(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも左右一対のマスト側ガイド部は、前記マストの長手方向に沿って互いに間隔をおいて配置された左右複数対のマスト側ガイド部を有する、請求項1に記載のクレーン。
前記少なくとも前記左右一対のマスト側ガイド部は、前記マスト本体から突出し前記ウエイト用ガイラインをガイド可能なガイド姿勢と、前記マスト本体の後側面に沿うように配置される格納姿勢との間で姿勢変更可能とされている、請求項1または2に記載のクレーン。
前記マスト側ガイド部は、左右方向に互いに間隔をおいて配置される一対のガイド部材であって、当該一対のガイド部材の間に前記ウエイト用ガイラインが挿入されることを許容する一対のガイド部材を有し、
前記マスト側保持部は、前記一対のガイド部材の基端部によって構成されており、前記一対のガイド部材の間に前記ウエイト用ガイラインが嵌りこむことで、前記マスト側保持部が前記ウエイト用ガイラインを保持する、請求項1乃至3の何れか1項に記載のクレーン。
クレーン本体と、前記クレーン本体に水平な回動軸回りに回動可能に支持されたブームと、前記ブームの後側の位置で前記ブームの回動軸と平行な回動軸回りに前記クレーン本体に回動可能に支持されたマストと、前記マストの回動軸よりも後側の位置で前記マストが後方へ転倒することを阻止する左右一対のマストバックストップと、前記マストの回動軸と直交し前記左右一対のマストバックストップを通る一対の平面上若しくはその近傍にそれぞれ配置されるように前記マストの先端部から垂下される左右一対のウエイト用ガイラインと、前記左右一対のウエイト用ガイラインの下端部に接続されるウエイトと、を備えるクレーンの前記ウエイト用ガイラインの格納方法であって、
前記マストが前記クレーン本体から後方かつ上方に向かって延びる後傾姿勢とされた状態で、前記左右一対のウエイト用ガイラインの下端部をそれぞれ前記ウエイトから取り外すことと、
前記後傾姿勢から前記マストを前方に回動させ、前記マストに備えられた左右一対のマスト側ガイド部によって前記左右一対のウエイトガイラインの上側部分を左右方向においてそれぞれ拘束することと、
前記マストを更に前方に回動させ、前記左右一対のマストバックストップに備えられた左右一対のバックストップ側ガイド部によって前記左右一対のウエイト用ガイラインの下端部を左右方向においてそれぞれ拘束することと、
前記マストを更に前方に回動させ、前記左右一対のマストバックストップに備えられた左右一対のバックストップ側保持部によって前記左右一対のウエイト用ガイラインの下側部分を保持することで、前記ウエイト用ガイラインを前記マストおよび前記マストバックストップに格納することと、
を備える、クレーンのウエイト用ガイラインの格納方法。
前記左右一対のウエイト用ガイラインの下端部が前記左右一対のバックストップ側ガイド部によって拘束される前に、前記マストの後側面に長手方向に間隔をおいて配置された複数の前記マスト側ガイド部によって前記左右一対のウエイトガイラインの上側部分を順に拘束することを更に備える、請求項7に記載のクレーンのウエイト用ガイラインの格納方法。
前記左右一対のウエイト用ガイラインの下側部分が前記左右一対のバックストップ側保持部によって保持される前に、前記マストの長手方向に間隔をおいて配置された複数のマスト側保持部によって前記左右一対のウエイトガイラインの上側部分を順に保持することを更に備える、請求項7または8に記載のクレーンのウエイト用ガイラインの格納方法。
前記マストに前記ウエイト用ガイラインが格納された状態で、前記マストおよび前記ウエイト用ガイラインを長手方向に沿って複数の領域に分割し、各領域の前記マストと前記ウエイト用ガイラインとをそれぞれ一体的に輸送することと、
を更に備える、請求項10に記載のクレーンのウエイト用ガイラインの輸送方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようなクレーンを分解する場合、ウエイトガイリンクの下端部がウエイトから取り外されると、風などによってウエイトガイリンクが揺動するため、分解作業の邪魔になりやすいという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、マストの先端部から垂下されるウエイト用ガイラインをマストに安定して収容することが可能なクレーンおよびクレーンのウエイト用ガイラインの格納方法、輸送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
クレーンの分解作業において、ウエイト用ガイラインの下端部がウエイトから取り外された後、マストが前方に回動されると、ウエイト用ガイラインの下端部がマストに近づくように移動する。本発明の発明者は、当該ウエイト用ガイラインの移動を利用して、ウエイト用ガイラインをマストに格納することを知見した。一方、クレーンの横方向における幅を縮小するために、マストの回動軸と直交する同じ平面上若しくはその近傍に、ウエイト用ガイラインおよびマスト用バックストップが配置されることがある。この場合、上記のようにクレーンの分解作業時にマストが回動されると、ウエイト用ガイラインの下端部がマスト用バックストップと干渉(接触)する。この際、ウエイト用ガイラインが横方向に揺れたり、その位置がずれたりするため、ウエイト用ガイラインがマストに格納されにくいという問題があった。
【0009】
上記のような新たな問題を解決するために、本発明の一局面に係るクレーンは、クレーン本体と、前記クレーン本体に水平な回動軸回りに回動可能に支持されたブームと、前記ブームの後側の位置で前記ブームの回動軸と平行な回動軸回りに前記クレーン本体に回動可能に支持されたマストであって、前記クレーン本体から後方かつ上方に向かって延びる後傾姿勢で前記ブームの回動における支柱として機能するマストと、前記マストの回動軸よりも後側の位置で前記マストが後方へ転倒することを阻止する左右一対のマストバックストップであって、当該一対のマストバックストップは、前記マストに接続されるマスト側端部と前記クレーン本体に当接可能な本体側端部とをそれぞれ有する、左右一対のマストバックストップと、前記マストの回動軸と直交し前記左右一対のマストバックストップを通る一対の平面上若しくはその近傍にそれぞれ配置されるように前記マストの先端部から垂下される左右一対のウエイト用ガイラインであって、当該左右一対のウエイト用ガイラインは前記マストの先端部に回動可能支持されるガイライン上端部とガイライン下端部とをそれぞれ有する、左右一対のウエイト用ガイラインと、前記左右一対のウエイト用ガイラインの下端部に接続されるウエイトと、を備え、前記マストは、前記クレーン本体に回動可能に支持されたマスト本体と、前記左右一対のマストバックストップの前記マスト側端部よりも上方において前記マスト本体の後側面に配置され、前記左右一対のウエイト用ガイラインの上側部分をそれぞれ保持可能な少なくとも左右一対のマスト側保持部と、前記マスト側端部よりも上方において前記マスト本体の後側面から後方に突出するように配置され、前記左右一対のウエイト用ガイラインを左右方向において拘束しながら前記ウエイト用ガイラインの前記上側部分を前記マスト側保持部までガイドする少なくとも左右一対のマスト側ガイド部と、を有し、前記左右一対のマストバックストップは、それぞれ、前記マストに支持されたバックストップ本体と、前記バックストップ本体の後側面に配置され、前記ウエイト用ガイラインの下側部分を保持可能なバックストップ側保持部と、前記バックストップ本体の後側面に配置され、前記ウエイト用ガイラインを左右方向において拘束しながら前記ウエイト用ガイラインの前記下側部分が前記バックストップ側保持部に至るまで前記ウエイト用ガイラインの前記ガイライン下端部をガイドするバックストップ側ガイド部と、を有し、前記左右一対のウエイト用ガイラインの前記ガイライン下端部がそれぞれ前記ウエイトから脱離されかつ前記左右一対のマストバックストップの前記本体側端部が前記クレーン本体から脱離された状態で、前記マストが前記後傾姿勢から前方に回動された場合に、前記左右一対のウエイト用ガイラインの前記ガイライン下端部がそれぞれ前記左右一対のバックストップ側ガイド部に到達するタイミングよりも先に、前記左右一対のウエイト用ガイラインの上側部分が左右方向において前記マスト側ガイド部によって拘束されるような突出量で、前記マスト側ガイド部が前記マスト本体から突出している。
