(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記動作検出回路は、前記送電開始から前記一定時間経過後に前記昇圧コンバータの動作を検出できなかったとき、異常動作カウント値をインクリメントすると共に、前記異常動作カウント値が所定値に達するまで送電の再開を繰り返し、前記異常動作カウント値が前記所定値に達したときに送電の再開を行わない、請求項1に記載のワイヤレス送電装置。
前記出力検出回路は、前記出力特性値が前記目標値よりも小さいときに前記送電指示信号のレベルを大きくし、前記出力特性値が前記目標値に対して大きいときに前記送電指示信号のレベルを小さくする、請求項3または4に記載のワイヤレス電力伝送システム。
前記送電指示信号は光信号であり、前記出力検出回路は、前記出力特性値と前記目標値との比較結果に基づき前記光信号の強度を制御する、請求項5に記載のワイヤレス電力伝送システム。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の第1の実施の形態によるワイヤレス電力伝送システムの構成を示すブロック図である。
【0020】
図1に示すように、ワイヤレス電力伝送システム1Aは、ワイヤレス送電装置10とワイヤレス受電装置20とを組み合わせてなり、ワイヤレス送電装置10からワイヤレス受電装置20に電力をワイヤレス伝送するものである。
【0021】
ワイヤレス送電装置10は、入力直流電圧V
inを昇圧する昇圧コンバータ11と、昇圧コンバータ11の出力電圧V
o1を交流電圧v
aに変換するインバータ12と、交流電圧v
aが供給されることにより交流磁界を発生させる送電コイル13と、ワイヤレス受電装置20から送られてくる送電指示信号を受信する受信回路14と、送電指示信号に従って昇圧コンバータ11の昇圧レベルを制御する昇圧制御回路15と、昇圧コンバータ11の動作の有無を検出する動作検出回路16と、インバータ12の動作を制御するインバータ制御回路17とを備えている。
【0022】
一方、ワイヤレス受電装置20は、交流磁界を介して交流電力を取り込む受電コイル21と、受電コイル21が受電した交流電力を直流電力に変換する整流回路22と、整流回路22の出力電圧(出力特性値)と目標電圧(目標値)との比較結果に基づき送電指示信号を生成する出力検出回路23と、送電指示信号を送信する送信回路24と、整流回路22の出力電圧(出力特性値)が閾値以上のときに受信回路14への送電指示信号の送信を許可するスタートアップ回路25とを備えている。
【0023】
ワイヤレス送電装置10の入力直流電圧V
inは、昇圧コンバータ11によって昇圧され、インバータ12によって交流電圧に変換された後、送電コイル13に供給される。ワイヤレス受電装置20の受電コイル21が受電エリア内に存在している場合、送電コイル13から発生した交流磁界は受電コイル21と鎖交し、受電コイル21に交流電圧が誘起される。交流電圧は整流回路22によって直流電圧に変換され、負荷30に供給される。
【0024】
整流回路22から負荷30に供給される直流電圧レベルは一定(例えば24V)であることが望ましい。しかし、整流回路22の実際の出力電圧は、送電コイル13と受電コイル21との磁気結合状態によって変動し、特に送電コイル13に対する受電コイル21の位置の影響が大きい。そこで本実施形態では、整流回路22の出力レベルに基づいて出力検出回路23が送電指示信号を生成し、ワイヤレス受電装置20の送信回路24から送電指示信号を送ってワイヤレス送電装置10側に整流回路22の出力レベルを通知する。
【0025】
送信回路24は送電指示信号を光信号に変換して出力し、受信回路14は光信号を電気信号に変換する。そのため、送信回路24はフォトダイオード等の発光素子を含み、受信回路14はフォトトランジスタ等の受光素子を含む。送電指示信号はアナログ信号であり、その大きさは整流回路22の出力レベルと目標レベルの大小関係に応じて変化する。昇圧コンバータ11の昇圧レベルは昇圧制御回路15によって制御されるが、昇圧制御回路15が送電指示信号に基づいて昇圧レベルを調整し、送電指示信号が大きいほど昇圧レベルを大きくすることにより、整流回路22の出力電圧レベルを一定に維持することができる。
【0026】
図2は、昇圧コンバータ11の構成の一例を示す回路図である。
