特許第6578907号(P6578907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社富士通ゼネラルの特許一覧

<>
  • 特許6578907-天井埋込型空気調和機 図000002
  • 特許6578907-天井埋込型空気調和機 図000003
  • 特許6578907-天井埋込型空気調和機 図000004
  • 特許6578907-天井埋込型空気調和機 図000005
  • 特許6578907-天井埋込型空気調和機 図000006
  • 特許6578907-天井埋込型空気調和機 図000007
  • 特許6578907-天井埋込型空気調和機 図000008
  • 特許6578907-天井埋込型空気調和機 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6578907
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】天井埋込型空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0022 20190101AFI20190912BHJP
   F24F 13/08 20060101ALI20190912BHJP
   F24F 13/24 20060101ALI20190912BHJP
   F04D 29/30 20060101ALI20190912BHJP
   F04D 29/44 20060101ALI20190912BHJP
   F04D 29/66 20060101ALI20190912BHJP
   F24F 1/0047 20190101ALI20190912BHJP
【FI】
   F24F1/0022
   F24F13/08 A
   F24F13/24
   F04D29/30 F
   F04D29/44 N
   F04D29/66 M
   F04D29/66 N
   F24F1/0047
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-231249(P2015-231249)
(22)【出願日】2015年11月27日
(65)【公開番号】特開2017-96587(P2017-96587A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2018年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(72)【発明者】
【氏名】小森 隆行
【審査官】 ▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−129994(JP,A)
【文献】 特開2013−096379(JP,A)
【文献】 特開2014−109386(JP,A)
【文献】 特開2001−099436(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0022
F04D 29/30
F04D 29/44
F04D 29/66
F24F 1/0047
F24F 13/08
F24F 13/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井内に設置され外郭が天板と前記天板の外周から下方に延在する側板で形成された本体ユニットと、前記本体ユニットの底面に取り付けられ空気吸込口を備えた化粧パネルとを有し、前記本体ユニットはターボファンと前記ターボファンの周囲を四角枠状に囲む熱交換器と同熱交換器が前記ターボファンから吹き出された気流を受ける吸込面に装着された整流板とを備えた天井埋込型空気調和機において、
前記ターボファンは、前記天板の中央に固定されたファンモータに軸支されるハブと、前記空気吸込口側に配置されたシュラウドと、前記ハブと前記シュラウドに挟まれた複数のブレードとからなり、前記ターボファンが回転する方向を下流側としその反対方向を上流側とした場合において、前記ブレードは、前記ブレードの下流側の前記ハブ側先端部が前記ターボファンの内側を向き、前記シュラウド側先端部が前記ターボファンの外周側を向き前記ハブ側先端部より外側に位置するように捻られた形状であり、
前記整流板は一枚の羽根板で形成され、前記羽根板は前記熱交換器側を装着面とし、前記ターボファン側をファン側面とし、前記ハブに近い平面を上面とし、前記シュラウドに近い平面を下面とし、前記装着面から前記ファン側面に掛けて前記上流側の側面を第1側面とし、前記下流側の側面を第2側面とした場合に、
前記上面は前記吸込面に対し前記第1側面側の第1辺が前記上流側に向けて傾斜し、前記下面は前記吸込面に対し前記第1側面側の第2辺が前記第1辺よりも前記上流側に向けて傾斜し、前記第1側面は前記第1辺から前記第2辺の間で徐々に傾斜角度が変化した捻られた面となり、前記整流板は、複数の前記羽根板が前記上流側から前記下流側に平行に配置されて互いの前記上面が上板で接続され、互いの前記下面が下板で接続され、前記羽根板は、前記装着面から前記ファン側面までの高さが、前記上流側の羽根板よりも前記下流側の羽根板が大きくなることを特徴とする天井埋込型空気調和機。
