(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、HPターボ過給機(高圧側ターボ過給機)の動作を制御するECVとACV、そしてLPターボ過給機(低圧側ターボ過給機)の動作を制御するEBV、のそれぞれの制御を、5つに分割した領域毎に切り替えることで実現している。5つの領域があるので4つの領域境界があり、当該領域境界を横切る際、ACV、ECV、EBVの動作が切り替えられることでトルク段差が発生する。そして引用文献1では、特にターボモード1からターボモード2への領域の移行時において発生するトルク段差を回避するために、エンジン回転数の変化状態や燃料噴射量の変化状態から領域の移行を予測した予測制御をECVの制御に反映している。
【0008】
しかし、予測制御は複雑な制御であるとともに、エンジン回転数の変化状態や燃料噴射量の変化状態が徐々に変化して充分な予測時間がある場合しか予測制御が有効に行われない可能性がある。例えば、ユーザがアクセルベダルを中間開度から急激に踏み込んで燃料噴射量が急激に増量した場合では、充分な予測時間を確保できず、トルク段差が生じてしまう可能性が考えられる。エンジンの運転状態を複数の領域に分割し、領域毎にACV、ECV、EBVの動作を切り替える方法では、トルク段差の発生を回避することは非常に困難である。
【0009】
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、高圧側ターボ過給機と低圧側ターボ過給機を有する2ステージターボ過給機を備えた内燃機関の制御方法において、内燃機関の運転領域を複数の領域に分割して領域毎にアクチュエータの動作を切り替えるのではなく、よりシンプルな制御にて各種のアクチュエータの動作を切り替え、切り替えによって発生するトルク段差を、よりシンプルな制御にて抑制することができる、内燃機関の制御方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明に係る内燃機関の制御方法は次の手段をとる。まず、本発明の第1の発明は、低圧側ターボ過給機と高圧側ターボ過給機とが直列に配置された2ステージターボ過給機と、前記高圧側ターボ過給機の高圧側タービンをバイパスする高圧側タービンバイパス経路及び当該高圧側タービンバイパス経路の開度を調整可能な高圧側タービンバイパスバルブであるECVと、前記高圧側ターボ過給機の高圧側コンプレッサをバイパスする高圧側コンプレッサバイパス経路、及び当該高圧側コンプレッサバイパス経路の開度を調整可能または開閉可能な高圧側コンプレッサバイパスバルブであるACVと、前記低圧側ターボ過給機の低圧側タービンをバイパスする低圧側タービンバイパス経路及び当該低圧側タービンバイパス経路の開度を調整可能な低圧側タービンバイパスバルブであるEBV、または、前記低圧側ターボ過給機に設けられて低圧側タービンへ導く排気の流速を調整可能な低圧側可変ノズルと、前記ECVと、前記ACVと、前記EBVまたは前記低圧側可変ノズルと、を制御する制御装置と、を用いた内燃機関の制御方法である。そして、内燃機関の運転状態に応じて予め設定された前記ECVの開度のベースとなるECVベース開度が、予め設定されたECV第1所定開度以上になった後、ACV切替条件が成立した場合に前記ACVを全閉状態から全開状態へと制御するACV全開ステップと、前記ACVを全閉状態から全開状態へと制御した場合は、前記ECVを全開状態へ向けて制御する、ECV連動全開ステップと、を有する、内燃機関の制御方法である。
【0011】
次に、本発明の第2の発明は、上記第1の発明に係る内燃機関の制御方法であって、前記ACV切替条件は、前記ECVの開度がECV連動開度以上、かつ、前記ACVの下流側の圧力と前記ACVの上流側の圧力との差であるACV前後差圧が所定圧力範囲内、を含む、内燃機関の制御方法である。
【0012】
次に、本発明の第3の発明は、上記第1の発明または第2の発明に係る内燃機関の制御方法であって、前記ECV連動全開ステップにて前記ECVを全開状態へ向けて制御する際、前記ECVの開度を徐々に全開状態へと近づけるように制御する、内燃機関の制御方法である。
【0013】
次に、本発明の第4の発明は、上記第1の発明〜第3の発明のいずれか1つに係る内燃機関の制御方法であって、前記ECV連動全開ステップにて前記ECVを全開状態へ向けて制御した後、前記ECVベース開度が、前記ECV第1所定開度よりも小さな開度として予め設定されたECV第2所定開度以下となった場合に、前記ECVの開度を、現在の開度から前記ECVベース開度に基づいた開度であるECV可変開度へ向けて制御し、前記ACVを全開状態から全閉状態へと制御する、ECV・ACV復帰ステップを有する、内燃機関の制御方法である。
【0014】
次に、本発明の第5の発明は、上記第4の発明に係る内燃機関の制御方法であって、前記ECV・ACV復帰ステップにて前記ECVの開度を、現在の開度から前記ECV可変開度へ向けて制御する際、前記ECVの開度を徐々に前記ECV可変開度へと近づけるように制御する、内燃機関の制御方法である。
【0015】
