【実施例】
【0047】
(実施例1−1〜1−23)
表1に示す各成分を表1に示す配合割合にて配合し、加圧ニーダーにて溶融、混練し、樹脂組成物を得た。
【0048】
(実施例2−1〜2−23)
表2に示す各成分を表2に示す配合割合にて配合し、加圧ニーダーにて溶融、混練し、樹脂組成物を得た。
【0049】
(比較例1−1〜1−18)
表3に示す各成分を表3に示す配合割合にて配合し、加圧ニーダーにて溶融、混練し、樹脂組成物を得た。
【0050】
(比較例2−1〜2−18)
表4に示す各成分を表4に示す配合割合にて配合し、加圧ニーダーにて溶融、混練し、樹脂組成物を得た。
【0051】
なお、表1〜4に示す各成分は、次の通りである。
A−1:塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 株式会社カネカ製「カネビニールM1008」(塩化ビニル/酢酸ビニル=95/5重量%、平均重合780)
A−2:塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシエチルアクリレート共重合体 (塩化ビニル/酢酸ビニル/ヒドロキシエチルアクリレート=79/1/20重量%、平均重合200)
A−3:塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体 (塩化ビニル/酢酸ビニル/ヒドロキシプロピルアクリレート=70/20/10重量%、平均重合350)
A−4:塩化ビニル−酢酸ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体 (塩化ビニル/酢酸ビニル/ヒドロキシプロピルアクリレート=85/10/5重量%、平均重合370)
B−1:トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート);TMMP
B−2:ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート);DPMP
B−3:トリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレート;TEMPIC
B−4:チオエーテル含有アクリレート誘導体;下記(式11)
【化22】
B−5:チオエーテル含有アクリレート誘導体;下記(式12)
【化23】
B−6:チオエーテル含有アクリレート誘導体;下記(式13)
【化24】
C−1:ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート
C−2:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
C−3:エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート
C−4:ビスフェノールAのEO付加物ジメタクリレート
C−5:トリメチロールプロパントリメタクリレート
C−6:1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート
C−7:1,3−ジアリル−5−メチル−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン
C−8:トリアリルイソシアヌレート
C−9:ペンタエリスリトールトリアリルエーテル
C−10:1,4−ブタンジオールジビニルエーテル
C−11:シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル
D−1:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン
A’−1:フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイト社製「PKHC」、平均分子量45,000)
A’−2:ポリウレタン樹脂(東ソー株式会社製「エラクトランE390PNAT」)
B’−1:1−オクタンチオール
C’−1:イソボルニルアクリレート
C’−2:2−エチルヘキシルメタクリレート
C’−3:アリルエチルエーテル
C’−4:シクロヘキシルビニルエーテル
【0052】
[保存安定性の評価]
得られた各実施例及び比較例の樹脂組成物について、その保存安定性を次のようにして評価した。メチルシクロヘキサンに溶解して20%溶液を作製し、初期粘度を測定した。別途、密閉容器中に、樹脂組成物を50℃で60日間放置し後、60日後、メチルシクロヘキサンに溶解して20%溶液を作製し、粘度を測定した。60日後の粘度/初期粘度の値を算出し、評価を行なった。この評価結果も表1,2に示す。
◎:(60日後の粘度/初期粘度)の値が1.02未満のもの
○:(60日後の粘度/初期粘度)の値が1.02以上1.50未満のもの
×:(60日後の粘度/初期粘度)の値が1.50以上のもの
【0053】
<フィルムの作製>
タンク式ホットメルトアプリケーターで溶融した各実施例及び比較例の樹脂組成物を、フィルム基材上にダイコーターで50μmの厚みに塗布し、UV照射することで、コート層を備えるフィルムを得た。なお、フィルム基材としては、東レ(株)製、「ルミラーU46−100」のPETフィルムを用いた。また、UV照射には、ヘレウス・ノーブルライト・フュージョン・ユーブイ(株)製のUVランプシステム「ライトハンマー6」を用い、ランプバルブは、Hバルブを使用した。得られた各フィルムのコート層について、密着性、耐熱性、耐溶剤性、耐湿熱性を下記方法で測定評価した。その結果も表1,2に示す。
