(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1の化学蓄熱反応器では、熱交換部と拘束枠とは単に重なっているだけなので、熱交換部と蓄熱材との積層方向に直交する直交方向へ熱交換部が拘束枠に対してずれやすい。このため、積層体を形成する際に、当該ずれを考慮して、積層体を形成する作業を行う必要があり、当該作業の作業性が悪い。また、特許文献1の化学蓄熱反応器において、化学蓄熱反応器を稼働した際に、前記直交方向へ熱交換部が拘束枠に対してずれてしまうと、蓄熱材が拘束枠から漏れる場合が考えられる。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、熱交換部が拘束枠に対して積層方向と直交する方向にずれるのを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、反応媒体と結合して発熱する、又は反応媒体が脱離して蓄熱する蓄熱材と、前記蓄熱材の片側に積層され、前記蓄熱材との間で熱交換する熱交換部と、前記熱交換部と前記蓄熱材との積層方向に見て前記蓄熱材を囲む拘束枠と、前記蓄熱材よりも前記熱交換部側へ前記積層方向に沿って延出するように前記拘束枠に形成され、前記積層方向に直交する直交方向の少なくとも一方向で前記熱交換部に当たって当該一方向への前記熱交換部の移動を制限する制限部と、を備える。
【0007】
請求項1の構成によれば、蓄熱材は反応媒体と結合して発熱する、又は、蓄熱材は反応媒体が脱離して蓄熱する。また、蓄熱材の片側に積層された熱交換部が、蓄熱材との間で熱交換する。拘束枠は、熱交換部と蓄熱材との積層方向に見て、蓄熱材を囲んでいる。
【0008】
ここで、請求項1の構成では、蓄熱材よりも熱交換部側へ前記積層方向に沿って延出するように拘束枠に形成された制限部が、前記積層方向に直交する直交方向の少なくとも一方向で熱交換部に当たって、当該一方向への熱交換部の移動を制限する。このため、熱交換部が、拘束枠に対して直交方向の少なくとも一方向へずれることを抑制できる。
【0009】
請求項2の発明は、前記直交方向に沿って前記熱交換部から外側に張り出すように前記熱交換部に形成され、前記制限部の延出方向の先端面に接触する接触部を備える。
【0010】
請求項2の構成によれば、前記直交方向に沿って熱交換部から外側に張り出すように熱交換部に形成された接触部が、制限部の延出方向の先端面に接触する。これにより、接触部を含めた熱交換部と制限部との境界(隙間)が、断面視にて屈曲部分を有する形状、例えばL字状になる。これにより、当該境界が一直線状である構成に比べ、蓄熱材から粒子が分離した場合に当該粒子が熱交換部と制限部との間から漏れることを抑制できる。
【0011】
請求項1の発明では、前記拘束枠は、前記制限部よりも前記拘束枠の内周側へ向けて張り出し、且つ前記積層方向の端面が前記熱交換部に接触する張出部を有する。
【0012】
請求項1の構成によれば、制限部よりも拘束枠の内周側へ向けて張り出す張出部における積層方向の端面が、熱交換部に接触する。これにより、張出部及び制限部と熱交換部との境界(隙間)が、断面視にて屈曲部分を有する形状、例えばL字状になる。
【0013】
これにより、当該境界が一直線状である構成に比べ、蓄熱材から粒子が分離した場合に当該粒子が熱交換部と制限部との間から漏れることを抑制できる。
【0014】
請求項3の発明では、前記接触部を含めた前記熱交換部は、前記積層方向に見て、前記拘束枠の外周側へはみ出さない。
【0015】
請求項3の構成によれば、接触部を含めた熱交換部が積層方向に見て、拘束枠の外周側へはみ出す構成に比べ、接触部を含めた熱交換部の熱容量を小さくでき、熱交換の効率が向上する。
【0016】
請求項4の発明では、前記制限部の延出方向の先端部は、前記熱交換部よりも当該延出方向にはみ出さない。
【0017】
請求項4の構成によれば、制限部の延出方向の先端部が熱交換部よりも当該延出方向にはみ出す構成に比べ、制限部の熱容量を小さくでき、熱交換の効率が向上する。
【0018】
請求項5の発明では、前記制限部は、前記一方向及びその反対方向で前記熱交換部に当たって、当該一方向及び当該反対方向への前記熱交換部の移動を制限する。
【0019】
請求項5の構成によれば、熱交換部が、拘束枠に対して一方向及びその反対方向へずれることを抑制できる。
