(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された文書編集装置においては、加筆修正済み原稿の元原稿に含まれる文字の位置を変更することなく、加筆部分によって指示された文字を元原稿に追加するので、電子化された文書、すなわち、電子化文書において文字のレイアウトが不自然になるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、加筆修正済み原稿に基づいた電子化文書におけるレイアウトの適切性を向上することができる画像形成装置、文書電子化プログラムおよび文書電子化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成装置は、原稿から画像を読み取る読取デバイスと、手書きによって修正された加筆修正済み原稿の画像を前記読取デバイスによって取得する画像取得手段と、前記画像取得手段によって取得された前記加筆修正済み原稿の画像から加筆部分を抽出する加筆部分抽出手段と、前記加筆部分抽出手段によって抽出された前記加筆部分によって指示された修正内容で前記加筆修正済み原稿の元原稿を編集して電子化文書を生成する原稿編集手段とを備え、前記原稿編集手段は、文字および図のうち前記元原稿に含まれるものの少なくとも一部の位置を変更することによって前記文書を生成することを特徴とする。
【0007】
この構成により、本発明の画像形成装置は、文字および図のうち加筆修正済み原稿の元原稿に含まれるものの少なくとも一部の位置を変更することによって文書を生成するので、加筆修正済み原稿に基づいた電子化文書におけるレイアウトの適切性を向上することができる。
【0008】
本発明の画像形成装置は、文字の領域および図の領域のうち前記元原稿に含まれる領域を前記元原稿から抽出する領域抽出手段と、前記領域抽出手段によって抽出された領域に基づいて前記元原稿のレイアウトの指針を判断するレイアウト指針判断手段とを備え、前記原稿編集手段は、前記レイアウト指針判断手段によって判断された前記指針に応じて前記元原稿を編集しても良い。
【0009】
この構成により、本発明の画像形成装置は、元原稿のレイアウトの指針に応じて元原稿を編集して文書を生成するので、加筆修正済み原稿に基づいた電子化文書におけるレイアウトの適切性を更に向上することができる。
【0010】
本発明の画像形成装置において、前記原稿編集手段は、前記修正内容が文字の領域における段落に対する文字の追加および削除の少なくとも一方である場合、前記元原稿の編集後にも前記段落を維持しても良い。
【0011】
この構成により、本発明の画像形成装置は、元原稿の段落に対して文字の追加および削除の少なくとも一方を実行する場合に、元原稿の編集後にも段落を維持するので、加筆修正済み原稿に基づいた電子化文書におけるレイアウトの適切性を更に向上することができる。
【0012】
本発明の画像形成装置は、前記加筆修正済み原稿の画像から前記元原稿を再現する元原稿再現手段を備え、前記加筆部分抽出手段は、色に基づいて前記加筆修正済み原稿の画像から前記加筆部分を抽出し、前記元原稿再現手段は、前記加筆部分抽出手段によって抽出された前記加筆部分を前記加筆修正済み原稿の画像から取り除くことによって前記元原稿を再現しても良い。
【0013】
この構成により、本発明の画像形成装置は、元原稿自体がなくても、加筆修正済み原稿があれば、元原稿を再現することができるので、利便性を向上することができる。
【0014】
本発明の文書電子化プログラムは、原稿から画像を読み取る読取デバイスを備える画像形成装置に、手書きによって修正された加筆修正済み原稿の画像を前記読取デバイスによって取得する画像取得手段と、前記画像取得手段によって取得された前記加筆修正済み原稿の画像から加筆部分を抽出する加筆部分抽出手段と、前記加筆部分抽出手段によって抽出された前記加筆部分によって指示された修正内容で前記加筆修正済み原稿の元原稿を編集して電子化文書を生成する原稿編集手段とを実現させ、前記原稿編集手段は、文字および図のうち前記元原稿に含まれるものの少なくとも一部の位置を変更することによって前記文書を生成することを特徴とする。
【0015】
この構成により、本発明の文書電子化プログラムを実行する画像形成装置は、文字および図のうち加筆修正済み原稿の元原稿に含まれるものの少なくとも一部の位置を変更することによって文書を生成するので、加筆修正済み原稿に基づいた電子化文書におけるレイアウトの適切性を向上することができる。
【0016】
