特許第6578797号(P6578797)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6578797
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】操作装置およびX線撮影ユニット
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20190912BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20190912BHJP
【FI】
   A61B6/00 321
   H04Q9/00 371B
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-156476(P2015-156476)
(22)【出願日】2015年8月6日
(65)【公開番号】特開2017-35137(P2017-35137A)
(43)【公開日】2017年2月16日
【審査請求日】2017年10月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】飛田 孝吉
(72)【発明者】
【氏名】古澤 光一
(72)【発明者】
【氏名】和田 真
【審査官】 原 俊文
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−109960(JP,A)
【文献】 特開2007−329815(JP,A)
【文献】 特開2007−325856(JP,A)
【文献】 特開2010−284363(JP,A)
【文献】 特開2009−165105(JP,A)
【文献】 特表2012−523191(JP,A)
【文献】 特開2000−084871(JP,A)
【文献】 特開2014−061761(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/044093(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00−6/14
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作対象装置を遠隔操作する操作装置であって、
操作者による操作を受け付ける操作部と、
前記操作部が受け付けた操作が正常操作か誤操作かを判断する判断部と、
前記操作部が受け付けた操作に応じた操作信号を前記操作対象装置に対して送信する制御部とを備え、
前記制御部は、前記判断部が正常操作であると判断した場合に前記送信を行い、
前記判断部は、
前記操作者が前記操作装置を把持している把持状態であるか否かを検知する把持検知部を備え、
前記把持検知部が前記把持状態であると検知した場合に正常操作であると判断し、
前記把持状態である時に、前記操作者の何れかの指が入る、指に応じた大きさの凹部を備え、
前記把持検知部は、前記凹部内に設けられ、前記凹部内に存在する物体を検知するセンサを備えており、
前記凹部を複数備え、
それぞれの前記凹部内に前記センサが設けられており、
前記把持検知部は、複数の前記センサのうち少なくとも2つの前記センサが前記凹部内に物体が存在することを検知した場合に前記把持状態であると判断することを特徴とする操作装置。
【請求項2】
前記把持検知部は、
前記操作装置と人体との接触を検知する前記センサを複数個備え、
複数の前記センサの少なくとも2つが前記接触を検知した場合に前記把持状態であると検知することを特徴とする請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記センサは、静電容量式センサ、感圧式センサまたは機械式スイッチであることを特徴とする請求項2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記センサは、発光素子と受光素子とを備え、
前記発光素子および前記受光素子は、前記凹部内に対向するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の操作装置。
【請求項5】
前記操作装置は、無線により前記操作対象装置を遠隔操作することを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載の操作装置。
【請求項6】
前記操作対象装置は、X線撮影装置であり、
前記操作対象装置と、請求項1からの何れか1項に記載の操作装置とを備えるX線撮影ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作対象装置を遠隔操作する操作装置および当該操作装置を備えるX線撮影ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線画像を撮影するためのX線撮影装置が知られている。現在一般的に用いられているX線撮影装置は、有線式のコントローラを備え、X線画像の撮影は、当該コントローラを操作することで行われている。