【0010】
本構成によれば、マストの前方への回動時に、ウエイト用ガイラインのガイライン下端部がマストバックストップに到達する前に、ウエイト用ガイラインの上側部分がマスト側ガイド部に拘束される。このため、ウエイト用ガイラインの左右方向における揺れ、位置変動が抑制される。この結果、ウエイト用ガイラインのガイライン下端部がバックストップ側ガイド部にスムーズに進入することができる。
【0011】
上記の構成において、前記少なくとも左右一対のマスト側ガイド部は、前記マストの長手方向に沿って互いに間隔をおいて配置された左右複数対のマスト側ガイド部を有することが望ましい。
【0012】
本構成によれば、マストの回動時に、ウエイト用ガイラインの上側部分を安定してガイドし、ウエイト用ガイラインの左右方向の揺れ、位置変動を抑制することができる。
【0013】
上記の構成において、前記少なくとも前記左右一対のマスト側ガイド部は、前記マスト本体から突出し前記ウエイト用ガイラインをガイド可能なガイド姿勢と、前記マスト本体の後側面に沿うように配置される格納姿勢との間で姿勢変更可能とされていることが望ましい。
【0014】
本構成によれば、マストおよびウエイト用ガイラインの輸送時に、輸送車両上の占有スペースを縮小することができる。
【0015】
上記の構成において、前記マスト側ガイド部は、左右方向に互いに間隔をおいて配置される一対のガイド部材であって、当該一対のガイド部材の間に前記ウエイト用ガイラインが挿入されることを許容する一対のガイド部材を有し、前記マスト側保持部は、前記一対のガイド部材の基端部によって構成されており、前記一対のガイド部材の間に前記ウエイト用ガイラインが嵌りこむことで、前記マスト側保持部が前記ウエイト用ガイラインを保持することが望ましい。
【0016】
本構成によれば、一対のガイド部材の簡易な構成で、ウエイト用ガイラインのガイド機能および保持機能が実現される。
【0017】
上記の構成において、前記マスト側ガイド部は、前記マストの長手方向において前記マスト側保持部と間隔をおいて配置されていることが望ましい。
【0018】
本構成によれば、ウエイト用ガイラインのガイド機能および保持機能に適した構造をマスト側ガイド部およびマスト側保持部のそれぞれに採用することができる。
【0019】
上記の構成において、前記ウエイト用ガイラインは、ガイリンクであって、複数のライン部と、前記複数のライン部が前記回動軸と平行に延びる軸回りに互いに回動可能となるように前記複数のライン部同士を接続する複数のリンク部と、を有することが望ましい。
【0020】
本構成によれば、マストの回動時におけるウエイト用ガイラインの左右方向における揺れが更に抑止される。
【0021】
また、本発明の他の局面に係るクレーンのウエイト用ガイラインの格納方法は、クレーン本体と、前記クレーン本体に水平な回動軸回りに回動可能に支持されたブームと、前記ブームの後側の位置で前記ブームの回動軸と平行な回動軸回りに前記クレーン本体に回動可能に支持されたマストと、前記マストの回動軸よりも後側の位置で前記マストが後方へ転倒することを阻止する左右一対のマストバックストップと、前記マストの回動軸と直交し前記左右一対のマストバックストップを通る一対の平面上若しくはその近傍にそれぞれ配置されるように前記マストの先端部からそれぞれ垂下される左右一対のウエイト用ガイラインと、前記左右一対のウエイト用ガイラインの下端部に接続されるウエイトと、を備えるクレーンの前記ウエイト用ガイラインの格納方法であって、前記マストが前記クレーン本体から後方かつ上方に向かって延びる後傾姿勢とされた状態で、前記左右一対のウエイト用ガイラインの下端部をそれぞれ前記ウエイトから取り外すことと、前記後傾姿勢から前記マストを前方に回動させ、前記マストに備えられた左右一対のマスト側ガイド部によって前記左右一対のウエイトガイラインの上側部分を左右方向においてそれぞれ拘束することと、前記マストを更に前方に回動させ、前記左右一対のマストバックストップに備えられた左右一対のバックストップ側ガイド部によって前記左右一対のウエイト用ガイラインの下端部を左右方向においてそれぞれ拘束することと、前記マストを更に前方に回動させ、前記左右一対のマストバックストップに備えられた左右一対のバックストップ側保持部によって前記左右一対のウエイト用ガイラインの下側部分を保持することで、前記ウエイト用ガイラインを前記マストおよび前記マストバックストップに格納することと、を備える。
【0022】
本方法によれば、マストの回動時に、まずウエイト用ガイラインの上側部分がマスト側ガイド部に拘束されるため、ウエイト用ガイラインの左右方向における揺れ、位置変動が抑制される。この結果、ウエイト用ガイラインのガイライン下端部がバックストップ側ガイド部にスムーズに進入することができる。
【0023】
上記の方法において、前記左右一対のウエイト用ガイラインの下端部が前記左右一対のバックストップ側ガイド部によって拘束される前に、前記マストの後側面に長手方向に間隔をおいて配置された複数の前記マスト側ガイド部によって前記左右一対のウエイトガイラインの上側部分を順に拘束することを更に備えることが望ましい。
【0024】
本方法によれば、マストの回動時に、ウエイト用ガイラインの上側部分を安定してガイドし、ウエイト用ガイラインの左右方向の揺れ、位置変動を抑制することができる。
【0025】
上記の方法において、前記左右一対のウエイト用ガイラインの下側部分が前記左右一対のバックストップ側保持部によって保持される前に、前記マストの長手方向に間隔をおいて配置された複数のマスト側保持部によって前記左右一対のウエイトガイラインの上側部分を順に保持することを更に備えることが望ましい。
【0026】
本方法によれば、マストの回動時に、ウエイト用ガイラインの上側部分を安定して保持し、ウエイト用ガイラインの左右方向の揺れ、位置変動を抑制することができる。
【0027】
また、本発明の他の局面に係るクレーンのウエイト用ガイラインの輸送方法は、上記の何れか1に記載のクレーンのウエイト用ガイラインの格納方法と、前記ウエイト用ガイラインが前記マストおよび前記マストバックストップに格納された状態で、前記マストを更に前方に回動させることで、前記マストを地上に倒伏させることと、前記マストに前記ウエイト用ガイラインが格納された状態で、前記マストと前記ウエイト用ガイラインとを一体的に輸送することと、を備える。
【0028】
本方法によれば、マストおよびウエイト用ガイラインの輸送時に、輸送車両上を占有するスペースを縮小することができる。
【0029】
