(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、可撓性基板と素線との接合部に被覆材を塗布すると、被覆材がシャッタ基板の表面に濡れ広がって可動部へ付着し、羽根の動作不良が生じるおそれがある。したがって、従来の羽根駆動装置においては、被覆材の塗布範囲を規定して、羽根の動作不良の発生を防止するという点で改善の余地がある。
【0006】
そこで本発明は、羽根の動作不良を防止できる羽根駆動装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の羽根駆動装置は、光軸上に、羽根によって開閉される開口部を有する台板と、前記光軸の軸方向における前記台板の一方側において、前記台板と前記羽根との間に配置され、前記羽根を駆動する駆動源の導線が接合された接合部を有する基板と、を備え、前記台板には、前記基板の少なくとも一部が収容されるとともに、前記接合部を覆う被覆材が塗布される基板収容部が設けられ、前記基板収容部には、前記軸方向の他方側から前記一方側に向かって延びる壁面が設けられ、前記壁面には、前記軸方向に交差する方向に沿って延在する角部が設けられ、前記角部は、前記軸方向における前記羽根と前記基板との間に設けられ
、前記軸方向の前記一方側に面する段差部、または前記基板収容部内で前記軸方向の前記一方側に向かって立設されたピンの基端よりも縮径形成することで設けられる段差部である、ことを特徴とする。
【0008】
基板収容部内に被覆材を塗布すると、被覆材が表面張力により壁面上に濡れ広がる。壁面に角部が設けられている場合、被覆材は、角部を乗り越えた濡れ広がりが規制される。
本発明によれば、壁面には、軸方向における羽根と基板との間に、軸方向に交差する方向に沿って延在する角部が設けられているので、基板収容部内に被覆材を塗布したときに、壁面の角部において被覆材が軸方向他方側から一方側へと濡れ広がることを規制できる。これにより、被覆材が軸方向における羽根の位置(すなわち羽根の作動面内)に進入することを防止して、羽根の可動部に被覆材が付着することを防止できる。したがって、羽根の動作不良を防止できる羽根駆動装置が得られる。
しかも、角部により被覆材の濡れ広がりを規制できるので、羽根をより軸方向における基板側に接近して配置することが可能となる。これにより、羽根駆動装置の軸方向における寸法を小さくすることができる。したがって、小型な羽根駆動装置が得られる。
【0009】
上記の羽根駆動装置において、前記光軸上に受板開口部を有する羽根受板を備え、前記羽根受板は、前記羽根と前記開口部との間に配置され、前記角部は、前記羽根受板と前記基板との間に設けられている、ことが望ましい。
【0010】
本発明によれば、角部が羽根受板と基板との間に設けられているため、被覆材が羽根受板に接触することを防止できる。これにより、被覆材が羽根受板を伝って羽根の可動部に接触することを防止できる。したがって、羽根の動作不良を防止できる羽根駆動装置が得られる。
【0011】
上記の羽根駆動装置において、前記台板には、前記軸方向の前記一方側に向かって立設され、前記基板に接触された位置決め部が設けられ、前記位置決め部には、前記角部が設けられている、ことが望ましい。
【0012】
本発明によれば、位置決め部により基板の位置決めを行うことができるとともに、位置決め部に角部が設けられているので、位置決め部を伝って被覆材が羽根の作動面に濡れ広がることを防止できる。したがって、羽根の動作不良を防止できる羽根駆動装置が得られる。
【0013】
上記の羽根駆動装置において、前記基板収容部には、前記軸方向の前記他方側から前記一方側に向かってリブが立設されている、ことが望ましい。
【0014】
本発明によれば、基板収容部には、軸方向の他方側から一方側に向かってリブが立設されているので、基板収容部内に塗布された被覆材が基板収容部外へ流れ出ることをリブにより規制できる。これにより、被覆材の塗布範囲を規定できるとともに、基板収容部外を伝って被覆材が羽根の作動面に濡れ広がることを防止できる。したがって、羽根の動作不良を防止できる羽根駆動装置が得られる。
