特許第6578839号(P6578839)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6578839
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】撮像装置及び撮像装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 9/04 20060101AFI20190912BHJP
   H04N 9/64 20060101ALI20190912BHJP
【FI】
   H04N9/04 B
   H04N9/64 E
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-182932(P2015-182932)
(22)【出願日】2015年9月16日
(65)【公開番号】特開2017-59980(P2017-59980A)
(43)【公開日】2017年3月23日
【審査請求日】2018年6月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】西巻 恵児
(72)【発明者】
【氏名】新井 大輔
(72)【発明者】
【氏名】塩田 和則
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 敦
(72)【発明者】
【氏名】後町 修
(72)【発明者】
【氏名】今出 悦郎
【審査官】 大室 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−245307(JP,A)
【文献】 特開2007−129361(JP,A)
【文献】 特開2006−033656(JP,A)
【文献】 特開2009−124580(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00−1/40
G06T 3/00−5/50
G06T 9/00−9/40
H04N 1/40−1/409
H04N 1/46−1/62
H04N 9/04−9/11
H04N 9/44−9/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像することによって得られた映像信号に基づいて、それぞれのフレームに含まれる偽色に相当する特定色の面積に応じた第1の検出値を生成する第1の検出部と、
前記映像信号の彩度を調整する色調整部と、
前記第1の検出値に基づいて、それぞれのフレームに含まれる前記特定色の面積の割合が所定の閾値未満であるとき、前記映像信号の前記特定色の彩度を低減させるよう前記色調整部を制御する制御部と、
前記映像信号に基づいて、それぞれのフレームが所定の輝度以上の高輝度部を含む否かを検出する第2の検出部と、
を備え
前記制御部は、前記第2の検出部が、それぞれのフレームが前記高輝度部を含むことを検出したとき、それぞれのフレームに含まれる前記特定色の面積の割合にかかわらず、前記映像信号の前記特定色の彩度を予め設定した最大の低減量だけ低減させるよう前記色調整部を制御する
像装置。
【請求項2】
被写体を撮像することによって得られた映像信号に基づいて、それぞれのフレームに含まれる偽色に相当する特定色の面積に応じた第1の検出値を生成する第1の検出部と、
前記映像信号の彩度を調整する色調整部と、
前記第1の検出値に基づいて、それぞれのフレームに含まれる前記特定色の面積の割合が所定の閾値未満であるとき、前記映像信号の前記特定色の彩度を低減させるよう前記色調整部を制御する制御部と、
を備え
前記制御部は、前記閾値を、被写体を撮像する際の絞りが開放に向かうほど大きい値に変更する
像装置。
【請求項3】
被写体を撮像することによって得られた映像信号に基づいて、それぞれのフレームに含まれる偽色に相当する特定色の面積に応じた第1の検出値を生成する第1の検出部と、
前記映像信号の彩度を調整する色調整部と、
前記第1の検出値に基づいて、それぞれのフレームに含まれる前記特定色の面積の割合が所定の閾値未満であるとき、前記映像信号の前記特定色の彩度を低減させるよう前記色調整部を制御する制御部と、
を備え
前記制御部は、前記特定色の彩度の最大の低減量を、被写体を撮像する際の絞りが開放に向かうほど大きい低減量に変更するよう前記色調整部を制御する
像装置。
【請求項4】
被写体を撮像することによって得られた映像信号に基づいて、それぞれのフレームに含まれる偽色に相当する特定色の面積に応じた第1の検出値を生成する第1の検出部と、
前記映像信号の彩度を調整する色調整部と、
