特許第6578881号(P6578881)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6578881
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】配線モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/20 20060101AFI20190912BHJP
   H01M 2/34 20060101ALI20190912BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20190912BHJP
   H01G 11/10 20130101ALI20190912BHJP
   H01G 11/16 20130101ALI20190912BHJP
【FI】
   H01M2/20 A
   H01M2/20 Z
   H01M2/34 A
   H01M2/10 M
   H01G11/10
   H01G11/16
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-208970(P2015-208970)
(22)【出願日】2015年10月23日
(65)【公開番号】特開2017-84489(P2017-84489A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2018年1月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平野 優子
【審査官】 松村 駿一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−114956(JP,A)
【文献】 特開2000−123802(JP,A)
【文献】 特表2015−507819(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/20
H01M 2/10
H01M 2/34
H01G 11/10
H01G 11/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極及び負極の電極端子を有する蓄電素子が複数配列されてなる蓄電素子群に組み付けられる配線モジュールであって、
前記蓄電素子の配列方向に沿って複数配列される単位ユニットを備え、
前記単位ユニットは、
隣り合う2つの前記蓄電素子の前記電極端子同士を電気的に接続するバスバーと、
前記蓄電素子群の状態を検出するために前記蓄電素子に電気的に接続される電線と、
前記バスバーと前記電線とを電気的に接続すると共に、前記電線に過電流が流れることを抑制する過電流保護素子と、
前記過電流保護素子が挿入される保護素子用開口部と、前記バスバーが挿入されるバスバー用開口部と、を有するハウジングと、を備え、
前記保護素子用開口部の開口方向が前記バスバーのうち前記電極端子と接続される部分の延設方向に沿う方向である配線モジュール。
【請求項2】
前記電線は、前記ハウジングにおける一端部から引き出されており、
前記ハウジングにおける前記電線が引き出された前記一端部と反対側の他端部には、電線保持片が設けられ、
複数の前記単位ユニットは、隣り合う2つの前記単位ユニットのうち、一方の前記単位ユニットにおける前記ハウジングの前記一端部と、他方の前記単位ユニットにおける前記ハウジングの前記他端部が隣接する形で配列されており、
前記一方の前記単位ユニットにおける前記一端部から引き出された前記電線が、前記他方の前記単位ユニットにおける前記電線保持片に保持されている請求項1に記載の配線モジュール。
【請求項3】
前記一方の前記単位ユニットにおける前記ハウジングの前記一端部に対して、前記他方の前記単位ユニットにおける前記ハウジングの前記他端部が、前記一端部から引き出された前記電線の引き出し側にオフセットした位置に配されている請求項2に記載の配線モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車やハイブリッド車用の電池モジュールとして、正極および負極の電極端子を有する複数の蓄電素子が並んで配置されたものが用いられている。このような電池モジュールとしては、正極の電極端子及び負極の電極端子が、バスバーによって接続されることにより、複数の蓄電素子が電気的に接続されるものが知られている。複数の蓄電素子を電気的に接続するために、例えば特許文献1に記載されているような配線モジュールが用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−97962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記配線モジュールとしては、ECU等に接続されることで、蓄電素子の状態を検出するための電線や、この電線に過電流が流れることを抑制する過電流保護素子を備える構成が知られている。このような構成では、過電流保護素子を配置するためのスペースを確保する必要があり、配線モジュールを薄型化することが困難となる。
【0005】
