(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6578880
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】作物定量結束装置
(51)【国際特許分類】
B65B 27/00 20060101AFI20190912BHJP
【FI】
B65B27/00 A
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-208682(P2015-208682)
(22)【出願日】2015年10月23日
(65)【公開番号】特開2017-81570(P2017-81570A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2018年8月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078031
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 皓一
(74)【代理人】
【識別番号】100077779
【弁理士】
【氏名又は名称】牧 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100078260
【弁理士】
【氏名又は名称】牧 レイ子
(74)【代理人】
【識別番号】100200942
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 高史
(72)【発明者】
【氏名】村並 昌実
(72)【発明者】
【氏名】高木 真吾
(72)【発明者】
【氏名】黒瀬 英明
(72)【発明者】
【氏名】弓達 武志
(72)【発明者】
【氏名】松家 伸一
【審査官】
宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−000231(JP,A)
【文献】
実開昭53−073952(JP,U)
【文献】
特開平02−282021(JP,A)
【文献】
実開平03−040530(JP,U)
【文献】
特開平09−192612(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3016296(JP,U)
【文献】
韓国登録特許第10−1222844(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 13/00−13/34
B65B 27/00−27/12
G01G 13/00−13/34
A23N 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作物搬送機(2)より作物を重量測定器(3)に供給し、作物が所定重量に達したら、重量測定器(3)より作物を送出して結束機(4)で結束する作物定量結束装置において、
前記作物搬送機(2)を横送りの無端ベルト(2a)により構成し、前記無端ベルト(2a)の送出端を前記重量測定器(3)の上方に臨ませると共に、無端ベルト(2a)と平行に挟持ベルト(5)を併設し、両ベルトにより挟持搬送部を形成し、この挟持搬送部には、作物の根部切除用の切断部(6)と夾雑物排除用のエア吹出部(7)を作物搬送方向の上手と下手に並べて配備し、さらに、前記重量測定器(3)が所定重量を測定したら、前記作物搬送機(2)のほか前記切断部(6)およびエア吹出部(7)の作動を停止する制御部(C)を備えることを特徴とする作物定量結束装置。
【請求項2】
前記エア吹出部(7)を下向きのエア吹出し口を有する下向きエア送出管(7a)と上向きのエア吹出し口を有する上向きエア送出管(7b)とにより構成し、下向きエア送出管(7a)を挟持搬送部の上方に、上向きエア送出管(7b)を挟持搬送部の下方に、それぞれ設け、作物の上下両方からエアを噴き出すことを特徴とする請求項1記載の作物定量結束装置。
【請求項3】
前記無端ベルト(2a)がベルト表面にラグ(2b)を有することを特徴とする請求項1記載の作物定量結束装置。
【請求項4】
前記無端ベルト(2a)の送出端と前記重量測定器(3)との中間に連結シュータ(8)を設け、無端ベルト(2a)より送出した作物を連結シュータ経由で重量測定器(3)に供給することを特徴とする請求項1記載の作物定量結束装置。
【請求項5】
前記連結シュータを伸縮部材(8a)によって構成し、その両端を無端ベルト(2a)の送出端付近と重量測定器(3)の昇降式秤量台(3a)に連結すると共に、前記伸縮部材(8a)に接触アーム(8b)を介して前記無端ベルト(2a)の停止スイッチ(8c)を接続し、載せた作物により昇降式秤量台(3a)が下降することで前記伸縮部材(8a)が伸長すると、接触アーム(8b)を介して前記停止スイッチ(8c)を作動して無端ベルト(2a)を停止することを特徴とする請求項4記載の作物定量結束装置。