前記第1の検出値に基づいて、それぞれのフレームに含まれる前記特定色の面積の割合が所定の閾値未満であるとき、前記映像信号の前記特定色の彩度を低減させるよう前記色調整部を制御する制御部と、
を備え
前記制御部は、前記特定色の面積の割合が前記閾値以上のときの前記特定色の彩度を、被写体を撮像する際の絞りが開放に向かうほど彩度の低減量が大きい一定の上限値に制限するよう前記色調整部を制御する
像装置。
【請求項5】
被写体を撮像することによって得られた映像信号に基づいて、それぞれのフレームに含まれる偽色に相当する特定色の面積に応じた第1の検出値を生成する第1の検出部と、
前記映像信号の彩度を調整する色調整部と、
前記第1の検出値に基づいて、それぞれのフレームに含まれる前記特定色の面積の割合が所定の閾値未満であるとき、前記映像信号の前記特定色の彩度を低減させるよう前記色調整部を制御する制御部と、
を備え
前記制御部は、前記特定色の面積の割合が前記閾値以上から前記閾値未満に変化したとき、第1の時間をかけて前記特定色の彩度を低減させ、前記特定色の面積の割合が前記閾値未満から前記閾値以上に変化したとき、前記第1の時間よりも短い第2の時間をかけて前記特定色の彩度を増加させる
像装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記高輝度部を含まないフレームから前記高輝度部を含むフレームへと変化したとき、第1の時間をかけて前記特定色の彩度を低減させ、前記高輝度部を含むフレームから前記高輝度部を含まないフレームへと変化し、前記特定色の面積の割合が前記閾値以上であるとき、前記第1の時間よりも長い第2の時間をかけて前記特定色の彩度を増加させることを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記特定色の面積の割合が所定の閾値未満であるとき、前記特定色の面積の割合に応じて前記特定色の彩度を低減させる低減量を変化させる請求項1〜6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
被写体を撮像することによって得られる映像信号の彩度を調整する色調整部によって、前記映像信号における偽色に相当する特定色の彩度を予め設定した最大の低減量だけ低減させた状態で撮像装置を起動し、
前記撮像装置の起動後に、第1の検出部によって、前記映像信号のそれぞれのフレームに含まれる前記特定色の面積に応じた検出値を生成し、
前記検出値に基づいて、それぞれのフレームに含まれる前記特定色の面積の割合が所定の閾値未満であるとき、前記色調整部によって、前記特定色の面積の割合に応じて前記特定色の彩度を低減させ、
第2の検出部によって、前記映像信号のそれぞれのフレームが所定の輝度以上の高輝度部を含む否かを検出し、
前記第2の検出部が、それぞれのフレームが前記高輝度部を含むことを検出したとき、それぞれのフレームに含まれる前記特定色の面積の割合にかかわらず、前記映像信号の前記特定色の彩度を予め設定した最大の低減量だけ低減させるよう前記色調整部を制御する
像装置の制御方法。
【請求項9】
前記検出値に基づいて、それぞれのフレームに含まれる前記特定色の面積の割合が前記閾値以上であるとき、前記色調整部によって、前記特定色の彩度の調整の程度を前記特定色の面積の割合にかかわらず一定の上限値に設定する請求項8に記載の撮像装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偽色を低減することができる撮像装置及び撮像装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像素子によって被写体からの光を光電変換して映像信号を生成する撮像装置においては、被写体を撮影する撮影条件によって本来の色とは異なる偽色が発生することがある。安価な光学系を搭載する撮像装置で明暗の差が大きい被写体を撮影すると、レンズ収差に起因する偽色が発生しやすい。
【0003】
紫色の偽色が発生することが多く、パープルフリンジと称されている。パープルフリンジは偽色の中でも特に違和感を覚えやすいため、低減することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4770154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、パープルフリンジを低減する低減手法が記載されている。特許文献1に記載されている低減手法は回路規模が大きくならざるを得ず、高コストとなってしまう。安価な光学系を搭載する撮像装置に高コストの低減手法を採用することは困難である。低コストでパープルフリンジ等の偽色を効果的に低減することができる低減手法が求められる。