【0020】
請求項6の発明は、前記制限部は、前記積層方向及び前記一方向に対して直交する方向及びその反対方向で前記熱交換部に当たって、当該直交する方向及び当該反対方向への前記熱交換部の移動を制限する。
【0021】
請求項6の構成によれば、熱交換部が、拘束枠に対して一方向及びその反対方向と、一方向に直交する方向及びその反対方向とへずれることを抑制できる。
【0022】
請求項7の発明は、前記制限部は、前記積層方向に見て枠状に形成されている。
【0023】
請求項7の構成によれば、制限部が枠状とされているので、枠の内側と枠の外側とに空間が仕切られる。これにより、蓄熱材から粒子が分離して当該粒子が拘束枠から制限部側へ移動した場合でも、当該粒子が制限部の外周側へ漏れることを抑制できる。
【0024】
請求項8の発明は、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の反応器と、前記反応器と連通し、前記反応器への反応媒体の供給及び前記反応器からの反応媒体の受け取りのうち少なくとも一方を行う媒体器と、を有する。
【0025】
請求項8の構成によれば、蓄熱材よりも熱交換部側へ前記積層方向に沿って延出するように拘束枠に形成された制限部が、前記積層方向に直交する直交方向の少なくとも一方向で熱交換部に当たって、当該一方向への熱交換部の移動を制限する。このため、熱交換部が、拘束枠に対して直交方向の少なくとも一方向へずれることを抑制できる。
【0026】
そして、蓄熱システムが稼働した際において、熱交換部の拘束枠に対する前記一方向へのずれが抑制されることで、熱交換部と拘束枠との間に隙間ができにくく、蓄熱材から粒子が分離した場合に当該粒子が熱交換部と制限部との間から漏れることを抑制できる。これにより、蓄熱システムとしての性能の低下を抑制できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、上記構成としたので、熱交換部が拘束枠に対して積層方向と直交する方向にずれるのを抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。なお、下記のX(−X)方向及びY(−Y)方向は、互いに直交する座標軸を示しており、X方向、−X方向、Y方向及び−Y方向は、図中に示す矢印方向である。また、図中の「○」の中に「×」が記載された記号は、紙面の手前から奥へ向かう矢印を意味する。図中の「○」の中に「・」が記載された記号は、紙面の奥から手前へ向かう矢印を意味する。
【0030】
(化学蓄熱システム10)
化学蓄熱システム10(蓄熱システムの一例)は、
図1及び
図2に示されるように、蒸発凝縮器12(媒体器の一例)と、化学蓄熱反応器20(反応器の一例)と、連通路14と、を備えている。以下、蒸発凝縮器12、化学蓄熱反応器20及び連通路14の具体的な構成について説明する。
【0031】
(蒸発凝縮器12)
蒸発凝縮器12は、貯留した水を蒸発させて化学蓄熱反応器20に水蒸気(反応媒体の一例)を供給する蒸発部、化学蓄熱反応器20から受け取った水蒸気を凝縮する凝縮部、及び水蒸気が凝縮されることで生成された水を貯留する貯留部、としての各機能を備えている。具体的には、蒸発凝縮器12は、一例として、以下のように構成される。
【0032】
すなわち、蒸発凝縮器12は、
図1及び
図2に示されるように、内部に水が貯留される容器16を備えている。この容器16内には、水蒸気を凝縮するための冷媒(例えば、冷水)と、水を蒸発させるための熱媒(例えば、温水)と、が選択的に流通可能な流路17が設けられている。
【0033】
(連通路)
連通路14は、蒸発凝縮器12の内部と化学蓄熱反応器20の内部とを連通する通路であり、一端部が蒸発凝縮器12に接続され、他端部が化学蓄熱反応器20に接続されている。
【0034】
連通路14は、蒸発凝縮器12(容器16)と化学蓄熱反応器20(後述する反応容器22)との連通、非連通を切り替えるための開閉弁19を備えている。そして、容器16、反応容器22、連通路14、及び開閉弁19は、互いの接続部位が気密に構成されており、これらの内部空間が予め真空脱気されている。
【0035】
(化学蓄熱反応器20)
化学蓄熱反応器20は、
図3及び
