(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6578820
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】紫外線照射器および紫外線照射装置
(51)【国際特許分類】
B01J 19/12 20060101AFI20190912BHJP
G02F 1/1333 20060101ALI20190912BHJP
【FI】
B01J19/12 C
G02F1/1333
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-168862(P2015-168862)
(22)【出願日】2015年8月28日
(65)【公開番号】特開2017-42742(P2017-42742A)
(43)【公開日】2017年3月2日
【審査請求日】2018年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106862
【弁理士】
【氏名又は名称】五十畑 勉男
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 サユ
【審査官】
中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−010819(JP,A)
【文献】
特開2004−012664(JP,A)
【文献】
特開2011−181264(JP,A)
【文献】
実開昭61−132034(JP,U)
【文献】
特開昭64−024752(JP,A)
【文献】
特開昭64−027639(JP,A)
【文献】
特開平03−060733(JP,A)
【文献】
特開2011−209590(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0193350(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 19/12
B05C 9/00
F21V 9/00
G02B 5/00
G02F 1/1333
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線を放射する線状光源と、
該光源からの紫外線を反射する樋状ミラーと、
前記樋状ミラーの下方において、該樋状ミラーの出射口を挟んで前記線状光源の長手方向に沿うように対向配置された一対の第1および第2の平面ミラーと、を備え、
前記第1の平面ミラーは、下端側が前記第2の平面ミラーに近づくように傾斜して設けられるとともに、該第1の平面ミラーで反射された光の少なくとも一部が、前記第2の平面ミラーの下方を通過するように配置されており、
前記第1の平面ミラーは、前記第2の平面ミラーと平行に配置された第1ミラー部と、該第1ミラー部の下端に傾斜して設けられた第2ミラー部とからなることを特徴とする紫外線照射器。
【請求項2】
前記第1の平面ミラーの第2ミラー部は、前記第1ミラー部に対して上下方向に調節可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の紫外線照射器。
【請求項3】
前記第1の平面ミラーの第2ミラー部は、前記第1ミラー部に対して回動可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の紫外線照射器。
【請求項4】
前記請求項1〜3のいずれかの紫外線照射器を備えるとともに、
該紫外線照射器の下方において、被処理物を搬送する搬送機構を備え、
前記第1の平面ミラーから反射された光の少なくとも一部が、前記被処理物に対して斜め上方から照射されることを特徴とする紫外線照射装置。
【請求項5】
前記被処理物が、配線基板を有する液晶パネルと、これに接着剤により接着されるカバーガラスとからなる液晶タッチパネルであって、該液晶タッチパネルは、前記配線基板が前記搬送機構の搬送方向に関して前記第1の平面ミラーとは反対側に位置するように配置されて搬送されることを特徴とする請求項4に記載の紫外線照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、紫外線を放射する線状光源を用いた紫外線照射器および紫外線照射装置に関するものであり、特に、液晶タッチパネルの貼り付けに用いられる紫外線照射器および紫外線照射装置に係わるものである。
【背景技術】
【0002】
液晶のタッチパネルを備えた機器が多数製造販売されている。液晶タッチパネルは、液晶パネルの表面にこの液晶パネルの保護のためにカバーガラスを貼り付けた構造となっていて、このカバーガラスは、液晶パネルとの間に空気が入り込まないようにして接着剤により接着される。以下、ここでは、液晶パネルとカバーガラスが貼り合わされた状態のものを、接着剤が硬化していないなど未完成な状態であってもタッチパネルと呼ぶものとする。