【0006】
本発明はこのような要望に対応するため、低コストで偽色を効果的に低減することができる撮像装置及び撮像装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、被写体を撮像することによって得られた映像信号に基づいて、それぞれのフレームに含まれる偽色に相当する特定色の面積に応じた第1の検出値を生成する第1の検出部と、前記映像信号の彩度を調整する色調整部と、前記第1の検出値に基づいて、それぞれのフレームに含まれる前記特定色の面積の割合が所定の閾値未満であるとき、前記映像信号の前記特定色の彩度を低減させるよう前記色調整部を制御する制御部と、前記映像信号に基づいて、それぞれのフレームが所定の輝度以上の高輝度部を含む否かを検出する第2の検出部とを備え、前記制御部は、前記第2の検出部が、それぞれのフレームが前記高輝度部を含むことを検出したとき、それぞれのフレームに含まれる前記特定色の面積の割合にかかわらず、前記映像信号の前記特定色の彩度を予め設定した最大の低減量だけ低減させるよう前記色調整部を制御する撮像装置を提供する。
【0008】
また、本発明は、被写体を撮像することによって得られる映像信号の彩度を調整する色調整部によって、前記映像信号における偽色に相当する特定色の彩度を予め設定した最大の低減量だけ低減させた状態で撮像装置を起動し、前記撮像装置の起動後に、第1の検出部によって、前記映像信号のそれぞれのフレームに含まれる前記特定色の面積に応じた検出値を生成し、前記検出値に基づいて、それぞれのフレームに含まれる前記特定色の面積の割合が所定の閾値未満であるとき、前記色調整部によって、前記特定色の面積の割合に応じて前記特定色の彩度を低減させ、第2の検出部によって、前記映像信号のそれぞれのフレームが所定の輝度以上の高輝度部を含む否かを検出し、前記第2の検出部が、それぞれのフレームが前記高輝度部を含むことを検出したとき、それぞれのフレームに含まれる前記特定色の面積の割合にかかわらず、前記映像信号の前記特定色の彩度を予め設定した最大の低減量だけ低減させるよう前記色調整部を制御する撮像装置の制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の撮像装置及び撮像装置の制御方法によれば、低コストで偽色を効果的に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態の撮像装置を示すブロック図である。
図2】一実施形態の撮像装置で実行されるフレームのブロック分割を説明するための図である。
図3】フレーム内の高輝度の周辺に偽色が発生している状態の一例を示す図である。
図4】一実施形態の撮像装置において、特定色の面積割合に応じて彩度を調整する際の特性の一例を示す特性図である。
図5】一実施形態の撮像装置において、特定色の面積割合の時間的な変化に対応して彩度をどのように調整するかの一例を示す図である。
図6】一実施形態の撮像装置において、高輝度部の有無の時間的な変化に対応して彩度をどのように調整するかの一例を示す図である。
図7】一実施形態の撮像装置において、絞りに設定している絞り値に応じて、特定色の面積割合に応じて彩度を調整する際の特性を異ならせる第1の例を示す特性図である。
図8】一実施形態の撮像装置において、絞りに設定している絞り値に応じて、特定色の面積割合に応じて彩度を調整する際の特性を異ならせる第2の例を示す特性図である。
図9】一実施形態の撮像装置において、絞りに設定している絞り値に応じて、特定色の面積割合に応じて彩度を調整する際の特性を異ならせる第3の例を示す特性図である。
図10】一実施形態の撮像装置の動作及び一実施形態の撮像装置の制御方法で実行される処理を説明するためのフローチャートである。
図11】一実施形態の撮像装置の具体的な動作の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、一実施形態の撮像装置及び撮像装置の制御方法について、添付図面を参照して説明する。
【0012】
図1において、被写体からの光は、ズームレンズ1zと、絞り2と、フォーカスレンズ1f等を介して、撮像素子3に入力される。実際には、撮像装置はさらに多くのレンズを含むが、ここでは簡略化して図示している。撮像素子3は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)である。
【0013】