本発明の文書電子化方法は、手書きによって修正された加筆修正済み原稿の画像を読取デバイスによって取得する画像取得ステップと、前記画像取得ステップによって取得された前記加筆修正済み原稿の画像から加筆部分を抽出する加筆部分抽出ステップと、前記加筆部分抽出ステップによって抽出された前記加筆部分によって指示された修正内容で前記加筆修正済み原稿の元原稿を編集して電子化文書を生成する原稿編集ステップとを備え、前記原稿編集ステップは、文字および図のうち前記元原稿に含まれるものの少なくとも一部の位置を変更することによって前記文書を生成するステップであることを特徴とする。
【0017】
この構成により、本発明の文書電子化方法は、文字および図のうち加筆修正済み原稿の元原稿に含まれるものの少なくとも一部の位置を変更することによって文書を生成するので、加筆修正済み原稿に基づいた電子化文書におけるレイアウトの適切性を向上することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の画像形成装置、文書電子化プログラムおよび文書電子化方法は、加筆修正済み原稿に基づいた電子化文書におけるレイアウトの適切性を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0021】
まず、本実施の形態に係る画像形成装置としてのMFP(Multifunction Peripheral)の構成について説明する。
【0022】
図1は、MFP10のブロック図である。
【0023】
図1に示すように、MFP10は、種々の操作が入力されるボタンなどの操作デバイスである操作部11と、種々の情報を表示するLCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイスである表示部12と、原稿から画像を読み取る読取デバイスであるスキャナー13と、用紙などの記録媒体に印刷を実行する印刷デバイスであるプリンター14と、図示していない外部のファクシミリ装置と公衆電話回線などの通信回線経由でファックス通信を行うファックスデバイスであるファックス通信部15と、LAN(Local Area Network)、インターネットなどのネットワークを介さずに有線または無線によって直接に、または、ネットワーク経由で、外部の装置と通信を行う通信デバイスである通信部16と、各種のデータを記憶している半導体メモリー、HDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性の記憶デバイスである記憶部17と、MFP10全体を制御する制御部18とを備えている。
【0024】
記憶部17は、手書きによって修正された原稿(以下「加筆修正済み原稿」と言う。)に基づいて文書を電子化するための文書電子化プログラム17aを記憶している。文書電子化プログラム17aは、MFP10の製造段階でMFP10にインストールされていても良いし、SDカード、USB(Universal Serial Bus)メモリーなどの記憶媒体からMFP10に追加でインストールされても良いし、ネットワーク上からMFP10に追加でインストールされても良い。
【0025】
記憶部17は、ヘッダーやフッターに関するレイアウトや、本文の段組に関するレイアウトなど、特定のレイアウトを示す特定レイアウト情報17bを記憶することが可能である。記憶部17は、MFP10の利用者毎、または、MFP10の利用者が所属するグループ毎に特定レイアウト情報17bを記憶していても良い。なお、MFP10は、予め想定される原稿を学習することによって特定レイアウト情報17bを生成することができる。例えば、MFP10は、特定の利用者の原稿が2段組である頻度が特定の頻度以上である場合に、この利用者の特定レイアウト情報17bに、本文の2段組のレイアウトを含めることができる。
【0026】
記憶部17は、文字のサイズ、フォント、太さ、文字間距離などの属性を示す文字属性情報17cを記憶することが可能である。文字属性情報17cは、ヘッダー、フッター、本文など、文字が含まれる場所に応じた文字の属性を示していても良い。また、記憶部17は、MFP10の利用者毎、または、MFP10の利用者が所属するグループ毎に文字属性情報17cを記憶していても良い。なお、MFP10は、予め想定される原稿を学習することによって文字属性情報17cを生成することができる。
【0027】
制御部18は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、プログラムおよび各種のデータを記憶しているROM(Read Only Memory)と、制御部18のCPUの作業領域として用いられるRAM(Random Access Memory)とを備えている。制御部18のCPUは、制御部18のROMまたは記憶部17に記憶されているプログラムを実行する。