次に、本発明の第6の発明は、上記第1の発明〜第5の発明のいずれか1つに係る内燃機関の制御方法であって、前記低圧側タービンバイパス経路及び前記EBVを用いる場合では、前記EBVを、前記ECVベース開度が前記ECV第2所定開度以下となって前記ACVを全閉状態に制御した場合に全閉状態に制御し、前記ACVを全開状態に制御している場合に、内燃機関の運転状態に応じて予め設定されたEBVベース開度に基づいた開度にてフィードバック制御する。また、前記低圧側可変ノズルを用いる場合では、前記低圧側可変ノズルを、前記ECVベース開度が前記ECV第2所定開度以下となって前記ACVを全閉状態に制御した場合に、内燃機関の運転状態に応じて予め設定された低圧側可変ノズルベース開度に制御し、前記ACVを全開状態に制御している場合に、前記低圧側可変ノズルベース開度に基づいた開度にてフィードバック制御する、内燃機関の制御方法である。
【発明の効果】
【0016】
第1の発明によれば、ECVベース開度がECV第1所定開度以上となった後、ACV切替条件が成立した場合にACVを全閉状態から全開状態へと制御しており、内燃機関の運転領域を複数の領域に分割して領域毎にアクチュエータの動作を切り替えるのではなく、よりシンプルな制御にてアクチュエータの動作を切り替えることができる。また、ACVを全閉状態から全開状態へと制御した場合にECVを全開状態へ向けて制御することで、切り替えによって発生するトルク段差を、よりシンプルな制御にて抑制することができる。
【0017】
第2の発明によれば、ACV前後差圧が所定圧力範囲内であることを検出することで、高圧側ターボ過給機による過給の効果が薄れていることを適切に検出できる。またECV開度がECV連動開度以上であることを検出することで、運転領域内における高圧側ターボ過給機の有効使用領域の上限側であることを適切に検出できる。従って、ACVを全閉状態(高圧側ターボ過給機による過給を実行)から全開状態(高圧側ターボ過給機による過給を停止)に切り替えるべき最適なタイミングを、運転領域を複数の領域に分割することなく、かつ高圧側ターボ過給機の個体毎の誤差等にかかわらず、容易に検出することができる。
【0018】
第3の発明によれば、ACVを全閉状態から全開状態へと切り替えたことによって高圧側ターボ過給機による過給の実行を停止した際、ECVにて高圧側ターボ過給機へ導く排気の量を、急激に減少させるのではなく徐々に減少させる。これにより、切り替えによって発生するトルク段差を、よりシンプルな制御にて抑制することができる。
【0019】
第4の発明によれば、高圧側ターボ過給機による過給を停止するべき運転領域から、高圧側ターボ過給機による過給を実行するべき運転領域に移行したことを、運転領域を複数の領域に分割することなく、適切に検出できる。また、ACVを全開状態から全閉状態へと制御した場合に、ECVの開度を、現在の開度からECV可変開度(中間開度)へ向けて制御することで、切り替えによって発生するトルク段差を、よりシンプルな制御にて抑制することができる。
【0020】
第5の発明によれば、ACVを全開状態から全閉状態へと切り替えたことによって高圧側ターボ過給機による過給を停止状態から実行状態へと切り替えた際、ECVにて高圧側ターボ過給機へ導く排気の量を、急激に増加させるのではなく徐々に増加させる。これにより、切り替えによって発生するトルク段差を、よりシンプルな制御にて抑制することができる。
【0021】
第6の発明によれば、運転領域を複数の領域に分割することなく、低圧側タービンバイパス経路及びEBVを用いる場合では、ACVを全閉状態に制御した低負荷及び中負荷の領域では、EBVを全閉状態に制御して排気エネルギーを捨てることなく低圧側ターボ過給機にて利用することができる。またACVを全開状態に制御した高負荷の領域では、EBVベース開度に基づいてEBVの開度をフィードバック制御することで、低圧側ターボ過給機における排気エネルギーの有効利用と低圧側ターボ過給機の保護とを両立させることができる。また低圧側可変ノズルを用いる場合では、ACVを全閉状態に制御した低負荷及び中負荷の領域では、低圧側可変ノズルの開度をフィードバック制御することなく低圧側可変ノズルベース開度に制御する。またACVを全開状態に制御した高負荷の領域では、低圧側可変ノズルベース開度に基づいて低圧側可変ノズルの開度をフィードバック制御することで、低圧側ターボ過給機における排気エネルギーの有効利用と低圧側ターボ過給機の保護とを両立させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
●[内燃機関の制御システムの概略構成(
図1、
図2)と、制御装置70の入出力(
図3)]
以下に本発明を実施するための形態を図面を用いて説明する。まず
図1及び
図2を用いて、内燃機関の制御システムの概略構成について説明する。本実施の形態の説明では、内燃機関の例として、車両に搭載された4気筒のエンジン10(例えばディーゼルエンジン)を用いて説明する。エンジン10には、エンジン10の各気筒45A〜45Dへの吸入空気を導入する吸気管11が接続されている。またエンジン10には、各気筒45A〜45Dからの排気ガスが吐出される排気管12が接続されている。各気筒45A〜45Dには、燃料配管42A〜42Dを介してコモンレール41に接続されたインジェクタ43A〜43Dが設けられている。
【0024】