【0003】
このような液晶のタッチパネルの構造は、例えば、特開2011−113047号公報(特許文献1)に示されている。
図6、
図7は、このタッチパネル20の構造を模式的に表したものであり、
図6は分解下方斜視図、
図7は側断面図である。
液晶タッチパネル20は、液晶パネル21とこれに接着されたカバーガラス22からなり、このカバーガラス22は透明なガラス基板で、液晶パネル21よりも一回り大きい。このカバーガラス22の液晶パネル21側の周辺部には額縁状にブラックマトリックス(BM)23と呼ばれる黒色の塗装、または黒色の蒸着膜が形成されている。このブラックマトリックス23は、液晶パネル22の周辺部からの漏れ光が、タッチパネル20から漏れ出すことがないように設けられていて、通常、液晶パネル21の周辺部に1mm~2mm程度の範囲でかぶさる(オーバーラップする)ように形成されている。
また、液晶パネル21の一側縁には、液晶基板を動作させるためのフィルム状の配線基板24が設けられている。
【0004】
液晶パネル21とカバーガラス22の接着には紫外線硬化型の接着剤25が使用されている。液晶パネル21の表面全面にむらなく接着剤25を塗布し、その上にカバーガラス22を置く。その状態で接着剤25に紫外線を照射すれば、接着剤が硬化し液晶パネル21とカバーガラス22が固定されて液晶タッチパネル20が完成する。
この接着剤25の硬化のためには、
図7に示すように、初めにカバーガラス22側から紫外線を照射して、ブラックマトリックス23に囲まれた領域の接着剤を硬化する。その後、ブラックマトリックス23の陰になって未硬化の領域を硬化するために、液晶パネル21側から紫外線を照射して、この領域の接着剤を硬化することが行われている。
【0005】
このような接着剤の硬化を行うための装置として、
図8,
図9に示すような紫外線照射装置が一般に用いられている。
紫外線照射装置30は、紫外線照射器31とタッチパネル搬送機構(搬送コンベア)32とからなる。
紫外線照射器31は、紫外線照射部33と平面ミラー36、37とを備える。紫外線照射部33は、紫外線を放射する棒状の紫外線ランプ34と、この棒状紫外線ランプ34からの光を反射する樋状のミラー35とを備える。この紫外線ランプ34としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプなどが使用される。
また、樋状ミラー35は前記棒状の紫外線ランプ34の長手方向に沿って延びた樋状となっている。
【0006】
前記樋状ミラー35の下方には、その出射口を挟んで前記棒状の紫外線ランプ34の長手方向に沿うように一対の第1平面ミラー36および第2の平面ミラー37が対向して平行配置されていて、紫外線照射部33から出射する紫外線の広がりを抑え、紫外線照射領域Lを整形するはたらきをする。
この紫外線照射器31の下方には、タッチパネル搬送機構(搬送コンベア)32が配置されていて、タッチパネル20を搬送する。
【0007】
次いで、接着剤の硬化工程について説明する。
第一工程;
図8(A)に示すように、先ず、タッチパネル20のカバーガラス22側を上方の紫外線照射器31側に向けてタッチパネル20が搬送コンベア32上に載置され、紫外線照射器31の下方を搬送通過され、紫外線が照射される。
これにより、
図8(B)に示すように、接着剤25は、ブラックマトリックス23に囲まれた領域Aで硬化される。
第二工程;
図9(A)に示すように、第一工程を経たタッチパネル20は、反転されて液晶パネル21側が上方の紫外線照射器31側に向けて載置される。そして、タッチパネル20が搬送コンベア32により搬送されて、液晶パネル21側から紫外線が照射される。
【0008】
ここで、液晶パネル21は非透光性であって、紫外線がここを透過して接着剤25に照射されることはないが、紫外線照射器31からの紫外線は、一対の平面ミラー36,37によって反射されることもあって、若干の斜め成分を持って液晶タッチパネル20に照射されることになり、
図9(B)に示すように、接着剤25の外側面に入射する。
これにより、第一照射工程において、ブラックマトリックス23の陰になり未硬化であった接着剤25の領域(B)の外側面の一部が硬化されることにはなるが、一対の平面ミラー36,37は、紫外線照射器31から出射する紫外線の広がりを抑え、矩形の紫外線照射領域を整形するために、平行配置されているので、紫外線の斜め成分を積極的に生成するものではなく、このため前述した斜め成分が不十分であって、その硬化深さは十分なものとはいえない。
