(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記蓄電装置の製造後に、一つのラインで、同じサイズの前記蓄電装置同士を組付けた電池モジュールを製造する際は、前記識別情報を参照する請求項1に記載の蓄電装置の製造方法。
前記付与工程は、前記ケースをクランプした状態で行われるとともに、前記付与工程は、識別情報付与装置が備えるマーキング部を前記クランプした前記ケースに向けて移動させて行われ、前記サイズ調節部材は、前記マーキング部による前記識別情報の付与動作の際に、前記識別情報が付与されるのを回避するために前記マーキング部を逃がす凹部を備える請求項1又は請求項2に記載の蓄電装置の製造方法。
前記ケース内に前記電解液を注入する注液工程を含み、前記注液工程では前記識別情報から前記電解液の注入量を判別する請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の蓄電装置の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載された技術は、異なる仕様の二次電池を1つの組電池(電池モジュールに相当)に用いるものである。各二次電池の製造ラインは独立するため、識別情報の付与は容易である。一方で、製造ラインの一部の工程にて共通の設備を用いて仕様の異なる複数種類の二次電池の製造を行った場合には、各二次電池への識別情報の付与は複雑になる。例えば、二次電池にICチップを追加し、仕様の違いをICチップに書き込む、又は二次電池の仕様の違いを画像認識などで識別し、各二次電池に識別情報をバーコードで書き込むといった構成も考えられる。しかし、このような方法に必要な設備を追加すると、設備を共通化したメリットが損なわれる。
【0006】
本発明の目的は、一つの製造ラインで仕様の異なる、特にサイズの異なる蓄電装置を製造する場合であってもサイズに関する識別情報付与を簡単に行うことができる蓄電装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するための蓄電装置の製造方法は、ケースに電極組立体及び電解液が収納された蓄電装置の製造方法であって、前記蓄電装置は、特定サイズの前記ケースを有する蓄電装置と、前記特定サイズより小さい小型サイズの前記ケースを有する蓄電装置とを含み、前記特定サイズの前記蓄電装置、及び前記小型サイズの前記蓄電装置に対して、共通の設備を使用して処理又は加工を行う工程と、前記小型サイズの前記ケースを、前記特定サイズに合わせるために前記小型サイズの前記ケースにサイズ調節部材を取り付ける工程と、前記ケースを識別するための識別情報を前記ケースに付与する付与工程と、を含み、前記付与工程では、前記小型サイズの前記ケースに対する前記識別情報の付与動作を前記サイズ調節部材に対して行うことを要旨とする。
【0008】
これによれば、製造ラインの一部の工程を、共通の設備を用いて特定サイズの蓄電装置、及び小型サイズの蓄電装置に対して行う場合、両サイズのケースがサイズ合わせされる。このサイズ合わせのために小型サイズのケースにはサイズ調節部材が取り付けられる。そして、サイズ合わせされた状態で、識別情報の付与工程が行われ、小型サイズのケースに対してはサイズ調節部材に対して識別情報の付与動作が行われる。すると、特定サイズと小型サイズとでは、ケースに付与された識別情報の数が異なり、ケースのサイズが識別可能となる。
【0009】
よって、共通の設備を用いてサイズの異なる蓄電装置に対する処理又は加工が行われても、設備を追加することなく、各サイズのケースへの識別情報の付与を簡単に行うことができ、しかも、サイズを識別可能とすることができる。
【0010】
また、蓄電装置の製造方法について、前記蓄電装置の製造後に、一つのラインで、同じサイズの前記蓄電装置同士を組付けた電池モジュールを製造する際は、前記識別情報を参照する。
【0011】
これによれば、ケースに付与された識別情報の数に基づき、サイズの異なる蓄電装置の識別を簡単に行うことができる。
