(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記羽根位置保持部材は、前記進入位置において、前記第1幕が前記第1方向から見て前記開口部から退避した開領域で前記第1係止部に係止されることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の羽根駆動装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ミラーレス一眼カメラやデジタル一眼レフカメラに用いられるFPシャッタでは、電源オフ時等の無通電時に先幕及び後幕が開位置(開口部が全開した状態)にあることが求められる。この場合、上述した電磁駆動式のFPシャッタでは、電磁アクチュエータのディテントトルク(無通電状態での磁気吸引力)で先幕及び後幕の開位置を保持している。
【0006】
しかしながら、従来の電磁駆動式のFPシャッタでは、落下衝撃等によって先幕や後幕が閉方向に予期せず移動するおそれがあった。そのため、省電力化や小型化を図った上で、耐衝撃性を確保する点で未だ改善の余地があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みたものであって、省電力化や小型化を図った上で、耐衝撃性を確保できる羽根駆動装置及び光学機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様に係る羽根駆動装置は、開口部を有する基板と、前記開口部の開口面に沿って移動可能とされ、前記開口部を開閉する第1幕及び第2幕と、少なくとも前記第1幕の開閉動作に連動する第1係止部と、前記開口面に交差する第1方向に延びる第1軸線周りに回動可能に構成され、前記第1幕の開閉動作に伴う前記第1係止部の動作軌跡に進入して前記第1幕の閉方向への移動を規制する進入位置、及び前記動作軌跡から退避した退避位置の間を進退可能な羽根位置保持部材と、前記第1方向に延びるとともに前記第1軸線とは異なる第2軸線周りに回転可能に構成された電磁アクチュエータと、前記羽根位置保持部材及び前記電磁アクチュエータ間を接続するとともに、前記電磁アクチュエータの前記第2軸線周りの回転に伴い前記羽根位置保持部材を前記第1軸線周りに回動させる連係レバーと、を備え、前記羽根位置保持部材及び前記連係レバーは、前記連係レバーの前記第2軸線周りの回動方向で遊びを持って係合している。
【0009】
この構成によれば、羽根位置保持部材及び連係レバーが連係レバーの第2軸線周りの回動方向で遊びを持って係合しているため、連係レバーの回動時において、連係レバーと羽根位置保持部材が係合するまでの間は、連係レバーが羽根位置保持部材に対して空走することになる。そのため、電磁アクチュエータに作用する負荷トルクを低減できる。これにより、電磁アクチュエータの小型化を図り、羽根駆動装置の省電力化を図ることができる。なお、羽根位置保持部材及び連係レバーが連係レバーの第2軸線周りの回動方向で遊びを持って係合しているため、羽根位置保持部材を電磁アクチュエータの回転動作に連動させる場合に比べて電磁アクチュエータの作動角に対する羽根位置保持部材の回動範囲を小さくできる。これにより、電磁アクチュエータの選択の自由度を向上させることができるとともに、電磁アクチュエータの作動角に対して羽根位置保持部材を所望の回動範囲に設定し易くなる等、設計の自由度を向上させることができる。
そして、本態様では、羽根位置保持部材が、進入位置において第1係止部に係止可能とされて第1幕の閉方向への移動を規制するため、落下衝撃等によって第1幕が閉方向に予期せず移動するのを抑制できる。これにより、第1幕を開位置で保持するために電磁アクチュエータのディテントトルクを大きくする必要がない。そのため、小型化、シャッタ動作の高速化及び耐衝撃性を実現できる。
【0010】
上記態様において、前記連係レバーは、前記羽根位置保持部材のガイド孔内に遊挿された連係ピンを備え、前記ガイド孔の内周面は、前記連係レバーの前記第2軸線周りの一方への回動に伴い前記連係ピンが係合する第1係合部と、前記連係レバーの前記第2軸線周りの他方への回動に伴い前記連係ピンが係合する第2係合部と、を有し、前記ガイド孔内において、前記第2軸線周りの前記連係レバーの回動方向で前記連係ピンと、前記第1係合部及び前記第2係合部との間の隙間は、前記連係レバーの前記第2軸線周りの回動に伴い前記羽根位置保持部材に対して前記連係ピンが空走する空走領域を構成していてもよい。
この構成によれば、連係レバーが第1係合部に係合された状態から第2軸線周りの一方へ回動する際は、空走領域を通過した後、第2係合部に係合することで、連係レバーと羽根位置保持部材とが一体で回動することになる。また、連係レバーが第2係合部に係合された状態から第2軸線周りの他方へ回動する際は、空走領域を通過した後、第1係合部に係合することで、連係レバーと羽根位置保持部材とが一体で回動することになる。これにより、上述した作用効果がより奏功される。
【0011】
上記態様において、前記ガイド孔の内周面は、前記第2軸線の径方向で前記連係レバーとの接触を回避する逃げ部を有していてもよい。