【0028】
制御部18は、記憶部17に記憶されている文書電子化プログラム17aを実行することによって、加筆修正済み原稿の画像をスキャナー13によって取得する画像取得手段18aと、画像取得手段18aによって取得された加筆修正済み原稿の画像から、手書きによる修正の指示の部分、すなわち、加筆部分を抽出する加筆部分抽出手段18bと、加筆修正済み原稿の画像から、手書によって修正される前の原稿、すなわち、元原稿を再現する元原稿再現手段18cと、文字の領域および図の領域のうち元原稿に含まれる領域を元原稿から抽出する領域抽出手段18dと、領域抽出手段18dによって抽出された領域に基づいて元原稿のレイアウトの指針を判断するレイアウト指針判断手段18eと、加筆部分抽出手段18bによって抽出された加筆部分によって指示された修正内容で加筆修正済み原稿の元原稿を編集して電子化文書を生成する原稿編集手段18fとを実現する。
【0029】
次に、加筆修正済み原稿に基づいて文書を電子化する場合のMFP10の動作について説明する。
【0030】
図2は、加筆修正済み原稿に基づいて文書を電子化する場合のMFP10の動作のフローチャートである。
【0031】
制御部18は、加筆修正済み原稿に基づいて文書を電子化する指示が操作部11を介して入力されると、
図2に示す処理を実行する。
【0032】
図2に示すように、画像取得手段18aは、スキャナー13にセットされた加筆修正済み原稿からスキャナー13によって画像20(例えば、
図3参照。)を読み取る(S101)。
【0033】
図3は、加筆修正済み原稿の画像20の一例を示す図である。
【0034】
図3に示す画像20は、例えば赤色など、特定の色の筆記具で手書きによって修正の指示31〜38が元原稿の画像40に加えられたものの画像である。
【0035】
指示31は、ヘッダーの右端に「1/2」という文字を追加する指示である。
【0036】
指示32は、「文書」という文字と、「構成」という文字との間に「の」という文字を追加する指示である。指示32は、文字の挿入を指示するための記号32aを含んでいる。
【0037】
指示33は、「いいい」という3つの文字を削除する指示である。指示33は、文字の削除を指示するための記号33aによって構成されている。
【0038】
指示34は、「ううう」という行と、「えええええ」という行とを入れ替える指示である。指示34は、行の入れ替えを指示するための記号34aによって構成されている。
【0039】
指示35は、「かかか」という文字と、「かかかかか」という文字との間に「トトトトト」という文字を追加する指示である。指示35は、文字の挿入を指示するための記号35aを含んでいる。
【0040】
指示36は、図を削除する指示である。指示36は、図の削除を指示するための記号36aによって構成されている。
【0041】
指示37は、図を移動する指示である。指示37は、図の移動を指示するための記号37aによって構成されている。
【0042】
指示38は、「図 3−2」という文字を削除する指示である。指示38は、文字の削除を指示するための記号38aによって構成されている。
【0043】
図2に示すように、加筆部分抽出手段18bは、S101の処理の後、S101において読み取った画像20から加筆部分の画像30(例えば、
図4参照。)を、特定の色に基づいて抽出する(S102)。
【0044】
図4は、
図3に示す加筆修正済み原稿の加筆部分の画像30を示す図である。
【0045】
図2に示すように、元原稿再現手段18cは、S102の処理の後、S101において読み取った画像20から、S102において抽出した画像30を取り除くことによって元原稿の画像40(例えば、
図5参照。)を再現する(S103)。ここで、元原稿再現手段18cは、画像20のうち元原稿の画像40に加筆部分の画像30が重なっている部分については、元原稿の色に加筆部分の色が重なったことによる加筆部分の色の変化に基づいて元原稿の色を再現したり、周辺色、すなわち、元原稿の画像40のうち加筆部分の画像30が重なっていない部分の色から補完したりすることができる。
【0046】
図5は、
図3に示す加筆修正済み原稿の元原稿の画像40を示す図である。
【0047】
図2に示すように、領域抽出手段18dは、S103の処理の後、S103において再現した元原稿の画像40から文字または図の領域を抽出する(S104)。ここで、領域抽出手段18dは、画像40に文字が存在する場合、画像40から文字の領域を抽出する。また、領域抽出手段18dは、画像40に図が存在する場合、画像40から図の領域を図毎に抽出する。なお、領域抽出手段18dは、文字の領域を抽出する場合、画像40における文字同士の距離の変化や、図の領域の配置などから、文字の領域を複数抽出することができる。
