(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
カルボキシル基と架橋構造を有する有機高分子系吸湿剤100重量部に対して、ゲル化剤1〜30重量部、バインダー樹脂10〜100重量部を含有することを特徴とする請求項1に記載の吸湿性ミリビーズ。
カルボキシル基と架橋構造を有する有機高分子系吸湿剤、ゲル化剤およびバインダー樹脂を含む混合スラリーを、前記ゲル化剤のゲル化を引き起こす液中に滴下することでビーズ形状を形成し、得られたビーズを乾燥することによって作製されることを特徴とする吸湿性ミリビーズの製造方法。
【背景技術】
【0002】
従来、吸湿性ミリビーズは圧縮空気や自動車用エアコンの乾燥剤、あるいは住宅用換気装置の調湿剤として、例えば、気体の流通できる容器に充填するなどして各種気体の乾燥に用いられている。かかる吸湿性ミリビーズを主として構成する吸湿剤には、シリカゲル、ゼオライト、珪藻土などといった多孔質無機系吸湿剤が使用されている。例えば特許文献1では吸放湿性粉体と結合材からなる吸放湿ボールを容器に充填し、その容器に空気を通過させることで吸放湿を行う方法が報告されている。
【0003】
一方、高分子系の吸湿性ミリビーズとしては、一般的に紙おむつや芳香剤などに使用されている吸水性樹脂から構成されるものが知られている。しかし、当然のことながら、吸水性樹脂は吸水に特化しているために吸水することで自重の数十倍以上の水を吸収し、それに伴いビーズの大幅な体積変化が引き起こされる。この体積変化によって気体が通過する流路が塞がれる、装置の破壊に繋がるなどといった問題が生じるため気体を乾燥する用途としては不向きであった。
【0004】
この点について、吸水性樹脂に対して膨潤性を大きく低減させた有機高分子系吸湿剤が報告されている(特許文献2)。これは多孔質無機系吸湿剤よりも高い吸湿容量を持っているため、ミリビーズを用いた除湿装置の性能向上に繋がる可能性もある。しかしながら、その粒径はマイクロメートルサイズまでであり、このサイズのものを容器に充填させた場合、空気抵抗が大きくなるため実用的ではなかった。
【0005】
更に、シリカゲル、ゼオライトなどの多孔質無機系吸湿剤を用いたミリビーズは通常、粉体状の吸湿剤を造粒機でミリサイズに成型した後に、高温で焼成して作られるが、仮に有機高分子系吸湿剤を用い、同様の方法でミリビーズを得ようとすると、その高温の焼成工程において有機高分子系吸湿剤が分解してしまうといった問題が発生することから、有機高分子系吸湿剤においてはかかる方法は採用できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、従来技術においては、有機高分子系吸湿剤を用いて吸湿性ミリビーズを作製することができなかった。本発明は、かかる従来技術の現状に鑑みて創案されたものであり、その目的は、有機高分子系吸湿剤を用いたミリビーズの作製を実現し、高い吸湿性を持ち、かつ吸放湿(吸放水)の際の寸法変化が小さい吸湿性ミリビーズを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討を進めた結果、有機高分子系吸湿剤、ゲル化剤およびバインダー樹脂を含む混合スラリーを、ゲル化剤のゲル化反応を利用してビーズ形状に成型することで吸湿性ミリビーズが得られることを見出し、本発明に到達した。
【0009】
即ち、本発明は以下の手段により達成される。
(1)カルボキシル基と架橋構造を有する有機高分子系吸湿剤、ゲル化剤およびバインダー樹脂を含有することを特徴とする吸湿性ミリビーズ。
(2)カルボキシル基と架橋構造を有する有機高分子系吸湿剤100重量部に対して、ゲル化剤1〜30重量部、バインダー樹脂10〜100重量部を含有することを特徴とする(1)に記載の吸湿性ミリビーズ。
(3)平均粒子径が0.1〜10mmであることを特徴とする(1)または(2)に記載の吸湿性ミリビーズ。
(4)ゲル化剤が多糖類であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の吸湿性ミリビーズ。
(5)バインダー樹脂が水系バインダー樹脂であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の吸湿性ミリビーズ。
