特許第6579070号(P6579070)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6579070
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20190912BHJP
   G03G 15/01 20060101ALI20190912BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20190912BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20190912BHJP
【FI】
   G03G21/00 390
   G03G21/00 386
   G03G15/01 Z
   G03G15/08 330
   B41J29/38 Z
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-184177(P2016-184177)
(22)【出願日】2016年9月21日
(65)【公開番号】特開2018-49141(P2018-49141A)
(43)【公開日】2018年3月29日
【審査請求日】2018年7月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(74)【代理人】
【識別番号】100194146
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 明
(74)【代理人】
【識別番号】100194283
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 大勇
(74)【代理人】
【識別番号】100141324
【弁理士】
【氏名又は名称】小河 卓
(72)【発明者】
【氏名】小林 優也
【審査官】 岡▲崎▼ 輝雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−129184(JP,A)
【文献】 特開2006−106126(JP,A)
【文献】 特開2007−286489(JP,A)
【文献】 特開2012−088460(JP,A)
【文献】 特開2011−215598(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0278544(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
B41J 29/38
G03G 15/01
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体にトナーを定着させることによって前記媒体に画像を形成する動作を行い、前記トナーを収容した複数のトナーコンテナの各々が本体における複数のトナーコンテナ装着部に互換可能な構成で各々装着されて用いられる画像形成装置であって、
複数の前記トナーコンテナの各々には、前記トナーコンテナが収容する前記トナーの種類であるトナー種、及び前記トナーコンテナの識別番号を含む情報を記憶する情報記憶部が設けられ、
前記本体には、複数の前記トナーコンテナが装着された際に、複数の前記トナーコンテナの各々における前記情報記憶部をスレーブとした1−Wire通信(登録商標)で接続されることによって前記情報を前記トナーコンテナ側から順次入手し、
前記識別番号が適正であると認識された前記トナーコンテナにおいては、前記トナー種と当該トナーコンテナが装着された前記トナーコンテナ装着部との整合性を判定し、
全ての前記トナーコンテナ側から前記情報を入手した後に、
全ての前記トナーコンテナにおいて前記識別番号が適正でありかつ前記整合性が適正である場合に前記動作を認容する第1の制御を行わせ、
前記整合性が不適正である前記トナーコンテナがある場合には前記動作を認容しない第2の制御を行わせ、
前記識別番号が適正でないと認識された前記トナーコンテナがあり、かつ前記識別番号が適正であった前記トナーコンテナの全てにおいて前記整合性が適正であった場合には、前記動作の認容の可否を使用者に問い合わせる第3の制御を行わせる制御部を具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
複数の前記トナーコンテナ装着部のうちの一つを選択して当該トナーコンテナ装着部に装着された前記トナーコンテナの前記情報記憶部と前記制御部と選択的に接続する切替回路を具備することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記本体は4つの前記トナーコンテナ装着部を具備し、4種類の前記トナー種に対応した4つの前記トナーコンテナが用いられるカラープリンタであることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーによって画像パターンを媒体に定着させる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザプリンタ(プリンタ:画像形成装置)においては、静電気でトナーをドラムに付着させた後に、媒体(用紙)に定着させることによって、媒体に画像を形成する。このため、トナーは所定のトナーコンテナに収容され、動作時にはトナーはこのトナーコンテナから自動的に供給される構成とされる。このトナーコンテナはプリンタに脱着可能とされて装着される。トナーは消耗品であるため、トナーコンテナにおけるトナー残量が少なくなった場合には、警告が発せられ、使用者によって、トナーが十分に充填された新品のトナーコンテナに交換される。また、モノクロプリンタにおいては、通常は黒色のトナーを収容した1種類のトナーのみが用いられるのに対し、カラープリンタにおいては、通常は黒色(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色のトナーが用いられる。トナーコンテナは収容するトナーの色毎に設定されるため、モノクロプリンタにおいては1つ、カラープリンタにおいては上記の各色に対応した4つのトナーコンテナが同時に用いられる。