【請求項2】
前記第1辺は前記下流側に膨出した第1円弧を備え、前記第2辺は前記下流側に膨出した第2円弧を備え、前記第1側面は前記第1円弧から前記第2円弧の間で徐々に円弧の角度が変化した捻られた面となることを特徴とする請求項1に記載の天井埋込型空気調和機。
【請求項3】
前記第1円弧と前記第2円弧は、曲率と長さが共通であることを特徴とする請求項2に記載の天井埋込型空気調和機。
【請求項4】
前記整流板は、前記第1辺の傾斜角度に対し前記第2辺の傾斜角度が2倍の角度であることを特徴とする請求項1ないし3に記載の天井埋込型空気調和機。
【請求項5】
前記羽根板は板体であり、前記第2側面は第1側面と平行であることを特徴とする請求項1ないし4に記載の天井埋込型空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井内に本体ユニットが埋設された天井埋込型空気調和機に関し、さらに詳しく言えば熱交換器で発生する風切音を抑制する構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
天井埋込型空気調和機は、内部にターボファンとターボファンの外周を囲むように設けられた熱交換器を含む箱型の本体ユニットを天井内に埋設し、本体ユニットの底面に取り付けられた化粧パネルの空気吸込口から吸い込んだ空気を熱交換器で冷媒と熱交換して、吹出口から風向板で風向を調節して室内に送出する空気調和機で、オフィスや店舗等の比較的広い室内に設置されている。
【0003】
このような天井埋込型空気調和機において、ターボファンから吹き出された気流は熱交換器のフィンの隙間にフィンと平行になる入射角度(90度)で流入すると熱交換効率が向上し騒音も抑えられるが、本体ユニットの小型化を図った場合にはターボファンと熱交換器とが近接する。この近接する部分では、ターボファンから吹き出された気流が熱交換器のフィンに対して斜めになる入射角度で流入しようとすると、気流は熱交換器に導かれにくくなり入射角度が小さくなるのにつれて熱交換効率が下がるとともにフィン周辺に渦ができて風切音が発生する。
【0004】
そこで特許文献1では、図8に示すように整流板91を熱交換器90の内側に取り付けることにより、ターボファンから吹き出された気流を熱交換器90に対して大きな入射角度で流入するように導き熱交換器90で発生する風切音を抑制することが行われていた。この整流板91は、ターボファンの回転方向と反対方向に傾斜し、内側に膨出した曲面状に形成された同形の羽根板94、95、96が平行に配置され下板92、上板93で接続されている。
羽根板94、95、96は気流の吹出方向を向いているため、ターボファンから吹き出された気流は大きな入射角度で整流板91に流入し、羽根板94、95、96に沿って導かれ、熱交換器90に大きい入射角度で流入する。さらに羽根板94の上部に係合爪97が設けられ、羽根板96の下部に係合爪98が設けられ、係合爪97、98を熱交換器90の天板側90aにおいて伝熱管90bに係合させることで取り付けられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−099436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ターボファンは本体ユニットに固定されたファンモータに軸支されるハブと空気吸込口側に配置されたシュラウドと、ハブとシュラウドに挟まれた複数のブレードとからなる。そしてブレードが、そのハブ側の先端部がターボファンの内側を向き、シュラウド側の先端部がターボファンの外周側を向きハブ側先端部より外側に位置することで捻られた形状となるものがある。これはブレードを捻ることで気流の当たる面積を大きくして吹き出される風量を多くするものである。この場合には、図8の整流板91に対してターボファンのハブに近い上板93側にはターボファンの内側から吹き出された気流が緩やかな角度で当たるが、ターボファンのシュラウドに近い下板92側では、ターボファンの外周側から吹き出された気流が急な角度で当たることになる。しかし、整流板91の羽根板94、95、96の角度は下板92側でも上板93側でも一定であり、気流の吹出方向を向いていない部分があるため、熱交換器90に気流を十分に導くことができず、風切音を完全には抑制することができない。
【0007】
本発明の目的は、ターボファンから吹き出される気流の吹出方向に合わせた整流板を設けることで風切音を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために本発明は、天井内に設置され外郭が天板と前記天板の外周から下方に延在する側板で形成された本体ユニットと、前記本体ユニットの底面に取り付けられ空気吸込口を備えた化粧パネルとを有し、前記本体ユニットはターボファンと前記ターボファンの周囲を四角枠状に囲む熱交換器と同熱交換器が前記ターボファンから吹き出された気流を受ける吸込面に装着された整流板とを備えた天井埋込型空気調和機において、
