特許第6579341号(P6579341)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6579341スペックルを減らすためのスクリーン振動
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6579341
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】スペックルを減らすためのスクリーン振動
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/56 20060101AFI20190912BHJP
   B06B 1/04 20060101ALN20190912BHJP
【FI】
   G03B21/56
   !B06B1/04 Z
【請求項の数】22
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2017-512961(P2017-512961)
(86)(22)【出願日】2015年9月8日
(65)【公表番号】特表2017-536561(P2017-536561A)
(43)【公表日】2017年12月7日
(86)【国際出願番号】US2015049016
(87)【国際公開番号】WO2016040371
(87)【国際公開日】20160317
【審査請求日】2018年8月17日
(31)【優先権主張番号】62/047,465
(32)【優先日】2014年9月8日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512176130
【氏名又は名称】リアルディー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ディルロ、マーク
(72)【発明者】
【氏名】カーティス、ケビン アール.
(72)【発明者】
【氏名】マックナイト、ダグラス ジェイ.
【審査官】 川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第03125927(US,A)
【文献】 特表2013−531966(JP,A)
【文献】 特開2009−260627(JP,A)
【文献】 特開2003−179988(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0009860(US,A1)
【文献】 米国特許第04143943(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0141347(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0010356(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0063600(US,A1)
【文献】 特開2007−293187(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B06B1/00−3/04
G02B7/02−7/16
G03B21/00−21/10
21/12−21/30
21/56−21/64
33/00−33/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投影スクリーン上のスペックルを減らすための方法であって、
投影スクリーンの付近にトランスデューサを配置することと、
前記トランスデューサに隣接して前記投影スクリーンに第1のリアクターを取り付けて、前記第1のリアクターが前記投影スクリーンの平面に平行でない方向に前記投影スクリーンを振動させて前記投影スクリーンの表示領域におけるスペックルを減らすように動作可能にすることと、を含み
前記第1のリアクターが前記投影スクリーンのエッジから概ね0.025センチメートル〜5センチメートル(0.01インチ〜2インチ)の範囲内に配置される、方法。
【請求項2】
前記投影スクリーンの付近にトランスデューサを配置することは、前記トランスデューサを剛性構造に取り付けることを更に含む、請求項1に記載の投影スクリーン上のスペックルを減らすための方法。
【請求項3】
前記トランスデューサを剛性構造に取り付けることは、前記トランスデューサを投影スクリーンのフレームに取り付けることを更に含む、請求項2に記載の投影スクリーン上のスペックルを減らすための方法。
【請求項4】
前記トランスデューサを交流で駆動することを更に含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の投影スクリーン上のスペックルを減らすための方法。
【請求項5】
前記トランスデューサ周辺の前記投影スクリーンの平面から外れるスクリーンの動きの範囲が概ね3〜10ミリメートルの範囲内となるように、前記投影スクリーンを振動させることを更に含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の投影スクリーン上のスペックルを減らすための方法。
【請求項6】
前記トランスデューサは、前記第1のリアクターを駆動したときに、任意の方向に約0.318センチメートル(1/8インチ)未満の動きを示す、請求項2から5のいずれか一項に記載の投影スクリーン上のスペックルを減らすための方法。
【請求項7】
前記投影スクリーンの少なくとも1つのエッジの近くに装着パッチを取り付けることを更に含み、前記第1のリアクターは、前記装着パッチ内のリアクター位置ロケーター内に配置される、請求項1から6のいずれか一項に記載の投影スクリーン上のスペックルを減らすための方法。
【請求項8】
前記第1のリアクターに第2のリアクターを取り付けることを更に含む、請求項7に記載の投影スクリーン上のスペックルを減らすための方法。
【請求項9】
投影スクリーンに対する振動システムであって、
第1のリアクターがスクリーン支持パッチに隣接して装着され、前記スクリーン支持パッチが前記投影スクリーンに隣接する場合に、前記投影スクリーンの平面に平行でない方向に前記投影スクリーンの動きを誘起するための前記第1のリアクターの動きを誘起するように動作可能である電磁石アセンブリを備え、
前記第1のリアクターが前記投影スクリーンのエッジから概ね0.025センチメートル〜5センチメートル(0.01インチ〜2インチ)の範囲内に配置されながら、前記電磁石アセンブリは、前記動きを誘起するように動作可能である、投影スクリーンに対する振動システム。
【請求項10】
前記スクリーン支持パッチは、前記第1のリアクターの位置を特定するためのリアクター位置ロケーターを有する、請求項9に記載の投影スクリーンに対する振動システム。
【請求項11】
前記第1のリアクターに隣接して配置された第2のリアクターを更に備え、前記第1のリアクター及び前記第2のリアクターは、前記スクリーン支持パッチにおける前記リアクター位置ロケーターを通して互いに取り付けられている、請求項10に記載の投影スクリーンに対する振動システム。
【請求項12】
前記第1のリアクターは磁石である、請求項9から11のいずれか一項に記載の投影スクリーンに対する振動システム。
【請求項13】
前記第1のリアクターは鉄鋼材料である、請求項9から12のいずれか一項に記載の投影スクリーンに対する振動システム。
【請求項14】
前記電磁石アセンブリは、前記投影スクリーンのエッジから概ね0.025センチメートル〜5センチメートル(0.01インチ〜2インチ)の範囲内に配置される、請求項9から13のいずれか一項に記載の投影スクリーンに対する振動システム。
【請求項15】
前記電磁石アセンブリは、少なくとも部分的に電磁石を入れる固定電機子を更に含む、請求項9から14のいずれか一項に記載の投影スクリーンに対する振動システム。
【請求項16】
前記スクリーン支持パッチの少なくとも1つのエッジは、前記投影スクリーンの少なくとも1つのエッジと概ね位置合わせされている、請求項9から15のいずれか一項に記載の投影スクリーンに対する振動システム。
【請求項17】
前記スクリーン支持パッチは、前記投影スクリーンの前記エッジを越えて配置された少なくとも1つの接続孔を更に含む、請求項9から16のいずれか一項に記載の投影スクリーンに対する振動システム。
【請求項18】