(6)吸水量が自重の10倍以下であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の吸湿性ミリビーズ。
(7)カルボキシル基と架橋構造を有する有機高分子系吸湿剤、ゲル化剤およびバインダー樹脂を含む混合スラリーを、前記ゲル化剤のゲル化を引き起こす液中に滴下することでビーズ形状を形成し、得られたビーズを乾燥することによって作製されることを特徴とする吸湿性ミリビーズの製造方法。
(8)(1)〜(6)いずれかに記載の吸湿性ミリビーズを、空気が通過することのできる容器に充填した除湿ユニット。
(9)(8)に記載の除湿ユニットを使用した除湿装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、有機高分子系吸湿剤を用いた吸湿性ミリビーズを形成することが可能となり、得られる吸湿性ミリビーズは多孔質無機系吸湿剤を用いたミリビーズよりも高い吸湿容量を発現することができる。また、本発明の吸湿剤ミリビーズは吸放湿に伴う寸法変化が小さいので、除湿カラムを用いる除湿装置などに好適に利用できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
●有機高分子系吸湿剤について
本発明に採用する有機高分子系吸湿剤は、カルボキシル基と架橋構造を有する。この有機高分子系吸湿剤中に存在するカルボキシル基は、空気中の水分を化学的に吸着する特性を持っている。カルボキシル基は塩型であることが好ましく、また、対をなす陽イオンには特に限定はなく、例えばLi、Na、K、Rb、Cs等のアルカリ金属、Be、Mg、Ca、Sr、Ba等のアルカリ土類金属、Cu、Zn、Al、Mn、Ag、Fe、Co、Ni等のその他の金属、NH4、アミン等の有機の陽イオン等を挙げることか出来る。なかでも吸放湿速度の観点からアルカリ金属やアルカリ土類金属の陽イオンであることが好ましい。
【0012】
有機高分子系吸湿剤に含有するカルボキシル基量としては、好ましくは1〜10mmol/g、より好ましくは3〜10mmol/gである。カルボキシル基量が1mmol/g未満の場合には十分な吸放湿性能が得られないことがあり、10mmol/gを超える場合には有機高分子系吸湿剤の吸放湿に伴う体積変化が非常に大きくなってしまう。ここで、カルボキシル基量は、該吸湿剤のカルボキシル基を全て酸型(すなわち、COOHの形)としたときの吸湿剤重量に対するカルボキシル基のmol量を表すものである。
【0013】
また、有機高分子系吸湿剤が有する架橋構造は、吸湿、あるいは吸水した際におこる粒子の膨潤を低減するものである。かかる架橋構造としては、吸湿、放湿に伴い物理的、化学的に変性をうけない限りにおいては特に限定はなく、共有結合による架橋、イオン架橋、ポリマー分子間相互作用または結晶構造による架橋等いずれの構造のものでもよい。中でも、強固で安定という観点から共有結合による架橋構造がもっとも好ましい。
【0014】
以上に述べてきた架橋構造を有する有機高分子系吸湿剤の製造方法としては、以下のような方法を例示することができる。
(1)カルボキシル基を有するモノマーと架橋モノマーの共重合する方法
(2)カルボキシル基を誘導できるモノマーと架橋モノマーの共重合体を加水分解する方法
(3)カルボキシル基を有するポリマーを反応性架橋剤によって架橋する方法
(4)カルボキシル基を誘導できる官能基を持ったポリマーを反応性架橋剤によって架橋し、加水分解する方法
【0015】
(1)の方法において、カルボキシル基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ビニルプロピオン酸等のカルボン酸基を有する単量体や、これら単量体のカルボン酸塩等が挙げられる。
【0016】
(2)の方法において、カルボキシル基を誘導できるモノマーとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基を有する単量体;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ビニルプロピオン酸等のカルボン酸基を有する単量体の無水物やエステル誘導体、アミド誘導体等を挙げることができる。これらのモノマーの有する官能基は加水分解を受けることによりカルボキシル基に変換される。