図4に示されるように、反応容器22と、反応容器22内に配置され複数の部材が積層されて構成された積層体30と、を備えている。以下、反応容器22及び積層体30の具体的な構成について説明する。
【0036】
(反応容器22)
反応容器22は、ステンレス鋼板等で形成され、上下方向を軸方向とする円筒状の本体部22Aと、本体部22Aの上端を閉止する板状の上蓋部材22Bと、本体部22Aの下端を閉止する板状の下蓋部材22Cと、備えている。そして、本体部22Aと上蓋部材22B、及び本体部22Aと下蓋部材22Cとが溶接されることで、本体部22Aと上蓋部材22Bとの間、及び本体部22Aと下蓋部材22Cとの間がシールされている。
【0037】
反応容器22の内部は反応容器22の外部と隔離され、前述したように、反応容器22の内部が真空脱気されている。そして、反応容器22の内部には、積層体30との間に水蒸気が流通可能な流通空間26が確保されている。
【0038】
(積層体30)
積層体30は、
図5及び
図6に示されるように、一対のエンドプレート90、91と、一対のエンドプレート90、91の間に配置された一対の熱交換器50、51と、一対の熱交換器50、51の間に配置された一対の蓄熱材32、33と、を備えている。また、積層体30は、一対の蓄熱材32、33の間に配置された一対のフィルタ34、35と、一対のフィルタ34、35の間に配置された蒸気流路形成部材40(流路形成部の一例)と、蓄熱材32、33を囲む枠状の拘束枠60、61と、を備えている。
【0039】
エンドプレート90、91、熱交換器50、51、蓄熱材32、33を含む拘束枠60、61、フィルタ34、35及び蒸気流路形成部材40は、上下方向に厚みを有する板状であって、平面視にて略矩形状に形成されている。積層体30では、下側から、エンドプレート90、熱交換器50、蓄熱材32を含む拘束枠60、フィルタ34、蒸気流路形成部材40、フィルタ35、蓄熱材33を含む拘束枠61、熱交換器51、エンドプレート91の順で積層されている。したがって、エンドプレート90、91、熱交換器50、51、蓄熱材32、33、拘束枠60、61、及びフィルタ34、35は、互いが積層方向(上下方向)に離れて配置されている。
【0040】
なお、積層体30は、
図4に示されるように、反応容器22の内部において、円柱状の4個(
図4では3個のみ図示)の支持部材79で支持されている。
【0041】
以下、エンドプレート90、91、蓄熱材32、33、熱交換器50、51、蒸気流路形成部材40、フィルタ34、35、及び拘束枠60、61の具体的な構成について説明する。
【0042】
(エンドプレート90、91)
エンドプレート90、91は、
図7に示されるように、積層方向から見て矩形状の本体部92と、本体部92の四隅から突出する4個の突出部94と、を備えている。4個の突出部94のそれぞれには、上下方向に貫通する貫通孔94Aが形成されている。
【0043】
そして、エンドプレート90、91は、熱交換器50、51、蓄熱材32、33を含む拘束枠60、61、フィルタ34、35及び蒸気流路形成部材40を挟み込むようになっている。この状態で、エンドプレート91の突出部94に形成された各貫通孔94Aにボルト96を通し、さらに各ボルト96の先端側をエンドプレート90の突出部94に形成された各貫通孔94Aに通す。また、各ボルト96の先端部にナット97を締め込むことで、積層体30が組み立てられる(形成される)。このように、各ボルト96にナット97を締め込むことで、一対のエンドプレート90、91に挟まれた熱交換器50、51、蓄熱材32、33を含む拘束枠60、61、フィルタ34、35及び蒸気流路形成部材40に上下方向の拘束力が生じる。
【0044】
(蓄熱材32、33)
蓄熱材32、33には、一例として、アルカリ土類金属の酸化物の1つである酸化カルシウム(CaO)の成形体が用いられている。この成形体は、例えば、酸化カルシウム粉体(粒状体)をバインダ(例えば粘土鉱物等)と混練し、焼成することで、
図8に示されるように、直方体状に形成されている。
【0045】
蓄熱材32、33は、具体的には、例えば、直方体状(立方体状を含む)とされた16(4×4)個の単位ブロックで形成された集合体で構成されている。蓄熱材32、33は、複数(具体的には4つ)が拘束枠60、61の内部空間に配置(収容)されている。なお、拘束枠61及び蓄熱材33は、拘束枠60及び蓄熱材32の上下を反転させた構成に相当するので、