【0009】
また、
図6で示されるように、液晶パネル21にはその一辺にフィルム状の配線基板24が設けられており、この配線基板24はフィルム状の薄いもので柔軟なものであるが、紫外線は透過しない。
従って、前記第二工程においても、
図10(A)に示すように、第一工程でブラックマトリックス23の陰になって未硬化の領域(B)のうち配線基板24のない三辺については、接着剤25の外側面は不十分ながらも若干の領域が硬化されるが、この配線基板24がある領域Cについては紫外線が全く照射されず、未硬化領域(C)として残存する。
このように未硬化部分が残ると、全体としての硬化不良、更には外観不良などの原因となることから、液晶パネル21とカバーガラス22の間の接着剤25はすべての領域で硬化させておくことが必要となる。
【0010】
そこで、タッチパネルメーカーにおいては、
図8,9に示す紫外線照射装置30での第一工程と第二工程の処理の後に、
図10(B)に示すように、スポット的に紫外線を照射する機器40を用いて、特に、配線基板24のある辺の未硬化部分Cを硬化させるための第三工程作業が行われていた。
即ち、フィルム状の配線基板24を上方に持ち上げ、スポット的な紫外線照射器40を用いて、タッチパネル20の側方から紫外線を照射して、カバーガラス22のブラックマトリックス23と、液晶パネル21の配線基板24の間にあたる接着剤25の未硬化領域Cを硬化させようというものである。
なお、スポット的な紫外線照射器40を用いた上記第三工程は、
図9(B)に示す、液晶パネル21側からの紫外線照射の第二工程で、配線基板24のない他の三辺における接着剤25の外側面の硬化が不十分である場合、この三辺についても行われることがある。
【0011】
このように、液晶パネル21とカバーガラス22の接着には、(1)カバーガラス側からの紫外線照射、(2)液晶パネル側からの紫外線照射、(3)(配線基板をめくりあげての)側面からの照射、という三つの工程を行うことになる。
タッチパネルメーカーにおいては、この三度にわたる紫外線照射の工程を減らしたい、特に作業者の手作業となる三番目の工程をなくすことができないかという強い要望があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2011−113047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
この発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点に鑑みて、紫外線を放射する線状光源と、該光源からの紫外線を反射する樋状ミラーと、前記樋状ミラーの下方において、該樋状ミラーの出射口を挟んで前記線状光源の長手方向に沿うように対向配置された一対の第1および第2の平面ミラーとを有する紫外線照射器において、該紫外線照射器を用いて液晶タッチパネルの液晶パネルとカバーガラスを接着する工程で、カバーガラス側からの紫外線照射と、液晶パネル側からの紫外線照射の、二回の紫外線照射の工程のみで、カバーガラスに形成されたブラックマトリックスと、液晶パネルの配線基板の間にあたる部分を含めて全体の接着剤を硬化させることができる構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような技術課題に対して発明者は鋭意検討の結果、タッチパネルに対して、斜め上方から入射する紫外線の成分を多くすれば、ブラックマトリックスと配線基板との間に紫外線が入射し、この部分の接着剤を硬化させることができることを見出した。
上記課題を解決するために、この発明に係る紫外線照射器では、前記第1の平面ミラーは、下端側が前記第2の平面ミラーに近づくように傾斜して設けられるとともに、該第1の平面ミラーで反射した光の少なくとも一部が、前記第2の平面ミラーの下方を通過するように配置されていることを特徴とする。
また、前記第1の平面ミラーは、回動可能に支持されていて、傾斜角が調節自在であることを特徴とする。
また、前記第1の平面ミラーは、前記第2の平面ミラーと平行に配置された第1ミラー部と、該第1ミラー部の下端に傾斜して設けられた第2ミラー部とからなることを特徴とする。
また、前記第1の平面ミラーの第2ミラー部は、前記第1ミラー部に対して上下方向に調節可能に取り付けられていることを特徴とする。
また、前記紫外線照射器を備えるとともに、該紫外線照射器の下方において、被処理物を搬送する搬送機構を備え、前記第1の平面ミラーから反射された光の少なくとも一部が、前記被処理物に対して斜め上方から照射されることを特徴とする。
