特許第6579289号(P6579289)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6579289シールド付きモジュールのプリント配線板への実装構造及び実装方法、並びにシールド付きモジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6579289
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】シールド付きモジュールのプリント配線板への実装構造及び実装方法、並びにシールド付きモジュール
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/18 20060101AFI20190912BHJP
   H01L 23/02 20060101ALI20190912BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20190912BHJP
【FI】
   H05K1/18 K
   H01L23/02 A
   H05K9/00 Q
【請求項の数】19
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-504519(P2019-504519)
(86)(22)【出願日】2018年3月1日
(86)【国際出願番号】JP2018007828
(87)【国際公開番号】WO2018163961
(87)【国際公開日】20180913
【審査請求日】2019年6月14日
(31)【優先権主張番号】特願2017-42105(P2017-42105)
(32)【優先日】2017年3月6日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2017-209013(P2017-209013)
(32)【優先日】2017年10月30日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100189430
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100190805
【弁理士】
【氏名又は名称】傍島 正朗
(72)【発明者】
【氏名】小林 憲史
(72)【発明者】
【氏名】樋江井 智慶
【審査官】 原田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−160115(JP,A)
【文献】 特開2012−256842(JP,A)
【文献】 特開2012−221992(JP,A)
【文献】 特開2009−239100(JP,A)
【文献】 特開2005−93752(JP,A)
【文献】 特開2011−35058(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/18
H01L 23/02
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールド付きモジュールのプリント配線板への実装構造において、
前記シールド付きモジュールは、
一方主面に1以上の電子部品が実装された実装基板と、
前記1以上の電子部品を覆うように、前記実装基板の上方から側面にわたって形成されたシールド層と、
前記シールド層の側面部分および上面部分に設けられたはんだ層と、を有し、
前記シールド層は、前記はんだ層を介して、前記プリント配線板に設けられた表面電極に接続されており、前記はんだ層の表面は窪んでいる、
実装構造。
【請求項2】
前記実装基板は、
グランド電極と、
前記実装基板の他方主面に設けられ、該グランド電極と導通しているグランド端子と、を有し、
前記グランド端子は前記表面電極に接続されている、
請求項1に記載の実装構造。
【請求項3】
前記シールド層の上面部分の表面に、はんだに対する濡れ性が、前記シールド層のはんだに対する濡れ性より小さいはんだ排斥層が形成されている、
請求項1または2に記載の実装構造。
【請求項4】
前記はんだ排斥層は、前記シールド層の側面の一部にわたって形成されている、
請求項に記載の実装構造。
【請求項5】
前記シールド層の側面部分の全周が、前記はんだ層を介して前記表面電極に接続されている、
請求項1からの何れか1項に記載の実装構造。
【請求項6】
前記表面電極が、グランド電位に設定される、
請求項1からの何れか1項に記載の実装構造。
【請求項7】
前記実装基板は、他方主面に設けられた端子電極と、前記端子電極の表面から前記実装基板の一部に至る深さの、複数の凹部とを有し、
前記凹部の少なくとも一部は、前記端子電極と前記表面電極を接続するはんだで埋められている、
請求項1からの何れか1項に記載の実装構造。
【請求項8】
一方主面に1以上の電子部品が実装された実装基板と、前記1以上の電子部品を覆うように、前記実装基板の上方から側面にわたって形成されたシールド層と、前記シールド層の側面部分および上面部分に設けられたプリコートはんだと、を有するシールド付きモジュールを、プリント配線板に配置し、
前記プリコートはんだを溶融及び固化させることによって、前記シールド層を、溶融及び固化した前記プリコートはんだを介して、前記プリント配線板に設けられた表面電極に接続し、前記プリコートはんだを溶融及び固化させたときにおいて、前記上面部分に設けられた前記プリコートはんだの少なくとも一部が前記シールド層の側面部分に移動する、
シールド付きモジュールのプリント配線板への実装方法。
【請求項9】
前記シールド層の上面部分の表面に、はんだに対する濡れ性が、前記シールド層のはんだに対する濡れ性より小さいはんだ排斥層が形成されている、
請求項に記載の実装方法。
【請求項10】
前記はんだ排斥層は、前記シールド層の側面の一部にわたって形成されている、
請求項に記載の実装方法。
【請求項11】
前記プリコートはんだが、前記シールド層の側面部分の全周に設けられ、
前記シールド層を、前記側面部分の全周で、前記表面電極に接続する、
