特許第6579285号(P6579285)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6579285
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】庫内空気調整装置
(51)【国際特許分類】
   A01F 25/00 20060101AFI20190912BHJP
   F25D 23/00 20060101ALI20190912BHJP
【FI】
   A01F25/00 C
   F25D23/00 302Z
【請求項の数】9
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2019-34208(P2019-34208)
(22)【出願日】2019年2月27日
(65)【公開番号】特開2019-148413(P2019-148413A)
(43)【公開日】2019年9月5日
【審査請求日】2019年2月27日
(31)【優先権主張番号】特願2018-33885(P2018-33885)
(32)【優先日】2018年2月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤本 祐介
(72)【発明者】
【氏名】亀井 紀考
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−041315(JP,A)
【文献】 特開2017−044452(JP,A)
【文献】 特開2017−190935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01F 25/00
F25D 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外気から酸素を除去することによって酸素濃度が上記外気よりも低い低酸素濃度空気を生成し、呼吸を行う植物(15)を収納するための収納庫(11)の庫内へ上記低酸素濃度空気と上記外気とを供給可能なガス供給装置(30)と、
上記ガス供給装置(30)の動作を制御する制御器(55)とを備え、
上記ガス供給装置(30)が上記低酸素濃度空気を上記収納庫(11)の庫内へ供給することによって、上記収納庫(11)の庫内空気の酸素濃度を所定の酸素濃度設定値にまで引き下げる酸素濃度低減運転と、上記酸素濃度低減運転の終了後に上記庫内空気の組成を所望の組成に保つための空気組成維持運転とを行う庫内空気調整装置であって、
上記制御器(55)は、上記空気組成維持運転において、
上記庫内空気の酸素濃度が上記酸素濃度設定値となり、庫内空気の二酸化炭素濃度が所定の二酸化炭素濃度設定値となるように、
上記ガス供給装置(30)に、
第1の低酸素濃度空気を上記収納庫(11)の庫内へ供給する第1供給動作と、
酸素濃度が上記第1の低酸素濃度空気よりも低い第2の低酸素濃度空気を上記収納庫(11)の庫内へ供給する第2供給動作と、
上記外気を上記収納庫(11)の庫内へ供給する外気供給動作と、
上記第1の低酸素濃度空気、上記第2の低酸素濃度空気および上記外気の上記収納庫(11)の庫内への供給を停止状態に保つ待機動作とを切り換えながら実行させるように構成されている
ことを特徴とする庫内空気調節装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記制御器(55)は、上記空気組成維持運転において、
上記庫内空気の酸素濃度が低下して上記酸素濃度設定値に近づくように、上記ガス供給装置(30)の動作を、上記第1供給動作から上記第2供給動作と上記待機動作のどちらかへ選択的に切り換えるように構成されている
ことを特徴とする庫内空気調節装置。
【請求項3】
請求項1において、
上記制御器(55)は、上記空気組成維持運転において、
所定の設定条件が成立してから所定の解除条件が成立するまでの間は、上記ガス供給装置(30)の動作の上記第1供給動作から上記待機動作への切り換えを禁止し、上記ガス供給装置(30)の動作の上記第1供給動作から上記第2供給動作への切り換えを許可するように構成されている
ことを特徴とする庫内空気調節装置。
【請求項4】
請求項3において、
上記設定条件は、上記庫内空気の酸素濃度を低下させるときに、上記庫内空気の二酸化炭素濃度の上昇を抑える必要がある場合に成立する条件であり、
上記解除条件は、上記庫内空気の酸素濃度を低下させる必要がなく、且つ上記庫内空気の二酸化炭素濃度の上昇を抑える必要がない場合に成立する条件である
ことを特徴とする庫内空気調節装置。
【請求項5】
請求項3において、
上記設定条件は、上記庫内空気の酸素濃度が上記酸素濃度設定値を含む所定の酸素濃度範囲に入り、且つ上記庫内空気の二酸化炭素濃度と上記二酸化炭素濃度設定値の差が第1所定値以上である状態が第1所定時間に亘って続くという条件であり、
上記解除条件は、上記庫内空気の酸素濃度が上記酸素濃度設定値以下であり、且つ上記庫内空気の二酸化炭素濃度と上記二酸化炭素濃度設定値の差が上記第1所定値よりも小さい第2所定値以下である状態が第2所定時間に亘って続くという条件である
ことを特徴とする庫内空気調節装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一つにおいて、
上記制御器(55)は、上記空気組成維持運転において、
上記庫内空気の酸素濃度が上昇して上記酸素濃度設定値に近づくように、上記ガス供給装置(30)の動作を、上記第1供給動作、上記第2供給動作、又は上記待機動作から上記外気供給動作に切り換えるように構成されている
ことを特徴とする庫内空気調節装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一つにおいて、
上記制御器(55)は、上記空気組成維持運転において、
上記庫内空気の酸素濃度が低下して上記酸素濃度設定値に近づくように、上記ガス供給装置(30)の動作を、上記外気供給動作から上記第1供給動作と上記待機動作のどちらかへ切り換えるように構成されている
ことを特徴とする庫内空気調節装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一つにおいて、
上記制御器(55)は、上記空気組成維持運転において、
上記庫内空気の二酸化炭素濃度が低下して上記二酸化炭素濃度設定値に近づくように、上記ガス供給装置(30)の動作を、上記待機動作から上記第1供給動作に切り換えるように構成されている
ことを特徴とする庫内空気調節装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一つにおいて、
上記制御器(55)は、上記空気組成維持運転において、上記ガス供給装置(30)に上記第1供給動作を最初に実行させるように構成されている
ことを特徴とする庫内空気調節装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、庫内空気調整装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、青果物等の鮮度保持を目的としたCA(Controlled Atmosphere)貯蔵を行う貯蔵装置が開示されている。この貯蔵装置は、PSA(Pressure Swing Adsorption)法によって酸素濃度の低い修正空気を生成する修正空気発生ユニットを備える。
【0003】
特許文献1の貯蔵装置は、酸素濃度が4%の修正空気を貯蔵庫内へ供給することによって貯蔵庫内の酸素濃度を引き下げる。貯蔵庫内の酸素濃度が目標範囲に達すると、貯蔵装置は、貯蔵庫内への修正空気の供給を一旦停止する。貯蔵庫内への修正空気の供給が停止している間は、貯蔵庫内の青果物が呼吸するため、貯蔵庫内の酸素濃度が低下して二酸化炭素濃度が上昇し、その結果、貯蔵庫内の空気の組成が変化する。そこで、貯蔵装置は、貯蔵庫内の空気の組成を所望の組成に保つため、外気を貯蔵庫内へ供給する外気供給動作と、修正空気を貯蔵庫内へ供給する修正空気供給動作と、貯蔵庫内への修正空気と外気の供給を停止する待機動作とを切り換えて行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−41315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の貯蔵装置では、貯蔵庫内の青果物が酸素を取り込んで二酸化炭素を吐き出す呼吸を行うことによって、貯蔵庫内の空気の組成が変化する。そのため、例えば修正空気供給動作中に貯蔵庫内の酸素濃度と二酸化炭素濃度の両方を引き下げる必要がある場合において、貯蔵装置の動作を修正空気供給動作から待機動作に切り換えると、貯蔵庫内の酸素濃度は低下するが二酸化炭素濃度は上昇してしまう。また、この場合において、貯蔵装置の動作を修正空気供給動作から外気供給動作に切り換えると、貯蔵庫内の二酸化炭素濃度は低下するが酸素濃度は増加してしまう。
【0006】
従って、三つの動作(修正空気供給動作、外気供給動作、及び待機動作)を切り換えながら行う従来の貯蔵装置では、貯蔵庫内の空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度とをそれぞれの設定値に到達させるのが困難となる場合があり、貯蔵庫内の青果物の鮮度保持が不充分となるおそれがあった。
【0007】
本開示の目的は、植物を収納するための収納庫の庫内空気の組成を調節する庫内空気調整装置において、庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度とをそれぞれの設定値に到達させ、収納庫に収納された植物の鮮度の低下を抑えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の態様は、外気から酸素を除去することによって酸素濃度が上記外気よりも低い低酸素濃度空気を生成し、呼吸を行う植物(15)を収納するための収納庫(11)の庫内へ上記低酸素濃度空気と上記外気とを供給可能なガス供給装置(30)と、上記ガス供給装置(30)の動作を制御する制御器(55)とを備え、上記ガス供給装置(30)が上記低酸素濃度空気を上記収納庫(11)の庫内へ供給することによって、上記収納庫(11)の庫内空気の酸素濃度を所定の酸素濃度設定値にまで引き下げる酸素濃度低減運転と、上記酸素濃度低減運転の終了後に上記庫内空気の組成を所望の組成に保つための空気組成維持運転とを行う庫内空気調整装置を対象とする。そして、上記制御器(55)は、上記空気組成維持運転において、上記庫内空気の酸素濃度が上記酸素濃度設定値となり、庫内空気の二酸化炭素濃度が所定の二酸化炭素濃度設定値となるように、上記ガス供給装置(30)に、第1の低酸素濃度空気を上記収納庫(11)の庫内へ供給する第1供給動作と、酸素濃度が上記第1の低酸素濃度空気よりも低い第2の低酸素濃度空気を上記収納庫(11)の庫内へ供給する第2供給動作と、上記外気を上記収納庫(11)の庫内へ供給する外気供給動作と、上記第1の低酸素濃度空気、上記第2の低酸素濃度空気および上記外気の上記収納庫(11)の庫内への供給を停止状態に保つ待機動作とを切り換えながら実行させるように構成されるものである。
【0009】
第1の態様において、ガス供給装置(30)は、外気から酸素を除去することによって低酸素濃度空気を生成する。外気(収納庫(11)の外部の空気、即ち、地表付近の大気)は、二酸化炭素濃度が約0.03%である。従って、外気から酸素を除去することによって生成された低酸素濃度空気は、二酸化炭素濃度が外気と同程度である。ガス供給装置(30)の第1供給動作および第2供給動作では、酸素濃度が外気よりも低く且つ二酸化炭素濃度が外気と同程度の低酸素濃度空気が、収納庫(11)の庫内へ供給される。
【0010】
第1の態様において、ガス供給装置(30)の第2供給動作では、酸素濃度が第1の低酸素濃度空気よりも低く、二酸化炭素濃度が第1の低酸素濃度空気と同程度の第2の低酸素濃度空気が、収納庫(11)の庫内へ供給される。従って、ガス供給装置(30)の第2供給動作では、庫内空気の二酸化炭素濃度の上昇を抑えつつ、庫内空気の酸素濃度を第1供給動作中よりも低下させることが可能となる。
【0011】
第1の態様では、庫内空気調整装置(60)の空気組成維持運転において、制御器(55)がガス供給装置(30)に四つの動作を切り換えながら実行させる。つまり、この態様の庫内空気調整装置(60)は、庫内空気の組成を所望の組成に保つために三つの動作を切り換えながら行う従来の装置に比べて、庫内空気の組成を所望の組成に保つためにガス供給装置(30)が行う動作の種類が多い。従って、この態様によれば、その時の状況(具体的には、庫内空気の酸素濃度および二酸化炭素濃度の現在値とそれぞれの設定値との関係)に適した動作をガス供給装置(30)に実行させることが可能となり、庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度とがそれぞれを設定値に到達させて、収納庫(11)に収納された植物(15)の鮮度の低下を抑えることが可能となる。