まず、吸気管に関して説明する。吸気管には、流量検出手段21からエンジン10に向かって(吸気の上流側から下流側に向かって)、吸気管11A、11B、11C、11D、11が順に接続されている。吸気管11Aと吸気管11Bとの間には、低圧側ターボ過給機60の低圧側コンプレッサ65が設けられている。吸気管11Cと吸気管11Dとの間には、高圧側ターボ過給機50の高圧側コンプレッサ55が設けられている。吸気管11には、過給された吸気を冷却するインタークーラ16と、吸気管11の開度を調整可能な電子スロットル装置47が設けられ、排気ガスの一部を吸気管11に戻すためのEGR配管13が接続されている。また吸気管11Bと吸気管11Cとの境界近傍と、吸気管11Dと吸気管11との境界近傍には、高圧側コンプレッサ55をバイパスする高圧側コンプレッサバイパス配管11X(高圧側コンプレッサバイパス経路に相当)が接続されている。そして高圧側コンプレッサバイパス配管11Xには、高圧側コンプレッサバイパス配管11Xを開閉可能な高圧側コンプレッサバイパスバルブであるACV(55V)が設けられている。なお吸気管11B、11C、11D、高圧側コンプレッサバイパス配管11Xは、一体的な構造とされていてもよい。
【0025】
吸気管11Aには、低圧側コンプレッサ65の上流側の吸気の圧力を検出する圧力検出手段65T(圧力センサ等)が設けられている。吸気管11Bには、低圧側コンプレッサ65の下流側(高圧側コンプレッサ55の上流側)の吸気の圧力を検出する圧力検出手段65Q(圧力センサ等)が設けられている。吸気管11には、高圧側コンプレッサ55の下流側の吸気の圧力を検出する圧力検出手段55Q(圧力センサ等)が設けられている。制御手段71は、圧力検出手段65T、65Q、55Qからの検出信号に基づいて、各位置の吸気の圧力を検出可能である。
【0026】
次に排気管に関して説明する。排気管には、エンジン10から低圧側タービン66に向かって(排気の上流側から下流側に向かって)、排気管12、12A、12B、12C、12D、12E、12Fが順に接続されている。排気管12Aと排気管12Bとの間には、高圧側ターボ過給機50の高圧側タービン56が設けられている。排気管12Dと排気管12Eとの間には、低圧側ターボ過給機60の低圧側タービン66が設けられている。また排気管12と排気管12Aとの境界近傍と、排気管12Bと排気管12Cとの境界近傍には、高圧側タービン56をバイパスする高圧側タービンバイパス配管12X(高圧側タービンバイパス経路に相当)が接続されている。そして高圧側タービンバイパス配管12Xには、高圧側タービンバイパス配管12Xの開度を調整可能な高圧側タービンバイパスバルブであるECV(56V)が設けられている。また排気管12Cと排気管12Dとの境界近傍と、排気管12Eと排気管12Fとの境界近傍には、低圧側タービン66をバイパスする低圧側タービンバイパス配管12Y(低圧側タービンバイパス経路に相当)が接続されている。そして低圧側タービンバイパス配管12Yには、低圧側タービンバイパス配管12Yの開度を調整可能な低圧側タービンバイパスバルブであるEBV(66V)が設けられている。なお排気管12A、12B、12C、12D、12E、高圧側タービンバイパス配管12X、低圧側タービンバイパス配管12Yは、一体的な構造とされていてもよい。
【0027】
排気管12Aには、高圧側タービン56の上流側の排気の圧力を検出する圧力検出手段56T(圧力センサ等)が設けられている。排気管12Cには、高圧側タービン56の下流側(低圧側タービン66の上流側)の排気の圧力を検出する圧力検出手段56Q(圧力センサ等)が設けられている。排気管12Fには、低圧側タービン66の下流側の圧力を検出する圧力検出手段66Q(圧力センサ等)が設けられている。制御手段71は、圧力検出手段56T、56Q、66Qからの検出信号に基づいて、各位置の排気の圧力を検出可能である。
【0028】
EGR配管13は、排気管12と吸気管11とを連通し、排気管12内の排気ガスの一部を吸気管11に還流させることが可能である。EGR配管13には、EGRクーラ15、EGR弁14が設けられている。EGR弁14(EGRバルブ)は、EGR配管13におけるEGRクーラ15に近接する排気流入側または排気流出側に配設されており、制御手段71からの制御信号に基づいて、EGR配管13の開度を調整する。EGRクーラ15は、EGR配管13における排気管12の側である排気流入側から排気ガスが流入され、EGR配管13における吸気管11の側である排気流出側から排気ガスを吐出する。またEGRクーラ15には、冷却用のクーラントが供給されている。EGRクーラ15は、いわゆる熱交換機であり、クーラントを用いて、流入された排気ガスを冷却して吐出する。
【0029】
流量検出手段21は、例えば吸入空気の流量を検出可能な流量センサであり、吸気管11Aに設けられている。制御手段71は、流量検出手段21からの検出信号に基づいて、エンジン10が吸入した吸入空気の流量である吸入空気流量を検出することが可能である。
【0030】
回転検出手段22は、例えば内燃機関の回転数(例えばクランク軸の回転数)や回転角度(例えば各気筒の圧縮上死点タイミング)等を検出可能な回転角度センサであり、エンジン10に設けられている。制御手段71は、回転検出手段22からの検出信号に基づいて、エンジン10の回転数や回転角度等を検出することが可能である。