絞り2の開閉の状態は、制御部10によって制御される。図1では図示を省略しているが、ズームレンズ1z及びフォーカスレンズ1fの光軸方向の位置も、制御部10によって制御される。制御部10は、例えばCPU(Central Processing Unit)によって構成することができる。
【0014】
撮像素子3は、入力された光を光電変換してアナログのRGB信号Srgb1を出力する。RGB信号Srgb1は、例えば、フルハイビジョン(フルHD)の解像度を有する映像信号、または、4Kと称されるフルHDの4倍の解像度を有する映像信号である。
【0015】
撮像素子3は、ベイヤ配列のカラーフィルタを有する、いわゆる単板の撮像素子である。RGB信号Srgb1は、フレーム内に、R(赤)の画素信号とG(緑)の画素信号とが交互に配置された水平方向の行と、B(青)の画素信号とGの画素信号とが交互に配置された水平方向の行とが、垂直方向に交互に配列された信号である。
【0016】
アナログ増幅器4は、制御部10による制御に従って、RGB信号Srgb1を所定の増幅ゲインで増幅してRGB信号Srgb2として出力する。
【0017】
A/D変換器5は、RGB信号Srgb2をA/D変換して、デジタルのRGB信号Srgb3を出力する。RGB信号Srgb3は、デモザイク処理部6に供給される。上記のように、RGB信号Srgb1は、フレーム内で、R,G,Bの画素信号が混在した信号である。
【0018】
デモザイク処理部6は、RGB信号Srgb3におけるRの画素信号が存在しない画素位置のRの画素信号を周囲のRの画素信号を用いて補間する。デモザイク処理部6は、RGB信号Srgb3におけるGの画素信号が存在しない画素位置のGの画素信号を周囲のGの画素信号を用いて補間する。デモザイク処理部6は、RGB信号Srgb3におけるBの画素信号が存在しない画素位置のBの画素信号を周囲のBの画素信号を用いて補間する。
【0019】
以上のようにして、デモザイク処理部6は、R,G,BそれぞれのフレームよりなるRGB信号Srgb4を生成する。RGB信号Srgb4は、色検出部7と、輝度検出部11と、色調整部14とに供給される。なお、RGB信号は、映像信号の形態の一例である。
【0020】
色検出部7は、図2に示すように、入力されたRGB信号Srgb4のそれぞれのフレームFの画素を例えば水平方向に24分割、垂直方向に20分割して、480個のブロックBkに分割する。
【0021】
本実施形態においては、低減させる偽色をパープルフリンジとする場合を例として説明する。色検出部7は、ブロックBkごとにRGB信号Srgb4のR信号,G信号,B信号の振幅値の平均値を算出する。色検出部7は、R信号,G信号,B信号の振幅値に基づき、それぞれのブロックBkが紫色を呈しているか否かを検出する。
【0022】
マゼンタは紫色と近い色であるから、色検出部7は、それぞれのブロックBkがマゼンタを呈しているか否かを検出することによって、実質的に紫色を呈しているか否かを検出してもよい。
【0023】
本実施形態において、それぞれのブロックBkが紫色を呈しているか否かを検出するとは、紫色そのものを呈しているか否かを検出することだけでなく、紫色の代用としてのマゼンタを呈しているか否かを検出することを含む。
【0024】
ところで、撮像装置は、一般的に、ホワイトバランスを調整するために、上述のようにフレームFの画素を複数のブロックBkに分割し、(R−G)の値と(B−G)の値との比率を計算することによって、G信号を基準とするR信号とB信号の比率を計算する回路を有する。即ち、色検出部7は、撮像装置が通常有する回路を用いることができる。
【0025】
従って、本実施形態の撮像装置は、既存の撮像装置が通常有する機能を用いて、それぞれのブロックBkが紫色を呈しているか否かを検出することが可能である。よって、それぞれのブロックBkが紫色を呈しているか否かを検出するための色検出部7は、コストを上昇させることはない。
【0026】
閾値設定部8には、色検出部7が紫色を呈しているか否かを検出するための閾値が設定されている。無彩色のG/R及びG/Bの値に対して、G/R及びG/Bの値が所定の割合未満であれば紫色であると判定することができる。閾値設定部8には、紫色であると判定するための所定の割合が閾値として設定されている。
【0027】
閾値設定部8に設定する閾値は、制御部10による制御によって変更可能とするのがよい。閾値を変更可能とすれば、紫色以外の偽色を検出することも可能となる。
【0028】
図3に示すように、フレームFの一部に所定の輝度以上の高輝度の複数のブロックBkよりなる高輝度部Phがあるとする。このような場合、高輝度部Phの周辺にパープルフリンジが発生しやすく、高輝度部Phの周囲には紫色を呈するブロックBkpが発生する。