【0027】
図2に示すように、昇圧コンバータ11は、一対の平衡ラインに並列挿入されたスイッチ素子Q
1と、スイッチ素子Q
1の前段に直列挿入されたチョークコイルL
1と、スイッチ素子Q
1の後段に直列挿入されたダイオードD
1と、平衡ラインの入力端子間に設けられた入力コンデンサC
1と、平衡ラインの出力端子間に設けられた出力コンデンサC
2とを備えており、スイッチ素子Q
1のオン・オフ動作は昇圧制御回路15によって制御される。昇圧制御回路15は、送電指示信号に基づいて、スイッチ素子Q
1をオン・オフする周期を制御することにより、後段のインバータ12に供給する直流電圧レベルを制御する。スイッチ素子Q
1のスイッチング周期におけるオン時間が長ければ昇圧レベルは高くなり、スイッチング周期におけるオン時間が短ければ昇圧レベルは低くなる。さらに、昇圧制御回路15に送電指示信号が供給されなければスイッチ素子Q
1のスイッチング制御は行われず、スイッチ素子Q
1はオフ状態に維持され、昇圧コンバータ11の出力電圧は入力電圧とほぼ同じレベルになる。
【0028】
図3(a)および(b)は、インバータ12の構成の一例を示す回路図である。
【0029】
図3(a)に示すように、インバータ12は4つのスイッチ素子Q
a,Q
b,Q
c,Q
dを用いたフルブリッジ方式のインバータであってもよい。また
図3(b)に示すように、インバータ12は2つのスイッチ素子Q
a,Q
bを用いたハーフブリッジ方式のインバータであってもよい。いずれの構成においても、各スイッチ素子はインバータ制御回路17によって制御される。またインバータ制御回路17は、動作検出回路16から例えばロウアクティブの停止信号を入力したとき、すべてのスイッチ素子をオフにしてインバータ12の動作を停止させる。
【0030】
図4は、ワイヤレス受電装置20側の構成の一例を示す回路図である。
【0031】
図4に示すように、ワイヤレス受電装置20は、受電コイル21、整流回路22、出力検出回路23、送信回路24およびスタートアップ回路25を備えている。出力検出回路23およびスタートアップ回路25の入力端子は共に整流回路22の出力端子に接続されており、整流回路22の出力電圧V
o2は、出力検出回路23およびスタートアップ回路25にそれぞれ入力される。
【0032】
出力検出回路23は、分圧抵抗R
11,R
12からなる分圧回路と、分圧回路によって分圧された整流回路22の出力電圧V
o2と基準電圧V
refとの電位差を増幅するオペアンプ26とを備えており、オペアンプ26の出力端子は送信回路24に接続されている。整流回路22の出力電圧V
o2は、分圧抵抗R
11,R
12によって分圧された後、出力検出回路23のオペアンプ26の非反転入力端子に入力される。またオペアンプ26の反転入力端子には基準電圧V
refが供給されている。
【0033】
またスタートアップ回路25は、分圧抵抗R
21,R
22からなる分圧回路と、分圧回路によって分圧された整流回路22の出力電圧V
o2を閾値電圧V
thと比較するコンパレータ27(比較回路)と、スイッチ素子Q
2とを備えている。スイッチ素子Q
2はPMOSトランジスタであり、そのソースは整流回路22の出力端子に接続されており、ドレインは送信回路24に接続されている。またスイッチ素子Q
2のゲート(制御電極)は抵抗R
23を介してコンパレータ27の出力端子に接続されている。また、整流回路22の出力電圧V
o2は、分圧抵抗R
21,R
22によって分圧された後、スタートアップ回路25のコンパレータ27の反転入力端子に入力される。またコンパレータ27の非反転入力端子には閾値電圧V
thが供給されている。
【0034】
送信回路24は信号出力ダイオードPD
s(フォトダイオード)、直列抵抗R
31および並列抵抗R
32を有し、送電指示信号は信号出力ダイオードPD
sから光信号として出力される。信号出力ダイオードPD
sのカソード側は出力検出回路23の出力端子に接続されており、信号出力ダイオードPD
sのアノード側はスタートアップ回路25の出力端子に接続されている。
【0035】
整流回路22の出力電圧V
o2が小さければオペアンプ26の出力電圧は小さくなるため、信号出力ダイオードPD
sの両端の電位差が大きくなり、信号出力ダイオードPD