この構成によれば、ガイド孔の内周面が第2軸線の径方向で連係レバーとの接触を回避する逃げ部を有しているため、電磁アクチュエータに作用する負荷トルクを確実に低減できる。
【0012】
上記態様において、前記羽根位置保持部材を前記退避位置に向けて付勢する付勢部材を有していてもよい。
この構成によれば、羽根位置保持部材のがたつきを抑制できる。そのため、羽根位置保持部材が予期せず進入位置に進入してシャッタ動作等が羽根位置保持部材により阻害されるのを抑制できる。
【0013】
上記態様において、前記羽根位置保持部材は、前記進入位置において、前記第1幕が前記第1方向から見て前記開口部から退避した開領域で前記第1係止部に係止されてもよい。
この構成によれば、第1幕が開口部内に進入するのを確実に抑制できるので、例えば光学機器のモニタに第1幕が写り込むのを確実に抑制できる。
【0014】
上記態様において、前記第1幕及び前記第2幕は、複数枚の羽根をそれぞれ有し、複数枚の前記羽根は、前記開口部の開口方向から見てそれぞれ重なり合う重畳状態で前記開口部から退避して前記第1幕及び前記第2幕が開位置になり、前記開口方向から見てそれぞれ展開する展開状態で前記開口部を閉塞して前記第1幕及び前記第2幕が閉位置になってもよい。
この構成によれば、開位置において、複数枚の羽根が重畳状態で保持されるので、例えば1枚の羽根で開口部を開閉する場合に比べて各羽根の小型化を図ることができる。
【0015】
上記態様において、前記第2幕の開閉動作に連動する第2係止部を備え、前記羽根位置保持部材は、前記進入位置において、前記第1幕の開閉動作に伴う前記第1係止部の動作軌跡、及び前記第2幕の開閉動作に伴う前記第2係止部の動作軌跡の双方に進入して、前記第1幕及び前記第2幕の閉方向への移動を規制してもよい。
この構成によれば、羽根位置保持部材が進入位置において第1幕係止部及び第2幕係止部の双方に係止可能とされているため、落下衝撃等によって第1幕及び第2幕が閉方向に予期せず移動するのを抑制できる。これにより、第1幕及び第2幕を開位置で保持するために電磁アクチュエータのディテントトルクを大きくする必要がない。そのため、小型化、シャッタ動作の高速化及び耐衝撃性を実現できる。
しかも、第1幕及び第2幕の閉方向への移動を1つの羽根位置保持部材により規制できるので、第1幕及び第2幕それぞれに羽根位置保持部材を設ける場合に比べて羽根駆動装置の小型化を図ることができる。
【0016】
また、本発明の一態様に係る光学機器は、上記態様に係る羽根駆動装置を備えていることを特徴とする。
この構成によれば、上記態様に係る羽根駆動装置を備えているので、耐衝撃性を確保した上で、小型で省電力な光学機器を提供できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様によれば、耐衝撃性を確保した上で、小型で省電力な羽根駆動装置及び光学機器を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[光学機器]
図1は、光学機器1のブロック図である。
図1に示すように、光学機器1は、例えばミラーレス一眼カメラやデジタル一眼レフカメラ等として用いられる。光学機器1は、FPシャッタ(羽根駆動装置)2と、制御部3と、撮像素子4と、を備えている。
【0020】
制御部3は、光学機器1の全体の動作を司る。制御部3は、例えばCPUやROM、RAM等を備えている。
撮像素子4は、例えばCCDやCMOSイメージセンサ等である。撮像素子4は、光により形成された被写体像を電気信号に変換する。
なお、光学機器1は、焦点距離を調整するためのレンズ(不図示)等も備えている。
【0021】
<FPシャッタ>
図2は、FPシャッタ2において、羽根位置保持機構13が進入位置にある状態を示す平面図である。
図2に示すように、FPシャッタ2は、基板10と、先幕機構11と、後幕機構12と、羽根位置保持機構13と、を主に有している。
基板10は、基板10を光軸P方向に貫通する開口部15が形成されている。基板10は、基板10に対して光軸P方向の一方に配置された羽根受板(不図示)との間に、セクタ領域を画成している。なお、羽根受板には、光軸P方向から見た平面視で開口部15と同形状の開口部(不図示)が形成されている。また、基板10は、基板10に対して光軸P方向の他方に配置された駆動受板16との間に、駆動領域を画成している。図中では、セクタ領域に配置された部材を二点鎖線で示し、駆動領域に配置された部材を実線又は破線で示している。
【0022】
(先幕機構)
先幕機構11は、いわゆる平行リンクによって光軸P方向に沿って延びる先幕軸線O1周りの回動運動を光軸Pに直交する方向(
図2に示すX方向)のスライド移動に変換して、開口部15を開閉する。具体的に、先幕機構11は、先幕電磁アクチュエータ21と、先幕駆動レバー22と、先幕アーム(第1先幕アーム23及び第2先幕アーム24)と、先幕25と、を有している。なお、先幕機構11のうち、先幕電磁アクチュエータ21及び先幕駆動レバー22は、上述した駆動領域に配置されている。一方、先幕アーム23,24及び先幕25は、上述したセクタ領域に配置されている。
【0023】
先幕電磁アクチュエータ21は、先幕ステータ31と、先幕ロータ32と、を有している。