請求項から10の何れか1項に記載の実装方法。
【請求項12】
前記実装基板は、他方主面に端子電極を有し、
前記端子電極と前記表面電極との間にはんだペーストを配置し、
前記プリコートはんだが溶融した状態で前記シールド層と前記表面電極とに接触している間に、前記はんだペーストを溶融及び固化させることにより、前記端子電極を、前記溶融及び固化した前記はんだペーストを介して、前記表面電極に接続する、
請求項から11の何れか1項に記載の実装方法。
【請求項13】
前記実装基板は、前記端子電極の表面から前記実装基板の一部に至る深さの複数の凹部をさらに有し、
前記凹部の少なくとも一部を前記はんだペーストで埋める、
請求項12に記載の実装方法。
【請求項14】
前記表面電極が、グランド電位に設定される、
請求項から13の何れか1項に記載の実装方法。
【請求項15】
一方主面に1以上の電子部品が実装された実装基板と、
前記1以上の電子部品を覆うように、前記実装基板の上方から側面にわたって形成されたシールド層と、
前記シールド層の側面部分および上面部分に設けられたプリコートはんだと、
を有するシールド付きモジュール。
【請求項16】
前記実装基板は、
グランド電極と、
前記実装基板の他方主面に設けられ、該グランド電極と導通しているグランド端子と、を有する、
請求項15に記載のシールド付きモジュール。
【請求項17】
前記シールド層の上面部分の表面に、はんだに対する濡れ性が、前記シールド層のはんだに対する濡れ性より小さいはんだ排斥層が形成されている、
請求項15または16に記載のシールド付きモジュール。
【請求項18】
前記はんだ排斥層は、前記シールド層の側面の一部にわたって形成されている、
請求項17に記載のシールド付きモジュール。
【請求項19】
前記実装基板は、他方主面に設けられた端子電極と、前記端子電極の表面から前記実装基板の一部に至る深さの複数の凹部と、を有する、
請求項15から18の何れか1項に記載のシールド付きモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド付きモジュールのプリント配線板への実装構造及び実装方法、並びにシールド付きモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シールド付きモジュールの一例として、DC−DCコンバーターが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1のDC−DCコンバーターは、積層体を含み、電子部品、コイル、トランジスタ、ダイオード等を回路パターン上にはんだ等で接続することにより積層体上に搭載し、積層体、電子部品及び回路パターンを銅からなる金属ケースで覆うことにより構成される。該積層体には共通グランド電極層が設けられ、該共通グランド電極層は該積層体の側面に引き出され、該金属ケースの内側と電気的に接続されている。これにより、該金属ケースは、内側から共通グランド電極層を介して接地される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−215324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のシールド付きモジュールとしてのDC−DCコンバーターにあっては、モジュールの小型化が進むにつれて、次のような問題が生じ得る。
【0006】
すなわち、共通グランド電極層の引き出し部分が微細化することで、共通グランド電極層の引き出し部分での断線の懸念が増す。また、積層体の側面に露出する共通グランド電極層の面積が小さくなることで金属ケースとの確実な接続が困難になる。そのため、金属ケースをより確実に接地できる構造が求められる。
【0007】
また、金属ケースの有無にかかわらず、プリント配線板上のはんだペーストの印刷量のばらつきなどに起因して、モジュールがプリント配線板上で傾いて固定される現象(以下、部品浮きと言う)が生じることがある。この現象は、実装の信頼性を損なうため、金属ケース付きモジュールにおいても解決されるべき課題である。
【0008】
そこで、本発明は、実装の信頼性が高いシールド付きモジュールのプリント配線板への実装構造及び実装方法、並びにシールド付きモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係るシールド付きモジュールのプリント配線板への実装構造において、前記シールド付きモジュールは、一方主面に1以上の電子部品が実装された実装基板と、前記1以上の電子部品を覆うように、前記実装基板の上方から側面にわたって形成されたシールド層と、前記シールド層の側面部分および上面部分に設けられたはんだ層と、を有し、前記シールド層は、前記はんだ層を介して、前記プリント配線板に設けられた表面電極に接続されており、前記はんだ層の表面は窪んでいる。
【0010】
ここで、はんだ層の表面が窪んでいるとは、はんだ層の露出面が凹形状をなしていることを言う。具体的に、はんだ層は、露出面の周縁上の上面側とプリント配線板側の2点を結ぶ線分に対し露出面の中央部がはんだ層の内方へ後退していてもよい。
【0011】
このような構成によれば、表面が窪んでいないはんだ層を有した実装構造と比較して、窪んだ部分の容積分だけはんだ量を減らすことが可能となる。すなわち、表面が窪んでいないはんだ層を有した実装構造と比較して、モジュールとプリント配線板との接合部分において、より少量のはんだ量で同程度の接合強度を得ることが可能になる。換言すれば同量のはんだを用いた場合にあっては、接合強度が高まる。その結果、モジュールとプリント配線板とがより確実に接合された、実装の信頼性が高い実装構造が得られる。また、シールド層の上面部分に設けられたはんだ層がシールド層の役割を果たすことができるので、実装構造におけるシールド性能が向上する。
【0012】
また、前記実装基板は、グランド電極と、前記実装基板の他方主面に設けられ、該グランド電極と導通しているグランド端子とを有し、前記グランド端子は前記表面電極に接続されていてもよい。