【0003】
このため、プリンタを適正に使用するためには、プリンタに1つあるいは4つのトナーコンテナを適正に装着することが必要となる。プリンタの本体には、モノクロプリンタにおいては1つ、カラープリンタにおいては4つのトナーコンテナ装着部が各トナーコンテナに対応して設けられ、各トナーコンテナは対応するトナーコンテナ装着部に対して脱着可能とされる。その脱着作業は、通常は使用者によって行われる。このため、プリンタは、トナーコンテナ装着部に対するトナーコンテナの装着が適正に行われるような構成とされる。特に、カラープリンタにおいては、4つ(4種類)のトナーコンテナの各々が装着されるトナーコンテナ装着部は予め定まっているため、この組み合わせと異なるようにトナーコンテナが装着されることがないように、トナーコンテナ及びトナーコンテナ装着部を構成することが好ましい。
【0004】
一方で、トナーコンテナを安価とするためには、トナーコンテナ自身を構成する部品は、全てのトナーコンテナで共通とすることが好ましい。例えば、特許文献1に記載されたプリンタにおいて用いられるトナーコンテナ(カートリッジ)の本体(カートリッジ本体:トナーコンテナ本体)は全てのトナーコンテナにおいて共通とされ、このカートリッジ本体に、収容するトナーの種類(トナー種)毎に異なる形状のコネクタ(トナーコンテナ側コネクタ)が設けられる。トナーコンテナ装着部にはこの各トナーコンテナ側コネクタと嵌合するプリンタ本体側コネクタがそれぞれ設けられるため、ある特定の種類のトナーコンテナは、特定のトナーコンテナ装着部(プリンタ本体側コネクタ)にしか装着することができない。更に、トナーコンテナ本体には小さなICチップが設置され、プリンタ本体側には、プリンタ本体全体の動作を制御する制御部が設けられる。この制御部は、トナーコンテナ側コネクタ、プリンタ本体側コネクタを介してこのICチップと通信可能とされ、ICチップに記憶された情報を読み取ることができる。このトナーの種類(トナー種:色)は、この記憶された情報の中に含まれるため、これによっても、トナーコンテナが適正に装着されたか否かを制御部が認識することができ、適正に装着されていないと認識された場合には、制御部は、プリンタを動作させないように制御することができる。
【0005】
ここで、実際には品質が粗悪な模造品のトナーコンテナが装着される場合もありうる。このようなトナーコンテナが装着された状態でプリンタを動作させた場合には、適正に画像出力がなされないだけでなく、これによってプリンタ本体側が悪影響を受ける場合もある。このため、トナーコンテナの組み合わせが適正でなかった場合と同様に、こうした模造品のトナーコンテナが装着された場合にも、プリンタを動作させないように制御することが好ましい。このため、ICチップに記憶された情報の中にはトナーコンテナの識別番号も含まれ、この識別番号が適正でなく、トナーコンテナが模造品であると推定されると制御部が認識した場合には、印刷動作をするようにこのプリンタが操作された場合でも、プリンタを動作させずに警告を発する設定とすることができる。
【0006】
上記のトナー種、識別番号を含んだ情報は、ICチップに搭載された不揮発性記憶素子(EEPROM)に記憶される。制御部は、ICチップとの間で通信を行い、この情報を入手し、全てのプリンタ本体側コネクタを介してこの情報が入力され、かつこの情報における必要な項目が全て適正であった場合のみプリンタを動作させ、不適正な項目があった場合には、プリンタを動作させないような制御をすることができる。これにより、例えば、本来必要であるはずのトナーコンテナが認識されない場合や、トナーコンテナが装着されたことは認識されたが適正な識別番号が認識されなかった場合等においては、プリンタを動作させないようにすることができる。これによって、制御部は、適正なトナーコンテナが全て適正に装着されていると認識された場合でのみ、このプリンタを動作させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−210615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の技術においては、トナーコンテナ本体は全ての種類のトナーコンテナで共通とされたものの、トナーコンテナには、種類毎に異なるコネクタ(トナーコンテナ側コネクタ)が設けられていた。トナーコンテナを更に安価とするためには、トナーコンテナ側コネクタも含めてトナーコンテナを全ての種類で共通とすることが好ましい。ただし、こうした場合には、誤った組み合わせでトナーコンテナをトナーコンテナ装着部に装着することが可能となってしまう。これに対しては、前記の通り、制御部は、各トナーコンテナ装着部に対して適正なトナーコンテナが装着されたか否かをICチップに記憶された情報、例えばトナー種より判定することができる。
【0009】