本明細書に開示された技術は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、過電流保護素子を備える配線モジュールの薄型化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示された技術は、正極及び負極の電極端子を有する蓄電素子が複数配列されてなる蓄電素子群に組み付けられる配線モジュールであって、前記蓄電素子の配列方向に沿って複数配列される単位ユニットを備え、前記単位ユニットは、隣り合う2つの前記蓄電素子の前記電極端子同士を電気的に接続するバスバーと、前記蓄電素子群の状態を検出するために前記蓄電素子に電気的に接続される電線と、前記バスバーと前記電線とを電気的に接続すると共に、前記電線に過電流が流れることを抑制する過電流保護素子と、前記過電流保護素子が挿入される保護素子用開口部と、前記バスバーが挿入されるバスバー用開口部と、を有するハウジングと、を備え、前記保護素子用開口部の開口方向が前記バスバーのうち前記電極端子と接続される部分の延設方向に沿う方向であることに特徴を有する。
【0007】
本明細書に開示された技術によれば、保護素子用開口部の開口方向がバスバーのうち前記電極端子と接続される部分の延設方向に沿う方向となっている。これにより、過電流保護素子をバスバーのうち前記電極端子と接続される部分の延設方向に沿う形で配置することができ、この延設方向と直交する方向の寸法をより小さくすることができる。この結果、配線モジュールの薄型化を図ることができる。
【0008】
本発明の実施態様としては以下の態様が好ましい。前記電線は、前記ハウジングにおける一端部から引き出されており、前記ハウジングにおける前記電線が引き出された前記一端部と反対側の他端部には、電線保持片が設けられ、複数の前記単位ユニットは、隣り合う2つの前記単位ユニットのうち、一方の前記単位ユニットにおける前記ハウジングの前記一端部と、他方の前記単位ユニットにおける前記ハウジングの前記他端部が隣接する形で配列されており、前記一方の前記単位ユニットにおける前記一端部から引き出された前記電線が、前記他方の前記単位ユニットにおける前記電線保持片に保持されていることが好ましい。
【0009】
このような構成とすれば、電線を電線保持片に保持させることで、電線の取り回しを容易に行うことができる。また、上記構成によれば、電線保持片を複数の単位ユニットの配列方向に沿って配列することができ、複数の電線保持片に沿って電線を配策することができる。
【0010】
また、前記一方の前記単位ユニットにおける前記ハウジングの前記一端部に対して、前記他方の前記単位ユニットにおける前記ハウジングの前記他端部が、前記一端部から引き出された前記電線の引き出し側にオフセットした位置に配されている構成としてもよい。
【0011】
上記構成によれば、一方の単位ユニットにおける電線の基端部と、他方の単位ユニットにおける電線保持片をより近づけることができ、当該電線の曲率をより小さくしつつ、電線保持片に保持させることができる。この結果、電線の配策作業を容易に行うことができると共に、電線に作用する曲げ応力を小さくすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本明細書に開示された技術によれば、配線モジュールの薄型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態に係る電池モジュールを示す斜視図
図2図1の配線モジュールを示す斜視図
図3】電池モジュールを示す平面図
図4】カバーを取り外した状態の電池モジュールを示す平面図
図5】電線の配策構造を示す平面図
図6】単位ユニットを示す断面図(図4のVI−VI線で切断した図に対応)
図7】単位ユニットを示す断面図(図4のVII−VII線で切断した図に対応)
図8】単位ユニットを示す平面図
図9】単位ユニットを示す分解斜視図
図10】単位ユニットを示す分解断面図
図11】単位ユニットを示す断面図(図8のXI−XI線で切断した図に対応)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態を図1ないし図11によって説明する。本実施形態に係る配線モジュール20は、図1に示すように、電池モジュール10の一部を構成するものとされる。電池モジュール10は、電気自動車又はハイブリッド自動車等の車両に搭載されて、車両を駆動するための電源として使用されるものである。電池モジュール10は、単電池11が複数個配列されてなる単電池群12(蓄電素子群の一例)を備えている。配線モジュール20は、単電池群12に対して組み付けられ、隣り合う単電池11同士を電気的に接続するものである。
【0015】
(単電池11)
単電池11(蓄電素子)は、扁平な略直方体形状をなしている。単電池11の上面において、前後方向(図のY軸方向)の両端部には、電極端子13(図7参照)がそれぞれ形成されている。一対の電極端子13のうち、一方は正極端子であり、他方は負極端子である。単電池群12においては、隣り合う電極端子13が異なる極性となるように単電池11が配列されている。
【0016】
(配線モジュール20)
配線モジュール20は、図2に示すように、樹脂プロテクタ21と、樹脂プロテクタ21上に載置される複数の単位ユニット30と、複数の単位ユニット30のハウジング31(後述)を一括して覆うカバー23と、を備える。