また、前記被処理物が、配線基板を有する液晶パネルと、これに接着剤により接着されるカバーガラスとからなる液晶タッチパネルであって、該液晶タッチパネルは、前記配線基板が前記搬送機構の搬送方向に関して前記第1の平面ミラーとは反対側に位置するように配置されて搬送されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
この発明の紫外線照射器および紫外線照射装置によれば、被処理物である液晶タッチパネルの液晶パネルとカバーガラスとを接着する接着剤の硬化作業において、タッチパネル上方から十分な斜め成分を有する紫外線を照射するので、カバーガラスのブラックマトリックスの陰になる領域や、液晶パネルの配線基板の陰になる領域をこの斜め成分の紫外線によって硬化させることができ、カバーガラス側からの紫外線照射と、液晶パネル側からの紫外線照射の、二回の紫外線照射の工程のみで全ての接着剤を硬化させることができ、手作業による側方からの紫外線照射という煩雑で面倒な作業を省略できるという効果を奏するものである。
また、第1の平面ミラーの傾斜角を調整できるので、被処理物に対応した適切な斜め照射ができる。
また、第1の平面ミラーの傾斜した第2ミラー部を上下方向で調節可能としたので、該第2ミラー部で反射された紫外線が適切に第1の平面ミラーの下方を通過させることを可能にできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の紫外線照射器および紫外線照射装置の概略図。
【
図2】本発明の紫外線照射器の他の実施例の概略図。
【
図3】本発明の紫外線照射器の更に他の実施例の概略図。
【
図4】液晶タッチパネルの紫外線照射による硬化作用の説明断面図。
【
図5】本発明におけるミラー角度と硬化範囲を表す評価表。
【
図6】液晶タッチパネルの分解した下方からの斜視図。
【
図8】従来の紫外線照射装置による紫外線照射の第1工程の説明図(A)と、処理後の液晶タッチパネルの断面図(B)。
【
図9】従来の紫外線照射装置による紫外線照射の第2工程の説明図(A)と、処理後の液晶タッチパネルの断面図(B)。
【
図10】従来技術による紫外線処理の問題点を説明する部分断面図(A)と、第三照射工程の説明図(B)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の紫外線照射器および紫外線照射装置の概略図である。
紫外線照射器1は、紫外線照射部2と一対の第1および第2の平面ミラー6、7とを備える。紫外線照射部2は、紫外線を放射する線状の紫外線光源3と、この線状紫外線光源3からの光を反射する樋状のミラー4とを備える。この紫外線光源3としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプなどの棒状の紫外線ランプや、LEDを線状に配列したLED光源などが使用される。
また、樋状ミラー4は前記線状の紫外線光源3の長手方向に沿って延びた樋状となっている。
そして、一対の第1の平面ミラー6と第2の平面ミラー7は、前記樋状ミラー4の下方において、前記樋状ミラー4の出射口を挟んで前記線状光源3の長手方向に沿うように対向配置されている。
【0018】
そして、第1の平面ミラー6は、その上端において回動自在に枢着支持されて傾斜角を調節自在であり、その下端側が前記第2の平面ミラー7に近づくように傾斜して設けられるとともに、該第1の平面ミラー6で反射された光の少なくとも一部が、前記第2の平面ミラー7の下方を通過するように配置されている。
前記紫外線照射器1の下方には、搬送コンベア9が配設されていて、該搬送コンベア9上に被処理物である液晶タッチパネル20が載置される。
この紫外線照射器1と搬送機構(搬送コンベア)9とで紫外線照射装置10が構成される。
【0019】
ここで、傾斜した前記第1の平面ミラー6は、搬送方向に対していずれの側にあってもよいが、搬送コンベア9に載置される液晶タッチパネル20は、配線基板24のある側面が、搬送方向に対して、第1の平面ミラー6とは反対側、即ち、第2の平面ミラー7側に位置するように載置される。
図1では、第1の平面ミラー6が搬送方向の下流側に位置し、液晶タッチパネル20は、配線基板24がある側面が上流側になるように搬送コンベア9上に載置された例が示されている。
【0020】
図2には他の実施例が示されており、前記第1の平面ミラー6が、第1ミラー部6aと第2ミラー部6bとからなる。この第1ミラー部6aは、第2の平面ミラー7と平行に設けられるとともに、第2ミラー部6bは、前記第1ミラー部6aの下端に回動自在に設けられて傾斜角を調節自在であり、その下端側が前記第2の平面ミラー7に近づくように傾斜して設けられている。
【0021】
図3には、