特許文献1に記載の技術において、制御部とICチップとの間の通信に、プリンタ本体側の制御部をマスター、各トナーコンテナ側のICチップをスレーブとした2線式のI2C(Inter−Integrated Circuit)通信を用いることができる。I2C通信は、2線式の同期式シリアル通信インターフェースを用いた通信であり、特にEEPROM等との間の高速通信に適している。I2C通信においては、各ICチップ(スレーブ)にはI2C通信における自己のアドレス(スレーブアドレス)が設定され、通信の際にこのスレーブアドレスが用いられる。I2C通信を用いた場合には、上記のように、ICチップに記憶された情報を常に適正に制御部が認識することができる。このため、上記のように仮に誤ってトナーコンテナが装着された場合でも、これを制御部が認識することができる。
【0010】
しかしながら、一方で、I2C通信を用いた場合には、例えば非公表の識別番号を上記のようにICチップに記憶させた場合でも、この識別番号を、I2C通信用のトナーコンテナ側コネクタを介して読み出すことは容易であった。これによって、形状だけでなく、ICチップに記憶される情報(識別番号等)まで含めてトナーコンテナを模造することも可能であり、品質が粗悪な模造品のトナーコンテナが用いられるおそれがあった。
【0011】
このため、セキュリティ能力が高く、かつトナーコンテナの装着の適正・不適正に応じて動作の可否を判定することができる安価なプリンタが求められた。
【0012】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、上記課題を解決できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の画像形成装置は、媒体にトナーを定着させることによって前記媒体に画像を形成する動作を行い、前記トナーを収容した複数のトナーコンテナの各々が本体における複数のトナーコンテナ装着部に互換可能な構成で各々装着されて用いられる画像形成装置であって、複数の前記トナーコンテナの各々には、前記トナーコンテナが収容する前記トナーの種類であるトナー種、及び前記トナーコンテナの識別番号を含む情報を記憶する情報記憶部が設けられ、前記本体には、複数の前記トナーコンテナが装着された際に、複数の前記トナーコンテナの各々における前記情報記憶部をスレーブとした1−Wire通信(登録商標)で接続されることによって前記情報を前記トナーコンテナ側から順次入手し、前記識別番号が適正であると認識された前記トナーコンテナにおいては、前記トナー種と当該トナーコンテナが装着された前記トナーコンテナ装着部との整合性を判定し、全ての前記トナーコンテナ側から前記情報を入手した後に、全ての前記トナーコンテナにおいて前記識別番号が適正でありかつ前記整合性が適正である場合に前記動作を認容する第1の制御を行わせ、前記整合性が不適正である前記トナーコンテナがある場合には前記動作を認容しない第2の制御を行わせ、前記識別番号が適正でないと認識された前記トナーコンテナがあり、かつ前記識別番号が適正であった前記トナーコンテナの全てにおいて前記整合性が適正であった場合には、前記動作の認容の可否を使用者に問い合わせる第3の制御を行わせる制御部を具備することを特徴とする。
本発明の画像形成装置は、複数の前記トナーコンテナ装着部のうちの一つを選択して当該トナーコンテナ装着部に装着された前記トナーコンテナの前記情報記憶部と前記制御部と選択的に接続する切替回路を具備することを特徴とする。
本発明の画像形成装置において、前記本体は4つの前記トナーコンテナ装着部を具備し、本発明の画像形成装置は、4種類の前記トナー種に対応した4つの前記トナーコンテナが用いられるカラープリンタであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
上記の構成により、セキュリティ能力が高く、かつトナーコンテナの装着の適正・不適正に応じて動作の可否を判定することができる安価な画像形成装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。
図2】本発明の実施の形態に係る画像形成装置における制御部の動作を示すフローチャートである。
図3】本発明の実施の形態に係る画像形成装置におけるトナーコンテナの装着の組み合わせの例と、これに対応する動作の例である。
図4】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の第1の変形例における制御部の動作を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の第1の変形例におけるトナーコンテナの装着の組み合わせの例と、これに対応する動作の例である。
図6】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の第2の変形例の構成を示す図である。
図7】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の第2の変形例における制御部の動作を示すフローチャートである。
図8】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の第2の変形例におけるトナーコンテナの装着の組み合わせの例と、これに対応する動作の例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態に係るプリンタ(画像形成装置)について説明する。図1は、このプリンタ1の全体の構成を模式的に示す図である。このプリンタ1は、カラープリンタであるため、4種類のトナーコンテナ21〜24が図1における上側から順にプリンタ本体(本体)10に装着されて用いられる。プリンタ本体10においては、トナーコンテナ21〜24から供給されたトナーを用いて媒体(用紙)に対してカラー印刷が行われるが、このための機構については、従来より知られるカラープリンタ(例えば特許文献1)と同様であるため、説明を省略する。このプリンタ1においては、トナーコンテナ21〜24及びこれらの装着に伴うプリンタ本体10において行われる制御に特徴を有する。
