特許第6579062号(P6579062)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6579062
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】シート搬送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/06 20060101AFI20190912BHJP
【FI】
   B65H5/06 B
   B65H5/06 D
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-165727(P2016-165727)
(22)【出願日】2016年8月26日
(65)【公開番号】特開2018-30708(P2018-30708A)
(43)【公開日】2018年3月1日
【審査請求日】2018年6月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】水口 恵介
【審査官】 大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−217345(JP,A)
【文献】 特開2009−286616(JP,A)
【文献】 特開2016−074506(JP,A)
【文献】 特開2002−193491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/06
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが載置されるシート載置部と、
該シート載置部に載置されたシートが所定の搬送方向に沿って搬送される搬送経路と、
該搬送経路において、前記搬送方向と直交するシートの幅方向の中央部に配置され、前記シート載置部に載置されたシートを前記搬送経路に送り出す給紙ローラーと、
該給紙ローラーよりも前記搬送方向の下流側に配置されたレジストローラー対と、
前記給紙ローラーと前記レジストローラー対間の前記搬送経路の湾曲部の頂部付近において、前記幅方向の中央部に配置され、シートを前記搬送経路に沿って搬送する搬送部材と、を備え、
前記搬送部材は、
駆動ローラーと、該駆動ローラーに圧接されて従動回転する従動ローラーと、を有し、
前記駆動ローラーは、
第1回転軸と、該第1回転軸と一体回転可能に支持される第1ローラー体と、を有し、
前記従動ローラーは、
第2回転軸と、該第2回転軸に回転可能に支持される第2ローラー体と、を有し、
前記第2ローラー体は、個々に独立して回転可能な少なくとも2つのローラー部に前記第2回転軸の軸方向に分割され
前記第1ローラー体は、前記給紙ローラーの第3ローラー体よりも広い幅を有し、
前記2つのローラー部の両端間の幅は、前記第1ローラー体の幅よりも広い、ことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記少なくとも2つのローラー部は、金型を用いて成形した樹脂成形品であり、
前記金型の抜き勾配の方向が異なる向きに、前記回転軸の軸方向に沿って配列されていることを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記ローラー体は、2つのローラー部を有し、
該2つのローラー部は、抜き勾配によって小径に形成された端部が互いに反対方向を向き、大径に形成された端部が互いに対向するように配置されていることを特徴とする請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
請求項1〜のいずれか1項に記載のシート搬送装置と、
該シート搬送装置によって搬送されたシートに画像を形成する画像形成部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを搬送するシート搬送装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンター等の画像形成装置には、搬送経路に沿って画像形成部にシートを搬送するシート搬送装置が備えられている。シート搬送装置は、シートを送り出すピックアップローラーと、ピックアップローラーで送り出されたシートを一枚ずつ捌いて搬送する給紙ローラーと、を備えている。また、搬送経路には、シート搬送装置よりも搬送方向下流側に、給紙ローラーで搬送されたシートのスキューを補正するレジストローラー対が備えられている。
【0003】