前記ターボファンは、前記天板の中央に固定されたファンモータに軸支されるハブと、前記空気吸込口側に配置されたシュラウドと、前記ハブと前記シュラウドに挟まれた複数のブレードとからなり、前記ターボファンが回転する方向を下流側としその反対方向を上流側とした場合において、前記ブレードは、前記ブレードの下流側の前記ハブ側先端部が前記ターボファンの内側を向き、前記シュラウド側先端部が前記ターボファンの外周側を向き前記ハブ側先端部より外側に位置するように捻られた形状であり、
前記整流板は一枚の羽根板で形成され、前記羽根板は前記熱交換器側を装着面とし、前記ターボファン側をファン側面とし、前記ハブに近い平面を上面とし、前記シュラウドに近い平面を下面とし、前記装着面から前記ファン側面に掛けて前記上流側の側面を第1側面とし、前記下流側の側面を第2側面とした場合に、
前記上面は前記吸込面に対し前記第1側面側の第1辺が前記上流側に向けて傾斜し、前記下面は前記吸込面に対し前記第1側面側の第2辺が前記第1辺よりも前記上流側に向けて傾斜し、前記第1側面は前記第1辺から前記第2辺の間で徐々に傾斜角度が変化した捻られた面となり、前記整流板は、複数の前記羽根板が前記上流側から前記下流側に平行に配置されて互いの前記上面が上板で接続され、互いの前記下面が下板で接続され、前記羽根板は、前記装着面から前記ファン側面までの高さが、前記上流側の羽根板よりも前記下流側の羽根板が大きくなることを特徴とする
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、熱交換器に導かれる気流の入射角度に合わせた整流板を設けることで風切音を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の天井埋込型空気調和機の斜視図である。
図2】本発明の天井埋込型空気調和機の縦断面図である。
図3】本発明の天井埋込型空気調和機から化粧パネル、電装品箱、ベルマウス、ターボファンを外した状態の斜視図である。
図4】本発明の天井埋込型空気調和機から化粧パネル、電装品箱、ベルマウス、ドレンパンを外した状態の底面図である。
図5図4のR部拡大図で、(a)はハブ側の気流を示す図で、(b)はシュラウド側の気流を示す図である。
図6】本発明の整流板を示す図で、(a)は斜視図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は上面図、(e)は底面図、(f)は(b)のA−A端面図、(g)は(b)のB−B端面図、(h)は(b)のC−C端面図である。
図7】本発明の実施例2の整流板を示す図で、(a)は斜視図、(b)は正面図、(c)は(b)のE−E断面図、(d)は(b)のF−F断面図、(e)は(b)のG−G断面図である。
図8】従来の熱交換器に整流板を取り付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面に基づいた実施例として詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0012】
天井埋込型空気調和機1(以下空気調和機とする)は、一般的に、図1図3に示すように構成されている。本体ユニット10は正方形の四辺を長辺とし、正方形の四つの角を面取りしてできた四辺を短辺とする略八角形となる板金で形成された天板13と、天板13の外周から下方に延在する側板11とで外郭が形成される。側板11は、天板13の短辺に沿って位置する側板11aの4箇所に外側に向かって折れ曲がった吊下部121と固定部122を備えた取付金具12が固着されている。本体ユニット10は、この吊下部121を図示しない天井裏壁面に埋め込まれた複数の吊りボルトにて吊り下げることで天井Tに設置される。
【0013】
尚、図1における本体ユニット10に沿わした座標において、Y方向を上面または上方、−Y方向を下面または下方として以下説明する。各部品においても同様である。
【0014】
本体ユニット10の天板13と側板11の内周面には断熱材による内箱14が設けられる。また、天板13の中央内側にはネジによりファンモータ21が固定され、ファンモータ21から下方に伸びるシャフト22にターボファン6のハブ61が軸支される。ターボファン6はハブ61とシュラウド63とハブ61とシュラウド63に挟まれた複数のブレード62とからなる。
【0015】
本体ユニット10の下部はドレンパン19で覆われる。ドレンパン19の中央部分は開口され吸込口16となる。吸込口16には吸込口16とターボファン6とを繋ぐベルマウス24が配置される。また、ベルマウス24の吸込口16側には、吸込口16を通る空気の妨げにならないようにL字状に形成された電装品箱18が配置される。電装品箱18内には空気調和機1を制御する電装部品(図示なし)が収納される。