【0017】
トナーコンテナ21〜24にはそれぞれ黒色(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のトナーが収容されている。トナーコンテナ21には、EEPROM(不揮発性記憶素子)が搭載された小さなICチップ(情報記憶部)211が内蔵されている。トナーコンテナ21においてトナーを収容する容器状の部分であるトナーコンテナ本体212には、ICチップ211と電気的に接続されたコネクタ端子であるトナーコンテナ側コネクタ213も設けられており、トナーコンテナ側コネクタ213を介してICチップ211にアクセスすることが可能である。ICチップ211、及びトナーコンテナ側コネクタ213とICチップ211との間の配線は、ICチップ211に対して1−Wire通信(登録商標)が可能なように構成される。トナーコンテナ22〜24の構成も、収容するトナー以外についてはトナーコンテナ21と同様である。このため、トナーコンテナ22、23、24のそれぞれは、ICチップ211と同様のICチップ221、231、241、トナーコンテナ本体212と同様のトナーコンテナ本体222、232、242、トナーコンテナ側コネクタ213と同様のトナーコンテナ側コネクタ223、233、243をそれぞれ具備する。トナーコンテナ本体212、222、232、242の構造、トナーコンテナ側コネクタ213、223、233、243の構造、ICチップ211、221、231、241の構成は、いずれも共通である。このため、トナーコンテナ21〜24は、収容するトナー以外の点については互換性がある。このため、図1では、トナーコンテナ21〜24が上から順にプリンタ本体10に装着されているが、これらの順序を変えてプリンタ本体10に装着することも可能である。
【0018】
ICチップ211、221、231、241のそれぞれのEEPROMに記憶された情報は、異なる。この情報の中には、トナーコンテナ21〜24がそれぞれ収容するトナーの種類(トナー種:色)、及びトナーコンテナ21〜24の識別番号等がある。このため、各トナーコンテナ本体、各トナーコンテナ側コネクタ、各ICチップとしては、同一仕様で量産したものを適宜用い、各ICチップをそれぞれ各トナーコンテナ本体に設置することができる。その後、各トナーコンテナ本体に各色のトナーを収容し、各ICチップに情報を書き込む(EEPROMに記憶させる)ことによって、上記のトナーコンテナ21〜24を構成することができる。あるいは、これらの情報を各ICチップに予め書き込んだ後に、各ICチップをそれぞれ各トナーコンテナ本体に設置してもよい。
【0019】
このように、トナーコンテナ21〜24は、収容するトナーと各々のICチップに記憶された情報以外については共通であるために、互換性をもつ。このため、トナーコンテナ21〜24の製造コストを低くすることができ、プリンタ1を安価とすることができる。また、同一のトナー種(色)に対応したトナーコンテナを複数設けることもできる。この際、上記の記憶された情報においては、トナー種は同一となるが、識別番号は異なるように設定し、トナーコンテナ個体と識別番号とを1対1に対応させることもできる。識別番号は、これらのトナーコンテナが純正品であり模造品でないことを認識できるように適宜設定することができる。また、トナー種や識別番号はこのトナーコンテナ21〜24が使用される前に書き込まれるのに対して、特許文献1に記載の技術と同様に、使用に際して更新されるデータ、例えばこのトナーコンテナを用いて印字した用紙の枚数(累積印字枚数)等も、後述する制御部15が記憶させることもできる。また、特許文献1に記載されるように、各トナーコンテナは、トナーを収納する部分以外にトナー種毎にドラム等が一体化されたプロセスカートリッジとして設けられていてもよい。
【0020】
プリンタ本体10には、上記のトナーコンテナ21〜24がそれぞれ脱着可能とされるトナーコンテナ装着部11〜14がそれぞれ設けられている。前記の通り、トナーコンテナ21〜24のハードウェアは共通であるため、トナーコンテナ装着部11〜14は独立に設けられるものの、その構成も共通である。トナーコンテナ装着部11〜14のそれぞれには、各トナーコンテナ側コネクタと結合して各ICチップと電気的に接続されるコネクタ端子であるプリンタ本体側コネクタ111、121、131、141がそれぞれ設けられている。トナーコンテナ装着部11〜14にそれぞれトナーコンテナ21〜24が装着される際には、各プリンタ本体側コネクタに各トナーコンテナ側コネクタが、それぞれ結合する。これによって、プリンタ本体10側と各ICチップ側との通信が可能となる。
【0021】
また、プリンタ本体10には、プリンタ1全体の制御を行う制御部15が設けられている。プリンタ1の動作は、接続されたパーソナルコンピュータからの指令、あるいは表面に設けられたスイッチ類やタッチパネルを使用者が操作することによって行われるが、制御部15は、この操作に際して、要求された動作の可否を判定する、あるいはこの操作に応じて使用者に問い合わせをする、等の制御を行う。この際、トナーコンテナ21〜24がプリンタ本体10に適正に装着されている場合にはプリンタ1の動作を認容し、明らかに適正に装着されていないと認識される場合にはプリンタ1の動作を認容しない。また、例えばトナーコンテナとして純正品ではないが使用可能なものが装着された場合等、トナーコンテナが適正であるとは認められないものの適正に使用できる可能性がある場合には、使用者に対して動作の可否の問い合わせが行われる。