【0031】
大気圧検出手段23は、例えば大気圧センサであり、制御装置70に設けられている。制御手段71は、大気圧検出手段23からの検出信号に基づいて、大気圧を検出することが可能である。
【0032】
アクセルペダル踏込量検出手段25は、例えばアクセルペダル踏込角度センサであり、アクセルペダルに設けられている。制御手段71は、アクセルペダル踏込量検出手段25からの検出信号に基づいて、運転者によるアクセルペダルの踏込量を検出することが可能である。
【0033】
電子スロットル装置47は、吸気管11に設けられており、制御手段71からの制御信号に基づいて吸気管11の開度を調整するスロットルを制御し、吸気流量を調整可能である。制御手段71は、スロットル開度検出手段47S(例えば、スロットル開度センサ)からの検出信号と目標スロットル開度に基づいて、電子スロットル装置47に制御信号を出力して吸気管11の開度を調整可能である。
【0034】
コモンレール41には燃料タンク(図示省略)から燃料が供給され、コモンレール41内の燃料は高圧に維持されて燃料配管42A〜42Dを介してインジェクタ43A〜43Dのそれぞれに供給されている。インジェクタ43A〜43Dは、各気筒45A〜45Dに対応させて設けられており、制御手段71からの制御信号によって各気筒内に所定のタイミングで所定量の燃料を噴射する。
【0035】
低圧側ターボ過給機60と高圧側ターボ過給機50は、直列に配置されて2ステージターボ過給機を構成し、低圧側ターボ過給機60で過給した吸気を、さらに高圧側ターボ過給機50で過給してエンジン10へと圧送することができる。
【0036】
高圧側ターボ過給機50は、高圧側コンプレッサインペラ55Aを有する高圧側コンプレッサ55と、高圧側タービンインペラ56Aを有する高圧側タービン56とを備えている。高圧側タービン56には、高圧側タービンインペラ56Aへ導く排気ガスの流速を制御可能な高圧側可変ノズル53が設けられており、高圧側可変ノズル53は、高圧側駆動手段51(電動モータ等)によって開度が調整される。制御手段71は、高圧側開度検出手段52(ノズル開度センサ等)からの検出信号と目標ノズル開度に基づいて、高圧側駆動手段51に制御信号を出力して高圧側可変ノズル53の開度を調整可能である。高圧側タービン56には、排気管12Aと排気管12Bが接続されている。排気管12Aからの高温高圧の排気ガスは、高圧側タービン56に導入されて高圧側タービンインペラ56A(及び高圧側コンプレッサインペラ55A)を回転駆動して排気管12Bへと吐出される。また制御手段71は、ECV(56V)を制御して、高圧側タービンバイパス配管12Xの開度を調整することができる。制御手段71は、例えばECV(56V)を全閉に制御すると、排気ガスのエネルギーを最大限に利用して高圧側タービン56を駆動することができる。また制御手段71は、例えばECV(56V)を全開に制御すると、排気ガスのほぼ全量を高圧側タービンバイパス配管12Xへと導き、高圧側タービン56の駆動をほぼ停止させることができる。なお
図1では、高圧側ターボ過給機50が、高圧側可変ノズル53、高圧側駆動手段51、高圧側開度検出手段52を備えている例を示しているが、高圧側可変ノズル53、高圧側駆動手段51、高圧側開度検出手段52は省略されていてもよい。
【0037】
高圧側コンプレッサ55には、吸気管11Cと吸気管11Dが接続されている。そして高圧側コンプレッサ55は、吸気管11Cから吸入空気を吸入して高圧側コンプレッサインペラ55Aにて圧縮し、圧縮した吸入空気を吸気管11Dに吐出することで過給する。制御手段71は、例えばACV(55V)を全閉に制御すると、高圧側コンプレッサ55による過給効果を最大限に利用することができる。また制御手段71は、例えばACV(55V)を全開に制御すると、高圧側コンプレッサ55の回転が低く高圧側コンプレッサ55が吸気抵抗となっている場合では、吸気のほぼ全量を高圧側コンプレッサバイパス配管11Xへと導くことができる。
【0038】
低圧側ターボ過給機60は、低圧側コンプレッサインペラ65Aを有する低圧側コンプレッサ65と、低圧側タービンインペラ66Aを有する低圧側タービン66とを備えている。低圧側タービン66には、排気管12Dと排気管12Eが接続されている。排気管12Dからの排気ガスは、低圧側タービン66に導入されて低圧側タービンインペラ66A(及び低圧側コンプレッサインペラ65A)を回転駆動して排気管12Eへと吐出される。また制御手段71は、EBV(66V)を制御して、低圧側タービンバイパス配管12Yの開度を調整することができる。制御手段71は、例えばEBV(66V)を全閉に制御すると、排気ガスのエネルギーを最大限に利用して低圧側タービン66を駆動することができる。また制御手段71は、例えばEBV(66V)を全開に制御すると、排気ガスのほぼ全量を低圧側タービンバイパス配管12Yへと導き、低圧側タービン66の駆動をほぼ停止させることができる。低圧側コンプレッサ65には、吸気管11Aと吸気管11Bが接続されている。そして低圧側コンプレッサ65は、吸気管11Aから吸入空気を吸入して低圧側コンプレッサインペラ65Aにて圧縮し、圧縮した吸入空気を吸気管11Bに吐出することで過給する。