上記の方法において、前記マストに前記ウエイト用ガイラインが格納された状態で、前記マストおよび前記ウエイト用ガイラインを長手方向に沿って複数の領域に分割し、各領域の前記マストと前記ウエイト用ガイラインとをそれぞれ一体的に輸送することと、を更に備えることが望ましい。
【0030】
本方法によれば、マストおよびウエイト用ガイラインを分割して一体として輸送することが可能となり、別々に輸送するために大きなスペースを備える輸送車両や複数の車両を準備する必要が低減される。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、マストの先端部から垂下されるウエイト用ガイラインをマストに安定して収容することが可能なクレーンおよびクレーンのウエイト用ガイラインの格納方法、輸送方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るクレーン10の側面図である。なお、以後、各図には、「上」、「下」、「前」および「後」の方向が示されているが、当該方向は、本実施形態に係るクレーン10の構造および組立方法を説明するために便宜上示すものであり、本発明に係るクレーンの移動方向や使用態様などを限定するものではない。
【0034】
クレーン10は、本発明のクレーン本体に相当する旋回体11と、この旋回体11を旋回可能に支持する走行体12と、起伏部材としてのブーム13と、ブーム起伏用部材であるHLマスト14と、箱マスト15と、を備える。
【0035】
図1に示されるブーム13は、旋回体12の前部に起伏方向に回動可能となるように支持される。ブーム13は、ブームフット13Sを備える。ブームフット13Sは、ブーム13の回動における支点部となる。ブームフット13Sは、左右方向(横方向)に延びる水平な回転軸を形成する。
【0036】
また、ブーム13は、ブームアイドラシーブ130と、アイドラシーブ131、132と、を有する。ブームアイドラシーブ130は、ブーム13の長手方向の中央部の後側面に配置されている。アイドラシーブ131、132は、ブーム13の先端部にそれぞれ回転可能に支持されている。
【0037】
ブーム13の基端部側には左右一対のブームバックストップ28が設けられる。これらのブームバックストップ28は、ブーム13が
図1に示される起立姿勢まで到達した時点で旋回体11に当接する。この当接によって、ブーム13が強風等で後方に煽られることが規制される。
【0038】
HLマスト14は、ブーム13の後側の位置でブーム13の回動軸と平行な回動軸回りに旋回体11に回動可能に支持される。すなわち、HLマスト14もブーム13の起伏方向と同方向に回動可能である。HLマスト14は、HLマストフット14Sを備える。HLマストフット14Sは、HLマスト14の回動における支点部となる。HLマストフット14Sは、左右方向(横方向)に延びる回転軸を形成する。HLマスト14は、
図1に示すように、旋回体11から後方かつ上方に斜めに向かって延びる後傾姿勢でブーム13の回動における支柱として機能する。なお、他の実施形態において、HLマスト14によって例示される本発明のマストは、箱型のマストなど他の形態からなるものでもよい。また、HLマスト14は、マストアイドラシーブ140を備える。マストアイドラシーブ140は、HLマスト14の長手方向の中央部の後側面に配置されている。なお、本実施形態では、HLマスト14は、後記のように長手方向に沿って3つの部材に分割可能とされる。
【0039】
HLマスト14の基端部側には左右一対のマストバックストップ29が設けられる。これらのマストバックストップ29は、HLマスト14の回動軸(HLマストフット14S)よりも後側の位置で、
図1に示される後傾姿勢(起立姿勢)のHLマスト14から延びるとともに旋回体11に配置された不図示の受け部に当接し、HLマスト14が強風等で後方へ転倒することを阻止する。
【0040】
左右一対のマストバックストップ29は、それぞれ、バックストップ上端部290(マスト側端部)と、バックストップ下端部295(本体側端部)と、を有する。バックストップ上端部290は、
図1に示すように、HLマスト14に接続される。バックストップ下端部295は、旋回体11に配置された前記不図示の受け部に当接する。なお、後記のように、マストバックストップ29は、バックストップ上端部290を支点として、HLマスト14に回動可能に支持される。バックストップ上端部290回りのマストバックストップ29の回動によって、マストバックストップ29が突出姿勢(
図9)と格納姿勢(
図10)との間で姿勢変更することができる。
【0041】
箱マスト15は、HLマスト14の後側(下方)で旋回体11に回動可能に連結される。箱マスト15は、断面視で矩形形状からなる。箱マスト15の回動軸は、ブーム13の回動軸と平行でかつHLマスト14の回動軸とほぼ同じ位置に配置されている。すなわち、この箱マスト15もブーム13の起伏方向と同方向に回動可能である。箱マスト15は、箱マストフット15Sを備える。箱マストフット15Sは、箱マスト15の回動における支点部となる。箱マストフット15Sは、左右方向(横方向)に延びる回転軸を形成する。
【0042】
更に、クレーン10は、下部スプレッダ18と、上部スプレッダ19と、ガイライン20と、ブーム起伏用ロープ21と、ブーム起伏用ウインチ22と、マストガイリンク23と、を備える。
【0043】
下部スプレッダ18は、HLマスト14の先端部に支持される。下部スプレッダ18は、不図示の下部シーブブロックを備えており、複数のシーブが幅方向(左右方向)に配列されている。
【0044】
上部スプレッダ19は、下部スプレッダ18の前方に所定の間隔をおいて配置される。上部スプレッダ19は、ガイライン20を介してブーム13の先端部に接続される。上部スプレッダ19は、不図示の上部シーブブロックを備えており、複数のシーブが幅方向(左右方向)に配列されている。
【0045】
ガイライン20は、
図1の紙面と直交する左右方向に一対配置されている。ガイライン20の後端部は、上部スプレッダ19に接続され、ガイライン20の前端部は、ブーム13の先端部に接続される。ガイライン20は、ガイリンク(金属製の板材)、ガイロープ、ガイワイヤ(金属製の線材)などを含む。
【0046】
ブーム起伏用ロープ21は、ブーム起伏用ウインチ22から引き出され、HLマスト14の先端部の不図示のシーブに掛けられた後、下部スプレッダ18の下部シーブブロックと上部スプレッダ19の上部シーブブロックとの間で複数回掛け回される。なお、下部シーブブロックおよび上部シーブブロックに掛け回された後のブーム起伏用ロープ21の先端部は、HLマスト14の先端部に固定される。
【0047】
ブーム起伏用ウインチ22は、HLマスト14の基端部側に配置される。ブーム起伏用ウインチ22は、ブーム起伏用ロープ21の巻き取りおよび繰り出しを行うことで下部スプレッダ18の下部シーブブロックと上部スプレッダ19の上部シーブブロックとの間の距離を変化させ、ブーム13をHLマスト14に対して相対的に回動させながらブーム13を起伏させる。
【0048】
更に、クレーン10は、左右一対のマストガイリンク23と、マスト起伏用ロープ24と、マスト起伏用ウインチ25と、を備える。
【0049】
マストガイリンク23は、HLマスト14の先端部と箱マスト15の先端部とを接続する。この接続は、HLマスト14の回動と箱マスト15の回動とを連携させる。
【0050】
マスト起伏用ロープ24は、旋回体11に配置され複数のシーブが幅方向に配列されたたシーブブロック26と、箱マスト15の先端部に配置され複数のシーブが幅方向に配列されたシーブブロック27との間で複数回掛け回される。