また、蓄電装置の製造方法について、前記付与工程は、前記ケースをクランプした状態で行われるとともに、前記付与工程は、識別情報付与装置が備えるマーキング部を前記クランプした前記ケースに向けて移動させて行われ、前記サイズ調節部材は、前記マーキング部による前記識別情報の付与動作の際に、前記識別情報が付与されるのを回避するために前記マーキング部を逃がす凹部を備えていてもよい。
【0012】
これによれば、サイズ調節部材の凹部により、サイズ調節部材に識別情報が付与されず、小型サイズのケースでは、サイズ調節部材が取り付けられていても、そのサイズ調節部材にも識別情報が付与されない。よって、サイズ調節部材によって、サイズ合わせされた状態であっても、識別情報の数が異なり、サイズの識別がより一層簡単になる。
【0013】
また、蓄電装置の製造方法について、前記ケース内に前記電解液を注入する注液工程を含み、前記注液工程では前記識別情報から前記電解液の注入量を判別してもよい。
これによれば、識別情報の数により、電解液の注入量の判別が簡単になる。
【0014】
また、蓄電装置の製造方法について、前記蓄電装置は二次電池である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、一つの製造ラインで仕様の異なる、特にサイズの異なる蓄電装置を製造する場合であってもサイズに関する識別情報付与を簡単に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、蓄電装置の製造方法を二次電池の製造方法に具体化した一実施形態を
図1〜
図9にしたがって説明する。
図1に示すように、蓄電装置としての二次電池10は、外観が角型をなす角型電池であり、リチウムイオン電池である。二次電池10は、ケース11内に収納された電極組立体12及び電解液を備える。ケース11は、有底筒状のケース本体13と、ケース本体13に電極組立体12を挿入する長方形状の開口部13aを閉塞する平板状の蓋体14とから構成されている。電極組立体12は、複数の正極の電極と、複数の負極の電極とが、両者の間に多孔質の樹脂製セパレータを介在し、絶縁した状態で交互に積層された積層タイプである。
【0018】
電極組立体12には、正極端子16及び負極端子17が電気的に接続される。蓋体14には、各端子16,17を蓋体14から絶縁するためのリング状の絶縁リング18がそれぞれ取り付けられている。また、各端子16,17は、蓋体14に形成された貫通孔を介してその一部がケース11外に露出している。また、蓋体14には、ケース11内に電解液を注入するための注液口19が存在し、注液口19は封止栓20によって封止されている。
【0019】
図2(a)及び
図2(b)に示すように、本実施形態の二次電池10には、サイズとしての高さが異なる2種類が存在する。
図2(a)に示す二次電池10の高さH1は、
図2(b)に示す二次電池10の高さH2より高い。本実施形態では、高さH1の二次電池10を特定サイズの二次電池10Aとし、高さH2の二次電池10を、特定サイズの二次電池10Aより小さい小型サイズの二次電池10Bとする。なお、特定サイズの二次電池10Aと、小型サイズの二次電池10Bは、横幅W及び厚みD(
図3参照)は同じである。
【0020】
図8又は
図9に示すように、電池モジュール21A,21Bは、複数の二次電池10同士を導通部材22で接続して構成されている。
図8に示す電池モジュール21Aは、特定サイズの二次電池10Aを複数組付けて構成され、
図9に示す電池モジュール21Bは、小型サイズの二次電池10Bを複数組付けて構成されている。
【0021】
次に、製造ラインの一部の工程において、共通の設備を用いて、特定サイズの二次電池10Aと、小型サイズの二次電池10Bに対して処理又は加工を行う方法、及び各サイズの電池モジュール21A,21Bの製造方法について説明する。
【0022】
各サイズの二次電池10の製造方法は同じである。