図2の実施例の変形例としての他の実施例が示されており、第1の平面ミラー6の第2ミラー部6bが、第1ミラー部6aに対して上下方向の位置が調節可能に支持されている。
つまり、第2ミラー部6bの支持具6cが第1ミラー部6aに摺動自在に支持され、ネジ8等により上下方向の位置を調節可能にして固定される。第2ミラー部6bは、この支持具6cに対して回動可能に枢着されていて、その傾斜角を調節自在とされている。
なお、
図2、
図3の実施例においても、第1の平面ミラー6の第2ミラー部6bで反射された光の少なくとも一部が、前記第2の平面ミラー7の下方を通過するように配置され、搬送コンベア9上の液晶タッチパネル20に斜め上方から照射されることは、
図1に示す実施例と同様である。
【0022】
図4にこの発明による、液晶タッチパネル20に対する紫外線照射による接着剤硬化の模様が示されている。
図4(A)に示すように、先ず、液晶タッチパネル20は、そのカバーガラス22側から紫外線照射される。このとき、垂直光成分によりブラックマトリックス23によって囲まれた、いわゆる、画面となる領域Aの接着剤25が硬化される。そして、配線基板24を有する側面においては、第1の平面ミラー6(の第2ミラー6b)によって反射された紫外線の斜め光成分がカバーガラス22のブラックマトリックス23の下方に潜り込むように照射されて、当該ブラックマトリックス23の陰になっている所定の領域Xまで硬化される。
次いで、
図4(B)に示すように、液晶タッチパネル20を反転して液晶パネル21側から紫外線照射すると、上記斜め光成分が、液晶タッチパネル20の外側面から照射され、接着剤25の外側面から入り込んで、接着剤25は所定の領域Yまで硬化される。
【0023】
上記カバーガラス22側からの紫外線照射時に、従来技術での平行配置された一対の平面ミラーによって反射された斜め光成分よりも、大幅に大きな傾斜角の斜め光成分が照射されるので、配線基板24を有する側面でもブラックマトリックス23の下方に入り込む領域が大きくなり、これによる硬化領域Xの幅が大きくなる。
また、液晶パネル21側からの紫外線照射には、配線基板24を有しない側面でも、液晶タッチパネル20の外側面からの入射角度が大きいので、液晶パネル21の下方に入り込む領域が大きくなり、この側面においても接着剤の硬化領域Yの幅が大きくなる。
【0024】
本発明における第1の平面ミラー6(あるいは、第1ミラー部6a)の傾斜角度を変えて配線基板24を有する側面での硬化範囲Xを調べた結果が
図5の表1に示されている。
ここで、ミラー角度θは第1の平面ミラー6(第2ミラー部6b)と垂直線のなす角度であり、硬化範囲Aは配線基板24を有する側面でのブラックマトリックス23の内側面からの接着剤25の硬化距離である。
一般にカバーガラス23が液晶パネル21の周辺部に被さる距離(幅)は1〜2mm程度であり、硬化範囲Aの評価として、1mm以上を目標とした。
表1で分かるように、ミラー角度θを20°〜40°にした時に硬化範囲Aが1mmを越えている。
【0025】
以上説明したように、本発明に係る紫外線照射器および紫外線照射装置によれば、線状光源を囲む樋状ミラーの下方に設けられた一対の平面ミラーの内、一方の第1の平面ミラーが他方の第2の平面ミラーに近づくように傾斜して設けられるとともに、前記第1の平面ミラーで反射された光の少なくとも一部が、前記第2の平面ミラーの下方を通過するように配置されているので、該第1の平面ミラーからの反射光が大きな斜め光成分を有し、カバーガラス側からの照射時に、ブラックマトリックスの下方に潜り込むように入射され、ブラックマトリックス下方の接着剤に深く侵入して硬化させることができる。
また、液晶パネル側からの照射時においても、液晶タッチパネルの外側面から大きな斜め成分の光が照射されるので、ブラックマトリックスの下方で未硬化となっている領域にも深く侵入して、硬化領域を大きくすることができる。
こうすることで、特に、配線基板のある側面において従来必要とされてきたスポット的な紫外線照射という煩雑な工程を省略して、カバーガラス側からの照射と液晶パネル側からの照射という二工程の照射によって、十分な硬化領域を得ることができるという効果を奏するものである。
【符号の説明】
【0026】
1 紫外線照射器
2 紫外線照射部
3 線状光源
4 樋状ミラー
6 第1の平面ミラー
6a 第1ミラー部
6b 第2ミラー部
6c 支持具
7 第2の平面ミラー
9 搬送機構(コンベア)
10 紫外線照射装置
20 液晶タッチパネル
21 液晶パネル
22 カバーガラス
23 ブラックマトリックス
24 配線基板
25 接着剤
A 硬化領域
B,C 未硬化領域
X 配線基板がある側面での硬化領域
Y 配線基板がない側面での硬化領域