特許第6578842号(P6578842)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6578842
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】カスコードノーマリオフ回路
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20190912BHJP
   H01L 29/812 20060101ALI20190912BHJP
   H01L 29/778 20060101ALI20190912BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20190912BHJP
【FI】
   H01L29/80 E
   H01L29/80 H
   H01L29/06 301F
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-183732(P2015-183732)
(22)【出願日】2015年9月17日
(65)【公開番号】特開2017-59697(P2017-59697A)
(43)【公開日】2017年3月23日
【審査請求日】2018年6月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000106276
【氏名又は名称】サンケン電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】青木 宏憲
【審査官】 杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−042270(JP,A)
【文献】 特開2011−049741(JP,A)
【文献】 特開2005−136001(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/778
H01L 29/812
H01L 21/338
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ドレイン電極と第1ソース電極と第1ゲート電極とを有する窒化物半導体からなり、第1ドレイン電極に高電圧が印加されるノーマリオンスイッチと、
第2ドレイン電極と第2ソース電極と第2ゲート電極とを有するシリコン半導体からなり、第2ドレイン電極が前記ノーマリオンスイッチの第1ソース電極に接続され、第2ソース電極が前記ノーマリオンスイッチの第1ゲート電極に接続され、第2ゲート電極に電圧が印加されるノーマリオフスイッチと、
前記ノーマリオフスイッチをオフしたときに、前記ノーマリオンスイッチの第1ソース電極の電位が前記ノーマリオンスイッチをオフできる電位以上で且つ前記ノーマリオフスイッチの耐圧未満となるように、前記ノーマリオンスイッチのゲートリーク電流を調整するリーク電流調整部と、
を備え
前記ノーマリオンスイッチは、
キャリア供給層、及び前記キャリア供給層とヘテロ接合を形成するキャリア走行層を積層した窒化物半導体層と、
前記窒化物半導体層上に配置された絶縁膜と、
前記窒化物半導体層上に配置された前記第1ソース電極と、
前記窒化物半導体層上に前記第1ソース電極と離間して配置された前記第1ドレイン電極と、
前記第1ソース電極と前記第1ドレイン電極間で前記窒化物半導体層上に配置された前記第1ゲート電極と、
前記第1ゲート電極と電気的に接続され、前記第1ゲート電極と前記第1ドレイン電極間で前記絶縁膜上に配置されたゲートフィールドプレートとを備え、
前記リーク電流調整部は、前記ゲートフィールドプレートの長さを所定長よりも短くすることで前記ゲートリーク電流を所定電流よりも大きくすることを特徴とするカスコードノーマリオフ回路。
【請求項2】
第1ドレイン電極と第1ソース電極と第1ゲート電極とを有する窒化物半導体からなり、第1ドレイン電極に高電圧が印加されるノーマリオンスイッチと、
第2ドレイン電極と第2ソース電極と第2ゲート電極とを有するシリコン半導体からなり、第2ドレイン電極が前記ノーマリオンスイッチの第1ソース電極に接続され、第2ソース電極が前記ノーマリオンスイッチの第1ゲート電極に接続され、第2ゲート電極に電圧が印加されるノーマリオフスイッチと、