【0016】
ファンモータ21により回転駆動されるターボファン6により、吸込口16から空調室K内の空気が本体ユニット10内に吸い込まれる。本体ユニット10内に吸い込まれる空気は、ベルマウス24に沿ってターボファン6に導かれ、ターボファン6のハブ61とシュラウド63の間から外方に向かって吹き出される。
【0017】
ターボファン6の周囲には熱交換器25が配設される。図4を参照して熱交換器25は短冊状のフィン251が所定間隔を持って多数配置された中に伝熱管252が挿通された板状体からなり、側板11の各辺に沿ってターボファン6を四角枠状に囲むように角部25bで丸く折り曲げて形成される。熱交換器25は天板13に固定された熱交換器支持具26で吊り下げられるとともに、熱交換器25の伝熱管出口の端部に設けた熱交換器固定具27で天板13に固定される。
【0018】
内箱14は熱交換器支持具26と熱交換器固定具27が位置する部分が切り欠かれて天板13が露出するようになっている。
【0019】
再び図2図3を参照して、熱交換器25の下部を受けるドレンパン19は断熱部材191とドレンシート192でなる。熱交換器25と対向する面に樹脂製のドレンシート192が発泡樹脂の断熱部材191と一体に成形され熱交換器25で生じた結露水を集める。ドレン水は図示しないドレンポンプとドレンポンプに繋がったドレンパイプにより屋外へ排出される。
【0020】
熱交換器25は、図示しない冷房運転と暖房運転とが可能な可逆式の冷凍サイクル回路に接続されており、ターボファン6から導かれた空気を冷房運転時には蒸発器として機能して冷却し、暖房運転時には凝縮器として機能して加熱する。
【0021】
熱交換器25と側板11の内周面の内箱14との間と、ドレンパン19に設けられた本体ユニット10の四辺それぞれに沿った4つの本体吹出口15は、ターボファン6から吹き出された気流を後述する化粧パネル30の吹出口31へ案内する送風路17となる。熱交換器25で冷媒と熱交換された空気は送風路17と本体吹出口15を通り後述する吹出口31から空調室K内に吹き出される。
【0022】
本体ユニット10の底面101には、化粧パネル30が取付金具12の固定部122にネジで取り付けられている。化粧パネル30は、中央に本体ユニット10の吸込口16に連通する複数の吸込孔321を設けた四角形状の吸込グリル32が設けられている。吸込グリル32の吸込孔321の吸込口16側には除塵フィルタ322を備える。吸込グリル32の周りには、長方形状をなす吹出口31が、吸込グリル32の各辺に沿って4箇所に配置されている。
【0023】
各吹出口31には、それぞれ風向板33が設けられている。この風向板33は、図示しない回動手段によって運転時に所定角度に開かれる。
【0024】
図4示すターボファン6はシュラウド63を外してブレード62を現したものである。矢印はターボファン6の回転方向Sを示す。尚、ターボファン6が回転する方向(回転方向S)を下流側としその反対方向を上流側として以下説明する。7枚のブレード62は円形のハブ61上に配置されている。ブレード62はブレード62の下流側のハブ側先端部62aがターボファン6の内側を向くように中心線S1上に位置し、シュラウド側先端部62bがターボファン6の外周6a側を向きハブ側先端部62aより外側にくるように中心線S2上に位置する。これによりブレード62が三次元的に捻られた形状になる。これによりブレード62に気流が当たる面積が大きくなりブレード62に沿って気流が広範囲に吹き出され風量を多くすることが可能となる。
【0025】
図5は熱交換器25とターボファン6が近接する図4におけるR部拡大図である。図5(a)はハブ61側の近傍を示し、図5(b)はシュラウド63側の近傍を示す。ブレード62の形状に沿ってブレード62のハブ61側から吹き出される気流P1は図5(a)にあるように熱交換器25のターボファン6から吹き出された気流を受ける吸込面25aのフィン251に対する入射角度71が90度に近い角度となり気流P1はフィン251に対して平行に近い方向から流入する。一方、シュラウド63側から吹き出される気流P2は図5(b)にあるように熱交換器25の吸込面25aのフィン251に対する入射角度72が0度に近い角度となり気流P2はフィン251に対して垂直に近い方向から流入する。またハブ61近傍からシュラウド63近傍までの間は入射角度が徐々に入射角度71から入射角度72の間で変化する。
【実施例1】
【0026】
そこで、本発明では図4に示すように内箱14の内側で熱交換器25各辺の吸込面25aの4箇所でターボファン6が近接する下流位置にターボファン6から吹き出された気流を熱交換器25に導く樹脂製の整流板4を設ける。尚、図4では整流板4と他の実施例の整流板5の装着例を示しているが実施の際は同形の整流板を4箇所に配置するものである。
【0027】
