【実施例1】
【0020】
図1は、本発明の実施例1に係るカスコードノーマリオフ回路の基本的な回路構成を示す図である。
図1に示すカスコードノーマリオフ回路は、ノーマリオンスイッチQ1と、ノーマリオフスイッチQ2と、リーク電流調整部1とを備えている。
【0021】
ノーマリオンスイッチQ1は、GaN、AlGaN等の窒化物半導体からなり、第1ドレイン電極Dと第1ソース電極Sと第1ゲート電極Gとを有し、通常はオンし、第1ソース電極Sの電位が第1ゲート電極Gの電位よりも負電位となった時にオフする。ノーマリオンスイッチQ1の第1ドレイン電極Dは、図示しない電源に接続される。
【0022】
ノーマリオフスイッチQ2は、MOSFET等のシリコン半導体からなり、第2ドレイン電極Dと第2ソース電極Sと第2ゲート電極Gとを有する。第2ドレイン電極DがノーマリオンスイッチQ1の第1ソース電極Sに接続され、第2ソース電極SがノーマリオンスイッチQ1の第1ゲート電極Gに接続され、第2ゲート電極Gに電圧が印加される。
【0023】
図1に示すX点、即ちノーマリオンスイッチQ1の第1ソース電極Sに流れ込むリーク電流は、ソース電流と基板電流とを合計したものである。ここでは、ノーマリオンスイッチQ1とノーマリオフスイッチQ2とを基板に実装したものとする。デバイス設計段階で、ノーマリオンスイッチQ1の全体のリーク電流の内、ノーマリオンスイッチQ1のドレインからゲートにリークするゲートリーク電流を支配的大きく調整することで、ノーマリオンスイッチQ1のソースリーク電流と基板電流との合計電流を小さくすることできる。このとき、ノーマリオンスイッチQ1のゲートリーク電流は、ノーマリオフスイッチQ2の第2ソース電極Sに流れるので、点Xの電位は変化しない。
【0024】
リーク電流調整部1は、前述したゲートリーク電流を調整する手段であり、ノーマリオンスイッチQ1内部に設けられている。リーク電流調整部1は、ノーマリオフスイッチQ2をオフしたときに、ノーマリオンスイッチQ1の第1ソース電極Sの電位がノーマリオンスイッチQ1をオフできる電位以上で且つノーマリオフスイッチQ2の耐圧未満となるように、ノーマリオンスイッチQ1の第1ドレイン電極Dから第1ゲート電極Gに流れるゲートリーク電流を調整する。
【0025】
次に、ノーマリオンスイッチQ1の構造を示す断面図及びリーク電流調整部1の第1の具体例について、
図2を用いて説明する。
【0026】
ノーマリオンスイッチQ1は、窒化物半導体装置からなり、
図2に示すように、ソース電極3、ドレイン電極4、ソース電極3とドレイン電極4間に配置されたゲート電極5を備える。
【0027】
ノーマリオンスイッチQ1は、キャリア供給層22及びキャリア供給層22とヘテロ接合を形成するキャリア走行層21を積層した窒化物半導体層2と、窒化物半導体層2上に配置された絶縁膜71とを備え、窒化物半導体層2上にソース電極3、ドレイン電極4及びゲート電極5が配置されたHEMTである。
【0028】
絶縁膜7は、ソース電極3及びドレイン電極4を覆って配置され、絶縁膜71に形成された開口部を埋め込むようにしてゲート電極5が配置されている。ゲート電極5と絶縁膜71上に層間絶縁膜72が配置され、層間絶縁膜72に形成された開口部をそれぞれ介して、ソース電極配線31がソース電極3と接続され、ドレイン電極配線41がドレイン電極4と接続されている。
【0029】
また、ノーマリオンスイッチQ1は、ゲート電極5と電気的に接続するゲートフィールドプレート50を備える。ゲート電極5とドレイン電極4間に配置されたゲートフィールドプレート50により、ゲート電極5のドレイン側端部の空乏層の曲率が制御されて、ゲート電極5のドレイン電極側の端部に集中するバイアス電界の集中が緩和される。
【0030】
ゲートフィールドプレート50はゲート電極5の上端部と連接して、ゲート電極5とドレイン電極4間で絶縁膜71上に配置されている。基板10上にはバッファ層11が配置され、バッファ層11上には窒化物半導体層2が配置されている。
【0031】
基板10には、シリコン(Si)基板、シリコンカーバイト(SiC)基板、GaN基板等の半導体基板や、サファイア基板、セラミック基板等の絶縁体基板を用いることができる。
【0032】
バッファ層11は、有機金属気相成長(MOCVD)法等のエピタキシャル成長法で形成する。窒化物半導体層2は、第1の窒化物半導体層からなるキャリア供給層22、及び第1の窒化物半導体層と異なるバンドギャップエネルギーを有する第2の窒化物半導体層からなるキャリア走行層21を有する。
【0033】