前記電磁石アセンブリ及び前記第1のリアクターは、少なくとも前記投影スクリーンの底部エッジに配置される、請求項9から17のいずれか一項に記載の投影スクリーンに対する振動システム。
【請求項19】
前記磁石は、定格がグレードN45のネオジム磁石を更に含む、請求項12に記載の投影スクリーンに対する振動システム。
【請求項20】
前記磁石は、定格が概ねN40〜N52のグレード範囲内のネオジム磁石を更に含む、請求項12に記載の投影スクリーンに対する振動システム。
【請求項21】
前記電磁石アセンブリ及び前記第1のリアクターは、互いから概ね0.025〜13センチメートル(0.01〜5インチ)の範囲内に配置される、請求項9から20のいずれか一項に記載の投影スクリーンに対する振動システム。
【請求項22】
投影スクリーン上のスペックルを減らすための方法であって、
前記投影スクリーンのエッジから概ね0.025センチメートル〜5センチメートル(0.01インチ〜2インチ)の範囲内で電磁石を用いることと、
前記電磁石を交流信号を用いて駆動することと、
前記投影スクリーンを、前記電磁石によって駆動される鉄鋼材料を用いて前記投影スクリーンの平面に平行でない方向に振動させて、前記投影スクリーンの表示領域におけるスペックルを減らすことと、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は以下の文献に関係づけられる。米国特許第8,724,218号「Speckle reduction using screen vibration techniques and apparatus」(2012年7月9日に出願)(代理人参照番号95194936.295001)、米国特許出願第13/544,959号「Despeckling devices and methods」(2012年7月9日に出願)(代理人参照番号95194936.299001)、米国特許出願第14/986,633号「System and method for vibrating screens to reduce speckle」(2014年6月6日に出願)(代理人参照番号363001)に関するものであり、これらはすべて、その全体が本明細書に参照により援用される。更に本出願は、米国仮特許出願第62/047,465号「Screen vibration for reducing speckle」(2014年9月8日に出願)(代理人参照番号376000)に関し、かつ当該出願に対する優先権を主張するものであり、その全体が、本明細書に参照により援用される。
【0002】
(発明の分野)
本開示は全般的に、投影スクリーン及び基板上のスペックルを振動を用いて減らすためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
コヒーレント又は部分的にコヒーレントな供給源を用いることは、表示又は照明において、より高い輝度、より良好な信頼性、及びより大きい色域を実現することができるという点において、標準的なインコヒーレントな供給源(ランプ)と比べて、利点を有することができる。しかし、この部分的なコヒーレンスにより、スペックルの問題が生じる。スペックルは、観察者又は機器に観察され得る、強度のばらつきを生じる、スクリーン又は標的上での光の干渉に起因する。これらの典型的に高い周波数の強度のばらつきは、表示又は撮像応用にとって非常に望ましくない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の第1の態様によれば、投影スクリーン上のスペックルを減らすための方法は、投影スクリーンの付近にトランスデューサを配置することと、トランスデューサに隣接して投影スクリーンに第1のリアクターを取り付けて、第1のリアクターが投影スクリーンを振動させて投影スクリーンの表示領域におけるスペックルを減らすように動作可能にすることと、を含んでいてもよい。第2のリアクターを第1のリアクターに取り付けてもよい。トランスデューサを投影スクリーンの付近に配置してもよく、剛性構造に取り付けてもよい。トランスデューサを、投影スクリーンのフレーム、フロア、壁などであり得る剛性構造に取り付けてもよい。トランスデューサを交流で駆動してもよい。トランスデューサはリアクターに動きを与えて、トランスデューサ周辺のスクリーンの平面から外れるスクリーンの動きの範囲が概ね3〜10ミリメートルの範囲内となるように、投影スクリーンを振動させてもよい。更に、トランスデューサは、第1のリアクターを駆動したときに任意の方向に約0.318センチメートル(1/8インチ)未満の動きを示さなければならない。投影スクリーンの少なくとも1つのエッジの近くに装着パッチを取り付けてもよく、第1のリアクターは、装着パッチ内のリアクター位置ロケーター内に配置され得る。
【0005】
本開示の別の態様によれば、投影スクリーンに対する振動システムは、第1のリアクターの動きを誘起するように動作可能である電磁石アセンブリであって、第1のリアクターはスクリーン支持パッチに隣接し、更にスクリーン支持パッチは投影スクリーンに隣接する、電磁石アセンブリ、を含んでいてもよく、スクリーン支持パッチは、第1のリアクターの位置を特定するためのリアクター位置ロケーターを有していてもよい。リアクター位置ロケーターは、リアクターの位置を特定するのに適した孔、又は任意の他の形状であってもよい。更に、リアクター位置ロケーターは、スクリーン支持パッチを完全に穿孔しなくてもよく、単にノッチであってもよい。電磁石及び第1のリアクターは、少なくとも投影スクリーンの底部エッジに配置されてもよく、電磁石及び第1のリアクターは、互いから概ね0.025〜13センチメートル(0.01〜5インチ)の範囲内に配置されてもよい。第1のリアクターに隣接して第2のリアクターを配置してもよく、第1及び第2のリアクターを、スクリーン支持パッチにおけるリアクター位置ロケーターを通して互いに取り付けてもよい。第1のリアクターは磁石であってもよいし、又は第2のリアクターは磁石であってもよいし、又は第1及び第2のリアクターの両方が磁石であってもよい。磁石は、定格が概ねN40〜N52のグレード範囲内のネオジム磁石であってもよく、又はより具体的には、定格が概ねグレードN45のネオジム磁石であってもよい。
【0006】
更に、第1のリアクターは鉄鋼材料であってもよいし、又は第2のリアクターは鉄鋼材料であってもよいし、又は第1及び第2のリアクターの両方が鉄鋼材料であってもよい。第1のリアクターは、投影スクリーンのエッジから概ね0.025センチメートル〜5センチメートル(0.01インチ〜2インチ)の範囲内に配置されてもよく、電磁石アセンブリは、投影スクリーンのエッジから概ね0.025センチメートル〜5センチメートル(0.01インチ〜2インチ)の範囲内に配置されてもよい。電磁石アセンブリは、少なくとも部分的に電磁石を入れてもよい固定電機子であり得る。
【0007】
この態様の説明を続けて、スクリーン支持パッチの少なくとも1つのエッジは、投影スクリーンの少なくとも1つのエッジと概ね位置合わせされてもよく、スクリーン支持経路は、スクリーンのエッジを越えて配置された少なくとも1つの接続孔を含んでいてもよい。
【0008】
本開示の更に別の態様によれば、投影スクリーン上のスペックルを減らすための方法は、投影スクリーンの付近でトランスデューサを用いることと、トランスデューサを交流信号を用いて駆動することと、投影スクリーン基板を、トランスデューサによって駆動される鉄鋼材料を用いて振動させて、投影スクリーンの表示領域におけるスペックルを減らすことと、を含んでいてもよい。
【0009】
本開示の更に別の態様によれば、投影スクリーン上のスペックルを減らすための方法は、投影スクリーンの付近にトランスデューサを配置することと、トランスデューサに隣接して投影スクリーンに第1のリアクターを取り付けて、第1のリアクターが投影スクリーンを振動させて投影スクリーンの表示領域におけるスペックルを減らすように動作可能にすることと、を含んでいてもよい。
【0010】
本開示の前述及び他の利点並びに特徴は、本開示をその全体にわたって読むことで、当業者に明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
例示のために、実施形態が添付の図面に示され、添付の図面において、同様の参照符号は、類似の部分を示す。
図1】本開示によるスクリーンにリアクター及び/又はトランスデューサを装着するための潜在的な場所を例示する概略図である。
