セルの列26bのセルは例えば特定のロードポートに対応しない汎用のセルとする。
【0018】
図4,
図5は長距離搬送用の第1の台車4の構造を示す。走行台車15と受電台車16とが走行レール10内を走行し、上部フレーム40は走行台車15に軸で支持されている。走行方向に沿って前後一対の第1のサイドプレート50,50が上部フレーム40に支持され、サイドプレート50に設けられたガイドレール51に沿って、リニアガイド52と共に第2のサイドプレート55が昇降する。横移載装置のスライドフォーク42を大きなストロークで昇降させるため、第2のサイドプレート55にさらにガイドレール56を設けて、リニアガイド57をガイドレール56に沿って昇降させる。
【0019】
回動機構60は一対のリニアガイド57,57に固定されて昇降し、回動機構60の下部にスライドフォーク42が取り付けられている。回動機構60によりスライドフォーク42を回動させて、ロードポートに合わせた向きにする。なお回動機構60は設けなくても良い。そしてスライドフォーク42では、ベースプレート43が回動機構60に固定され、トッププレート45が第1の台車4の走行方向に水平面内で直角な方向に沿って両側に進退自在で、ミドルプレート44はトッププレート45の1/2のストロークで同様に両側に進退する。またトッププレート45の底部にチャック46が設けられ、キャリア8のフランジ48を保持する。
図4,
図5に鎖線で、キャリア8が下降すると共に側方へ進出した姿を示す。なおスライドフォーク42の代わりにスカラアーム等を用いても良い。スライドフォーク42の昇降ストロークが小さくても良い場合は、サイドプレート55〜リニアガイド57を設けなくても良い。さらにキャリア8の横移動と昇降を並行して行っても良い。
【0020】
図6は第2の台車6の構造を示す。走行レール12内に図示しない走行台車と受電台車とを設け、2重のサイドプレート50,55とガイドレール51,56及びリニアガイド52,57により、回動機構60とスライドフォーク42を昇降させる。また回動機構60によりスライドフォーク42を回動させる。ロードポート32との間でキャリア8を受け渡すため、トッププレート45の底部にホイスト62を設け、ベルト63等の吊持材により、チャック46を備える昇降台64を昇降させる。なお回動機構60は設けなくても良く、多段棚20への移載のための昇降ストロークが小さくても良い場合は、サイドプレート55〜リニアガイド57は設けなくても良い。スライドフォーク42はスカラアーム等の他の横移載装置でも良く、キャリア8の横移動と昇降を並行して行っても良い。
【0021】
図1に戻ると、ロードポート32aに対し、キャリアの搬出と搬入を、第1の台車4aと第2の台車6aとが、セルの列26aを用いて実行している。第2の台車6aは、ロードポート32aからキャリアを搬出し、セルの列26a内の搬出物品用のセルへキャリアを移載する。第1の台車4aは、セルの列26a内の搬入物品用のセルへキャリアを移載し、搬出物品用のセルからキャリアを取り出して搬送を開始する。さらに第2の台車6aは、搬入物品用のセルからキャリアを取り出して、ロードポート32aへ受け渡す。
【0022】
このようにすると、ロードポート32aからキャリアが取り去られた後、短時間で次のキャリアを搬入できる。従って処理装置30のスループットが向上する。例えば第1の台車4が、予めロードポート32へ供給するキャリアを、多段棚20の搬入用のセルに荷下ろししておく。そしてロードポート32に搬出すべきキャリアが表れると、第2の台車6により、多段棚20の搬出用のセルへ荷下ろしし、搬入用のセルからキャリアをロードポートへ搬入する。するとロードポート32がキャリアの搬入を待つ時間を最短にできる。
【0023】
逆に、ロードポート32aへ搬入するキャリアが未着の状態で、ロードポート32aに搬出すべきキャリアが表れると、第2の台車6により、セルの列26aの搬出用のセルへ荷下ろししておく。ロードポート32aへ供給するキャリアを搬送している第1の台車4はセルの列26aに到着すると、キャリアを搬入用のセルへ荷下ろしし、搬出用のセルからキャリアを荷積みして搬送する。これと例えば同時に、第2の台車6がロードポート32aに向き合うセルからロードポート32aへキャリアを搬入する。すると、第1の台車4は停止したままでキャリアの搬出と搬入とができる。ここで、第1の台車4と第2の台車6がロードポート32aに向き合う位置へほぼ同時に到着するように、第2の台車6を制御することが好ましい。すると、第1の台車4と第2の台車6は停止したままで、キャリアの搬出と搬入とができる。
【0024】
実施例には以下の特徴がある。
1) 多段棚20を走行レール10,12間に配置することにより、第1の台車4は長距離搬送に専念し、第2の台車6は多段棚20とロードポート32間の短距離搬送に専念できる。
2) 短距離搬送用の走行レール12は、少数の第2の台車6しか必要としないので、第2の台車6の渋滞が少ない。
3) 長距離搬送用の第1の台車4はホイストを必要とせず、かつ高速でキャリアを搬送できる。
4) サイドプレート50〜リニアガイド57により、上下多段の多段棚20に、第1の台車4と第2の台車6がアクセスできる。
5) 多段棚20は上下多段なので、多数のキャリアを一時保管できる。このため、第1の台車4と第2の台車6間で、多数の物品を受け渡しできる。
6) 各ロードポート32に対し、搬出専用のセルと搬入専用のセルを少なくとも1個ずつ確保できるので、ロードポート32へのキャリアの搬入と搬出に便利である。
7) ロードポート32からのキャリアの搬出とロードポート32へのキャリアの搬入を、短時間で実行できる。