【0013】
このような構成によれば、グランド端子とシールド層の双方が表面電極に接続するため、シールド付きモジュールとプリント配線板との接続箇所が増加する。また、このような構成によれば、表面電極を介して、シールド層と実装基板のグランド電極とを、確実かつ容易に接続できる。その結果、実装の信頼性がさらに向上する。
【0016】
また、前記シールド層の上面部分の表面に、はんだに対する濡れ性が、前記シールド層のはんだに対する濡れ性より小さいはんだ排斥層が形成されていてもよい。また、前記はんだ排斥層は、前記シールド層の側面の一部にわたって形成されていてもよい。
【0017】
このような構成によれば、はんだ層の這い上がりが生じにくくなり、シールド層とプリント配線板の表面電極とが、はんだ層によって確実に接続される。その結果、実装の信頼性がさらに向上する。
【0018】
また、前記シールド層の側面部分の全周が、前記はんだ層を介して前記表面電極に接続されていてもよい。
【0019】
このような構成によれば、シールド付きモジュールはプリント配線板に、強固に固定される。また、シールド層の全周において、シールド層とプリント配線板との隙間がはんだ層で封止されるので、高いシールド効果及び水密性が得られる。その結果、実装の信頼性がさらに向上する。
【0020】
また、前記表面電極がグランド電位に設定されてもよい。
【0021】
このような構成によれば、グランド端子とシールド層の双方を、グランド電位に設定される表面電極に接続することができるので、より確実に接地を取ることができる。
【0022】
また、前記実装基板は、他方主面に設けられた端子電極と、前記端子電極の表面から前記実装基板の一部に至る深さの、複数の凹部とを有し、前記凹部の少なくとも一部は、前記端子電極と前記表面電極を接続するはんだで埋められていてもよい。
【0023】
このような構成によれば、はんだの量がばらついても、はんだの余剰分が凹部の少なくとも一部に入り込むことで、端子電極と表面電極との間のはんだ量が安定し、実装ずれや浮き等の不具合が発生しにくくなる。また、はんだが凹部内に入り込むことでアンカー効果を発揮するので、端子電極の実装基板への接合強度も高くなる。
【0024】
また、本発明の一態様に係るシールド付きモジュールのプリント配線板への実装方法は、一方主面に1以上の電子部品が実装された実装基板と、前記1以上の電子部品を覆うように、前記実装基板の上方から側面にわたって形成されたシールド層と、前記シールド層の側面部分および上面部分に設けられたプリコートはんだと、を有するシールド付きモジュールを、プリント配線板に配置し、前記プリコートはんだを溶融及び固化させることによって、前記シールド層を、溶融及び固化した前記プリコートはんだを介して、前記プリント配線板に設けられた表面電極に接続し、前記プリコートはんだを溶融及び固化させたときにおいて、前記上面部分に設けられた前記プリコートはんだの少なくとも一部が前記シールド層の側面部分に移動するものである。
【0025】
このような方法によれば、シールド付きモジュールのシールド層の側面部分にプリコートしておいたはんだをリフロー処理において溶融及び流動させ、シールド層とプリント配線板の表面電極とを接合する。そのため、例えば実装基板の端面に露出したグランド電極とシールド層との接続に頼ることなく、プリント配線板の表面電極を介して、シールド層を確実に接地することができる。
【0026】
また、リフロー処理において、溶融したプリコートはんだの表面張力で、シールド付きモジュールとプリント配線板とが引き寄せられる。そのため、はんだペーストのプリント配線板上での印刷量が多少ばらついた場合でも、部品浮きが生じにくくなる。また、プリコートはんだにより、シールド付きモジュールとプリント配線板との接合強度が高まる。
【0027】
また、シールド層の側面部分のみにプリコートはんだを設けた場合と比べて、プリコートはんだの量を増加させることができるため、モジュールとプリント配線板との接合強度をより高めることが可能となる。さらに、プリコートはんだの一部がリフロー処理後においてもシールド層の上面部分に留まる場合にあっては、当該プリコートはんだの一部がシールド付きモジュールのシールド層としての役割を果たすことも可能となる。
その結果、実装の信頼性が高いシールド付きモジュールのプリント配線板への実装方法が得られる。
【0030】
また、前記シールド層上面部分の表面に、はんだに対する濡れ性が、前記シールド層のはんだに対する濡れ性より小さいはんだ排斥層が形成されていてもよい。また、前記はんだ排斥層は、前記シールド層の側面の一部にわたって形成されていてもよい。
【0031】
このような方法によれば、プリコートはんだの這い上がりが生じにくくなり、シールド層とプリント配線板の表面電極とが、溶融及び固化したプリコートはんだによって確実に接続される。その結果、実装の信頼性がさらに向上する。
【0032】
また、前記プリコートはんだが、前記シールド層の側面部分の全周に設けられ、前記シールド層を、前記側面部分の全周で、表面電極に接続していてもよい。
【0033】
このような方法によれば、シールド付きモジュールはプリント配線板に、強固に固定される。また、シールド層の全周において、シールド層とプリント配線板との隙間がプリコートはんだで封止されるので、高いシールド効果及び水密性が得られる。その結果、実装の信頼性がさらに向上する。
【0034】
また、前記実装基板は、他方主面に端子電極を有し、前記端子電極と前記プリント配線板に設けられた表面電極との間にはんだペーストを配置し、前記プリコートはんだが溶融した状態で前記シールド層と前記表面電極とに接触している間に、前記はんだペーストを溶融及び固化させることにより、前記端子電極を、溶融及び固化した前記はんだペーストを介して、前記表面電極に接続してもよい。
【0035】