図2】本開示による電磁石トランスデューサアセンブリの正面図を例示する概略図である。
図3】本開示による電磁石トランスデューサの背面図を例示する概略図である。
図4】本開示によるトランスデューサの断面図を例示する概略図である。
図5】本開示による、スクリーンに装着された電磁石を備える別の構成を例示する概略図である。
図6】本開示による電磁石を備える別の構成を例示する概略図である。
図7】本開示による任意的なスクリーン支持パッチの例を例示する概略図である。
図8】本開示による、巻かれたスクリーンに対する装着構成を例示する概略図である。
図9】本開示による、交流電磁界に起因する誘起運動を表現例示する概略図である。
図10】本開示による、冗長性を有するスペックル除去解決法の別の構成を例示する概略図である。
図11】本開示による、機械的トランスデューサを用いたスクリーン振動のスペクトルを例示するグラフである。
図12】本開示による、500Hz高周波カットオフを有する励起信号を例示するグラフである。
図13】本開示による保護トランスデューサエンクロージャを例示する概略図である。
図14】本開示による保護トランスデューサエンクロージャの断面図を例示する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
高周波の強度のばらつきに対処するための種々の周知の技術がある。スペックルを測定して特徴付ける方法もよく知られている。スペックルは、光の強度のコントラストを測定することによって測定される。これは、強度の平均に対する標準偏差として規定される。スペックルの測定方法については、Jacques Gollier,Speckle Measurement Procedure,Conference Projector Summit 2010,Las Vegas NV,May 7,2010(本明細書に参照により援用される)を参照のこと。
【0013】
スペックルを減らす現時点で周知のいくつかの技術としては、スペックルを減らす第1の群の技術であって、移動散光器(1つ又は複数)を用いて、位相に対する変化を局所的に実現して、観察者の/検出器の積分周期にわたってスペックルの一部を時間的に平均することを伴うものが挙げられる。例えば、米国特許第5,313,479号、発明の名称「Speckle−free display system using coherent light」、米国特許第4,035,068号「Speckle minimization in projection displays by reduced spatial coherence of the image light」、及び米国特許第7,585,078号「Illumination system capable of eliminating laser speckle and projection system employing the same」(これらはすべて、その全体が本明細書に参照により援用される)を参照のこと。また散光器は、いくつかの回折素子に及んでいくつかの平均化も実現するのに十分に大きな振幅で振動していることができる。例えば、米国特許第7,922,333号、発明の名称「Projector,screen,projector system,and scintillation removing apparatus for removing scintillation on an image」(本明細書に参照により援用される)を参照のこと。
【0014】
スペックルを減らす第2の群の技術は、移動するミラー又は位相変調器を用いて時間的平均を実現することを伴う。例えば、米国公開特許出願第2011/0102748号、発明の名称「Optical system and method」、及び米国公開特許出願第2010/0053476号、発明の名称「Systems and methods for despeckling a laser light source」、米国特許第4,155,630号、発明の名称「Speckle elimination by random spatial phase modulation」、及び米国特許第7,489,714号、発明の名称「Speckle reduction laser and laser display apparatus having the same」(これらすべては、その全体が本明細書に参照により援用される)を参照のこと。全般的に、この一群の技術の不利点としては、費用のかかる可動部又は位相変調器を用いることが挙げられる。
【0015】
スペックルを減らす第3の群の技術は、大きなコアで、長くて、非常に高い開口数(NA)のマルチモードファイバを用いてレーザビームの「デコヒーレンスを起こす」ことを伴う。例えば、米国公開特許出願第2009/0168025号、発明の名称「Decohered laser light production system」(本明細書に参照により援用される)を参照のこと。この文献では、NAが0.65の12mm径コアファイバを用いることが記載されている。この大きなファイバは、スペックルの多少の低減をもたらす場合があるが、エテンデュが非常に大きいためシステムの明るさを壊して有害である。同様に、非常に長いマルチモードファイバを用いることが多少の効果がある可能性がある。例えば、米国公開特許出願第2010/0079848号「Speckle reduction in display systems that employ coherent light sources」を参照のこと。しかし吸収によってパワーが減少する。しかし、マルチモードファイバのスペックル問題及び解決法は、当該分野においてよく知られていると思われる。例えば、Joseph Goodman,Speckle Phenomena in Optics、第7章(Roberts and Company 2006)を参照のこと。この段落で引用される参考文献はすべて、本明細書に参照により援用される。
【0016】
第4の群の技術として、ビームを部分に分割した後に、ビームを再結合する前に各部分に強制的に異なる経路長又は偏光の変化を持たせることを伴うものが提案されている。ファイバ束又はスプリッタ/結合器又は小型レンズアレイを用いる例としては、以下が挙げられる。米国公開特許出願第2005/0008290号「Static method for laser speckle reduction and apparatus for reducing speckle」;米国特許第4,360,372号、「Fiber optic element for reducing speckle noise」;米国特許第6,895,149号、発明の名称「Apparatus for beam homogenization and speckle reduction」;米国特許第7,379,651号、発明の名称「Method and apparatus for reducing laser speckle」;米国特許第7,527,384号、発明の名称「Illumination system to eliminate laser speckle and projection system employing the same」;米国特許第7,719,738号、発明の名称「Method and apparatus for reducing laser speckle」、米国特許第6,594,090号、発明の名称「Laser projection display system」、これは、移動散光器とともに小型レンズインテグレータを用いてスペックルを減らすものであるが、インテグレータによって散光器がより効果的になると述べている。いくつかの公開された出願には、散光器の代わりに、移動する小型レンズアレイを用いてスペックルを減らすことが開示されている。例えば、米国公開特許出願第2010/0296065号、発明の名称「Out−of−plane motion of speckle reduction element」、及び米国公開特許出願第2010/0296064号、発明の名称「Projection with lenslet arrangement on speck reduction element」を参照のこと。これらの教示では、費用のかかるファイバ束又はレンズアレイ又は多くのファイバカプラ/スプリッタを用いて、スペックルの多少の低減を実現している。この段落で引用される参考文献はすべて、本明細書に参照により援用される。