さらに、搬送経路のレイアウト等によっては、特許文献1に記載されているように、給紙ローラーとレジストローラー対との間に、シートの搬送を補助する中間ローラー対が配置される場合もある。中間ローラー対は、互いに押圧されるゴム製のコロと樹脂製のプーリと、を備える構成が一般的である。シートの搬送力を十分に確保するためには、コロとプーリとの間のニップの幅を広くすることが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−184821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、樹脂製のプーリを金型を用いて成形する際、抜き勾配によってプーリの軸方向に外径差が生じる。すると、軸方向におけるシートの搬送速度に差が生じ、所定の方向にシートがスキューする場合がある。コロとプーリとの間のニップ幅が広いほど、スキューの度合いは顕著となる。給紙ローラーとレジストローラー対との間に配置される中間ローラー対が1対の場合は、スキューの度合いが大きいと、レジストローラー対によって確実にスキューを補正できない虞がある。また、中間ローラー対が複数対の場合は、中間ローラー対間でシートが撓んでしわになりやすいという問題がある。
【0006】
本発明は上記事情を考慮し、中間ローラー対で発生するスキューやしわを防止し、シートを直進させることのできるシート搬送装置を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明のシート搬送装置は、シートが載置されるシート載置部と、該シート載置部に載置されたシートが搬送される搬送経路と、該搬送経路に設けられ、シートを前記搬送経路に沿って搬送する搬送部材と、を備え、前記搬送部材は、駆動ローラーと、該駆動ローラーに圧接されて従動回転する従動ローラーと、を有し、前記従動ローラーは、回転軸と、該回転軸に回転可能に支持されるローラー体と、を有し、前記ローラー体は、個々に独立して回転可能な少なくとも2つのローラー部に前記回転軸の軸方向に分割されていること個々に独立して回転可能な少なくとも2つのローラー部と、を特徴とする。
【0008】
このような構成を採用することにより、ローラー部の形状によってシートにスキューが発生しやすい場合、ローラー部が個々に回転することでスキューの現れ方が分散するので、シートのスキューを防止して直進させることができる。
【0009】
本発明のシート搬送装置において、前記少なくとも2つのローラー部は、金型を用いて成形した樹脂成形品であり、前記金型の抜き勾配の方向が異なる向きに、前記回転軸の軸方向に沿って配列されていることを特徴としても良い。
【0010】
このような構成を採用することにより、樹脂成型品のローラー部を用いた場合でも、スキューの現れ方が分散されるので、シートをより確実に直進させることができる。
【0011】
本発明のシート搬送装置において、前記ローラー体は、2つのローラー部を有し、該2つのローラー部は、抜き勾配によって小径に形成された端部が互いに反対方向を向き、大径に形成された端部が互いに対向するように配置されていることを特徴としても良い。
【0012】
このような構成を採用することにより、シートの中央部の搬送速度が速くなるので、しわの発生を防止できる。
【0013】
本発明のシート搬送装置において、前記搬送部材は、前記搬送方向と直交するシートの幅方向中央部に配置されていることを特徴としても良い。
【0014】
このような構成を採用することにより、搬送部材の幅を狭くしても、シートの寸法に関わらずシートを安定して搬送することができる。
【0015】
本発明のシート搬送装置は、前記シート載置部に載置されたシートを前記搬送経路に送り出す給紙ローラーと、該給紙ローラーの前記搬送方向下流側に配置されて、シートの先端を当接させて該シートにループを形成させることでシートのスキューを補正するレジストローラー対と、前記給紙ローラーと前記レジストローラー対との間の前記搬送経路に配置される中間ローラー対と、を備え、前記搬送部材は、前記中間ローラー対であることを特徴としても良い。
【0016】
このような構成を採用することにより、シートを撓みやしわを発生させずに搬送することができる。
【0017】
本発明の画像形成装置は、上記のいずれか記載のシート搬送装置と、該シート搬送装置によって搬送されたシートに画像を形成する画像形成部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ローラー部が個々に回転することで、スキューの現れ方が分散するので、シートのスキューを防止して直進させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係るプリンターの内部構造を模式的に示す側面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るシート搬送装置の一部を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係るシート搬送装置において、中間ローラー対を示す平面図である。