【0012】
本開示の第2の態様は、上記第1の態様において、上記制御器(55)は、上記空気組成維持運転において、上記庫内空気の酸素濃度が低下して上記酸素濃度設定値に近づくように、上記ガス供給装置(30)の動作を、上記第1供給動作から上記第2供給動作と上記待機動作のどちらかへ選択的に切り換えるように構成されるものである。
【0013】
第2の態様において、第1供給動作の実行中に庫内空気の酸素濃度を低下させて酸素濃度設定値に近づけたい場合、制御器(55)は、ガス供給装置(30)の動作を、第1供給動作から第2供給動作と待機動作のどちらかへ切り換える。ガス供給装置(30)の動作が第1供給動作から第2供給動作に切り換わると、庫内空気の酸素濃度が第1供給動作中よりも低下する一方、庫内空気の二酸化炭素濃度の上昇が第1供給動作中と同程度に抑えられる。一方、ガス供給装置(30)の動作が第1供給動作から待機動作に切り換わると、収納庫(11)内の植物(15)が呼吸することによって、庫内空気の酸素濃度が低下して二酸化炭素濃度が上昇する。
【0014】
第2の態様によれば、第1供給動作の実行中における庫内空気の二酸化炭素濃度に応じて、ガス供給装置(30)の動作を、第1供給動作から第2供給動作へ切り換えるか、第1供給動作から待機動作へ切り換えるかを、選択することが可能となる。従って、この態様によれば、庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度とをそれぞれの設定値に到達させて、収納庫(11)に収納された植物(15)の鮮度の低下を抑えることが可能となる。
【0015】
本開示の第3の態様は、上記第1の態様において、上記制御器(55)は、上記空気組成維持運転において、所定の設定条件が成立してから所定の解除条件が成立するまでの間は、上記ガス供給装置(30)の動作の上記第1供給動作から上記待機動作への切り換えを禁止し、上記ガス供給装置(30)の動作の上記第1供給動作から上記第2供給動作への切り換えを許可するように構成されるものである。
【0016】
第3の態様の庫内空気調整装置(60)において、制御器(55)は、設定条件および解除条件の成否に応じて、ガス供給装置(30)の動作の切り換えを制御する。従って、この態様によれば、庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度をそれぞれを設定値に到達させるのに適した動作を、ガス供給装置(30)に実行させることが可能となる。
【0017】
本開示の第4の態様は、上記第3の態様において、上記設定条件は、上記庫内空気の酸素濃度を低下させるときに、上記庫内空気の二酸化炭素濃度の上昇を抑える必要がある場合に成立する条件であり、上記解除条件は、上記庫内空気の酸素濃度を低下させる必要がなく、且つ上記庫内空気の二酸化炭素濃度の上昇を抑える必要がない場合に成立する条件であるものである。
【0018】
また、本開示の第5の態様は、上記第3の態様において、上記設定条件は、上記庫内空気の酸素濃度が上記酸素濃度設定値を含む所定の酸素濃度範囲に入り、且つ上記庫内空気の二酸化炭素濃度と上記二酸化炭素濃度設定値の差が第1所定値以上である状態が第1所定時間に亘って続くという条件であり、上記解除条件は、上記庫内空気の酸素濃度が上記酸素濃度設定値以下であり、且つ上記庫内空気の二酸化炭素濃度と上記二酸化炭素濃度設定値の差が上記第1所定値よりも小さい第2所定値以下である状態が第2所定時間に亘って続くという条件であるものである。
【0019】
第4及び第5の各態様の庫内空気調整装置(60)の空気組成維持運転において、設定条件が成立してから解除条件が成立するまでの間、庫内空気は、二酸化炭素濃度と二酸化炭素濃度設定値の差が比較的大きく、二酸化炭素濃度を引き下げる必要性が高い状態となっている。ガス供給装置(30)の待機動作中は、収納庫(11)内の植物(15)の呼吸によって二酸化炭素濃度が上昇する。そこで、これらの態様の制御器(55)は、設定条件が成立してから解除条件が成立するまでの間、ガス供給装置(30)の動作を第1供給動作から待機動作へ切り換えない。一方、ガス供給装置(30)の第2供給動作中は、二酸化炭素濃度が外気と同程度の第2の低酸素濃度空気が収納庫(11)の庫内へ供給される。そこで、これらの態様の制御器(55)は、設定条件が成立してから解除条件が成立するまでの間、ガス供給装置(30)の動作を、必要があれば第1供給動作から第2供給動作へ切り換える。
【0020】
このため、第4及び第5の各態様によれば、庫内空気の二酸化炭素濃度の上昇を抑えつつ、庫内空気の酸素濃度を低下させることが可能となる。その結果、庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度とをそれぞれの設定値に到達させて、収納庫(11)に収納された植物(15)の鮮度の低下を抑えることが可能となる。
【0021】
本開示の第6の態様は、上記第1〜第5のいずれか一つの態様において、上記制御器(55)は、上記空気組成維持運転において、上記庫内空気の酸素濃度が上昇して上記酸素濃度設定値に近づくように、上記ガス供給装置(30)の動作を、上記第1供給動作、上記第2供給動作、又は上記待機動作から上記外気供給動作に切り換えるように構成されるものである。
【0022】
第6の態様において、第1供給動作と第2供給動作と待機動作のどれかの実行中に庫内空気の酸素濃度を上昇させて酸素濃度設定値に近づけたい場合、制御器(55)は、ガス供給装置(30)の動作を、第1供給動作、第2供給動作、又は待機動作から外気供給動作に切り換える。ガス供給装置(30)の外気供給動作では、酸素濃度の高い外気が収納庫(11)の庫内へ供給され、庫内空気の酸素濃度が上昇する。
【0023】
本開示の第7の態様は、上記第1〜第6のいずれか一つの態様において、上記制御器(55)は、上記空気組成維持運転において、上記庫内空気の酸素濃度が低下して上記酸素濃度設定値に近づくように、上記ガス供給装置(30)の動作を、上記外気供給動作から上記第1供給動作と上記待機動作のどちらかへ切り換えるように構成されるものである。
【0024】
第7の態様において、外気供給動作の実行中に庫内空気の酸素濃度を低下させて酸素濃度設定値に近づけたい場合、制御器(55)は、ガス供給装置(30)の動作を、外気供給動作から第1供給動作と待機動作のどちらかへ切り換える。ガス供給装置(30)の第1供給動作では、外気よりも酸素濃度の低い第1の低酸素濃度空気が収納庫(11)の庫内へ供給され、庫内空気の酸素濃度が低下する。また、ガス供給装置(30)の待機動作では、収納庫(11)の収納された植物(15)の呼吸によって酸素が消費され、庫内空気の酸素濃度が低下する。
【0025】
本開示の第8の態様は、上記第1〜第7のいずれか一つの態様において、上記制御器(55)は、上記空気組成維持運転において、上記庫内空気の二酸化炭素濃度が低下して上記二酸化炭素濃度設定値に近づくように、上記ガス供給装置(30)の動作を、上記待機動作から上記第1供給動作に切り換えるように構成されるものである。
【0026】
第8の態様において、待機動作の実行中に庫内空気の二酸化炭素濃度を低下させて二酸化炭素濃度設定値に近づけたい場合、制御器(55)は、ガス供給装置(30)の動作を、待機動作から第1供給動作に切り換える。ガス供給装置(30)の第1供給動作では、二酸化炭素濃度が外気と同程度の第1の低酸素濃度空気が収納庫(11)の庫内へ供給され、庫内空気の二酸化炭素濃度が低下する。
【0027】
本開示の第9の態様は、上記第1〜第8のいずれか一つの態様において、上記制御器(55)は、上記空気組成維持運転において、上記ガス供給装置(30)に上記第1供給動作を最初に実行させるように構成されるものである。
【0028】
第9の態様では、庫内空気調整装置(60)の運転が酸素濃度低減運転から空気組成維持運転に切り換わった場合、制御器(55)は、ガス供給装置(30)に第1供給動作を最初に実行させ、その後に、ガス供給装置(30)の動作を必要に応じて第2供給動作、外気供給動作、又は待機動作へ切り換える。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、実施形態のコンテナ用冷凍装置を庫外側から見た斜視図である。
図2図2は、実施形態のコンテナ用冷凍装置の概略構成を示す側面断面図である。
図3図3は、実施形態の冷媒回路の構成を示す配管系統図である。
図4図4は、実施形態のCA装置の構成を示す配管系統図であり、第1動作中の空気の流れを示すものである。
図5図5は、実施形態のCA装置の構成を示す配管系統図であり、第2動作中の空気の流れを示すものである。
図6図6は、実施形態のCA装置の構成を示す配管系統図であり、均圧動作中の空気の流れを示すものである。
図7図7は、実施形態のCA装置の構成を示す配管系統図であり、ガス排出動作中の空気の流れを示すものである。
図8図8は、実施形態のCA装置の構成を示す配管系統図であり、外気導入動作中の空気の流れを示すものである。
図9図9は、実施形態のガス供給装置のガス生成動作における弁切換タイミングと吸着筒内の状態を示すタイムチャートである。
図10図10は、実施形態のガス供給装置の酸素濃度5%モードにおける弁切換タイミングを示すタイムチャートである。
図11図11は、実施形態のガス供給装置の酸素濃度8%モードにおける弁切換タイミングを示すタイムチャートである。
図12図12は、実施形態のCA装置の制御器が空気組成維持運転において行う動作を示す状態遷移図である。
図13図13は、図12に示した状態遷移の条件を示す図である。
図14図14は、実施形態のCA装置の制御器における動作制御フラグの遷移をしめす状態遷移図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0031】
図1及び図2に示すように、コンテナ用冷凍装置(10)は、海上輸送等に用いられるコンテナ(11)に設けられ、該コンテナ(11)の庫内空気を冷却するものである。コンテナ(11)の庫内には、植物(15)が箱詰めされた状態で収納されている。植物(15)は、空気中の酸素(O)を取り込んで二酸化炭素(CO)を放出する呼吸を行うものであり、例えば、バナナやアボカド等の青果物、野菜、穀物、球根、生花等である。
【0032】
コンテナ(11)は、一方の端面が開口する細長い箱状に形成されている。コンテナ用冷凍装置(10)は、ケーシング(12)と、図3に示す冷媒回路(20)と、CA装置(庫内空気調節装置/Controlled Atmosphere System)(60)とを備え、コンテナ(11)の開口端を塞ぐように取り付けられている。
【0033】
〈ケーシング〉
図2に示すように、ケーシング(12)は、コンテナ(11)の庫外側に位置する庫外壁(12a)と、コンテナ(11)の庫内側に位置する庫内壁(12b)とを備えている。庫外壁(12a)及び庫内壁(12b)は、例えば、アルミニウム合金によって構成されている。
【0034】
庫外壁(12a)は、コンテナ(11)の開口端を塞ぐようにコンテナ(11)の開口の周縁部に取り付けられている。庫外壁(12a)は、下部がコンテナ(11)の庫内側へ膨出するように形成されている。
【0035】
庫内壁(12b)は、庫外壁(12a)と対向して配置されている。庫内壁(12b)は、庫外壁(12a)の下部に対応して庫内側へ膨出している。庫内壁(12b)と庫外壁(12a)との間の空間には、断熱材(12c)が設けられている。
【0036】
このように、ケーシング(12)の下部は、コンテナ(11)の庫内側に向かって膨出するように形成されている。これにより、ケーシング(12)の下部におけるコンテナ(11)の庫外側には庫外収納空間(S1)が形成され、ケーシング(12)の上部におけるコンテナ(11)の庫内側には庫内収納空間(S2)が形成されている。
【0037】
図1に示すように、ケーシング(12)には、メンテナンス用の2つのサービス用開口(14)が幅方向に並んで形成されている。2つのサービス用開口(14)は、それぞれ開閉自在な第1及び第2サービス扉(16A,16B)によって閉塞されている。第1及び第2サービス扉(16A,16B)は、いずれもケーシング(12)と同様に、庫外壁と庫内壁と断熱材とによって構成されている。
【0038】
図2に示すように、コンテナ(11)の庫内には、仕切板(18)が配置されている。この仕切板(18)は、略矩形状の板部材に構成され、ケーシング(12)のコンテナ(11)の庫内側の面と対向する姿勢で立設されている。この仕切板(18)によって、コンテナ(11)の庫内と庫内収納空間(S2)とが区画されている。
【0039】
仕切板(18)の上端とコンテナ(11)内の天井面との間には吸込口(18a)が形成されている。コンテナ(11)の庫内空気は、吸込口(18a)を通って庫内収納空間(S2)に取り込まれる。