【0017】
別の一群の解決法として、より大きいスペクトルバンド幅を有する供給源を用いるものがある。これは、波長が異なるいくつかのレーザ又は他の手段を用いて駆動電流をチャープすることによって実現することができる。
【0018】
スクリーンを移動させることも、望ましくないスペックル問題に対する潜在的な解決法である。本「Speckle Phenomenain Optics」(前述)の第6章では、スクリーンのx若しくはyにおける線形シフトレート又はスクリーン回転(これらの動きは投影にほぼ垂直なスクリーンの平面である)を計算して、観察者の/検出器の時間積分周期の間にスペックルの一部を平均している。スクリーンを移動させることによって、光はスクリーンの異なる部分に衝突するため、スペックルパターンが変化する。これを検出器の積分時間(例えば、目はほぼ20Hz)に対して高速で行なう場合、検出器はいくつかのスペックルパターンの平均値を見る場合があり、その結果、スペックルコントラストが下がる。米国特許第5,272,473号、発明の名称「Reduced−speckle display system」では、スクリーンに直接取り付けたトランスデューサを用いて表面音響波を機械的に発生させて、スペックルを最小限にすることが教示されている。米国特許第6,122,023号、発明の名称「Non−speckle liquid crystal projection display」では、高散乱液晶をスクリーンとして使用し、そして液晶状態を電気的に変化させてスペックルを軽減することが教示されている。他の教示では、散乱する液体又は散光器セルをスクリーンとして用いてスペックルを改善している。例えば、米国特許第6,844,970号、発明の名称「Projection television set,screens,and method」;米国特許第7,199,933号、「Image projection screen with reduced speckle noise」;米国特許第7,244,028号「Laser illuminated projection displays」、米国特許第7,342,719号「Projection screen with reduced speckle」、及び米国公開特許出願第2010/0118397号「Reduced laser speckle projection screen」を参照のこと。この段落で引用される参考文献はすべて、本明細書に参照により援用される。
【0019】
実際には、技術のいくつかを一緒に用いて、スペックルを著しいレベルにまで減らすことが一般的である。これらはすべて、他の多くの追加的な部品及び/又は動きを用いてスペックルの多少の低減を実現することが伴う。これらの追加的な部品は、費用を増加させ、輝度を低減し、確実性を減らす。
【0020】
本開示では、ディスプレイ応用例においてスペックルを減らすためのスクリーン振動についての説明を提供する。典型的に、映画スクリーンには、ポリマー基板(通常、ポリ塩化ビニル(PVC)ロールストック)が含まれていてもよく、これを音響伝達用に穿孔した後に、一緒に継ぎ合わされて、所望のサイズのスクリーンを作る。これらのスクリーンは典型的に、概ね0.1〜0.8mm厚の範囲内であり、強く可塑化されており、かつマットテクスチャを用いてエンボス加工されている。このタイプのスクリーンに次に偏波面保存コーティングをスプレーして、偏波面保存スクリーンを作製してもよい。従来のコーティングでは、ある種の金属片又はビット(例えば、ボールミリングされたアルミニウム粉末)がポリマー結合剤に入れられている。これらのスクリーンは比較的重くて、ヤング率が低く、典型的に概ね40〜60MPaの範囲内である。
【0021】
著しい光学性能向上は、その全体が本明細書に参照により援用される、米国特許第8,072681号に概略的に記載されているように、メタライズされたエンボス加工面を用いることによって実現することができる。こ適切な忠実度を得るために、より剛体の基板、例えばPET、ポリエステル又はポリカーボネート(PC)を用いてもよい。ハイブリッドアプローチは、その全体が本明細書に参照により援用される、同一の譲受人による米国特許第8,169,699号に全般的に説明されているように、エンボス加工面を用いて、テクスチャ加工された金属フレークを形成するか、又はその全体が本明細書に参照により援用される、同一の譲受人による米国特許第8,194,315号に記載されているように、メタライズされた基板を物理的に細断することであり、そしてどちらも、ポリマー結合剤を従来のスクリーンシステムで用いられる金属ビットと入れ替えるために使用することができる。これらのより剛体の基板(したがってスクリーン)は、従来のPVCと比べてはるかに軽く、高い弾性率を有している。これらのスクリーンは、本明細書ではエンジニアードクリーンと言う場合がある。スクリーンを保持する背面投影偏光は典型的に、拡散的に散乱する透明ポリマー基板、エンボス加工された透明な基板、又は2つの組み合わせを含んでいてもよい。
【0022】
本明細書で説明する実施形態は、弾性率が概ね10Mpa〜10Gpaの範囲の広範囲のスクリーン材料とともに用いることができるが、約500MPaを上回るより高い弾性率の材料を用いてより良好な結果を実現してもよく、なぜならば、より高い弾性率の材料が、振動を材料を通してより効果的に伝搬し得るからである。スクリーン基板に光学コーティングを塗布するために用いる方法及び材料が、完全なスクリーンの有効弾性率に影響を及ぼす可能性があるが、有効スクリーン弾性率に影響を及ぼす主要なものは、基板である。またスクリーン穿孔によって弾性率に影響があり、孔によってスクリーンの弾性率が減少する。孔によって失われる面積が大きいほど、弾性率に対する影響が大きい。弾性率がより高い基板に、ミニ、マイクロ、又は無穿孔を設けたものと用いることが好ましい。この実施形態は、光学表面がスプレーされ、塗装され、印刷され、インプリントされ、又は基板上に鋳造されて、従来の金属フレーク及び他のほとんどの光学コーティングを含んでいるときに、効果的に機能するように設計されている。
【0023】
加えて、スピーカのいくつかは一般に、スクリーンの背後に配置されるので、スクリーンは一般に、音がスクリーンを通過できるように穿孔される。映画館では典型的に、1〜5mmの範囲内で、全孔面積3〜7%の孔が設けられた、機械的に穿孔されたスクリーンを用いている。高弾性率のスクリーンは、その全体が本明細書に参照により援用される、米国特許出願第13/76,092号「Light efficient acoustically transmissive front projection screens」(2013年3月5日に出願)(代理人参照番号95194936.321001)に全般的に説明されているように、概ね60〜400umの範囲内で、全孔面積が概ね0.2〜2%の範囲内の孔によって微細穿孔することができる。供給業者によっては、孔サイズ及び面積において機械穿孔とマイクロ穿孔との間(0.5〜2mm及び1〜3%面積)のどこかにあるミニ穿孔を用いる。スクリーンによっては穿孔されていない場合がある。本実施形態は、機械的に穿孔されているか、穿孔されているか、微細穿孔されているか、又は穿孔されていないスクリーンとともに用いることができる。弾性率がより高い基板に、ミニ、マイクロ、又は無穿孔を設けたものと用いることが好ましい。以下に説明するトランスデューサはスクリーンを振動させる。この振動は、表面上の表面音響波、進行波として部分的に存在することができる。穿孔は、スクリーン基板を通って波が伝搬するとき振動を減衰させる場合があるので、穿孔がスクリーン振動に及ぼす悪影響は、弾性率の単純な変化によって生じるものよりも大きい。これは、部分的には、スクリーンにおいて単位長さ当たりのより大きな減衰を起こす表面波に対するインピーダンスの局所的な変化によって生じる場合がある。振動の観点からは、スクリーン材料の弾性率を増加させるよりも、穿孔サイズをなくすか又は減らす方がより有用である可能性がある。
【0024】