図8では、拘束枠60及び蓄熱材32を示し、拘束枠61及び蓄熱材33の図示を省略している。
【0046】
ここで、蓄熱材32、33は、反応媒体と結合して発熱する、又は反応媒体が脱離して蓄熱する。具体的には、蓄熱材32、33は、水和に伴って放熱(発熱)し、脱水に伴って蓄熱(吸熱)する化学蓄熱材であり、以下に示す反応で放熱、蓄熱を可逆的に繰り返し得る構成とされている。
【0047】
CaO + H
2O ⇔ Ca(OH)
2
この式に蓄熱量、発熱量Qを併せて示すと、
CaO + H
2O → Ca(OH)
2 + Q
Ca(OH)
2 + Q → CaO + H
2O
となる。
【0048】
なお、一例として、蓄熱材32、33の1kg当たりの蓄熱容量は、1.86[MJ/kg]とされている。また、蓄熱材32、33は、単一のブロックで構成されていてもよい。
【0049】
(熱交換器50、51)
熱交換器50は、
図6に示されるように、蓄熱材32の下側(片側)に積層されており、蓄熱材32との間で熱交換する構成とされている。熱交換器51は、蓄熱材33の上側(片側)に積層されており、蓄熱材33との間で熱交換する構成とされている。
【0050】
なお、熱交換器51は、熱交換器50の上下を反転させた構成に相当するので、以下、熱交換器50の構成を中心に説明し、熱交換器51についての説明は適宜省略する。
【0051】
熱交換器50は、
図9及び
図10に示されるように、直方体形状に形成された本体部52(熱交換部の一例)と、フランジ部54(接触部の一例)と、一対の突出部56と、を有している。熱交換器50では、具体的には、本体部52が蓄熱材32と接触しており、本体部52を流通する熱媒体との間で熱交換される。
【0052】
フランジ部54は、本体部52の外周(平面視矩形状の本体部52の四辺)において、積層体30の積層方向(上下方向)に直交する直交方向である側方(−X、X方向及び−Y、Y方向)に沿って本体部52の下部から外側に張り出しており、平面視にて枠状に形成されている。
【0053】
一対の突出部56は、先端側が互いに離れる方向(−X、X方向)にフランジ部54から突出している。一対の突出部56には、
図4及び
図9に示されるように、熱媒体(冷媒又は熱媒)を熱交換器50、51へ供給する供給管70と、熱交換器50、51から排出された熱媒体が流通する流通管72と、が接続されている。
【0054】
図11に示されるように、本体部52、フランジ部54及び一対の突出部56は、内部が連通している。本体部52の内部には、波状に形成されたフィン57が設けられている。
【0055】
そして、熱交換器50、51に接続された流通管72を流通する熱媒体によって、反応容器22の外部に配置された熱源200(
図1参照)又は熱利用対象物202(
図1参照)に、温熱又は冷熱が輸送される。なお、供給管70及び流通管72の連通先は、切替部材76(
図1参照)によって、熱源200及び熱利用対象物202の一方に切り替えられる。
【0056】
(蒸気流路形成部材40)
蒸気流路形成部材40は、
図5及び
図6に示されるように、蓄熱材32に対する熱交換器50とは反対側であって、蓄熱材33に対する熱交換器51とは反対側に、積層されている。この蒸気流路形成部材40は、蓄熱材32、33へ供給される水蒸気、又は蓄熱材32、33から排出される水蒸気が流通する流路が形成された部材である。具体的には、蒸気流路形成部材40は、
図12(A)に示されるように、フレーム部材46と、フレーム部材46に取り付けられると共に平面視にて矩形状の4個の流路部材48と、を備えている。
【0057】
フレーム部材46は、平面視にて矩形枠状とされる共に上下方向に離間した一対の外形フレーム46Aと、隣り合う流路部材48を仕切る十字状の仕切フレーム46Bと、を備えている。そして、仕切フレーム46Bは断面矩形状とされ、平面視にて十字状の仕切フレーム46Bの端部の上面及び下面に、一対の外形フレーム46Aが固定されている。これにより、4個の流路部材48が取り付けられる矩形状の取付スペース46Cが形成されている。
【0058】
この流路部材48は、凹凸を繰り返す断面が矩形波状とされた波板47(