前記ノーマリオフスイッチをオフしたときに、前記ノーマリオンスイッチの第1ソース電極の電位が前記ノーマリオンスイッチをオフできる電位以上で且つ前記ノーマリオフスイッチの耐圧未満となるように、前記ノーマリオンスイッチのゲートリーク電流を調整するリーク電流調整部と、
を備え
前記ノーマリオンスイッチは、
キャリア供給層、及び前記キャリア供給層とヘテロ接合を形成するキャリア走行層を積層した窒化物半導体層と、
前記窒化物半導体層上に配置された絶縁膜と、
前記窒化物半導体層上に配置された前記第1ソース電極と、
前記窒化物半導体層上に前記第1ソース電極と離間して配置された前記第1ドレイン電極と、
前記第1ソース電極と前記第1ドレイン電極間で前記窒化物半導体層上に配置された前記第1ゲート電極とを備え、
前記リーク電流調整部は、前記第1ゲート電極の端部における前記絶縁膜の傾斜角度を所定角度よりも大きくすることで前記ゲートリーク電流を所定電流よりも大きくすることを特徴とするカスコードノーマリオフ回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノーマリオンスイッチとノーマリオフスイッチとをカスコード接続して構成されたカスコードノーマリオフ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
カスコードノーマリオフ回路は、図8に示すように、MOSFETからなるノーマリオンスイッチQ1とノーマリオフスイッチQ2とをカスコード接続して1つのノーマリオフトランジスタとして動作させる回路である(特許文献1)。
【0003】
ノーマリオンスイッチQ1とノーマリオフスイッチQ2とは、直列に接続され、ノーマリオンスイッチQ1のゲートは、ノーマリオフスイッチQ2のソースに接続され、ノーマリオフスイッチQ2のゲートに入力信号が印加される。ノーマリオンスイッチQ1のドレイン端には例えば数百Vが印加されている。ノーマリオンスイッチQ1の耐圧は、例えば、600Vである。
【0004】
以上の構成において、ノーマリオフスイッチQ2のゲートに閾値電圧Vth以上の電圧が印加されている時には、カスコード接続されたスイッチQ1,Q2は、オンしている。
【0005】
しかし、ノーマリオフスイッチQ2のゲートに閾値電圧Vth未満の電圧が印加された瞬間にノーマリオフスイッチQ2はオフし、X点の電位は、ノーマリオフスイッチQ2のソースSに対して上昇する。
【0006】
ノーマリオンスイッチQ1のゲートは、ノーマリオフスイッチQ2のソースSに接続されているので、X点(ノーマリオンスイッチQ1のソース)に対してノーマリオンスイッチQ1のゲートは、負電位になる。このため、X点の電位は、更に上昇し、負電圧がノーマリオフスイッチQ2の閾値電圧Vth、例えば−5Vより大きくなると、ノーマリオンスイッチQ1はオフする。
【0007】
このため、電源からの高電圧は、ノーマリオンスイッチQ1に印加されるので、ノーマリオフスイッチQ2には大きな電圧は印加されない。従って、ノーマリオフスイッチQ2の導通損失を低減させるためにノーマリオフスイッチQ2には低耐圧、例えば20V程度の耐圧のFETを選択することができる。
【0008】
しかし、ノーマリオンスイッチQ1のリーク電流が大きいと、ノーマリオンスイッチQ1がオフしていてもX点の電位は、徐々に上昇していく。X点に高電圧が印加され続けると、ノーマリオフスイッチQ2が劣化してしまう。
【0009】
このため、図9に示すように、ノーマリオフスイッチQ2のドレインとソース間に抵抗R2を接続して、X点の電位の上昇を抑制している。この場合、抵抗R2の抵抗値は、ノーマリオフスイッチQ2のリーク電流値、X点の電位に応じて選択される。例えば、ノーマリオフスイッチQ2のリーク電流が1μA、X点の電位が10Vであると、抵抗R2の抵抗値は、10MΩとなる。
【0010】
リーク電流は、製造バラツキ、温度依存性によりばらつくので、抵抗R2は想定されるリーク電流の最大値に設計し、抵抗値を小さくする。
【0011】