このような方法によれば、リフロー処理において、まず、プリコートはんだが溶融、流動してプリント配線板に到達し、次に、プリコートはんだが溶融している状態で、はんだペーストが溶融する。その後の冷却では、まず、溶融したはんだペーストが固化し、端子電極と表面電極とが接合され、次に、溶融したプリコートはんだが固化し、シールド層と表面電極とが接合される。
【0036】
つまり、端子電極と表面電極とは、プリコートはんだの表面張力によってシールド付きモジュールとプリント配線板とが引き寄せられている間に、はんだペーストが溶融及び固化することによって接合される。これにより、はんだペーストのプリント配線板上での印刷量が多少ばらついた場合でも、部品浮きが生じにくくなる。
【0037】
その結果、実装の信頼性がさらに向上する。
【0038】
また、前記実装基板は、前記端子電極の表面から前記実装基板の一部に至る深さの複数の凹部をさらに有し、前記凹部の少なくとも一部を前記はんだペーストで埋めてもよい。
【0039】
このような方法によれば、はんだの量がばらついても、はんだの余剰分で凹部の少なくとも一部を埋めることで、端子電極と表面電極との間のはんだ量が安定し、実装ずれや浮き等の不具合が発生しにくくなる。また、はんだが凹部内に入り込むことでアンカー効果を発揮するので、端子電極の実装基板への接合強度も高くなる。
【0040】
また、前記表面電極が、グランド電位に設定されてもよい。
【0041】
このような方法によれば、グランド端子とシールド層の双方を、グランド電位に設定される表面電極に接続することができるので、より確実に接地を取ることができる。
【0042】
また、本発明のシールド付きモジュールは、一方主面に1以上の電子部品が実装された実装基板と、前記1以上の電子部品を覆うように、前記実装基板の上方から側面にわたって形成されたシールド層と、前記シールド層の側面部分および上面部分設けられたプリコートされたはんだと、を有する。
【0043】
この構成によれば、プリント配線板に当該モジュールを接合させる場合にあって、別途モジュールの大きさに合わせてプリント配線板側にはんだをコートする必要がないため、簡易な方法により実装が可能なシールド付きモジュールを得られる。また、シールド層の上面部分に設けられたはんだ層がシールド層の役割を果たすことができるので、よりシールド性能の向上したシールド付きモジュールが得られる。
【0044】
また、前記実装基板は、グランド電極と、前記実装基板の他方主面に設けられ、該グランド電極と導通しているグランド端子と、を有してもよい。
【0045】
このような構成によれば、グランド端子とシールド層の双方が表面電極に接続するため、シールド付きモジュールとプリント配線板との接続箇所が増加する。また、このような構成によれば、表面電極を介して、シールド層と実装基板のグランド電極とを、確実かつ容易に接続できる。その結果、実装の信頼性が高いシールド付きモジュールが得られる。
【0048】
また、前記シールド層の上面部分の表面に、はんだに対する濡れ性が、前記シールド層のはんだに対する濡れ性より小さいはんだ排斥層が形成されていてもよい。また、前記はんだ排斥層は、前記シールド層の側面の一部にわたって形成されていてもよい。
【0049】
このような構成によれば、はんだ層の這い上がりが生じにくくなり、シールド層とプリント配線板の表面電極とが、はんだ層によって確実に接続される。その結果、実装の信頼性が高いシールド付きモジュールが得られる。
【0050】
また、前記実装基板は、他方主面に設けられた端子電極と、前記端子電極の表面から前記実装基板の一部に至る深さの複数の凹部と、を有してもよい。
【0051】
このような構成によれば、はんだの量がばらついても、はんだの余剰分が凹部の少なくとも一部に入り込むことで、端子電極と表面電極との間のはんだ量が安定し、実装ずれや浮き等の不具合が発生しにくくなる。また、はんだが凹部内に入り込むことでアンカー効果を発揮するので、端子電極の実装基板への接合強度も高くなる。その結果、実装の信頼性が高いシールド付きモジュールが得られる。
【発明の効果】
【0052】
本発明の実装構造にあっては、従来の実装構造と比べて、より少量のはんだで確実にシールド付きモジュールとプリント配線板を接合可能な実装構造を得られる。
【0053】
また、本発明の実装方法にあっては、部品浮きや傾きが生じにくいシールド付きモジュールのプリント配線板への実装が可能となる。
【0054】
また、本発明のシールド付きモジュールにあっては、従来技術と比べて、より簡易な方法により実装が可能なシールド付きモジュールを得られる。
【0055】
このように、本発明によれば、実装の信頼性が高いシールド付きモジュールのプリント配線板への実装構造及び実装方法、並びにシールド付きモジュールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図1図1は、実施の形態1に係るモジュールのプリント配線板への実装構造の一例を示す断面図である。
図2図2は、比較例に係るモジュールの構造の一例を示す断面図である。
図3図3は、比較例に係るモジュールのプリント配線板への実装構造の一例を示す断面図である。
図4図4は、比較例に係るモジュールのプリント配線板への実装構造の一例を示す断面図である。
図5図5は、変形例1に係るモジュールの構造の一例を示す断面図である。
図6図6は、変形例2に係るモジュールの構造の一例を示す断面図である。
図7図7は、実施の形態2に係るモジュールのプリント配線板への実装方法の一例を説明するための断面図である。
図8図8は、実施の形態2に係るモジュール及びプリント配線板の外観の一例を示す斜視図である。
図9図9は、変形例3に係るモジュールのプリント配線板への実装方法の一例を説明するための図である。
図10図10は、変形例3に係るモジュールのプリント配線板への実装構造の一例を示す図である。
図11図11は、実施の形態3に係るモジュールのプリント配線板への実装方法の一例を示す断面図である。