図12(B)参照)から形成されており、凹凸部が延びる流路方向が、鉛直方向から見てフレーム部材46の対角線に沿うようになっている。そして、流路部材48の流路がフレーム部材46の角部に向かって開放されている。これにより、流路方向に沿って流れる水蒸気が上方に開放される上方流路48Aと、水蒸気が下方に開放される下方流路48Bとが形成されている。蒸気流路形成部材40は、蒸気流路形成部材40の四方向の端面から水蒸気が流出又は流入可能とされている。
【0059】
(フィルタ34、35)
フィルタ34、35は、
図5及び
図6に示されるように、蒸気流路形成部材40と蓄熱材32との間及び蒸気流路形成部材40と蓄熱材33との間のそれぞれで挟まれている。フィルタ34、35は、貫通孔が多数形成されたエッチングフィルタで構成されている。
【0060】
そして、フィルタ34、35は、蓄熱材32の平均粒径より小さいろ過精度を有している。これにより、フィルタ34、35では、蓄熱材32の平均粒径より小さい流路を水蒸気が通過するのを許容する一方、平均粒径よりも大きい蓄熱材の通過を制限するようになっている。
【0061】
なお、ろ過精度とは、ろ過効率が50〜98%となる粒子径のことであり、ろ過効率とは、ある粒子径の粒子に対する除去効率である。
【0062】
(拘束枠60、61)
拘束枠60、61は、
図6及び
図8に示されるように、積層体30の積層方向(上下方向)に見て蓄熱材32、33を囲む枠状とされている。拘束枠60、61は、蓄熱材32、33の上端から下端までの上下方向の長さを有しており、蓄熱材32、33の上端から下端までの範囲で蓄熱材32、33を囲んでいる。
【0063】
なお、拘束枠61は、拘束枠60の上下を反転させた構成に相当するので、以下、拘束枠60の構成を中心に説明し、拘束枠61の説明を適宜省略する。
【0064】
拘束枠60の内部には、
図8及び
図9に示されるように、平面視にて十字状に形成された中枠63が設けられている。この中枠63によって、拘束枠60の蓄熱材32が配置される内部空間が4つに仕切られる。
【0065】
本実施形態では、熱交換器50、51の側面に当たって、積層方向に直交する直交方向である側方(−X、X方向及び−Y、Y方向)の熱交換器50、51の移動を制限する制限部68、69が、拘束枠60、61に形成されている(制限部69については、
図6参照)。
【0066】
制限部68は、具体的には、蓄熱材32よりも熱交換器50側(すなわち、下側)へ延出するように拘束枠60に一体に形成されている。制限部68は、積層体30の積層方向に見て、拘束枠60と同様の枠状に形成されている。この枠状の制限部68の内側に、熱交換器50の本体部52におけるフランジ部54よりも上側の部分が収容された状態で、拘束枠60及び熱交換器50が積層される。
【0067】
枠状の制限部68は、具体的には、積層方向に直交する直交方向の一方向(X方向)に対向する第一対向部68A、68Cと、当該一方向と直交する直交方向(Y方向)に対向する第二対向部68B、68Dと、を有している。
【0068】
第一対向部68A、68Cが、熱交換器50の本体部52の側面に当たることで、当該一方向(X方向)及びその反対方向(−X方向)への熱交換器50の移動が制限される。また、第二対向部68B、68Dが、熱交換器50の本体部52の側面に当たることで、当該直交方向(Y方向)及びその反対方向(−Y方向)への熱交換器50の移動が制限される。
【0069】
なお、
図8には、二点鎖線Aにて拘束枠60と制限部68との境界が示されている。したがって、二点鎖線Aよりも下側部分が、制限部68を構成する。また、制限部68は、前述のように、積層方向に見て枠状とされており、第一対向部68A、68C及び第二対向部68B、68Dのそれぞれの間には、隙間を有していない。
【0070】
さらに、制限部68の延出方向の先端面(下端面)は、
図11に示されるように、熱交換器50のフランジ部54(接触部の一例)に接触している。また、制限部68の下端は、熱交換器50の下端の位置よりも上側に位置している。すなわち、制限部68の下端部(延出方向の先端部)は、熱交換器50よりも下側(延出方向)にはみ出さないようになっている。
【0071】
さらに、
図9に示されるように、制限部68の外周面68Sは、熱交換器50に形成されたフランジ部54の外周面54Sの同一面上に配置されている。すなわち、フランジ部54を含めた熱交換器50の外寸は、拘束枠60の外寸と同じとされている。これにより、熱交換器50において、フランジ部54を含めた本体部52は、積層方向に見て、拘束枠60の外周側へはみ出さないようになっている。