先幕ステータ31は、平面視でU字状に形成されている。先幕ステータ31には、先幕ステータ31を励磁するための先幕コイル33が装着されている。
先幕ロータ32は、先幕ステータ31の内側に収容されている。先幕ロータ32は、光軸P方向に沿って延びる先幕軸線O1周りに回転可能に構成されている。なお、先幕ロータ32の回転軸32aは、基板10を貫通してセクタ領域を臨んでいる。
【0024】
先幕駆動レバー22は、先幕ロータ32の回転に伴い先幕軸線O1周りに回動する。具体的に、先幕駆動レバー22は、光軸P方向に直交する方向に延在している。先幕駆動レバー22の基端部は、先幕ロータ32の回転軸32aに連結されている。先幕駆動レバー22の先端部には、光軸P方向の一方に延びる先幕連結ピン35が突設されている。先幕連結ピン35は、基板10に形成されたガイド溝37を通じてセクタ領域を臨んでいる。ガイド溝37は、先幕軸線O1周りの周方向に沿って延びる円弧状に形成されている。すなわち、先幕駆動レバー22の回動に伴い上述した先幕連結ピン35がガイド溝37内を移動することで、先幕駆動レバー22の回動範囲が規定されている。
【0025】
第1先幕アーム23は、光軸P方向に直交する方向に延在している。第1先幕アーム23の基端部は、上述した先幕連結ピン35及び先幕ロータ32の回転軸32aに回動可能に連結されている。すなわち、第1先幕アーム23は、先幕ロータ32の回転に伴い先幕軸線O1周りに回転可能に構成されている。
第2先幕アーム24は、光軸P方向に直交する方向に第1先幕アーム23に倣って延在している。第2先幕アーム24の基端部は、基板10から光軸P方向の一方に突出する支持ピン39周りに回動可能に支持されている。
【0026】
先幕25は、複数枚(例えば、4枚)の羽根25a〜25dを有している。各羽根25a〜25dは、平面視において、X方向に直交する方向(
図2中のY方向)に延在している。各羽根25a〜25dの基端部は、上述した第1先幕アーム23及び第2先幕アーム24の双方にそれぞれ回動可能に連結されている。各羽根25a〜25dは、先幕電磁アクチュエータ21の駆動に伴い、平面視で重なり合う重畳状態と、平面視で展開した展開状態(
図3参照)と、の間を移行する。重畳状態において、各羽根25a〜25dが開口部15に対してX方向の一方に退避することで、先幕25が開位置となる。
【0027】
図3は、FPシャッタ2において、先幕25が閉位置にある場合を示す平面図である。
図3に示す展開状態において、各羽根25a〜25dが開口部15を光軸P方向の一方から覆うことで、先幕25が閉位置となる。先幕25は、先幕電磁アクチュエータ21のディテントトルクによって開位置及び閉位置で無通電保持されるようになっている。本実施形態では、光学機器1の電源オフ時において、先幕25がディテントトルクによって開位置で無通電保持される。
【0028】
(後幕機構)
図2に示すように、後幕機構12は、先幕機構11に対してX方向の他方に配置されている。後幕機構12は、上述した先幕機構11と同様に、いわゆる平行リンクによって光軸P方向に沿って延びる後幕軸線O2周りの回動運動をX方向のスライド移動に変換して、開口部15を開閉する。なお、後幕機構12は、X方向に直交する面に対して先幕機構11と面対称に形成されている。したがって、以下の説明では、先幕機構11と同様の構成については、説明を簡略化する。
【0029】
後幕機構12は、後幕電磁アクチュエータ51と、後幕駆動レバー52と、後幕アーム(第1後幕アーム53及び第2後幕アーム54)と、後幕55と、を有している。
後幕電磁アクチュエータ51は、後幕ステータ61と、後幕ロータ62と、を有している。
後幕ステータ61には、後幕ステータ61を励磁するための後幕コイル63が装着されている。
後幕ロータ62は、後幕ステータ61の内側に収容されている。後幕ロータ62は、光軸P方向に沿って延びる後幕軸線O2周りに回転可能に構成されている。なお、後幕ロータ62の回転軸62aは、基板10を貫通してセクタ領域を臨んでいる。
【0030】
後幕駆動レバー52は、後幕ロータ62に連結され、後幕ロータ62の回転に伴い後幕軸線O2周りに回動する。後幕駆動レバー52の先端部には、光軸P方向の一方に延びる後幕連結ピン65が突設されている。後幕連結ピン65は、基板10に形成されたガイド溝66を通じてセクタ領域を臨んでいる。
【0031】
第1後幕アーム53は、基端部が上述した後幕連結ピン65及び後幕ロータ62の回転軸62aに連結されている。
第2後幕アーム54は、基端部が基板10から光軸P方向の一方に突出する支持ピン69周りに回動可能に支持されている。
【0032】
後幕55は、複数枚(例えば、4枚)の羽根55a〜55dを有している。各羽根55a〜55dの基端部は、上述した第1後幕アーム53及び第2後幕アーム54の双方にそれぞれ回動可能に連結されている。各羽根55a〜55dは、後幕電磁アクチュエータ51の駆動に伴い、平面視で重なり合う重畳状態と、平面視で展開した展開状態(
図4参照)と、の間を移行する。重畳状態において、各羽根55a〜55dが開口部15に対してX方向の他方に退避することで、後幕55が開位置となる。