また、基板収容部にはリブが設けられているので、台板の強度を向上させることができる。
【0015】
上記の羽根駆動装置において、前記羽根を駆動する駆動源を備え、前記駆動源は、前記羽根の作動面と前記台板との間に配置されている、ことが望ましい。
【0016】
本発明によれば、駆動源が羽根の作動面と台板との間に配置され、軸方向において被覆材と同様に、羽根の作動面に進入していないため、駆動源が羽根の作動面よりも外側に配置される構成と比較して、羽根の動作不良を防止できると共に、羽根駆動装置の軸方向における寸法を小さくすることができる。したがって、小型な羽根駆動装置が得られる。
【0017】
本発明の光学機器は、上記の羽根駆動装置を備えることを特徴とする。
本発明によれば、上記の羽根駆動装置を備えることで、羽根の動作不良を防止でき、撮像性能の優れた光学機器とすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、壁面には、軸方向における羽根と基板との間に、軸方向に交差する方向に沿って延在する角部が設けられているので、基板収容部内に被覆材を塗布したときに、壁面の角部において被覆材が軸方向他方側から一方側へと濡れ広がることを規制できる。これにより、被覆材が羽根の作動面内に進入することを防止して、羽根の可動部に被覆材が付着することを防止できる。したがって、羽根の動作不良を防止できる羽根駆動装置が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、光学機器のブロック図である。
図1に示すように、光学機器101は、例えば携帯電話等に搭載されるカメラであって、羽根駆動装置1と、カメラモジュール50と、制御部102と、撮像素子104と、を備えている。
【0021】
カメラモジュール50は、焦点距離を調整するためのレンズと、レンズを駆動するレンズ駆動装置等を備えている。
制御部102は、光学機器101の全体の動作を制御しており、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えている。制御部102は、羽根駆動装置1およびカメラモジュール50の動作を制御する。
撮像素子104は、例えばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等であって、光により形成された被写体像を電気信号に変換する。
【0022】
図2は、羽根駆動装置の斜視図である。
図2に示すように、羽根駆動装置1は、カメラモジュール50のレンズの光軸P方向(以下、単に「軸方向」という。)に厚みを有する、軸方向視矩形状の直方体状に形成されている。羽根駆動装置1は、カメラモジュール50に対して、軸方向に重ねて配置される。なお、以下の説明では、軸方向におけるカメラモジュール50から見た羽根駆動装置1側を「軸方向外側」といい、その反対側を「軸方向内側」という。
【0023】
図3は、羽根駆動装置の分解斜視図である。
図3に示すように、羽根駆動装置1は、光軸P上に開口部5を有する台板2と、開口部5よりも軸方向外側に配置され、開口部5を規制する第1シャッタ羽根23、第2シャッタ羽根24および絞り羽根28と、各シャッタ羽根23,24を駆動する第1アクチュエータ10A(駆動源)と、絞り羽根28を駆動する第2アクチュエータ10B(駆動源)と、各アクチュエータ10A,10Bの導線9が接合された接合部6cを有するフレキシブル基板6(基板)と、を備えている。なお、各羽根23,24,28による開口部5の規制とは、開口部5の開口面積を調整することである。
【0024】
台板2は、例えば樹脂材料により形成され、羽根駆動装置1の外形をなしている。台板2は、矩形板状のベース部3と、ベース部3の外周縁から軸方向外側に向けて立設された矩形枠状の周壁部4と、を有する。ベース部3の中央部には、光軸Pを中心とするように、ベース部3を軸方向に貫通する開口部5が形成されている。開口部5の開口縁部には、ベース部3から軸方向外側に向けて立設された環状の開口壁部7が形成されている。開口壁部7の軸方向外側の先端部は、軸方向に直交する平面状に形成されている。