【0072】
以上のように、化学蓄熱反応器20(反応器の一例)は、
図13の概念図に示されるように、蓄熱材32と、本体部52(熱交換部の一例)及びフランジ部54(接触部の一例)を有する熱交換器50と、拘束枠60と、制限部68と、を有している。フランジ部54は、積層体30の積層方向(上下方向)に直交する直交方向である側方(−X、X方向及び−Y、Y方向)に沿って本体部52から外側に張り出すように、本体部52に形成されており、制限部68の延出方向の先端面(下端面)に接触している。なお、
図13に示す構成は、請求項2に対応する。
【0073】
(化学蓄熱システムの作用)
次に、化学蓄熱システム10の作用について説明する。
【0074】
化学蓄熱システム10において、化学蓄熱反応器20に蓄熱された熱を蓄熱材32、33から発熱(放熱)する際には、
図2に示されるように、切替部材76により供給管70及び流通管72の連通先が熱利用対象物202に切り替えられる。さらに、開閉弁19を開放し、この状態で、蒸発凝縮器12の流路17を流通する熱媒によって容器16内の水を蒸発させる。そして、生成された水蒸気が連通路14内を矢印D方向に移動して、反応容器22内に供給される。
【0075】
続いて、反応容器22内では、供給された水蒸気が、蒸気流路形成部材40の複数の上方流路48A及び下方流路48Bを流れる(
図14参照)。そして、下方流路48B内の水蒸気Wがフィルタ34を通過して蓄熱材32と接触することにより、蓄熱材32は、水和反応を生じつつ発熱(放熱)する。また、上方流路48A内の水蒸気Wがフィルタ35を通過して蓄熱材33と接触することにより、蓄熱材33は、水和反応を生じつつ発熱(放熱)する。蓄熱材32、33から放出された熱は、熱交換器50、51内を流れる熱媒体によって、熱利用対象物202に輸送される。
【0076】
一方、化学蓄熱システム10において、蓄熱材32、33に熱を蓄熱する際には、
図1に示されるように、切替部材76により供給管70及び流通管72の連通先が熱源200に切り替えられる。さらに、開閉弁19を開放し、この状態で、熱交換器50、51内に熱源200によって加熱された熱媒体が流れる(
図14参照)。
【0077】
熱交換器50、51内を流れる熱媒体の熱によって蓄熱材32、33が脱水反応を生じ、この熱が蓄熱材32、33に蓄熱される。
【0078】
さらに、蓄熱材32、33から離脱された水蒸気Wは、フィルタ34、35から蒸気流路形成部材40の複数の上方流路48A及び下方流路48Bに流れ込む。上方流路48A及び下方流路48Bに流れ込んだ水蒸気Wは、
図1に示されるように、反応容器22から連通路14を矢印E方向に流れて蒸発凝縮器12内に流れ込む。
【0079】
そして、蒸発凝縮器12の容器16において、流路17を流通する冷媒によって水蒸気が冷却され、凝縮された水が容器16に貯留される。
【0080】
(本実施形態の作用効果)
積層体30は、例えば、以下のように組み立てられる(形成される)。すなわち、
図6に示されるように、下側から、エンドプレート90、熱交換器50、蓄熱材32を含む拘束枠60、フィルタ34、蒸気流路形成部材40、フィルタ35、蓄熱材33を含む拘束枠61、熱交換器51、エンドプレート91の順で重ねる(積層する)。このとき、熱交換器50、51の本体部52における積層方向の一部が、枠状の制限部68、69の内側に収容された状態で、積層体30の各部材が重ねられる。
【0081】
この状態で、
図7に示されるように、エンドプレート90、91の貫通孔94Aにボルト96を通す。そして、ボルト96にナット97を締め込むことで、積層体30が組み立てられる。
【0082】
本実施形態では、前述のように、積層体30の各部材が重ねられる際に、
図9に示されるように、熱交換器50、51の本体部52が枠状の制限部68、69の内側に収容される。このため、熱交換器50、51の側方(−X、X方向及び−Y、Y方向)への移動が制限部68、69によって制限される。
【0083】
このため、ボルト96にナット97を締め込む際に、すなわち、積層体30を組み立てる際に、熱交換器50、51が拘束枠60、61に対して、側方(−X、X方向及び−Y、Y方向)へずれることが抑制される。これにより、熱交換器50、51の拘束枠60、61に対するずれを考慮して、ボルト96にナット97を締め込む作業を行う必要がないため、当該作業の作業性が向上する。