【0033】
図4は、FPシャッタ2において、後幕55が閉位置にある場合を示す平面図である。
図4に示す展開状態において、各羽根55a〜55dが開口部15を光軸P方向の一方から覆うことで、後幕55が閉位置となる。後幕55は、後幕電磁アクチュエータ51のディテントトルクによって開位置及び閉位置で無通電保持されるようになっている。本実施形態では、光学機器1の電源オフ時において、後幕55がディテントトルクによって開位置で無通電保持される。なお、先幕25及び後幕55の羽根25a〜25d,55a〜55dの枚数等は、4枚に限らず、適宜変更が可能である。
【0034】
ここで、
図2に示すように、上述した先幕駆動レバー22及び後幕駆動レバー52の基端部には、先幕係止部67及び後幕係止部68が先幕駆動レバー22及び後幕駆動レバー52それぞれに一体で形成されている。
先幕係止部67は、先幕駆動レバー22の基端部からX方向の他方に向けて突出している。先幕係止部67は、平面視で三角形状に形成されている。具体的に、先幕係止部67は、先幕軸線O1周りの周方向のうち、先幕駆動レバー22の閉方向を向く面(以下、「係止面67a」という。)が先幕軸線O1の径方向に沿って延びる平坦面に形成されている。一方、先幕係止部67は、先幕軸線O1周りの周方向のうち、先幕駆動レバー22の開方向を向く面が開方向に向かう従い先幕軸線O1の径方向への突出量が漸次小さくなる傾斜面とされている。
【0035】
後幕係止部68は、後幕駆動レバー52の基端部からX方向の一方に向けて突出している。後幕係止部68は、平面視で三角形状に形成されている。具体的に、後幕係止部68は、後幕軸線O2周りの周方向のうち、後幕駆動レバー52の閉方向を向く面(以下、「係止面68a」という。)が後幕軸線O2の径方向に沿って延びる平坦面に形成されている。一方、後幕係止部68は、後幕軸線O2周りの周方向のうち、開方向を向く面が開方向に向かうに従い後幕軸線O2の径方向への突出量が漸次小さくなる傾斜面とされている。なお、先幕係止部67及び後幕係止部68は、先幕駆動レバー22及び後幕駆動レバー52それぞれに対して別体で形成されていても構わない。
【0036】
(羽根位置保持機構)
羽根位置保持機構13は、X方向において上述した先幕機構11及び後幕機構12の間に配置されている。羽根位置保持機構13は、例えば光学機器1の電源オフ時において、上述した先幕機構11及び後幕機構12の閉方向への移動を規制する。具体的に、羽根位置保持機構13は、規制電磁アクチュエータ71と、連係レバー72と、規制レバー73と、を主に有している。なお、羽根位置保持機構13は、上述した駆動領域に配置されている。
【0037】
図5は、FPシャッタ2において、羽根位置保持機構13が進入位置にある状態を示す拡大平面図である。
図5に示すように、規制電磁アクチュエータ71は、規制ステータ75と、規制ロータ76と、を有している。
規制ステータ75は、光軸P方向に延びる筒状に形成されている。規制ステータ75には、規制ステータ75を励磁するための規制コイル(不図示)が装着されている。
規制ロータ76は、規制ステータ75の内側に収容されている。規制ロータ76は、光軸P方向に沿って延びる規制軸線O3周りに回転可能に構成されている。なお、規制電磁アクチュエータ71の出力は、上述した先幕電磁アクチュエータ21及び後幕電磁アクチュエータ51の出力よりも小さくなっている。但し、各アクチュエータ21,51,71の出力は、適宜変更が可能である。
【0038】
連係レバー72は、規制ロータ76の回転に伴い規制軸線O3周りに回動する。具体的に、連係レバー72は、光軸Pに直交する方向のうちY方向の一方(規制軸線O3の径方向で規制軸線O3から離間する方向)に向けて延在している。連係レバー72の基端部は、規制ロータ76の回転軸76aに連結されている。連係レバーの先端部には、光軸P方向の一方に延びる連係ピン81が突設されている。
【0039】
規制レバー73は、上述した規制電磁アクチュエータ71に対してY方向の一方に配置されている。規制レバー73は、ベース部82と、先幕規制部83と、後幕規制部84と、を備えている。
ベース部82は、基板10から光軸P方向の他方に突出する支持ピン85に、光軸P方向に沿って延びるレバー軸線O4周りに回動可能に支持されている。本実施形態において、上述した先幕機構11及び後幕機構12は、平面視でレバー軸線O4を通りY方向に延びる対称線に対して線対称となる位置に配置されている。なお、先幕機構11及び後幕機構12の位置は、適宜変更が可能であり、例えば平面視で規制軸線O3を通りY方向に延びる対称線に対して線対称となる位置に配置されてもよい。
【0040】
先幕規制部83は、ベース部82からX方向の一方に向けて突出している。先幕規制部83は、規制レバー73の回動に伴い、上述した先幕係止部67の動作軌跡に進入した進入位置(
図5参照)と、先幕係止部67の動作軌跡から退避した退避位置(