図4】本発明の一実施形態に係るシート搬送装置において、従動ローラーを示す平面図である
図5】本発明の一実施形態に係るシート搬送装置において、従動ローラーの変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る画像形成装置及びシート搬送装置について説明する。
【0021】
まず、図1を参照して、画像形成装置としてのプリンター1の全体の構成について説明する。図1はプリンターの概略を示す模式図である。以下の説明では、図1の紙面手前方向をプリンター1の前側(正面側)とし、左右の向きはプリンター1を正面から見た方向を基準とする。
【0022】
プリンター1の装置本体2には、シートSを給送するシート搬送装置4と、給送されたシートSにトナー像を形成する画像形成部6と、トナー像をシートSに定着する定着装置7と、トナー像が定着されたシートSを排出する排出装置8と、排出されたシートSを受け止める排出トレイ9と、が備えられている。
【0023】
また、装置本体2には、シート搬送装置4から、画像形成部6と定着装置7とを通り、排出装置8に向けてシートSが搬送される搬送経路10が形成されている。搬送経路10は、シート搬送装置4において画像形成部6へ向かってほぼ180°湾曲する湾曲部10aを有している。搬送経路10は、この湾曲部10aから画像形成部6を経て定着装置7へ略水平方向へ延び、定着装置7から排出装置8へ上向きに湾曲するように形成されている。
【0024】
次に、図1図2を参照して、シート搬送装置4について説明する。図2はシート搬送装置の一部を示す斜視図である。シート搬送装置4は、シートSが載置されるシート載置部21と、シート載置部21から搬送方向下流方向に向かって順に配置される、ピックアップローラー22と、給紙ローラー23と、搬送部材としての中間ローラー対24と、レジストローラー対5と、を備えている。
【0025】
シート載置部21は、シートを載置可能な寸法を有するトレイ状に形成されている。シート載置部21には、搬送方向と直交するシートSの幅方向を規制する一対のサイドカーソル31が、幅方向にスライド可能に支持されている。また、シート載置部21には、シートSの搬送方向後端を規制するエンドカーソル32が、搬送方向にスライド可能に支持されている。さらに、シート載置部21には、シートSが載置される載置板33が、搬送方向上流側端部を中心として回動可能に支持されている。載置板33の搬送方向下流側端部は、付勢部材(図示省略)によって上方に付勢されて、載置板33に載置されたシートSは、搬送方向下流側端部が上方に傾斜する傾斜姿勢に保持されるようになっている。載置板33の搬送方向下流側端部の幅方向中央には、摩擦パッド34が取り付けられている。
【0026】
ピックアップローラー22は、回転軸22aと、回転軸22aと一体回転可能に設けられるローラー体22bと、を有している。ピックアップローラー22は、載置板33の下流側端部の上方において、幅方向中央部に回転可能に支持されている。シートSが載置された載置板33が前述の傾斜姿勢に回動すると、シートSは摩擦パッド34とローラー体22bとに挟まれて、ピックアップローラー22が回転することで下流側へ送り出される。
【0027】
給紙ローラー23は、回転駆動軸23aと、回転駆動軸23aと一体回転可能に設けられるローラー体23bと、を有している。給紙ローラー23は、ピックアップローラー22の搬送方向下流側において、幅方向中央部に支持されている。回転駆動軸23aは、モーター等の駆動源(図示省略)によって回転駆動される。また、給紙ローラー23はピックアップローラー22とアイドルギアやタイミングベルトを介して連結している。これにより、給紙ローラー23が搬送方向(図1の反時計回り方向)に回転することで、ピックアップローラー22も給紙ローラー23と同じ方向に回転するようになっている。
【0028】
給紙ローラー23には、下方から分離ローラー35が圧接して、給紙ローラー23と分離ローラー35との間に分離ニップを形成している。給紙ローラー23が回転すると、分離ローラー35が給紙ローラー23とは反対方向に従動回転して、分離ニップに送り出されたシートSが搬送される。
【0029】