【0048】
図6は、複数の領域に分離された元原稿の画像40を示す図である。
【0049】
図6に示す画像40は、文字の領域41〜45と、図の領域46、47とに分離されている。ここで、領域42は、段落42a、42b、42c、42dを含んでいる。また、領域43は、題43aおよび段落43b、43cを含んでいる。
【0050】
図2に示すように、レイアウト指針判断手段18eは、S104の処理の後、文字の領域が存在するか否かを判断する(S105)。
【0051】
レイアウト指針判断手段18eは、文字の領域が存在するとS105において判断すると、文字の領域のそれぞれに対してOCR(Optical Character Recognition)によって文字を認識する(S106)。
【0052】
レイアウト指針判断手段18eは、文字の領域が存在しないとS105において判断するか、S106の処理が終了すると、S104において抽出された文字の領域および図の領域のそれぞれのレイアウトを示す原稿レイアウト情報を生成する(S107)。
【0053】
例えば、レイアウト指針判断手段18eは、各領域について、元原稿の画像40の横方向における開始位置(左端位置)、中心位置および終了位置(右端位置)を求めるとともに、元原稿の画像40の縦方向における開始位置(上端位置)および終了位置(下端位置)を求める。そして、レイアウト指針判断手段18eは、求めたそれらの位置が一致する領域同士が存在する場合、それらの領域をそれらの位置に合わせることをレイアウトとして判断する。それらの位置が一致する場合、あえてそのように配置している可能性が高いからである。
【0054】
また、レイアウト指針判断手段18eは、領域間の距離を求める。そして、レイアウト指針判断手段18eは、求めたそれらの距離が2行分などの特定の距離以下である場合、それらの領域間の距離を維持することをレイアウトとして判断する。
【0055】
図7は、画像40から生成される原稿レイアウト情報を示す図である。
【0056】
例えば、レイアウト指針判断手段18eは、
図7において線分51で示すように、領域41〜43を横方向における開始位置が一致させられるものとして判断する。また、レイアウト指針判断手段18eは、
図7において線分52で示すように、領域42および43を横方向における終了位置が一致させられるものとして判断する。また、レイアウト指針判断手段18eは、
図7において線分53で示すように、領域44〜47を横方向における中心位置が一致させられるものとして判断する。また、レイアウト指針判断手段18eは、例えば、領域41および42の間の距離54、領域42および43の間の距離55、領域44および46の間の距離56、領域44および47の間の距離57、領域45および47の間の距離58がそれぞれ維持されるものとして判断する。
【0057】
図2に示すように、原稿編集手段18fは、S107の処理の後、S102において抽出した加筆部分の指示内容に応じて元原稿の画像40の編集処理を実行して(S108)、
図2に示す動作を終了する。
【0058】
図8は、S108の編集処理のフローチャートである。
【0059】
図8に示すように、原稿編集手段18fは、元原稿の画像40をコピーすることによって、編集対象の画像を生成する(S131)。
【0060】
次いで、原稿編集手段18fは、S101において読み取った画像20と、S102において抽出した加筆部分の画像30とに基づいて、加筆部分を、それぞれの間の距離や、それぞれの内容に応じて分離する(S132)。例えば、原稿編集手段18fは、
図4で示す例では、画像30に含まれる加筆部分を、指示31〜38に分離する。
【0061】
原稿編集手段18fは、S132の処理の後、S132において分離した加筆部分のうち未だ対象にしていない1つを対象にする(S133)。
【0062】
次いで、原稿編集手段18fは、現在の対象の加筆部分の指示内容の種類を判断する(S134)。
【0063】
原稿編集手段18fは、指示内容が指示31、32、35のように「文字の追加」であるとS134において判断すると、現在の対象の加筆部分の文字をOCRによって認識する(S135)。
【0064】
次いで、原稿編集手段18fは、現在の対象の加筆部分の文字を追加する位置を特定する(S136)。
【0065】