【0025】
図4は、
図3におけるA部の拡大図である。
図5は、
図4のV−V線における断面図である。
台板2の角領域には、周壁部4と、開口壁部7と、により挟まれ、フレキシブル基板6の一部が収容されるとともに、後述する被覆材8(
図5参照)が塗布される基板収容部40が設けられている。
図4に示すように、基板収容部40には、リブ41A,41Bがベース部3から軸方向外側に向かって立設されている。リブ41A,41Bは、周壁部4の外形をなす4辺のうち基板収容部40を形成する2辺それぞれの中間部と、開口壁部7と、の間にそれぞれ設けられている。リブ41A,41Bは、それぞれ光軸Pの径方向(以下、単に「径方向」という。)に沿うように設けられている。リブ41A,41Bは、それぞれ径方向における中間部分において分断され、その隙間には各アクチュエータ10A,10Bとフレキシブル基板6とを接続する導線9が配置される。リブ41A,41Bの軸方向外側の先端部は、軸方向に直交する平面状に形成され、開口壁部7の先端部と面一となっている。
【0026】
基板収容部40におけるベース部3は、基板収容部40外に対して、軸方向内側に向けて一様に凹んでいる(
図5参照)。ベース部3におけるリブ41Aの隙間、およびリブ41Bの隙間には、それぞれ段差3a,3bが形成されている。
【0027】
基板収容部40には、複数(本実施形態では4個)のピン43〜46が設けられている。複数のピン43〜46は、台板2の角に対応する隅部に配置された第1ピン43(位置決め部)、リブ41Aに近接して配置された第2ピン44、リブ41Bに近接して配置された第3ピン45、および第2ピン44と第3ピン45との間に配置された第4ピン46である。各ピン43〜46は、円柱状に形成され、台板2のベース部3から軸方向外側に向かって立設されている。
【0028】
第1ピン43の先端部は、周壁部4の先端と軸方向において同じ位置に設けられている。第1ピン43には、基端に形成された大径部43aと、先端に形成された小径部43bと、大径部43aと小径部43bとの間に形成された異径段差面43cと、を有する。異径段差面43cは、軸方向外側に面し、軸方向に直交する平面状に形成されている。異径段差面43cは、開口壁部7の先端部およびリブ41A,41Bの先端部と軸方向において同じ位置に位置している。
【0029】
第1ピン43の大径部43aの外周面43d(壁面)は、ベース部3から軸方向外側に向かって延びている。大径部43aの外周面43dには、軸方向に直交する方向に沿って延在する角部43eが、全周にわたって形成されている。角部43eは、第1ピン43の縦断面視で略直角に形成されている。角部43eは、大径部43aの先端を基端よりも僅かに縮径形成することで設けられる段差部である。角部43eは、軸方向における各羽根23,24,28とフレキシブル基板6との間に設けられている。
【0030】
第2ピン44の先端部は、第1ピン43の先端部と軸方向において同じ位置に設けられている。第2ピン44の外周面44a(壁面)は、ベース部3から軸方向外側に向かって延びている。第2ピン44の外周面44aには、軸方向に直交する方向に沿って延在する角部44bが、全周にわたって形成されている。角部44bは、第2ピン44の縦断面視で略直角に形成されている。角部44bは、第2ピン44の先端を基端よりも僅かに縮径形成することで設けられる段差部である。角部44bは、第1ピン43の角部43eと軸方向において同じ位置に設けられている。
【0031】
第3ピン45の先端部は、面取りされている。第3ピン45の先端部は、開口壁部7の先端部およびリブ41A,41Bの先端部と軸方向において同じ位置に設けられている。
第4ピン46の先端部は、開口壁部7の先端部およびリブ41A,41Bの先端部と軸方向において同じ位置に設けられている。
【0032】