【0040】
また、庫内収納空間(S2)には、水平方向に延びる区画壁(13)が設けられている。区画壁(13)は、仕切板(18)の上端部に取り付けられ、後述する庫内ファン(26)が設置される開口が形成されている。区画壁(13)は、庫内収納空間(S2)を、庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)と、庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)とに区画する。なお、本実施形態では、庫内収納空間(S2)は、区画壁(13)によって上下に区画され、吸込側の1次空間(S21)が上側、吹出側の2次空間(S22)が下側に形成されている。
【0041】
コンテナ(11)内には、コンテナ(11)の底面との間に隙間を存して床板(19)が設けられている。床板(19)上には、箱詰めされた植物(15)が載置されている。コンテナ(11)内の底面と床板(19)との間には、床下流路(19a)が形成されている。仕切板(18)の下端とコンテナ(11)内の底面との間には隙間が設けられ、床下流路(19a)に連通している。
【0042】
床板(19)におけるコンテナ(11)の奥側(図2で右側)には、コンテナ用冷凍装置(10)によって冷却された空気をコンテナ(11)の庫内へ吹き出す吹出口(18b)が形成されている。
【0043】
〈冷媒回路等の構成と配置〉
図3に示すように、冷媒回路(20)は、圧縮機(21)と、凝縮器(22)と、膨張弁(23)と、蒸発器(24)とを、冷媒配管(20a)によって順に接続することによって構成された閉回路である。
【0044】
凝縮器(22)の近傍には、庫外ファンモータ(25a)によって回転駆動され、コンテナ(11)の庫外空間の空気(外気)を庫外収納空間(S1)内へ誘引して凝縮器(22)へ送る庫外ファン(25)が設けられている。凝縮器(22)では、圧縮機(21)で加圧されて凝縮器(22)の内部を流れる冷媒と庫外ファン(25)によって凝縮器(22)に送られた外気との間で熱交換が行われる。本実施形態では、庫外ファン(25)は、プロペラファンによって構成されている。
【0045】
蒸発器(24)の近傍には、庫内ファンモータ(26a)によって回転駆動され、コンテナ(11)の庫内空気を吸込口(18a)から誘引して蒸発器(24)へ吹き出す庫内ファン(26)が2つ設けられている(図1を参照)。蒸発器(24)では、膨張弁(23)によって減圧されて蒸発器(24)の内部を流れる冷媒と庫内ファン(26)によって蒸発器(24)に送られた庫内空気との間で熱交換が行われる。
【0046】
図1に示すように、圧縮機(21)及び凝縮器(22)は、庫外収納空間(S1)に収納されている。凝縮器(22)は、庫外収納空間(S1)の上下方向の中央部分において、該庫外収納空間(S1)を下側の第1空間(S11)と上側の第2空間(S12)とに区画するように設けられている。第1空間(S11)には、上記圧縮機(21)と、該圧縮機(21)を可変速で駆動するための駆動回路が収納されたインバータボックス(29)と、CA装置(60)のガス供給装置(30)とが設けられている。一方、第2空間(S12)には、庫外ファン(25)と、電装品ボックス(17)とが設けられている。第1空間(S11)は、コンテナ(11)の庫外空間に対して開放される一方、第2空間(S12)は、庫外ファン(25)の吹出口のみが庫外空間に開口するように庫外空間との間が板状部材によって閉塞されている。
【0047】
一方、図2に示すように、蒸発器(24)は、庫内収納空間(S2)の2次空間(S22)に収納されている。庫内収納空間(S2)における蒸発器(24)の上方位置には、ケーシング(12)の幅方向に並んで2つの庫内ファン(26)が設けられている。
【0048】
〈CA装置〉
図4に示すように、庫内空気調整装置であるCA装置(60)は、ガス供給装置(30)と、排気部(46)と、センサユニット(50)と、制御器(55)とを備え、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度とを調節するものである。なお、以下の説明で用いる「濃度」は、全て「体積濃度」を指す。
【0049】
[ガス供給装置]
−ガス供給装置の構成−
ガス供給装置(30)は、外気から酸素を除去することによって低酸素濃度空気を生成し、コンテナ(11)の庫内に供給する装置である。低酸素濃度空気は、窒素濃度が外気よりも高く、酸素濃度が外気よりも低く、二酸化炭素濃度が外気と同程度である。本実施形態では、ガス供給装置(30)として、VPSA(Vacuum Pressure Swing Adsorption)方式の装置を用いている。また、ガス供給装置(30)は、図1に示すように、庫外収納空間(S1)の左下のコーナー部に配置されている。
【0050】
図4に示すように、ガス供給装置(30)は、エアポンプ(31)と、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)と、空気中の窒素成分を吸着するための吸着剤が設けられた第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)とが接続された空気回路(3)と、空気回路(3)の構成部品が収納されたユニットケース(36)とを有している。このようにガス供給装置(30)は、構成部品がユニットケース(36)の内部に収納されることによって1つのユニットとして構成され、コンテナ用冷凍装置(10)に後付けすることができるように構成されている。
【0051】
(エアポンプ)
エアポンプ(31)は、ユニットケース(36)内に設けられ、それぞれ空気を吸引して加圧して吐出する第1ポンプ機構(加圧部)(31a)及び第2ポンプ機構(減圧部)(31b)を有している。第1ポンプ機構(31a)及び第2ポンプ機構(31b)は、モータ(31c)の駆動軸に接続され、モータ(31c)によって回転駆動されることにより、それぞれ空気を吸引して加圧して吐出する。
【0052】
第1ポンプ機構(31a)の吸込口には、ユニットケース(36)を内外に貫通するように設けられた外気通路(41)の一端が接続されている。外気通路(41)の他端には、通気性と防水性を有するメンブレンフィルタ(76)が設けられている。外気通路(41)は、可撓性を有するチューブによって構成されている。図示を省略するが、メンブレンフィルタ(76)が設けられた外気通路(41)の他端は、庫外収納空間(S1)の凝縮器(22)の上方の第2空間(S12)に設けられている。このような構成により、第1ポンプ機構(31a)は、外気通路(41)の他端に設けられたメンブレンフィルタ(76)を介してユニットケース(36)の外から中へ流入する際に水分が除去された外気を吸い込んで加圧する。一方、第1ポンプ機構(31a)の吐出口には吐出通路(42)の一端が接続されている。該吐出通路(42)の他端は、下流側において2つに分岐して第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)のそれぞれに接続されている。
【0053】
第2ポンプ機構(31b)の吸込口には、吸引通路(43)の一端が接続されている。吸引通路(43)の他端は、上流側において2つに分かれ、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)のそれぞれに接続されている。一方、第2ポンプ機構(31b)の吐出口には、供給通路(44)の一端が接続されている。供給通路(44)の他端は、コンテナ(11)の庫内収納空間(S2)における庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)において開口している。供給通路(44)の他端部には、一端から他端へ向かう向きの空気の流通のみを許容し、空気の逆流を防止する逆止弁(65)が設けられている。
【0054】
吐出通路(42)と吸引通路(43)とは、バイパス通路(47)によって接続されている。バイパス通路(47)は、エアポンプ(31)に取り込んだ外気を、そのままエアポンプ(31)の加圧力によってコンテナ(11)の庫内へ供給する外気導入動作を行うために設けられている。バイパス通路(47)は、外気導入動作を行う際に、エアポンプ(31)の第1ポンプ機構(31a)に取り込んだ外気を、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)をバイパスさせて第2ポンプ機構(31b)の吸込口へ導く。バイパス通路(47)には、制御器(55)によって開閉制御されるバイパス開閉弁(48)が設けられている。バイパス開閉弁(48)は、制御器(55)によって開閉制御される。バイパス開閉弁(48)は、外気導入動作時にのみ開かれ、それ以外は閉じられる。
【0055】
エアポンプ(31)の第1ポンプ機構(31a)及び第2ポンプ機構(31b)は、潤滑用のオイルを使用しないオイルレスのポンプで構成されている。また、エアポンプ(31)の側方には、エアポンプ(31)に向かって送風することでエアポンプ(31)を冷却するための送風ファン(49)が2つ設けられている。
【0056】
(方向制御弁)
第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)は、空気回路(3)におけるエアポンプ(31)と第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)との間に設けられ、エアポンプ(31)と第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)との接続状態を後述する4つの接続状態(第1〜第4接続状態)に切り換えるものである。この切り換え動作は、制御器(55)によって制御される。
【0057】
具体的に、第1方向制御弁(32)は、第1ポンプ機構(31a)の吐出口に接続された吐出通路(42)と、第2ポンプ機構(31b)の吸込口に接続された吸引通路(43)と、第1吸着筒(34)の一端部(加圧時の流入口)とに接続される。この第1方向制御弁(32)は、第1吸着筒(34)を第1ポンプ機構(31a)の吐出口に連通させて第2ポンプ機構(31b)の吸込口から遮断する第1状態(図4に示す状態)と、第1吸着筒(34)を第2ポンプ機構(31b)の吸込口に連通させて第1ポンプ機構(31a)の吐出口から遮断する第2状態(図5に示す状態)とに切り換わる。
【0058】
第2方向制御弁(33)は、第1ポンプ機構(31a)の吐出口に接続された吐出通路(42)と、第2ポンプ機構(31b)の吸込口に接続された吸引通路(43)と、第2吸着筒(35)の一端部とに接続される。この第2方向制御弁(33)は、第2吸着筒(35)を第2ポンプ機構(31b)の吸込口に連通させて第1ポンプ機構(31a)の吐出口から遮断する第1状態(図4に示す状態)と、第2吸着筒(35)を第1ポンプ機構(31a)の吐出口に連通させて第2ポンプ機構(31b)の吸込口から遮断する第2状態(図5に示す状態)とに切り換わる。
【0059】
第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)を共に第1状態に設定すると、空気回路(3)が、第1ポンプ機構(31a)の吐出口と第1吸着筒(34)とが接続され且つ第2ポンプ機構(31b)の吸込口と第2吸着筒(35)とが接続される第1接続状態に切り換わる(図4を参照)。この状態では、第1吸着筒(34)で外気中の窒素成分を吸着剤に吸着させる吸着動作が行われ、第2吸着筒(35)で吸着剤に吸着された窒素成分を脱着させる脱着動作が行われる。
【0060】
第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)を共に第2状態に設定すると、空気回路(3)が、第1ポンプ機構(31a)の吐出口と第2吸着筒(35)とが接続され且つ第2ポンプ機構(31b)の吸込口と第1吸着筒(34)とが接続される第2接続状態に切り換わる(図5を参照)。この状態では、第2吸着筒(35)で吸着動作が行われ、第1吸着筒(34)で脱着動作が行われる。
【0061】
第1方向制御弁(32)を第1状態に設定し、第2方向制御弁(33)を第2状態に設定すると、空気回路(3)が、第1ポンプ機構(31a)の吐出口と第1吸着筒(34)とが接続され且つ第1ポンプ機構(31a)の吐出口と第2吸着筒(35)とが接続される第3接続状態に切り換わる(図6を参照)。この状態では、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の両方が第1ポンプ機構(31a)の吐出口に接続され、第1ポンプ機構(31a)によって第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の両方に加圧された外気が供給される。