【0054】
[密着性の評価1(高照射量)]
2500mJ/cm
2UV照射後のサンプルでJIS K 5600−5−6:1999「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第6節:付着性(クロスカット法)」に準拠し密着性の評価を行った。本発明の目的に供するには、評価は100/100が必要である。
◎:100/100
○:100/100であるが、縁欠けしていたもの
×:100/100未満
【0055】
[密着性の評価2(低照射量)]
100mJ/cm
2UV照射後のサンプルでJIS K 5600−5−6:1999「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第6節:付着性(クロスカット法)」に準拠し密着性の評価を行った。本発明の目的に供するには、評価は100/100が必要である。
◎:100/100
○:100/100であるが、縁欠けしていたもの
×:100/100未満
【0056】
[耐熱性の評価]
2500mJ/cm
2UV照射後のサンプルに対向基材としてPETフィルムを重ね合わせて、熱プレス機を用いて50℃、15Kg/cm
2、200時間で熱プレスした。熱プレス後、サンプルを室温まで空冷し、90°剥離試験(剥離速度100mm/min、23度・50%環境下)を行い、密着力を測定し、以下の通り評価した。本発明の目的に供するには、評価は○以上が必要である。
◎:全く密着していないもの(ひっくり返して対向基材のPETが落ちる)
○:ひっくり返して対向基材が落ちないが、密着力が5mN/25mm未満
△:密着力が5mN/25mm以上50mN/25mm未満
×:密着力が50mN/25mm以上
【0057】
[耐溶剤性の評価]
2500mJ/cm
2UV照射後のサンプルを以下の溶剤に30分間浸漬した。その後、サンプルを取り出し、乾燥させた後にJISK 5600−5−6:1999「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第6節:付着性(クロスカット法)」に準拠し密着性の評価、及び取り出した後の外観を観察した。本発明の目的に供するには、評価は○以上が必要である。
溶剤:トルエン、キシレン、テトラクロロエチレン、ガソリン、アセトン、イソプロピルアルコール、ヘキサン
◎:全ての溶剤において浸漬前と同等の密着性を示したもの
○:全ての溶剤において浸漬前と同等の密着性を示したが、一部の溶剤でサンプルを溶剤から取り出した直後に、白化が確認されたもの
△:一部の溶剤で、密着性が浸漬前よりも低下したもの
×:一部の溶剤で浸漬中に剥離したもの
【0058】
[耐湿密着性の評価]
2500mJ/cm
2UV照射後のサンプルを85℃、85%の恒温恒湿槽に100時間静置した。その後にJIS K 5600−5−6:1999「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第6節:付着性(クロスカット法)」に準拠し密着性の評価を行った。本発明の目的に供するには、評価は○が必要である。
◎:100/100
○:100/100であるが、縁欠けしていたもの
△:100/100未満90/100以上
×:90/100未満
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】
表1の結果から、実施例1−1〜1−5の硬化性樹脂組成物は、高い密着性、耐熱性、耐溶剤性、耐湿熱性を示した。さらに、実施例1−6〜1−23の硬化性樹脂組成物は、より好ましい(B)成分を用いることで、実施例1−1〜1−5よりも優れた耐熱性、良好な耐溶剤性が確認された。また、表2の結果から、実施例2−1〜2−4、2−6〜2−23は光開始剤を配合しているため、密着性の評価2(低照射量)が良好であった。
【0064】
一方、表3、4の結果から、比較例1−1、2−1は必須の(B)成分及び(C)成分を含まないため、耐熱性、耐溶剤性及び耐湿熱性が劣った。
【0065】
比較例1−2、2−2は必須の(C)成分を含まないため、耐熱性、耐溶剤性及び耐湿熱性が劣った。
【0066】
比較例1−3、1−4、2−3、2−4は必須の(B)成分を含まないため、密着性、耐熱性、耐溶剤性及び耐湿熱性が劣った。
【0067】
比較例1−5〜1−8、2−5〜2−8は(C)成分が多官能エン化合物ではないため、耐熱性、耐溶剤性及び耐湿熱性が劣った。
【0068】
比較例1−9、2−9は(B)成分が多官能チオール化合物ではないため、密着性、耐熱性、耐溶剤性及び耐湿熱性が劣った。
【0069】
比較例1−10、2−10は(B)成分の配合量が少ないため、密着性、耐熱性、耐溶剤性及び耐湿熱性が劣った。
【0070】
比較例1−11、2−11は(B)成分の配合量が多いため、耐熱性、耐溶剤性及び耐湿熱性が劣った。
【0071】
比較例1−12、2−12は(C)成分の配合量が少ないため、耐熱性、耐溶剤性及び耐湿熱性が劣った。
【0072】
比較例1−13、2−13は(C)成分の配合量が多いため、密着性、耐熱性、耐溶剤性及び耐湿熱性が劣った。
【0073】
比較例1−14、2−14は必須の(A)成分及び(B)成分を含まないため、密着性、耐熱性、耐溶剤性及び耐湿熱性が劣った。
【0074】
比較例1−15、2−15は必須の(A)成分を含まないため、密着性及び耐湿熱性が劣った。
【0075】
比較例1−16〜1−18、2−16〜2−18は(A)成分が塩化ビニル−酢酸ビニル系樹脂でないため、耐熱性、耐溶剤性及び耐湿熱性が劣った。