分離ローラー35は、一定のトルクがかかるまでは回転を停止し、一定値以上のトルクがかかると給紙ローラー23に従動して回転する。ピックアップローラー22から送り出されたシートSが一枚の場合は、分離ローラー35にかかるトルクは一定値よりも大きいので、分離ローラー35は給紙ローラー23に従動して回転し、シートSを搬送する。一方、送り出されたシートSが複数枚の場合は、分離ローラー35にかかるトルクが一定値以下となり、給紙ローラー23に対してシートSを挟んで停止することで、最上位のシートSが下方のシートSから分離されて給紙ローラー23によって下流側に搬送される。
【0030】
次に、図3及び図4を参照して、中間ローラー対24について説明する。図3は駆動ローラーと従動ローラーとを示す平面図、図4は従動ローラーを示す平面図である。
【0031】
中間ローラー対24は、図1にも示されるように、搬送経路10の内周側に配置される駆動ローラー41と、搬送経路10の外周側に配置される従動ローラー42と、を備えている。中間ローラー対24は、給紙ローラー23とレジストローラー対5との間の搬送経路10の湾曲部10aの頂部付近において、幅方向の中央部に配置されている。
【0032】
駆動ローラー41は、図3に示されるように、回転駆動軸41aと、回転駆動軸41aに一体回転可能に設けられるローラー体41bと、を有している。ローラー体41bは、例えばゴム製で、給紙ローラー23のローラー体23bよりも広い幅を有している。回転駆動軸41aは、モーターなどの駆動源(図示省略)によって回転駆動される。
【0033】
従動ローラー42は、図4に示されるように、回転軸51と、回転軸51に回転可能に支持されるローラー体52と、を有している。ローラー体52は、それぞれ独立して回転可能な2つのローラー部53に、回転軸51の軸方向に分割されている。2つのローラー部53は、所定の間隔dを開けて配置されて、それぞれ回転軸51の軸方向へ移動が規制されている。2つのローラー部53間の間隔dはできるだけ狭いことが好ましい。また、2つのローラー部53の両端間の幅Wは、駆動ローラー41のローラー体41bの幅よりも広い。
【0034】
図5を参照して、2つのローラー部53について説明する。図5は2つのローラー部の形状及び配置例を示す平面図である。
【0035】
2つのローラー部53は、金型を用いて樹脂を成形した成形品であり、図5(A)に示されるように、抜き勾配の方向が互いに逆となるように配置されている。詳細には、抜き勾配によって小径に形成された端部53aが互いに外側を向き、大径に形成された端部53bが互いに対向するように配置されている。
【0036】
図4に示されるように、従動ローラー42の回転軸51の両端部は、それぞれコイルばね55によって駆動ローラー41の方向に付勢されている。これにより、2つのローラー部53は、駆動ローラー41のローラー体41bに圧接されて、2つのローラー部53とローラー体41bとの間にニップが形成される。このニップにシートSが搬送されると、駆動ローラー41が回転することで下流側に搬送される。
【0037】
レジストローラー対5は、図1に示されるように、駆動ローラー61と、駆動ローラー61に圧接される従動ローラー62とを有している。駆動ローラー61は、所定のタイミングで回転停止するように駆動される。駆動ローラー61が回転停止すると、駆動ローラー61と従動ローラー62との間のニップにシートの先端が当接する。
【0038】
上記構成を有するシート搬送装置4のシート搬送動作について説明する。図2に示されるシート載置部21の載置板33に載置されたシートSは、一対のサイドカーソル31とエンドカーソル32とで、それぞれ幅方向と搬送方向との位置が規制される。その後、給紙ローラー23の回転駆動軸23aが駆動されてピックアップローラー22と給紙ローラー23とが回転すると、ピックアップローラー22によって、給紙ローラー23と分離ローラー35との間の分離ニップに、シートSが送り出される。この分離ニップにおいて、前述のようにシートSが捌かれ、シートSは一枚ずつ分離ニップから搬送経路10に搬送される。分離ニップを通過したシートSは、中間ローラー対24間のニップに搬送され、駆動ローラー41と従動ローラー42間に生じる搬送力によって下流側へ搬送される。
【0039】
ここで、中間ローラー対24の従動ローラー42の2つのローラー部53は、図5(A)に示されるように、抜き勾配の方向が異なっているので、2つのローラー部53の外径差によるスキューの現れ方が相殺されて、シートSにスキューが発生しにくくなっている。特に、2つのローラー部53は、抜き勾配によって小径に形成された端部53aが互いに外側を向き、大径に形成された端部53bが互いに対向するように配置されている。つまり、2つのローラー部53は、全体として中央側が大径で両端側が小径となっている。したがって、シートSの中央部の搬送速度が速くなり、シートSの中央部が引っ張れるように搬送されることで、しわが発生しにくくなっている。
【0040】