バッファ層11上に配置されたキャリア走行層21は、例えば不純物が添加されていないノンドープGaNを、有機金属気相成長(MOCVD)法等によりエピタキシャル成長させて形成する。ここでノンドープとは、不純物が意図的に添加されていないことを意味する。
【0034】
キャリア走行層21上に配置されたキャリア供給層22は、キャリア走行層21よりもバンドギャップが大きく、且つキャリア走行層21より格子定数の小さい窒化物半導体からなる。キャリア供給層22としてノンドープのAl
xGa
1-xNを用いることができる。
【0035】
キャリア供給層22は、MOCVD法等によるエピタキシャル成長によってキャリア走行層21上に形成される。キャリア供給層22とキャリア走行層21は格子定数が異なるため、格子歪みによるピエゾ分極が生じる。このピエゾ分極とキャリア供給層22の結晶が有する自発分極により、ヘテロ接合付近のキャリア走行層21に高密度のキャリアが生じ、電流通路(チャネル)としての二次元キャリアガス層23が形成される。
【0036】
ソース電極3及びドレイン電極4は、窒化物半導体層2と低抵抗接触(オーミック接触)可能な金属により形成される。例えばアルミニウム(Al)、チタン(Ti)などがソース電極3及びドレイン電極4に用いられる。あるいはTiとAlの積層体として、ソース電極3及びドレイン電極4は形成される。
【0037】
ゲート電極5には、例えばニッケル金(NiAu)などを用いることができる。ソース電極配線31、ドレイン電極配線41には、例えばAlや金(Au)、銅(Cu)などを用いることができる。
【0038】
次に、実施例1の特徴であるリーク電流調整部1の第1の具体例を説明する。キャリア供給層22は、AlGaNからなるが、AlGaNに対するAl組成比を所定比率よりも大きくすることでゲートリーク電流を所定電流よりも大きくすることを特徴とする。
【0039】
従来のキャリア供給層のAlGaNに対するAl組成比は、例えば、0.25(所定比率)である。実施例1のAlGaNに対するAl組成比は、例えば、0.26としている。
【0040】
即ち、キャリア供給層22のAl組成比を大きくすると、二次元キャリアガス層23の濃度が上がるので、ゲート電極近傍の電界強度が高くなり、ゲートリーク電流が、Al組成比0.25における所定電流よりも上昇する。
【0041】
従って、ノーマリオンスイッチQ1のソースリーク電流と基板電流との合計電流を小さくすることできる。このため、ノーマリオフスイッチQ2をオフしたときに、ノーマリオンスイッチQ1の第1ソース電極Sの電位がノーマリオンスイッチQ1をオフできる電位以上で且つノーマリオフスイッチQ2の耐圧未満となるようにすることができる。従って、ノーマリオフスイッチQ2が破壊せず且つノーマリオンスイッチQ1をオフでき、外付け部品が不要で安価なカスコードノーマリオフ回路を提供できる。
【0042】
図3に、実施例1のノーマリオンスイッチQ1のドレイン電圧とゲートリーク電流との関係を示す。
図4に、従来のノーマリオンスイッチのドレイン電圧とゲートリーク電流との関係を示す。
図3及び
図4において、IDは、ドレインリーク電流、ISはソースリーク電流、IGはゲートリーク電流、ISUBは、基板リーク電流である。
図3に示す実施例1では、ゲートリーク電流IGが大であり、ソースリーク電流ISと基板リーク電流ISUBとの合計が小さいことがわかる。
【0043】
一方、
図4に示す従来例では、ゲートリーク電流IGが小であり、ソースリーク電流ISと基板リーク電流ISUBとの合計が大きいことがわかる。
【実施例4】
【0053】
次に、
図7に示すノーマリオンスイッチの構造断面図を参照しながら、実施例4のリーク電流調整部1の第4の具体例を説明する。
図7に示すノーマリオンスイッチは、ゲート電極5の端部における絶縁膜71に形成された絶縁膜傾斜部71aの傾斜角度を所定角度よりも大きくすることでゲートリーク電流を所定電流よりも大きくすることを特徴とする。
【0054】
従来の絶縁膜71に形成された絶縁膜傾斜部71aの傾斜角度は、例えば、30度(所定角度)であるのに対して、実施例4の絶縁膜傾斜部71aの傾斜角度は、例えば、45度としている。
【0055】
このように、絶縁膜傾斜部71aの傾斜角度を所定角度よりも大きくすると、電界緩和が若干弱められるので、ゲートリーク電流が、所定角度における所定電流よりも上昇する。
【0056】
従って、実施例4のカスコードノーマリオフ回路においても、実施例1のカスコードノーマリオフ回路の効果と同様な効果が得られる。
【0057】
なお、実施例1乃至実施例4のカスコードノーマリオフ回路に限定されるものではない。例えば、実施例1乃至実施例4のカスコードノーマリオフ回路のいくつの実施例を組み合わせて用いても良い。このようすれば、さらに、効果が大となる。