図6参照)と、の間を移動する。具体的に、先幕規制部83は、進入位置において、先幕駆動レバー22の閉方向で先幕係止部67に対向する。先幕規制部83のうち、レバー軸線O4周りの周方向で進入位置を向く面(以下、「規制面83a」という。)は、先幕係止部67の係止面67aに当接可能な平坦面に形成されている。すなわち、先幕規制部83は、規制レバー73の進入位置において、先幕機構11(先幕駆動レバー22)の先幕係止部67が当接することで、先幕25の閉方向への移動を規制する。なお、先幕規制部83は、平面視で先幕25が開口部15に差し掛かる前(平面視で先幕25が開口部15から退避した開領域)に先幕係止部67に当接するように構成されている。
先幕規制部83のうち、レバー軸線O4周りの周方向で退避位置を向く面は、先幕規制部83の先端部に向かうに従い先幕規制部83の幅が漸次細くなる傾斜面に形成されている。
【0041】
図6は、FPシャッタ2において、羽根位置保持機構13が退避位置にある状態を示す拡大平面図である。
図6に示すように、先幕規制部83は、退避位置において、上述した先幕係止部67の動作軌跡に対してX方向の他方に位置している。すなわち、先幕規制部83は、規制レバー73の退避位置において、先幕機構11(先幕駆動レバー22)の閉方向への移動を許容する。
【0042】
図5に示すように、後幕規制部84は、ベース部82からX方向の他方に向けて突出している。後幕規制部84は、規制レバー73の回動に伴い、上述した後幕係止部68の動作軌跡に進入した進入位置(
図5参照)と、後幕係止部68の動作軌跡から退避した退避位置(
図6参照)と、の間を移動する。具体的に、後幕規制部84は、進入位置において、後幕駆動レバー52の閉方向で後幕係止部68に対向する。後幕規制部84のうち、レバー軸線O4周りの周方向で退避位置を向く面(以下、「規制面84a」という。)は、後幕係止部68の係止面68aに当接可能な平坦面に形成されている。すなわち、後幕規制部84は、規制レバー73の進入位置において、後幕機構12(後幕駆動レバー52)の後幕係止部68が当接することで、後幕55の閉方向への移動を規制する。なお、後幕規制部84は、平面視で後幕55が開口部15に差し掛かる前(平面視で後幕55が開口部15から退避した開領域)に後幕係止部68に当接するように構成されている。
【0043】
後幕規制部84のうち、レバー軸線O4周りの周方向で進入位置を向く面は、後幕規制部84の先端部に向かうに従い先幕規制部83の幅が漸次細くなる傾斜面に形成されている。
図6に示すように、後幕規制部84は、退避位置において、上述した後幕係止部68の動作軌跡に対してX方向の一方に位置している。すなわち、後幕規制部84は、規制レバー73の退避位置において、後幕機構12(後幕駆動レバー52)の閉方向への移動を許容する。なお、規制レバー73は、規制電磁アクチュエータ71のディテントトルクによって進入位置及び退避位置のそれぞれで無通電保持されるようになっている。本実施形態では、光学機器1の電源オフ時において、規制レバー73がディテントトルクによって進入位置で無通電保持される。
【0044】
基板10と規制レバー73との間には、規制レバー73を退避位置(レバー軸線O4周りの周方向における一方)に向けて付勢する付勢部材86が介在している。
基板10には、規制レバー73の回動範囲を規定する第1規制ピン87及び第2規制ピン88が設けられている。第1規制ピン87は、先幕規制部83がレバー軸線O4周りの周方向における一方から当接可能に構成されている。第1規制ピン87は、レバー軸線O4周りの周方向における一方への規制レバー73の回動を規制し、規制レバー73を退避位置で位置決めする。
第2規制ピン88は、後幕規制部84がレバー軸線O4周りの周方向における他方から当接可能に構成されている。第2規制ピン88は、レバー軸線O4周りの周方向における他方への規制レバー73の回動を規制し、規制レバー73を進入位置で位置決めする。なお、各規制ピン87,88は、規制レバー73の回動範囲を規定する構成であれば、必ずしも先幕規制部83や後幕規制部84に当接する必要はない。
【0045】
図5に示すように、上述したベース部82には、連係ピン81が遊挿されたガイド孔91が形成されている。ガイド孔91は、規制軸線O3周りの周方向に沿って延びる円弧状の長孔である。具体的に、ガイド孔91の内周面のうち、連係ピン81に対してY方向の一方に位置する面は、平面視でV字状のガイド面92を構成している。ガイド面92のうち、規制軸線O3周りの周方向における中央部は、連係レバー72の回動に伴う連係ピン81の回動軌跡Lに対してY方向の一方に退避した逃げ部93を構成している。一方、ガイド面92のうち、規制軸線O3周りの周方向で逃げ部93の両側に連なる部分は、連係レバー72の回動時に連係ピン81が摺接する第1摺接部94及び第2摺接部95を構成している。摺接部94,95は、規制軸線O3周りの周方向で逃げ部93から離間するに従いY方向の他方(規制軸線O3の径方向で規制軸線O3に接近する方向)に延在している。
【0046】
ガイド孔91の内周面のうち、規制軸線O3周りの周方向の一方で第1摺接部94に連なる部分は、規制軸線O3周りの周方向で連係ピン81に対向する第1当接部96を構成している。第1当接部96は、第1摺接部94からY方向の他方に向けて延在している。