【0003】
しかしながら、有線式のコントローラは、操作者の行動範囲を制限してしまう。また、有線式のコントローラのケーブルは、長いものでは10mになるものもある。そのため、ケーブルの重量により操作性が悪くなってしまうという問題もある。さらに、使用しているうちにケーブルが汚れてしまい、定期的にケーブルを交換しなければいけないという問題もある。
【0004】
このような問題を解決するために、特許文献1では、X線撮影装置の無線式のコントローラが開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、側面に導電体のレールを備えるリモートコントローラが開示されている。特許文献2のリモートコントローラは、導電体のレールへの接触が無い場合に、省電力状態とすることで、消費電力を削減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5206894号明細書(1993年4月27日)
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0054651号明細書(2007年5月8日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
X線撮影装置のコントローラを無線式にした場合、X線撮影装置を使用する操作者は、X線画像を撮影するとき以外はコントローラを着衣のポケット等に入れた状態で他の作業を行う。また、X線撮影装置のコントローラが有線であったとしても、コントローラを着衣のポケット等に入れた状態で他の操作を行うこともある。そのため、ポケット等に入れたコントローラが作業中に誤って操作されてしまうことが有る。X線撮影装置のコントローラが誤って操作されると、X線により意図しない被曝を受ける危険性がある。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、X線撮影装置等の操作対象装置を遠隔操作することができる操作装置において、誤操作を防止することができる操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る操作装置は、操作対象装置を遠隔操作する操作装置であって、操作者による操作を受け付ける操作部と、前記操作部が受け付けた操作が正常操作か誤操作かを判断する判断部と、前記操作部が受け付けた操作に応じた操作信号を前記操作対象装置に対して送信する制御部とを備え、前記制御部は、前記判断部が正常操作であると判断した場合に前記送信を行うことを特徴とする。
【0010】
上記の構成によれば、操作装置が判断部を備え、判断部が正常操作であると判断した場合に操作信号を送信することにより、誤操作により操作部が操作されたとしても、操作信号は送信されない。これにより、誤操作を防止することができる操作装置を提供することができる。
【0011】
また、本発明に係る操作装置において、前記判断部は、前記操作者が前記操作装置を把持している把持状態であるか否かを検知する把持検知部を備え、前記把持検知部が前記把持状態であると検知した場合に正常操作であると判断してもよい。
【0012】
上記の構成によれば、操作者が操作装置を把持している場合にのみ操作信号の送信が行われる。そのため、例えばポケットの中といった把持していない状態で、操作部が操作されたとしても、判断部が誤操作であると判断し、操作信号の送信は行われない。これにより、操作装置の誤操作を防止することができる。
【0013】
また、本発明に係る操作装置において、前記把持検知部は、前記操作装置と人体との接触を検知するセンサを複数個備え、複数の前記センサの少なくとも2つが前記接触を検知した場合に前記把持状態であると検知してもよい。
【0014】
上記の構成によれば、複数個のセンサのうち少なくとも2つが操作装置と人体との接触を検知した場合にのみ操作部に対する操作に応じた操作信号が操作対象装置へと送信される。そのため、より高精度に誤操作を防止することができる。
【0015】
また、本発明に係る操作装置において、複数の前記センサは、前記操作者が前記操作部を操作する際に把持する把持部への前記接触を検知し、前記把持検知部は、複数の前記センサが、前記把持部において異なる2方向からの接触を検知した場合に、前記把持状態であると検知してもよい。
【0016】
上記の構成によれば、操作者が操作装置を把持している状態と、ベッドや椅子といった所に操作装置が接触し、片側から押さえつけられている状態とを区別することができる。
【0017】
また、本発明に係る操作装置において、前記センサは、静電容量式センサ、感圧式センサまたは機械式スイッチであってもよい。
【0018】
また、本発明に係る操作装置において、前記把持状態である時に、前記操作者の何れかの指が入る、指に応じた大きさの凹部を備え、前記把持検知部は、前記凹部内に設けられ、前記凹部内に存在する物体を検知するセンサを備えていてもよい。
【0019】