レーザ投影とともに用いることに加えて、スクリーンの振動は、標準的な投影ランプに対してスペックルを減らすることが実験的に示されており、そのため、この実施形態はランプベースの投影と用いるときも有用である可能性がある。従来のスクリーンは典型的に、スクリーンの背面に取り付けられた振動デバイス又はトランスデューサを有するか、又はイメージ領域若しくは表示領域の内部でスクリーンの背面と接触している場合がある。実際には、大きな映画スクリーンは、スクリーンの全面積にわたって離間配置されたトランスデューサのアレイを用いて、スクリーンの振動に成功している場合がある。トランスデューサアレイの間隔は、スクリーンのx方向及びy方向の両方においてトランスデューサ間で0.6〜4.6m(2〜15ft.)であってもよい。不利点は、視認者にトランスデューサが見えることである場合があり、トランスデューサの数量によって、著しいより潜在的なシステム障害点がもたらされる場合がある。しかし、近接した間隔は、従来のスクリーンの機械的特性に起因すると考えられる場合がある。典型的な振動周波数は、概ね10〜80Hzの範囲内であってもよい。周波数が高くなると典型的に、これらの基板中を移動することが良好でなくなる。約20〜30Hzを下回る周波数は、目によって検出可能であるので、これらのより低い周波数及び任意の低いビート周波数は、視認者が気付く可能性がより高い。
【0025】
スクリーン張力は、この実施形態の有効性における重要な変数である。バネ、堅い接続部、又は他の手段を用いてスクリーンエッジに印加される張力は、スクリーンタイプ間で(あるぶら下げスクリーンから同一のぶら下げスクリーンの間ででさえ)大きく変化する。張力レベルは、概ね0〜730N/m(0〜50lb/ft)の範囲内であってもよい。この大きさは、スクリーンエッジに加えられる張力の量を、スクリーンエッジのリニアフット毎にポンドで示している。この実施形態の説明を続けて、スクリーン張力が低すぎる場合には、スクリーン全体が大きな目に見えるリップルをそのフレーム内で目に見えて平行移動させる場合があるか、又は大きな目に見えるリップルがスクリーン表面にわたって伝搬するのが観察される場合がある。スクリーン張力が過剰に高いと、振動が伝搬しなくなって、スペックル除去効果がトランスデューサ付近の領域に局在化するか又は全く見えなくなる場合がある。
【0026】
主要な態様及び実質的な向上は、電気トランスデューサをスクリーンに装着する必要が全くないことであり、振動するトランスデューサに付随する多くの機械的故障モードがなくなるとともに、はるかに静かな動作になる。設計によって、リアクターはスクリーンに実際に接触していてもよく、それぞれスクリーン表面の6.5平方センチメートル(1平方インチ)未満の場所を取ることができる。これは、磁石の底部とスクリーンエッジとの間で測定したとき、能動的な表示領域の外側でスクリーン境界の30センチメートル(12インチ)以内であってもよく、スクリーンエッジから約5センチメートル(2インチ)未満、好ましくはスクリーンエッジから0.25センチメートル(0.1インチ)であってもよい。この実施形態において、リアクターは磁石であるが、任意の鉄鋼材料をある動作状態で機能するように形成することができる。用語磁石及びリアクターを、本明細書では交換可能に用いてもよい。更に、用語電気トランスデューサ、トランスデューサ、及び電磁石も、本明細書では交換可能に用いてもよい。各リアクターは、スクリーンスペースの最大で45平方センチメートル又は3平方センチメートル未満(7平方インチ又は0.5平方インチ未満)の場所を取ることができる。図1、リアクター及び/又はトランスデューサをスクリーンに装着するための潜在的な場所を例示する概略図である。トランスデューサは、振動システムが視認者の視野から見えないように、例えばマスキングの背後に装着することができる。
【0027】
図1は、スクリーンシステムの1つの可能な実施形態である。図1のこのスクリーンシステム例において、スクリーン100は、典型的な表示領域100、また可能な磁石装着場所120の表示も含んでいる。
【0028】
動きを誘起するトランスデューサは電磁石であり、電磁石は、好ましくはスクリーンのフレームに堅固に取り付けられていてもよいし、またスクリーンと直接接触していなくてもよい。スクリーンに取り付けられた磁石アセンブリ又はリアクター内の電磁誘導により、図2〜4に例示したようにスクリーン内に非接触の振動の動きが生じる。非接触の振動の動きを用いて、電磁石及びリアクターが互いに直接接触していなくてもよい実施形態を説明することができる。
【0029】
代替的に、この同じ考え方は、電磁石をスクリーンに装着して、スクリーンのフレームに堅固に取り付けたリアクターと相互作用させる場合にも用いることができ、この場合も非接触の振動の動きがもたらされ得る。図5は、1つの電磁石と1つのリアクターとを用いるこの構成を示すが、それぞれを2つ以上用いてスクリーンに対する振動入力を増やすことができる。スクリーンに装着された電磁石を用いる構成の変形では、既存のスクリーンのフレームの鉄部品をリアクターとして用いて、構成部品数を減らし設計を単純にしてもよい。図2に例示するように、任意的なスクリーン支持部材を用いて、本明細書で説明する種々の改善を得ることができる。
【0030】
図2は、電磁石トランスデューサアセンブリの正面図を例示する概略図である。更に、図2は、スクリーン200、スクリーン支持部材210、リアクター220、電磁石230、及び張力接続部240を例示する。スクリーン支持部材210は、本明細書では装着パッチと言う場合もある。スクリーン支持部材210は、スクリーン200に取り付けてもよく、また張力接続部240を含んでいてもよい。張力接続部240を用いて、バネ、コードなどを張力接続部240からスクリーンのフレーム(図示せず)に接続することによって、スクリーン200を張力下に置くことができる。
【0031】
図2、リアクター220が取り付けられているスクリーン支持部材210を示す。スクリーン支持部材210は、リアクター220が嵌合する孔を含んでいてもよい。スクリーン支持部材210は、任意の適切な方法でスクリーンに接着剤で付けるか又は装着することができる。スクリーンを次に、ホルダの一方の端部(例えばバネ又はコード)を張力接続部240に、またホルダの他方の端部をスクリーンのフレーム、壁、天井、又はフロアに取り付けることによって調整してもよい。電磁石230を、スクリーンエッジによってリアクター220の近くに配置してもよく、駆動エレクトロニクスに電気的に接続してもよい。電磁石及びリアクターを、互いから概ね0.025センチメートル〜13センチメートル(0.01インチ〜5インチ)の範囲内で離間配置してもよい。
【0032】
図3は、図2の電磁石トランスデューサの背面図を例示する概略図である。図3は、スクリーンの裏側、又は視認されるスクリーン表面の反対側を示す。この例では、スクリーンの両側は、リアクターの位置を維持するのを助けるための、スクリーンに取り付けられたスクリーン支持部材を有し、正確なスクリーン張力を生成することが助けられて、余分なスクリーンの動きがなくなり、システムの周波数応答が向上する。
【0033】
一実施形態では、投影スクリーンは約3メートル(10フィート)高で約6メートル(20フィート)幅であってもよい。スクリーンの底部エッジ周辺に配置され、ほぼスクリーン上の幅方向の中心に置かれた1つの振動アセンブリがあってもよい。投影スクリーン及びスクリーン支持パッチは、PC若しくはPET、又は任意の他の適切な材料であってもよい。
【0034】
別の実施形態では、投影スクリーンは約5.5メートル(18フィート)高で約13メートル(44フィート)幅であってもよい。スクリーンの底部エッジにわたる道筋の約3分の1及び3分の2に配置された2つの振動アセンブリがあってもよく、また追加的な振動アセンブリがスクリーンの頂部上の幅方向の中心に配置されていてもよい。すべての振動アセンブリが、投影スクリーンのエッジ周辺に配置されてもよい。投影スクリーン及びスクリーン支持パッチは、PC若しくはPET、又は任意の他の適切な材料であってもよい。
【0035】
図2と同様に、図3は、スクリーン200、スクリーン支持部材215、リアクター220、電磁石230、及び張力接続部245の裏側を例示する。スクリーン支持部材215は、スクリーン200の表側に配置されたスクリーン支持部材210とほぼ同じ場所に配置されてもよい。
【0036】