整流板4は図6に示すように熱交換器25の伝熱管252に係合される係合爪41と一枚の板体の羽根板42で形成される。羽根板42は、係合爪41を備え熱交換器25に装着される面を装着面43とし、ターボファン6側をファン側面44とし、ハブ61に近い平面を上面45とし、シュラウド63に近い平面を下面46とし、装着面43からファン側面44に掛けて上流側の側面を第1側面47とし、下流側の側面を第2側面48とした場合において、上面45は熱交換器25の吸込面25aに対し第1側面47側の第1辺451が上流側に向けて傾斜する。ここでは傾斜角度をN1とする。また下面46は熱交換器25の吸込面25aに対し第1側面47側の第2辺461が第1辺451より-も上流側に向けてさらに傾斜する。よって第1側面47は第1辺451から第2辺461の間で徐々に傾斜角度が変化した捻られた面となる。これにより前述のようにブレード62が三次元的に捻られることにより変化する気流の入射角度に合わせて整流板4の羽根42の角度も変化することで、ターボファン6から吹き出された気流を導き吸込面25aに大きな入射角度で十分に流入させることができ、従来よりも風切音を抑制することができる。
【0028】
図6(d)に示す上面45の傾斜角度N1は約20度の傾斜である。また図6(e)に示す下面46の傾斜角度N2は約40度の傾斜である。よって下面46は約2倍の角度で傾斜しているが、これに限らずブレード62の捻られた形状に合わせて角度を決めることとなる。
【0029】
図6(f)のA−A端面図は第1辺451に近い切断面の図で気流P1は入射角度71が90度に近い角度となり、第1側面47も入射角度71に合わせた傾斜角度N1となっている。図6(g)のB-B端面図は羽根板6の中程の切断面の図で気流P3は入射角度73が45度に近い角度となり、第1側面47も入射角度73に合わせた傾斜角度N3となっている。図6(h)のC−C端面図は第2辺461に近い切断面の図で気流P2は入射角度72が0度に近い角度となり、第1側面47も入射角度72に合わせた傾斜角度N3となっている。よって第1側面47において傾斜角度は傾斜角度N1、N2、N3と徐々に傾斜する。このようにすることで、異なる入射角度で流入する気流に対して第1側面47の向きを平行にできるので、気流を整流板4に沿って吸込面25aまで導き、吸込面25aに対して大きな入射角度で十分に流入させることができる。この結果、熱交換器25で発生する風切音を抑制することができる。
【0030】
図6(d)および図(h)に示すように、ブレード62からの気流を受けやすいように第1辺451は下流側に膨出した第1円弧47aを備える。また第2辺461は下流側に膨出した第2円弧47bを備える。第1円弧47aと第2円弧47bは曲率と長さが共通である。A−A、B−B、C−C各端面図における第1側面47はLA=LB=LCの長さであり、円弧の深さはMA=MB=MCである。よって第1側面47は第1辺451から第2辺461の間で同じ曲率と長さの円弧が吸込面25aに対する角度だけが徐々に変化した面となる。
【0031】
尚、羽根板42は板体であり、第2側面48は第1側面47と平行な面となる。
【実施例2】
【0032】
整流板4は一枚の板体の羽根板42で形成されるが、これに限らず図7に示すように複数の羽根板52、53、54からなる整流板5でもよい。羽根板52、53、54は上流側から下流側に順に上羽根板52、中羽根板53、下羽根板54が平行に配置され、整流板4で示すところの互いの上面45が上板55で接続され、互いの下面46が下板56で接続される。
【0033】
図7(c)(d)(e)に示すように整流板4で示すところの装着面43からファン側面44までの上羽根板52の高さH1、中羽根板53の高さH2、下羽根板54の高さH3は、H1<H2<H3の関係に設定されている。また、上羽根板52と中羽根板53の間隔L1と、中羽根板53と下羽根板54の間隔L2との関係は、L1<L2に設定されている。各羽根板52、53、54は、整流板4の羽根板42と同じように上流側に向けて傾斜した捻られた形状である。ターボファン6から距離が離れるにつれて徐々に羽根板52、53、54を大きくしていくことで、気流が届きにくい熱交換器25の角部25bにも気流が導かれやすくなる。またブレード62の変化する入射角度に合わせて整流板5の複数の羽根板52、53、54の角度もそれぞれの変化することで風切音を抑制することができる。
【符号の説明】
【0034】
1:天井埋込型空気調和機、10:本体ユニット、13:天板、14:内箱、19:ドレンパン
21:ファンモータ、25:熱交換器、25a:吸込面、251:フィン、252:伝熱管
30:化粧パネル、32:吸込グリル
4:整流板、41:係合爪、42:羽根板、43:装着面、44:ファン側面、45:上面、451:第1辺、46:下面、461:第2辺、47:第1側面、47a:第1円弧、47b:第2円弧、48:第2側面
5:整流板、52:上羽根板、53:中羽根板、54:下羽根板、55:上板、56:下板
6:ターボファン、61:ハブ、62:ブレード、63:シュラウド
71、72、73:入射角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8