また、図10に示すように、ノーマリオフスイッチQ2のドレインとソース間にダイオードD1を接続して、過電圧をクランプすることで、X点の電位の上昇を抑制することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許第5697996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、リーク電流のバラツキが大きく、抵抗R2に小さい抵抗値を選択せざるを得ない場合やリーク電流が小さい場合、X点の電位が上昇せず最悪の場合にはノーマリオンスイッチQ1をオフできなくなる。即ち、ある程度のリーク電流が流れないと、X点の電位がノーマリオンスイッチQ1をオフできる電位にならない。
【0014】
また、図10に示すように、ダイオードD1を設けた場合には、ダイオードD1の内部抵抗によりX点の電位は実際には安定しない。また、抵抗R2を設ける場合もダイオードD1を設けた場合にも余計な外付け部品が必要でありコストがアップする。
【0015】
本発明の課題は、ノーマリオフスイッチをオフした時に、ノーマリオフスイッチが破壊せず且つノーマリオンスイッチをオフでき、外付け部品が不要で安価なカスコードノーマリオフ回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係るカスコードノーマリオフ回路は、第1ドレイン電極と第1ソース電極と第1ゲート電極とを有する窒化物半導体からなり、第1ドレイン電極に高電圧が印加されるノーマリオンスイッチと、第2ドレイン電極と第2ソース電極と第2ゲート電極とを有するシリコン半導体からなり、第2ドレイン電極が前記ノーマリオンスイッチの第1ソース電極に接続され、第2ソース電極が前記ノーマリオンスイッチの第1ゲート電極に接続され、第2ゲート電極に電圧が印加されるノーマリオフスイッチと、前記ノーマリオフスイッチをオフしたときに、前記ノーマリオンスイッチの第1ソース電極の電位が前記ノーマリオンスイッチをオフできる電位以上で且つ前記ノーマリオフスイッチの耐圧未満となるように、前記ノーマリオンスイッチのリーク電流を調整するリーク電流調整部とを備え、前記ノーマリオンスイッチは、キャリア供給層、及び前記キャリア供給層とヘテロ接合を形成するキャリア走行層を積層した窒化物半導体層と、前記窒化物半導体層上に配置された絶縁膜と、前記窒化物半導体層上に配置された前記第1ソース電極と、前記窒化物半導体層上に前記第1ソース電極と離間して配置された前記第1ドレイン電極と、前記第1ソース電極と前記第1ドレイン電極間で前記窒化物半導体層上に配置された前記第1ゲート電極と、前記第1ゲート電極と電気的に接続され、前記第1ゲート電極と前記第1ドレイン電極間で前記絶縁膜上に配置されたゲートフィールドプレートとを備え、前記リーク電流調整部は、前記ゲートフィールドプレートの長さを所定長よりも短くすることで前記ゲートリーク電流を所定電流よりも大きくすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、リーク電流調整部は、ノーマリオフスイッチをオフしたときに、ノーマリオンスイッチの第1ソース電極の電位がノーマリオンスイッチをオフできる電位以上で且つノーマリオフスイッチの耐圧未満となるように、ノーマリオンスイッチのゲートリーク電流を調整するとともに、ゲートフィールドプレートの長さを所定長よりも短くすることでゲートリーク電流を所定電流よりも大きくするので、ノーマリオフスイッチが破壊せず且つノーマリオンスイッチをオフでき、外付け部品が不要で安価なカスコードノーマリオフ回路を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施例1に係るカスコードノーマリオフ回路の基本的な回路構成を示す図である。
図2】本発明の実施例1に係るカスコードノーマリオフ回路に有するノーマリオンスイッチの構造を示す模式的な断面図である。
図3】本発明の実施例1に係るカスコードノーマリオフ回路に有するノーマリオンスイッチのドレイン電圧とゲートリーク電流との関係を示す図である。
図4】従来のカスコードノーマリオフ回路に有するノーマリオンスイッチのドレイン電圧とゲートリーク電流との関係を示す図である。
図5】本発明の実施例2に係るカスコードノーマリオフ回路に有するノーマリオンスイッチの構造を示す模式的な断面図である。