上記の構成によれば、操作装置が指に応じた大きさの凹部を備え、判断部は凹部の内部に設けられたセンサにより把持しているか否かを検知する。そのため、操作者が操作装置をポケットに入れた状態で、操作装置とベッドや椅子等の平らな所とが接触したとしても、把持しているか否かを検知するセンサは凹部内に設けられているため、判断部は把持状態では無いと判断することができる。また、凹部が指に応じた大きさで設けられているため、指より大きい物が凹部に進入し、判断部が把持状態であると誤検知してしまうのを防止することができる。
【0020】
また、本発明に係る操作装置において、前記センサは、発光素子と受光素子とを備え、前記発光素子および前記受光素子は、前記凹部内に対向するように設けられていてもよい。
【0021】
上記の構成によれば、操作者が操作装置を把持し、凹部内に操作者の指が位置すると、発光素子から発せられた光が遮光されるため、操作者による操作装置の把持を確実に検知することができる。
【0022】
また、本発明に係る操作装置において、前記操作装置は、無線により前記操作対象装置を遠隔操作してもよい。
【0023】
上記の構成によれば、無線により操作対象装置を遠隔操作することができる操作装置を提供することができる。
【0024】
さらに、前記操作対象装置は、X線撮影装置であり、前記操作対象装置と、前記操作装置とを備えるX線撮影ユニットも本発明に含まれる。
【0025】
上記の構成によれば、誤操作を防止することができる操作装置を備えるX線撮影ユニットを提供することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、X線撮影装置等の操作対象装置を遠隔操作することができる操作装置において、誤操作を防止することができる操作装置、および当該操作装置を備えるX線撮影ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態に係る操作装置を備えるX線撮影ユニットの外観を示す図である。
図2図1に示す操作装置、およびX線撮影ユニットが備えるホルダーの外観を示す斜視図である。
図3】(a)〜(d)は、操作者により操作装置が操作されている状態を示す図である。
図4図2に示す操作装置において、前方ケースおよび下部キャップを外した状態を示す図である。
図5図2に示す操作装置において、前方ケースおよび前方電極を示す図である。
図6図2に示す操作装置において、後方ケースおよび後方電極を示す図である。
図7図1に示すX線撮影ユニット300の構成を示すブロック図である。
図8】実施形態2に係る操作装置400を示す図であり、(a)は外観斜視図であり、(b)は(a)のA−A線における断面の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照し詳細に説明する。
【0029】
〔実施形態1〕
図1は、本実施の形態における操作対象装置を操作する操作装置をホルダーおよび操作対象装置とともに示す斜視図である。操作対象装置は、患者にX線を照射し、患者を透過したX線を検出してX線画像を生成するX線撮影装置1であり、図1に示されるように、ホルダー100が設けられ、ホルダー100によって操作装置200を着脱可能に保持する。
【0030】
図2は、本実施の形態における操作装置を示す図である。操作装置200は、X線撮影装置1を遠隔操作するためのリモートコントローラであり、前方ケース250と、後方ケース260と、下部キャップ270によって操作装置200の各部が保持されている。操作装置200は、略円柱形状であり、ユーザが操作装置200の周面を握りながら、メインスイッチ210を親指で、オプションスイッチ220を人差し指で操作できるよう、操作装置200の上面に設けられたメインスイッチ210と、周面の上部に設けられたオプションスイッチ220とを含む。
【0031】
メインスイッチ210は、ユーザにより押下されていない原点位置の異なる第1スイッチ部材201および第2スイッチ部材202を備えた2段階で動作するスイッチである。第1スイッチ部材201は、原点位置からのストローク距離が第2スイッチ部材202より長く設定されている。
【0032】
操作部280は、操作者による操作を受け付けるメインスイッチ210およびオプションスイッチ220を含む。メインスイッチ210の押下により、X線撮影の指示をX線撮影装置1に出力し、オプションスイッチ220の押下により、X線撮影装置1が有するX線の照射範囲を示す照明器具の照明をオンまたはオフするための指示をX線撮影装置1に出力する。
【0033】
また、メインスイッチは、第1スイッチ部材201および第2スイッチ部材202を含み、第1スイッチ部材201が第2スイッチ部材202の原点位置まで押下されると、X線撮影回路を充電する指示を(ホルダー100を介して)X線撮影装置1に出力する(図3(a)〜(c)参照)。第1スイッチ部材201が第2スイッチ部材202の原点位置まで押下された状態が所定時間保持されるとX線撮影回路の充電が完了して、撮影可能な状態となる。そして、第1スイッチ部材201とともに第2スイッチ部材202を押し込み、フルストロークすることにより、X線撮影する指示を(ホルダー100を介して)X線撮影装置1に出力する(図3(d)参照)。