【0084】
また、積層体30を組み立てた後、化学蓄熱システム10を稼働させた際においても、熱交換器50、51が拘束枠60、61に対して、側方(−X、X方向及び−Y、Y方向)へずれることが抑制される。また、熱交換器50、51が制限部68、69によって拘束され、熱交換器50、51のねじれ等の弾性変形が抑制される。
【0085】
これらにより、化学蓄熱システム10が稼働した際において、熱交換器50、51と拘束枠60、61(蓄熱材32、33)との間に隙間ができにくく、蓄熱材32、33の粒子が拘束枠60、61から漏れることが抑制される。このため、化学蓄熱システム10としての性能の低下を抑制できる。
【0086】
また、本実施形態では、制限部68は、積層方向に見て枠状とされており、第一対向部68A、68C及び第二対向部68B、68Dのそれぞれの間には、隙間を有していない(
図8参照)。したがって、制限部68によって、制限部68の内側と外側とに空間が仕切られる。これにより、蓄熱材32から粒子が分離して当該粒子が拘束枠60から制限部68側へ移動した場合でも、当該粒子が制限部68の外周側へ漏れることを抑制できる。なお、拘束枠61においても同様であり、蓄熱材33から分離した粒子が制限部69の外周側へ漏れることを抑制できる。
【0087】
また、本実施形態では、
図13に示されるように、熱交換器50に形成されたフランジ部54が制限部68の下端面に接触している。これにより、各フランジ部54を含めた熱交換器50と制限部68との境界S(隙間)が、断面視にて屈曲部分を有する形状、具体的には、L字状になる。
【0088】
このため、当該境界Sが一直線状である場合に比べ、蓄熱材32から分離した粒子が、熱交換器50と制限部68との間から漏れることが抑制される。なお、熱交換器51及びと制限部69においても同様であり、蓄熱材33から分離した粒子が、熱交換器51と制限部69との間から漏れることが抑制される。
【0089】
また、本実施形態では、熱交換器50、51において、フランジ部54を含めた本体部52は、積層方向に見て、拘束枠60、61の外周側へはみ出していない。
【0090】
これにより、熱交換器50、51が積層方向に見て拘束枠60、61の外周側へはみ出す構成に比べ、熱交換器50、51の熱容量を小さくでき、熱交換の効率が向上する。
【0091】
また、本実施形態では、制限部68の下端部は、熱交換器50よりも下側にはみ出さない。
【0092】
これにより、制限部68の下端部が熱交換器50よりも下側にはみ出す構成に比べ、制限部68の熱容量を小さくでき、熱交換の効率が向上する。なお、制限部69においても同様であり、制限部69の上端部が熱交換器51よりも上側にはみ出す構成に比べ、制限部69の熱容量を小さくでき、熱交換の効率が向上する。
【0093】
(拘束枠60の変形例)
図15及び
図16に示されるように、拘束枠60は、本体部165と、張出部167と、を有する構成であってもよい。本体部165は、制限部68の上側に配置され、制限部68の上端に接続されて制限部68と一体に形成された枠状の部分である。張出部167は、本体部165の内壁に形成され、制限部68よりも拘束枠60(本体部165)の内周側へ向けて張り出した部分である。この張出部167の下端面(積層方向の端面の一例)は、熱交換器50の拘束枠60側の表面に接触している。
【0094】
このように、拘束枠60は、
図17の概念図に示されるように、制限部68よりも拘束枠60の内周側へ向けて張り出し、且つ下端面(積層方向の端面の一例)が本体部52(熱交換部の一例)に接触する張出部167を有している。なお、
図17に示す構成は、
出願当初の、請求項2を引用する請求項3に対応する。
【0095】
これにより、フランジ部54を含めた熱交換器50と、拘束枠60及び制限部68と、の境界S(隙間)が、断面視にて屈曲部分を有する形状、具体的には、階段状になる。このため、当該境界SがL字状である場合に比べ、蓄熱材32から分離した粒子が、熱交換器50と制限部68との間から漏れることが抑制される。なお、拘束枠61においても、張出部167を形成してもよい。
【0096】
(熱交換器50の第一変形例)