【0039】
なお、
図1に示す低圧側タービン66と、排気管12D、12Eと、低圧側タービンバイパス配管12Yと、EBV(66V)と、からなる構成を、
図2に示す低圧側タービン66と、低圧側可変ノズル63と、低圧側駆動手段61(電動モータ等)と、低圧側開度検出手段62(ノズル開度センサ等)と、排気管12D、12Eに変更してもよい。
【0040】
制御装置70は、少なくとも、制御手段71、記憶手段73を有している。制御手段71は、例えばCPU(中央処理ユニット)であり、
図3に示すように、上述した各種の検出手段等からの検出信号が入力されて、エンジン10の運転状態を検出し、インジェクタ43A〜43D、EGR弁14、高圧側駆動手段51、電子スロットル装置47、ACV(55V)、ECV(56V)、EBV(66V)を駆動する制御信号を出力する。また制御手段71は、自身がインジェクタ43A〜43Dに出力した制御信号(噴射指令信号)によって、各気筒45A〜45Dに供給した燃料量を検出することが可能である。また制御手段71への入力、及び制御手段71からの出力は、
図1〜
図3の例に限定されず、種々の検出手段(冷却水温度検出手段、NOx検出手段、排気温度検出手段等)、種々のアクチュエータ(各種バルブ、各種ランプ等)が有る。なお
図3中における符号71A、71B、71Cの各部の説明については後述する。
【0041】
記憶手段73は、例えばFlash−ROM等の記憶装置であり、後述する処理を実行するためのプログラムや、各種の特性やデータ等が記憶されている。
【0042】
●[制御手段71の処理手順(
図4)]
次に
図4を用いて、
図1に示す2ステージターボ過給機(高圧側ターボ過給機50と低圧側ターボ過給機60)の制御における、ECV(56V)、ACV(55V)、EBV(66V)の制御の処理手順について説明する。なお
図4に示す処理手順の例では、
図1に示す高圧側ターボ過給機50の高圧側可変ノズル53(及び高圧側駆動手段51と高圧側開度検出手段52)が省略されている場合の例で説明する。
【0043】
例えば、従来では
図9の[運転領域]に示すように、運転領域を、現在のエンジン回転数と現在のエンジン負荷(燃料噴射量)に応じて、領域1(低負荷領域)、領域2(中負荷領域)、領域3(高負荷領域)の、3つの領域に分割している。そして
図9の[領域毎の制御方法]に示すように、領域毎に、ECV、ACV、EBV(または低圧側可変ノズル)を、全開状態、または全閉状態、またはベース開度+F/B量(エンジン回転数とエンジン負荷(燃料噴射量)に応じて求めたベース開度と、フィードバック量を加算した開度)、に制御している。
【0044】
図9に示す従来の制御方法では、例えばユーザがアクセルペダルを軽く踏み込んだ領域1の状態から、ユーザがアクセルペダルを大きく踏み込んで領域2と移行する加速要求を行った場合、制御装置は、加速要求に応じて過給圧を上昇させようとする。しかし、領域1から領域2へ移行した際、ECV、ACVの動作が切り替えられるので、この動作の切り替えによるトルク段差が発生する可能性がある。また、内燃機関の運転領域を複数の領域(
図9の例では領域1〜領域3)に分割し、領域毎にECV、ACV、EBV(または低圧側可変ノズル)の動作を切り替えており、制御が複雑化する可能性が有る。
【0045】
そこで本願では、内燃機関の運転領域を複数の領域に分けて領域毎にアクチュエータ(ACV、ECV、EBV等)の動作を切り替える制御方法を行わず、
図4のフローチャートに示す制御方法へと変更する。
図4のフローチャートに示す制御方法では、運転領域を複数の領域に分割して領域毎にアクチュエータの動作を切り替える制御を行っていないので、複雑な制御でなく比較的シンプルな制御とすることができる。以下、
図4のフローチャートに示す処理手順について説明する。
【0046】
制御手段71(制御装置70)は、例えば所定タイミング(例えば数[ms]〜数10[ms]等の所定時間間隔)にて、
図4に示す処理を起動し、起動した場合はステップS110へと処理を進める。
【0047】
ステップS110にて制御手段71は、現在のエンジンの運転状態に対応するECVベース開度を求め、ステップS115に進む。例えば、制御装置の記憶手段には、
図5の例に示すように、エンジン回転数と燃料噴射量(エンジン負荷に相当)に応じたECVベース開度が設定されたECVベース開度特性が記憶されている。例えばエンジン回転数がn1、燃料噴射量がt1の場合、制御手段71は、
図5に示すECVベース開度特性より、ECVベース開度c11を求める。
【0048】
ステップS115にて制御手段71は、求めたECVベース開度がα2(ECV第2所定開度)以下であるか否かを判定し、ECVベース開度がα2以下である場合(Yes)はステップS125Bに進み、ECVベース開度がα2以下でない場合(No)はステップS120に進む。
【0049】
ステップS120に進んだ場合、制御手段71は、求めたECVベース開度がα1(ECV第1所定開度)以上であるか否かを判定し、ECVベース開度がα1以上である場合(Yes)はステップS125Aに進み、ECVベース開度がα1以上でない場合(No)はステップS130に進む。