【0034】
図4図6は、操作装置200の内部構造を示す図である。図4は、操作装置200の前方ケース250および下部キャップ270を外した状態を示す図であり、図5は、前方ケース250および前方電極241を示す図であり、図6は、後方ケース260および後方電極242を示す図である。
【0035】
図4図6に示すように、操作装置200は、内部にタッチセンサ用IC243と、前方電極241と、後方電極242と、通信部231とを備える。
【0036】
前方電極(センサ)241および後方電極(センサ)242は、静電容量式のタッチセンサの電極である。ここで、前方ケース250には、オプションスイッチ220が配置される位置に、穴部250aが形成されている。前方電極241は、穴部250aの下方(メインスイッチ210が設けられている方向とは逆の方向)に、前方ケース250の内壁に沿うように配置されている。後方電極242は、後方ケース260の内壁に沿うように配置され、前方電極241と径方向に対向する位置に配置されている。
【0037】
タッチセンサ用IC243は、前方電極241および後方電極242と電気的に接続しており、前方電極241および後方電極242の静電容量の変化に基づいて、操作装置200が操作者により把持されているか否かを検知する。当該検知の方法の詳細は後述する。
【0038】
通信部231は、操作部280の操作に基づいた操作信号を無線通信によりホルダー100に送信する。通信部231が行う無線通信方式は特に限定されるものでは無いが、例えば、Bluetooth(登録商標)や赤外線等が挙げられる。
【0039】
図7は、本実施形態に係る操作装置200を備えるX線撮影ユニット300の構成を示すブロック図である。図7に示すように、X線撮影装置1と、ホルダー100と、操作装置200によりX線撮影ユニット300が構成される。
【0040】
ホルダー100は、操作装置200と無線通信を行い、操作装置200から送信される操作信号を通信部101で受信し、該操作信号をX線撮影装置1へと送信する。
【0041】
操作装置200は、操作部280と、制御部230と、把持検知部(判断部)240とを備える。
【0042】
把持検知部240は、前方電極241、後方電極242およびタッチセンサ用IC243を備える。把持検知部240は、前方電極241および後方電極242の静電容量の変化に基づいて、操作者が操作装置200を把持している把持状態であるか否かを検知し、把持状態であるか否かを示す把持状態情報を生成する。すなわち、把持検知部240は、操作部280が受け付けた操作が、操作者が意図した操作である正常操作か、操作者が意図しない操作である誤操作かを判断する判断部である。
【0043】
具体的には、操作者が操作部280を操作するために操作装置200を把持すると、前方ケース250の前方電極241が配置されている領域、および後方ケース260の後方電極242が配置されている領域に操作者の指が接触することとなり、前方電極241および後方電極242の静電容量が変化する。タッチセンサ用IC243は、前方電極241と後方電極242との両方の静電容量が変化した場合に、操作装置200が把持されている把持状態であると検知する。
【0044】
操作部280は、上述したように、第1スイッチ部材201および第2スイッチ部材202を有するメインスイッチ210と、オプションスイッチ220とを備える。操作部280は、操作者がメインスイッチ210およびオプションスイッチ220に対して操作を行ったときに、当該操作に応じた操作信号を制御部230に対して送信する。
【0045】
制御部230は、操作部280から操作信号を受信すると、把持検知部240から把持状態情報を取得する。制御部230は、取得した把持状態情報において操作装置200が把持状態であることが示される場合に、通信部231を介してホルダー100に対して操作信号を送信する。また、制御部は、取得した把持状態情報において操作装置把持状態で無い場合には、ホルダー100に対して操作信号の送信は行わない。
【0046】
例えば、操作者が操作装置200をホルダー100から取り外し、衣服のポケットに入れた状態でX線画像の撮影以外の他の作業を行い、操作装置200がポケットの中で誤って操作された場合を考える。そのような場合、前方電極241および後方電極242の一方の電極は、ポケットの中で衣服を介して操作者に接触しているため、静電容量が変化する。しかしながら他方の電極は、操作者に接触していないため、タッチセンサ用IC243は、操作装置200が把持状態では無いと検知する。そのため、このような状態で操作部280が操作されたとしても、操作信号は送信されず、X線撮影装置1からX線が照射されることは無い。
【0047】