基板収容部40における周壁部4には、間欠部4aが設けられている。また、基板収容部40における周壁部4の内壁面4b(壁面)は、ベース部3から外側に向かって延びている。内壁面4bには、軸方向に直交する方向に沿って延在する角部4cが、基板収容部40に対応する領域の略全体にわたって形成されている。角部4cは、軸方向に沿う平面で見た断面視で略直角に形成されている。角部4cは、軸方向外側に面する段差面を有する段差部である。角部4cは、第1ピン43の角部43eと軸方向において同じ位置に設けられている。
【0033】
図3に示すように、各アクチュエータ10A,10Bは、台板2と各羽根23,24,28との間に配置されている。
第1アクチュエータ10Aは、永久磁石を備えたロータ11Aと、励磁されることによりロータ11Aとの間で磁力が作用するステータ12Aと、ステータ12Aを励磁するためのコイル13Aと、を備えている。ロータ11Aは、台板2に回転可能に支持されている。ロータ11Aには、駆動ピン14Aが設けられている。駆動ピン14Aには、各シャッタ羽根23,24が連結されている。第1アクチュエータ10Aは、台板2の基板収容部40が設けられた角領域と隣り合う角領域に配置されている。
【0034】
第2アクチュエータ10Bは、第1アクチュエータ10Aと同様の構成を有している。すなわち、第2アクチュエータ10Bは、永久磁石を備えたロータ11Bと、励磁されることによりロータ11Bとの間で磁力が作用するステータ12Bと、ステータ12Bを励磁するためのコイル13Bと、を備えている。ロータ11Bは、台板2に回転可能に支持されている。ロータ11Bには、駆動ピン14Bが設けられている。駆動ピン14Bには、絞り羽根28が連結されている。第2アクチュエータ10Bは、台板2の角領域のうち、第1アクチュエータ10Aが配置された角領域とは台板2の開口部5を挟んで反対側の角領域に配置されている。
【0035】
図4に示すように、台板2には、不図示の配線が形成されたフレキシブル基板6が保持されている。フレキシブル基板6は、台板2の周壁部4の外部から、間欠部4aを通じて基板収容部40内に導入されている。フレキシブル基板6は、例えば両面テープ等により台板2のベース部3に固定されている。また、フレキシブル基板6は、基板収容部40の外部に位置する端部に形成された端子部6dにおいて制御部102(
図1参照)に接続されている。
【0036】
フレキシブル基板6には、一対の挿通孔6a,6bが形成されている。挿通孔6a,6bは、それぞれ基板収容部40内の第1ピン43および第4ピン46に対応して形成されている。挿通孔6a,6bには、それぞれ各ピン43,46が挿通され、フレキシブル基板6(挿通孔6a,6bの内周縁)と各ピン43,46とが接触している。
【0037】
フレキシブル基板6は、基板収容部40において、導線9を介して各アクチュエータ10A,10B(
図3参照)のコイル13A,13Bに接続している。フレキシブル基板6と導線9とは、フレキシブル基板6の軸方向外側に面する面上の接合部6cにおいて、例えばはんだ等により接合されている。
図5に示すように、接合部6cは、シリコーン等の樹脂材料からなる被覆材8により覆われている。被覆材8は、フレキシブル基板6の軸方向外側に面する面と、基板収容部40におけるフレキシブル基板6以外の領域と、の両方にわたって塗布されている。
【0038】
図3に示すように、台板2の周壁部4の内側における開口部5よりも軸方向外側には、上述した各羽根23,24,28と、各羽根23,24,28と開口部5との間に配置された第1羽根受板21(羽根受板)と、各シャッタ羽根23,24と絞り羽根28との間に配置された第2羽根受板26と、各羽根23,24,28よりも軸方向外側に配置された押え板30と、が配置されている。
【0039】