具体的には、原稿編集手段18fは、S136において、現在の対象の加筆部分の文字を追加する位置が、特定レイアウト情報17bおよび原稿レイアウト情報に規定されている文字の領域内に具体的に指定されている場合、その位置を特定する。
【0066】
また、原稿編集手段18fは、S136において、現在の対象の加筆部分の文字を追加する位置が、特定レイアウト情報17bおよび原稿レイアウト情報に規定されている文字の領域内に具体的に指定されていない場合、特定レイアウト情報17bおよび原稿レイアウト情報と、現在の対象の加筆部分の加筆修正済み原稿における位置とに基づいて、新たな領域のレイアウトを特定する。例えば、原稿編集手段18fは、編集対象の画像の横方向において、他の領域が開始位置で揃えて配置されている場合に、この開始位置の付近に現在の対象の加筆部分の開始位置が配置されるとき、現在の対象の加筆部分の開始位置も他の領域と揃えて配置する。編集対象の画像の横方向における領域の開始位置について説明したが、編集対象の画像の横方向における領域の中心位置、終了位置や、編集対象の画像の縦方向における領域の開始位置、終了位置についても同様である。また、原稿編集手段18fは、現在の対象の加筆部分の領域と、現在の対象の加筆部分の領域の隣の領域との間の距離を、付近の領域同士の間の距離に揃えても良い。また、原稿編集手段18fは、現在の対象の加筆部分に関して、編集対象の画像の横方向における領域の開始位置、中心位置、終了位置や、編集対象の画像の縦方向における領域の開始位置、終了位置に法則性が無い場合などに、現在の対象の加筆部分の手書き位置を、現在の対象の加筆部分を追加する位置として特定しても良い。例えば、原稿編集手段18fは、
図9に示すように、領域43の下側に文字の領域48を新たに追加する場合、横方向における領域48の開始位置、終了位置をそれぞれ線分51、52で規定し、領域43および領域48の間の距離59を、領域42および領域43の間の距離55と揃える。
【0067】
原稿編集手段18fは、S136の処理の後、現在の対象の加筆部分の文字の属性を特定する(S137)。例えば、原稿編集手段18fは、現在の対象の加筆部分の文字を追加する領域が存在する場合、現在の対象の加筆部分の文字を追加する領域において、現在の対象の加筆部分の文字を追加する位置の周辺の文字の属性を取得し、取得した属性を現在の対象の加筆部分の文字の属性として特定する。
【0068】
原稿編集手段18fは、S137の処理の後、編集対象の画像に対して、S135において認識した文字を、S136において特定した位置に、S137において特定した属性、または、文字属性情報17cで示す属性で追加する(S138)。
【0069】
例えば、原稿編集手段18fは、現在の対象の加筆部分の文字を追加する位置が、特定レイアウト情報17bおよび原稿レイアウト情報に規定されている文字の領域内における特定の行の間の位置など、領域内における途中の位置である場合、この位置に現在の対象の加筆部分の文字を追加することによって、現在の対象の加筆部分の文字より後ろの部分を、現在の対象の加筆部分の文字の追加分だけ後ろにずらす。なお、原稿編集手段18fは、領域内の段落に文字を追加する場合に、追加部分より後ろの部分を後ろにずらすとき、ずらした後も段落を維持する。ここで、原稿編集手段18fは、領域内でインデントされている行を段落の開始の行として判断し、途中から最後まで空白が存在する行や、後続の段落の開始の行の直前の行や、領域内の最後の行を段落の終了の行として判断する。また、原稿編集手段18fは、現在の対象の加筆部分の文字を追加することによって、この文字を含む領域より後ろの部分を、この領域のサイズが大きくなった分だけ、必要に応じて後ろにずらす。ただし、原稿編集手段18fは、追加する文字を含む領域より後ろにおいて、領域同士の間の距離が2行分などの特定の距離より大きい場合、領域同士の間の距離が特定の距離になるまでは、この領域同士のうち後ろ側の領域を後ろにずらさない。
【0070】
なお、原稿編集手段18fは、S106における文字の認識によって「・・・章 ・・・」などの特定の形式を認識したり、文字のサイズの変化を認識したりすることによって、文字の領域内における「題」の行を認識することができる。したがって、原稿編集手段18fは、領域内で「題」の後続の段落自体がインデントされている場合に、この領域内における「題」の後続の全ての行をそれぞれ段落と誤検出することを防止することができる。例えば、原稿編集手段18fは、
図10(a)に示すように、領域60において行61が「題」であることを認識しない場合、後続の全ての行のそれぞれを段落として認識してしまう。すなわち、原稿編集手段18fは、