また、X線画像の撮影以外の他の作業として、患者の介助を行っている最中に、ポケットの中に入った状態の操作装置200とベッド等とが接触してしまうことも考えられる。このような場合であっても、前方電極241が設けられている領域と、後方電極242が設けられている領域との両方に導電体が接触しなければ、把持検知部240は、操作装置200が把持状態であると検知しない。そのため、前方電極241および後方電極242の一方の電極が、衣服を介して操作者に接触し、他方の電極が導電体でないベッド等に接触したとしても、把持検知部240は操作装置200が把持状態であると検知しない。
【0048】
このように、本実施形態に係る操作装置200は、人体の接触を検知するセンサとしての電極を2つ備え、その両方が接触を検知した場合に把持状態であると検知する。そのため、操作者が意図しない状態で、すなわち操作装置200を把持していない状態で操作部280が操作されたとしても、操作信号はX線撮影装置1に送信されない。これにより、操作者の意図しない操作である誤操作によりX線撮影装置1からX線が照射されることを防止することができる。
【0049】
(変形例)
上述した実施形態において、操作装置は200がタッチセンサ用の電極として前方電極241と後方電極242との2つの電極を備えている例を示したが、電極の数はこれに限られるものでは無い。すなわち、操作装置200は、タッチセンサ用の電極を複数個備えていればよく、例えば3つや4つ備えていてもよい。タッチセンサ用の電極を3つ以上備えている場合には、把持検知部240のタッチセンサ用IC243は、2つ以上の電極において操作装置200と人体との接触が検知された場合に把持状態であると検知する。換言すれば、把持検知部240は、異なる2方向からの人体の接触を検知した場合に把持状態であると検知する。また、タッチセンサ用の電極が備えられている場所も、操作者が操作装置200を把持する際に把持する把持部への人体の接触を検知できればよい。
【0050】
また、上述した実施形態において、把持検知部240は、静電容量式のタッチセンサにより操作者が操作装置200を把持している把持状態であるか否かを検知する構成とした。しかしながら、把持検知部240が把持状態であるか否かを検出する方法はこれに限られるものでは無く、例えば、感圧式のセンサや機械式のスイッチをセンサとして用いることにより把持状態か否かを検知する構成であってもよい。
【0051】
さらに、上述した実施形態において、操作装置200は、無線通信によりホルダー100と通信し、操作信号をホルダー100を介してX線撮影装置1に送信する構成とした。しかしながら、X線撮影装置1が通信部を備え、操作装置200は、X線撮影装置1と無線により通信し、操作信号をX線撮影装置1に送信する構成であってもよい。
【0052】
また、上述した実施形態においては、制御部230が、操作部280から操作信号を受信した際に、把持検知部240から把持状態情報を取得し、取得した把持状態情報に基づいて操作信号を送信するか否かを判断する構成とした。しかしながら、制御部230は、操作部280から操作信号を受信した際に、把持検知部から把持状態情報を取得し、操作信号と把持状態情報とを対応付け、操作情報としてホルダー100に送信してもよい。このような場合、ホルダー100またはX線撮影装置1が、操作情報に含まれる把持状態情報を参照し、把持状態情報が示す把持状態に基づいて、把持状態情報に対応付けられた操作信号に応じた動作を行うか否かを判断すればよい。
【0053】
さらに、上述した実施形態においては、操作装置200は、無線によりホルダー100と通信を行う構成とした。しかしながら、操作装置200は、X線撮影装置1を遠隔で操作することができればよく、有線により直接X線撮影装置1に接続されていてもよい。操作装置200が有線によりX線撮影装置1に接続された場合であっても、操作者がポケットに入れて他の作業を行うこともあり、そのような場合、把持検知部240を設けることで、誤操作を防止することができる。
【0054】
また、本実施形態においては、操作装置200が、操作部280が受け付けた操作が、操作者が意図した操作である正常操作か、操作者が意図しない操作である誤操作かを判断する判断部として把持検知部240を備える構成について述べた。しかしながら、判断部を実現する方法は、把持検知部240に限られるものでは無い。
【0055】
例えば、操作装置200が、加速度センサを備え、さらに判断部として、加速度センサの出力値に基づいて操作装置200の傾きを検知し、該傾きによって正常操作であるか誤操作であるかを判断する傾き検知部を備える構成であってもよい。具体的には、傾き検知部は、加速度センサの出力値に基づいて検知した操作装置200の傾きが、操作者が操作装置200を操作するときの角度範囲である所定の角度範囲内である場合には、正常操作であると判断し、所定の角度範囲外である場合には、誤操作であると判断する構成であってもよい。このような構成であれば、操作部280を操作する場合には、操作装置200の傾きは、所定の角度範囲内となるため、正常操作であると判断する。一方、操作装置200がポケットの中に入れられた状態では、操作装置200の傾きは、所定の角度範囲外となる。そのため、操作部280が操作されたとしても、傾き検知部は誤操作であると判断するため、操作信号は送信されず、操作装置200の誤操作を防止することができる。