図12図12は、実施の形態3に係るモジュールのプリント配線板への実装構造の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、製造工程、及び製造工程の順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、図面に示される構成要素の大きさ又は大きさの比は、必ずしも厳密ではない。
【0058】
(実施の形態1)
実施の形態1では、シールド付きモジュールのプリント配線板への実装構造について説明する。以下の説明では、簡潔のため、シールド付きモジュールを単にモジュールと言う。以下に記載のモジュールなる文言は、シールド付きモジュールを意味する。
【0059】
図1は、実施の形態に係るモジュールのプリント配線板への実装構造の一例を示す断面図である。図1は、モジュール100がプリント配線板200に実装された実装構造1を表している。なお、図1では、図示の簡明のため、同種の構成要素に同種の柄を付して示し、重複する符号は省略している。
【0060】
モジュール100において、実装基板110の一方主面(図1の例では上側主面)には、表面電極111が設けられて、表面電極111を介して、電子部品121、122が実装されている。電子部品121、122は、樹脂層120で封止されている。実装基板110の他方主面(図1の例では下側主面)には、複数の端子電極112が設けられ、実装基板110の内層には、グランド電極113を含む配線導体が設けられている。少なくとも1つの端子電極112とグランド電極113とは電気的に接続されている。ここで、グランド電極113と接続された端子電極112は、グランド電極113と導通しているグランド端子の一例である。
【0061】
実装基板110は、一例として、複数のセラミックス基材層を積層してなる多層基板であってもよい。
【0062】
シールド層130は、樹脂層120の表面及び実装基板110の側面に形成されている。つまり、シールド層130は、電子部品121、122を覆うように、実装基板110の上方から側面にわたって形成されている。
【0063】
シールド層130は、一例として、銅、ニッケル、銀、及び金のうちの1以上を含む金属材料による被膜であり、スパッタ処理にて、樹脂層120及び実装基板110の表面に配置されてもよい。
【0064】
モジュール100は、一例として、DCDCコンバータモジュールであってもよい。電子部品121、122は、それぞれコンデンサ及びスイッチングICであってもよく、実装基板110の内層に設けられた配線導体の一部が内蔵コイルを構成していてもよい。実装基板110の上方から側面にわたって形成されたシールド層130によって、コンデンサ及びスイッチICからのノイズはもちろん、内蔵コイルからのノイズ輻射も抑制される。
【0065】
プリント配線板200は、配線基板210の主面に、グランド電位に設定される表面電極211を有している。
【0066】
配線基板210には、モジュール100を利用する応用回路が形成されている。
【0067】
配線基板210は、一例として、フェノール又はエポキシを含む樹脂材料で構成された単層基板又は多層基板であってもよい。
【0068】
表面電極211は、配線基板210の主面の、端子電極112と対向する第1部分、及びシールド層130の端面と対向する第2部分に設けられている。配線基板210の第1部分と第2部分との境界に、レジスト213が配置される。
【0069】
はんだ層301によって、シールド層130の側面と表面電極211とが接合される。また、はんだ層302によって、端子電極112と表面電極211とが接合される。
【0070】
はんだ層301の表面は窪んでいる。ここで、はんだ層301の表面が窪んでいるとは、はんだ層301の露出面が凹形状をなしていることを言う。具体的に、はんだ層301は、露出面の周縁上の上面側とプリント配線板側の2点を結ぶ線分(図1における細破線L1)に対し露出面の中央部がはんだ層301の内方へ後退していてもよい。
【0071】
モジュール100及び実装構造1の効果について、比較例に係るモジュール900及び実装構造9との対比により説明する。
【0072】
図2は、比較例に係るモジュール900の構造の一例を示す断面図である。モジュール900は、図1のモジュール100と比べて、グランド電極913が実装基板110の端面に引き出される点で相違する。
【0073】
モジュール900にあっては、シールド層130を、実装基板110の端面に露出したグランド電極913と接続することによって接地するため、モジュールの小型化が進むにつれて、接続不良D1や断線D2といった不具合の懸念が増す。
【0074】
図3は、比較例に係る実装構造9の一例を示す断面図である。実装構造9は、図2のモジュール900をプリント配線板200に実装してなる。実装構造9にあっては、はんだ層302a、302bを構成するはんだペーストの印刷量のばらつきなどに起因して、部品浮きが生じることがある。また、シールド層130が、実装基板110内に設けられ、実装基板の側面に露出したグランド電極913を介してのみ接地されるため、図2で示した接続不良D1や断線D2が生じると、シールド層130によるシールド機能が失われてしまう。
【0075】
このような不利がある比較例に対し、図1に示す実装構造1にあっては、次のような効果が得られる。
【0076】
すなわち、実装構造1にあっては、シールド層130の側面とプリント配線板200の表面電極211とを、はんだ層301によって接合する。端子電極112(グランド端子を含む)とシールド層130の双方が表面電極211に接続するため、モジュール100とプリント配線板200との接続箇所が増加する。
【0077】
そのため、シールド層130が、実装基板110内に設けられるグランド電極913を介してのみ接地される実装構造9と比べて、シールド層130と実装基板110のグランド電極113とを、表面電極211を介して、より確実かつ容易に接続できる。つまり、シールド層130を、はんだ層301、及び表面電極211を介して、より確実に接地することができる。
【0078】
グランド電極113と接続されていない信号用の端子電極とシールド層130との短絡は、レジスト213によって防止される。
【0079】