また、駆動ローラー41のローラー体41bの幅は、給紙ローラー23のローラー体23bの幅よりも広いので、給紙ローラー23とシートSとの摩擦で発生する紙粉が通過しにくくなり、紙粉による画像ムラの発生が防止される。さらに、従動ローラー42の2つのローラー部53の両端間の幅Wは、駆動ローラー41のローラー体41bの幅よりも広いので、2つのローラー部53の成形時に端部に発生する段差の影響がシートSに及び難くなり、折れ筋の発生を防止できる。
【0041】
中間ローラー対24から搬送されたシートSがレジストローラー対5に搬送される際、レジストローラー対4の駆動ローラー61は回転を停止している。これにより、搬送されたシートSの先端は駆動ローラー61と従動ローラー62との間のニップに当接する。ただし、中間ローラー対24の駆動ローラー41が回転しているので、中間ローラー対24によってシートSは搬送され続ける。その結果、シートSの先端の全域がニップに当接するまで、シートSにループが形成されて、シートSのスキューが補正される。その後、所定のタイミングでレジストローラー対5の駆動ローラー61を回転させると、シートSはニップから下流側の画像形成部6へ搬送される。
【0042】
上記説明したように本発明の給紙装置4によれば、中間ローラー対24の従動ローラー42のローラー体52を、それぞれ独立して回転する2つのローラー部53で構成したので、ローラー部53毎のスキューの現れ方が分散され、シートSのスキューが発生しにくくなっている。このため、レジストローラー対5によってより正確にスキューを補正することができる。したがって、簡易な構成でシートSを直進させることができる。
【0043】
さらに、2つのローラー部53は、抜き勾配によって小径に形成された端部53aが互いに外側を向き、大径に形成された端部53bが互いに対向するように配置されて、全体としては中央側が大径で両端側が小径となっている。これにより、シートSの中央部の搬送速度が速くなってシートSの中央部が引っ張られるので、しわの発生を防止できる。
【0044】
また、従動ローラー42のローラー部53を2つとしたことで、個々のローラー部53の幅は狭くなる。このため、抜き勾配による外径差が小さくなり、スキューの度合いを小さくできる。
【0045】
なお、2つのローラー部53の抜き勾配の方向は、図5(B)に示されるように、抜き勾配によって小径に形成された端部53aが互いに対向し、大径に形成された端部53bが互いに外側を向くように配置されてもよい。あるいは、図5(C)に示されるように、抜き勾配の方向が同じであってもよい。このような場合も、ローラー部53は個々に独立して回転するので、スキューの現れ方が分散され、スキューを発生しにくくできる。さらに、ローラー部53の数は2つ以上であってもよい。あるいは、ローラー部53は樹脂成型品以外でもよい。この場合、ローラー部53の形成過程においてローラー部53の軸方向における外径差が生じても、ローラー部53が個々に回転することで外径差の影響が現れにくくなるので、シートを安定に搬送することができる。
【0046】
また、本実施例では、給紙ローラー23とレジストローラー対5との間に一対の中間ローラー対24を配置したので、シートSの撓みやしわの発生を抑えることができる。ただし、給紙ローラー23とレジストローラー対5との間の搬送経路10のレイアウトや長さによっては、中間ローラー対24を複数対配置してもよい。
【0047】
また、ピックアップローラー22、給紙ローラー22、分離ローラー25、中間ローラー対24、レジストローラー対5は、幅方向中央部に配置されているので、シートSの寸法に関わらずシートSを安定に搬送することができる。
【0048】
上記した本発明の実施形態の説明は、本発明に係るシート搬送装置及び画像形成装置における好適な実施の形態を説明しているため、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。すなわち、上記した本発明の実施の形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、かつ、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能であり、上記した本発明の実施の形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【符号の説明】
【0049】
1 プリンター(画像形成装置)
4 シート搬送装置
5 レジストローラー対
21 シート載置部
23 給紙ローラー
24 中間ローラー対(搬送部材)
41 駆動ローラー
42 従動ローラー
51 回転軸
52 ローラー体
53 ローラー部
図1
図2
図3
図4
図5