【0022】
プリンタ本体10においては、トナーコンテナ21〜24のそれぞれから導入した各色のトナーを用いてカラー印刷を行い、この際には各色毎の動作を行う必要があるため、プリンタ本体10は、トナーコンテナ装着部11〜14のそれぞれからは、黒色(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のトナーがそれぞれ供給された場合に適正な出力をするように設定される。ここでは、図1において、トナーコンテナ装着部11(プリンタ本体側コネクタ111)にトナーコンテナ21(トナーコンテナ側コネクタ213)が、トナーコンテナ装着部12(プリンタ本体側コネクタ121)にトナーコンテナ22(トナーコンテナ側コネクタ223)が、トナーコンテナ装着部13(プリンタ本体側コネクタ131)にトナーコンテナ23(トナーコンテナ側コネクタ233)が、トナーコンテナ装着部14(プリンタ本体側コネクタ141)にトナーコンテナ24(トナーコンテナ側コネクタ243)が、それぞれ装着された状態が適正な状態とされる。図1においては、このようにトナーコンテナ21〜24がプリンタ本体10に対して適正に装着された状態が示されている。
【0023】
一方、前記の通り、各トナーコンテナをそれぞれ上記とは異なる組み合わせでトナーコンテナ装着部に装着することは可能である。この場合においても、プリンタ本体10側からプリンタ本体側コネクタ111、121、131、141を介して各ICチップにアクセスすることは可能である。
【0024】
ここで、制御部15は、マスター16を介してプリンタ本体側コネクタ111、121、131、141と接続されている。マスター16は、図1に示された状態において、ICチップ211、221、231、241をスレーブとした1−Wire通信を行う。制御部15とマスター16との間の通信としては、I2C通信を用いることができる。このため、制御部15は、マスター16を介して、各ICチップから、記憶された情報を読み出すことができる。
【0025】
1−Wire通信は、1線式の非同期式シリアル通信インターフェースを用いた通信であり、送信と受信が1本の信号線を用いて行われる。1−Wire通信を用いた構成の場合には、トナーコンテナ側コネクタから識別番号を読み出すことは、I2C通信を用いた場合よりも困難となる。このため、この通信に1−Wire通信を用いることによって、識別番号まで含めて模造された模造品が用いられることを抑制し、プリンタのセキュリティ能力をより高めることができる。すなわち、プリンタ本体10と各トナーコンテナ(ICチップ)との間の通信に1−Wire通信を用いることによって、プリンタ1のセキュリティ能力を高めることができる。
【0026】
ここで、1−Wire通信を用いた場合には、各スレーブ(各ICチップ)は並列に制御部に対して接続され、各ICチップにはICチップ自身の識別のためのコード(ROMコード)のみが設定され、I2C通信のようなスレーブとしてのアドレス(スレーブアドレス)は設定されない。このため、1−Wire通信を用いた際には、どのトナーカセット(ICチップ:スレーブ)がプリンタ本体10に対して接続されているかを認識することはできるが、どのICチップがどのように接続されたか、すなわち、図1において、各トナーカセット装着部に上からどういう順序でトナーカセットが装着されているかを認識することができない。このため、カラープリンタにおいて、制御部と各トナーコンテナ(ICチップ)との間の通信に1−Wire通信を用いた場合には、セキュリティ能力は高まるものの、トナーコンテナの装着の適正・不適正に応じてプリンタを動作させるべきか否かを制御部が判定することが困難であった。
【0027】
しかしながら、トナーコンテナが不適正に装着された場合においても、制御部15は、各ICチップに記憶された情報をマスター16を介して入手することができる。制御部15は、この情報から、前記の識別番号、トナー種を認識することができる。制御部15は、これによって、使用者による印刷を行わせるための操作を受け付けるか否かを認識することができる。この際、タッチパネル式のディスプレイ等を介して、使用者に問い合わせを行わせることもできる。
【0028】
図2は、この場合における制御部15の動作を示すフローチャートである。ここでは、出力(カラー印刷)を適正に行うことができると認識された場合には、印刷動作を認容する制御(第1の制御)が行われ、出力が適正に行われないことが明らかである場合には、印刷動作を行わせない制御(第2の制御)が行われる。一方、例えばトナーコンテナが社外品であるために識別番号が不適正となっているが適正な出力ができる可能性がある場合には、動作の可否を使用者に対して問い合わせる制御(第3の制御)が行われる。
【0029】
図2において、まず、制御部15は、マスター16を介して1−Wire通信で接続されたスレーブ(ICチップ)を認識する(S1)。その後、認識されたスレーブの一つとなったICチップから1−Wire通信によって情報を読み出し(S2)、予め定められたフォーマットでこの情報中に書き込まれた識別番号を抽出する(S3)。ここで得られた識別番号がこのプリンタ1においては適正であると制御部15が判断した場合(S4:Yes)には、このトナーコンテナは模造品ではないと推定され、前記の情報中からトナー種(色)を抽出する(S5)。識別番号が適正に抽出できなかった、もしくは識別番号が抽出できたがこのプリンタ1においてはこの識別番号が不適正であると認識された場合(S4:No)には、トナー種の抽出(S5)は行われない。識別番号は適正であると認識されたがトナー種の抽出ができなかった場合にはトナー種は不明であるとする。