【請求項6】
前記連結シュータを前記無端ベルト(2a)の送出端に軸支した揺動受台(8d)によって構成し、前記無端ベルト(2a)から作物を受けると回動して重量測定器(3)に作物を排出することを特徴とする請求項4記載の作物定量結束装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネギ等の長尺の収穫野菜を所定量ずつ束ねる作物定量結束装置に関する。
【背景技術】
【0002】
先行特許文献1に示す野菜結束装置は、ねぎやニラ等の収穫作物を搬送しながら複数の重量測定装置で所定重量以上になると結束部に案内して結束し、出荷に適した状態にする計量結束装置が開示されている。
これにより、作業者が目測で適量の作物を分けて重量を測定し、重量の過不足に合わせて調整した後、結束する作業を自動化できるので、大幅な省力化や、作業能率の向上が図られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】許第3853147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数の重量測定装置があっても、設定重量は、ある程度の許容値を設ける必要があるため、設定重量を多少上回る重量の作物を検知したとき、予定よりも多い量の作物が結束される問題がある。
【0005】
また、先行特許文献1の計量結束装置には、根部や茎葉部等を除去する不要部除去装置や、付着した土や切屑等を除去する夾雑物除去装置といった調製作業装置が設けられておらず、収穫野菜を装置に積載する前に作業者が手作業で調製作業を行う必要があり、余分な時間と労力が必要になるとともに、作業能率が低い、という問題がある。
【0006】
本発明の目的は、一定の結束量を確保するとともに、調製作業精度の向上及び商品価値の向上を可能とする作物定量結束装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、作物搬送機(2)より作物を重量測定器(3)に供給し、作物が所定重量に達したら、重量測定器(3)より作物を送出して結束機(4)で結束する作物定量結束装置において、前記作物搬送機(2)を横送りの無端ベルト(2a)により構成し、前記無端ベルト(2a)の送出端を前記重量測定器(3)の上方に臨ませると共に、無端ベルト(2a)と平行に挟持ベルト(5)を併設し、両ベルトにより挟持搬送部を形成し、この挟持搬送部には、作物の根部切除用の切断部(6)と夾雑物排除用のエア吹出部(7)を作物搬送方向の上手と下手に並べて配備し、さらに、前記重量測定器(3)が所定重量を測定したら、前記作物搬送機(2)のほか前記切断部(6)およびエア吹出部(7)の作動を停止する制御部(C)を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記エア吹出部(7)を下向きのエア吹出し口を有する下向きエア送出管(7a)と上向きのエア吹出し口を有する上向きエア送出管(7b)とにより構成し、下向きエア送出管(7a)を挟持搬送部の上方に、上向きエア送出管(7b)を挟持搬送部の下方に、それぞれ設け、作物の上下両方からエアを噴き出すことを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記無端ベルト(2a)がベルト表面にラグ(2b)を有することを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1記載の発明において、前記無端ベルト(2a)の送出端と前記重量測定器(3)との中間に連結シュータ(8)を設け、無端ベルト(2a)より送出した作物を連結シュータ経由で重量測定器(3)に供給することを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項4記載の構成において、前記連結シュータを伸縮部材(8a)によって構成し、その両端を無端ベルト(2a)の送出端付近と重量測定器(3)の昇降式秤量台(3a)に連結すると共に、前記伸縮部材(8a)に接触アーム(8b)を介して前記無端ベルト(2a)の停止スイッチ(8c)を接続し、載せた作物により昇降式秤量台(3a)が下降することで前記伸縮部材(8a)が伸長すると、接触アーム(8b)を介して前記停止スイッチ(8c)を作動して無端ベルト(2a)を停止することを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項4記載の構成において、前記連結シュータを前記無端ベルト(2a)の送出端に軸支した揺動受台(8d)によって構成し、前記無端ベルト(2a)から作物を受けると回動して重量測定器(3)に作物を排出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明により、作物搬送機(2)が自動停止するので、重量測定器(3)への作物の過剰投下がない。