【0062】
第1方向制御弁(32)を第2状態に設定し、第2方向制御弁(33)を第1状態に設定すると、空気回路(3)が、第2ポンプ機構(31b)の吸込口と第1吸着筒(34)とが接続され且つ第2ポンプ機構(31b)の吸込口と第2吸着筒(35)とが接続される第4接続状態に切り換わる(図8を参照)。この状態では、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の両方が第2ポンプ機構(31b)の吸込口に接続され、第1ポンプ機構(31a)の吐出口から遮断される。
【0063】
(吸着筒)
第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)は、内部に吸着剤が充填された円筒部材によって構成されている。第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)に充填された吸着剤は、加圧下で窒素成分を吸着して、減圧下で吸着した窒素成分を脱着させる性質を有している。
【0064】
第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)に充填された吸着剤は、例えば、窒素分子の分子径(3.0オングストローム)よりも小さく且つ酸素分子の分子径(2.8オングストローム)よりも大きな孔径の細孔を有する多孔体のゼオライトで構成されている。このような孔径のゼオライトで吸着剤を構成すれば、空気中の窒素成分を吸着することができる。
【0065】
また、ゼオライトの細孔内には、陽イオンが存在しているために電場が存在し極性を生じているので、水分子などの極性分子を吸着する性質を有している。そのため、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)に充填されたゼオライトからなる吸着剤には、空気中の窒素だけでなく、空気中の水分(水蒸気)も吸着される。そして、吸着剤に吸着された水分は、脱着動作によって窒素成分と共に吸着剤から脱着される。そのため、水分を含んだ低酸素濃度空気がコンテナ(11)の庫内に供給されることとなり、庫内の湿度を上げることができる。さらに、吸着剤が再生されるので、吸着剤の長寿命化を図ることができる。
【0066】
このような構成により、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)では、エアポンプ(31)から加圧された外気が供給されて内部が加圧されると、吸着剤に該外気中の窒素成分が吸着する。その結果、外気よりも窒素成分が少なくなることで外気よりも窒素濃度が低く且つ酸素濃度が高い高酸素濃度空気が生成される。一方、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)では、エアポンプ(31)によって内部の空気が吸引されて減圧されると、吸着剤に吸着されていた窒素成分が脱着する。その結果、外気よりも窒素成分を多く含むことで外気よりも窒素濃度が高く且つ酸素濃度が低い低酸素濃度空気が生成される。
【0067】
第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の他端部(加圧時の流出口)には、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)において、第1ポンプ機構(31a)によって加圧された外気が供給されて生成された高酸素濃度空気を、コンテナ(11)の庫外へ導くための酸素排出通路(45)の一端が接続されている。酸素排出通路(45)の一端は、2つに分岐し、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の他端部のそれぞれに接続されている。酸素排出通路(45)の他端は、ガス供給装置(30)の外部、即ち、コンテナ(11)の庫外において開口している。酸素排出通路(45)の第1吸着筒(34)の他端部に接続された部分及び第2吸着筒(35)の他端部に接続された部分には、酸素排出通路(45)から第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)への空気の逆流を防止するための逆止弁(61)がそれぞれ設けられている。
【0068】
酸素排出通路(45)の中途部には、逆止弁(62)とオリフィス(63)とが一端から他端に向かって順に設けられている。逆止弁(62)は、後述する排気用接続通路(71)からの低酸素濃度空気の第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)側への逆流を防止する。オリフィス(63)は、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)から流出した高酸素濃度空気が庫外へ排出される前に減圧する。
【0069】
(給排切換機構)
空気回路(3)には、生成した低酸素濃度空気をコンテナ(11)の庫内に供給する後述するガス供給動作(図4及び図5を参照)と、生成した低酸素濃度空気を庫外へ排出するガス排出動作(図7を参照)とを切り換えるための給排切換機構(70)が設けられている。給排切換機構(70)は、排気用接続通路(71)と、排気用開閉弁(72)と、供給側開閉弁(73)とを有している。
【0070】
排気用接続通路(71)は、一端が供給通路(44)に接続され、他端が酸素排出通路(45)に接続されている。排気用接続通路(71)の他端は、酸素排出通路(45)のオリフィス(63)よりも庫外側に接続されている。
【0071】
排気用開閉弁(72)は、排気用接続通路(71)に設けられている。排気用開閉弁(72)は、排気用接続通路(71)の中途部において、供給通路(44)から流入した低酸素濃度空気の流通を許容する開状態と、低酸素濃度空気の流通を遮断する閉状態とに切り換わる電磁弁によって構成されている。排気用開閉弁(72)の開閉動作は、制御器(55)によって制御される。
【0072】
供給側開閉弁(73)は、供給通路(44)における排気用接続通路(71)が接続される接続部よりも他端側(庫内側)に設けられている。供給側開閉弁(73)は、供給通路(44)の排気用接続通路(71)の接続部よりも庫内側において、低酸素濃度空気の庫内側への流通を許容する開状態と、低酸素濃度空気の庫内側への流通を遮断する閉状態とに切り換わる電磁弁によって構成されている。供給側開閉弁(73)の開閉動作は、制御器(55)によって制御される。
【0073】
このような給排切換機構(70)により、ガス供給装置(30)は、コンテナ(11)の庫内へ供給する低酸素濃度空気の酸素濃度を複数段階に変更可能に構成されている。なお、本実施形態では、ガス供給装置(30)は、コンテナ(11)の庫内へ供給する低酸素濃度空気の酸素濃度を2段階(酸素濃度5%、酸素濃度8%)に変更可能に構成されている。つまり、本実施形態のガス供給装置(30)は、酸素濃度が8%の第1の低酸素濃度空気と、酸素濃度が5%の第2の低酸素濃度空気とを、選択的に生成させる。
【0074】
(測定ユニット)
空気回路(3)には、生成した低酸素濃度空気の濃度を、コンテナ(11)の庫内に設けられた後述するセンサユニット(50)の酸素センサ(51)を用いて測定する給気測定動作を行うための測定ユニット(80)が設けられている。測定ユニット(80)は、分岐管(測定用通路)(81)と測定用開閉弁(82)とを備え、供給通路(44)を流れる低酸素濃度空気の一部を分岐させて酸素センサ(51)に導くように構成されている。
【0075】
具体的には、分岐管(81)は、一端が供給通路(44)に接続され、他端が酸素センサ(51)の後述する酸素センサボックス(51a)に連結されている。なお、本実施形態では、分岐管(81)は、ユニットケース(36)内において供給通路(44)から分岐し、ユニットケースの内外に亘るように設けられている。分岐管(81)の他端部には、一端から他端へ向かう向きの空気の流通のみを許容し、空気の逆流を防止する逆止弁(64)が設けられている。
【0076】
測定用開閉弁(82)は、分岐管(81)のユニットケースの内部に設けられている。測定用開閉弁(82)は、分岐管(81)における低酸素濃度空気の流通を許容する開状態と、分岐管(81)における低酸素濃度空気の流通を遮断する閉状態とに切り換わる電磁弁によって構成されている。測定用開閉弁(82)の開閉動作は、制御器(55)によって制御される。詳細については後述するが、測定用開閉弁(82)は、後述する給気測定動作が実行される際にのみ開状態となり、その他のモードでは閉状態となる。
【0077】
−ガス供給装置の運転動作−
(ガス生成動作)
ガス供給装置(30)では、第1吸着筒(34)が加圧されると同時に第2吸着筒(35)が減圧される第1動作(図4を参照)と、第1吸着筒(34)が減圧されると同時に第2吸着筒(35)が加圧される第2動作(図5を参照)とが、所定の時間(例えば、14.5秒)ずつ交互に繰り返し行われることにより、低酸素濃度空気と高酸素濃度空気とが生成される。また、本実施形態では、第1動作と第2動作との各合間に、第1吸着筒(34)と第2吸着筒(35)のいずれもが加圧される均圧動作(図6を参照)が、所定の時間(例えば、1.5秒)行われる(図9を参照)。各動作の切り換えは、制御器(55)が第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)を操作することによって行われる。
【0078】
《第1動作》
第1動作では、制御器(55)によって、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)が共に、図4に示す第1状態に切り換えられる。これにより、空気回路(3)は、第1吸着筒(34)が第1ポンプ機構(31a)の吐出口に連通して第2ポンプ機構(31b)の吸込口から遮断され、且つ第2吸着筒(35)が第2ポンプ機構(31b)の吸込口に連通して第1ポンプ機構(31a)の吐出口から遮断された第1接続状態となる。
【0079】
第1ポンプ機構(31a)は、加圧した外気を第1吸着筒(34)へ供給する。第1吸着筒(34)へ流入した空気に含まれる窒素成分は、第1吸着筒(34)の吸着剤に吸着される。このように、第1動作中、第1吸着筒(34)では、上記第1ポンプ機構(31a)から加圧された外気が供給されて該外気中の窒素成分が吸着剤に吸着されることにより、窒素濃度が外気よりも低く酸素濃度が外気よりも高い高酸素濃度空気が生成される。高酸素濃度空気は、第1吸着筒(34)から酸素排出通路(45)に流出する。
【0080】
一方、第2ポンプ機構(31b)は、第2吸着筒(35)から空気を吸引する。その際、第2吸着筒(35)の吸着剤に吸着された窒素成分が、空気と共に第2ポンプ機構(31b)に吸引されて吸着剤から脱着する。このように、第1動作中、第2吸着筒(35)では、第2ポンプ機構(31b)によって内部の空気が吸引されて吸着剤に吸着された窒素成分が脱着することにより、吸着剤から脱着した窒素成分を含み、窒素濃度が外気よりも高く酸素濃度が外気よりも低い低酸素濃度空気が生成される。低酸素濃度空気は、第2ポンプ機構(31b)に吸い込まれ、加圧された後、供給通路(44)に吐出される。
【0081】
《第2動作》
第2動作では、制御器(55)によって、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)が共に、図5に示す第2状態に切り換えられる。これにより、空気回路(3)は、第1吸着筒(34)が第2ポンプ機構(31b)の吸込口に連通して第1ポンプ機構(31a)の吐出口から遮断され、且つ第2吸着筒(35)が第1ポンプ機構(31a)の吐出口に連通して第2ポンプ機構(31b)の吸込口から遮断された第2接続状態となる。
【0082】
第1ポンプ機構(31a)は、加圧した外気を第2吸着筒(35)へ供給する。第2吸着筒(35)へ流入した空気に含まれる窒素成分は、第2吸着筒(35)の吸着剤に吸着される。このように、第2動作中、第2吸着筒(35)では、上記第1ポンプ機構(31a)から加圧された外気が供給されて該外気中の窒素成分が吸着剤に吸着されることにより、窒素濃度が外気よりも低く酸素濃度が外気よりも高い高酸素濃度空気が生成される。高酸素濃度空気は、第2吸着筒(35)から酸素排出通路(45)に流出する。
【0083】
一方、第2ポンプ機構(31b)は、第1吸着筒(34)から空気を吸引する。その際、第1吸着筒(34)の吸着剤に吸着された窒素成分が、空気と共に第2ポンプ機構(31b)に吸引されて吸着剤から脱着する。このように、第2動作中、第1吸着筒(34)では、第2ポンプ機構(31b)によって内部の空気が吸引されて吸着剤に吸着された窒素成分が脱着することにより、吸着剤から脱着した窒素成分を含み、窒素濃度が外気よりも高く酸素濃度が外気よりも低い低酸素濃度空気が生成される。低酸素濃度空気は、第2ポンプ機構(31b)に吸い込まれ、加圧された後、供給通路(44)に吐出される。