図6】本発明の実施例3に係るカスコードノーマリオフ回路に有するノーマリオンスイッチの構造を示す模式的な断面図である。
図7】本発明の実施例4に係るカスコードノーマリオフ回路に有するノーマリオンスイッチの構造を示す模式的な断面図である。
図8】従来のカスコードノーマリオフ回路の第1の例を示す回路図である。
図9】従来のカスコードノーマリオフ回路の第2の例を示す回路図である。
図10】従来のカスコードノーマリオフ回路の第3の例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態に係るカスコードノーマリオフ回路について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は、本発明の実施例1に係るカスコードノーマリオフ回路の基本的な回路構成を示す図である。図1に示すカスコードノーマリオフ回路は、ノーマリオンスイッチQ1と、ノーマリオフスイッチQ2と、リーク電流調整部1とを備えている。
【0021】
ノーマリオンスイッチQ1は、GaN、AlGaN等の窒化物半導体からなり、第1ドレイン電極Dと第1ソース電極Sと第1ゲート電極Gとを有し、通常はオンし、第1ソース電極Sの電位が第1ゲート電極Gの電位よりも負電位となった時にオフする。ノーマリオンスイッチQ1の第1ドレイン電極Dは、図示しない電源に接続される。
【0022】
ノーマリオフスイッチQ2は、MOSFET等のシリコン半導体からなり、第2ドレイン電極Dと第2ソース電極Sと第2ゲート電極Gとを有する。第2ドレイン電極DがノーマリオンスイッチQ1の第1ソース電極Sに接続され、第2ソース電極SがノーマリオンスイッチQ1の第1ゲート電極Gに接続され、第2ゲート電極Gに電圧が印加される。
【0023】
図1に示すX点、即ちノーマリオンスイッチQ1の第1ソース電極Sに流れ込むリーク電流は、ソース電流と基板電流とを合計したものである。ここでは、ノーマリオンスイッチQ1とノーマリオフスイッチQ2とを基板に実装したものとする。デバイス設計段階で、ノーマリオンスイッチQ1の全体のリーク電流の内、ノーマリオンスイッチQ1のドレインからゲートにリークするゲートリーク電流を支配的大きく調整することで、ノーマリオンスイッチQ1のソースリーク電流と基板電流との合計電流を小さくすることできる。このとき、ノーマリオンスイッチQ1のゲートリーク電流は、ノーマリオフスイッチQ2の第2ソース電極Sに流れるので、点Xの電位は変化しない。
【0024】
リーク電流調整部1は、前述したゲートリーク電流を調整する手段であり、ノーマリオンスイッチQ1内部に設けられている。リーク電流調整部1は、ノーマリオフスイッチQ2をオフしたときに、ノーマリオンスイッチQ1の第1ソース電極Sの電位がノーマリオンスイッチQ1をオフできる電位以上で且つノーマリオフスイッチQ2の耐圧未満となるように、ノーマリオンスイッチQ1の第1ドレイン電極Dから第1ゲート電極Gに流れるゲートリーク電流を調整する。
【0025】
次に、ノーマリオンスイッチQ1の構造を示す断面図及びリーク電流調整部1の第1の具体例について、図2を用いて説明する。
【0026】
ノーマリオンスイッチQ1は、窒化物半導体装置からなり、図2に示すように、ソース電極3、ドレイン電極4、ソース電極3とドレイン電極4間に配置されたゲート電極5を備える。
【0027】
ノーマリオンスイッチQ1は、キャリア供給層22及びキャリア供給層22とヘテロ接合を形成するキャリア走行層21を積層した窒化物半導体層2と、窒化物半導体層2上に配置された絶縁膜71とを備え、窒化物半導体層2上にソース電極3、ドレイン電極4及びゲート電極5が配置されたHEMTである。
【0028】
絶縁膜7は、ソース電極3及びドレイン電極4を覆って配置され、絶縁膜71に形成された開口部を埋め込むようにしてゲート電極5が配置されている。ゲート電極5と絶縁膜71上に層間絶縁膜72が配置され、層間絶縁膜72に形成された開口部をそれぞれ介して、ソース電極配線31がソース電極3と接続され、ドレイン電極配線41がドレイン電極4と接続されている。
【0029】
