(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、
図1〜
図5を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0010】
図1を参照して、本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略構成を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置1を示す。画像形成装置1は複合機である。画像形成装置1は端末装置と通信可能である。端末装置は、シートに画像を形成することを要求するジョブを生成する。
【0011】
図1に示すように、画像形成装置1は、制御部10と、記憶部20と、画像形成部30と、受信部40と、タッチパネル50とを備える。制御部10は、中央処理装置を含み、記憶部20、画像形成部30、受信部40、及びタッチパネル50を制御する。また、制御部10は、送信要求処理を実行する。
【0012】
記憶部20は、各種データを記憶する。各種データには、ユーザー認証のための認証用データが含まれる。認証用データは、ユーザーと端末装置とを関連付けたテーブルを含む。テーブルは、例えば、ユーザーのID情報と端末装置のID情報(例えば物理アドレス)とを関連付けた情報を示す。画像形成部30は、シートRに画像を形成する。受信部40は端末装置からジョブを受信し、受信したジョブを制御部10に入力する。制御部10は、画像形成部30がジョブを実行するように、画像形成部30を制御する。
【0013】
ジョブは、特定のファイル又はデータによって示される画像をシートに形成するように要求する命令である。ジョブは、具体的には、画像をシートに形成する際の条件を含む。条件は、例えば、白黒及びカラーの別、レイアウトの設定(例えば、2in1、4in1)、及び印刷部数のような項目を含む。タッチパネル50は、各種情報を表示するとともに、ユーザーからの操作を受け付ける。
【0014】
画像形成装置1は、更に、収納部120と、搬送部130と、排出部140とを含む。収納部120は、シートRを収納する。搬送部130は、収納部120から画像形成部30を経て、排出部140までシートRを搬送する。排出部140は、画像が形成されたシートRを排出する。制御部10は、収納部120、搬送部130、及び排出部140を制御する。
【0015】
次に、
図2を参照して、画像形成装置と端末装置とを含むネットワークシステムを説明する。
図2は、ネットワークシステムを示す。
【0016】
図2に示すように、ネットワークシステム200は、画像形成装置1と、複数の端末装置2と、通信ネットワーク3とを含む。通信ネットワーク3は、画像形成装置1と複数の端末装置2とを接続する。
【0017】
端末装置2は、例えば据置式のパーソナルコンピューターであり、プリンタードライバー21と、表示装置22とを備える。プリンタードライバー21は、端末装置2が生成処理と送信処理とを実行するように端末装置2を制御するためのソフトウェアである。生成処理においては、端末装置2はジョブを生成する。送信処理においては、端末装置2は、生成されたジョブを画像形成装置1に送信する。表示装置22は、各種情報を表示する。
【0018】
通信ネットワーク3はローカル・エリア・ネットワークである。
【0019】
次に、制御部10と記憶部20とを詳細に説明する。
図2に示すように、制御部10は、送信要求部11と、ユーザー認証部12と、編集部13とを含む。記憶部20は、認証用データ31を記憶する。
【0020】
送信要求部11は、未実行ジョブを送信するよう端末装置2に要求する。具体的には、送信要求部11は、要求コマンドを端末装置2に送信する。要求コマンドは、未実行ジョブの送信を端末装置2に要求するコマンドである。未実行ジョブは、プリンタードライバー21によって生成されたジョブのうち、受信部40への送信処理が実行されていないジョブである。
【0021】
ユーザー認証部12は、認証用データ31を参照して、対象ユーザーが登録ユーザーであるか否かを判定する。対象ユーザーとは、ユーザー認証の対象となるユーザーである。登録ユーザーとは、端末装置2と関連付けて予め登録されているユーザーである。編集部13は、要求に応答して端末装置2から送信されたジョブを編集する。
【0022】
次に、
図2と
図3とを参照して、制御部10の動作を説明する。
図3は、送信要求処理を示すフローチャートである。
【0023】
図3に示すように、ステップS101において、制御部10は、ユーザー認証部12がユーザー認証に成功したか否か、即ち、対象ユーザーが登録ユーザーであるか否かを判定する。ユーザー認証は、例えば、パスワード入力、指紋照合、又はIDカードからのユーザーのID情報の読み取りに基づいて行われる。ユーザー認証部12がユーザー認証に成功しないと判定されたとき(ステップS101で「No」)、処理は終了する。ユーザー認証部12がユーザー認証に成功したと判定されたとき(ステップS101で「Yes」)、処理はステップS102に進む。