【0017】
(樹脂プロテクタ21)
樹脂プロテクタ21は、図2に示すように、上下方向(図のZ軸方向)について薄い直方体状をなしており、単電池群12を上方から覆う形で配されている。樹脂プロテクタ21は、単位ユニット30が備えるバスバー33が収容されるバスバー収容部22を有している。
【0018】
本実施形態では、単電池11の配列方向に沿って並ぶ複数のハウジング31を基準として、単電池11の前後方向(Y軸方向)の両側にそれぞれ複数のバスバー33が配列されている(詳しくは後述)。バスバー収容部22は、図3に示すように、複数のバスバー33に対応して複数設けられている。バスバー収容部22は、上方に開口された略箱状をなしている。図7に示すように、バスバー33は、バスバー収容部22の底壁22Aに載置されている。バスバー収容部22を構成する側壁部22Bと底壁22Aとの間には、上下方向に貫通された長方形状の貫通孔24Aが形成されており、貫通孔24Aには、電極端子13が下方から挿通されている。
【0019】
具体的には、単電池11の電極端子13は、バスバー33の延設方向に沿って延びると共に断面視L字状をなしている。電極端子13の基端部は上下方向に沿って延びており、貫通孔24Aに挿通されている。一方、電極端子13の先端部は、バスバー33の上面を覆う形で電極端子13の基端部に対して屈曲されており、バスバー33に対して電気的に接続されている。本実施形態では、一つのバスバー33に対して、隣り合う2つの単電池11,11の電極端子13,13が積層されている。これにより、バスバー33を介して、隣り合う2つの単電池11の電極端子13,13(正極端子及び負極端子)同士が電気的に接続されている。
【0020】
(単位ユニット30)
単位ユニット30は、図8及び図9に示すように、ハウジング31と、バスバー33と、中継端子35と、ヒューズ37(過電流保護素子)と、電線端子39と、電線40(図10参照)と、を備えている。ハウジング31は、Y軸方向に沿って長い長手状をなしている。ハウジング31は、図10に示すように、バスバー33の一端部が収容されるバスバー収容部41Aと、中継端子35が収容される中継端子収容空間46を有する中継端子収容部46Aと、ヒューズ37が収容されるヒューズ収容部42Aと、電線端子39が収容される電線端子収容部43Aと、を備えている。
【0021】
バスバー収容部41Aは、バスバー33が挿入されるバスバー用開口部41を有しており、ヒューズ収容部42Aは、ヒューズ37が挿入されるヒューズ用開口部42(保護素子用開口部)を有している。また、電線端子収容部43Aは、電線端子39が挿入される電線端子用開口部43を有している。電線端子収容部43Aは、バスバー収容部41Aの上方に配されており、電線端子用開口部43及びバスバー用開口部41は、ハウジング31の長手方向における一端側(図10では右側)に開口されている。また、ヒューズ用開口部42は、ハウジング31の長手方向における他端側(図10では左側)に開口されている。つまり、ヒューズ用開口部42の開口方向と、バスバー用開口部41の開口方向とは逆方向となっている。
【0022】
ヒューズ収容部42Aの内部空間は、その下部において中継端子収容空間46と連通され、その上部において電線端子収容部43Aの内部空間と連通されている。また、ハウジング31の上面における電線端子用開口部43と反対側の端部には、L字状をなす片持ち状の電線保持片45(後述)がハウジング31と一体的に設けられている。図6に示すように、ハウジング31の下部には、樹脂プロテクタ21に設けられた一対の係止突起25,25がそれぞれ係止される一対の被係止部32,32が設けられている。これにより、ハウジング31が樹脂プロテクタ21に対して固定される構成となっている。
【0023】
バスバー33は、例えば銅又は銅合金、もしくはアルミニウム製又はアルミニウム合金製の板材を所定の形状に打ち抜き加工することにより形成されている。また、バスバー33の表面には、スズ、ニッケル等の金属がメッキされていてもよい。
【0024】
中継端子35は、図10に示すように、Y軸方向に長い長手状をなしており、筒状をなす一端部35A及び他端部35Bを備えている。バスバー33とヒューズ37とは、中継端子35を介して、電気的に接続される構成となっている。バスバー33の長手方向における一端部33Aは、図11に示すように、中継端子35の一端部35Aに対して挿入されている。一端部35A内には、弾性接触片35D(図6参照)が設けられ、挿入されたバスバー33に対して弾性接触片35Dが弾性的に接触することで、バスバー33が保持されている。また、バスバー33の上面には、位置決め用の突部33Bが形成されている。図11に示すように、突部33Bが一端部35Aに対して当接することで、それ以上のバスバー33の挿入が規制される。
【0025】
ヒューズ37は、図9に示すように、樹脂ホルダ37Aと、一対のヒューズ側端子37B,37Cと、を備えている。一対のヒューズ側端子37B,37Cのうち、一方のヒューズ側端子37Bは、図11に示すように、中継端子35の他端部35Bに対して挿入されている。他端部35B内には、図示しない弾性接触片が設けられ、挿入されたヒューズ側端子37Bに対して弾性接触片が弾性的に接触することで、ヒューズ側端子37Bが保持されている。