sには大きな電流が流れ、送電指示信号は大きくなる。整流回路22の出力電圧V
o2が大きければオペアンプ26の出力電圧大きくなるので、信号出力ダイオードPD
sの両端の電位差が小さくなり、信号出力ダイオードPD
sには小さな電流が流れ、送電指示信号は小さくなる。このようにして、出力検出回路23は送電指示信号のレベルの大きさを制御する。
【0036】
スタートアップ回路25の入力に入力される整流回路22の出力電圧V
o2の分圧値(=V
o2・R
21/(R
21+R
22))が所定の閾値電圧V
thよりも大きければ、コンパレータ27の出力電圧はHレベルからLレベルに変化し、これによりスイッチ素子Q
2がオンになり、信号出力ダイオードPD
sには整流回路22の出力電圧V
o2とオペアンプ26の出力電圧との差が順方向バイアスとして印加される。したがって、信号出力ダイオードPD
sには整流回路22の出力電圧V
o2に反比例した電流が流れて、信号出力ダイオードPD
sから送電指示信号(光信号)が出力される。
【0037】
しかし、スタートアップ回路25に入力される整流回路22の出力電圧V
o2の分圧値が閾値電圧V
thよりも小さければ、コンパレータ27の出力電圧はHレベルを維持し、これによりスイッチ素子Q
2もオフのままであるため、信号出力ダイオードPD
sに電流は流れず、送電指示信号は出力されない。このようにして、スタートアップ回路25は送電指示信号を出力するか否かを制御する。
【0038】
本実施形態において、分圧抵抗R
22は可変抵抗であり、コンパレータ27の反転入力端子の入力電圧レベルを調整可能である。
【0039】
例えば、分圧抵抗R
22が比較的小さな値に設定されているときには、コンパレータ27の反転入力端子には整流回路22の出力電圧レベルに近い比較的大きな入力電圧が印加され、整流回路22の出力電圧V
o2が小さくてもコンパレータ27の出力電圧は容易にLレベルになるので、送電指示信号を出力させることができる。すなわち、送電コイル13との磁気結合状態が悪い位置に受電コイル21が存在しているため整流回路22の出力電圧V
o2が小さい場合でも、送電開始を許可することができる。このことは、送電開始条件を緩くして受電エリアを広げることができることを意味する。
【0040】
一方、分圧抵抗R
22が比較的大きな値に設定されているときには、コンパレータ27の反転入力端子には整流回路22の出力電圧レベルよりも十分に小さな入力電圧が印加され、整流回路22の出力電圧V
o2が大きくなければコンパレータ27の出力電圧をLレベルに変化させることができないので、送電指示信号を出力させることができない。すなわち、送電コイル13との磁気結合状態が悪い送電コイル13から少し離れた位置に受電コイル21が存在しているため整流回路22の出力電圧V
o2が小さい場合には、送電開始を許可することができない。このことは、送電開始条件を厳しくして受電エリアを狭めることができることを意味する。
【0041】
このように、本実施形態においては、分圧抵抗R
22を可変抵抗から構成し、入力設定部としての可変抵抗を調整することにより、送電開始可能な受電エリアを広げたり狭めたりすることができる。なお、分圧抵抗R
22を可変抵抗から構成せず、閾値電圧(非反転入力レベル)を変更可能に構成しても構わない。すなわち、入力設定部は、コンパレータ27の非反転入力端子に入力される閾値レベル(非反転入力レベル)および反転入力端子に入力される整流回路22からの出力レベル(反転入力レベル)の少なくとも一方を変更可能であればよい。
【0042】
図1に示すように、動作検出回路16は、昇圧判定部16aと、一定時間(例えば数秒)をカウントするタイマー部16bと、NANDゲート16cとを含み、送電開始から一定時間経過後の昇圧コンバータ11の動作の有無を検出する。昇圧判定部16aは、昇圧コンバータ11が昇圧動作を行っているときにはLレベル、昇圧動作を行っていないときにはHレベルの電圧を出力する。また、昇圧コンバータ11の昇圧動作を検出する方法としては、昇圧コンバータ11の入力電圧と出力電圧を比較する方法を挙げることができるが、この方法に限定されるものではなく、種々の方法を採用することができる。また、複数の方法を組み合わせて判定してもよい。
【0043】