【0024】
ステップS102において、制御部10は、対象ユーザーのID情報を認証用データ31と照合し、対象ユーザーに関連付けられた端末装置2を特定する。
【0025】
ステップS103において、制御部10は、特定された端末装置2でプリンタードライバー21が起動しているか否かを判定する。典型的には、プリンタードライバー21は、ワープロソフトのようなアプリケーション・ソフトウェアによってジョブの生成が指示されたときに起動する。例えば、ユーザーが、特定のファイル又はデータに対して、アプリケーション・ソフトウェアで「印刷設定」のための画面を表示するように操作すると、プリンタードライバー21は起動する。プリンタードライバー21が起動していないと判定されると(ステップS103で「No」)、処理は終了する。プリンタードライバー21が起動していると判定されると(ステップS103で「Yes」)、処理はステップS104に進む。
【0026】
ステップS104において、制御部10は、プリンタードライバー21によって生成されたジョブの中に未実行ジョブが存在するか否かを判定する。例えば、表示装置22が特定のファイル又はデータに対して「印刷設定」のための画面を表示している状態で、「印刷」ボタンのクリックのような画像形成指示が行われていないとき、制御部10は、未実行ジョブが存在すると判定する。未実行ジョブが存在しないと判定されると(ステップS104で「No」)、処理は終了する。未実行ジョブが存在すると判定されると(ステップS104で「Yes」)、処理はステップS105に進む。
【0027】
ステップS105において、制御部10(具体的には送信要求部11)は、特定された端末装置2に対して要求コマンドを送信し、要求に応答して端末装置2から送信された未実行ジョブを表示するように、タッチパネル50を制御する。
【0028】
ステップS106において、制御部10は、タッチパネル50に表示されている未実行ジョブの実行が指示されたか否かを判定する。未実行ジョブの実行が指示されないと判定されると(ステップS106で「No」)、処理は終了する。未実行ジョブの実行が指示されたと判定されると(ステップS106で「Yes」)、処理はステップS107に進む。
【0029】
ステップS107において、制御部10は、実行が指示された未実行ジョブを実行するように、画像形成部30を制御し、処理は終了する。
【0030】
以上、
図1〜
図3を参照して説明したように、本実施形態の画像形成装置1によれば、プリンタードライバー21によって生成されたジョブの中に未実行ジョブがあるとき、要求コマンドが端末装置2に対して送信される。要求に応答して端末装置2から画像形成装置1に未実行ジョブが送信されると、画像形成部30によって未実行ジョブが実行され、シートRに画像が形成される。従って、ユーザーは、ジョブを生成するための操作を端末装置2まで戻って再度行う必要がなく、ユーザーの利便性が向上する。
【0031】
また、
図1〜
図3を参照して説明したように、本実施形態の画像形成装置1によれば、未実行ジョブが、シートRに画像を形成する際の条件を含む。従って、ユーザーは、画像形成装置1側で改めて条件を設定する操作を行う必要がなく、要求コマンドの送信を指示するための操作を行うだけで、画像が形成されたシートRを得ることができる。その結果、ユーザーの利便性が更に向上する。
【0032】
更に、
図1〜
図3を参照して説明したように、本実施形態の画像形成装置1によれば、ユーザー認証部12によって、対象ユーザーが登録ユーザーであるか否かが判定される。そして、対象ユーザーが登録ユーザーであるとき、対象ユーザーに関連付けられている端末装置2に対して要求コマンドが送信される。従って、登録ユーザー以外のユーザーによって、端末装置2に対して要求コマンドが送信されることを防止でき、セキュリティーを向上させることができる。
【0033】
次に、
図4及び
図5を参照して、送信要求処理を更に詳細に説明する。
図4は、表示装置22を示す。
【0034】
図4に示すように、表示装置22は、設定ウィンドウ221と、印刷ボタン222とを表示する。設定ウィンドウ221は、ジョブに含まれる条件をプリンタードライバー21によって設定するためのウィンドウである。設定ウィンドウ221は複数のプルダウンメニュー223を含む。複数のプルダウンメニュー223は、ジョブに含まれる複数の条件と対応している。プルダウンメニュー223によって表示される複数の項目のうちの1つを選択することによって、対応する条件が設定される。
【0035】
印刷ボタン222は、ジョブの送信を指示する操作を受け付けるアイコンである。例えば、ユーザーが印刷ボタン222をマウスクリックすることによって、ジョブが画像形成装置1に送信される。
【0036】