【0026】
電線40は、複数の金属細線を撚り合わせてなる芯線40Aと、芯線の外周を被覆する合成樹脂製の絶縁被覆40Bと、を備える。芯線40Aは、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等、必要に応じて任意の金属から構成される。電線40の端末においては、絶縁被覆40Bが剥離されることにより、芯線40Aが露出している。なお、芯線40Aは単芯線であってもよい。
【0027】
電線端子39は、電線40の一端部に接続されている。電線端子39における電線40と反対側の端部は、筒状の接続部39Aとされる。一対のヒューズ側端子37B,37Cのうち、他方のヒューズ側端子37Cは、接続部39A内に挿入され、電線端子39と接続されている。なお、接続部39A内には、図示しない弾性接触片が設けられ、挿入されたヒューズ側端子37Cに対して弾性接触片が弾性的に接触することで、ヒューズ側端子37Cが保持されている。
【0028】
図11に示すように、電線40はハウジング31における長手方向の一端部から引き出される。電線40の他端側は、図示しないECU等に接続される。このECU等により、単電池11の電極電圧(単電池群の状態)が検出される構成となっている。本実施形態では、ハウジング31内において、バスバー33、中継端子35、ヒューズ37、電線端子39、電線40の順番で接続される構成となっている。これにより、バスバー33と電線40とがヒューズ37を介して電気的に接続され、単電池11から電線40に過電流が流れる事態を抑制することが可能となっている。
【0029】
本実施形態の単位ユニット30では、ヒューズ用開口部42の開口方向(本実施形態では、Y軸方向の一方又は他方)が、バスバー33の延設方向(本実施形態では、Y軸方向)に沿う方向となっている。また、本実施形態では、図1に示すように、複数の単位ユニット30が単電池11の配列方向(X軸方向)に沿って配列されている。単電池11の配列方向における両端に配される単位ユニット30は、バスバー33の代わりとして、バスバー33よりも面積の大きいバスバー34(図3参照)を備えている。このバスバー34には、単電池11の電極端子13が1つだけ接続される構成となっている。また、バスバー34には外部機器に対して電気的に接続するための電極端子15が配置されている。
【0030】
また、本実施形態では、図4に示すように、隣り合う2つの単位ユニット30のうち、一方の単位ユニット30におけるハウジング31の一端部と、他方の単位ユニット30におけるハウジング31の他端部が隣接する形で配されている。一つの単位ユニット30においては、上述したように、電線40がハウジング31における長手方向の一端部から引き出されており、電線保持片45がハウジング31における長手方向の他端部(一端部と反対側の他端部)に設けられている。
【0031】
このため、図5に示すように、一方の単位ユニット30におけるハウジング31から引き出された電線40の基端部は、他方の単位ユニット30の電線保持片45と隣接する形で配される。また、図2に示すように、X軸方向においては、隣り合う2つのバスバー収容部22の間に、ヒューズ用開口部42が配される構成となっている。
【0032】
電線40は、ハウジング31から電線端子用開口部43の開口方向(Y軸方向のいずれか一方)に引き出された後、反対側に屈曲され、隣接する単位ユニット30における電線保持片45によって保持される。具体的には、図11に示すように電線40(図11の2点鎖線)は、電線保持片45とハウジング31の上面との間に配される構成となっている。この電線保持片45は、X軸方向に沿って複数配列され、電線40は、複数の電線保持片45によって保持されることで、X軸方向に沿って配策されている。複数のハウジング31から引き出された各電線40は、X軸方向における一方(図5では右側)に延びており、図示しないコネクタなどに接続される。なお、図5では、複数の電線40のうち、一部の電線40のみを図示している。
【0033】
また、図5に示すように、一方の単位ユニット30におけるハウジング31の一端部31A(電線40が引き出される一端部)に対して、これと隣接する他方の単位ユニット30におけるハウジング31の他端部31B(電線保持片45が設けられる端部)は、一端部31Aから引き出された電線40の引き出し側にオフセットした位置に配されている。これにより、オフセットされていない構成と比べて、ハウジング31から引き出された電線40の基端部40Dが、隣接する電線保持片45に対してより接近して配される。なお、ここで言う電線40の引き出し側とは、電線端子用開口部43の開口側と同じ方向のことである。
【0034】
また、本実施形態では、X軸方向に沿って配列された複数の電線保持片45の列がハウジング31群の一端部と他端部にそれぞれ設けられ、各単位ユニット30の各電線40は、2列の電線保持片45の間に配される。このため、X軸方向に延びる電線40をハウジング31の上面に確実に配置することができる。
【0035】
(配線モジュール20及び電池モジュール10の組立方法)