【0029】
カウント部9は、それぞれのフレームFで、紫色を呈していると検出されたブロックBk(ブロックBkp)の数をカウントする。カウント部9がカウントしたカウント値は、制御部10に供給される。
【0030】
色検出部7と閾値設定部8とカウント部9は、被写体を撮像することによって得られたRGB信号Srgb4に基づいて、それぞれのフレームFに含まれる偽色に相当する特定色の面積に応じた第1の検出値を生成する第1の検出部Det1として動作している。
【0031】
輝度検出部11は、色検出部7と同様に、入力されたRGB信号Srgb4のそれぞれのフレームFの画素を480個のブロックBkに分割する。輝度検出部11は、R信号,G信号,B信号の振幅値に基づき、ブロックBkごとに平均輝度値を算出して、それぞれのブロックBkが所定の輝度値以上の高輝度部であるか否かを検出する。
【0032】
輝度検出部11は、RGB信号Srgb4に基づいて、それぞれのフレームFが所定の輝度以上の高輝度部を含む否かを検出する第2の検出部Det2として動作している。
【0033】
輝度検出部11がそれぞれのフレームFが高輝度部であるブロックBkを含むか否かの検出情報は、制御部10に供給される。
【0034】
色調整部14は、制御部10による制御に基づいて、入力されたRGB信号Srgb4の色を調整し、RGB信号Srgb5として出力する。RGB信号Srgb5は、撮像装置に搭載されている図示していないディスプレイに供給されて、映像表示される。RGB信号Srgb5は、撮像装置に搭載されている図示していない記録部に供給されて記録されてもよい。
【0035】
後述するように、色調整部14は、RGB信号Srgb4の色を調整して調整RGB信号Srgb5とする場合と、RGB信号Srgb4の色を調整せず、RGB信号Srgb4をそのまま出力する場合とがある。いずれの場合も、便宜上、色調整部14からの出力信号をRGB信号Srgb5と称することとする。
【0036】
なお、色調整部14は、適切な色味の映像とするために、RGB信号Srgb4に対してカラーマネジメント処理を施す。色調整部14がRGB信号Srgb4をそのまま出力するとは、後述するように、RGB信号Srgb4の色を調整しないということである。色調整部14は、RGB信号Srgb4の色を調整する場合であっても調整しない場合であっても、RGB信号Srgb4に対してカラーマネジメント処理を施したRGB信号Srgb5を出力する。
【0037】
制御部10は、少なくともカウント部9より入力されたカウント値に応じて、色調整部14におけるRGB信号Srgb4の色の調整を制御する。好ましくは、制御部10は、カウント部9より入力されたカウント値と、輝度検出部11より入力された検出情報とに応じて、色調整部14におけるRGB信号Srgb4の色の調整を制御する。
【0038】
さらに好ましくは、制御部10は、カウント部9より入力されたカウント値と、輝度検出部11より入力された検出情報と、絞り2に設定している絞り値とに応じて、色調整部14におけるRGB信号Srgb4の色の調整を制御する。
【0039】
操作部12は、少なくとも、撮像装置の電源を投入し切断する操作ボタンを有する。操作部12は、撮像装置の筐体に設けられていてもよいし、撮像装置とは別体のリモートコントローラであってもよい。
【0040】
操作部12によって撮像装置の電源を投入する指示がなされると、制御部10による制御によって、電源部13は電力を必要とする各部に電力を供給する。操作部12によって撮像装置の電源を切断する指示がなされると、制御部10による制御によって、電源部13は各部への電力の供給を切断する。
【0041】
<特定色の面積割合に応じた特定色の彩度調整の例>
まず、制御部10が、カウント部9より入力されたカウント値に応じて、色調整部14におけるRGB信号Srgb4の色の調整を制御する基本的な構成を説明する。
【0042】
操作部12によって撮像装置の電源を投入する指示がなされると、制御部10は、電源部13が各部に電力を供給するよう制御して撮像装置を起動させる。このとき、制御部10は、紫色の彩度を70%に低減させた状態とするよう色調整部14を制御する。即ち、撮像装置は、紫色の彩度が70%に低減された状態で起動する。
【0043】
撮像装置による被写体の撮影が開始されると、制御部10には紫色を呈するブロックBkの数をカウントしたカウント値が入力される。制御部10には、図4に示すように、特定色面積割合(ここでは紫色の面積割合)と彩度調整量との関係が設定されている。
【0044】