タイマー部16bはワンショットタイマーであり、その出力電圧(タイマー電圧)は、イネーブル信号V
ENの入力をトリガーにして例えばHレベルからLレベルに変化し、一定時間経過後にHレベルに戻る。
【0044】
NANDゲート16cは、昇圧判定部16aの出力電圧とタイマー部16bの出力電圧の両方がHレベルのときにLレベルを出力し、それ以外はHレベルを出力する。したがって、動作検出回路16の出力電圧は、送電開始直後にHレベルとなり、送電開始から一定時間経過後に昇圧コンバータ11が昇圧動作を行っている場合にはHレベルを維持し、昇圧動作を行っていなければLレベルに変化する。
【0045】
イネーブル信号V
ENは送電指示信号と別の信号であり、ワイヤレス送電装置10全体をアクティブにして送電開始を指示する信号である。このようなイネーブル信号V
ENは、例えば、ワイヤレス送電装置10が電源投入などによってアクティブになったタイミングで出力されてもよく、ワイヤレス受電装置20が搭載された移動体の存在を監視カメラが検知したタイミングで出力されるようにしてもよく、ワイヤレス受電装置20側からの指示に従って出力されてもよく、その出力方法は特に限定されない。
【0046】
図5は、動作検出回路16の動作を説明するための電圧波形図である。
【0047】
図5に示すように、タイミングt
1においてイネーブル信号V
ENがLレベルからHレベルに変化すると、タイマー電圧V
t(タイマー信号)がHレベルからLレベルに変化した後、一定時間(タイマー時間)の経過後にHレベルに戻る。タイマー電圧V
tがLレベルを維持するタイミングt
1からt
2までの期間中は、NANDゲート16cの出力電圧V
stpはHレベルとなり、インバータ制御回路17はインバータ12の動作を許可する。
【0048】
タイマー電圧V
tがHレベルに戻るタイミングt
2において、昇圧判定部16aが昇圧コンバータ11の動作を検出しなければ、昇圧判定部16aの出力電圧V
dはHレベルのままであるため、NANDゲート16cの出力電圧V
stpはHレベルからLレベルに変化し、インバータ制御回路17はインバータ12の動作を停止させる。すなわち、動作検出回路16は、インバータ制御回路17に対して停止信号(Lレベル)を出力する。
【0049】
次に、タイミングt
3においてイネーブル信号V
ENがHレベルになった後、タイマー部16bがカウントする一定時間(タイマー時間)を経過する前のタイミングt
4においてイネーブル信号V
ENがLレベルになると、タイマー部16bのタイマー動作はリセットされ、タイマー電圧V
tは強制的にHレベルに戻される。これにより、タイマー電圧V
tと昇圧判定部16aの出力電圧V
dの両方がHレベルとなるので、インバータ制御回路17は、送電開始から短時間のうちにインバータ12の動作を停止させる。
【0050】
次に、タイミングt
5においてイネーブル信号V
ENがHレベルになった後、タイマー部16bがカウントする一定時間を経過する前のタイミングt
6において昇圧判定部16aが昇圧コンバータ11の動作を検出すると、昇圧判定部16aの出力電圧V
dがHレベルからLレベルに変化する。その後、タイマー電圧V
tがHレベルに戻るタイミングt
7において、昇圧判定部16aの出力電圧V
dはLレベルであるため、NANDゲート16cの出力電圧V
stpはHレベルを維持し、インバータ制御回路17はインバータ12の動作を維持する。すなわち、動作検出回路16は、インバータ制御回路17に対して停止信号(Lレベル)を出力しない。
【0051】
このように、動作検出回路16は、送電開始から一定時間経過後に昇圧コンバータ11の動作を検出できなかった場合には、インバータ制御回路17の動作を停止するための停止信号を出力するので、送電側から受電側に無駄な電力を供給し続けることを早期に停止することができ、また安全性を高めることができる。
【0052】
次に、ワイヤレス電力伝送システム1Aの全体的な動作について説明する。
【0053】
図6(a)および(b)は、ワイヤレス電力伝送システム1Aの送電側および受電側の動作を説明するための電圧・電流波形図であって、特に(a)は正常時の動作、(b)は異常時の動作について説明するためのものである。
【0054】
図6(a)に示すように、昇圧コンバータ11に所定の直流電圧V