【0017】
また、架橋モノマーについては、分子中に2重結合を2つ以上もったモノマーであれば特に限定はなく、例えばグリシジルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ジビニルベンゼン、ヒドロキシエチルメタクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、メチレンビスアクリルアミド等の架橋性ビニル化合物を挙げることができる。なかでもトリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ジビニルベンゼン、メチレンビスアクリルアミドによる架橋構造は、それらを含有してなる架橋共重合体に施すカルボキシル基を導入するための加水分解等の際にも化学的に安定であるため、加水分解工程を経てカルボキシル基を得る場合の使用では望ましい。
【0018】
また、加水分解については、共重合により得られた架橋共重合体を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物やアンモニア等の塩基性水溶液中で加熱処理する方法などを採用することができる。ここで、加水分解により生成されるカルボキシル基は、加水分解に用いる薬剤に対応する陽イオンと塩を形成するので、所望の塩型も考慮して加水分解に用いる薬剤を選定することが望ましい。なお、加水分解後に酸による処理や金属塩水溶液による処理を行うことによって、カルボキシル基の塩型を変えることも可能である。
【0019】
また、(4)の方法において、カルボキシル基を誘導できる官能基を持ったポリマーは、例えば上述したカルボキシル基を誘導できるモノマーと反応性架橋剤と反応できる官能基を有するモノマーを共重合することによって得ることができる。反応性架橋剤と反応できる官能基を有するモノマーは、用いる反応性架橋剤の種類に応じて選択することになる。具体的な方法としては、例えば、ニトリル基を有するビニルモノマーの含有量が50重量%以上よりなるニトリル系重合体において、ニトリル基と、ヒドラジン系化合物、ポリアミンあるいはホルムアルデヒドなどを反応させて架橋し、架橋に関与しなかったニトリル基などを上記(2)の方法と同様に加水分解する方法などを挙げることができる。
【0020】
前述した方法によって作製される有機高分子系吸湿剤の平均粒子径としては、特に限定は無いが、ミリビーズの製造のしやすさ、得られるミリビーズの強度、寸法安定性、吸湿特性などを勘案して決定することができ、一般的には、1〜80nmとするのが好ましく、5〜50nmとするのがより好ましい。
【0021】
また、かかる有機高分子系吸湿剤は、その架橋構造によって吸放湿に伴う寸法変化を制限することができる。そのため、該吸湿剤を吸湿性ミリビーズの構成成分として用いることで得られる吸湿性ミリビーズの寸法変化を小さくすることができる。
【0022】
●ゲル化剤について
本発明に使用されるゲル化剤は、ゲル化を引き起こす液にゲル化剤を含む液を滴下した時にゲルを形成できるものであり、一価のアルギン酸塩、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどといった多糖類やポリビニルアルコールなどのポリアルコール類が挙げられる。例えばゲル化剤とゲル化を引き起こす液の組み合わせとしては、一価のアルギン酸塩−多価金属塩水溶液、一価のアルギン酸塩−酸性水溶液、カルボキシメチルセルロース−多価金属塩水溶液、ポリビニルアルコール−四ホウ酸ナトリウム水溶液などが挙げられる。なかでも、ゲル強度に優れるといった点で、一価のアルギン酸塩と塩化カルシウム水溶液の組み合わせが好ましい。
【0023】
ゲル化剤の添加量としては、有機高分子系吸湿剤に対して1〜30重量部であることが好ましく、2〜10重量部であることがより好ましい。添加量が少ない場合はゲル化が十分に行われないことがあり、また、添加量が多い場合では、ビーズを構成する有機高分子系吸湿剤の割合が少なくなりビーズの吸湿性能低下に繋がることがある。
【0024】
●バインダー樹脂について