次に、配線モジュール20及び電池モジュール10の組立方法の一例について説明する。なお、配線モジュール20及び電池モジュール10の組立方法は、以下の記載に限定されない。まず、ハウジング31のバスバー用開口部41を通じて中継端子収容空間46に中継端子35を収容し、その後、バスバー33の屈曲部33Aをバスバー用開口部41に挿入し、中継端子35の一端部35Aに接続する。次に、各ハウジング31の電線端子収容部43Aに電線端子39をそれぞれ収容する。
【0036】
そして、ヒューズ用開口部42を通じてヒューズ収容部42A内にヒューズ37を収容する。続いて、各ハウジング31を樹脂プロテクタ21に取り付けると共に、樹脂プロテクタ21のバスバー収容部22にバスバー33を収容する。最後に、各ハウジング31から引き出された各電線40を複数の電線保持片45に引っ掛ける。これにより、配線モジュール20が完成する。
【0037】
続いて、配線モジュール20を単電池群12に対して上方から取り付ける。この時、単電池11の電極端子13をバスバー収容部22の貫通孔24Aに対して下方から挿通させる。その後、電極端子13の上部をバスバー33側に折り曲げた後、レーザー溶接などによってバスバー33に対して接続する。これにより、電池モジュール10が完成する。なお、バスバー33に対する電極端子13の接続は、レーザー溶接の他、例えばアーク溶接、抵抗溶接、超音波溶接などによって行うことができる。
【0038】
(実施形態の効果)
次に、本実施形態の効果について説明する。本実施形態によれば、ヒューズ用開口部42の開口方向がバスバー33のうち電極端子13と接続される部分の延設方向に沿う方向となっている。これにより、ヒューズ37をバスバー33のうち電極端子13と接続される部分の延設方向(Y軸方向)に沿う形(言い換えると、ヒューズ37の長手方向をY軸方向と一致させる形)で配置することができ、この延設方向と直交する方向(Z軸方向)の寸法をより小さくすることができる。この結果、配線モジュール20の薄型化を図ることができる。
【0039】
仮に、ヒューズをハウジングに対して下方から取り付ける構成とした場合、ヒューズが樹脂プロテクタに対して縦置きされることとなり、配線モジュール20の厚さが増えてしまう。また、ヒューズをハウジングに対して下方から取り付ける構成とした場合、配線モジュールを単電池群に組み付けた状態では、ヒューズ用開口部が単電池群によって塞がれてしまいヒューズの脱着ができない。本実施形態では、ヒューズ用開口部42が単電池群12に塞がれることがないので、配線モジュール20を単電池群12に組み付けた状態であっても、ハウジング31に対してヒューズ37を脱着することができる。
【0040】
また、本実施形態によれば、電線40は、ハウジング31における一端部から引き出されており、ハウジング31における電線が引き出された一端部と反対側の他端部には、電線保持片45が設けられ、複数の単位ユニット30は、隣り合う2つの単位ユニット30のうち、一方の単位ユニット30におけるハウジング31の一端部と、他方の単位ユニット30におけるハウジング31の他端部が隣接する形で配列されており、一方の単位ユニット30における一端部から引き出された電線40が、他方の単位ユニット30における電線保持片45に保持されている。
【0041】
このような構成とすれば、電線40を電線保持片45に保持させることで、電線40の取り回しを容易に行うことができる。また、上記構成によれば、電線保持片45を複数の単位ユニット30の配列方向に沿って配列することができ、複数の電線保持片45に沿って電線を配策することができる。
【0042】
一方の単位ユニット30におけるハウジング31の一端部に対して、他方の単位ユニット30におけるハウジング31の他端部が、一端部から引き出された電線40の引き出し側にオフセットした位置に配されている。上記構成によれば、一方の単位ユニット30における電線40の基端部40Dと、他方の単位ユニット30における電線保持片45をより近づけることができ、当該電線40の曲率をより小さくしつつ、電線保持片45に保持させることができる。この結果、電線40の配策作業を容易に行うことができると共に、電線40に作用する曲げ応力を小さくすることができる。
【0043】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、蓄電素子として単電池を例示したが、これに限定されない。蓄電素子として、キャパシタなどを例示することができる。
(2)上記実施形態では、過電流保護素子としてヒューズを例示したが、これに限定されない。過電流保護素子として、PTCサーミスタなどを例示することができる。
(3)上記実施形態では、中継端子35を介してヒューズ37とバスバー33が電気的に接続されるものを例示したが、これに限定されない。ヒューズ37とバスバー33とが直接的に接続されていてもよい。
【符号の説明】
【0044】
11:単電池(蓄電素子)
12:単電池群(蓄電素子群)
13:電極端子
20:配線モジュール
30:単位ユニット
31:ハウジング
33:バスバー
37:ヒューズ(過電流保護素子)
40:電線
41:バスバー用開口部
42:ヒューズ用開口部(保護素子用開口部)
45:電線保持片
図1
図2
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図9
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図11