【0084】
《均圧動作》
図6に示すように、均圧動作では、制御器(55)によって、第1方向制御弁(32)が第1状態に切り換える一方、第2方向制御弁(33)が第2状態に切り換えられる。これにより、空気回路(3)は、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)が、共に第1ポンプ機構(31a)の吐出口に連通して第2ポンプ機構(31b)の吸込口から遮断された第3接続状態となる。
【0085】
第1ポンプ機構(31a)は、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の両方に加圧した外気を供給する。第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)へ流入した空気に含まれる窒素成分は、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の吸着剤に吸着され、高酸素濃度空気が生成される。高酸素濃度空気は、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)から酸素排出通路(45)に流出する。
【0086】
一方、第2ポンプ機構(31b)は、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)から遮断される。そのため、均圧動作中には、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)において新たに低酸素濃度空気が生成されることはなく、第2ポンプ機構(31b)は、吸引通路(43)に残存する低酸素濃度空気を吸引して加圧した後、供給通路(44)に吐出する。
【0087】
ところで、上述したように、第1動作中には、第1吸着筒(34)では第1ポンプ機構(31a)によって加圧されて吸着動作が行われ、第2吸着筒(35)では第2ポンプ機構(31b)によって減圧されて脱着動作が行われる。一方、第2動作中には、第2吸着筒(35)では第1ポンプ機構(31a)によって加圧されて吸着動作が行われ、第1吸着筒(34)では第2ポンプ機構(31b)によって減圧されて脱着動作が行われる。そのため、上述の均圧動作を挟むことなく、第1動作から第2動作へ切り換える又は第2動作から第1動作へ切り換えると、切り換え直後は、切り換え前に脱着動作を行っていた吸着筒内の圧力が著しく低いため、該吸着筒内の圧力が上昇するのに時間がかかり、すぐには吸着動作が行われない。
【0088】
そこで、本実施形態では、第1動作から第2動作へ切り換える際、及び第2動作から第1動作へ切り換える際に、空気回路(3)を第3接続状態に切り換え、第1吸着筒(34)と第2吸着筒(35)とを、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)を介して連通させることとしている。これにより、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の互いの内部圧力が、速やかに等しくなる(互いの内部圧力の中間の圧力になる)。このような均圧動作により、切り換え前に第2ポンプ機構(31b)によって減圧されて脱着動作を行っていた吸着筒内の圧力が、速やかに上昇するため、第1ポンプ機構(31a)への接続後、速やかに吸着動作が行われる。
【0089】
このようにして、ガス供給装置(30)では、均圧動作を挟みながら第1動作と第2動作とを交互に繰り返すことによって空気回路(3)において低酸素濃度空気と高酸素濃度空気とが生成される。
【0090】
(ガス供給動作/ガス排出動作)
ガス供給装置(30)では、給排切換機構(70)によって、空気回路(3)において生成した低酸素濃度空気をコンテナ(11)の庫内に供給するガス供給動作と、脱着動作の開始時点から所定時間の間、生成した低酸素濃度空気をコンテナ(11)の庫内へ供給せずに排気するガス排出動作とが切り換えられる。
【0091】
《ガス供給動作》
図4図6に示すように、ガス供給動作では、制御器(55)によって、排気用開閉弁(72)が閉状態に制御され、供給側開閉弁(73)が開状態に制御される。これにより、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)において交互に生成された低酸素濃度空気が供給通路(44)を通ってコンテナ(11)の庫内へ供給され、高酸素濃度空気は酸素排出通路(45)を通って庫外へ排出される。
【0092】
《ガス排出動作》
図7に示すように、ガス排出動作では、制御器(55)によって、排気用開閉弁(72)が開状態に制御され、供給側開閉弁(73)が閉状態に制御される。これにより、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)において交互に生成されて供給通路(44)に吐出された低酸素濃度空気は、供給通路(44)において供給側開閉弁(73)よりも庫内側への流通が阻止され、排気用接続通路(71)に流入する。排気用接続通路(71)に流入した低酸素濃度空気は、酸素排出通路(45)に流入し、酸素排出通路(45)を流れる高酸素濃度空気と共に庫外へ排出される。
【0093】
(ガス供給装置の動作モード)
ガス供給装置(30)は、4つの動作モードを実行可能に構成されている。具体的には、ガス供給装置(30)は、酸素濃度5%モードと酸素濃度8%モードと外気導入モードと呼吸モードとが実行可能に構成されている。
【0094】
酸素濃度5%モードは、ガス供給装置(30)が平均酸素濃度5%の低酸素濃度空気(第2の低酸素濃度空気)をコンテナ(11)の庫内へ供給する動作モードである。酸素濃度8%モードは、ガス供給装置(30)が平均酸素濃度8%の低酸素濃度空気(第1の低酸素濃度空気)をコンテナ(11)の庫内へ供給する動作モードである。外気導入モードは、ガス供給装置(30)がコンテナ(11)の外部の空気(外気)をそのままコンテナ(11)の庫内へ供給する動作モードである。呼吸モードは、庫内の植物(15)の呼吸によって庫内空気の組成を変化させるために、ガス供給装置(30)がコンテナ(11)の庫内への低酸素濃度空気および外気の供給を停止する動作モードである。
【0095】
ガス供給装置(30)が行う動作モードは、酸素濃度5%モード、酸素濃度8%モード、外気導入モードの順に、庫内に供給するガスの酸素濃度が高くなり(5%→8%→21%)、且つ、ガス供給量も増える。ガス供給装置(30)は、このような動作モードを切換可能に構成されることにより、庫内へ供給する低酸素濃度空気の酸素濃度を複数段階に変更可能であり、庫内に供給するガスの酸素濃度が高い程、ガス供給量が増えるように構成されている。以下、各動作モードについて詳述する。
【0096】
《酸素濃度5%モード》
酸素濃度5%モードは、平均酸素濃度5%の低酸素濃度空気(第2の低酸素濃度空気)がコンテナ(11)の庫内へ供給される第2供給動作である。図4〜6,10に示すように、酸素濃度5%モードでは、制御器(55)は、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)を切り換えて均圧動作を挟みながら第1動作と第2動作とを交互に繰り返し行い、窒素濃度が外気よりも高く酸素濃度が外気よりも低い低酸素濃度空気を生成する(ガス生成動作)。本実施形態では、第1動作及び第2動作の動作時間が14.5秒、均圧動作の動作時間が1.5秒に設定されている。
【0097】
なお、第1動作及び第2動作の各動作において初期と末期とでは、生成される低酸素濃度空気の組成が異なる。具体的には、各動作の初期では、吸着筒や配管等に外気が残存しているために比較的酸素濃度の高い低酸素濃度空気が生成され、各動作の末期には、吸着筒内の圧力が初期よりも低下するために窒素成分が多く脱着され、比較的酸素濃度の低い低酸素濃度空気が生成される。
【0098】
酸素濃度5%モードでは、図7,10に示すように、制御器(55)は、第1動作及び第2動作の初期の所定時間の間(本実施形態では、各動作の開始時から4秒経過するまでの間)、排気用開閉弁(72)を開状態、供給側開閉弁(73)を閉状態に制御して、ガス供給装置(30)にガス供給動作を行わせずにガス排出動作を行わせる。つまり、上記ガス生成動作によって生成される低酸素濃度空気のうち、比較的酸素濃度の高い低酸素濃度空気をコンテナ(11)の庫内に供給せずに庫外へ排出する。
【0099】
そして、上記所定時間の終了後(ガス排出動作の終了後)、制御器(55)は、排気用開閉弁(72)を閉状態、供給側開閉弁(73)を開状態に制御して、ガス供給装置(30)にガス供給動作を行わせる。つまり、上記ガス生成動作によって生成された低酸素濃度空気のうち、比較的酸素濃度の低い低酸素濃度空気をコンテナ(11)の庫内に供給する。
【0100】
酸素濃度5%モードでは、上述のように、ガス供給装置(30)において、ガス生成動作によって比較的酸素濃度の低い低酸素濃度空気が生成されるタイミングでガス供給動作を間欠的に行うことにより、コンテナ(11)の庫内には、比較的酸素濃度の低い低酸素濃度空気のみが供給されることとなる。具体的には、酸素濃度5%モードでは、コンテナ(11)の庫内には、平均窒素濃度(第1動作及び第2動作の各動作において、庫内に供給される低酸素濃度空気の窒素濃度の平均値)が95%、平均酸素濃度(第1動作及び第2動作の各動作において、庫内に供給される低酸素濃度空気の酸素濃度の平均値)が5%の低酸素濃度空気が供給されることとなる。なお、酸素濃度5%モードにおいて生成する低酸素濃度空気の二酸化炭素濃度は、外気の二酸化炭素濃度(0.03%)と同程度である。
【0101】
《酸素濃度8%モード》
酸素濃度8%モードは、平均酸素濃度8%の低酸素濃度空気(第1の低酸素濃度空気)がコンテナ(11)の庫内へ供給される第1供給動作である。酸素濃度8%モードにおいても、制御器(55)は、図11に示すように、酸素濃度5%モードと同様に、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)を切り換えて均圧動作を挟みながら第1動作と第2動作とを交互に繰り返し行い、窒素濃度が外気よりも高く酸素濃度が外気よりも低い低酸素濃度空気を生成する。
【0102】
また、酸素濃度8%モードでは、図4〜6,11に示すように、制御器(55)は、排気用開閉弁(72)を閉状態、供給側開閉弁(73)を開状態に制御して、ガス供給装置(30)にガス供給動作を行わせる。つまり、上記ガス生成動作によって生成された低酸素濃度空気をコンテナ(11)の庫内に供給する。
【0103】
なお、酸素濃度8%モードでは、酸素濃度5%モードのようにガス排出動作は行われず、常時ガス供給動作が行われる。つまり、酸素濃度8%モードでは、第1動作及び第2動作の各動作において、生成された全ての低酸素濃度空気(比較的酸素濃度の高い低酸素濃度空気から比較的酸素濃度の低い低酸素濃度空気まで全て)がコンテナ(11)の庫内に供給される。これにより、酸素濃度8%モードでは、コンテナ(11)の庫内には、酸素濃度5%モードにおいてコンテナ(11)の庫内に供給した低酸素濃度空気よりも酸素濃度の高い平均窒素濃度92%、平均酸素濃度8%の低酸素濃度空気が供給されることとなる。なお、酸素濃度8%モードにおいて生成する低酸素濃度空気の二酸化炭素濃度は、外気の二酸化炭素濃度(0.03%)と同程度である。
【0104】
また、酸素濃度8%モードでは、酸素濃度5%モードのようにガス排出動作が行われず、ガス生成動作で生成された全ての低酸素濃度空気がコンテナ(11)の庫内に供給されるため、酸素濃度5%モードに比べて庫内への低酸素濃度空気の供給量(ガス供給量)が多くなる。
【0105】
《外気導入モード》
外気導入モードは、コンテナ(11)の外部の空気(外気)がそのままコンテナ(11)の庫内へ供給される外気供給動作である。外気導入モードでは、図8に示すように、制御器(55)によって、第1方向制御弁(32)が第2状態に切り換えられる一方、第2方向制御弁(33)が第1状態に切り換えられる。これにより、空気回路(3)は、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)が、共に第1ポンプ機構(31a)の吐出口から遮断されて第2ポンプ機構(31b)の吸込口に連通する第4接続状態となる。また、外気導入モードでは、制御器(55)によって、バイパス開閉弁(48)が開状態に制御される。
【0106】