【0030】
上記の情報の読み出し(S2)〜トナー種の抽出(S5)までの工程は、スレーブ(ICチップ)毎に行われ、認識された全てのスレーブについて同様に行われる(S6)。その後、識別番号が適正と認識され(S4:Yes)、かつトナー種が認識された(S5)スレーブの中で、トナー種の重複が認められるか否かが判定される(S7)。ここで、トナー種が明らかに重複したスレーブが存在した場合(S7:Yes)には、適正なカラー印刷を行うことが明らかに不可能であるため、印刷は行わせず、異常がある旨のメッセージを表示する(S8:第2の制御)。使用者は、これによって、トナーコンテナを点検して適正に装着し直すことができる。
【0031】
一方、トナー種の重複が認められない場合(S7:No)には、トナー種が認識されたスレーブが4つであったか否かが判定される(S9)。このスレーブが4つであった場合(S9:Yes)には、4つのトナーコンテナを用いて適正な動作が可能と推定し、制御部15は、このプリンタ1の動作を認容する(S10:第1の制御)。
【0032】
トナー種の重複がなく(S7:No)、かつトナー種が認識されたスレーブが3つ以下であった場合(S9:No)には、不適正な識別番号をもつトナーコンテナが含まれると認識され、このトナーコンテナが社外品であるが使用可能なものである場合がある。このため、制御部15は、プリンタ本体10のディスプレイ等を介して、使用者に、トナーコンテナを確認するように指示した上で、印刷動作を許可するか否かを問い合わせる(S11:第3の制御)。これに対して、プリンタ1に設けられた操作キーやタッチパネルによって使用者が許可することを選択すると(S11:Yes)、制御部15は、このプリンタ1の動作を認容する(S10)。一方、使用者がトナーコンテナの状況を認識した上でこれを許可しなかった場合(S11:No)には、印刷は行わせず、トナーコンテナが適正に装着されていない旨のメッセージを表示する(S8)。
【0033】
図3は、様々な組み合わせ(ケース1−1〜ケース1−7)でトナーコンテナをトナーコンテナ装着部に装着した場合に、図2のフローチャートによる制御を行った場合の結果を示す表である。ここで、スレーブ1〜スレーブ4は、図1におけるトナーコンテナ装着部11(プリンタ本体側コネクタ111)、トナーコンテナ装着部12(プリンタ本体側コネクタ121)、トナーコンテナ装着部13(プリンタ本体側コネクタ131)、トナーコンテナ装着部14(プリンタ本体側コネクタ141)のそれぞれに接続されたスレーブである。また、K、C、M、Yはそれぞれトナー種(色)の黒、シアン、マゼンタ、イエローを意味し、「認識不可」は、識別番号が不適正であった場合又は識別番号は適正であったがトナー種が識別できなかった場合を示す。
【0034】
図3において、ケース1−1は図1に示された通りの適正な組み合わせとなっており、この場合には正常な動作が行われる(S10)。ケース1−2〜ケース1−4においては、4つのスレーブにおいて識別番号が適正でありトナー種も認識できたが、Kが2つありCがない場合(ケース1−2)、Cが2つありMがない場合(ケース1−3)、Cが3つありM、Yがない場合(ケース1−4)が示されている。ケース1−2、1−3、1−4においては、降伏するトナー種が認められる(S7:Yes)ため、印刷動作は行われない(S8)。このように、重複するトナー種が存在し本来必要であるトナー種が存在しない場合には、適正なカラー印刷は極めて困難であるため、こうした場合には印刷は不可とされる。図3においては、このように印刷が不可であると判定される原因となった項目がハッチングで示されている。
【0035】
また、重複するトナー種は認められないが識別番号が適正と認識されたトナーコンテナが3つのみであるケース1−5、識別番号が適正と認識されたトナーコンテナが全くないケース1−6においては、問い合わせが行われ、プリンタの動作を許容するか否かは、使用者によって定められる(S11)。こうした場合にも印刷を行わせない設定も可能であるが、使用者が許可することにより(S11:Yes)、例えば社外品ではあるが実際には全く問題のないことが確認されたトナーコンテナを用いてこのプリンタ1を使用することができる。この場合には、問い合わせ(S11)に対するデフォールトの回答はNoとする、すなわち、例えば無回答で所定時間が経過した場合にはNoと設定されるような構成とすることが好ましい。
【0036】
上記の例ではプリンタ1がカラープリンタであり4つ(4種類)のトナーコンテナが同時に用いられるものとしたが、モノクロプリンタの場合には、単一のトナーコンテナが用いられ、通常はトナー種としては黒(K)のみが用いられる。この場合(第1の変形例)においては、図1における下方の3つのトナーコンテナ装着部(トナーコンテナ装着部12(プリンタ本体側コネクタ121)、トナーコンテナ装着部13(プリンタ本体側コネクタ131)、トナーコンテナ装着部14(プリンタ本体側コネクタ141))が存在せず、認識可能なスレーブは一つのみとなる。
【0037】
図4は、この場合の動作を示すフローチャートである。この場合には、スレーブが単一であるために、スレーブ認識(S1)、識別番号抽出(S3)、識別番号の適正・不適正の判定(S4)、トナー種情報抽出(S5)は、前記と同様に1回のみ行われる。この場合には認識されるスレーブは1つであるため、トナー種の重複の判定は不要であり、このトナー種がKであった場合(S13:Yes)のみに正常動作が行われる(S10:第1の制御)。識別番号が適正でないと判定された場合(S4:No)には、前記と同様に使用可能である社外品のトナーコンテナが装着されている可能性があるため、前記と同様に印刷動作を許可するか否かの問い合わせが行われ(S11:第3の制御)、その回答に応じて正常動作させる(S10)、又は動作させない(S8)ようにプリンタ1は制御される。