図4は、トランスデューサ及びスクリーンシステムの断面図を例示する概略図である。更に、図4は、スクリーン400、スクリーン支持部材410、リアクター420、及び電磁石430を含んでいる。スクリーン支持部材410は、スクリーン400と同じ材料であってもよいし、又はスクリーン400と異なる材料であってもよい。スクリーン支持部材は、米国特許出願第14/619,719号「Strain relieved mounting method and apparatus for screen material」(2015年2月11日に出願)(代理人参照番号369001)、及び米国特許出願第14/020,654号「High elastic modulus projection screen substrates」(2013年9月6日に出願)(代理人参照番号95194936.338001)で全般的に説明されており、いずれも、その全体が本明細書に参照により援用される。また、図4に示すのは2つのリアクター420である。1つのリアクター420は、スクリーンの表側又はスクリーンの視認側に配置されてもよく、別のリアクター420は、スクリーンの裏側又はスクリーンの視認側の反対側に配置されてもよい。磁石及びリアクターは図示では円形であるが、磁石及びリアクターは任意の適切な形状(例えば、正方形、矩形、長円形、三角形、台形など)であってもよい。
【0037】
図4において、断面側面図は、好ましい配向にあるトランスデューサ430の説明図であり、構成部品の断面を示す。この例では2つのリアクター430を示しており、図示したようにスクリーン及び電磁石430の各側に設けられた1つは、リアクター及びスクリーンの真下に配置されてもよい。好ましくは、スクリーンを電磁石上の中心に置くか若しくはほぼ中心に置くか、又は逆もまた同様である。また、電磁石及びリアクターを互いに対して中心に置いてもよい。スクリーン、電磁石、及びリアクターをすべて、互いに対して又はそれらの任意の組み合わせに対して中心に置いてもよい。更に、スクリーンの張力が最初は、リアクター又はトランスデューサからスクリーンを通って振動が適切に伝搬できるようにするには十分でない場合に、バネ又は他の支持部材を用いるか又はこれらによってスクリーン(したがって、リアクター)の変位を制限することができる。
【0038】
図5は、電磁石がスクリーンに装着される別の構成を例示する概略図である。更に、図5は、電磁石がスクリーンに取り付けられ、磁石がスクリーンの下に配置されて、フレーム若しくは壁、天井、又はフロアに取り付けられている構成を示す。図5は、スクリーン500、リアクター520、及び電磁石530を含み得る。電磁石は典型的にリアクターよりも重い。更に、電磁石が固定でリアクターの真下に配置される場合に、電磁石にワイヤを取り付けてもよく、それによって性能が改善する場合があり、一方で、リアクターをスクリーンに取り付けて、スクリーンが振動できるようにしてもよい。
【0039】
別の構成には、鉄又は非鉄のリアクターとほぼ軸方向に位置合わせされていてもよい電磁石が含まれ、これを図6に示す。図6は、電磁石を備える別の側面図構成を例示する概略図である。図6は、スクリーン600、リアクター620、電磁石630、及び電磁石635を含み得る。リアクター620は、スクリーン600の表側及び裏側に取り付けられてもよい。電磁石は、スクリーンのフレーム又は任意の他の剛性構造に取り付けられてもよいブラケット(図示せず)を用いて所定の位置に保持されてもよい。
【0040】
この構成では、電磁石630及び635は、互いに及びリアクター620とほぼ軸方向に位置合わせされている。電磁石は、ほぼ対称的な構成で、リアクターから同じ距離で離間配置されてもよい。また電磁石は、非対称な構成で、スクリーンのエッジに対してリアクターから異なる距離で離間配置されてもよい。また、電磁石は、垂直方向に及びリアクターから反対方向に位置合わせされていなくてもよい。電磁石はリアクターから異なる距離であってもよいが、性能は対称的な構成で高まる場合がある。言い換えれば、システムの性能は、電磁石の位置合わせ不良が増すにつれて低下する。
【0041】
更に、図6は、2つの電磁石630、635の正面がほぼ互いに対向していてもよい構成を示す。この例では、電磁石630、635は、対向する(又は少なくとも異なる)信号を用いて駆動して、互いに対向してスクリーンの動きをなくさないようにしなければならない。アセンブリの構成部品をすべて合理的に位置合わせして、それらがすべて共通軸上で中心に置かれるようにしてもよい。位置合わせが適切であれば最大有効性が容易になるが、要素間の多少の位置合わせ不良は許容される場合がある。前述した構成を、1つの電磁石及び1つのリアクターとともに動作するように単純化することができるが、ある固定形式(例えば、バネ、発泡体、エラストマー、又は他のデバイス)がスクリーン振動振幅を制限するために提案されている。この例では、バネ又は他のデバイスをリアクターと電磁石との間に取り付けてもよく、そうでなければ振動の大きさが大きすぎる場合がある。他の構成の場合と同様に、別の実施形態は、電磁石をスクリーンに直接装着して、鉄リアクターを隣接位置に堅固に装着するか又はスクリーンのフレームの鉄部材を使用することであってもよい。鉄部材は、電磁石の力に反応し得る任意の材料であってもよい。
【0042】
磁石を、前述の構成におけるリアクターとして用いて、電磁石の力を増加させる。また、他の鉄鋼材料を磁石に対する代用品として用いることもできる。鉄リアクター又は鉄部材としては、鋼鉄、軟鋼、鋳鉄などの材料を挙げることができる。磁石をリアクターとして用いることは、接着剤を用いて機器をスクリーンに装着する必要がなくなる場合があるので、更なる利益をもたらす場合があり、これは、鉄だが非磁化のリアクターを用いる場合に適切な場合がある。この実施形態における要素間の間隔は、電磁石と非磁化のリアクターとの間の磁気相互作用の方が実質的に弱い場合があるので、磁化されたリアクターを除くことについてより一層重要になる場合がある。
【0043】
本明細書において簡単にするために、電磁石、高強度磁石、プラスチックスクリーン支持パッチ、及び固定ハードウェアのアセンブリを、振動アセンブリと言う場合がある。例えば、高強度ネオジム磁石は概ねN40〜N52の範囲内である。スクリーン支持パッチ(図2〜4及び以下の図7に示す)を、多くの材料で作製してもよい。設計仕様が与えられれば、好ましい材料は、その軽量及び良好な剛性を考えると、ポリカーボネートである。スクリーン支持又はパッチに対する材料及び仕様は以下でいる。同一の譲受人による米国特許出願第14/619,719号「Strain relieved mounting method and apparatus for screen material」(2015年2月11日に出願)(代理人参照番号369001)、及び米国特許出願第14/020,654号「High elastic modulus projection screen substrates」(2013年9月6日に出願)(代理人参照番号95194936.338001)で全般的に説明されており、いずれも、その全体が本明細書に参照により援用される。スクリーン支持部材又は装着パッチも用いることなく磁石を取り付けることが可能である。また磁石をスクリーンに直接接着剤で付けるか又はハウジング内に配置することができ、そしてハウジングをスクリーンにクランプするか又は接着剤で付けてもよい。例えば、クラムシェル様のハウジングをスクリーンに固定して、磁石を所定の位置に保持することができる。磁石が十分に強力であれば、2つの磁石間の磁気引力以外の何かを用いて所定の位置に保持する必要はなくてもよい。
【0044】
図7は、任意的なスクリーン支持パッチの例を例示する概略図である。図7は、スクリーン支持部材710、2つの張力接続部740、及びリアクター位置ロケーター750の一実施形態を例示する。リアクター位置ロケーター750は図示では円形であるが、形状は、限定することなく、円形、楕円形、正方形、三角形、台形、矩形、長円形などの任意の適切な形状であってもよい。同様に、張力接続部740は、限定することなく、円形、楕円形、正方形、三角形、台形、矩形、長円形などの任意の適切な形状であってもよい。
【0045】
各スクリーン及びフレームには、トランスデューサがすべてのスクリーン上で1つの構成で配列されないようにする特定の制限がある場合があるので、一実施形態では、スクリーンの頂部及び/又は底部エッジに沿って配置された振動アセンブリを含んでもよい。振動アセンブリは、スクリーンの頂部、底部、及び/若しくは側面に、又はそれらの任意の組み合わせに配置されてもよい。場合によっては、スクリーンの1つ以上の側面上でスクリーンを囲む十分なスペースがなくてもよい。これはまた、どの側面に振動アセンブリが配置され得るかを決定してもよい。また、スクリーン装着のタイプが振動アセンブリの場所を決定してもよい。