図18に示されるように、熱交換器50のフランジ部54の外周面54Sが、制限部68の外周面68Sよりも制限部68の内側に位置する構成であってもよい。外周面54Sが外周面68Sよりも制限部68の内側に位置することで、フランジ部54を含めた熱交換器50の外寸は、拘束枠60の外寸よりも小さくされている。
【0097】
これにより、フランジ部54を含めた熱交換器50の外寸が拘束枠60の外寸以上とされる構成に比べ、熱交換器50の熱容量を小さくでき、熱交換の効率が向上する。特に、熱交換器50において熱交換に寄与しない部分(フランジ部54)を小さくできるので、熱交換の効率が効果的に向上する。なお、熱交換器51においても同様に構成することができる。
【0098】
(熱交換器50の第二変形例)
図19に示されるように、熱交換器50は、フランジ部54が形成されていない構成であってもよい。この構成では、例えば、制限部68の下端面は、熱交換器50の下面と同一面上に配置されている。
【0099】
第二変形例では、熱交換器50にフランジ部54が形成されていないことで、熱交換器50の外寸は、拘束枠60の外寸よりも小さくされている。
【0100】
これにより、熱交換器50の外寸が拘束枠60の外寸以上とされる構成に比べ、熱交換器50の熱容量を小さくでき、熱交換の効率が向上する。
【0101】
また、この第2変形例では、拘束枠60は、本体部165と、張出部167と、を有する構成であってもよい。本体部165は、制限部68の上側に配置され、制限部68の上端に接続されて制限部68と一体に形成された枠状の部分である。張出部167は、本体部165の内壁に形成され、制限部68よりも拘束枠60(本体部165)の内周側へ向けて張り出した部分である。この張出部167の下端面(積層方向の端面の一例)は、熱交換器50の拘束枠60側の表面に接触している。
【0102】
このように、拘束枠60は、
図20の概念図に示されるように、制限部68よりも拘束枠60の内周側へ向けて張り出し、且つ下端面(積層方向の端面の一例)が本体部52(熱交換部の一例)に接触する張出部167を有していてもよい。なお、
図20に示す構成は、
出願当初の、請求項1を引用する請求項3に対応する。
【0103】
これにより、熱交換器50と制限部68との境界S(隙間)が、断面視にて屈曲部分を有する形状、具体的には、L字状になる。このため、当該境界Sが一直線状である場合に比べ、蓄熱材32から分離した粒子が、熱交換器50と制限部68との間から漏れることが抑制される。
【0104】
なお、第二変形例では、拘束枠60、61に張出部167が形成されていない構成であってもよい。また、熱交換器51及び拘束枠61においても同様に構成することができる。
【0105】
(熱交換器50、51の他の変形例)
図21に示されるように、フランジ部54が、熱交換器50、51の上下方向中央部に形成されていてもよい。なお、熱交換器51においても同様に構成することができる。
【0106】
(制限部68の変形例)
図22に示されるように、制限部68は、第一対向部68A、68Cを有せず、第二対向部68B、68Dのみを有する構成であってもよい。すなわち、制限部68としては、第一対向部68A、68C及び第二対向部68B、68Dの少なくとも一つを有していればよい。また、第一対向部68A、68C及び第二対向部68B、68Dは、熱交換器50、51の当たる側面の横幅よりも小さくてもよい。
【0107】
第一対向部68A、68C及び第二対向部68B、68Dの数及び横幅を小さくすることで、制限部68、69の熱容量を小さくでき、熱交換の効率が向上する。なお、制限部69においても、同様に構成することができる。
【0108】
(他の変形例)
本実施形態では、積層体30は、一対の熱交換器50、51と、一対の蓄熱材32、33と、一対のフィルタ34、35と、蒸気流路形成部材40と、拘束枠60、61と、を備えていたが、これに限られない。積層体30は、少なくとも、1つの熱交換器と、1つの蓄熱材と、1つの拘束枠と、を有していればよい。
【0109】
また、蓄熱材として、アルカリ金属塩化物、アルカリ土類金属塩化物、アルカリ金属臭化物、アルカリ土類金属臭化物におけるアンモニア反応系を用い、反応媒体として、アンモニアを用いてもよい。
【0110】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。