【0051】
マスト起伏用ウインチ25は、旋回体11に配置される。マスト起伏用ウインチ25は、マスト起伏用ロープ24の巻き取りおよび繰り出しを行う。マスト起伏用ウインチ25によるマスト起伏用ロープ24の巻き取り、繰り出し動作によって、箱マスト15の先端部のシーブブロック27と旋回体11の後端部のシーブブロック26との間の距離が変化し、旋回体11に対して箱マスト15およびHLマスト14が一体的に回動しながら、HLマスト14が起伏する。なお、HLマスト14および箱マスト15の回動は、主にクレーン10の組立分解時に行われ、クレーン10の使用時にはHLマスト14および箱マスト15の位置(対地角)はほぼ固定されている。
【0052】
クレーン10には、前述のマスト起伏用ウインチ25およびブーム起伏用ウインチ22以外に、吊り荷の巻上げ及び巻下げを行うための主巻用ウインチ30及び補巻用ウインチ31が搭載される。本実施形態に係るクレーン10では、主巻用ウインチ30、及び補巻用ウインチ31がいずれも旋回体11に据え付けられる。クレーン10のウインチ30、31はブーム13の基端部に搭載されていてもよい。また、
図1に示すように、HLマスト14の基端部には、主巻用アイドラ30Sおよび補巻用アイドラ31Sが配置されている。主巻用アイドラ30Sおよび補巻用アイドラ31Sは、それぞれ回転可能なシーブを備える。
【0053】
主巻用ウインチ30は、主巻用ロープ32(
図1)による吊り荷の巻上げ及び巻下げを行う。この主巻について、ブーム13の先端部には前述のガイドシーブ131、132が回転可能に設けられ、さらにガイドシーブに隣接する位置に複数の主巻用ポイントシーブが幅方向に配列された主巻用シーブブロックが設けられている。主巻用シーブブロックから垂下された主巻用ロープ32には、吊り荷用の主フック34が連結されている。そして、主巻用ウインチ30から引き出された主巻用ロープ32がガイドシーブ131、132に順に掛けられ、かつ、主巻用シーブブロックのシーブと、主フック34に設けられたシーブブロックのシーブとの間に掛け渡される。従って、主巻用ウインチ30が主巻用ロープ32の巻き取りや繰り出しを行うと、主フック34の巻上げ及び巻下げが行われる。
【0054】
同様にして、補巻用ウインチ31は、補巻用ロープ33による吊り荷の巻上げ及び巻下げを行う。この補巻については、上記の主巻と同様の不図示の構造が備えられている。そして、補巻用ウインチ31が補巻用ロープ33の巻き取りや繰り出しを行うと、補巻用ロープ33の末端に連結された図略の吊荷用の補フックが巻上げられ、または巻下げられる。
【0055】
また、クレーン10は、左右一対のウエイトガイリンク36と、パレットウエイト37(ウエイト)と、カウンタウエイト38(
図11参照)と、を備える。パレットウエイト37は、旋回体11の後方に、クレーン10のバランスを調整するために配置されている。パレットウエイト37は、板状のウエイト(錘)が上下に積載されることで構成されている。パレットウエイト37は、クレーン10が重量物を吊り上げるために備えられるSHL(Super Heavy Lifting)用ウエイトとして、クレーン10のバランスを保つ機能を有する。パレットウエイト37は、左右一対のパレットウエイトガイリンク36(ウエイト用ガイライン)によってHLマスト14の先端部に接続されている。換言すれば、パレットウエイト37は、HLマスト14の先端部から一対のパレットウエイトガイリンク36を介して吊り下げられている。
【0056】
なお、左右一対のウエイトガイリンク36は、HLマスト14の回動軸と直交し左右一対のマストバックストップ29を通る一対の平面上にそれぞれ配置されるようにHLマスト14の先端部から垂下される(
図5)。各ウエイトガイリンク36は、支点部36A(ガイライン上端部)と、下端部36B(ガイライン下端部)と、を備える。支点部36Aは、HLマスト14の先端部に回動可能に支持される。また、下端部36Bは、パレットウエイト37に接続される。
【0057】
また、各ウエイトガイリンク36は、シリンダ361と、複数のライン部362と、複数のリンク部363と、を有する。シリンダ361は、ウエイトガイリンク36の上端部に配置され、油圧によって伸縮可能とされる。シリンダ361は、ウエイトガイリンク36の長さを調整するために伸縮される。複数のリンク部363は、複数のライン部362がHLマスト14の回動軸と平行に延びる軸回りに互いに回動可能となるように複数のライン部362同士を接続する。このため、HLマスト14の回動軸と直交する平面内において、ウエイトガイリンク36は、各リンク部363を支点として屈曲することができる(
図15参照)。
【0058】
カウンタウエイト38(
図11参照)は、旋回体11の後方部分に、パレットウエイト37と同様にクレーン10のバランスをとるために装着される。
【0059】
<クレーンの分解工程について>
次に、
図1に加え、
図2乃至
図4を参照して、本実施形態に係るクレーン10の分解工程について説明する。
図2乃至
図4は、それぞれ、本実施形態に係るクレーン10の分解作業の様子を示す側面図である。
【0060】
図1に示されるクレーン10において、左右一対のウエイトガイリンク36のシリンダ361が伸長されると、パレットウエイト37が地上に載置される。そして、左右一対のウエイトガイリンク36の下端部36Bが、パレットウエイト37からそれぞれ取り外される。その後、ブーム起伏用ウインチ22がブーム起伏用ロープ21を繰り出すと、下部スプレッダ18と上部スプレッダ19との距離が拡がることで、やがてクレーン10が
図2に示される状態となる。すなわち、ブーム13が旋回体11に対して前方に回動し、地上に倒伏した状態とされる。次に、
図2に示される状態から、ブーム起伏用ウインチ22がブーム起伏用ロープ21を巻き取りながら、マスト起伏用ウインチ25がマスト起伏用ロープ24を繰り出すと、シーブブロック26とシーブブロック27との距離が拡がることで、やがてクレーン10が
図3に示される状態となる。この際、HLマスト14は、旋回体11から後方かつ上方に延びる後傾姿勢から、前方かつ上方に延びる前傾姿勢に移行する。なお、
図3に示すように、HLマスト14が前方に回動すると、マストバックストップ29のバックストップ下端部295は旋回体11から脱離する。この場合でも、HLマスト14に対するマストバックストップ29の姿勢(角度)は保持される。
【0061】
更に、
図3に示すように、上部スプレッダ19がブーム13の中央部に直接接続されることで、HLマスト14によるブーム13の吊り上げが可能となる。したがって、ブームフット13Sに嵌め込まれていた不図示のピンがブームフット13Sから脱離されると、HLマスト14によってブーム13が吊り上げられながら、地上に載置される。この結果、旋回体11からブーム13が取り外される。
【0062】
その後、マスト起伏用ウインチ25がマスト起伏用ロープ24を更に繰り出すことで、
図4に示すように、HLマスト14が地上に倒伏される。この後、マストガイリンク23が切り離され、HLマストフット14Sに嵌め込まれていた不図示のピンがHLマストフット14Sから脱離されると、箱マスト15によってHLマスト14が吊り上げられながら(
図16参照)、地上に載置される。この結果、旋回体11からHLマスト14が取り外される。なお、この際、箱マスト15の先端から垂下されたマスト吊りスリング15Hによって、HLマスト14が吊り下げられた状態で不図示のピンが脱離され、HLマスト14が地上に載置される。マスト吊りスリング15Hは、伸縮可能なシリンダを含む。