二次電池10の製造方法は、製造工程としてみると、大きくは、正極又は負極の電極を製造する電極製造工程と、製造された正極及び負極の電極を用いて各サイズの二次電池10A,10Bを組み立てる組立工程と、の2つに分けられる。電極製造工程は、従来の公知の方法と変わるところは無いため、その概略のみ説明する。電極製造工程は、集電体としての帯状金属箔に、順次、活物質合剤の塗布と乾燥を行い、活物質層を有する電極材料を形成する塗工工程、加圧による活物質層の密度を高めるプレス工程、低圧高温下で活物質層に僅かに残留する溶媒を除去する減圧乾燥工程、及び電極材料の切断により個片の電極を形成する切断工程よりなる。各サイズの電極は、同じ工程を経て製造されるが、各電極のサイズが異なるため、電極製造工程は、別個のライン・設備で製造される。
【0023】
二次電池10の組立工程は、電極製造工程により製造された電極を用いて電極組立体12とする積層工程又は捲回工程と、電極組立体12に対し、正極端子16、負極端子17及び絶縁リング18の一体化された蓋体14を接続し、電極組立体12をケース本体13に挿入する挿入工程を含む。さらに、二次電池10の組立工程は、蓋体14とケース本体13を接合する接合工程(封缶工程)を含む。
【0024】
さらに、二次電池10の組立工程は、注液口19からケース11内に電解液を注入する注液工程と、注液口19を仮封止する工程と、初期充放電工程及びエージング工程と、エージング工程で発生したガスをケース11外へ放出させる工程と、注液口19を本封止する工程と、を含む。
【0025】
また、二次電池10の製造方法は、前述の組立工程に、小型サイズの二次電池10Bのケース11Bにサイズ調節部材30を取り付ける工程と、ケース11にマークMを付与する付与工程を含む。
【0026】
前述の組立工程において、積層工程又は捲回工程から挿入工程までは、各サイズの二次電池10A,10Bについて別個の設備で行う。そして、小型サイズの二次電池10Bにサイズ調節部材30を取り付ける工程を行った後の接合工程以降は、両サイズのケース11A,11Bを同じライン(混流ライン)で搬送させ、共通の設備を用いて各工程の処理又は加工を行う。なお、上記積層工程又は捲回工程と、挿入工程は、公知の方法であるため、その詳細を省略し、サイズ調節部材30をケース11Bに取り付ける工程から説明する。なお、ケース11は、ケース本体13と蓋体14が接合されたものを指すが、以下の説明においては、ケース本体13内に電極組立体12が挿入され、蓋体14がケース本体13の上端面に支持された状態のものもケース11と記載する。
【0027】
さて、特定サイズのケース11Aと、小型サイズのケース11Bを同じラインで搬送し、共通の設備を用いて処理又は加工を行うにあたり、まず、小型サイズの二次電池10Bのケース11Bを、特定サイズの二次電池10Aのケース11Aに合わせるために、小型サイズのケース11Bにサイズ調節部材30を取り付ける工程を追加する。サイズ調節部材30は、例えば、合成樹脂製である。
【0028】
図4に示すように、サイズ調節部材30は、直方体状である。また、サイズ調節部材30は上部に嵌合凹部31を備え、嵌合凹部31は、ケース11Bの底側が嵌合可能である。嵌合凹部31は、サイズ調節部材30の上端面から凹む形状であり、サイズ調節部材30の長手方向全体に亘って一定の開口幅で存在する。嵌合凹部31の短手方向への開口幅は、ケース11Bの短手方向に沿う寸法(厚みD)と同じ又は若干長い。また、サイズ調節部材30の長手方向への寸法は、ケース11Bの長手方向への寸法(横幅W)と同じである。よって、嵌合凹部31にケース11Bの底側を嵌合させ、嵌合凹部31の内底面にケース11Bの外底面を当接させると、サイズ調節部材30がケース11Bに取り付けられ、サイズ調節部材30を小型サイズのケース11Bに取り付ける工程が完了する。この取付状態では、ケース11Bとサイズ調節部材30の長手方向の両端面が面一になる。また、サイズ調節部材30は、長手方向の両側に凹部32を備える。各凹部32は、サイズ調節部材30の長手方向両端面から凹む形状である。
【0029】
そして、
図3に示すように、同一平面上に特定サイズのケース11Aと、サイズ調節部材30の取り付けられた小型サイズのケース11Bとを載置すると、両サイズのケース11A,11Bの上端面(蓋体14の上面)が同一面上に位置する。よって、特定サイズのケース11Aと、小型サイズのケース11Bとがサイズ合わせされる。