【0046】
各トランスデューサを、1つ以上の磁石(スクリーンの各側に1つ)と結合して、2つ以上の磁石が互いに引き付けられてそれらの間にスクリーンをサンドイッチするように配向させることができる。1つ以上の磁石又は1つのより大きい磁石(2つ以上の磁石とほぼ同等のもの)を用いて、スクリーン振動を駆動している質量を増加させることができるが、予測可能なレベルの振動を維持するためにまたスクリーンが電磁石の上方で中心に留まるように、等しい数量の磁石が各側面上になければならない。
【0047】
装着パッチ又はスクリーン支持部材は、トランスデューサがどこに配置されていようとも、少なくとも図1〜3に例示するようにスクリーンのエッジに接着されて、いくつかの目的を果たすことができる。1つの目的は、磁石から電磁石までの距離が一定のままであるように、磁石をスペース内に配置することであってもよい。スクリーン支持部材又は装着パッチは、中央に切り取り部分を設けて設計され、切り取り部分は、磁石を取り込んで、その位置をスクリーンのエッジから約5センチメートル(2インチ)以内に抑える働きをする。磁石は、スクリーンのエッジから概ね0.025〜5センチメートル(0.01〜2インチ)の範囲内に配置されてもよい。また磁石に対するスクリーン支持部材内の孔は、くぼみ又は部分的な切り取り部分であってもよい。またスクリーン支持部材は、局在化された磁石からスクリーン材料のより広い面積へと振動を移す固定媒体として働くことによって、振動源の有効面積を増やすことに役立つ。2つの引張機接続孔(パッチのいずれかの側に1つ)によって、好都合な方法でパッチに張力をかけることができる。非常に大きく、もはやスクリーンのスペックルを除去しないか又は目に見えてしまう表面波を、磁石が伝搬しないように、十分な張力が重要である。1〜15個の範囲の引張機接続孔、又は好ましくは一実施形態では7つの引張機接続孔があってもよい。スクリーン支持部材又はパッチにおける引張機接続孔の数は、パッチのサイズに応じて多くてもよいし又はより少なくてもよい。
【0048】
電磁石とリアクターとの間の距離は非常に重要である。これらの構成部品が一緒に近づくように動くと、スペックル除去解決法の有効性は、電磁石がスクリーン又はリアクターと接触するまで向上する場合があり、接触したときに、解決法の有効性は大幅に低下する場合がある。更に、リアクターを電磁石から更に移動させることによって、解決法の有効性が低下する場合がある。この理由のために、電磁石の位置を特定する(又はトランスデューサのどちらの部分を堅固に固定するかを決める)ための何らかの形態の調整を取り入れることが望ましい場合がある。調整によって、ユーザが電磁石とリアクターとの間の距離を変えて位置を固定し、使用中に変化しないようにすることができてもよい。これは、多くの方法を用いて実現することができる。1つの方法は、堅固に固定された部分を、他の部分が堅固に固定されたスライド上に装着することであってもよい。ロッキング機構(例えば止めネジ)を用いて、アセンブリを所望の場所に固定してもよい。別の解決法は、正確な厚さのシムを、電磁石又はリアクターと固定電機子との間に配置することであってもよい。いったんシムによって電磁石とリアクターとの間の正確な距離が得られたら、シムを取り外してもよい。
【0049】
代替的に、トランスデューサを、スクリーンの側面とともに必要に応じて頂部及び底部に沿って配置することが可能である。スクリーンの平面からの磁石の変位又は動きが大きすぎないように、電磁石を配置及び駆動することができるならば、トランスデューサはスクリーン上のわずか1つの磁石を用いて作製することができる。トランスデューサにおいてスクリーンの平面から出るスクリーン全体の動きは、標準的な6m×12メートル(20ft×40フィート)に対して、z方向に(又はスクリーンの平面から出て)概ね3〜10mmの範囲内、好ましくは4mmであってもよい。
【0050】
いくつかのスクリーンは、スクリーンエッジが、装着して吊り下げるためのポール、パイプ、又は他の細長い部材の周りに巻かれるように構成されてもよい。これは、フレームがスクリーンの背後及びスクリーン内に存在しているため、スクリーン面積を最大にすることに役立つ場合がある。このフレームスタイルでは、トランスデューサを装着するために異なる方法を用いてもよい。なぜならば、リアクターを装着すべきスクリーン上の透明なエッジが利用可能ではない場合があるからである。
【0051】
図8は、巻かれたスクリーンに対する装着構成を例示する概略図であり、エッジが巻かれたスクリーン上にトランスデューサを装着するための構成を示す図である。スクリーンの小断面を取り除いて、電磁石をスクリーン材料と直接一直線になるように位置させることができてもよい。電磁石は、スクリーンのフレームに取り付けたブラケットによって支持されてもよい。図8は、フレームパイプ870の周りに巻かれて、スクリーン装着孔880を用いて固定されたスクリーン800の正面を例示する。
【0052】
図8において、電磁石830を固定電機子860に装着してもよく、固定電機子860を次に、スクリーンのフレーム若しくはフレームパイプ870又は他の固定された場所に、磁石830を固定する方法で支持する目的で接続してもよい。リアクター820は、スクリーン上に、図2に例示した好ましい装着方法と同じ方法及び装着方位を用いて、トランスデューサ位置及び配向に対して配置されてもよい。
【0053】
磁石は、United Nuclear Scientific製であってもよく、定格がグレードN45の丸いネオジム磁石であってもよい。この直径は1.3cm(0.5")であり、厚さは0.318cm(0.125")である。説明したものと同様の匹敵する磁石を用いてもよい。説明した磁石のうちのいくつかを互いに積み重ねることによって同時に用いて、スクリーン振動を駆動する質量を増加させてもよい。更に、また他の形状及びサイズの高強度磁石を用いて同様の成功を収めることができる。また中間又は低強度の磁石とともに鉄鋼材料から作製される任意のリアクターを用いることができるが、設計仕様は、成功するためにかなり厳しくしてもよい。高強度磁石は、任意のグレードN40ネオジム磁石若しくはそれ以上か、又はグレードN40ネオジム磁石若しくはそれ以上と同等であり得る複数の磁石であってもよい。中間若しくは低強度の磁石又は任意の他の鉄鋼材料は、グレードN39ネオジム磁石の電界強度よりも小さい任意の電界強度を有する任意の磁石又は鉄鋼材料であってもよい。
【0054】
適切な電磁石には、強度とコストとの間のバランスが要求される場合がある。1つの電磁石は、製造業者が指示する電圧の直流(DC)が加えられたときに約10N〜981N(1Kg〜100Kg)の保持力を有してもよい。映画スクリーンに対する一部の電磁石は、約98〜785N(10〜80Kg)の範囲のDC保持力を有してもよい。スクリーンサイズ及び組成に応じて、概ね1〜9807N(0.1〜1000Kg力)の範囲の磁石を用いることができる。
【0055】
実際には、適切な電圧の複雑な信号を用いて電磁石を駆動することによって、スクリーンを振動させてもよい。電力供給範囲は、約12ボルト〜48ボルトであってもよい。電磁石を、スクリーンのフレームに強固に接続された固定電機子の端部に装着してもよく、その結果、フレームを通して失われる振動エネルギーが最小になり、スクリーンへの振動エネルギーが最大になる。電機子は、アセンブリの使用時に電機子が任意の方向に約0.318センチメートル(1/8インチ)未満の動きを維持し得る、鋼鉄、アルミニウム、若しくはプラスチック、又は任意の他の適切な材料で作製されてもよい。代替的に、電磁石を壁、フロア、及び/又は天井に直接固定して、リアクターに対する適切な距離を依然として維持しながら、固定状態を保持することができる。好ましい電磁石は、電機子に固定するためのいくつかの手段を有していてもよい。適切な電磁石は、Uxcell電磁石であってもよい。更に、電磁石は、DC 12V 40Kg/400N Lift Holding Electric Solenoid Electromagnet 49mm×21mm電磁石であってもよいが、同じパワー及び形態の他の任意の電磁石を用いてもよい。また他の適切な電磁石には、限定されないが、渦電流損失を最小限にするために鋼鉄コアが積層された高速スイッチングAC電磁石を挙げることができる。このような1つの例は、電磁石RE05−2(Magnetech Corp.製)であってもよい。またDC電流電磁石を用いてもよいが、動作には本来的な非効率さが伴うため、応用にとってはそれほど望ましくはない。