また、ノーマリオンスイッチQ1は、ゲート電極5と電気的に接続するゲートフィールドプレート50を備える。ゲート電極5とドレイン電極4間に配置されたゲートフィールドプレート50により、ゲート電極5のドレイン側端部の空乏層の曲率が制御されて、ゲート電極5のドレイン電極側の端部に集中するバイアス電界の集中が緩和される。
【0030】
ゲートフィールドプレート50はゲート電極5の上端部と連接して、ゲート電極5とドレイン電極4間で絶縁膜71上に配置されている。基板10上にはバッファ層11が配置され、バッファ層11上には窒化物半導体層2が配置されている。
【0031】
基板10には、シリコン(Si)基板、シリコンカーバイト(SiC)基板、GaN基板等の半導体基板や、サファイア基板、セラミック基板等の絶縁体基板を用いることができる。
【0032】
バッファ層11は、有機金属気相成長(MOCVD)法等のエピタキシャル成長法で形成する。窒化物半導体層2は、第1の窒化物半導体層からなるキャリア供給層22、及び第1の窒化物半導体層と異なるバンドギャップエネルギーを有する第2の窒化物半導体層からなるキャリア走行層21を有する。
【0033】
バッファ層11上に配置されたキャリア走行層21は、例えば不純物が添加されていないノンドープGaNを、有機金属気相成長(MOCVD)法等によりエピタキシャル成長させて形成する。ここでノンドープとは、不純物が意図的に添加されていないことを意味する。
【0034】
キャリア走行層21上に配置されたキャリア供給層22は、キャリア走行層21よりもバンドギャップが大きく、且つキャリア走行層21より格子定数の小さい窒化物半導体からなる。キャリア供給層22としてノンドープのAlxGa1-xNを用いることができる。
【0035】
キャリア供給層22は、MOCVD法等によるエピタキシャル成長によってキャリア走行層21上に形成される。キャリア供給層22とキャリア走行層21は格子定数が異なるため、格子歪みによるピエゾ分極が生じる。このピエゾ分極とキャリア供給層22の結晶が有する自発分極により、ヘテロ接合付近のキャリア走行層21に高密度のキャリアが生じ、電流通路(チャネル)としての二次元キャリアガス層23が形成される。
【0036】
ソース電極3及びドレイン電極4は、窒化物半導体層2と低抵抗接触(オーミック接触)可能な金属により形成される。例えばアルミニウム(Al)、チタン(Ti)などがソース電極3及びドレイン電極4に用いられる。あるいはTiとAlの積層体として、ソース電極3及びドレイン電極4は形成される。
【0037】
ゲート電極5には、例えばニッケル金(NiAu)などを用いることができる。ソース電極配線31、ドレイン電極配線41には、例えばAlや金(Au)、銅(Cu)などを用いることができる。
【0038】
次に、実施例1の特徴であるリーク電流調整部1の第1の具体例を説明する。キャリア供給層22は、AlGaNからなるが、AlGaNに対するAl組成比を所定比率よりも大きくすることでゲートリーク電流を所定電流よりも大きくすることを特徴とする。
【0039】
従来のキャリア供給層のAlGaNに対するAl組成比は、例えば、0.25(所定比率)である。実施例1のAlGaNに対するAl組成比は、例えば、0.26としている。
【0040】
即ち、キャリア供給層22のAl組成比を大きくすると、二次元キャリアガス層23の濃度が上がるので、ゲート電極近傍の電界強度が高くなり、ゲートリーク電流が、Al組成比0.25における所定電流よりも上昇する。
【0041】
従って、ノーマリオンスイッチQ1のソースリーク電流と基板電流との合計電流を小さくすることできる。このため、ノーマリオフスイッチQ2をオフしたときに、ノーマリオンスイッチQ1の第1ソース電極Sの電位がノーマリオンスイッチQ1をオフできる電位以上で且つノーマリオフスイッチQ2の耐圧未満となるようにすることができる。従って、ノーマリオフスイッチQ2が破壊せず且つノーマリオンスイッチQ1をオフでき、外付け部品が不要で安価なカスコードノーマリオフ回路を提供できる。
【0042】
図3に、実施例1のノーマリオンスイッチQ1のドレイン電圧とゲートリーク電流との関係を示す。図4に、従来のノーマリオンスイッチのドレイン電圧とゲートリーク電流との関係を示す。図3及び図4において、IDは、ドレインリーク電流、ISはソースリーク電流、IGはゲートリーク電流、ISUBは、基板リーク電流である。図3に示す実施例1では、ゲートリーク電流IGが大であり、ソースリーク電流ISと基板リーク電流ISUBとの合計が小さいことがわかる。