ガイド孔91の内周面のうち、規制軸線O3周りの周方向の他方で第2摺接部95に連なる部分は、規制軸線O3周りの周方向で連係ピン81に対向する第2当接部97を構成している。第2当接部97は、第2摺接部95からY方向の他方に向けて延在している。このように、連係ピン81は、規制軸線O3周りの周方向(連係レバー72の回動方向)で遊びを持ってガイド孔91内に配置されている。そのため、本実施形態のガイド孔91において、規制軸線O3周りの周方向で連係ピン81と、摺接部94,95及び当接部96,97との間の隙間は、連係レバー72の規制軸線O3周りの回動に伴い規制レバー73に対して連係ピン81が空走する空走領域を構成している。なお、ガイド孔91の内周面のうち、連係ピン81に対してY方向の他方に位置する面についても、連係ピン81に対してY方向の他方に離間した逃げ部99を構成している。
【0047】
[作用]
次に、本実施形態の作用を説明する。以下の説明では、光学機器1の起動動作及び停止動作、シャッタ動作、並びに衝撃入力時の動作について説明する。なお、以下の説明では、
図2に示す電源オフ時を初期状態とする。すなわち、電源オフ時において、先幕25及び後幕55は、各電磁アクチュエータ21,51のディテントトルクによって何れも開位置で無通電保持されている。また、電源オフ時において、規制レバー73はディテントトルクによって進入位置で無通電保持されている。
【0048】
<起動動作及び停止動作>
図2、
図5に示すように、起動動作では、光学機器1が電源オフの状態で、光学機器1の電源ボタン(不図示)を押す。すると、規制電磁アクチュエータ71の規制コイル(不図示)が通電されることで、規制ロータ76が規制軸線O3周りの一方(反時計回り)に向けて回転する。規制ロータ76の回転に伴い連係レバー72が規制軸線O3周りの一方に回動すると、連係ピン81がガイド孔91内を規制軸線O3周りの一方に向けて移動する。すると、連係ピン81が第2摺接部95や第2当接部97から離間し、連係ピン81が第1摺接部94や第1当接部96に向けてガイド孔91内を空走する。
【0049】
図7は、FPシャッタ2において、羽根位置保持機構13が退避位置にある状態を示す平面図である。
図6、
図7に示すように、連係ピン81が第2摺接部95や第2当接部97から離間すると、規制レバー73は付勢部材86の付勢力によって退避位置に向けてレバー軸線O4周りの一方に向けて回動する。その後、規制レバー73(先幕規制部83)がレバー軸線O4周りの周方向における一方から第1規制ピン87に当接することで、規制レバー73の回動が停止する。
これにより、規制レバー73が
図7に示す退避位置となる。退避位置では、上述した先幕機構11及び後幕機構12の閉方向への移動(シャッタ動作)が許容される。
【0050】
なお、規制レバー73が退避位置に移動する過程において、連係ピン81は逃げ部93を通過した後、第1摺接部94に摺接しながら規制レバー73とともに回動する。そして、規制レバー73が退避位置にあるとき、付勢部材86の付勢力や、連係ピン81がガイド孔91の第1摺接部94や第1当接部96に当接することで、規制レバー73の進入位置への移動が規制されている。
【0051】
停止動作では、光学機器1が電源オンの状態で、光学機器1の電源ボタンを押す。すると、規制ロータ76が規制軸線O3周りの他方(時計回り)に回転することで、連係レバー72が規制軸線O3周りの他方に回動する。このとき、連係ピン81がガイド孔91内を規制軸線O3周りの他方に向けて移動することで、連係ピン81が第1摺接部94や第1当接部96から離間し、連係ピン81が第2摺接部95や第2当接部97に向けてガイド孔91内を空走する。
【0052】
その後、連係ピン81がガイド孔91の逃げ部93を通過した後、第2摺接部95上を摺接することで、規制レバー73が連係レバー72とともに回動する。この際、規制レバー73は、付勢部材86の付勢力に抗して進入位置に向けてレバー軸線O4周りに回動する。その後、規制レバー73(後幕規制部84)がレバー軸線O4周りの周方向における他方から第2規制ピン88に当接することで、規制レバー73の回動が停止する。そして、規制レバー73が進入位置で停止した際、連係ピン81がガイド孔91の第2摺接部95や第2当接部97に当接することで、規制レバー73の退避位置への移動が規制されている。
【0053】
<シャッタ動作>
撮影時は、光学機器1が電源オンの状態で、レリーズボタン(不図示)を押すと、先幕25が閉位置に向けて移動する。具体的には、先幕電磁アクチュエータ21の先幕コイル33が通電されることで、先幕ロータ32が先幕軸線O1周りの一方(反時計回り)に回転する。これにより、
図3に示すように、先幕25が閉方向(X方向の他方)にスライド移動することで、各羽根25a〜25dが展開状態となる。その結果、先幕25が閉位置となり、開口部15が先幕25によって閉塞される。
【0054】
図8は、FPシャッタ2において、露光動作中を示す平面図である。
続いて、