【0030】
そして、両サイズのケース11A,11Bがサイズ合わせされた後に、両サイズのケース11A,11Bが同じラインで搬送され、次工程の接合工程に送られる。接合工程では、ライン上よりケース11をピックアップし、接合装置40上に配置して固定する移載工程と、移載時に、ケース11のサイズを識別するためのマークMをケース11に付与する付与工程と、蓋体14とケース本体13をレーザー溶接する溶接工程と、が行われる。
【0031】
図5(a)に示すように、特定サイズのケース11A又は小型サイズのケース11Bの接合工程を行う接合装置40は、ケース11が載置可能な大きさの載置台41を備える。載置台41は平坦面状の載置面41aを備える。接合装置40は、載置台41から突出した平板状の受け部42を備えるとともに、受け部42に対向した位置に、載置台41から突出した平板状の支持部44を備える。支持部44は、受け部42に対して接離可能に載置台41上に支持されている。載置台41上での受け部42と支持部44の対向面間距離が、ケース11の横幅Wより長くなるまで支持部44を受け部42から離間させると、受け部42と支持部44の間にケース11を配置可能となる。
【0032】
接合装置40は、ケース11を受け部42に向けて押圧する押圧部43を備え、押圧部43は支持部44に支持されている。押圧部43は、平板状の押圧部材43aと、押圧部材43aを受け部42に向かう方向へ付勢する付勢部材43bを備える。押圧部材43aは、ケース11の長手方向他端面に当接する。そして、支持部44を受け部42に近付け、付勢部材43bの付勢力によって押圧部材43aが受け部42に向けて付勢されることにより、ケース11が受け部42に向けて押圧され、受け部42と押圧部材43aの間にケース11がクランプされるとともに、ケース11が接合装置40上に固定される。
【0033】
識別情報付与装置としての接合装置40は、支持部44に支持された第1マーキング部45と第2マーキング部46を備える。各マーキング部45,46は、受け部42と押圧部材43aによってクランプされたケース11に識別情報としてのマークMを付与する。第1マーキング部45は、支持部44における第2マーキング部46より上側に配置されている。第1マーキング部は、第1マーカー45aと、この第1マーカー45aを支持部44に支持させる棒状の第1支持部材45cと、第1マーカー45aを受け部42に向かう方向へ付勢する第1付勢部材45bを備える。第1支持部材45cは、支持部44に対し移動可能に支持されている。
【0034】
また、第2マーキング部46は、第2マーカー46aと、この第2マーカー46aを支持部44に支持させる棒状の第2支持部材46cと、第2マーカー46aを受け部42に向かう方向へ付勢する第2付勢部材46bを備える。第2支持部材46cは、支持部44に対し移動可能に支持されている。
【0035】
接合装置40は、ケース本体13と蓋体14を溶接可能なレーザ照射装置47を備える。レーザ照射装置47は、ケース本体13の開口部に沿ってレーザLを照射し、ケース本体13と蓋体14を接合する。
【0036】
そして、接合工程では、例えば、同じラインで搬送される両サイズのケース11A,11Bのうち、特定サイズのケース11Aがピックアップされ、
図5(a)に示すように、接合装置40の載置台41上に配置される。そして、支持部44が受け部42に向けて移動すると、特定サイズのケース11Aは、押圧部43によって受け部42に向けて押圧され、受け部42と押圧部材43aの間にクランプされる。その結果、特定サイズのケース11Aが載置台41に固定され、移載工程が完了する。
【0037】
また、特定サイズのケース11Aのクランプと同時に(移載時に)、支持部44に支持された第1マーキング部45及び第2マーキング部46もケース11Aに向けて移動し、第1マーカー45aが第1付勢部材45bによって受け部42側に向けて付勢され、第2マーカー46aが第2付勢部材46bによって受け部42側に付勢される。すると、第1マーカー45a及び第2マーカー46aは、付与動作として、ケース11Aの長手方向他端に存在する短側壁に押し付けられ、