上述の制御により、第1ポンプ機構(31a)は、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)から遮断される。そのため、エアポンプ(31)の第1ポンプ機構(31a)に吸引されて加圧された外気は、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)に流入することなく、吐出通路(42)からバイパス通路(47)に流入する。バイパス通路(47)に流入した外気は、吸引通路(43)を流れて第2ポンプ機構(31b)に吸引される。第2ポンプ機構(31b)は、吸引した外気を加圧し、供給通路(44)に吐出する。このようにして、外気導入モードでは、エアポンプ(31)に吸い込まれた外気が、そのままエアポンプ(31)の加圧力によってコンテナ(11)の庫内へ供給される。
【0107】
また、外気導入モードでは、ガス供給装置(30)に取り込んだ外気の全てをコンテナ(11)の庫内に導入するため、外気から生成した低酸素濃度空気及び高酸素濃度空気のうち、高酸素濃度空気を庫外へ排出して低酸素濃度空気のみを庫内に供給するガス供給動作(酸素濃度8%モードや酸素濃度5%モード)に比べて庫内へのガス供給量が多くなる。
【0108】
《呼吸モード》
呼吸モードは、庫内の植物(15)の呼吸を利用して庫内空気の組成を変化させるために、ガス供給装置(30)がコンテナ(11)の庫内への低酸素濃度空気および外気の供給を停止する待機動作である。呼吸モードでは、エアポンプ(31)が停止し、排気用開閉弁(72)が閉状態となる。また、呼吸モードでは、後述するセンサユニット(50)に庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度とを計測させるために、測定用開閉弁(82)が閉状態となる。なお、呼吸モードにおいて、ガス供給装置(30)は、完全に停止している訳ではなく、制御器(55)からの指令を受けると直ちに起動できる状態で待機している。
【0109】
[排気部]
−排気部の構成−
図2に示すように、排気部(46)は、庫内収納空間(S2)と庫外空間とを繋ぐ排気通路(46a)と、排気通路(46a)に接続された排気弁(46b)とを有している。また、排気通路(46a)の流入端部(庫内側端部)には、メンブレンフィルタ(46c)が設けられている。排気通路(46a)は、ケーシング(12)を内外に貫通するように設けられている。排気弁(46b)は、排気通路(46a)の庫内側に設けられ、排気通路(46a)における空気の流通を許容する開状態と、排気通路(46a)における空気の流通を遮断する閉状態とに切り換わる電磁弁によって構成されている。排気弁(46b)の開閉動作は、制御器(55)によって制御される。
【0110】
−排気部の運転動作−
庫内ファン(26)の回転の回転中に、制御器(55)によって排気弁(46b)を開くことによって、庫内に繋がる庫内収納空間(S2)の空気(庫内空気)が庫外へ排出される排気動作が行われる。
【0111】
具体的には、庫内ファン(26)が回転すると、吹出側の2次空間(S22)の圧力が、庫外空間の圧力(大気圧)よりも高くなる。また、ガス供給装置(30)が低酸素濃度空気または外気をコンテナ(11)の庫内へ供給することによっても、コンテナ(11)の庫内の気圧(庫内空気の圧力)は、庫外空間の圧力(大気圧)よりも高くなる。従って、排気弁(46b)が開状態であるときには、排気通路(46a)の入口端の気圧が排気通路(46a)の出口端の気圧よりも高くなり、排気通路(46a)の両端部の間で生じる圧力差(庫外空間と2次空間(S22)との間の圧力差)によって、庫内に繋がる庫内収納空間(S2)の空気(庫内空気)が排気通路(46a)を通って庫外空間へ排出される。
【0112】
[センサユニット]
−センサユニットの構成−
図2に示すように、センサユニット(50)は、庫内収納空間(S2)における庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)に設けられている。センサユニット(50)は、酸素センサ(51)と、二酸化炭素センサ(52)と、固定プレート(53)と、メンブレンフィルタ(54)と、連絡管(56)と、排気管(57)とを有している。
【0113】
酸素センサ(51)は、内部にガルバニ電池式センサが収容された酸素センサボックス(51a)を有している。酸素センサ(51)は、ガルバニ電池式センサの電解液に流れる電流値を計測することによって、酸素センサボックス(51a)内の気体中の酸素濃度を測定する。酸素センサボックス(51a)は、固定プレート(53)に固定されている。酸素センサボックス(51a)の外面には開口が形成され、該開口には通気性と防水性を有するメンブレンフィルタ(54)が取り付けられている。また、酸素センサボックス(51a)には、連絡管(56)の一端が連結されている。さらに、酸素センサボックス(51a)には、上述した測定ユニット(80)の分岐管(81)が連結されている。
【0114】
二酸化炭素センサ(52)は、二酸化炭素センサボックス(52a)を有し、二酸化炭素センサボックス(52a)内の気体に赤外線を放射し、二酸化炭素に固有の波長の赤外線の吸収量を計測することによって気体中の二酸化炭素濃度を測定する非分散型赤外線方式(NDIR:non dispersive infrared)のセンサである。二酸化炭素センサボックス(52a)には、連絡管(56)の他端が連結されている。また、二酸化炭素センサボックス(52a)には、排気管(57)の一端が連結されている。
【0115】
固定プレート(53)は、酸素センサ(51)と二酸化炭素センサ(52)とが取り付けられた状態で、ケーシング(12)に固定されている。
【0116】
連絡管(56)は、上述のように、酸素センサボックス(51a)と二酸化炭素センサボックス(52a)とに連結され、酸素センサボックス(51a)の内部空間と二酸化炭素センサボックス(52a)の内部空間とを連通させている。
【0117】
排気管(57)は、上述のように、一端が二酸化炭素センサボックス(52a)に連結され、他端が庫内ファン(26)の吸込口の近傍において開口している。つまり、排気管(57)は、二酸化炭素センサボックス(52a)の内部空間と庫内収納空間(S2)の1次空間(S21)とを連通させている。
【0118】
−濃度測定動作−
上述のように、庫内収納空間(S2)の2次空間(S22)と1次空間(S21)とは、メンブレンフィルタ(54)、酸素センサボックス(51a)の内部空間、連絡管(56)、二酸化炭素センサボックス(52a)の内部空間、及び排気管(57))によって形成される空気通路(58)を介して連通している。そのため、庫内ファン(26)の運転中には、1次空間(S21)の圧力が、2次空間(S22)の圧力よりも低くなる。この圧力差により、酸素センサ(51)と二酸化炭素センサ(52)とが接続された空気通路(58)において、2次空間(S22)側から1次空間(S21)側へ庫内空気が流れる。このようにして、庫内空気が酸素センサ(51)と二酸化炭素センサ(52)とを順に通過し、酸素センサ(51)において庫内空気の酸素濃度が測定され、二酸化炭素センサ(52)において庫内空気の二酸化炭素濃度が測定される。
【0119】
[制御器]
制御器(55)は、コンテナ(11)の庫内空気の組成が所望の組成となるように、ガス供給装置(30)及び排気部(46)の動作を制御するように構成されている。具体的に、制御器(55)は、酸素センサ(51)及び二酸化炭素センサ(52)の測定値に基づいて、庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度がそれぞれの設定値となるように、ガス供給装置(30)及び排気部(46)の動作を制御する。
【0120】
制御器(55)は、CA装置(60)の運転を制御することによって、CA装置(60)に、酸素濃度低減運転と空気組成維持運転とを実行させる。また、CA装置(60)の空気組成維持運転において、制御器(55)は、コンテナ(11)の庫内空気の組成が所望の組成となるように、ガス供給装置(30)に、第1供給動作である酸素濃度8%モードと、第2供給動作である酸素濃度5%モードと、外気供給動作である外気導入モードと、待機動作である呼吸モードとを切り換えて実行させるように構成されている。制御器(55)が行うこれらの制御動作については、後述する。
【0121】
本実施形態では、制御器(55)は、CA装置(60)の各要素を本願で開示するように制御するための制御プログラムを実行するマイクロコンピュータと、制御プログラムやそれを実行するためのデータ等を記憶するメモリとを備えている。なお、上記制御器(55)は、CA装置(60)の制御器の一例であり、制御器(55)の詳細な構造やアルゴリズムは、本願で開示する機能を実行するどのようなハードウェアとソフトウェアとの組み合わせであってもよい。
【0122】
−コンテナ用冷凍装置の運転動作−
本実施形態では、図3に示すユニット制御器(100)によって、コンテナ(11)の庫内空気を冷却する冷却運転が実行される。
【0123】
冷却運転では、ユニット制御器(100)によって、圧縮機(21)、膨張弁(23)、庫外ファン(25)及び庫内ファン(26)の動作が、図示しない温度センサの測定結果に基づいて庫内空気の温度が所望の目標温度になるように制御される。このとき、冷媒回路(20)では、冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。そして、庫内ファン(26)によって庫内収納空間(S2)へ導かれたコンテナ(11)の庫内空気が、蒸発器(24)を通過する際に該蒸発器(24)の内部を流れる冷媒によって冷却される。蒸発器(24)において冷却された庫内空気は、床下流路(19a)を通って吹出口(18b)から再びコンテナ(11)の庫内へ吹き出される。これにより、コンテナ(11)の庫内空気が冷却される。
【0124】
−CA装置の運転動作−
CA装置(60)は、コンテナ(11)の庫内空気の組成が所望の組成となるように、酸素濃度低減運転と空気組成維持運転とを実行する。酸素濃度低減運転は、庫内空気の酸素濃度が酸素濃度設定値よりも所定値(例えば1%)以上高い場合に、庫内空気の酸素濃度を引き下げるために行われる運転である。空気組成維持運転は、庫内空気の酸素濃度が酸素濃度設定値にまで低下して酸素濃度低減運転が終了した後に、庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度をそれぞれの設定値に保つために行われる運転である。
【0125】
本実施形態において、制御器(55)は、CA装置(60)が酸素濃度低減運転を実行中に、庫内空気の酸素濃度の測定値MV_O2が酸素濃度設定値SP_O2にまで低下すると、CA装置(60)に酸素濃度低減運転を終了させて空気組成維持運転を実行させる。また、制御器(55)は、空気組成維持運転中に「MV_O2>SP_O2+1%」となると、CA装置(60)の運転を空気組成維持運転から酸素濃度低減運転に切り換え、その後に「MV_O2≦SP_O2」となると、CA装置(60)の運転を酸素濃度低減運転から空気組成維持運転へ再び切り換える。
【0126】
なお、酸素濃度低減運転および空気組成維持運転の実行中において、制御器(55)は、測定用開閉弁(82)を閉状態とし、ユニット制御器(100)と通信して庫内ファン(26)を回転させ、庫内と庫内収納空間(S2)との間において庫内空気を循環させる。この状態では、センサユニット(50)にコンテナ(11)の庫内空気が供給されるため、酸素センサ(51)はコンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度を計測し、二酸化炭素センサ(52)はコンテナ(11)の庫内空気の二酸化炭素濃度を計測する。酸素濃度低減運転および空気組成維持運転の実行中において、制御器(55)は、酸素センサ(51)の計測値を、庫内空気の酸素濃度の測定値MV_O2として読み込み、二酸化炭素センサ(52)の計測値を、庫内空気の二酸化炭素濃度の測定値MV_CO2として読み込む。
【0127】
〈酸素濃度低減運転〉
コンテナ(11)の庫内に箱詰めした植物(15)を収納する作業が終了し、コンテナ(11)の扉を閉じた時点において、コンテナ(11)の庫内空気の組成は、コンテナ(11)の外部の庫外空気の組成と実質的に同じである。従って、通常、CA装置(60)は、初めに酸素濃度低減運転を行う。
【0128】
CA装置(60)の酸素低減運転において、ガス供給装置(30)は、主に酸素濃度5%モードを実行する。ガス供給装置(30)の酸素濃度5%モードでは、平均酸素濃度5%の低酸素濃度空気(第2の低酸素濃度空気)がコンテナ(11)の庫内へ供給される。また、CA装置(60)の酸素低減運転では、排気部(46)の排気弁(46b)が開状態となる。なお、CA装置(60)の酸素低減運転において、ガス供給装置(30)は、必要に応じて酸素濃度8%モードと外気導入モードを実行してもよい。
【0129】