バインダー樹脂は、ミリビーズに内包された有機高分子系吸湿剤同士を結合させる役割を持っていることから、ビーズ形成時に含有させる必要がある。そのため、有機高分子系吸湿剤を含む液との混和性が良いことが好ましい。有機高分子系吸湿剤およびゲル化剤は親水性であることから溶媒系は水あるいは水と親水性有機溶媒を混合したものが選択される。故に添加するバインダー樹脂は水系バインダーであることが好ましく、例えばウレタンエマルジョン、エチレン−酢酸ビニルエマルジョン、エチレン−塩化ビニルエマルジョン、酢酸ビニルエマルジョン、アクリルエマルジョンなどが挙げられる。
【0025】
バインダー樹脂の添加量としては、有機高分子系吸湿
剤100重量部に対して好ましくは10〜100重量部であり、特に好ましくは30〜80重量部である。バインダー樹脂の量が少ないと、有機高分子系吸湿剤の膨潤収縮による寸法変化でビーズが破壊されることがあり、また、バインダー樹脂の量が多いとビーズに対する有機高分子系吸湿剤の割合が低下し、ビーズの吸湿容量の低下を引き起こす場合がある。
【0026】
本発明の吸湿性ミリビーズの平均粒子径は乾燥時において0.1〜10mmであることが好ましく、1〜5mmであることがより好ましい。ゲル化させる混合スラリーの濃度や液滴の大きさを変えることで所望の平均粒子径に調整することが出来る。平均粒子径が小さくなりすぎると吸湿性ミリビーズを充填させた際に空気を通過させることが困難となることがあり、また、大きくなりすぎると充填体積あたりの吸湿性ミリビーズの表面積が小さくなり、吸湿速度が遅くなるといった問題が発生することがある。
【0027】
本発明において吸水量とは、吸湿性ミリビーズを水に浸漬させた際に吸湿性ミリビーズ内部に保持される水の量のことであり、後述する測定方法によって求められるものである。本発明の吸湿性ミリビーズにおいては、かかる吸水量が自重の10倍以下であることが好ましく、4倍以下であることがより好ましい。これ以上の吸水量となると吸水性ミリビーズに近づき、吸放湿(吸放水)の際の寸法変化も増大するので、後述する除湿ユニットなどに採用した場合に、気体が通過する流路が塞がれる、装置が破壊されるといった問題が発生することがある。一方、吸水量の下限としては、飽和吸湿させたときの吸湿量がこれに相当する。かかる吸水量は、前述した有機高分子系吸湿剤のカルボキシル基量や架橋密度をコントロールすることによって調整することができる。
【0028】
本発明の吸湿性ミリビーズの飽和吸湿率としては、特に限定は無いが、後述する除湿ユニットの用途においては、20℃、相対湿度65%の雰囲気下において、好ましくは10〜60%、より好ましくは20〜50%である。飽和吸湿率は、ビーズ中の有機高分子系吸湿剤の量や、該吸湿剤に含まれるカルボキシル基量およびカウンターイオンの種類などを変えることによって調整することができる。
【0029】
上述してきた本発明の吸湿性ミリビーズは、吸放湿に伴う体積変化を小さくすることができる。具体的には、120℃、16時間乾燥した時の平均粒子径に対する、20℃、相対湿度65%の雰囲気下での飽和吸湿状態の平均粒子径の比として1.0〜1.2倍、水浸漬状態の平均粒子径の比として1.0〜1.8倍に抑えることが可能である。
【0030】
本発明の吸湿性ミリビーズは、上述した有機高分子系吸湿剤、ゲル化剤およびバインダー樹脂の複合体である。かかる本発明の吸湿性ミリビーズは次のようにして作製することができる。まず、前記3種類の材料を水あるいは水と親水性有機溶媒からなる混合溶媒に添加して混合スラリーを作成する。得られた混合スラリーをゲル化剤がゲル化を引き起こす液中に滴下し、液滴をゲル化させることでビーズ形状を形成する。次に、形成したゲル状態のビーズを液中から取り出し、乾燥する。乾燥することで内包されたバインダー樹脂が有機高分子系吸湿剤同士を結合し、より強固な吸湿性ミリビーズを形成することができる。
【0031】
ここで、吸湿性ミリビーズに作製の際に用いられる有機高分子系吸湿剤はカルボン酸型、カルボン酸塩型のどちらでも用いることが出来るが、カルボン酸型の方が膨潤度が小さく取り扱いが容易であるため好ましい。カルボン酸型の有機高分子系吸湿剤を用いた場合には、ビーズを形成した後に上述した金属塩水溶液による処理と同様の処理によって、より吸湿性の高いカルボン酸塩型に変換することが好ましい。