【0063】
上記のようなクレーン10の分解工程において、
図2から
図3に示す状態変更の際に、HLマスト14が後傾姿勢から前傾姿勢に移行する。この際、左右一対のウエイトガイリンク36の下端部36Bが予めパレットウエイト37から取り外されているため、ウエイトガイリンク36は、HLマスト14の回動に追従するように支点部36Aを支点として前方に移動する。このウエイトガイリンク36の動きを利用して、ウエイトガイリンク36をHLマスト14に格納することが可能となる。
【0064】
一方、前述のように、本実施形態では、左右一対のウエイトガイリンク36は、HLマスト14の回動軸と直交し左右一対のマストバックストップ29を通る一対の平面上若しくはその近傍にそれぞれ配置されるようにHLマスト14の先端部から垂下されている。このため、HLマスト14の回動に伴って、まずウエイトガイリンク36の下端部36Bがマストバックストップ29に当接すると、ウエイトガイリンク36が左右方向に揺られてしまい、ウエイトガイリンク36の位置が不安定となる。この結果、HLマスト14の回動動作に応じたウエイトガイリンク36の格納が困難となる。本実施形態では、このようなウエイトガイリンク36の格納における問題を解決するために、HLマスト14および左右一対のマストバックストップ29に特徴を有する。なお、左右一対のウエイトガイリンク36は、HLマスト14の回動軸と直交し左右一対のマストバックストップ29を通る一対の平面上にそれぞれ配置されるようにHLマスト14の先端部から垂下されていることが好ましいが、完全に平面上と一致していなくてもよく、ウエイトガイリンク36が垂下された状態で後方から見てマストバックストップ29に一部または全部が重なる(干渉するまたは接触する)ように配置されていればよい。
【0065】
図5は、本実施形態に係るクレーン10のHLマスト14および左右一対のウエイトガイリンク36の背面図である。
図6は、クレーン10のHLマスト14のうち第1ガイド142Aおよび第1受け部141Aの周辺を拡大した斜視図である。また、
図7および
図8は、クレーン10のHLマスト14のうち第2ガイド142Bおよび第2受け部141Bの周辺を拡大した斜視図である。なお、
図7は、第2ガイド142Bが突出姿勢とされた図であり、
図8は、第2ガイド142Bが格納姿勢とされた図である。
【0066】
図5(
図11)を参照して、HLマスト14は、マスト本体部14Hと、それぞれ左右一対の第1受け部141A(マスト側保持部)、第2受け部141B(マスト側保持部)、第3受け部141C、第4受け部141D、第5受け部141E、第6受け部141F、更に、それぞれ左右一対の第1ガイド142A、第2ガイド142Bを有する。
【0067】
マスト本体部14Hは、HLマスト14の本体部分であって、4本のメインパイプと、これらのメインパイプ同士を接続する複数のラチスパイプとから構成される。前述のように、マスト本体部14Hは、長手方向に沿って3つの部材に分割可能とされる(
図11の部材下部マスト14A、中間マスト14B、上部マスト14C参照)。
【0068】
左右一対の第1受け部141A〜第6受け部141Fは、
図5、
図11に示すように、左右一対のマストバックストップ29のバックストップ上端部290よりも上方においてマスト本体部14Hの後側面の左右両端部に配置されている。第1受け部141Aおよび第2受け部141Bは、分割可能なマスト本体部14Hの最も上方部分(上部マスト14C)に、長手方向に互いに間隔をおいて配置される。第1受け部141Aおよび第2受け部141Bは、HLマスト14に対するウエイトガイリンク36の格納時に、ウエイトガイリンク36の上側部分を保持することができる。
【0069】
同様に、第3受け部141C、第4受け部141D、第5受け部141Eおよび第6受け部141Fは、分割可能なマスト本体部14Hの中央部分(中間マスト14B)に、長手方向に互いに間隔をおいて配置される。第3受け部141C、第4受け部141D、第5受け部141Eおよび第6受け部141Fは、HLマスト14に対するウエイトガイリンク36の格納時に、ウエイトガイリンク36の上下方向の中央部分を保持することができる。
【0070】
左右一対の第1ガイド142Aおよび第2ガイド142B(いずれもマスト側ガイド部、左右複数対のマスト側ガイド部)は、
図5、
図11に示すように、左右一対のマストバックストップ29のバックストップ上端部290よりも上方において、マスト本体部14Hの後側面の左右両端部から後方に突出するように配置されている。第1ガイド142Aおよび第2ガイド142Bは、HLマスト14の長手方向において互いに間隔をおいて配置されるとともに、第1受け部141Aおよび第2受け部141Bにそれぞれ僅かな間隔をおいて隣接して配置されている。第1ガイド142Aおよび第2ガイド142Bは、HLマスト14に対するウエイトガイリンク36の格納時に、ウエイトガイリンク36を左右方向において拘束しながらウエイトガイリンク36の上側部分を第1受け部141Aおよび第2受け部141Bまでガイドする機能を有する。
【0071】
図6を参照して、第1受け部141Aは、ウエイトガイリンク36のライン部362を把持することが可能な凹部141Tと、ライン部362の脱離を防止するロックピン141Sと、を有する。また、マスト本体部14Hから突出する第1ガイド142Aの高さは、マスト本体部14Hから突出する第1受け部141Aの高さよりも大きく設定されている。この結果、後記のように、第1受け部141Aよりも先に第1ガイド142Aがウエイトガイリンク36のライン部362に当接する。
【0072】
また、
図6に示すように、第1ガイド142Aは、左右方向に互いに間隔をおいて配置される一対のガイド部材から構成される。第1ガイド142Aは、当該一対のガイド部材の間にウエイトガイリンク36のライン部362が挿入されることを許容する。このため、
図6に示すように、一対のガイド部材の先端部は、先拡がりのガイド面を有しており、ライン部362の進入を容易とする。
【0073】
また、
図7、
図8を参照して、第2ガイド142Bおよび第2受け部141Bは、第1ガイド142Aおよび第1受け部141Aと同様の形状、機能を有する。なお、本実施形態では、マスト本体部14Hに対する第2ガイド142Bの突出高さは、マスト本体部14Hに対する第1ガイド142Aの突出高さよりも大きい(
図7、
図8、
図11)。これは、HLマスト14の先端側が先細形状を有するためであるとともに、後記のように、ウエイトガイリンク36の下端部36Bがマストバックストップ29のバックストップガイド291に当接する前に、第2ガイド142Bをウエイトガイリンク36に当接させるためである。
【0074】
更に、
図7、
図8を参照して、突出高さが大きく設定された第2ガイド142Bは、マスト本体部14Hに対して回動可能(姿勢変更可能)に支持されている。ガイド支点部142Sは、第2ガイド142Bの回動における支点部として機能する。
図7の突出姿勢(ウエイトガイリンク36をガイド可能なガイド姿勢)および
図8の格納姿勢に応じて開口されたピン穴PH1、PH2に固定ピンPが挿入されることで、第2ガイド142Bが各姿勢に固定される。また、
図8のように、第2ガイド142BがHLマスト14の長手方向に沿うような姿勢とされ、より詳しくは、マスト本体部14Hの外周部を構成するメインパイプの上端よりも下側に第2ガイド142Bが配置されることで、HLマスト14の輸送時にHLマスト14が占有するスペースが縮小される。