図4において、彩度調整量100%とは、特定色の彩度を低減させていない状態である。このとき、色調整部14は入力されたRGB信号Srgb4における特定色の彩度を調整せずRGB信号Srgb4をそのままRGB信号Srgb5として出力する。
【0045】
また、図4において、例えば彩度調整量70%とは、特定色の彩度を30%低減させた状態である。このとき、色調整部14は入力されたRGB信号Srgb4における特定色の彩度を30%低減させた70%に調整してRGB信号Srgb5として出力する。
【0046】
制御部10は、入力されたカウント値に基づき、特定色面積割合が8%未満であれば、図4に示す特性に基づいて、紫色の彩度を70%以上100%未満で低減させるよう色調整部14を制御する。制御部10は、特定色面積割合が8%以上であれば、紫色の彩度を100%とするよう色調整部14を制御する。即ち、制御部10は、特定色面積割合が8%以上のとき紫色の彩度を低減させない。
【0047】
1つのフレームFに占める紫色の面積割合が8%未満というわずかな面積であると、紫色を呈するブロックBkは被写体が実際に紫色を呈しているのではなく、パープルフリンジである可能性が高い。逆に、紫色の面積割合が8%以上であれば、紫色を呈するブロックBkは被写体が実際に紫色を呈している可能性が高い。
【0048】
紫色の面積割合の8%という閾値は、本発明者による検証によって選択された最適値である。但し、後述するように、種々の条件によって最適な閾値は変動することがある。
【0049】
本実施形態の撮像装置によれば、制御部10が紫色の面積割合が8%未満のときに紫色の彩度を低減させるよう色調整部14を制御することにより、パープルフリンジを低減させて、視覚的に目立たないようにすることができる。
【0050】
被写体が実際に紫色を呈しており、紫色の面積割合が8%以上であることが検出されると、撮像装置が被写体の撮影を開始した後の2または3フレーム後には、紫色の彩度が100%とされる。よって、ユーザは、撮影開始直後の彩度が低減されている状態に違和感を覚えることはほとんどない。
【0051】
ところで、色調整部14が入力されたRGB信号Srgb4における紫色の彩度を低減させる処理は、それぞれのフレームF全体に対してなされる。紫色の彩度の低減処理はフレームF内で紫色を呈していない部分には特に影響しない。よって、パープルフリンジの部分以外の撮影映像に悪影響を及ぼすことはない。
【0052】
色調整部14は、フレームFを図2と同様に複数の領域に分割して、パープルフリンジが発生している部分のRGB信号Srgb4のみに対して、紫色の彩度を低減させる処理を実行させるように構成することも可能である。
【0053】
紫色の面積割合が8%の前後で頻繁に変化すると、紫色の彩度が頻繁に増減して色のハンチング現象が発生する。ハンチング現象を抑制するために、制御部10は所定の時定数を設けて徐々に紫色の彩度を調整するよう色調整部14を制御することが好ましい。
【0054】
図5の(a)は、時間の経過に伴って紫色の面積割合が8%の前後で変化する例を示している。図5の(b)は、図5の(a)に対応して、制御部10の制御に基づく色調整部14による紫色の彩度調整量の変化を示している。
【0055】
紫色の面積割合が8%以上から8%未満に変化したときには、色調整部14は例えば1秒程度の時間をかけて徐々に彩度を低減させることが好ましい。紫色の面積割合が8%未満から8%以上に変化したときには、色調整部14は即座に彩度を100%とすることが好ましい。
【0056】
即ち、制御部10は、特定色の面積割合が閾値以上から閾値未満に変化したとき、第1の時間をかけて特定色の彩度を低減させ、特定色の面積割合が閾値未満から閾値以上に変化したとき、第1の時間よりも短い第2の時間をかけて特定色の彩度を増加させる。
【0057】
このように、制御部10は、紫色の彩度を増減させるとき、ヒステリシス動作をさせるよう色調整部14を制御するのがよい。
【0058】
<特定色の面積割合及び高輝度部の有無に応じた特定色の彩度調整の例>
以上説明した基本的な構成に加えて、制御部10が、輝度検出部11より入力された検出情報に応じて、RGB信号Srgb4の色の調整を制御する好ましい構成を説明する。
【0059】
図3で説明したように、フレームFが高輝度部Phを含んでいれば、パープルフリンジが発生している可能性が高い。そこで、制御部10は、フレームFが少なくとも1つの高輝度部のブロックBkを含めば、紫色の面積割合にかかわらず常に紫色の彩度を予め設定した最大の低減量である70%に低減させた状態とするよう色調整部14を制御することが好ましい。
【0060】