inが入力されると、まだ昇圧動作を開始していない段階では、昇圧コンバータ11の出力電圧V
o1は入力電圧V
inとほぼ同じレベルである。昇圧コンバータ11の出力電圧V
o1はインバータ12で交流電圧に変換されて送電コイル13に供給され、これにより送電側から受電側に電力が供給される。
【0055】
受電コイル21が受電エリア内に存在する場合、ワイヤレス送電装置10が送電を開始すると、送電コイル13から発生した交流磁界が受電コイル21を介してワイヤレス受電装置20に取り込まれる。これにより、ワイヤレス受電装置20の整流回路22の出力電圧V
o2が短時間のうちに増加して所定の基準電圧以上となり、これにより出力検出回路23が動作を開始し、送電指示信号を送信可能な状態となる。また出力電圧V
o2が増加して所定の閾値以上になると、スタートアップ回路25の動作により送電指示信号の送信が許可され、送信回路24に電流I
rxが流れるので、信号出力ダイオードPD
sから光信号が出力される。すなわち、送信回路24は送電指示信号をワイヤレス送電装置10側に送信する。
【0056】
ワイヤレス送電装置10の受信回路14は、光信号を光電変換して得られる送電指示信号を昇圧制御回路15に出力する。昇圧制御回路15は送電指示信号に基づいて昇圧コンバータ11を制御し、昇圧コンバータ11は送電指示信号の大きさに比例した昇圧レベルで昇圧された出力電圧V
o1を供給する。
【0057】
整流回路22の出力電圧V
o2がまだ低いときにはオペアンプ26の入力電位差も小さいのでオペアンプ26の出力電圧は小さく、これにより信号出力ダイオードPD
sの順方向バイアスが大きくなるため、信号出力ダイオードPD
sに流れる電流I
rxは大きくなり、信号出力ダイオードPD
sの光強度も大きくなる。信号出力ダイオードPD
sの光強度が大きくなると、送電側の受信回路14で受信する送電指示信号も大きくなるので、昇圧コンバータ11の昇圧レベルも大きくなり、昇圧コンバータ11の出力電圧V
o1は上昇する。
【0058】
昇圧コンバータ11の出力電圧V
o1の上昇に伴って受電側の整流回路22の出力電圧V
o2が大きくなると、オペアンプ26の入力電位差が大きくなるのでオペアンプ26の出力電圧も大きくなり、これにより信号出力ダイオードPD
sの順方向バイアスが小さくなり、信号出力ダイオードPD
sに流れる電流I
rxが小さくなり、信号出力ダイオードPD
sの光強度も小さくなる。これにより、昇圧コンバータ11の出力電圧V
o1の上昇率は徐々に低下してある電圧レベルで一定となり、また信号出力ダイオードPD
sの光強度も徐々に低下して十分に弱い光強度で一定となる。
【0059】
一方、動作検出回路16が昇圧コンバータ11の昇圧動作を検出すると、動作検出回路16の昇圧判定部16aの出力電圧V
dがHレベルからLレベルとなる。送電開始から一定時間経過後にタイマー電圧V
tがHレベルになると、昇圧判定部16aの出力電圧V
d(Lレベル)とタイマー電圧V
t(Hレベル)がNANDゲート16cに入力されることにより、NANDゲート16cの出力電圧V
stp(停止信号)はHレベルに維持される。したがって、インバータ制御回路17はインバータ12の動作を停止させない。
【0060】
次に、受電側が電力を受電できない異常時の動作について説明する。
【0061】
図6(b)に示すように、昇圧コンバータ11に所定の直流電圧V
inが入力されると、まだ昇圧動作を開始していない段階では、昇圧コンバータ11の出力電圧V
o1が入力電圧V
inとほぼ同じレベルである点は同様である。昇圧コンバータ11の出力電圧V
o1はインバータ12で交流電圧に変換されて送電コイル13に供給され、これにより送電側から受電側に電力が供給される。
【0062】
受電コイル21が受電エリア外に存在する場合、ワイヤレス送電装置10が送電を開始しても受電コイル21が電力を受電できないため、整流回路22の出力電圧V
o2が十分に増加せず、整流回路22の出力電圧V
o2が所定の閾値に達しないため、出力検出回路23が動作を開始してもスタートアップ回路25が動作を開始せず、送電指示信号の送信が許可されない。そのため、送信回路24には電流I
rxが流れず、フォトダイオードからは光信号が出力されない。すなわち、送信回路24は送電指示信号をワイヤレス送電装置10側に送信しない。
【0063】