【0075】
図9は、本実施形態に係るクレーン10においてHLマスト14に対して左右一対のマストバックストップ29が起立した状態の斜視図である。
図10は、クレーン10においてHLマスト14に対して左右一対のマストバックストップ29が倒伏した状態の斜視図である。なお、
図9、
図10では、
図4のようにマストバックストップ29が地上に倒伏した姿勢を示している。このため、
図1に示すようなクレーン10の使用時には、
図9、
図10のバックストップ下端部295がマストバックストップ29の下端部に位置し、バックストップ上端部290がマストバックストップ29の上端部に位置する。
【0076】
図9、
図10を参照して、左右一対のマストバックストップ29は、それぞれ、バックストップ本体部29Hと、バックストップガイド291(バックストップ側ガイド部)と、バックストップ受け部292(バックストップ側保持部)と、バックストップ支持部29Sと、を有する。
【0077】
バックストップ本体部29Hは、マストバックストップ29の本体部分であり、円柱状のパイプ部材からなる。バックストップ本体部29Hの一端部には前述のバックストップ上端部290が配置され、バックストップ本体部29Hの他端部には、バックストップ下端部295が配置される。
【0078】
バックストップ受け部292は、バックストップ本体部29Hの長手方向の中央部に配置されている。バックストップ受け部292は、
図1のバックストップ本体部29Hの後側面に配置され、HLマスト14に対するウエイトガイリンク36の格納時に、ウエイトガイリンク36の下側部分を保持可能とされる。なお、バックストップ受け部292は、前述の第1受け部141Aと同様の構造を有する。
【0079】
バックストップガイド291は、バックストップ下端部295とバックストップ受け部292との間(
図11におけるバックストップ受け部292の下方)に配置される部材であって、マストバックストップ29の長手方向に沿って延びている。また、バックストップガイド291は、
図1のマストバックストップ29の後側面に配置される。バックストップガイド291は、HLマスト14に対するウエイトガイリンク36の格納時に、ウエイトガイリンク36を左右方向において拘束しながらウエイトガイリンク36の下側部分がバックストップ受け部292に至るまでウエイトガイリンク36の下端部36Bをガイドする機能を有する。
【0080】
なお、バックストップガイド291は、マストバックストップ29の長手方向と直交する断面において略U字形状を有する。詳しくは、バックストップガイド291は、左右一対の側壁291Aと、底部291Bと、を有する(
図20参照)。
図10に示すように、バックストップガイド291のU字部分にウエイトガイリンク36の下端部36Bが収容可能とされる。また、HLマスト14に対するウエイトガイリンク36の格納時には、バックストップガイド291のU字部分の内部を下端部36Bが滑るように移動することができる。
【0081】
バックストップ支持部29Sは、マストバックストップ29を下方から支持し、HLマスト14に対するマストバックストップ29の姿勢(角度)を一定に保持する。
【0082】
<ウエイト用ガイラインの格納について>
前述のようにクレーン10の分解工程において、
図2から
図3に示す状態変更の際に、HLマスト14が後傾姿勢から前傾姿勢に移行する。
図11乃至
図15は、本実施形態に係るクレーン10において、ウエイトガイリンク36がHLマスト14に格納される様子を示す側面図である。
図11から
図15に至るまで、HLマスト14の対地角θ(HLマスト14の中心線と地上Gとがなす角度)が、θ1からθ5まで縮小する。
【0083】
図11に示される状態(対地角θ1)では、ウエイトガイリンク36の下端部36Bは、マストバックストップ29のバックストップガイド291の後方に配置されている。また、ウエイトガイリンク36の上側部分は、第1ガイド142Aおよび第2ガイド142Bには接触していない。なお、
図11では、第1ガイド142Aの先端部とウエイトガイリンク36の一部が交差しているが、実際には、ウエイトガイリンク36は、第1ガイド142Aの一対のガイド部材の先端部の先拡がり部分(
図6)同士の間に位置している。
【0084】
図11に示される状態からHLマスト14が前方に回動され、
図12に示される状態(対地角θ2)となると、ウエイトガイリンク36の最も上方のライン部362が、第1ガイド142Aの一対のガイド部材間に進入する。この結果、ウエイトガイリンク36の上側部分が第1ガイド142Aによって左右方向において拘束される。
【0085】
図12に示される状態からHLマスト14が更に前方に回動され、
図13に示される状態(対地角θ3)となると、ウエイトガイリンク36の最も上方のライン部362が、第2ガイド142Bの一対のガイド部材間に進入する。この結果、ウエイトガイリンク36の上側部分が第1ガイド142Aに加え第2ガイド142Bによって左右方向において拘束される。また、ウエイトガイリンク36の下端部36Bがマストバックストップ29のバックストップガイド291に近接する。更にHLマスト14が前方に回動され、
図14に示される状態(対地角θ4)となると、ウエイトガイリンク36の下端部36Bがバックストップガイド291のU字部分(
図10)に進入する。この時、ウエイトガイリンク36の最も上方のライン部362が、第1受け部141Aに保持される。
【0086】
図14に示される状態からHLマスト14が更に前方に回動され、
図15に示される状態(対地角θ5)となると、ウエイトガイリンク36のうちバックストップ上端部290よりも上方に位置する部分が第1受け部141A、第2受け部141B、第3受け部141C、第4受け部141D、第5受け部141Eおよび第6受け部141Fに保持される。また、ウエイトガイリンク36は、バックストップ上端部290の近傍に位置するリンク部363において屈曲する。そして、当該リンク部363よりも下方に位置するライン部362は、バックストップ受け部292に保持される。すなわち、HLマスト14の前方への回動に伴って、左右一対のウエイトガイリンク36が、HLマスト14および左右一対のマストバックストップ29に保持、格納される。
【0087】
そして、本実施形態では、上記のように、左右一対のウエイトガイリンク36の下端部36Bがそれぞれパレットウエイト37から脱離され、かつ、左右一対のマストバックストップ29のバックストップ下端部295が旋回体11から脱離された状態で、HLマスト14が後傾姿勢から前方に回動された場合に、左右一対のウエイトガイリンク36の下端部36Bがそれぞれ左右一対のバックストップガイド291に到達するタイミングよりも先に、左右一対のウエイトガイリンク36の上側部分が左右方向において第1ガイド142A、第2ガイド142Bに拘束されるように、マスト本体部14Hに対する第1ガイド142A、第2ガイド142Bの突出量が設定されている(