【0050】
ステップS125Aに進んだ場合、制御手段71は、α1履歴フラグを「1」にセットしてステップS130に進み、ステップS125Bに進んだ場合、制御手段71は、α1履歴フラグを「0」にリセットしてステップS130に進む。ステップS115、S120、S125A、S125Bの処理によって、α1履歴フラグは、
図7の例に示すようなヒステリシス特性(α1>α2)とされる。つまり、現在のα1履歴フラグの状態が「0」の場合では、ECVベース開度がα1以上となった場合にα1履歴フラグは「1」となる。また現在のα1履歴フラグの状態が「1」の場合では、ECVベース開度がα2以下となった場合にα1履歴フラグは「0」となる。
【0051】
ステップS130に進んだ場合、制御手段71は、α1履歴フラグが「1」であるか否かを判定し、「1」である(セット状態である)場合(Yes)はステップS320に進み、「0」である(リセット状態である)場合(No)はステップS140に進む。
【0052】
ステップS140〜ステップS1A5の処理は低負荷領域に相当する処理であり、ステップS140に進んだ場合、制御手段71は、ACV(55V)を全閉となるように制御してステップS145に進む。
【0053】
ステップS145にて制御手段71は、目標過給圧と実際の過給圧との偏差等に基づいて、ECVのフィードバック量(F/B量)を算出してステップS150に進む。なお、ECVのフィードバック量の算出方法は特に限定せず、既存の算出方法を流用することができる。
【0054】
ステップS150にて制御手段71は、ステップS110にて求めたECVベース開度と、ステップS145にて求めたECVフィードバック量とを加算した値を仮ECV開度に記憶してステップS155に進む。
【0055】
ステップS155にて制御手段71は、ECV徐減フラグが「1」であるか否かを判定し、ECV徐減フラグが「1」である場合(Yes)はステップS160に進み、ECV徐減フラグが「1」でない場合(No)はステップS170に進む。なお、ECV徐減フラグは、ステップS360にて「1」にセットされるフラグであり、ECVベース開度≧α1、かつACVを全開に制御した場合にセットされ、その後にECVベース開度≦α2となってECVの動作を切り替えた場合にECVを徐々に減少する際に使用するフラグである。
【0056】
ステップS160に進んだ場合、制御手段71は、現在の最終ECV開度を徐減ECV開度に記憶し、ECV徐減フラグを「0」にリセットしてステップS170に進む。
【0057】
ステップS170にて制御手段71は、徐減ECV開度から徐減量(所定量)を減算した値を徐減ECV開度に記憶し、ステップS175に進む。なお徐減量は固定量であってもよいし、エンジンの運転状態等に応じた可変量であってもよい。
【0058】
ステップS175にて制御手段71は、ステップS150にて記憶した仮ECV開度が、ステップS170にて記憶した徐減ECV開度以上であるか否かを判定し、仮ECV開度が徐減ECV開度以上である場合(Yes)はステップS180Aに進み、仮ECV開度が徐減ECV開度以上でない場合(No)はステップS180Bに進む。
【0059】
ステップS180Aに進んだ場合、制御手段71は、最終ECV開度に仮ECV開度を代入し、徐減ECV開度を「0」にリセットしてステップS185に進む。またステップS180Bに進んだ場合、制御手段71は、最終ECV開度に徐減ECV開度を代入してステップS185に進む。
【0060】
ステップS185にて制御手段71は、最終ECV開度にてECV(56V)の開度を制御してステップS1A5に進む。
【0061】
ステップS1A5にて制御手段71は、EBV(66V)を全閉となるように制御して処理を終了する。
【0062】
ステップS320〜ステップS3A5の処理及びステップS245〜ステップS2A5の処理は、高・中負荷領域に相当する処理であり、ステップS320に進んだ場合、制御手段71は、現在のACV(55V)の開度が全閉であるか否かを判定し、ACV(55V)が全閉である場合(Yes)はステップS325に進み、ACV(55V)が全閉でない場合(No)はステップS360に進む。
【0063】
ステップS325に進んだ場合、制御手段71は、最終ECV開度(現在のECVの開度)がα(ECV連動開度)以上であるか否かを判定し、α(ECV連動開度)以上である場合はステップS330に進み、α(ECV連動開度)以上でない場合(No)はステップS245に進む。
【0064】
ステップS330に進んだ場合、制御手段71は、|ACV前後差圧|がβ以下であるか否かを判定し、|ACV前後差圧|がβ以下である場合(ACV前後差圧が所定圧力範囲内である場合、Yes)はステップS340に進み、|ACV前後差圧|がβ以下でない場合(ACV前後差圧が所定圧力範囲内でない場合、No)はステップS245に進む。例えば制御手段71は、
図1に示す圧力検出手段65Qを用いてACVの上流側圧力を検出し、圧力検出手段55Qを用いてACVの下流側圧力を検出する。そして制御手段71は、|ACV下流側圧力−ACV上流側圧力|を求めることで、|ACV前後差圧|を求める。なお、「|ACV下流側圧力−ACV上流側圧力|≦β」と判定してもよいし、「−β≦ACV下流側圧力−ACV上流側圧力≦β」と判定してもよい。