第1羽根受板21は、例えば樹脂材料等により、矩形板状に形成されている。第1羽根受板21は、軸方向視で台板2の周壁部4の内形状よりも僅かに小さく形成されている。第1羽根受板21は、光軸P上に第1受板開口部22(受板開口部)を有する。第1受板開口部22の内径は、台板2の開口部5の内径よりも小さくなっている。また、第1羽根受板21には、台板2の基板収容部40に設けられた第1ピン43の小径部43bが挿通される貫通孔21aと、第2ピン44が配置される切欠部21bと、台板2の基板収容部40外に設けられたピン2a,2b,2c,2dが挿通される貫通孔21c,21d,21e,21fと、第1アクチュエータ10Aのロータ11Aに設けられた駆動ピン14Aの移動を逃すための逃げ孔21gと、第2アクチュエータ10Bのロータ11Bに設けられた駆動ピン14Bの移動を逃すための逃げ孔21hと、が形成されている。第1羽根受板21は、台板2の開口壁部7の先端部、リブ41A,41Bの先端部、第1ピン43の異径段差面43c、第3ピン45および第4ピン46の先端部に載置されている(
図4および
図5参照)。
【0040】
第2羽根受板26は、例えば樹脂材料等により、第1羽根受板21と略同一の矩形板状に形成されている。第2羽根受板26は、光軸P上に第2受板開口部27を有する。第2受板開口部27の内径は、第1羽根受板21の第1受板開口部22の内径と同等となっている。また、第2羽根受板26には、台板2の第1ピン43の小径部43bおよび第2ピン44が挿通される貫通孔26a,26bと、台板2のピン2a,2b,2c,2dが挿通される貫通孔26c,26d,26e,26fと、第1アクチュエータ10Aの駆動ピン14Aの移動を逃すための逃げ孔26gと、第2アクチュエータ10Bの駆動ピン14Bの移動を逃すための逃げ孔26hと、が形成されている。
【0041】
各シャッタ羽根23,24は、第1羽根受板21と第2羽根受板26との間に配置されている。各シャッタ羽根23,24は、台板2の開口部5を開閉する。第1シャッタ羽根23には、台板2のピン2aと係合する支持孔23aと、第1アクチュエータ10Aの駆動ピン14Aに係合するカム孔23bと、が形成されている。第2シャッタ羽根24には、台板2のピン2bと係合する支持孔24aと、第1アクチュエータ10Aの駆動ピン14Aに係合するカム孔24bと、が形成されている。各シャッタ羽根23,24は、第1アクチュエータ10Aのロータ11Aの駆動を受けて、それぞれピン2a,2b周りに同時に回動し、台板2の開口部5から退避した退避状態と開口部5を閉鎖する閉鎖状態との間を移行する。このとき、各シャッタ羽根23,24は、第1羽根受板21と第2羽根受板26との間において、軸方向に直交する面(作動面)に沿って回動する。
【0042】
各シャッタ羽根23,24は、退避状態および閉鎖状態において台板2に当接することで、回動位置が規制されている。具体的に、退避状態において、第1シャッタ羽根23は台板2の周壁部4に当接し、第2シャッタ羽根24は台板2の第1ピン43および第2ピン44に当接する。また、閉鎖状態において、第1シャッタ羽根23は台板2の第1ピン43に当接し、第2シャッタ羽根24は台板2の周壁部4に当接する。
【0043】
絞り羽根28は、台板2の開口部5の開口面積を規制する。絞り羽根28の基端部には、台板2のピン2cと係合する支持孔28aと、第2アクチュエータ10Bの駆動ピン14Bに係合するカム孔28bと、が形成されている。絞り羽根28の先端部は、幅広に形成されている。絞り羽根28は、第2アクチュエータ10Bのロータ11Bの駆動を受けて、ピン2c周りに回動し、第2羽根受板26の第2受板開口部27から退避した状態と、第2受板開口部27を覆う状態と、の間を移行する。このとき、絞り羽根28は、第2羽根受板26と押え板30との間において、軸方向に直交する面(作動面)に沿って回動する。絞り羽根28は、第2受板開口部27から退避した状態および第2受板開口部27を覆う状態において台板2に当接することで、回動位置が規制されている。具体的に、第2受板開口部27から退避した状態において、絞り羽根28は台板2の周壁部4に当接し、第2受板開口部27を覆う状態において、絞り羽根28は台板2のピン2dに当接する。
【0044】