図6に示すように、その短側壁には二つのマークMが付与されるとともに、付与工程が行われる。その後、レーザ照射装置47から照射されたレーザLによって、ケース本体13と蓋体14が接合され、溶接工程が完了するとともに、接合工程が完了する。
【0038】
また、小型サイズのケース11Bの接合工程では、同じラインで搬送される両サイズのケース11A,11Bのうち、小型サイズのケース11Bがピックアップされ、
図5(b)に示すように、接合装置40の載置台41上に配置される場合もある。そして、支持部44が受け部42に向けて移動すると、小型サイズのケース11Bは、押圧部43によって受け部42に向けて押圧され、受け部42と押圧部材43aの間にクランプされる。その結果、小型サイズのケース11Bが載置台41に固定され、移載工程が完了する。また、サイズ調節部材30により、ケース本体13と蓋体14の溶接箇所の高さが嵩上げされ、特定サイズのケース11Aの溶接箇所と同じ高さに位置する。
【0039】
また、小型サイズのケース11Bのクランプと同時に(移載時に)、支持部44に支持された第1マーキング部45及び第2マーキング部46もケース11Bに向けて移動し、第1マーカー45aが第1付勢部材45bによって受け部42側に向けて付勢され、第2マーカー46aが第2付勢部材46bによって受け部42側に付勢される。すると、第1マーカー45aは、付与動作として、ケース11Bの長手方向他端に存在する短側壁に押し付けられ、その短側壁にマークMが付与されるとともに、付与工程が行われる。一方、第2マーカー46aは、付与動作として、ケース11Bに向けて移動するが、サイズ調節部材30の凹部32に逃げ込み、サイズ調節部材30への押し付けが回避される。このため、
図7に示すように、小型サイズのケース11Bには、マークMが一つだけ付与される。
【0040】
その後、レーザ照射装置47から照射されたレーザLによって、ケース本体13と蓋体14が接合され、溶接工程が完了するとともに、接合工程が完了する。この溶接工程時、サイズ調節部材30により、ケース本体13と蓋体14の溶接箇所が嵩上げされ、特定サイズのケース11Aの溶接箇所と同じ高さに位置する。よって、共通のレーザ照射装置47を用いてサイズの異なるケース11A,11Bに対する加工が行われる。
【0041】
接合工程の完了した両サイズのケース11A,11Bは、ラインに戻され、同じラインで搬送されて次工程の注液工程に送られる。
図6に示すように、特定サイズのケース11A及び小型サイズのケース11Bに対し注液工程を行う注液装置50は、複数のケース11が載置可能な大きさの載置台51を備える。載置台51は平坦面状の載置面51aを備える。注液装置50は、複数のケース11に電解液を同時に注入する注入部52を備える。注入部52は、複数本の注入ノズル53を一体に備え、各注入ノズル53からは同量の電解液が吐出可能である。
【0042】
そして、特定サイズのケース11Aへの注液工程では、同じラインで搬送される特定サイズのケース11Aが複数ピックアップされ、注液装置50の載置台51上に配置される。次いで、注入部52が下降し、各注入ノズル53が各ケース11Aの注液口19に挿入され、電解液がケース11A内に注入される。このとき、特定サイズのケース11Aに付与された二つのマークMに基づき、各注入ノズル53から注入される電解液の注入量が判別され、特定サイズの二次電池10A用に調節される。
【0043】
また、小型サイズのケース11Bへの注液工程では、同じラインで搬送される小型サイズのケース11Bが複数ピックアップされ、注液装置50の載置台51上に配置される。次いで、注入部52が下降し、各注入ノズル53が各ケース11Bの注液口19に挿入され、電解液がケース11B内に注入される。このとき、小型サイズのケース11Bに付与された一つのマークMに基づき、注入部52では、各注入ノズル53から注入される電解液の注入量が判別され、小型サイズの二次電池10B用に調節される。
【0044】
この注液工程時、サイズ調節部材30により、蓋体14の注液口19が嵩上げされ、特定サイズのケース11Aの注液口19と同じ高さに位置する。よって、共通の注液装置50を用いてサイズの異なるケース11A,11Bに対する処理が行われる。