図10(a)に示すように、段落62〜67が存在すると誤認識してしまう。一方、原稿編集手段18fは、
図10(b)に示すように、領域60において行61が「題」であることを認識する場合、段落68および69を正しく認識することができる。
【0071】
原稿編集手段18fは、指示内容が「図の追加」であるとS134において判断すると、現在の対象の加筆部分の手書きの図を追加する位置を特定する(S139)。
【0072】
具体的には、原稿編集手段18fは、S139において、特定レイアウト情報17bおよび原稿レイアウト情報と、現在の対象の加筆部分の加筆修正済み原稿における位置とに基づいて、新たな領域のレイアウトを特定する。例えば、原稿編集手段18fは、編集対象の画像の横方向において、他の領域が開始位置で揃えて配置されている場合に、この開始位置の付近に現在の対象の加筆部分の開始位置が配置されるとき、現在の対象の加筆部分の開始位置も他の領域と揃えて配置する。編集対象の画像の横方向における領域の開始位置について説明したが、編集対象の画像の横方向における領域の中心位置、終了位置や、編集対象の画像の縦方向における領域の開始位置、終了位置についても同様である。また、原稿編集手段18fは、現在の対象の加筆部分の領域と、現在の対象の加筆部分の領域の隣の領域との間の距離を、付近の領域同士の間の距離に揃えても良い。また、原稿編集手段18fは、現在の対象の加筆部分に関して、編集対象の画像の横方向における領域の開始位置、中心位置、終了位置や、編集対象の画像の縦方向における領域の開始位置、終了位置に法則性が無い場合などに、現在の対象の加筆部分の手書き位置を、現在の対象の加筆部分を追加する位置として特定しても良い。
【0073】
原稿編集手段18fは、S139の処理の後、編集対象の画像に対して、現在の対象の加筆部分の手書きの図を、S139において特定した位置に追加する(S140)。
【0074】
例えば、原稿編集手段18fは、現在の対象の加筆部分の手書きの図を追加することによって、この図が追加された領域より後ろの部分を、この領域が追加された分だけ、必要に応じて後ろにずらす。
【0075】
原稿編集手段18fは、指示内容が指示33、36、38のように「削除」であるとS134において判断すると、現在の対象の加筆部分で削除することが指定されている箇所を特定する(S141)。
【0076】
次いで、原稿編集手段18fは、編集対象の画像に対して、S141で特定した箇所を削除する(S142)。
【0077】
例えば、原稿編集手段18fは、領域において途中の部分を削除する場合、この領域において削除部分より後ろの部分を、削除部分の削除分だけ前にずらす。なお、原稿編集手段18fは、領域内の段落から文字を削除する場合に、削除部分より後ろの部分を前にずらすとき、ずらした後も段落を維持する。ここで、原稿編集手段18fは、文字の領域内における「題」の行を認識することができるので、領域内で「題」の後続の段落自体がインデントされている場合に、この領域内における「題」の後続の全ての行をそれぞれ段落と誤検出することを防止することができる。また、原稿編集手段18fは、特定の部分を削除することによって、この部分を含んでいた領域より後ろの部分を、この領域のサイズが小さくなった分だけ、必要に応じて前にずらす。
【0078】
原稿編集手段18fは、指示内容が指示34、37のように「移動」であるとS134において判断すると、現在の対象の加筆部分で移動することが指定されている箇所を特定する(S143)。
【0079】
次いで、原稿編集手段18fは、現在の対象の加筆部分で指定されている移動先の位置を特定する(S144)。
【0080】
次いで、原稿編集手段18fは、編集対象の画像に対して、S143で特定した箇所を、S144において特定した位置に移動する(S145)。
【0081】
例えば、原稿編集手段18fは、S143で特定した箇所を移動先に追加する場合、この箇所が追加された部分より後ろの部分を、この箇所が追加された分だけ、必要に応じて後ろにずらす。ただし、原稿編集手段18fは、文字を追加する場合に、追加する文字を含む領域より後ろにおいて、領域同士の間の距離が2行分などの特定の距離より大きいとき、領域同士の間の距離が特定の距離になるまでは、この領域同士のうち後ろ側の領域を後ろにずらさない。また、原稿編集手段18fは、S143で特定した箇所を移動元において削除する場合、この箇所が削除された部分より後ろの部分を、この箇所が削除された分だけ、必要に応じて前にずらす。なお、原稿編集手段18fは、領域内の段落に文字を追加する場合に、追加部分より後ろの部分を後ろにずらすとき、ずらした後も段落を維持する。また、原稿編集手段18fは、領域内の段落から文字を削除する場合に、削除部分より後ろの部分を前にずらすとき、ずらした後も段落を維持する。ここで、原稿編集手段18fは、文字の領域内における「題」の行を認識することができるので、領域内で「題」の後続の段落自体がインデントされている場合に、この領域内における「題」の後続の全ての行をそれぞれ段落と誤検出することを防止することができる。