【0038】
また、トナー種がK以外である場合(S13:No)には、トナー種がC、M、Yのいずれかであるか否かの判定が行われる(S14)。トナー種がC、M、Yのいずれかであった場合(S14:Yes)には、明らかにモノクロプリンタとしては不適正であるため、使用は不可とされる(S8:第2の制御)。一方、トナー種がC、M、Yのいずれでもない場合(S14:No)には、使用が可能である場合があるため、識別番号が適正でないと判定された場合(S4:No)と同様に、印刷動作を許可するか否かの問い合わせが行われる(S11:第3の制御)。
【0039】
図5は、この構成において様々なトナーコンテナが装着された場合(ケース2−1〜ケース2−5)に、図4のフローチャートによる制御を行った場合の結果を示す表である。前記の通り、モノクロ印刷に適正であることが明らかなケース2−1の場合には動作可能(S10)とされ、モノクロ印刷が不可能であることが明らかなケース2−2、2−3、2−4の場合には動作不可(S8)とされる。トナーコンテナによってはモノクロ印刷が可能である場合もあると認識されるケース2−5の場合には、使用者によって動作の可否が判断される(S11)。この場合にも、問い合わせ(S11)に対するデフォールトの回答はNoとすることが好ましい。
【0040】
図1の構成においては、1−Wire通信が用いられているため、マスター16は、各スレーブを認識することはできるものの、各スレーブがマスター16に対してどう接続されているかは判定できない。このため、図3において、4種類のトナー種がケース1−1と同様に用いられているがその順序が異なるケース1−7の場合を、ケース1−1(適正な場合)と区別することは困難である。図6は、1−Wire通信を用い、かつこの識別も行えるようなプリンタ2(第2の変形例)の構成を示す図である。
【0041】
プリンタ本体(本体)30において、マスター16とプリンタ本体側コネクタ111、プリンタ本体側コネクタ121、プリンタ本体側コネクタ131、プリンタ本体側コネクタ141との間は、切替回路17を介して接続される。切替回路17は制御部18によって操作され、マスター16とプリンタ本体側コネクタ111以下のユニット(トナーコンテナ装着部11)、プリンタ本体側コネクタ121以下のユニット(トナーコンテナ装着部12)、プリンタ本体側コネクタ131以下のユニット(トナーコンテナ装着部13)、プリンタ本体側コネクタ141以下のユニット(トナーコンテナ装着部14)との間の接続を制御し、全てのユニットとマスター16との間、あるいは選択された1つのユニットとマスター16の間を接続させることができる。全てのユニットとマスター16との間が接続された状況は、図1の構成と同一である。
【0042】
この場合には、図6において、制御部18は、切替回路17の状態を認識した上で切替回路17を用いてICチップ211、221、231、241のうちの一つを選択してスレーブとすることができるため、1−Wire通信を用いた場合でも、各ICチップ(スレーブ)がどのように切替回路17に対して接続されているかを制御部18が認識することができる。このため、各トナーコンテナ(ICチップ)がどのように切替回路17(プリンタ本体30)に対して接続されているかを制御部18が認識することができる。このため、制御部18は、各トナーコンテナ装着部に装着されたトナーコンテナが適正か否かの判定も行うことができ、図3におけるケース1−7のようにトナーコンテナの順序のみが狂った場合に、使用不可とすることができる。
【0043】
図7は、このプリンタ2における制御部18の動作を示すフローチャートである。ここでも、出力(カラー印刷)を適正に行うことができると認識された場合に印刷動作を認容する制御(第1の制御)、出力が適正に行われないことが明らかである場合に印刷動作を認容しない制御(第2の制御)、適正な出力ができる可能性がある場合には動作の可否を使用者に対して問い合わせる制御(第3の制御)が、トナーコンテナの状況に応じて行われる。
【0044】
図7において、まず、制御部18は、切替回路17を制御し、マスター16と全てのICチップとを同時に接続することによって、1−Wire通信で接続されたスレーブ(ICチップ)を認識する(S1)。この状況は図2におけるスレーブの認識(S1)と同様であり、これによって、いくつのスレーブ(ユニット)がマスター16下に接続されたかを認識することができる。その後、制御部18は、切替回路17を制御し、認識されたうちの1つのユニットを選択し、これのみをマスター16と接続する(S21)。その後、このユニットを唯一のスレーブとしてICチップから情報を入手し(S2)、この情報中に書き込まれた識別番号を抽出する(S3)。この識別番号が適正であると制御部18が判断した場合(S4:Yes)には、前記の情報中からトナー種(色)を抽出する(S5)。
【0045】
この状態では、マスター16は選択された単一のICチップ(スレーブ)にしか接続されておらず、かつ制御部18は切替回路17が現在どのような設定となっているかを認識できるため、1−Wire通信を用いているにも関わらず、現在スレーブとして接続されているICチップ(トナーコンテナ)がどのユニット(トナーコンテナ装着部)に接続されているかを認識することができる。制御部18は、どのトナーコンテナ装着部にどのトナー種のトナーコンテナが装着されるべきかを認識しており、ここで認識されたトナー種(S5)がが、現在選択されたトナーコンテナ装着部と適合しているか否かを判定することができる(S22)。