その結果、実装の信頼性が高いシールド付きモジュールのプリント配線板への実装構造が得られる。
【0080】
なお、図1では、端子電極112及びシールド層130の双方が同一の表面電極211に接続されているが、この例には限られない。端子電極112と接続する表面電極とシールド層130と接続する表面電極とは、それぞれがグランド電位に設定される異なる電極であってもよい。
【0081】
実装構造1において、シールド層130の側面部分の全周が、はんだ層301を介して表面電極211に接続されてもよい。これにより、モジュール100はプリント配線板200に、強固に固定される。また、シールド層130の側面部分の全周において、シールド層130とプリント配線板200との隙間がはんだ層301で封止されるので、高いシールド効果及び水密性が得られる。その結果、実装の信頼性がさらに高まる。
【0082】
また、実装構造1にあっては、はんだ層301の表面が窪んだ形状であることによって、次のような効果が得られる。
【0083】
図4は、比較例に係る実装構造8の一例を示す断面図である。実装構造8は、実装構造1と比べて、はんだ層308の露出面が凸形状をなしている点で相違する。具体的に、はんだ層308は、露出面の周縁上の上面側とプリント配線板側の2点を結ぶ線分(図4における細破線L2)に対し露出面の中央部がはんだ層308の外方へ進出している。このような形状は、はんだ層308のシールド層に対する濡れ性が悪い場合や、はんだ量が多い場合にみられる。
【0084】
実装構造1によれば、表面が窪んでいないはんだ層308を有した実装構造8と比較して、窪んだ部分の容積分だけはんだ量を減らすことが可能となる。すなわち、実装構造8と比較して、より少量のはんだ量で同程度のモジュールとプリント配線板との接合部分の面積(すなわち接合強度)を得ることが可能になる。換言すれば同量のはんだを用いた場合にあっては、実装構造1によれば、表面が窪んでいないはんだ層308を有した実装構造8と比較して、接合強度が高まる。
【0085】
なお、上述した効果を有する実装構造に用いられるモジュールは、モジュール100には限られない。例えば、次のような変形が可能である。
【0086】
図5は、変形例1に係るモジュールの構造の一例を示す断面図である。
【0087】
図5のモジュール101は、モジュール100と比べて、はんだ層305がシールド層130の上面部分にも設けられている点が異なる。
【0088】
モジュール101を用いた実装構造によれば、実装構造1と同等の効果に加えて、シールド層130の上面に設けたはんだ層305がシールド層の役割を果たすことができ、よりシールド性能の向上したシールド付きモジュールのプリント配線板への実装構造が得られる。
【0089】
図6は、変形例2に係るモジュールの構造の一例を示す断面図である。
【0090】
図6のモジュール102は、モジュール100と比べて、シールド層130の上面部分の表面に、はんだ排斥層150が形成されている点が異なる。はんだ排斥層150は、はんだに対する濡れ性が、シールド層130のはんだに対する濡れ性より小さな層であり、例えば、樹脂層、フッ素コート、又は酸化被膜で構成される。
【0091】
モジュール102を用いた実装構造によれば、実装構造1と同等の効果に加えて、はんだ排斥層150によってはんだ層306の這い上がりが生じにくくなるので、実装の信頼性がさらに高まる。
【0092】
(実施の形態2)
実施の形態2では、モジュールのプリント配線板への実装方法について説明する。当該実装方法では、モジュールのシールド層の側面部分にはんだをプリコートする。そして、当該プリコートしたはんだをリフロー処理において溶融及び流動させ、シールド層とプリント配線板の表面電極とを接合するものである。
【0093】
図7は、実施の形態に係るモジュールのプリント配線板への実装方法の一例を説明するための断面図である。図7は、実装前のモジュール100及びプリント配線板200を表している。
【0094】
図8は、モジュール100及びプリント配線板200の外観の一例を示す斜視図である。
【0095】
図7及び図8に示されるように、プリコートはんだ140は、シールド層130の側面部分に設けられている。
【0096】
プリコートはんだ140は、一例として、錫及び銀のうちの1以上を含むはんだペーストであり、印刷処理又はディップ処理にて、シールド層130の表面に配置されてもよい。
【0097】
また、配線基板210の表面電極211上の所定の部分に、はんだペースト212及びレジスト213が配置される。
【0098】
モジュール100及びプリント配線板200を、位置合わせをした後、リフロー処理することにより、図1の実装構造1が得られる。図1において、はんだ層301は、プリコートはんだ140が溶融及び流動してプリント配線板200の表面電極211に到達し、固化したものである。また、はんだ層302は、はんだペースト212が、端子電極112とプリント配線板200の表面電極211との間で溶融及び流動し、固化したものである。
【0099】
このような実装方法によれば、モジュール100のシールド層130の側面部分にプリコートはんだ140を設けておくことによって、次のような効果が得られる。
【0100】
プリコートはんだ140がリフロー処理において溶融及び流動し、その後、固化して形成されるはんだ層301によって、シールド層130とプリント配線板200の表面電極211とが接合される。また、はんだペースト212がリフロー処理において溶融及び流動し、その後、固化して形成されるはんだ層302によって、端子電極112とプリント配線板200の表面電極211とが接合される。このように、端子電極112(グランド端子を含む)とシールド層130の双方が表面電極211に接続されるため、モジュール100とプリント配線板200との接続箇所が増加する。
【0101】