図8に示す露出動作を行う。具体的には、先幕コイル33の通電方向を切り替え、先幕ロータ32を先幕軸線O1周りの他方(時計回り)に回転させる。すると、先幕25が開方向(X方向の一方)に向けてスライド移動する。先幕25の移動開始から所定時間の経過後、後幕55を閉位置に向けて移動させる。具体的には、先幕25の動作方法と同様に、後幕電磁アクチュエータ51の後幕コイル63に通電することで、後幕ロータ62が後幕軸線O2周りの一方(時計回り)に回転する。これにより、後幕55が先幕25との間に隙間をあけた状態で、閉方向(X方向の一方)に向けてスライド移動する。このとき、先幕25と後幕55との間の隙間を光が通過することで、撮像素子4が露光される。そして、先幕25が開位置になり、後幕55が閉位置になることで露出動作が完了する。
【0055】
露出動作の完了後、後幕コイル63の通電方向を切り替え、後幕ロータ62を後幕軸線O2周りの他方(反時計回り)に回転させる。すると、後幕55がX方向の他方に向けてスライド移動することで、後幕55が開位置に戻る。
以上により、シャッタ動作が終了する。
【0056】
<衝撃入力時>
続いて、光学機器1が電源オフの状態において、落下等による衝撃荷重が光学機器1に入力された場合のFPシャッタ2の動作について説明する。なお、以下の説明では、先幕25が下方を向いた状態で光学機器1が落下した場合を例にして説明する。
まず、
図2に示すように、光学機器1が電源オフの状態では、先幕25及び後幕55がともに開位置にあり、羽根位置保持機構13の規制レバー73が進入位置にある。この状態で、光学機器1に衝撃荷重が入力されると、先幕25が閉方向(X方向の他方)に向けて予期せずスライド移動しようとする。そして、先幕25のスライド移動に伴い、先幕ロータ32や先幕駆動レバー22が先幕軸線O1周りの一方に向けて回動しようとする。
【0057】
すると、
図5に示すように、先幕駆動レバー22の先幕係止部67(係止面67a)が先幕規制部83(規制面83a)に先幕軸線O1周りの他方から当接する。これにより、先幕駆動レバー22の先幕軸線O1周りの一方への回動が規制されることで、先幕25の閉方向へのスライド移動が規制される。
【0058】
また、光学機器1に衝撃荷重が入力されると、その慣性によって後幕55が閉方向(X方向の一方)に向けて予期せずスライド移動しようとする。そして、後幕55のスライド移動に伴い、後幕ロータ62や後幕駆動レバー52が後幕軸線O2周りの一方に向けて回動しようとする。すると、後幕駆動レバー52の後幕係止部68(係止面68a)が後幕規制部84(規制面84a)に後幕軸線O2周りの他方から当接する。これにより、後幕駆動レバー52の後幕軸線O2周りの一方への回動が規制されることで、後幕55の閉方向へのスライド移動が規制される。その結果、先幕25及び後幕55が平面視で開口部15に進入するのを抑制できる。なお、先幕25及び後幕55は、羽根位置保持機構13によってX方向へのスライド移動が規制された後、各電磁アクチュエータ21,51のディテントトルクによって初期状態に復帰する。
【0059】
ここで、先幕25及び後幕55は、電磁アクチュエータ21,51が互いに逆回転することで、それぞれ閉方向にスライド移動する。この場合、上述した衝撃荷重の入力時において、先幕25(先幕係止部67)は、レバー軸線O4周りの周方向で他方から先幕規制部83に当接することで、規制レバー73がレバー軸線O4周りの一方に向けて回動しようとする。また、後幕55(後幕係止部68)は、レバー軸線O4周りの周方向で一方から後幕規制部84に当接することで、規制レバー73がレバー軸線O4周りの他方に向けて回動しようとする。そのため、先幕係止部67が先幕規制部83に当接したことによる規制レバー73の退避位置に向けた回動動作が、後幕係止部68が後幕規制部84に当接したことによる規制レバー73の進入位置に向けた回動動作によってキャンセルされる。そのため、規制レバー73は、進入位置を維持し易くなる。
【0060】
なお、光学機器1に入力された衝撃荷重が小さい場合等、例えば先幕25のみが閉方向に移動しようとする場合がある。この場合には、規制レバー73が退避位置まで移動してしまうような衝撃荷重が入力されたとは考え難い。そのため、仮に規制レバー73が退避位置に向けて回動しようとしても、規制レバー73は規制電磁アクチュエータ71のディテントトルクによって進入位置に留まる。
【0061】
このように、本実施形態では、規制レバー73のガイド孔91内に、連係レバー72の連係ピン81が遊挿(遊びを持って係合)された構成とした。
この構成によれば、連係レバー72の回動時において、連係ピン81が摺接部94,95及び当接部96,97に接触するまでの間は、連係ピン81がガイド孔91内を空走することになる。そのため、規制電磁アクチュエータ71に作用する負荷トルクを低減できる。これにより、規制電磁アクチュエータ71の小型化を図り、FPシャッタ2の省電力化を図ることができる。なお、本実施形態では、連係ピン81がガイド孔91内に遊挿されているため、連係レバー72を規制電磁アクチュエータ71の回転動作に連動させる場合に比べて規制電磁アクチュエータ71の作動角に対する規制レバー73の回動範囲を小さくできる。これにより、規制電磁アクチュエータ71の選択の自由度を向上させることができるとともに、規制電磁アクチュエータ71の作動角に対して規制レバー73を所望の回動範囲に設定し易くなる等、設計の自由度を向上させることができる。
【0062】