ガス供給装置(30)が低酸素濃度空気をコンテナ(11)の庫内へ供給すると、低酸素濃度空気の供給量に相当する量の庫内空気が、排気部(46)の排気通路(46a)を通ってコンテナ(11)の庫外へ排出される。そして、コンテナ(11)の庫内に存在する空気が、ガス供給装置(30)によって供給された低酸素濃度空気に徐々に置き換わり、その結果、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度が次第に低下してゆく。そして、制御器(55)は、酸素低減運転中に庫内空気の酸素濃度の測定値MV_O2が酸素濃度設定値SP_O2以下になると(MV_O2≦SP_O2)、CA装置(60)に酸素濃度低減運転を終了させて空気組成維持運転を開始させる。
【0130】
〈空気組成維持運転〉
酸素濃度低減運転が終了すると、空気組成維持運転が開始される。CA装置(60)の空気組成維持運転において、制御器(55)は、庫内空気の酸素濃度の測定値MV_O2が酸素濃度設定値SP_O2となり、庫内空気の二酸化炭素濃度の測定値MV_CO2が二酸化炭素濃度設定値SP_CO2となるように、ガス供給装置(30)に、酸素濃度5%モードと酸素濃度8%モードと外気導入モードと呼吸モードとを切り換えながら実行させる。
【0131】
また、CA装置(60)の空気組成維持運転において、制御器(55)は、排気部(46)の排気弁(46b)を操作する動作を行う。具体的に、制御器(55)は、ガス供給装置(30)が酸素濃度5%モードと酸素濃度8%モードと外気導入モードのどれかを実行している場合は、排気弁(46b)を開状態とし、ガス供給装置(30)が呼吸モードを実行している場合は、排気弁(46b)を閉状態とする。
【0132】
ここでは、図12及び図13を参照しながら、CA装置(60)の空気組成維持運転を説明する。以下の説明において、p1〜p4は「0%<p4<p3<p2<p1≦1.0%」の関係を満たす定数であり、q1〜q3は「0%<q3<q2<q1<1.0%」の関係を満たす定数である。また、上述したように、MV_O2は庫内空気の酸素濃度の測定値であり、SP_O2は庫内空気の酸素濃度の設定値であり、MV_CO2は庫内空気の二酸化炭素濃度の測定値であり、SP_CO2は庫内空気の二酸化炭素濃度の設定値である。なお、酸素濃度設定値SP_O2と二酸化炭素濃度設定値SP_CO2とは、コンテナ(11)に収納される植物(15)の種類によって定まる値であり、作業者によって制御器(55)へ入力される。
【0133】
なお、詳しくは後述するが、動作制御フラグは、庫内空気の酸素濃度の低減を図る際に庫内空気の二酸化炭素濃度の上昇を抑える対策が必要な場合に設定され(即ち、「1」となり)、庫内空気の酸素濃度を低減する必要がなく、庫内空気の二酸化炭素濃度の上昇を抑える必要も無い場合に解除される(即ち、「0」となる)。
【0134】
空気組成維持運転が開始する際に、制御器(55)は、ガス供給装置(30)に最初に酸素濃度8%モードを実行させる。酸素濃度8%モードにおいて、ガス供給装置(30)は、第1の低酸素濃度空気(平均酸素濃度8%)をコンテナ(11)の庫内へ供給する。つまり、本実施形態では、CA装置(60)の運転が酸素濃度低減運転から空気組成維持運転へ切り換わる際に、ガス供給装置(30)がコンテナ(11)の庫内へ低酸素濃度空気を供給し続ける。
【0135】
《酸素濃度8%モード→呼吸モード》
酸素濃度8%モードの実行中に第5条件が成立すると、制御器(55)は、ガス供給装置(30)の動作を、酸素濃度8%モードから呼吸モードへ切り換える。第5条件は、“「MV_O2≦SP_O2」及び「MV_CO2≦SP_CO2」の状態が10分間継続するという条件と、「MV_O2≦SP_O2+p2」の状態が10分間継続するという条件のどちらかが成立し、且つ動作制御フラグが「0」である”という条件である。
【0136】
この第5条件が成立するのは、庫内の二酸化炭素濃度を引き上げる必要があるときか、酸素濃度を引き下げる必要があり、酸素濃度の低減を図る際に二酸化炭素濃度の上昇を抑える対策が不要なときである。そこで、制御器(55)は、ガス供給装置(30)に呼吸モードを実行させる。上述したように、呼吸モードの実行中には、排気部(46)の排気弁(46b)が閉状態となる。従って、呼吸モードの実行中には、コンテナ(11)に収納された植物(15)が呼吸することによって、庫内空気の酸素濃度が低下すると同時に、庫内空気の二酸化炭素濃度が上昇する。
【0137】
《酸素濃度8%モード→酸素濃度5%モード》
酸素濃度8%モードの実行中に第7条件が成立すると、制御器(55)は、ガス供給装置(30)の動作を、酸素濃度8%モードから酸素濃度5%モードへ切り換える。第7条件は、“「MV_O2≧SP_O2+p1」の状態が10分間継続し、且つ動作制御フラグが「1」である”という条件である。
【0138】
この第7条件が成立するのは、酸素濃度を引き下げる必要があり、酸素濃度の低減を図る際に二酸化炭素濃度の上昇を抑える対策が必要なときである。そこで、制御器(55)は、ガス供給装置(30)に、酸素濃度5%モードを実行させて、第2の低酸素濃度空気(平均酸素濃度5%)をコンテナ(11)の庫内へ供給させる。
【0139】
第2の低酸素濃度空気は、酸素濃度が第1の低酸素濃度空気よりも低く、二酸化炭素濃度が第1の低酸素濃度空気と同程度である。また、酸素濃度8%モードと酸素濃度5%モードの実行中には、排気部(46)の排気弁(46b)が開状態となる。そのため、ガス供給装置(30)の動作が酸素濃度8%モードから酸素濃度5%モードに切り換わると、庫内空気の酸素濃度が低下すると共に、コンテナ(11)の庫内から庫外へ二酸化炭素が排出され続ける。従って、ガス供給装置(30)の動作が酸素濃度8%モードから酸素濃度5%モードに切り換わった場合は、ガス供給装置(30)の動作が酸素濃度8%モードから呼吸モードに切り換わった場合に比べて、庫内空気に含まれる二酸化炭素の量の増加割合が緩やかとなる。
【0140】
《酸素濃度8%モード→外気導入モード》
酸素濃度8%モードの実行中に第2条件が成立すると、制御器(55)は、ガス供給装置(30)の動作を、酸素濃度8%モードから外気導入モードへ切り換える。第2条件は、“「MV_O2≦SP_O2−p3」の状態が10分間継続する”という条件である。
【0141】
この第2条件が成立するのは、庫内空気の酸素濃度を引き上げる必要があるときである。そこで、制御器(55)は、ガス供給装置(30)に、外気導入モードを実行させて、酸素濃度21%の外気をコンテナ(11)の庫内へ供給させる。
【0142】
《呼吸モード→外気導入モード》
呼吸モードの実行中に第4条件が成立すると、制御器(55)は、ガス供給装置(30)の動作を、呼吸モードから外気導入モードへ切り換える。第4条件は、“「MV_O2≦SP_O2−p3」の状態が10分間継続し、且つ動作制御フラグが「0」である”という条件である。
【0143】
この第4条件が成立するのは、庫内空気の酸素濃度を引き上げる必要があるときである。そこで、制御器(55)は、ガス供給装置(30)に外気導入モードを実行させ、酸素濃度21%の外気をコンテナ(11)の庫内へ供給する。
【0144】
《酸素濃度5%モード→外気導入モード》
酸素濃度5%モードの実行中に第8条件が成立すると、制御器(55)は、ガス供給装置(30)の動作を、酸素濃度5%モードから外気導入モードへ切り換える。第8条件は、“「MV_O2≦SP_O2−p3」の状態が10分間継続し、且つ動作制御フラグが「1」である”という条件である。
【0145】
この第8条件が成立するのは、庫内空気の酸素濃度を引き上げる必要があるときである。そこで、制御器(55)は、ガス供給装置(30)に外気導入モードを実行させ、酸素濃度21%の外気をコンテナ(11)の庫内へ供給する。
【0146】
《外気導入モード→酸素濃度8%モード》
外気導入モードの実行中に第1条件が成立すると、制御器(55)は、ガス供給装置(30)の動作を、外気導入モードから酸素濃度8%モードへ切り換える。第1条件は、“「MV_O2≧SP_O2+p3」及び「MV_CO2≧SP_CO2+q2」の状態が10分間継続し且つ動作制御フラグが「0」であるという条件と、「MV_O2≧SP_O2+p3」の状態が10分間継続し且つ動作制御フラグが「1」であるという条件のどちらかが成立する”という条件である。
【0147】
この第1条件が成立するのは、庫内の酸素濃度と二酸化炭素濃度を引き下げる必要があるときか、酸素濃度を引き下げる必要があり、酸素濃度の低減を図る際に二酸化炭素濃度の上昇を抑える対策が必要なときである。そこで、制御器(55)は、ガス供給装置(30)に、酸素濃度8%モードを実行させて、第1の低酸素濃度空気(平均酸素濃度8%)をコンテナ(11)の庫内へ供給させる。
【0148】
第1の低酸素濃度空気は、酸素濃度が外気よりも低く、二酸化炭素濃度が外気と同程度である。また、外気導入モードと酸素濃度8%モードの実行中には、排気部(46)の排気弁(46b)が開状態となる。そのため、ガス供給装置(30)の動作が外気導入モードから酸素濃度8%モードに切り換わると、庫内空気の酸素濃度が低下すると共に、コンテナ(11)の庫内から庫外へ二酸化炭素が排出され続ける。
【0149】
《外気導入モード→呼吸モード》
外気導入モードの実行中に第3条件が成立すると、制御器(55)は、ガス供給装置(30)の動作を、外気導入モードから呼吸モードへ切り換える。第3条件は、“「MV_O2≧SP_O2」及び「MV_CO2≦SP_CO2+q3」の状態が10分間継続し、且つ動作制御フラグが「0」である”という条件である。
【0150】
この第3条件が成立するのは、庫内空気の酸素濃度の上昇を抑える必要があるときである。そこで、制御器(55)は、ガス供給装置(30)に呼吸モードを実行させる。呼吸モードの実行中には、コンテナ(11)に収納された植物(15)が呼吸することによって、庫内空気の酸素濃度が低下すると同時に、庫内空気の二酸化炭素濃度が上昇する。
【0151】
《呼吸モード→酸素濃度8%モード》
呼吸モードの実行中に第6条件が成立すると、制御器(55)は、ガス供給装置(30)の動作を、呼吸モードから酸素濃度8%モードへ切り換える。第6条件は、“「MV_O2≦SP_O2−p4」及び「MV_CO2≦SP_CO2+q2」の状態が10分間継続し、且つ動作制御フラグが「1」である”という条件である。
【0152】
この第6条件が成立するのは、庫内空気の酸素濃度を引き上げると共に、庫内空気の二酸化炭素濃度を引き下げる必要があるときである。そこで、制御器(55)は、ガス供給装置(30)に、酸素濃度8%モードを実行させて、第1の低酸素濃度空気(平均酸素濃度8%)をコンテナ(11)の庫内へ供給させる。そのため、呼吸モードの実行中に比べると、コンテナ(11)の庫内空気に含まれる酸素の量が次第に増加する。
【0153】
また、ガス供給装置(30)の動作が呼吸モードから酸素濃度8%モードに切り換わると、排気部(46)の排気弁(46b)が閉状態から開状態に切り換わり、排気通路(46a)を通じて庫内空気の排出が開始される。そのため、二酸化炭素を含んだ庫内空気がコンテナ(11)の庫外へ排出され、庫内空気に含まれる二酸化炭素濃度の量が次第に減少する。
【0154】
〈動作制御フラグ〉
動作制御フラグについて説明する。図14に示すように、動作制御フラグは、解除状態であるときに設定条件が成立すると設定され(即ち、その値が「0」から「1」に変更され)、設定状態であるときに解除条件が成立すると解除される(即ち、その値が「1」から「0」に変更される)。
【0155】
設定条件は、“「SP_O2−p3≦MV_O2≦SP_O2+p3」及び「MV_CO2≧SP_CO2+q1」の状態が10分間継続する”という条件である。この設定条件が成立するのは、庫内空気の酸素濃度が酸素濃度設定値SP_O2に近い値で比較的安定しており、且つ庫内空気の二酸化炭素濃度が二酸化炭素濃度設定値SP_CO2を大きく上回っているときである。
【0156】
解除条件は、“「MV_O2≦SP_O2」及び「MV_CO2≦SP_CO2+q2」の状態が10分間継続する”という条件である。この設定条件が成立するのは、庫内空気の酸素濃度が酸素濃度設定値SP_O2以下に保たれ、且つ庫内空気の二酸化炭素濃度が二酸化炭素濃度設定値SP_CO2に近い値となっているときである。
【0157】
このように、動作制御フラグは、庫内空気の酸素濃度の低減を図る際に庫内空気の二酸化炭素濃度の上昇を抑える対策が必要な場合に設定され(即ち、「1」となり)、庫内空気の酸素濃度を低減する必要がなく、庫内空気の二酸化炭素濃度の上昇を抑える必要も無い場合に解除される(即ち、「0」となる)。
【0158】
−実施形態1の特徴(1)−
本実施形態のCA装置(60)は、外気から酸素を除去することによって酸素濃度が外気よりも低い低酸素濃度空気を生成し、呼吸を行う植物(15)を収納するためのコンテナ(11)の庫内へ低酸素濃度空気と外気とを供給可能なガス供給装置(30)と、ガス供給装置(30)の動作を制御する制御器(55)とを備え、ガス供給装置(30)が低酸素濃度空気をコンテナ(11)の庫内へ供給することによって、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度を所定の酸素濃度設定値にまで引き下げる酸素濃度低減運転と、酸素濃度低減運転の終了後に庫内空気の組成を所望の組成に保つための空気組成維持運転とを行う。