絞り羽根28の先端部は、第2受板開口部27を覆う状態において、第2受板開口部27と完全に重なるように形成されている。また、絞り羽根28の先端部には、第2受板開口部27を覆う状態において、光軸Pを中心とするように設けられた小絞り孔29が形成されている。小絞り孔29の内径は、第2受板開口部27の内径よりも小さくなっている。絞り羽根28は、第2受板開口部27を覆う状態において、小絞り孔29により、第2受板開口部27を通過する光量を絞っている。
【0045】
押え板30は、軸方向から見て第1羽根受板21および第2羽根受板26と略同一の矩形状に形成されている。押え板30には、第1羽根受板21および第2羽根受板26と同様に、光軸Pを中心とするように形成された開口31と、台板2の第1ピン43の小径部43bおよび第2ピン44が挿通される貫通孔30a,30bと、台板2のピン2a,2b,2c,2dが挿通される貫通孔30c,30d,30e,30fと、第1アクチュエータ10Aの駆動ピン14Aの移動を逃すための逃げ孔30gと、第2アクチュエータ10Bの駆動ピン14Bの移動を逃すための逃げ孔30hと、が形成されている。開口31の内径は、各羽根受板21,26の各受板開口部22,27の内径と同等となっている。また、押え板30の外周縁には、台板2に係止される引掛部32が複数形成されている。これにより押え板30は、各羽根23,24,28および各羽根受板21,26が台板2の周壁部4の内側に配置された状態で、台板2の周壁部4の内側を覆っている。
【0046】
以下、本実施形態の羽根駆動装置1の作用について説明する。
フレキシブル基板6を台板2に取り付けるときには、フレキシブル基板6を周壁部4の間欠部4aを通じて基板収容部40内に配置し、挿通孔6a,6bにそれぞれ台板2の第1ピン43および第4ピン46を挿通させる。フレキシブル基板6は、台板2のベース部3に対して例えば両面テープで固定される。このとき、挿通孔6a,6bの内周縁と各ピン43,46とを接触させることで、台板2に対してフレキシブル基板6を位置決めすることができる。
【0047】
基板収容部40に配置されたフレキシブル基板6の接合部6cには、各アクチュエータ10A,10Bのコイル13A,13Bに接続された導線9がはんだにより接合される。さらに、基板収容部40内には、導線9が接合された接合部6cを覆うように、被覆材8が塗布される。このとき、被覆材8は、フレキシブル基板6と、基板収容部40におけるフレキシブル基板6以外の領域と、の両方にわたって塗布された状態とする。これにより、はんだやはんだに含まれるフラックスが異物として接合部6cから飛散することを防止できるとともに、フレキシブル基板6と台板2とをより強固に固定することができる。
【0048】
基板収容部40内に塗布された被覆材8は、流動性を有し、表面張力により濡れ広がる場合がある。この場合には、周壁部4の内壁面4bや、第1ピン43の外周面43d、第2ピン44の外周面44a(以下、「壁面4b,43d,44a」という。)を伝って軸方向外側に向かって濡れ広がるおそれがある。
【0049】
ここで一般に、流動性を有する物質は、表面張力により部材表面上を濡れ広がるとき、部材表面上に角部が形成されていると、角部を乗り越えて濡れ広がることが規制される。
本実施形態では、壁面4b,43d,44aには、軸方向における各シャッタ羽根23,24とフレキシブル基板6との間に、軸方向に直交する方向に沿って延在する角部4c,43e,44bが形成されている。このため、
図5に示すように、基板収容部40内でフレキシブル基板6上に塗布された被覆材8が、壁面4b,43d,44aの角部4c,43e,44bにおいて軸方向外側へ濡れ広がることを規制できる。これにより、被覆材8が各羽根23,24,28の作動面に進入することを防止できる。その結果、各羽根23,24,28の可動部(例えば第2シャッタ羽根24と台板2の第1ピン43および第2ピン44との当接部)に被覆材8が付着することを防止できる。したがって、各羽根23,24,28の動作不良を防止できる。
【0050】