【0065】
ステップS340に進んだ場合、制御手段71は、ACV(55V)を全開となるように制御してステップS360に進む。
【0066】
ステップS360にて制御手段71は、ECV徐減フラグを「1」にセットしてステップS365に進む。なおECV徐減フラグは、上述したステップS155〜S160の処理にて使用する。
【0067】
ステップS365にて制御手段71は、最終ECV開度(現在のECVの開度)が全開であるか否かを判定し、全開である場合(Yes)はステップS390に進み、全開でない場合(No)はステップS370に進む。
【0068】
ステップS370に進んだ場合、制御手段71は、最終ECV開度に徐増量(所定量)を加算した値を最終ECV開度に記憶し、ステップS385に進む。なお徐増量は固定量であってもよいし、エンジンの運転状態等に応じた可変量であってもよい。
【0069】
ステップS385にて制御手段71は、最終ECV開度にてECV(56V)の開度を制御してステップS390に進む。
【0070】
ステップS390にて制御手段71は、現在のエンジンの運転状態に対応するEBVベース開度を求め、ステップS395に進む。例えば、制御装置の記憶手段には、
図6の例に示すように、エンジン回転数と燃料噴射量(エンジン負荷に相当)に応じたEBVベース開度が設定されたEBVベース開度特性が記憶されている。例えばエンジン回転数がn2、燃料噴射量がt2の場合、制御手段71は、
図6に示すEBVベース開度特性より、EBVベース開度b22を求める。
【0071】
ステップS395にて制御手段71は、目標過給圧と実際の過給圧との偏差等に基づいて、EBVのフィードバック量(F/B量)を算出してステップS3A0に進む。なお、EBVのフィードバック量の算出方法は特に限定せず、既存の算出方法を流用することができる。
【0072】
ステップS3A0にて制御手段71は、ステップS390にて求めたEBVベース開度と、ステップS395にて求めたEBVフィードバック量とを加算した値を最終EBV開度に記憶してステップS3A5に進む。
【0073】
ステップS3A5にて制御手段71は、最終EBV開度にてEBV(66V)の開度を制御して処理を終了する。
【0074】
ステップS245に進んだ場合、制御手段71は、目標過給圧と実際の過給圧との偏差等に基づいて、ECVのフィードバック量(F/B量)を算出してステップS250に進む。なお、ECVのフィードバック量の算出方法は特に限定せず、既存の算出方法を流用することができる。
【0075】
ステップS250にて制御手段71は、ステップS110にて求めたECVベース開度と、ステップS245にて求めたECVフィードバック量とを加算した値を最終ECV開度に記憶してステップS285に進む。
【0076】
ステップS285にて制御手段71は、最終ECV開度にてECV(56V)の開度を制御してステップS2A5に進む。
【0077】
ステップS2A5にて制御手段71は、EBV(66V)を全閉となるように制御して処理を終了する。
【0078】
なお、ステップS110〜S130、ステップS320〜S340の処理は、「内燃機関の運転状態に応じて予め設定されたECVの開度のベースとなるECVベース開度が、予め設定されたECV第1所定開度(α1)以上になった後、ACV切替条件が成立した場合にACVを全閉状態から全開状態へと制御」する、ACV全開ステップに相当している。そして当該ACV全開ステップの処理を実行している制御手段71は、
図3に示すACV全開部71Aとして機能する。またACV切替条件は、ステップS325、S330にて判定した条件であり、ECVの開度がECV連動開度(α)以上、かつACV前後差圧が所定圧力(β)範囲内、を含む。つまり、高圧側ターボ過給機を用いても過給できなくなった中負荷状態に達した場合に、ACVを全閉から全開に切り替えており、予め設定した領域毎に切り替える場合と比較して、より効率よく高圧側ターボ過給機を利用することができる。
【0079】
また、ステップS365〜S385の処理は、「ACVを全閉状態から全開状態へと制御した場合、ECVを全開状態へ向けて制御」する、ECV連動全開ステップに相当している。そして当該ECV連動全開ステップの処理を実行している制御手段71は、
図3に示すECV連動全開部71Bとして機能する。
【0080】
また、ステップS110〜S185、ステップS360の処理は、「ECV連動全開ステップにてECVを全開状態へ向けて制御した後、ECVベース開度がECV第2所定開度(α2)以下となった場合、ECVの開度を、現在の開度からECV可変開度(ECVベース開度に基づいた開度)へ向けて制御し、ACVを全開状態から全閉状態へと制御」する、ECV・ACV復帰ステップに相当している。そして当該ECV・ACV復帰ステップの処理を実行している制御手段71は、
図3に示すECV・ACV復帰部71Cとして機能する。
【0081】