そのため、シールド層130が、実装基板110内に設けられるグランド電極913を介してのみ接地される実装構造9(図3を参照)と比べて、シールド層130と実装基板110のグランド電極113とを、表面電極211を介して、より確実かつ容易に接続できる。つまり、シールド層130を、プリント配線板200の表面電極211を介して、確実に接地することができる。
【0102】
グランド電極113と接続されていない信号用の端子電極とシールド層130との短絡は、レジスト213によって防止される。
【0103】
また、シールド層130にプリコートはんだ140を予め設けておくので、プリント配線板200にモジュール100を接合させる際、別途モジュール100の大きさに合わせてプリント配線板200側にはんだをコートする必要がないため、実装方法が簡素化される。
【0104】
また、リフロー処理において、溶融したプリコートはんだ140の表面張力で、モジュール100とプリント配線板200とが引き寄せられる。そのため、はんだペースト212のプリント配線板200上での印刷量が多少ばらついた場合でも、部品浮きが生じにくくなる。また、はんだ層301により、モジュール100とプリント配線板200との接合強度が高まる。
【0105】
部品浮きを防止する効果を高めるために、プリコートはんだ140の融点は、はんだペースト212の融点より低くてもよい。そうすれば、リフロー処理において、まず、プリコートはんだ140が溶融、流動してプリント配線板200に到達し、プリコートはんだ140の表面張力で、モジュール100とプリント配線板200とが引き寄せられる。次に、プリコートはんだ140が溶融している状態で、はんだペースト212が溶融する。
【0106】
その後の冷却において、まず、はんだペースト212が固化し、端子電極112と表面電極211とが接合される。次に、プリコートはんだ140が固化することによって、シールド層130と表面電極211とが接合される。
【0107】
つまり、端子電極112と表面電極211とは、溶融状態にあるプリコートはんだ140の表面張力によってモジュール100とプリント配線板200とが引き寄せられている間に、はんだペースト212が溶融及び固化することによって接合される。これにより、はんだ層302となるはんだペースト212のプリント配線板200上での印刷量が多少ばらついた場合でも、部品浮きが生じにくくなる。その結果、実装の信頼性が高い実装構造1が得られる。
【0108】
なお、上述の実装方法は、実装構造1には限られず、他の実装構造にも適用できる。
【0109】
例えば、上述の実装方法に従って、図5のモジュール101をプリント配線板200へ実装してもよい。モジュール101にあっては、はんだ層305となるプリコートはんだをシールド層130の上面部分にも設けておく。この上面部分のプリコートはんだは、リフロー時に溶融、流動することによりシールド層130の側面部分に移動する。
【0110】
それにより、側面部分にのみはんだをプリコートした場合と比較してプリコートはんだが固化して形成されるはんだ層305のはんだの量を増加させることができるため、モジュール101とプリント配線板200との接続強度をより高めることが可能となる。つまり、上面に設けたプリコートはんだもプリント配線板200とモジュール101との接続に寄与するため、より接続強度が増して実装構造が安定する。
【0111】
さらに上面のプリコートはんだはその一部がリフロー処理後においても上面に留まる場合にあっては、モジュール101のシールド層としての役割を果たすことも可能となる。
【0112】
また、上述の実装方法に従って、図6のモジュール102をプリント配線板200へ実装してもよい。モジュール102にあっては、はんだ層306となるプリコートはんだをシールド層130の側面部分に設け、その上側部分の表面に、はんだ排斥層150を形成しておく。
【0113】
それにより、プリコートはんだの這い上がりが生じにくくなり、プリコートはんだが溶融、流動、及び固化することによって、シールド層130とプリント配線板の表面電極(図示せず)とが確実に接続される。その結果、実装の信頼性が高いシールド付きモジュールのプリント配線板への実装構造が得られる。
【0114】
また、上述の実装方法を、さらに次のような変形例に係る実装構造に適用してもよい。
【0115】
図9は、変形例3に係る実装方法の一例を説明するための側面図(a)及び断面図(b)である。図9の(a)及び(b)は、実装前のモジュール103及びプリント配線板201の側面及び断面の一例をそれぞれ表している。
【0116】
図10は、変形例3に係るモジュールのプリント配線板への実装構造の一例を示す側面図(a)及び断面図(b)である。図10の(a)及び(b)は、モジュール103をプリント配線板201に実装してなる実装構造2の側面及び断面の一例をそれぞれ表している。
【0117】
図9のモジュール103は、モジュール100と比べて、シールド層が脚付きの金属ケース160によって構成される点が異なる。
【0118】
金属ケース160は、実装基板110の上方に電子部品121、122を格納する空間を形成し、実装基板110の側面の一部に沿って脚部161が延びている。つまり、金属ケース160は、電子部品121、122を覆うように実装基板110の上方から側面にわたって形成されている。
【0119】
金属ケース160は、一例として、ステンレス又は銅を含む金属板で形成されてもよい。
【0120】
金属ケース160の脚部161に、プリコートはんだ142が設けられ、金属ケース160の側面の一部にわたって、はんだ排斥層150が設けられる。はんだ排斥層150は、例えば、金属ケース160の脚部161より上側部分に設けられてもよい。
【0121】
実装基板110には、モジュール100と同様、端子電極112が設けられる。
【0122】
プリント配線板201は、プリント配線板200と比べて、表面電極214の配置が変更される。表面電極214は、モジュール103の端子電極112及び金属ケース160の脚部161に対向するように設けられる。
【0123】
モジュール103及びプリント配線板201を、位置合わせをして貼り合わせ、リフロー処理することにより、図10に示す実装構造2が得られる。