図5は、タッチパネル50を示す。タッチパネル50(表示部)には、メッセージ51と、ファイルリスト52と、印刷ボタン53と、編集ウィンドウ54とが表示されている。ファイルリスト52はカーソル521を含む。
【0037】
図5に示すように、メッセージ51は、対象ユーザーに関連付けられた端末装置2に未実行ジョブが存在するとき、タッチパネル50に表示される。メッセージ51は、未実行ジョブが存在することをユーザーに知らせるための文言を含む。ファイルリスト52は、未実行ジョブに対応するファイル又はデータを示す。カーソル521は選択中のファイル又はデータを指示する。
【0038】
例えば、端末装置2で複数のアプリケーション・ソフトウェアが起動され、複数のアプリケーション・ソフトウェアで異なるファイル又はデータがそれぞれ処理されているとき、プリンタードライバー21は複数のジョブを生成する。生成された複数のジョブに対して受信部40への送信処理が実行されていない場合には、端末装置2には複数の未実行ジョブが存在する。複数の未実行ジョブが端末装置2に存在するとき、制御部10は、複数の未実行ジョブに対応するファイル又はデータをファイルリスト52に表示するように、タッチパネル50を制御する。また、制御部10(選択部)は、ファイルリスト52に含まれる複数の未実行ジョブのうちの一つを選択する。制御部10は、選択中の未実行ジョブをカーソル521が指示するように、タッチパネル50を制御する。
【0039】
印刷ボタン53は、未実行ジョブの実行を指示する操作を受け付けるアイコンである。例えば、ユーザーが印刷ボタン222に対するタッチ操作を行うことによって、制御部10は、選択中のファイル又はデータに対応する未実行ジョブを実行するように、画像形成部30を制御する。
【0040】
編集ウィンドウ54は、未実行ジョブに含まれる条件を編集部13によって編集するためのウィンドウである。編集ウィンドウ54は複数のプルダウンメニュー541を含む。複数のプルダウンメニュー541は、未実行ジョブに含まれる複数の条件と対応している。プルダウンメニュー541によって表示される複数の項目のうちの1つを選択することによって、対応する条件が設定される。なお、編集ウィンドウ54で条件が編集されるジョブは、ファイルリスト52で選択中のファイル又はデータに対応している。
【0041】
以上、
図4及び
図5を参照して説明したように、本実施形態の画像形成装置1によれば、要求に応答して送信された未実行ジョブが編集部13によって編集される。従って、ユーザーは、端末装置2側の操作ではなく画像形成装置1側の操作によって、シートRに画像を形成する際の条件を修正することができる。その結果、ユーザーの利便性が更に向上する。
【0042】
また、
図4及び
図5を参照して説明したように、本実施形態の画像形成装置1によれば、複数の未実行ジョブがタッチパネル50に表示され、表示された複数の未実行ジョブのうちの一つが選択され、選択された未実行ジョブが実行される。従って、複数の未実行ジョブのうち実行の必要な未実行ジョブだけを実行することができ、不要な画像をシートに形成することを防止できる。
【0043】
以上、図面(
図1〜
図5)を参照しながら本発明の実施形態について説明した。本実施形態の画像形成装置1によれば、プリンタードライバー21によって生成されたジョブのうち画像形成装置1に送信されていない未実行ジョブを送信するよう端末装置2が要求される。要求に応答して端末装置2から画像形成装置1に未実行ジョブが送信されると、画像形成部30によってシートRに画像が形成される。従って、ユーザーは、ジョブの送信を要求するための操作を行うだけで、画像が形成されたシートRを得ることができる。その結果、ユーザーは、ジョブを生成するための操作を画像形成装置1側で再度行う必要がなく、ユーザーの利便性が向上する。
【0044】
但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である(例えば、下記(1)及び(2))。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0045】
(1)本発明の実施形態においては、端末装置2は据置式のパーソナルコンピューターであるが、本発明は、これに限られない。プリンタードライバーを備えていれば端末装置2はタブレットであってもよい。
【0046】
(2)本発明の実施形態においては、制御部10は、ユーザーが印刷ボタン53に対する操作を行ったときに未実行ジョブを実行するように、画像形成部30を制御したが、本発明は、これに限られない。対象ユーザーに関連付けられた端末装置2に未実行ジョブが存在さえすれば、制御部10は、未実行ジョブを受信すると直ちに未実行ジョブを実行するように、画像形成部30を制御してもよい。画像形成部30が直ちに未実行ジョブを実行することによって、ユーザーは、より短時間で画像が形成されたシートを得ることができる。