【0045】
その後、各サイズのケース11A,11Bにおいて、注液口19が封止栓20によって仮封止され、注液口19を仮封止する工程が完了する。そして、仮封止状態で、二次電池10の初期充放電工程及びエージング工程が行われる。すると、電解液と、電極組立体12における各活物質との反応によりガスが発生する。このとき、注液口19は封止栓20によって封止されているため、ガスが注液口19からケース11外へ漏れることが防止される。
【0046】
封止栓20を注液口19から抜き取り、注液口19を開放する。すると、初期充放電工程及びエージング工程で発生したガスが、注液口19からケース11外へ放出される。ガスを放出させる工程の後、別の封止栓20によって注液口19を封止する。すると、注液口19を本封止する工程が完了し、二次電池10A,10Bが製造される。
【0047】
次に、電池モジュール21A,21Bの製造方法について作用とともに説明する。
小型サイズの二次電池10Bと特定サイズの二次電池10Aは同じラインで搬送される。このとき、
図7に示すように、小型サイズの二次電池10Bはサイズ調節部材30が取り外された状態で流れる。そして、
図8に示すように、特定サイズの二次電池10Aの電池モジュール21Aを製造する場合は、画像認識により、マークMの数が識別(参照)され、二つのマークMが付与された二次電池10Aがピックアップされる。そして、それら二次電池10Aと部品が組付けられて、特定サイズの電池モジュール21Aが製造される。また、別の場所では、一つのマークMが付与された二次電池10Bがピックアップされ、小型サイズの二次電池10Bと部品が組付けられて、小型サイズの電池モジュール21Bが製造される。
【0048】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)共通の接合装置40で両サイズのケース11A,11Bの接合工程を行えるように、小型サイズのケース11Bにサイズ調節部材30を取り付け、両サイズのケース11A,11Bのサイズ合わせをした。そして、各サイズのケース11A,11Bの接合を行うためにケース11A,11Bがクランプされた際、第1マーキング部45及び第2マーキング部46によるマークMの付与動作を行うようにし、小型サイズのケース11Bでは、第2マーキング部46によるマークMの付与動作をサイズ調節部材30に向けて行うようにした。このため、小型サイズのケース11Bでは、ケース11Bに一つだけマークMが付与され、特定サイズのケース11Aには、ケース11Aに二つのマークMが付与される。したがって、サイズの識別のためのマークMの付与を、二次電池10A,10Bの製造途中に簡単に行うことができる。
【0049】
(2)同じラインにて、特定サイズの二次電池10Aと、小型サイズの二次電池10Bが搬送されていても、電池モジュール21A,21Bを製造する場合は、マークMの数に基づき、画像認識でサイズの違いを簡単に識別することができる。
【0050】
(3)サイズ調節部材30は、凹部32を備える。このため、第1マーキング部45及び第2マーキング部46が小型サイズのケース11Bに向けて移動したとき、第2マーキング部46を凹部32に逃がし、サイズ調節部材30にマークMが付与されることを回避することができる。
【0051】
(4)マークMは、マーカーによって付される。このため、例えば、ICチップのような高価なマークでなく、しかも、ケース11A,11Bへの付与が簡単である。さらに、二次電池10A,10Bの製造工程には、エージング工程のように温度を高めて行う工程が含まれるが、マークMが温度によって損傷受けることはなく、マークMの信頼性が低下することもない。また、マークMの数を画像認識するだけでサイズを識別できるため、ICチップに書き込まれた情報を読み込んでサイズ識別する場合と比べると、識別に要する時間を短縮することができる。
【0052】