【0046】
ユニットの選択(S21)、情報の入手(S2)、識別番号の抽出(S3)、識別番号が適正が否かの判定(S4)、トナー種の抽出(S5)、トナー種が適正か否かの判定(S22)は、認識された全てのスレーブ(ユニット)のそれぞれについて行われる(S23)。その後、認識されたユニット(S1)において、図2のフローチャート(プリンタ1)の場合にトナー種の重複を調べた(S7)のに代わり、トナー種が適合していなかったものがあるかが判定される(S24)。トナー種が適合していないユニットがある場合(S24:Yes)には、正常な出力ができないと判定され、動作は不可とされる(S8:第2の制御)。この際、例えば認識されたユニットにおいてトナー種が重複するものがある場合には、トナー種の重複があったこと自身は判定されないが、この場合には少なくともこのうち1つのトナー種はユニットと適合していないことになる(S24:Yes)ため、動作は不可とされる(S8)。
【0047】
一方、トナー種が適合していないと認められるユニットがなかった場合(S24:No)には、4つのユニット全てでトナー種が適合しているか否かが判定される(S25)。4つのユニット全てでトナー種が適切であると認識された場合(S25:Yes)には、正常な動作が可能であると判定されるため、動作が認容される(S10:第1の制御)。
【0048】
トナー種が適合していないと認識されたユニットがなく(S24:No)、かつトナー種が適合しているユニットは3つ以下である場合(S25:No)には、使用可能である社外品のトナーコンテナが装着されている可能性がある。このため、印刷動作を許可するか否かの問い合わせが行われ(S11:第3の制御)、その回答に応じて動作が認容される(S10:第1の制御)、又は動作が認容されない(S8:第2の制御)ように、プリンタ2は制御される。
【0049】
図8は、様々な組み合わせ(ケース3−1〜ケース3−8)でトナーコンテナをトナーコンテナ装着部に装着した場合に、図7のフローチャートによる制御を行った場合の結果を図3と同様に示す表である。図8において、ケース3−1は、図3におけるケース1−1と同様であり、図6に示された通りの適正な組み合わせとなっており、この場合には動作が認容される(S10)。ケース3−1と比べて、ケース3−2においてはMとCの装着箇所が入れ替わっており、ケース3−3においては全てのトナー種の位置が入れ替わっている。ケース3−6においてはKが本来と異なる装着箇所に装着されており、Kが本来入るべき装着箇所には認識不可のトナーコンテナが装着されている。これらのケースの場合には、いずれもトナー種が適合していないユニットが1つ以上認められる(S24:Yes)ため、プリンタ2は、動作しない(S8)。ケース3−3は図3におけるケース1−7と同一であり、このプリンタ2においては、全てのユニットでトナー種が適合していない(S24:Yes)ため、動作が不可とされる(S8)。
【0050】
また、重複するトナー種が存在するケースとして、Cが2つ存在するケース3−4、Cが3つ存在するケース3−5においては、それぞれ、1つのユニットでCが不適合、2つのユニットでCが不適合と判定される(S25:Yes)ため、動作は不可とされる(S8)。
【0051】
一方、ケース3−7、ケース3−8においては、トナー種が不適正と認識されたユニットは存在しない(S24:No)が、トナー種が適正と認識されたユニットはそれぞれ1つ、零である(S25:No)ため、問い合わせが行われ(S11)、それによって動作させる(S10)、動作させない(S8)かが設定される。
【0052】
このため、このプリンタ2においては、トナーコンテナの装着の状況に応じ、前記のプリンタ1よりも更に適切に動作の可否が判定される。なお、図2のフローチャート(プリンタ1)において、認識されたトナー種で重複するものがない場合(S7:No)かつ識別番号が適正なスレーブが4つあった場合(S9:Yes)において、直ちに動作を可(S10)とせずに、この場合にも一応問い合わせを行う(S11)ことにより、トナーコンテナの順序が間違っていた場合に動作を可とする(S10)ことを防止できる。この場合でも、少なくともトナー種が重複するために明らかに適正な出力ができない場合の動作を防止することができる。
【0053】
また、上記の例では、ICチップが記憶した情報の中で、識別番号とトナー種とが制御に用いられたが、これら以外のパラメータを用いることもできる。例えば、前記のように累積印字枚数もこの情報の中に含まれる場合には、累積印字枚数が所定の値を超えていたら、前記の識別番号が適正でないと認識した場合と同様の制御を行い、動作の可否を問い合わせるような構成とすることもできる。
【0054】
また、上記の例では、画像形成装置がプリンタ(カラープリンタ、モノクロプリンタ)であるものとしたが、複合機等、同様にトナー(トナーコンテナ)が複数種類あるいは1種類用いられる画像形成装置であれば、同様の制御が可能である。
【符号の説明】
【0055】
1、2 プリンタ(画像形成装置)
10、30 プリンタ本体(本体)
11〜14 トナーコンテナ装着部
15、18 制御部
16 マスター
17 切替回路
21〜24 トナーコンテナ
111、121、131、141 プリンタ本体側コネクタ
211、221、231、241 ICチップ(情報記憶部)
212、222、232、242 トナーコンテナ本体
213、223、233、243 トナーコンテナ側コネクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8