【0159】
また、本実施形態の制御器(55)は、空気組成維持運転において、庫内空気の酸素濃度が酸素濃度設定値となり、庫内空気の二酸化炭素濃度が所定の二酸化炭素濃度設定値となるように、ガス供給装置(30)に、第1の低酸素濃度空気をコンテナ(11)の庫内へ供給する酸素濃度8%モード(第1供給動作)と、酸素濃度が第1の低酸素濃度空気よりも低い第2の低酸素濃度空気をコンテナ(11)の庫内へ供給する酸素濃度5%モード(第2供給動作)と、外気をコンテナ(11)の庫内へ供給する外気導入モード(外気供給動作)と、低酸素濃度空気および外気のコンテナ(11)の庫内への供給を停止状態に保つ呼吸モード(待機動作)とを切り換えながら実行させるように構成される。
【0160】
本実施形態において、ガス供給装置(30)の酸素濃度5%モードでは、酸素濃度が第1の低酸素濃度空気よりも低く、二酸化炭素濃度が第1の低酸素濃度空気と同程度の第2の低酸素濃度空気が、コンテナ(11)の庫内へ供給される。従って、ガス供給装置(30)の酸素濃度5%モードでは、庫内空気の二酸化炭素濃度の上昇を抑えつつ、庫内空気の酸素濃度を酸素濃度8%モード中よりも低下させることが可能となる。
【0161】
本実施形態では、CA装置(60)の空気組成維持運転において、制御器(55)がガス供給装置(30)に四つの動作を切り換えながら実行させる。つまり、本実施形態のCA装置(60)は、庫内空気の組成を所望の組成に保つために三つの動作を切り換えながら行う従来の装置に比べて、庫内空気の組成を所望の組成に保つためにガス供給装置(30)が行う動作の種類が多い。従って、本実施形態によれば、その時の状況(具体的には、庫内空気の酸素濃度および二酸化炭素濃度の現在値とそれぞれの設定値との関係)に適した動作をガス供給装置(30)に実行させることが可能となり、庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度とがそれぞれを設定値に到達させて、コンテナ(11)に収納された植物(15)の鮮度の低下を抑えることが可能となる。
【0162】
−実施形態1の特徴(2)−
本実施形態の制御器(55)は、空気組成維持運転において、庫内空気の酸素濃度が低下して酸素濃度設定値に近づくように、ガス供給装置(30)の動作を、酸素濃度8%モードから酸素濃度5%モードと呼吸モードのどちらかへ選択的に切り換えるように構成されている。
【0163】
本実施形態において、酸素濃度8%モードの実行中に庫内空気の酸素濃度を低下させて酸素濃度設定値に近づけることが必要になると、制御器(55)は、ガス供給装置(30)の動作を酸素濃度5%モードと呼吸モードのどちらかへ切り換える。ガス供給装置(30)の動作が酸素濃度8%モードから酸素濃度5%モードに切り換わると、庫内空気の酸素濃度が酸素濃度8%モード中よりも低下する一方、庫内空気の二酸化炭素濃度の上昇が酸素濃度8%モード中と同程度に抑えられる。一方、ガス供給装置(30)の動作が酸素濃度8%モードから呼吸モードに切り換わると、コンテナ(11)内の植物(15)が呼吸することによって、庫内空気の酸素濃度が低下して二酸化炭素濃度が上昇する。
【0164】
本実施形態によれば、酸素濃度8%モードの実行中における庫内空気の二酸化炭素濃度に応じて、ガス供給装置(30)の動作を、酸素濃度8%モードから酸素濃度5%モードへ切り換えるか、酸素濃度8%モードから呼吸モードへ切り換えるかを、選択することが可能となる。従って、本実施形態によれば、庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度とをそれぞれの設定値に到達させて、コンテナ(11)に収納された植物(15)の鮮度の低下を抑えることが可能となる。
【0165】
−実施形態1の特徴(3)−
本実施形態の制御器(55)は、空気組成維持運転において、設定条件が成立してから解除条件が成立するまでの間は、ガス供給装置(30)の動作の酸素濃度8%モードから呼吸モードへの切り換えを禁止し、ガス供給装置(30)の動作の酸素濃度8%モードから酸素濃度5%モードへの切り換えを許可するように構成される。
【0166】
本実施形態の制御器(55)は、設定条件および解除条件の成否に応じて、ガス供給装置(30)の動作の切り換えを制御する。従って、本実施形態によれば、庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度をそれぞれを設定値に到達させるのに適した動作を、ガス供給装置(30)に実行させることが可能となる。
【0167】
−実施形態1の特徴(4)−
本実施形態の制御器(55)において、設定条件は、庫内空気の酸素濃度を低下させるときに、庫内空気の二酸化炭素濃度の上昇を抑える必要がある場合に成立する条件である。具体的に、この設定条件は、庫内空気の酸素濃度MV_O2が酸素濃度設定値SP_O2を含む所定の酸素濃度範囲(SP_O2−p3≦MV_O2≦SP_O2+p3)に入り、且つ庫内空気の二酸化炭素濃度MV_CO2と二酸化炭素濃度設定値SP_CO2の差が第1所定値(q1)以上である(MV_CO2−SP_CO2≧q1)状態が第1所定時間(本実施形態では10分間)に亘って続くという条件である。
【0168】
また、本実施形態の制御器(55)において、解除条件は、庫内空気の酸素濃度を低下させる必要がなく、且つ庫内空気の二酸化炭素濃度の上昇を抑える必要がない場合に成立する条件である。具体的に、この解除条件は、庫内空気の酸素濃度MV_O2が酸素濃度設定値SP_O2以下であり(MV_O2≦SP_O2)、且つ庫内空気の二酸化炭素濃度MV_CO2と二酸化炭素濃度設定値SP_CO2の差が第1所定値よりも小さい第2所定値(q2)以下である(MV_CO2−SP_CO2≦q2)状態が第2所定時間(本実施形態では10分間)に亘って続くという条件である。
【0169】
本実施形態のCA装置(60)の空気組成維持運転において、設定条件が成立してから解除条件が成立するまでの間(即ち、動作制御フラグが「1」である間)、庫内空気は、二酸化炭素濃度と二酸化炭素濃度設定値の差が比較的大きく、二酸化炭素濃度を引き下げる必要性が高い状態となっている。ガス供給装置(30)の呼吸モード中は、コンテナ(11)内の植物(15)の呼吸によって二酸化炭素濃度が上昇する。そこで、本実施形態の制御器(55)は、動作制御フラグが「1」である間、ガス供給装置(30)の動作を酸素濃度8%モードから呼吸モードへ切り換えない(図13の第5条件を参照)。一方、ガス供給装置(30)の酸素濃度5%モード中は、二酸化炭素濃度が外気と同程度の第2の低酸素濃度空気がコンテナ(11)の庫内へ供給される。そこで、本実施形態の制御器(55)は、動作制御フラグが「1」である間、ガス供給装置(30)の動作を、必要があれば酸素濃度8%モードから酸素濃度5%モードへ切り換える(図13の第7条件を参照)。
【0170】
本実施形態のCA装置(60)の空気組成維持運転において、設定条件が成立してから解除条件が成立するまでの間(即ち、動作制御フラグが「1」である間)は、制御器(55)が、ガス供給装置(30)の呼吸モードを禁止し、ガス供給装置(30)の酸素濃度5%モードを許可する。設定条件が成立してから解除条件が成立するまでの間、庫内空気は、二酸化炭素濃度と二酸化炭素濃度設定値の差が比較的大きく、二酸化炭素濃度を引き下げる必要性が高い状態となっている。そこで、設定条件が成立してから解除条件が成立するまでの間、制御器(55)は、コンテナ(11)内の植物(15)の呼吸によって二酸化炭素濃度が上昇するガス供給装置(30)の呼吸モードを禁止する一方、二酸化炭素濃度が外気と同程度の第2の低酸素濃度空気がコンテナ(11)の庫内へ供給されるガス供給装置(30)の酸素濃度5%モードを許可する。
【0171】
このため、本実施形態によれば、庫内空気の二酸化炭素濃度の上昇を抑えつつ、庫内空気の酸素濃度を低下させることが可能となる。その結果、庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度とをそれぞれの設定値に到達させて、コンテナ(11)に収納された植物(15)の鮮度の低下を抑えることが可能となる。
【0172】
−実施形態1の特徴(5)−
本実施形態の制御器(55)は、空気組成維持運転において、庫内空気の酸素濃度が上昇して酸素濃度設定値に近づくように、ガス供給装置(30)の動作を、酸素濃度8%モード、酸素濃度5%モード、又は呼吸モードから外気導入モードに切り換えるように構成される。
【0173】
本実施形態において、酸素濃度8%モードと酸素濃度5%モードと呼吸モードのどれかの実行中に庫内空気の酸素濃度を上昇させて酸素濃度設定値に近づけることが必要になると、制御器(55)は、ガス供給装置(30)の動作を外気導入モードに切り換える。ガス供給装置(30)の外気導入モードでは、酸素濃度の高い外気がコンテナ(11)の庫内へ供給され、庫内空気の酸素濃度が上昇する。
【0174】
−実施形態1の特徴(6)−
本実施形態の制御器(55)は、空気組成維持運転において、庫内空気の酸素濃度が低下して酸素濃度設定値に近づくように、ガス供給装置(30)の動作を、外気導入モードから酸素濃度8%モードと呼吸モードのどちらかへ切り換えるように構成される。
【0175】
本実施形態において、外気導入モードの実行中に庫内空気の酸素濃度を低下させて酸素濃度設定値に近づけることが必要になると、制御器(55)は、ガス供給装置(30)の動作を酸素濃度8%モードと呼吸モードのどちらかへ切り換える。ガス供給装置(30)の酸素濃度8%モードでは、外気よりも酸素濃度の低い第1の低酸素濃度空気がコンテナ(11)の庫内へ供給され、庫内空気の酸素濃度が低下する。また、ガス供給装置(30)の呼吸モードでは、コンテナ(11)の収納された植物(15)の呼吸によって酸素が消費され、庫内空気の酸素濃度が低下する。
【0176】
−実施形態1の特徴(7)−
本実施形態の制御器(55)は、空気組成維持運転において、庫内空気の二酸化炭素濃度が低下して二酸化炭素濃度設定値に近づくように、ガス供給装置(30)の動作を、呼吸モードから酸素濃度8%モードに切り換えるように構成される。
【0177】
本実施形態において、呼吸モードの実行中に庫内空気の二酸化炭素濃度を低下させて二酸化炭素濃度設定値に近づけることが必要になると、制御器(55)は、ガス供給装置(30)の動作を酸素濃度8%モードに切り換える。ガス供給装置(30)の酸素濃度8%モードでは、二酸化炭素濃度が外気と同程度の第1の低酸素濃度空気がコンテナ(11)の庫内へ供給され、庫内空気の二酸化炭素濃度が低下する。
【0178】
−実施形態1の特徴(8)−
本実施形態の制御器(55)は、空気組成維持運転において、ガス供給装置(30)に酸素濃度8%モードを最初に実行させるように構成される。
【0179】
本実施形態では、CA装置(60)の運転が酸素濃度低減運転から空気組成維持運転に切り換わった場合、制御器(55)は、ガス供給装置(30)に酸素濃度8%モードを最初に実行させ、その後に、ガス供給装置(30)の動作を必要に応じて酸素濃度5%モード、外気導入モード、又は呼吸モードへ切り換える。酸素濃度低減運転において、ガス供給装置(30)は、主に酸素濃度5%モードを実行する。従って、本実施形態では、CA装置(60)の運転が酸素濃度低減運転から空気組成維持運転へ切り換わる際に、ガス供給装置(30)がコンテナ(11)の庫内へ低酸素濃度空気を供給し続ける。
【0180】
ここで、庫内空気の酸素濃度は、コンテナ(11)の庫内空間の全体で完全に均一化されていないのが通常である。このため、酸素センサ(51)の計測値が酸素濃度設定値に達して酸素濃度低減運転が終了した後に、コンテナ(11)の庫内への低酸素濃度空気の供給を直ちに停止すると、コンテナ(11)の庫内空間に偏在していた酸素が拡散することによって、個庫内空気の酸素濃度が上昇して酸素濃度設定値を上回ることがある。
【0181】
それに対し、本実施形態のCA装置(60)は、酸素濃度低減運転の終了後も第1の低酸素濃度空気をコンテナ(11)の庫内へ供給し続ける。従って、本実施形態によれば、酸素濃度低減運転の終了後において、庫内空気の酸素濃度を酸素濃度設定値に確実に保持すること可能となる。
【0182】
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0183】
以上説明したように、本開示は、庫内空気調整装置について有用である。
【符号の説明】
【0184】
11 コンテナ(収納庫)
15 植物
30 ガス供給装置
55 制御器
60 CA装置(庫内空気調整装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14