(5)ケース11A,11Bのサイズ識別のために、ケース11A,11Bに通し番号を付す方法が考えられるが、この場合は、番号が被らないように管理しなければならず、その管理が面倒である。これに対し、ケース11A,11BへのマークMの付与だけの簡単な方法でケース11A,11Bのサイズ識別が可能となる。
【0053】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 前述の実施形態では、注液工程において、特定サイズのケース11A、又は小型サイズのケース11Bのみをピックアップし、注液装置50の載置台51に載せたが、これに限定されるものではない。各注入ノズル53より注入される電解液の量を、注入ノズル53毎に変更できるようにし、載置台51に載せるケース11は特定せず、載置台51に載ったケースが混在した状態で、マークMに基づいて、各注入ノズル53より注入される電解液の量を切り替えてもよい。
【0054】
○ サイズ調節部材30に凹部32を設けたが、凹部32は無くてもよい。この場合、マークMはサイズ調節部材30に付与される。そして、二次電池10A,10Bのサイズの識別を行う場合は、ケース11A,11Bに付与されたマークMの数で識別する。
【0055】
○ 実施形態では、ケース本体13と蓋体14の接合工程の際に、ケース11A,11BへのマークMの付与工程を行ったが、これに限らない。
例えば、蓋体14をケース本体13に接合し、サイズ調節部材30を取り付けた後、同じラインで搬送されるケース11A,11Bに対し、
図10に示すように、搬送経路の途中に設けたマーキング部55で特定サイズのケース11AにマークMを付与してもよい。この場合、一つのマーキング部55は、ラインで搬送されるサイズ調節部材30の凹部32と同じ高さに配置されている。そして、特定サイズのケース11Aには、マーキング部55によってマークMが付与されるが、小型サイズのケース11Bでは、サイズ調節部材30の凹部32内をマーキング部55が通過するため、サイズ調節部材30にマークMが付与されない。
【0056】
よって、特定サイズの二次電池10Aのケース11AにはマークMが一つ付与され、小型サイズの二次電池10Bのケース11BにはマークMが付与されない。このケース11A,11BのマークMの有無でサイズの違いを識別してもよい。
【0057】
○ 実施形態では、ケース本体13と蓋体14の接合工程でケース11をクランプして固定した際にマークMの付与工程を行ったが、マークMの付与工程を行う時期は変更してもよい。例えば、ケース11内に電解液を注入する工程でケース11をクランプした際にマークMの付与工程を行ってもよい。この場合、注液工程までの各工程は、特定サイズの二次電池10Aと、小型サイズの二次電池10Bについて別個の設備で行われる。そして、注液工程以降は、二次電池10A,10Bは同じラインで搬送され、共通の設備を用いて処理・加工が行われる。
【0058】
○ 同じラインに、特定サイズの二次電池10Aと、2種類以上の小型サイズの二次電池10Bを流した場合、小型サイズの種類数に合わせてサイズ調節部材30の凹部32の数を適宜変更し、特定サイズの二次電池10AがマークMの数が最大となるようにし、サイズが小さくなるに連れて、マークMの数が一つずつ減るようにする。
【0059】
○ 実施形態では、サイズ調節部材30を、ケース本体13と蓋体14との接合工程の前にケース11に取り付けたが、サイズ調節部材30を取り付けるタイミングは変更してもよい。例えば、サイズ調節部材30は、ケース本体13に電極組立体12を挿入する挿入工程の際に取り付けてもよい。
【0060】
○ 実施形態では、二次電池10のサイズとして高さを異ならせたが、二次電池10の横幅を異ならせてもよい。
○ 第1マーキング部45によって付与されるマークMと、第2マーキング部46によって付与されるマークMは、同じ形状であっても、色を異ならせて識別可能としてもよいし、形を異ならせて識別可能としてもよい。
【0061】
○ 識別情報は、ケース11A,11Bのケース本体13を凹ませて付与してもよい。
○ 蓄電装置は、二次電池でなく、電気二重層キャパシタ等の他の蓄電装置に適用してもよい。
【0062】
○ 二次電池は、リチウムイオン電池であったが、これに限らず、他の二次電池であってもよい。