【0032】
上記混合スラリーにおける有機高分子系吸湿剤、ゲル化剤およびバインダー樹脂の含有量としては、混合スラリーが流動性を得るための粘度やゲル化した時の強度の点から、これら3種類の材料の重量割合が、混合スラリーに対して好ましくは10〜50重量%、より好ましくは15〜35重量%とする。また、混合スラリーに用いる親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、エチレングリコールなどのアルコール類やアセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミドなどを挙げることができる。
【0033】
本発明の吸湿性ミリビーズは、除湿機能を有する機器などに組み込まれる除湿ユニットに利用することができる。例えば、筒状の容器に本発明の吸湿剤ミリビーズを充填させることでカラム形状の除湿ユニットを作製することが出来る。この容器には空気が通過するための開口部が設けられており、容器内部に充填された吸湿性ミリビーズ間の隙間を空気が通過することにより空気の除湿ができる。かかる除湿ユニットをエアコンや換気装置に搭載することで除湿装置として機能させることができる。
【実施例】
【0034】
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部及び百分率は、断りのない限り重量基準で示す。まず、各特性の評価方法および評価結果の表記方法について説明する。
【0035】
[有機高分子系吸湿剤のカルボキシル基量]
十分乾燥した試料1gを精秤し(X[g])、これに200mlの水を加えた後、50℃に加温しながら1N塩酸水溶液を添加してpH2とすることで、試料に含まれるカルボキシル基を全てH型カルボキシル基とし、次いで0.1N水酸化ナトリウム水溶液で常法に従って滴定曲線を求めた。該滴定曲線からH型カルボキシル基に消費されたNaOH水溶液消費量(Y[ml])を求め、次式によって試料中に含まれるカルボキシル基量を算出した。
カルボキシル基量[mmol/g]=0.1Y/X
【0036】
[有機高分子系吸湿剤の平均粒子径]
島津製作所製レーザー回折式粒度分布測定装置「SALD−200V」を使用して水を分散媒として測定し、体積基準で表した粒子径分布から、平均粒子径を求めた。
【0037】
[吸湿性ミリビーズの平均粒子径(ビーズ径)]
吸湿性ミリビーズの平均粒子径は、10個の吸湿性ミリビーズの最大径(長軸長)と長軸に直行する最大径(短軸長)をノギスを用いて測定し、得られた平均長軸長と平均短軸長の平均値をもって平均粒子径とした。
【0038】
[飽和吸湿率]
吸湿性ミリビーズの飽和吸湿率は次の方法により得られた値をいう。
吸湿性ミリビーズを120℃で16時間以上乾燥させ重量を測定する(Wds[g])。次に乾燥した吸湿性ミリビーズを温度20℃で相対湿度65%RHに調整された恒温恒湿器に48時間以上放置し、吸湿した試料の重量を測定する(Wws[g])。以上の結果をもとに、飽和吸湿率を次式により算出する。
飽和吸湿率(重量%)=(Wws−Wds)/Wds×100
【0039】
[吸水量]
吸湿性ミリビーズの吸水量は次の方法により得られた値をいう。
吸湿性ミリビーズを120℃で16時間以上乾燥させた重量を測定する(Wds[g])。次に乾燥した吸湿性ミリビーズを純水中に24時間浸漬させた後、吸水したビーズの重量を測定する(Wws[g])。以上の結果をもとに、吸水量を次式により算出する。
吸水量=(Wws−Wds)/Wds
【0040】
[有機高分子系吸湿剤の製造]
アクリロニトリル55部、アクリル酸メチル10部、ジビニルベンゼン35部からなるモノマー混合物を、0.5部の過硫酸アンモニウムを含む水溶液300部に添加し、次いでピロ亜硫酸ナトリウム0.6部を加え、攪拌機つきの重合槽で65℃、2時間重合した。得られた粒子15部を水85部中に分散し、これに水酸化ナトリウム10部を添加し、90℃で2時間加水分解反応を行った後、洗浄、脱水、乾燥を行い、カルボン酸ナトリウム型の有機高分子系吸湿剤を得た。このカルボン酸ナトリウム型の有機高分子系吸湿剤を水に分散させた後、硫酸を添加し分散液のpHを2以下に調整し、洗浄、脱水、乾燥を行いカルボン酸型の有機高分子系吸湿剤を得た。かかる有機高分子系吸湿剤のカルボキシル基量は6.3mmol/gであり、平均粒子径は30μmであった。