そして、本実施形態では、規制レバー73が、進入位置において先幕係止部67及び後幕係止部68の双方に係止可能とされて先幕25及び後幕55の閉方向への移動を規制する構成とした。
この構成によれば、落下衝撃等によって先幕25及び後幕55が閉方向に予期せず移動するのを抑制できる。これにより、先幕25及び後幕55を開位置で保持するために電磁アクチュエータ21,51のディテントトルクを大きくする必要がない。そのため、小型化、シャッタ動作の高速化及び耐衝撃性の実現できる。
【0063】
本実施形態では、ガイド孔91が連係ピン81との接触をY方向で回避する逃げ部93を有しているため、規制電磁アクチュエータ71に作用する負荷トルクを確実に低減できる。
【0064】
本実施形態では、規制レバー73を退避位置に向けて付勢する付勢部材86を有しているため、規制レバー73のがたつきを抑制できる。そのため、規制レバー73が予期せず進入位置に進入してシャッタ動作等が規制レバー73により阻害されるのを抑制できる。
【0065】
本実施形態では、先幕25及び後幕55が平面視で開口部15内に進入するのを確実に抑制できるので、例えば光学機器1のモニタ(不図示)に先幕25や後幕55が写り込むのを確実に抑制できる。また、先幕25及び後幕55の移動量を小さくできるので、先幕25及び後幕55が衝撃荷重等により閉方向に移動した場合であっても、ディテントトルクによって初期状態に復帰し易くなる。
【0066】
本実施形態では、先幕25及び後幕55の閉方向への移動を1つの羽根位置保持機構13により規制できるので、先幕25及び後幕55それぞれに羽根位置保持機構を設ける場合に比べてFPシャッタ2の小型化を図ることができる。
【0067】
本実施形態では、先幕25及び後幕55がそれぞれ複数枚の羽根25a〜25d,55a〜55dをそれぞれ有する構成とした。
この構成によれば、開位置において、複数枚の羽根25a〜25d,55a〜55dが重畳状態で保持されるので、例えば1枚の羽根で開口部15を開閉する場合に比べて各羽根の小型化を図ることができる。
【0068】
そして、本実施形態の光学機器1では、上述したFPシャッタ2を備えているので、耐衝撃性を確保した上で、小型で省電力な光学機器1を提供できる。
【0069】
なお、本発明の技術範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上述した実施形態では、駆動レバー22,52に係止部67,68を設けた場合について説明したが、この構成のみに限られない。例えば、アーム23,24,53,54や羽根25a〜25d,55a〜55d等、先幕25及び後幕55に連動する部材に係止部67,68が設けられていれば構わない。
上述した実施形態では、先幕25及び後幕55が開口部15に差し掛かる前に係止部67,68と規制部83,84がそれぞれ当接する構成について説明したが、この構成のみに限られない。
【0070】
上述した実施形態では、電源オフ状態から電源オン状態に移行する場合に、規制レバー73が進入位置から退避位置に移行する構成について説明したが、この構成のみに限らず、規制レバー73の動作方法は適宜変更が可能である。例えば、レリーズボタンを押すタイミングで規制レバー73が進入位置から退避位置に移行する構成であっても構わない。
上述した実施形態では、規制レバー73の回動動作に伴い、規制レバー73が進入位置と退避位置とに切り替わる構成について説明したが、この構成のみに限られない。例えば、規制レバーのスライド移動に伴い、規制レバー73が進入位置と退避位置とに切り替わる構成であっても構わない。
【0071】
上述した実施形態では、規制レバー73が付勢部材86によって退避位置に向けて付勢された構成について説明したが、この構成のみに限られない。すなわち、規制電磁アクチュエータ71の動力のみで退避位置に向けて規制レバー73を回動させても構わない。
【0072】
上述した実施形態では、電磁アクチュエータ21,51を用いて先幕25及び後幕55を用いた場合について説明したが、この構成のみに限らず、電磁アクチュエータ21,51以外のアクチュエータを用いても構わない。
上述した実施形態では、1つの規制レバー73を用いて先幕25及び後幕55の双方の閉方向への移動を規制する構成について説明したが、この構成のみに限られない。例えば、規制レバー(羽根位置保持部材)が先幕25及び後幕55の少なくとも一方の閉方向への移動を規制する構成でも構わない。また、先幕25及び後幕55のそれぞれに対応して規制レバー(羽根位置保持部材)を設けても構わない。
上述した実施形態では、連係レバー72の連係ピン81が規制レバー73のガイド孔91内に遊挿される構成について説明したが、この構成のみに限らず、連係レバー72及び規制レバー73が規制軸線O3周りの連係レバー72の回動方向で遊びを持って係合されていれば構わない。この場合、例えば規制レバー73に形成されたピンを連係レバー72に形成されたガイド孔内に遊挿する構成であっても構わない。また、連係レバー72と規制レバー73の係合方法は、孔とピンに限られない。
【0073】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせても構わない。