図11)。このため、HLマスト14の回動時に、まずウエイトガイリンク36の上側部分が拘束されるため、ウエイトガイリンク36の左右方向における揺れ、位置変動が抑制される。この結果、ウエイトガイリンク36の下端部36Bがスムーズにバックストップガイド291内に進入することができる。換言すれば、本実施形態に係る第1ガイド142A、第2ガイド142Bが備えられていない場合、ウエイトガイリンク36は支点部36Aを支点として、支点部36Aと下端部36Bとの距離分だけ左右方向に揺動自在となっている。一方、本実施形態のように、第1ガイド142A、第2ガイド142Bがウエイトガイリンク36の上側部分を拘束すると、ウエイトガイリンク36は、第2ガイド142Bと下端部36Bとの距離分だけ左右方向に揺動可能とされる。そして、当該揺動を吸収可能なように、バックストップガイド291のU字部分の幅が設定されているため、HLマスト14の回動時に、ウエイトガイリンク36の下端部36Bがバックストップガイド291の外側を通過することが抑止される。このようにウエイトガイリンク36が、HLマスト14の上側から拘束されることで、ウエイトガイリンク36の左右への揺動が抑えられるとともに、ウエイトガイリンク36がバックストップガイド291に格納可能とされる。
【0088】
また、本実施形態では、HLマスト14が、長手方向に沿って互いに間隔をおいて配置された左右複数対の第1ガイド142A、第2ガイド142B(いずれもマスト側ガイド部)を有する。このため、HLマスト14の回動時(
図11〜
図15)に、ウエイトガイリンク36の上側部分を安定してガイドし、ウエイトガイリンク36の左右方向の揺れ、位置変動を抑制することができる。
【0089】
また、本実施形態では、ウエイトガイリンク36をガイドする機能を備える第1ガイド142A、第2ガイド142Bに対して、ウエイトガイリンク36を保持する機能を備える第1受け部141A、第2受け部141Bが長手方向に間隔をおいて配置されている。このため、ガイド機能および保持機能に適した構造をそれぞれの部材に採用することができる。具体的に、第1ガイド142A、第2ガイド142Bでは、一対のガイド部材の間隔をウエイトガイリンク36のライン部362の幅よりも大きく設定することで、HLマスト14の回動時にライン部362を一対のガイド部材間に進入しやすくすることができる。一方、第1受け部141A、第2受け部141Bでは、ライン部362を保持する凹部141T(
図6)の間隔をライン部362の幅に近づけることで、格納時にライン部362のガタツキを抑制することができる。
【0090】
また、本実施形態では、ウエイトガイリンク36が、複数のライン部362とリンク部363とから構成される。そして、リンク部363は、複数のライン部362がHLマスト14の回動軸と平行に延びる軸回りに互いに回動可能となるように複数のライン部362同士を接続する。換言すれば、リンク部363は、ライン部362が左右方向に揺動することを規制する構造を有している。したがって、HLマスト14の回動時におけるウエイトガイリンク36の左右方向における揺れが更に抑止される。
【0091】
図16は、
図15に示されるHLマスト14が旋回体11から取り外される様子を示す側面図である。
図17は、
図16のHLマスト14の一部を拡大した側面図である。
図18は、本実施形態に係るクレーン10において、ウエイトガイリンク36がHLマスト14および一対のマストバックストップ29に格納され、輸送可能な状態の側面図である。
図19は、
図18のマストバックストップ29の一部を拡大した側面図である。
図20は、
図19のマストバックストップ29の平面図である。
図21は、
図18の領域AのHLマスト14およびウエイトガイリンク36を拡大した側面図である。
図22は、
図21のHLマスト14およびウエイトガイリンク36の背面図である。
図23は、
図18の第2受け部141B、第2ガイド142Bを拡大した側面図である。
【0092】
図15に示される状態から、
図4の状態を経て、
図16に示されるようにHLマスト14が箱マスト15によって吊り下げられ、旋回体11から取り外された後、地上Gに倒伏される。なお、
図4から
図16の状態に至る過程で、下部スプレッダ18および上部スプレッダ19が、他の補助クレーンなどによってHLマスト14の先端部から下部マスト14A上に移動されている(
図17)。この結果、後記のとおり、下部マスト14Aとともに、下部スプレッダ18および上部スプレッダ19を輸送することができる。
【0093】
図16において、ウエイトガイリンク36の上側部分(
図16の前側部分)はHLマスト14の上面部(
図1のHLマスト14の後側面)に格納されており、ウエイトガイリンク36の下側部分は、HLマスト14に対して起立したマストバックストップ29上に格納されている。より詳しくは、
図17に示すように、ウエイトガイリンク36のうち最も下方に位置するリンク部363は、HLマスト14に固定されたマストブラケット14T上に載置されている。そして、ウエイトガイリンク36のうち最も下方に位置するライン部362は、上記のリンク部363から後方かつ上方に向かって延びている。この際、ライン部362の一部がバックストップ受け部292に保持されている。また、ウエイトガイリンク36の下端部36Bは、バックストップガイド291のU字部分に配置されている。
【0094】
図16、
図17に示される状態から、左右一対のマストバックストップ29をそれぞれ支持する左右一対のバックストップ支持部29Sが縮小されると、
図18に示されるようにマストバックストップ29がHLマスト14(下部マスト14A)上に倒伏する(
図10)。前述のように、ウエイトガイリンク36のうち最も下方に位置するリンク部363は、マストブラケット14T上に載置されている(
図21、
図22)。リンク部363は、2つの支点部363A、363Bを有する(
図21)。このため、ウエイトガイリンク36のうち最も下方に位置するライン部362は、マストバックストップ29の回動に連動して、支点部363Bを支点として下方に回動することができる。この間、
図21に示されるリンク部363がマストブラケット14T上に載置された状態が維持される。このため、マストバックストップ29の回動に伴って、ウエイトガイリンク36の上側部分が大きく動くことが抑止される。
【0095】
上記について換言すれば、
図21に示すように、リンク部363の支点部363B側をマストブラケット14Tが下方から支持することで、当該リンク部363は傾斜した姿勢とされる。そして、この傾斜によるリンク部363の高さ(支点部363A側と支点部363B側の高さの違い)を利用して、最も下方に位置するライン部362の回動が容易かつ安全に実現される。左右一対のマストバックストップ29が
図18に示されるように回動した場合でも、ウエイトガイリンク36の下端部36Bは、バックストップガイド291のU字部分に配置された状態が維持される(
図19、
図20)。なお、
図19、
図20では、本実施形態と比較して、パレットウエイト37の重量が異なりウエイトガイリンク36の長さが長く設定された場合の下端部36Bが、二点鎖線で示されている。すなわち、バックストップガイド291がマストバックストップ29の長手方向に沿って延びる形状を備えることで、前述のようにHLマスト14の回動時に下端部36Bがバックストップガイド291内を滑ることができるとともに、
図19、
図20に示すように、ウエイトガイリンク36の長さが異なる設定とされた場合でも、格納時に下端部36Bをバックストップガイド291内に安全に配置することができる。
【0096】
図18に示すように、左右一対のマストバックストップ29がHLマスト14上に倒伏された後、HLマスト14は、下部マスト14A、中間マスト14Bおよび上部マスト14Cに分割され、輸送可能とされる。この際、下部マスト14Aと中間マスト14Bとの分割位置、および中間マスト14Bと上部マスト14Cとの分割位置に対応してそれぞれウエイトガイリンク36のリンク部363が配置されている。このため、リンク部363において、ウエイトガイリンク36を分割することができる。したがって、分割された各マスト部分とともに、分割されたウエイトガイリンク36の一部をそれぞれ一体として輸送することができる。この際、前述のように、下部マスト14Aとともに下部スプレッダ18および上部スプレッダ19を輸送することが可能である(