【0041】
[実施例1]
カルボン酸型の有機高分子系吸湿剤100重量部に対し、1%アルギン酸ナトリウム水溶液250重量部、ウレタン樹脂の水分散体である40%固形分のスーパーフレックスE−2000(第一工業製薬製)100重量部および純水120重量部を混合しスラリーを調合した。調合したスラリーを内径1mmのノズルを用いて1%塩化カルシウム水溶液に滴下することで湿潤ビーズを形成した後に水洗し、乾燥することでカルボン酸型吸湿性ミリビーズを得た。得られたカルボン酸型吸湿性ミリビーズの評価結果を表1に示す。飽和吸湿率は比較的低いものの、乾燥状態と吸水状態でのカルボン酸型吸湿性ミリビーズの粒子径の増加は非常に小さいものであった。
【0042】
[実施例2]
実施例1で得られたカルボン酸型吸湿性ミリビーズを1%水酸化カリウム水溶液に24時間浸漬させた後、水洗、乾燥することでカルボン酸
カリウム型吸湿性ミリビーズを得た。得られたカルボン酸カリウム型吸湿性ミリビーズの評価結果を表1に示す。実施例1と比較すると吸湿あるいは吸水することでの粒子径増加は大きくなるものの十分抑制された範囲内にとどまっており、飽和吸湿率に関しては非常に高いものとなった。
【0043】
[実施例3]
実施例1で得られたカルボン酸型吸湿性ビーズを1%水酸化ナトリウム水溶液に24時間浸漬させた後、水洗、乾燥することでカルボン酸
ナトリウム型吸湿性ミリビーズを得た。得られたカルボン酸ナトリウム型吸湿性ミリビーズの評価結果を表1に示す。吸湿及び吸水による粒子径増加は実施例2のカルボン酸
カリウム型吸湿性ミリビーズと同程度であり、飽和吸湿率に関してはさらに向上する結果となった。
【0044】
[実施例4]
カルボン酸ナトリウム型の有機高分子系吸湿剤100重量部に対し、1%アルギン酸ナトリウム水溶液500重量部、ウレタン樹脂の水分散体である40%固形分のスーパーフレックスE−2000(第一工業製薬製)75重量部および純水105重量部を混合しスラリーを調合した。調合したスラリーを内径1mmのノズルを用いて5%塩化カルシウム水溶液に滴下することで湿潤ビーズを形成した後に水洗し、乾燥することでカルボン酸カルシウム型吸湿性ミリビーズを得た。得られたカルボン酸カルシウム型吸湿性ミリビーズの評価結果を表1に示す。
【0045】
[実施例5]
カルボン酸型の有機高分子系吸湿剤100重量部に対し、1%アルギン酸ナトリウム水溶液250重量部、ウレタン樹脂の水分散体である40%固形分のスーパーフレックスE−2000(第一工業製薬製)200重量部および純水180重量部を混合しスラリーを調合した。調合したスラリーを内径1mmのノズルを用いて1%塩化カルシウム水溶液に滴下することで湿潤ビーズを形成した後に水洗し、乾燥することでカルボン酸型吸湿性ミリビーズを得た。得られたカルボン酸型吸湿性ビーズを1%水酸化カリウム水溶液に24時間浸漬させた後、水洗、乾燥することでカルボン酸カリウム型吸湿性ミリビーズを得た。得られたカルボン酸カリウム型吸湿性ミリビーズの評価結果を表1に示す。実施例2と比較するとバインダー量が増加した分、飽和吸湿率が低下したものの、より強固に有機高分子系吸湿剤と結合できることでビーズ強度は向上する結果となった。
【0046】
[比較例1]
カルボン酸型の有機高分子系吸湿剤100重量部に対し、1%アルギン酸ナトリウム水溶液500重量部を混合しスラリーを調合した。調合したスラリーを内径1mmのノズルを用いて1%塩化カルシウム水溶液に滴下することで湿潤ビーズを形成した後に水洗し、乾燥することでバインダーを含まないカルボン酸型吸湿性ミリビーズを得た。得られた吸湿性ミリビーズの評価結果を表1に示す。20℃、65%RH条件下での吸湿性についてはバインダー有無で大きな差は確認されなかったが、バインダーを含有しないミリビーズに関しては吸水させることで崩壊し、形状を維持することが出来なかった。また、高吸湿性を得るための金属塩水溶液による処理時にも同様にビーズ形状の崩壊が観察された。このことから、膨潤による寸法変化が起こる条件下では有機高分子系吸湿剤同士を結合させておくためには、ゲル化剤だけでは不十分であることが考えられる。
【0047】
【表1】