作物を結束機(4)に送っている最中は、切断部(6)およびエア吹出部(7)が作動停止状態となるので、電力等の無駄がない。
切断部(6)の下手にエア吹出部(7)を設けるので、作物の切断に伴うごみも、他の夾雑物とともに吹き払い、清潔な状態で作物を結束できる。
切断部(6)およびエア吹出部(7)を挟持搬送部に配備して作物が不意に動かないようにするので、作物を確実に切断でき、また、作物に付着したごみなども確実にエアで吹き飛ばすことができる。
【0014】
請求項2に係る発明により、請求項1記載の効果に加え、作物の上下からエアを当てるので、確実にごみを取り除ける。
下向きエア送出管(7a)と上向きエア送出管(7b)を交互に作動させれば、いっそう確実にごみを取り除ける。
【0015】
請求項3に係る発明により、請求項1記載の効果に加え、作物を無端ベルト(2a)に平均に載せやすい。
【0016】
請求項4に係る発明により、請求項1記載の効果に加え、作物が連結シュータ(8)に案内されるため重量測定器(3)に正しく供給できるので、重量測定器(3)に載らなかった作物を作業者が拾い集める作業が減り、作業者の労力の軽減や作業能率が向上する。
【0017】
請求項5に係る発明により、請求項4記載の効果に加え、重量測定器(3)が機械式(重量検知信号を出力しない構造)でも、伸縮部材(8a)の伸長により無端ベルト(2a)を高精度で停止できるので、余分な作物が重量測定器(3)に入り込むことが防止され、結束される作物の重量の均質化が図られる。
【0018】
請求項6に係る発明により、請求項4記載の効果に加え、無端ベルト(2a)から受けた作物を揺動受台(8d)で受け止めてから重量測定器(3)に移動させることにより、作物の落下距離を短くすることができるので、作物の一部が重量測定器(3)に入らず落下することが防止される。
これにより、作業者が作物を拾い集める必要が無く、作業者の労力が軽減されると共に、作業能率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図3】連結シュータ周りの構成例2の作動前(a)と作動後(b)の側面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
上記技術思想に基づいて具体的に構成した発明の実施形態について、以下に図面に沿って詳細に説明する。
【0021】
作物定量結束装置1は、その全体構成図を
図1に示すように、にら、ねぎ等の長細い作物を左右に向けた姿勢で搬送する作物搬送機2と、その送出端で作物を受ける重量測定器3と、作物を結束する結束機4とによって構成される。
【0022】
作物搬送機2は、横送りの無端ベルト2aにより構成し、この無端ベルト2aの送出端を重量測定器3の上方に臨ませ、また、無端ベルト2a上の搬送作物を上からスポンジで押さえるようにした挟持ベルト5を設けて両ベルトにより挟持搬送部を形成する。
【0023】
この挟持搬送部2a,5には、作物の根部切除用の切断部6と夾雑物排除用のエア吹出部7を作物搬送方向に沿って順に配置し、重量測定器3が累積式に調量し、所定重量を測定したら結束機4に排出するとともに、作物搬送機2のほか切断部6およびエア吹出部7の作動を停止する制御部Cを設ける。また、制御部Cは、重量測定器3が所定の累積重量に近づくと作物搬送機2の搬送速度を遅くする。
【0024】
上記構成の作物定量結束装置1は、作物搬送機2が自動停止するので、重量測定器3への作物の過剰投下がない。作物を結束機4に送っている最中は、切断部6およびエア吹出部7が作動停止状態となるので、電力等の無駄がない。
【0025】
切断部6は、上下挟み込み式の円盤カッタによって構成し、ガード部材を設ける。カッター軸は、挟持ベルト5のプーリー軸5aと一体で、無端ベルト2aの軸間距離を調節可能に構成する。
【0026】
エア吹出部7は、切断部6の下手に配置することにより、作物の切断に伴うごみも、他の夾雑物とともに吹き払い、清潔な状態で作物を結束できる。また、切断部6およびエア吹出部7を挟持搬送部に配置して作物が不意に動かないようにするので、作物を確実に切断でき、また、作物に付着したごみやハカマ(下葉)なども確実にエアで吹き飛ばすことができる。
【0027】