図17)。
【0097】
なお、
図18に示される状態では、第2ガイド142Bは、マスト本体部14Hから上方に高く延びている(
図7、
図23)。このため、第2ガイド142Bを突出姿勢(ガイド姿勢)から格納姿勢(
図8、
図23の二点鎖線)に姿勢変更することで、上部マスト14C(
図18)の輸送時に、輸送車両上の占有スペースが縮小される。なお、第1ガイド142Aにおいても、同様の格納機構が備えられてもよい。
【0098】
また、上記のように本実施形態に係るクレーン10のウエイトガイリンク36の格納方法は、旋回体11と、旋回体11に水平な回動軸回りに回動可能に支持されたブーム13と、ブーム13の後側の位置でブーム13の回動軸と平行な回動軸回りに旋回体11に回動可能に支持されたHLマスト14と、HLマスト14の回動軸よりも後側の位置でHLマスト14と旋回体11とを接続しHLマスト14が後方へ転倒することを阻止する左右一対のマストバックストップ29と、HLマスト14の回動軸と直交し左右一対のマストバックストップ29を通る一対の平面上にそれぞれ配置されるようにHLマスト14の先端部からそれぞれ垂下される左右一対のウエイトガイリンク36と、左右一対のウエイトガイリンク36の下端部に接続されるパレットウエイト37と、を備えるクレーン10のウエイトガイリンク36の格納方法である。当該格納方法は、HLマスト14が旋回体11から後方かつ上方に向かって延びる後傾姿勢とされた状態で、左右一対のウエイトガイリンク36の下端部36Bをそれぞれパレットウエイト37から取り外すことと、前記後傾姿勢からHLマスト14を前方に回動させ、HLマスト14に備えられた左右一対の第1ガイド142A、第2ガイド142Bによって左右一対のウエイトガイリンク36の上側部分を左右方向においてそれぞれ拘束することと、HLマスト14を更に前方に回動させ、左右一対のマストバックストップ29に備えられた左右一対のバックストップガイド291によって左右一対のウエイトガイリンク36の下端部36Bを左右方向においてそれぞれ拘束することと、HLマスト14を更に前方に回動させ、左右一対のマストバックストップ29に備えられた左右一対のバックストップ受け部292によって左右一対のウエイトガイリンク36の下側部分を保持することで、ウエイトガイリンク36をHLマスト14および左右一対のマストバックストップ29に格納することと、を備える。
【0099】
本方法によれば、HLマスト14の回動時に、まずウエイトガイリンク36の上側部分が拘束されるため、ウエイトガイリンク36の左右方向における揺れ、位置変動が抑制される。この結果、ウエイトガイリンク36の下端部36Bがスムーズにバックストップガイド291内に進入することができる。
【0100】
また、本実施形態に係るウエイトガイリンク36の格納方法は、左右一対のウエイトガイリンク36の下端部36Bが左右一対のバックストップガイド291によって拘束される前に、HLマスト14の後側面に長手方向に間隔をおいて配置された複数の第1ガイド142A、第2ガイド142Bによって左右一対のウエイトガイリンク36の上側部分を順に拘束することを更に備える。
【0101】
本方法によれば、HLマスト14の回動時(
図11〜
図15)に、ウエイトガイリンク36の上側部分を安定してガイドし、ウエイトガイリンク36の左右方向の揺れ、位置変動を抑制することができる。
【0102】
また、本実施形態に係るウエイトガイリンク36の格納方法は、左右一対のウエイトガイリンク36の下側部分が左右一対のバックストップ受け部292によって保持される前に、HLマスト14の長手方向に間隔をおいて配置された複数の第1受け部141A〜第6受け部141Fによって左右一対のウエイトガイリンク36の上側部分を順に保持することを更に備える。
【0103】
本方法によれば、HLマスト14の回動時(
図11〜
図15)に、ウエイトガイリンク36の上側部分を安定して保持し、ウエイトガイリンク36の左右方向の揺れ、位置変動を抑制することができる。
【0104】
また、本実施形態に係るウエイトガイリンク36の輸送方法は、上記に記載のウエイトガイリンク36の格納方法と、ウエイトガイリンク36がHLマスト14およびマストバックストップ29に格納された状態で、HLマスト14を更に前方に回動させることで、HLマスト14を地上に倒伏させることと、HLマスト14およびマストバックストップ29にウエイトガイリンク36が格納された状態で、HLマスト14とウエイトガイリンク36とを一体的に輸送することと、を備える。
【0105】
本方法によれば、HLマスト14の輸送時に、HLマスト14およびウエイトガイリンク36が占有するスペースが縮小される。
【0106】
また、本実施形態に係るウエイトガイリンク36の輸送方法は、HLマスト14およびマストバックストップ29にウエイトガイリンク36が格納された状態で、HLマスト14およびウエイトガイリンク36を長手方向に沿って複数の領域に分割し、各領域のHLマスト14とウエイトガイリンク36とをそれぞれ一体的に輸送することと、を更に備える。
【0107】
本方法によれば、HLマスト14およびウエイトガイリンク36を分割して一体として輸送することが可能となり、別々に輸送するために大きなスペースを備える輸送車両や複数の車両を準備する必要が低減される。
【0108】
以上、本発明の実施形態に係るクレーン10およびクレーン10のウエイト用ガイラインの格納方法、輸送方法について説明した。なお、本発明はこれらの形態に限定されるものではない。本発明は、例えば以下のような変形実施形態を取ることができる。
【0109】
(1)上記の実施形態では、ウエイトガイリンク36が本発明に係るウエイト用ガイラインを構成する態様で説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明に係るウエイト用ガイラインは、ガイリンク以外のケーブル、ロープ、ワイヤなどであってもよい。
【0110】
(2)上記の実施形態では、第1ガイド142Aおよび第2ガイド142Bと、第1受け部141Aおよび第2受け部141Bが互いに別の部材から構成される態様で説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。第1受け部141Aおよび第2受け部141Bを備えることなく、第1ガイド142Aおよび第2ガイド142Bが、本発明のマスト側保持部およびマスト側ガイド部を兼用する態様でもよい、一例として、
図7の第2ガイド142Bの一対のガイド部材の基端部によって、本発明に係るマスト側保持部が構成され、前記一対のガイド部材の間にウエイトガイリンク36のライン部362が嵌りこむことでライン部362がガイドおよび保持される態様でもよい。この場合、簡易な構成で、ウエイトガイリンク36のガイドおよび保持が実現される。
【0111】
(3)上記の実施形態では、HLマスト14が箱マスト15によって吊り下げられ、旋回体11から取り外されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、別のクレーンによってHLマスト14が吊り下げられ、旋回体11から取り外されてもよい。