【0124】
実装構造2では、プリコートはんだ142が溶融及び流動してプリント配線板201の表面電極214に到達し固化することで形成されたはんだ層303によって、金属ケース160の脚部161と表面電極214とが接合される。はんだ層303は、表面が窪んだ特徴的な凹形状を有しているため、プリコートはんだ142が溶融及び固化して形成されたものと分かる。
【0125】
また、表面電極214に配置されたはんだペースト(図示せず)が溶融及び固化することで形成されるはんだ層304によって、端子電極112と表面電極214とが接合される。
【0126】
実装構造2によれば、シールド層を金属ケース160で構成したモジュール103を用いて、実装構造1と同等の効果を得ることができる。
【0127】
(実施の形態3)
実施の形態3では、実装の信頼性をさらに高めたシールド付きモジュールのプリント配線板への実装構造及び実装方法について説明する。
【0128】
実施の形態3に係る実装構造は、実装基板が、端子電極の表面から前記実装基板の一部に至る深さの、複数の凹部を有していることを特徴とする。実施の形態3に係る実装構造は、実施の形態1、2で述べた実装構造における端子電極周りの構造として、実施の形態1、2で述べたいずれの実装構造とも組み合わせて用いられる。
【0129】
図11は、実施の形態3に係る実装方法の一例を説明するための断面図である。図11は、実装前のモジュール104及びプリント配線板200の断面の一例を表している。
【0130】
図12は、実施の形態3に係るモジュールのプリント配線板への実装構造の一例を示す断面図である。図12は、モジュール104をプリント配線板200に実装してなる実装構造3の断面の一例を表している。
【0131】
図11図12では、モジュール104の特徴部分である端子電極112および凹部114に関連する構成要素のみを示している。図11図12で省略した構成要素については、一例として、図7に示される構成要素を参照して説明する。
【0132】
図11に示されるように、モジュール104において、端子電極112を貫通し、絶縁素体である実装基板110の一部に至る有底の凹部114を形成するとともに、端子電極112の表面および凹部114の内壁面に連続しためっき膜115を付与する。
【0133】
実装基板110の側面には、例えば、図7のシールド層130、プリコートはんだ140と同様のシールド層およびプリコートはんだを設ける(図示せず)。
【0134】
また、プリント配線板200において、配線基板210の表面電極211上に、はんだペースト212a、212b、212cを配置する。
【0135】
モジュール104及びプリント配線板200を、位置合わせをした後、リフロー処理する。リフロー処理において、はんだペースト212a、212b、212cが、端子電極112とプリント配線板200の表面電極211との間で溶融、流動する。このとき、図示はしていないが、シールド層の側面に設けられたプリコートはんだも溶融、流動してプリント配線板200に到達し、プリコートはんだの表面張力で、モジュール104とプリント配線板200とが引き寄せられる。
【0136】
これにより、はんだペースト212a、212b、212cの量がばらついても、溶融したプリコートはんだの表面張力による、いわば「押さえ」が作用するので、はんだペースト212a、212b、212cの余剰分は凹部114内に入り込む。はんだペースト212a、212b、212cの這い上がり性を良くするために、凹部114のアスペクト比(深さの径に対する比)は1以上としてもよい。
【0137】
リフロー後、はんだペースト212a〜212cが固化することで形成されるはんだ層309によって端子電極112と表面電極211とが接合される。
【0138】
その結果、端子電極112と表面電極211との間のはんだ量が安定し、実装ずれや浮き等の不具合が発生しにくくなる。また、はんだペースト212a、212b、212cが凹部114内に入り込むことでアンカー効果を発揮し、また、めっき膜115が端子電極112と実装基板110とを接合するくさびの役割を果たすので、端子電極112の実装基板110への接合強度も高くなる。なお、凹部114の全てがはんだで埋められてもよいし、凹部114の一部がはんだで埋められて残りの部分が空隙として残ってもよい。
【0139】
このように、実施の形態3に係る実装構造3および実装方法によれば、実装の信頼性をさらに高めたシールド付きモジュールのプリント配線板への実装構造及び実装方法が得られる。
【0140】
以上、本発明の実施の形態に係るシールド付きモジュールのプリント配線板への実装構造及び実装方法、並びにシールド付きモジュールについて説明したが、本発明は、個々の実施の形態には限定されない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の一つ又は複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0141】
本発明は、シールド付きモジュールのプリント配線板への実装構造及び実装方法、並びにシールド付きモジュールとして、携帯情報端末やデジタルカメラなどの電子機器に広く利用できる。
【符号の説明】
【0142】
1、2、3、8、9 実装構造
100、101、102、103、104、900 モジュール
110 実装基板
111、211、214 表面電極
112 端子電極
113、913 グランド電極
114 凹部
115 めっき膜
120 樹脂層
121、122 電子部品
130 シールド層
140、142 プリコートはんだ
150 はんだ排斥層
160 金属ケース
161 脚部
200、201 プリント配線板
210 配線基板
212、212a〜212c はんだペースト
213 レジスト
301、302、302a、302b、303、304、305、306、308、309 はんだ層
D1 接続不良
D2 断線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12