エア吹出部7は、下向きのエア吹出し口を有する下向きエア送出管7aと上向きのエア吹出し口を有する上向きエア送出管7bとにより構成し、下向きエア送出管7aを挟持搬送部の上方に、上向きエア送出管7bを挟持搬送部の下方に、それぞれ設け、作物の上下両方からエアを噴き出すことで、作物の上下からエアを当てるので、確実にごみを取り除ける。また、搬送スピードとエアのタイミングを合わせ、下向きエアを最後に当て、搬送高さ位置に対してエア吹出し口位置を変更可能とし、下向きエア送出管7aと上向きエア送出管7bを交互に作動させれば、いっそう確実にごみを取り除ける。エア吹出し口の先には、ネット状でエアが抜けやすい集塵袋を設ける。
【0028】
無端ベルト2aには、細かいピッチで少量ずつ並べるために、ベルト表面にラグ2bを等間隔に設けて滑り止めとし、作物を無端ベルト2aに平均に載せやすくする。また、作物搬送機2の途中で調整できるように調整区間を設ける。
【0029】
無端ベルト2aの終端には、引き離しスクレーパを設け、送出端と重量測定器3との中間には揺動受台等による連結シュータ8を設け、無端ベルト2aより送出した作物を連結シュータ8経由で重量測定器3に供給することで、作物が連結シュータ8によって案内されるため重量測定器3に正しく供給できるので、重量測定器3に載らなかった作物を作業者が拾い集める作業が減り、作業者の労力の軽減や作業能率が向上する。
【0030】
(構成例1)
連結シュータ周りは、その構成例1の側面図を
図2に示すように、連結シュータを無端ベルト2aの送出端に軸支した略L字状の揺動受台8dによって構成し、無端ベルト2aから作物を受けるとその重量で回動して重量測定器3に作物を排出するように構成する。
【0031】
このように、揺動受台8dによって連結シュータを構成することにより、無端ベルト2aから受けた作物を揺動受台8dで受け止めてから重量測定器3に移動させることにより、作物の落下距離を短くすることができる。
【0032】
したがって、重量測定器3の積載高さ位置の変動が大きい場合であっても、作物の一部が重量測定器3に入らず落下することが防止されることから、作業者が作物を拾い集める必要が無く、作業者の労力が軽減されると共に、作業能率が向上する。
【0033】
このように、上記構成の作物定量結束装置1は、作物搬送機2の始端部のラグ2b間に作物を均すように載置することにより、作物の一端部を切断し、続いてエアで異物を集塵袋に分離し、搬送終端部で連結シュータを介して重量測定器3に積載され、所定重量の積載によって作物搬送機2側が停止されることから、結束機4により所定量の作物を結束することができる。
【0034】
(構成例2)
また、連結シュータ周りの構成例2の作動前の側面図を
図3(a)に示すように、連結シュータを伸縮部材8aによって構成し、その上下端を無端ベルト2aの送出端付近と重量測定器3の昇降式秤量台3aに連結すると共に、伸縮部材8aに接触アーム8bを介して無端ベルト2aの停止スイッチ8cを接続する。
【0035】
昇降式秤量台3aは、作物の積載によって下降すると、構成例2の作動後の側面図を
図3(b)に示すように、伸縮部材8aが伸長することにより、接触アーム8bを介して停止スイッチ8cを作動し、無端ベルト2a等を停止することができ、続いて、作物が取除かれて昇降式秤量台3aが上昇すると、伸縮部材8aが弛んで接触アーム8bが戻り、停止スイッチ8cが復帰して無端ベルト2a等の作動が再開される。
【0036】
したがって、重量測定器3が重量検知信号を出力しない機械式構造でも、伸縮部材8aの伸長により無端ベルト2aを高精度で停止できるので、余分な作物が重量測定器3に入り込むことが防止され、結束される作物の重量の均質化が図られる。
【0037】
また、上記構成において、結束機4は、重量測定器3からラグ付きの結束搬送機で連結して結束部を構成し、結束搬送機作物が逃げないように、ラグの位置に応じて停止位置を決める。
【0038】
結束搬送機のラグピッチは長短の繰返しによる不等ピッチとして短ピッチの側に限って作物を入れ、作物をまとめやすくするために、ラグの短ピッチの側をテーパ状に形成する。
【0039】
このようにして結束搬送機と自動結束機を連動して結束部を構成することにより、所定量の作物の自動結束が可能となる。
【符号の説明】
【0040】
1 作物定量結束装置
2 作物搬送機
2a 無端ベルト
2b ラグ
3 重量測定器
3a 昇降式秤量台
4 結束機
5 挟持ベルト
6 切断部
7 エア吹出部
7a 下向きエア送出管
7b 上向きエア送出管
8 連結シュータ
8a 伸縮部材(連結シュータ)
8b 接触アーム
8c 停止スイッチ
8d 揺動受台(連結シュータ)
C 制御部