制御部10は、検出情報に基づきフレームFが少なくとも1つの高輝度部のブロックBkを含むとき紫色の彩度を70%に低減させ、高輝度部のブロックBkを含まなければ、図4のように紫色の面積割合に応じて紫色の彩度を調整する。制御部10は、複数の高輝度部のブロックBkを含むとき紫色の彩度を70%に低減させてもよい。
【0061】
高輝度部の有無が頻繁に変化すると、紫色の彩度が頻繁に増減して色のハンチング現象が発生する。ハンチング現象を抑制するために、制御部10は、紫色の面積割合が変化する場合と同様に、ヒステリシス動作をさせるよう、色調整部14を制御するのがよい。
【0062】
図6の(a)に示すように、輝度検出部11は、いずれかのブロックBkの輝度値が破線で示す閾値を超えるとき、そのブロックBkは高輝度部であると判定して、フレームFは高輝度部を含む旨の検出情報を出力するとする。ここでは、紫色の面積割合は、継続的に8%以上であるとする。
【0063】
図6の(b)に示すように、制御部10は、高輝度部を含まないフレームFから高輝度部を含むフレームFへと変化したとき、特定色の彩度を瞬時に(第1の時間で)最大の低減量まで低減させる。
【0064】
制御部10は、高輝度部を含むフレームFから高輝度部を含まないフレームFへと変化したとき(かつ、特定色の面積割合が閾値以上であるとき)、第1の時間よりも長い第2の時間をかけて特定色の彩度を100%まで増加させる。
【0065】
<特定色の面積割合と高輝度部の有無と絞り値に応じた特定色の彩度調整の例>
特定色の面積割合と高輝度部の有無に加えて、制御部10が、絞り2の開閉の状態を示す絞り値に応じて、RGB信号Srgb4の色の調整を制御するさらに好ましい構成を説明する。
【0066】
絞り2が開放に向かうに従って、軸上色収差と称されるレンズ収差が増えるため、パープルフリンジが増加する傾向となる。そこで、紫色の彩度を絞り2の絞り値に応じて調整することが好ましい。
【0067】
図7は、絞り2が開放に向かうに従って、紫色の面積割合の閾値を8%より大きな値とした例である。絞り値がF2.0以上であるとき、図4と同じ特性とする。制御部10は、絞り値がF1.2のとき紫色の面積割合の閾値を例えば16%とする。制御部10は、絞り値がF2.0からF1.2の間では、一点鎖線で示すように、閾値を、絞り値が開放に向かうほど大きい値の8%と16%との間の値とする。
【0068】
図8は、紫色の面積割合の閾値を8%で固定とし、絞り2が開放に向かうに従って、紫色の彩度をより大きく低減させるようにした例である。絞り値がF2.0以上であるとき、図4と同じ特性とする。制御部10は、絞り値がF1.2のとき紫色の彩度の最大の低減量を例えば50%とする。
【0069】
制御部10は、絞り値がF2.0からF1.2の間では、一点鎖線で示すように、絞り2が開放に向かうほど最大の低減量を大きくする。
【0070】
図9は、絞り2が開放に向かうに従って、紫色の彩度の上限値を100%よりも低い一定値に抑えるようにした例である。絞り値がF2.0以上であるとき、図4と同じ特性とする。制御部10は、絞り値がF1.2のとき紫色の彩度の上限値を80%に低減させた値とする。
【0071】
制御部10は、絞り値がF2.0からF1.2の間では、一点鎖線で示すように、絞り2が開放に向かうほど、上限値を100%と80%との間で上限値を低くする。即ち、制御部10は、絞り2が開放に向かうほど、紫色の彩度の低減量を多くして、彩度を制限する。
【0072】
図9の例では、彩度の上限値を制限するのに併せて、紫色の面積割合に応じて彩度を低減させる閾値も変化することになる。
【0073】
図7図9において、絞り値がF2.0以上を、絞り値がF2.8以上としてもよく、絞り値のF2.0は一例である。
【0074】
図10を用いて、本実施形態の撮像装置の動作、及び、本実施形態の撮像装置の制御方法で実行される処理を説明する。図10は、高輝度部の有無に応じて紫色の彩度を調整する場合を示している。
【0075】
図10において、制御部10は、ステップS1にて、電源投入の操作がなされたか否かを判定する。電源投入の操作がなされなければ(NO)、制御部10は、ステップS1の処理を繰り返す。電源投入の操作がなされれば(YES)、制御部10は、ステップS2にて、彩度調整量を最大の低減量に設定して撮像装置を起動する。
【0076】
なお、図8で説明したように絞り値に応じて紫色の彩度を調整する場合には、ステップS2における彩度調整量の最大の低減量は、絞り値に応じて変化した値となる。
【0077】
撮像装置の起動後、制御部10は、ステップS3にて、フレームFが高輝度部を含むか否かを判定する。高輝度部を含めば(YES)、制御部10は、ステップS4にて、彩度調整量を最大の低減量に維持して、処理をステップS8に移行させる。