しかも、壁面4b,43d,44aの角部4c,43e,44bにより被覆材8の軸方向の濡れ広がりを規制できるので、各羽根23,24,28をよりフレキシブル基板6に接近して配置することが可能となる。これにより、羽根駆動装置1の軸方向における寸法を小さくすることができる。したがって、小型な羽根駆動装置1とすることができる。
【0051】
また、壁面4b,43d,44aの角部4c,43e,44bは、第1羽根受板21とフレキシブル基板6との間に設けられているので、被覆材8が第1羽根受板21に接触することを防止できる。これにより、被覆材8が第1羽根受板21を伝って各羽根23,24,28の可動部に接触することを防止できる。
【0052】
また、台板2には、フレキシブル基板6に接触された第1ピン43が形成され、第1ピン43の外周面43dには、角部43eが形成されている。このため、フレキシブル基板6の台板2に対する位置決めを行うことができるとともに、第1ピン43の外周面43dを伝って被覆材8が各羽根23,24,28の作動面に濡れ広がることを防止できる。したがって、各羽根23,24,28の動作不良を防止できる。
【0053】
また、基板収容部40には、軸方向内側から外側に向かってリブ41A,41Bが立設されているので、基板収容部40内に塗布された被覆材8が基板収容部40外へ流れ出ることをリブ41A,41Bにより規制できる。
さらに、基板収容部40におけるベース部3は、基板収容部40外に対して、軸方向内側に向けて凹んでいるので、基板収容部40内に塗布された被覆材8が基板収容部40外へ流れ出ることをより確実に規制できる。
これにより、被覆材8の塗布範囲を規定できるとともに、基板収容部40外を伝って被覆材8が各羽根23,24,28の作動面に濡れ広がることを防止できる。したがって、各羽根23,24,28の動作不良を防止できる。
【0054】
また、各アクチュエータ10A,10Bが各羽根23,24,28の作動面と台板2との間に配置され、軸方向において被覆材8と同様に、羽根の作動面に進入していないため、各アクチュエータ10A,10Bが各羽根23,24,28の作動面よりも外側に配置される構成と比較して、各羽根23,24,28の動作不良を防止できると共に、羽根駆動装置1の軸方向における寸法を小さくすることができる。したがって、小型な羽根駆動装置1とすることができる。また、各アクチュエータ10A,10Bは、軸方向に直交する平面において、各羽根23,24,28の作動範囲と重なる構成となっているため、軸方向に直交する平面においても寸法を小さくすることができる。
【0055】
また、光学機器101は、上述した羽根駆動装置1を備えているので、各羽根23,24,28の動作不良を防止できる。しかも、被覆材8により、はんだやはんだに含まれるフラックスが接合部6cから異物として飛散することを防止できるので、異物の撮像素子への付着による画質の低下や、可動部への付着による動作不良等の不具合を防止できる。したがって、撮像性能の優れた光学機器101とすることができる。
【0056】
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態においては、被覆材8は、シリコーン等の樹脂材料により構成されているが、これに限定されず、例えばUV硬化性樹脂等であってもよい。ただし、自然硬化させることが可能なシリコーン等の樹脂材料のほうが、製造工程を簡略化できるという点で有利である。
【0057】
また、上記実施形態では、角部が周壁部4の内壁面4b、第1ピン43の外周面43d、および第2ピン44の外周面44aに設けられているが、これに限定されるものではない。例えば、角部は、第1ピン43の外周面43d、および第2ピン44の外周面44aのみに形成されていてもよいし、基板収容部40における開口壁部7の壁面等に形成されていてもよい。
【0058】
さらに、上記実施形態では、角部4c,43e,44bが断面視略直角に形成されているが、これに限定されず、角部は鈍角に形成されていてもよいし、鋭角に形成されていてもよい。
【0059】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。