また、ステップS365〜S385の処理にて、ECV連動全開ステップにてECVを全開状態に向けて制御する際、ECVの開度を徐々に全開状態へと近づけている。また、ステップS360、ステップS150〜S185の処理にて、ECV・ACV復帰ステップにてECVの開度を、現在の開度からECV可変開度へ向けて制御する際、ECVの開度を徐々にECV可変開度へと近づけている。これにより、アクチュエータの動作の切り替えによって発生するトルク段差を、よりシンプルな制御にて抑制している。
【0082】
また、ステップS1A5の処理にて、ECVベース開度がECV第2所定開度(α2)以下となってACVを全閉状態に制御した場合、EBVを全閉状態に制御している。また、ステップS390〜S3A5の処理にて、ACVを全開状態に制御している場合、EBVを、内燃機関の運転状態に応じて予め設定されたEBVベース開度に基づいた開度に制御している。
【0083】
以上の説明では、低圧側ターボ過給機60に低圧側タービンバイパス配管12YとEBV(66V)とを有する場合の例を説明したが、低圧側タービンバイパス配管12YとEBV(66V)の代わりに低圧側可変ノズル63と低圧側駆動手段61と低圧側開度検出手段62を有する構成(
図2参照)に変更してもよい。この変更した構成の場合、低圧側可変ノズルを、ECVベース開度がECV第2所定開度(α2)以下となって前記ACVを全閉状態に制御した場合に、内燃機関の運転状態に応じて予め設定された低圧側可変ノズルベース開度に制御し、ACVを全開状態に制御している場合に、低圧側可変ノズルベース開度に基づいた開度にてフィードバック制御するように変更する。すなわち、
図4に示すフローチャートにおけるステップS1A5、S2A5の処理を、エンジンの運転状態に応じて求めた低圧側可変ノズルベース開度にて低圧側可変ノズルの開度を制御する処理に変更する。なお制御装置の記憶手段には、エンジン回転数と燃料噴射量に応じた低圧側可変ノズルベース開度が設定された低圧側可変ノズルベース開度特性が記憶されている。そして制御手段71は、低圧側可変ノズルベース開度特性とエンジン回転数と燃料噴射量を用いて低圧側可変ノズルベース開度を求める。また
図4に示すフローチャートにおけるステップS390、S395、S3A0、S3A5の各処理を、以下のように変更すればよい。ステップS390の処理を、低圧側可変ノズルベース開度を算出する処理に変更し、ステップS395の処理を、低圧側可変ノズルのフィードバック量(F/B量)を算出する処理に変更する。またステップS3A0の処理を、最終低圧側可変ノズル開度<――低圧側可変ノズルベース開度+低圧側可変ノズルのF/B量とする処理に変更し、ステップS3A5の処理を、低圧側可変ノズル<――最終低圧側可変ノズル開度にて制御する処理に変更する。
【0084】
また、以上の説明では、高圧側ターボ過給機50の高圧側可変ノズル53(及び高圧側駆動手段51と高圧側開度検出手段52)が省略されている場合の例で説明したが、高圧側可変ノズル53(及び高圧側駆動手段51と高圧側開度検出手段52)を有する構成に変更してもよい。この変更した構成の場合、
図4に示すフローチャートにおいて、適切な位置に、高圧側駆動手段と高圧側開度検出手段を用いた高圧側可変ノズルの制御を追加すればよい。
【0085】
●[本実施の形態の効果(
図8)]
以上に説明した処理による効果を、
図8に示す動作波形の例にて説明する。
図8は、同一の横軸(時間軸)に対して、ユーザがアクセルペダルを軽く踏んでいる状態(低回転・低負荷の状態)から、アクセルペダルを大きく踏み込んで加速要求をした場合における、アクセルペダル踏込量の状態、エンジン回転数の状態、エンジンの負荷の状態、ECVの開度、ACVの前後差圧(圧力差)、ACVの開度(開閉状態)、EBVの開度、過給圧の状態、の例を示している。
【0086】
本願では、ECV連動全開ステップ(ステップS365〜S385)にて、時間T1においてACVを全閉状態から全開状態に制御した際、ECVの開度を全開状態に向けて制御している(
図8中の「ECV開度」の[本願]にて示す実線部分を参照)。このECV連動全開ステップを行わなかった場合、ECVの開度は
図8中の「ECV開度」の[ECV連動全開なし]にて示す点線部分となる。
【0087】
そして、ECV連動全開ステップにて、
図8中の「ECV開度」における時間T1から時間T2の期間において、ECVを全開状態に制御している。従って、
図8中の「過給圧」における時間T1以降の期間では、ACV全開後の過給圧がより速く上昇するので、[本願]の実線にて示すように、過給圧の落ち込み(すなわち、トルク段差)を抑制している。ECV連動全開ステップを行わなかった場合では、
図8中の「過給圧」における時間T1以降の期間では、[ECV連動全開なし]の点線にて示すように、過給圧の落ち込みが発生する。
【0088】
本発明の内燃機関の制御方法は、本実施の形態で説明した処理、動作、動作波形等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
【0089】
また、本発明の内燃機関の制御方法を適用する対象制御システムは、
図1の例に示すものに限定されず、また車両に限定されず、種々の内燃機関に適用することが可能である。例えば
図1における低圧側ターボ過給機60及びその周囲の構成を、
図2に示す構成と変更してもよい。また、
図1に示す高圧側可変ノズル53、高圧側駆動手段51、高圧側開度検出手段52を省略してもよい。