【0043】
一方、図4に示す従来例では、ゲートリーク電流IGが小であり、ソースリーク電流ISと基板リーク電流ISUBとの合計が大きいことがわかる。
【実施例2】
【0044】
次に、図5に示すノーマリオンスイッチの構造断面図を参照しながら、実施例2のリーク電流調整部1の第2の具体例を説明する。図5に示すノーマリオンスイッチは、エピタルキシャル層であるキャリア供給層22aの厚みを所定厚よりも大きくすることでゲートリーク電流を所定電流よりも大きくすることを特徴とする。
【0045】
従来のキャリア供給層22の厚みは、例えば、25nm(所定厚)であるのに対して、実施例2のキャリア供給層22aの厚みは、例えば、35nmとしている。
【0046】
このように、キャリア供給層22aの厚みを所定厚よりも大きくすると、二次元キャリアガス層23の濃度が上がるので、ゲート電極近傍の電界強度が高くなり、ゲートリーク電流が、キャリア供給層22の所定厚における所定電流よりも上昇する。
【0047】
従って、実施例2のカスコードノーマリオフ回路においても、実施例1のカスコードノーマリオフ回路の効果と同様な効果が得られる。
【実施例3】
【0048】
次に、図6に示すノーマリオンスイッチの構造断面図を参照しながら、実施例3のリーク電流調整部1の第3の具体例を説明する。
【0049】
図6に示すノーマリオンスイッチは、ゲートフィールドプレート50aの長さL2を所定長よりも短くすることでゲートリーク電流を所定電流よりも大きくすることを特徴とする。
【0050】
従来のゲートフィールドプレート50の長さは、例えば、2μm(所定長)であるのに対して、実施例3のゲートフィールドプレート50aの長さは、例えば、1μmとしている。
【0051】
このように、ゲートフィールドプレート50aの長さを所定長よりも短くすると、電界緩和が若干弱められるので、ゲートリーク電流が、所定長における所定電流よりも上昇する。
【0052】
従って、実施例3のカスコードノーマリオフ回路においても、実施例1のカスコードノーマリオフ回路の効果と同様な効果が得られる。
【実施例4】
【0053】
次に、図7に示すノーマリオンスイッチの構造断面図を参照しながら、実施例4のリーク電流調整部1の第4の具体例を説明する。図7に示すノーマリオンスイッチは、ゲート電極5の端部における絶縁膜71に形成された絶縁膜傾斜部71aの傾斜角度を所定角度よりも大きくすることでゲートリーク電流を所定電流よりも大きくすることを特徴とする。
【0054】
従来の絶縁膜71に形成された絶縁膜傾斜部71aの傾斜角度は、例えば、30度(所定角度)であるのに対して、実施例4の絶縁膜傾斜部71aの傾斜角度は、例えば、45度としている。
【0055】
このように、絶縁膜傾斜部71aの傾斜角度を所定角度よりも大きくすると、電界緩和が若干弱められるので、ゲートリーク電流が、所定角度における所定電流よりも上昇する。
【0056】
従って、実施例4のカスコードノーマリオフ回路においても、実施例1のカスコードノーマリオフ回路の効果と同様な効果が得られる。
【0057】
なお、実施例1乃至実施例4のカスコードノーマリオフ回路に限定されるものではない。例えば、実施例1乃至実施例4のカスコードノーマリオフ回路のいくつの実施例を組み合わせて用いても良い。このようすれば、さらに、効果が大となる。
【符号の説明】
【0058】
Q1 ノーマリオンスイッチ
Q2 ノーマリオフスイッチ
R1,R2 抵抗
1 リーク電流調整部
2 窒化物半導体層
3 ソース電極
4 ドレイン電極
5 ゲート電極
10 基板
11 バッファ層
21 キャリア走行層
22,22a キャリア供給層
23 二次元キャリアガス層
30 ソースフィールドプレート
31 ソース電極配線
41 ドレイン電極配線
50,50a ゲートフィールドプレート
71 絶縁膜
71a 絶縁膜傾斜部
72 層間絶縁膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10