ワイヤレス送電装置10の受信回路14は、光信号を光電変換して得られる送電指示信号を受信しないため、昇圧制御回路15は送電指示信号に基づいて昇圧コンバータ11の昇圧レベルを制御せず、昇圧コンバータ11の出力電圧レベルは変化しない。
【0064】
このような状況では、動作検出回路16が昇圧コンバータ11の昇圧動作を検出することができないので、動作検出回路16の昇圧判定部16aの出力電圧V
dがLレベルに変化することはなく、Hレベルが維持される。送電開始から一定時間経過後にタイマー電圧V
tがHレベルになると、昇圧判定部16aの出力電圧V
d(Hレベル)とタイマー電圧V
t(Hレベル)がNANDゲート16cに入力されることにより、NANDゲート16cの出力電圧V
stp(停止信号)はHレベルからLレベルに変化する。これにより、インバータ制御回路17はインバータ12の動作を停止させる。
【0065】
このように、本実施形態においては、送電開始から一定時間経過後に昇圧コンバータ11が昇圧動作を開始していればインバータ12の動作を維持し、昇圧コンバータ11が昇圧動作を開始していなければインバータ12の動作を強制的に停止するので、簡単な回路構成により無駄な送電動作を防止して安全性を高めることができる。したがって、安価な構成で複雑な制御を伴うことなく、受電コイル21の位置検出が可能なワイヤレス電力伝送システムを提供することができる。
【0066】
図7は、本発明の第2の実施の形態によるワイヤレス電力伝送システムの構成を示すブロック図である。
【0067】
図7に示すように、このワイヤレス電力伝送システム1Bの特徴は、送電開始から一定時間経過後に昇圧コンバータ11の昇圧動作を検出できないときにはインバータ12の動作を一度停止させるが、そのような異常動作が所定回数に達するまではインバータ12の動作を再開し、異常動作が所定回数に達した場合にはインバータ12の動作の再開を行わない点にある。
【0068】
そのため、本実施形態による動作検出回路16は、異常動作カウント値をカウントするカウンター部16dをさらに有する。昇圧コンバータ11の昇圧動作を検出できなかったときNANDゲート16cからは停止信号が出力されるが、この停止信号はカウンター部16dにも入力される。このときカウンター部16dは異常動作カウント値をインクリメントし、所定時間経過後にタイマー部16bに起動信号を入力する。これによりタイマー部16bは再起動されて送電が再開され、再起動から一定時間経過後に昇圧コンバータ11が昇圧動作を行っていなければ、停止信号が再び発生する。
【0069】
以上の動作を繰り返して異常動作カウント値が所定値(例えば数回)に達した場合には、カウンター部16dはタイマー部16bへの起動信号の供給を終了する。このように、異常動作カウント値が所定値(例えば数回)に達するまで送電を再開し、異常動作カウント値が所定値に達してもなお昇圧コンバータ11が昇圧動作を行わない場合には、インバータ12の停止状態が維持され、送電の再開は行われない。
【0070】
異常動作時は、安全のためタイマー時間を短くしてインバータ12をいち早く停止することが望ましいが、タイマー時間を短くすると昇圧コンバータ11の正常/異常動作を誤検出する可能性が高くなる。しかし、本実施形態のように昇圧コンバータ11の動作の有無の検出ステップを何回か繰り返し、何回も連続して異常動作を検出したときにインバータ12の動作を完全に停止させる場合には、タイマー時間を短くしても昇圧コンバータ11の動作の誤検出の確率を低減することができる。
【0071】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0072】
例えば、上記実施形態においては整流回路22の出力電圧が一定になるように昇圧コンバータ11の昇圧レベルを制御しているが、整流回路22の出力電流が一定になるように昇圧コンバータ11の昇圧レベルを制御するものであってもよい。すなわち、出力検出回路23は整流回路22の出力特性値(出力電圧、出力電流または出力電力)と目標値との比較結果に基づき送電指示信号を生成するものであればよい。
【0073】
また、上述したワイヤレス送電装置10およびワイヤレス受電装置20の各部の具体的な回路構成はあくまで一例であって、他の様々な回路構成を採用することができる。