【0082】
原稿編集手段18fは、S138、S140、S142またはS145の処理の後、S132において分離した加筆部分のうち未だ対象にしていないものが存在するか否かを判断する(S146)。
【0083】
原稿編集手段18fは、S132において分離した加筆部分のうち未だ対象にしていないものが存在するとS146において判断すると、原稿レイアウト情報を更新して(S147)、S133の処理を実行する。
【0084】
原稿編集手段18fは、S132において分離した加筆部分のうち未だ対象にしていないものが存在しないとS146において判断すると、
図8に示す動作を終了する。
【0085】
例えば、MFP10は、
図3に示す加筆修正済み原稿に基づいて文書を電子化する場合、
図2に示す動作を実行することによって編集対象の画像として最終的に
図11に示す文書を生成する。したがって、MFP10は、
図11に示す文書をプリンター14によって印刷したり、記憶部17に記憶することができる。
【0086】
なお、
図11に示す文書に対してレイアウトを示すと、
図12に示すようになる。
図12に示す画像は、
図6に示す元原稿の画像40と比較して、次のように修正されている。
【0087】
領域41は、指示32に応じて「の」が追加されている。領域41は、横方向における開始位置と、縦方向における開始位置および終了位置とが変化していない。
【0088】
領域42は、指示33に応じて「いいい」という3つの文字が削除されている。また、領域42は、指示34に応じて「ううう」という行と、「えええええ」という行とが入れ替えられている。領域42は、横方向における開始位置および終了位置と、縦方向における開始位置とが変化していない。領域42は、1行減った分だけ、縦方向における終了位置が上がっている。
【0089】
領域43は、指示35に応じて「トトトトト」という文字が追加されている。領域43は、横方向における開始位置および終了位置と、縦方向における終了位置とが変化していない。領域43は、領域42が1行減った分だけ、縦方向における開始位置が上がっている。
【0090】
領域45は、指示38に応じて削除されている。
【0091】
領域46は、指示36に応じて削除されている。
【0092】
領域47は、指示37に応じて移動させられている。領域47は、横方向における中心位置が変化していない。領域47は、縦方向における終了位置と、領域44の縦方向における開始位置との距離60が、元原稿の画像40における領域44と、領域46との距離56(
図7参照。)と等しい。
【0093】
領域49は、指示31に応じて「1/2」という文字がヘッダーに追加されている。なお、原稿編集手段18fは、特定レイアウト情報17bに応じてヘッダー内のレイアウトを設定している。
【0094】
以上に説明したように、MFP10は、文字および図のうち加筆修正済み原稿の元原稿に含まれるものの少なくとも一部の位置を変更することによって文書を生成するので、加筆修正済み原稿に基づいた電子化文書におけるレイアウトの適切性を向上することができる。
【0095】
MFP10は、元原稿のレイアウトの指針に応じて元原稿を編集して文書を生成するので、加筆修正済み原稿に基づいた電子化文書におけるレイアウトの適切性を更に向上することができる。
【0096】
MFP10は、元原稿の段落に対して文字の追加および削除の少なくとも一方を実行する場合に、元原稿の編集後にも段落を維持するので、加筆修正済み原稿に基づいた電子化文書におけるレイアウトの適切性を更に向上することができる。
【0097】
MFP10は、元原稿自体がなくても、加筆修正済み原稿があれば、元原稿を再現することができるので、利便性を向上することができる。なお、MFP10は、元原稿の画像を記憶部17に記憶しておいて、加筆修正済み原稿から元原稿を再現することなく、記憶部17に記憶している元原稿の画像を使用しても良い。
【0098】
本発明の文書電子化方法の一部は、MFP10ではなく、例えば、PC(Personal Computer)などのコンピューターによって実現されても良い。
【0099】
本発明の画像形成装置は、本実施の形態においてMFPであるが、MFP以外の画像形成装置であっても良い。