【0056】
また、操作装置200が、複数の照度センサを備え、さらに判断部として、照度センサの出力値に基づいて正常操作であるか誤操作であるかを判断する照度検知部を備える構成であってもよい。具体的には、照度センサは、操作者が操作装置200を把持する際に把持する把持部以外の場所に設けられる。例えば、操作装置200は、操作者が操作装置200を把持したとしても操作者の手により遮光されない場所である長手方向の上端部と下端部とに照度センサを備える。照度検知部は、照度センサの両方が光を検知している場合に、正常操作であると判断する。そのため、操作者が操作部280を操作しようと操作装置200を把持している場合には、2つの照度センサの両方が光を検知し、照度検知部は、正常操作であると判断する。これに対して、操作装置200の全体がポケットの中に入っている場合には、照度センサは光を検知しない。また、操作装置200の半分がポケットの中に入っている場合には、一方の照度センサは光を検知するが、他方の照度センサは光を検知しない。そのため、照度検知部が照度センサの両方が光を検知している場合にのみ正常操作であると判断することで、操作装置200の誤操作を防止することができる。
【0057】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、図8に基づいて説明する。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0058】
図8は、本実施形態に係る操作装置400を示す図であり、(a)は外観斜視図であり、(b)は、(a)のA−A線における断面の模式図である。
【0059】
操作装置400は、略円筒形状を有し、操作装置400の上面に設けられたメインスイッチ410と、周面に設けられた2つの凹部401と、2つの凹部401のそれぞれの内部に設けられたセンサ405とを備える。
【0060】
メインスイッチ410は、操作者による押し込み操作を受け付ける押しボタンスイッチである。
【0061】
操作装置400の周面に形成された凹部401は、操作者がメインスイッチ410を操作しようと操作装置400を片手で把持した際に、何れかの指が位置する場所に形成されている。また、凹部401は、指の大きさに応じた大きさで形成されている。
【0062】
センサ405は、発光素子415と受光素子420とを備える。発光素子415および受光素子420は、凹部401内に操作装置400の長手方向に対向するように配置されている。センサ405は、発光素子415から発せられた光を受光素子420で受光することにより、発光素子415と受光素子420との間に存在する物体を検知する。そのため、操作者が操作装置400を把持した場合に、凹部401内に操作者の指が位置することで、センサ405は操作装置400が把持されたことを検知することができる。
【0063】
本実施形態に係る操作装置400は、実施形態1に係る操作装置200と同様に、把持検知部(判断部)240を備える。把持検知部240は、センサ405と接続しており、2つのセンサ405のうち、少なくとも一方のセンサ405が物体を検知した場合に、操作装置400が把持状態であると検知する。そのため、例えばポケットの中に入れた状態でベッドに接触するといった操作者の意図しない動作によりメインスイッチ410が操作されたとしても、センサ405が物体を検知していない限り、操作信号はX線撮影装置1に送信されない。また、センサ405は凹部401内に設けられているため、操作装置400が平らな面に接触した状態では、センサ405は物体を検知することは無い。
【0064】
さらに、凹部401が指に応じた大きさで設けられているため、指より大きい物が凹部401に進入することはない。そのため、指より大きな物体によって把持検知部240が把持状態であると誤検知してしまうのを防止することができる。
【0065】
なお、本実施形態では、把持検知部240は、2つのセンサ405のうち、少なくとも一方のセンサ405が物体を検知した場合に把持状態であると検知する例を示したが、把持検知部240は、2つのセンサ405の両方が物体を検知した場合に把持状態であると検知する構成であってもよい。このような構成とすることで、より一層誤操作によって操作信号がX線撮影装置に送信されてしまうのを防止することができる。
【0066】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
1 X線撮影装置(操作対象装置)
200 操作装置
230 制御部
240 把持検知部(判断部)
241 前方電極(センサ)
242 後方電極(センサ)
280 操作部
300 X線撮影ユニット
400 操作装置
401 凹部
405 センサ
415 発光素子
420 受光素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8