【0078】
高輝度部を含まなければ(NO)、制御部10は、ステップS5にて、特定色の面積割合は閾値未満であるか否かを判定する。なお、図7及び図9で説明したように絞り値に応じて紫色の彩度を調整する場合には、ステップS5における閾値は、絞り値に応じて変化した値となる。
【0079】
特定色の面積割合が閾値未満であれば(YES)、制御部10は、ステップS6にて、面積割合に応じて彩度調整量を設定して、処理をステップS8に移行させる。特定色の面積割合が閾値未満でなければ(NO)、制御部10は、ステップS7にて、彩度調整量を一定の上限値に設定して、処理をステップS8に移行させる。
【0080】
彩度調整量を一定の上限値に設定するとは、図4図7図8の例では、彩度調整量100%、即ち、彩度を低減させない状態にするということである。図9の例では、彩度調整量を一定の上限値に設定するとは、彩度調整量をそれぞれの絞り値に対応した上限値に設定するということである。
【0081】
制御部10は、ステップS8にて、電源切断の操作がなされたか否かを判定する。電源切断の操作がなされなければ(NO)、制御部10は、処理をステップS3に戻し、ステップS3以降の処理を繰り返す。電源切断の操作がなされれば(YES)、制御部10は、ステップS9にて、撮像装置の電源を切断して処理を終了させる。
【0082】
図11を用いて、本実施形態の撮像装置の具体的な動作の一例を説明する。図11の(a)に示すように、時間の経過に伴って、被写体を撮影している周囲の明るさが低下して暗くなるとする。
【0083】
制御部10は、図11の(b)に示すように、周囲が暗くなるに従って絞り2を線形的に開放させていく。制御部10は、周囲が暗くなるに従って絞り2をF1.2まで開放させていくのが一般的である。本実施形態の撮像装置においては、時刻t1にて絞り2をF2.0まで開放させたら、制御部10は、時刻t1以降、一旦、絞り2をF2.0に固定させる。
【0084】
制御部10は、図11の(c)に示すように、アナログ増幅器4におけるRGB信号Srgb1に対する増幅ゲインを、時刻t1以降、最小値から線形的に増大させていく。制御部10は、時刻t2にてRGB信号Srgb1に対する増幅ゲインが最大値に達したら、増幅ゲインを最大値に固定させる。
【0085】
このように、制御部10は、絞り2の絞り値をF2.0に固定させている時刻t1から時刻t2までの期間において、絞り2を開放して撮影映像を明るくする代わりに、アナログ増幅器4における増幅ゲインを増大させることによって撮影映像を明るくする。
【0086】
前述のように、絞り2を開放させていくと軸上色収差が増えてパープルフリンジが増加する傾向となるが、図11に示す例では、絞り値をF2.0に固定することによってパープルフリンジの増加を抑えることができる。
【0087】
制御部10は、図11の(b)に示すように、時刻t2以降、周囲が暗くなるに従って絞り2を絞り値F1.2まで線形的に開放させていく。絞り2を、絞り値F2.0を超えて開放させていくと、パープルフリンジが増加する。そこで、図11の(d)に示すように、制御部10は、時刻t2にて、上述した特定色の彩度を低減させる機能をオフからオンに切り替える。
【0088】
本発明は以上説明した本実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。特定色の面積割合に応じて特定色の彩度を調整する基本的な構成に加えて、図7図9に示すように、絞り値に応じて特定色の彩度を調整する際の特性を異ならせてもよい。
【0089】
図4図7図9における彩度調整量の特性において、彩度を低減させる部分は線形となっているが、非線形であってもよい。
【0090】
制御部10は、焦点距離に応じて、面積割合の閾値、最大の低減量、上限値を変更してもよい。制御部10は、フレームF内の位置によって面積割合の閾値、最大の低減量、上限値を変更してもよい。制御部10は、フレームF内の端部近傍の領域で、彩度をより多く低減させるようにしてもよい。制御部10は、フォーカスが合っていない領域で、彩度をより多く低減させるようにしてもよい。
【0091】
撮像装置が顔検出機能を有する場合には、制御部10は、顔の領域における彩度を低減させないとか、低減の程度を少なくしてもよい。
【符号の説明】
【0092】
7 色検出部
8 閾値設定部
9 カウント部
10 制御部
11 輝度検出部
14 色調整部
Det1 第1の検出部
Det2 第2の検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11