【0056】
AC信号を用いて電磁石を駆動することによって、常に反転する電磁界が、スクリーン上の高強度磁石が配置され得る領域内に発生する。図9は、スクリーンに接続された磁石に対するこの電磁界の効果を示す。図9は、交流電磁界に起因する誘起運動の側面図表現を例示する概略図である。図9は、スクリーン900、電磁石930、及びリアクター又は磁石920を含んでいる。電磁石の極性変化に応答して生じる磁石の動きによって、スクリーン内に振動が発生する場合がある。
【0057】
電磁石、スクリーンエッジ、及び磁石間の間隔は重大である。電磁石ができるだけスクリーンのエッジの近くにある一方で、それでも所定の位置に十分に固定されているときに、好ましい条件が存在する。更に、磁石はできるだけスクリーンエッジしたがって電磁石の近くになければならない。実際的な制限は、最適な動作からまた十分な動作に対して逸脱する場合があり、電磁石は、好ましくはスクリーンエッジから約5センチメートル(2インチ)以内であり、また合理的にスクリーンエッジの約30センチメートル(12インチ)以内でなくてはならない。スクリーン支持パッチを、パッチの底部エッジがスクリーンの底部エッジと同一平面になるように、スクリーンに適用することができる。スクリーン支持部材の底部エッジは、スクリーン支持部材内に配置された張力接続部の底部の上方であってもよい。磁石位置をスクリーン支持パッチの設計によって制御してもよく、これによって、スクリーンエッジの約5センチメートル(2インチ)内に磁石を配置してもよい。磁石をスクリーンから完全に離して配置することが可能である。例えば、堅いプラスチックパッチを用いることによって、パッチがスクリーンエッジ、及びパッチ上に配置された磁石からはみ出る可能性があるため、スクリーン支持部材がスクリーンと直接接触しない場合がある。
【0058】
トランスデューサは典型的に、互いから約0.3メートル〜18メートル(1フィート〜60フィート)で離間配置されて、許容レベルのスペックル除去を実現してもよい。冗長なトランスデューサは、より近接した(例えば約0.3メートル(1フィート)未満)間隔で配置されてもよい。
【0059】
振動デバイスのシステムには、駆動エレクトロニクス及びトランスデューサが含まれる。駆動エレクトロニクスは、1つのトランスデューサをそれぞれ、又は多くのトランスデューサを駆動することができる。駆動エレクトロニクス及び/又はトランスデューサを映画館自動化システムによって制御することができ、夜通し又は映画と映画との間はオフにしてもよい。またエレクトロニクスは、振動を検知することによって又はショート及び/オープン状態を検知することによって、トランスデューサの故障を検出することができる。特に、駆動エレクトロニクスは少なくとも2つのトランスデューサを駆動することができ、この場合、一方のトランスデューサを用いて、他方は第1のトランスデューサが破損したときに用いてもよい。第2のトランスデューサは冗長であり、このシステムによって全体的なシステム信頼性を大いに高めることができる。以下の図10は、冗長性を有するシステムの例を示す。図10は、冗長性を有するスペックル除去解決法の別の構成を例示する概略図である。図10は、スクリーン1000、ドライバ1090、並びにトランスデューサ1030a及び冗長なトランスデューサ1030bを含んでいる。この場合も、トランスデューサと冗長なトランスデューサとの組み合わせは、スクリーンの頂部及び底部並びに必要に応じて側面に沿って繰り返して、信頼性とスペックル除去設計仕様とを実現することができる。
【0060】
スピニングモーター又は音声コイル(励磁機として)を単音ドライバ信号とともに用いることによって、単一周波数支配又は高調波支配の励起(例えば正弦波形)になる。図11は、機械的トランスデューサを用いるスクリーン振動のスペクトルを例示するグラフである。更に、図11は、重り付きの軸外スピニングモーターを用いたときにスクリーン内に発生する周波数の画像を示す。
【0061】
スクリーンを良好な伝搬特性で機械的に励起すると定常波を発生させることができ、その付随する「節」は変位がほとんどないかまったくない。これらの小変位領域は可視スペックルを示し、これらのスペックル領域は、スクリーンにわたる波伝搬の詳細に依存するパターンで現れる。シーム構造又は取り付け機構に小さい差が生じると、複雑な定常波パターンとなるように見える。加えて、スクリーンの振動は可聴ノイズを生じ得る。単一周波数又は単一周波数付近の高調波に近い振動(例えば正弦波形)によって、スクリーンのスペックルを除去してもよい。
【0062】
周波数が高いと聞くのが簡単であり、したがって望ましくはない。周波数が小さいと、スペックルをなくすのに十分高速な波を誘起するのが難しくなり、ある投影機源による鼓動効果を引き起こす可能性がある。本明細書で説明する実施形態は、約20〜2000Hzの範囲の周波数を用いてスペックルの低減をもたらすことができ、約30〜700Hzの好ましい周波数範囲とともに用いることができる。これらの周波数によってスクリーン内に誘起される動きは、見ることが難しくなって、スペックルパターンをより良好に平均し、したがってスペックル可視性の軽減に対してより効果的となる。
【0063】
これらの問題を減らす2つの方法がある。第1の方法は、より複雑な振動スペクトルを用いてスクリーンを励起することである。周波数の範囲によって、事実上、高変位及び低変位の重複パターンが集まるため、スクリーンのすべての領域が可視スペックルを取り除くのに十分な動きを有する。
【0064】
図12は、約500Hz高周波カットオフを有する励起信号を例示するグラフである。更に、図12は、所望の高周波及び低周波の範囲を有するように適応させた一方で、依然として高極端及び低極端における望ましくない周波数をなくすように高周波及び低周波カットオフの両方を取り入れた、供給源の駆動信号を示す。このスペクトルは、その全体が本明細書に参照により援用される、同一の譲受人による米国特許出願第14/298,633号、「System and method for vibrating screens to reduce speckle」(2014年6月6日に出願)(代理人参照番号363001)に全般的に説明されているように、実験で用いた多くのうちの1つであり、その特定のスクリーン構成に対して、好ましくない可聴ノイズを引き起こすことなく全スクリーン面積上でスペックルの可視性を減らすのに効果的であった。
【0065】
本明細書で対処した主要問題は、過剰な可聴音又は可視表面波を生じさせることなく可視スペックルを取り除くのに効果的であり得る周波数の範囲を決定することであった。これを行なう1つの方法は、広域スペクトル「白色」又は「ピンク」ノイズで始めて、スクリーンの応答をモニタリングしながら、ハイ及びローパスフィルタをソフトウェア又はハードウェアにおいて調整することである。このバンドパス限定信号を用いてトランスデューサを駆動する考え方は、米国特許出願第14/298,633号、「System and method for vibrating screens to reduce speckle」(2014年6月6日に出願)(代理人参照番号363001)に記載されており、その全体が本明細書に参照により援用される。ノイズ源は、アナログ電子機器によることがあり、又はコンピュータープログラムからの擬似ランダムノイズストリームであり得る。実験目的で、ノイズストリームをMatlabで形成した後に、ソニーベガにおける音響フィルタ値を、満足のいく結果が達成されるまで実験的に変化させた。この場合も、正弦波から白色又は「ピンク」ノイズまでのいずれかを用いてもよい。
【0066】
定常波及び目に見える波反射を減らすための部分的な解決法としては、スクリーン終端を制動して、スクリーンのエッジからの進行波の反射を減衰させることが挙げられる。したがって、エラストマーのバンド又は制動バネが、好ましい装着ハードウェアであってもよい。代替的に、エネルギー吸収構造(例えば発泡体又はゴム片)を装着ハードウェア内に組み込むことができる。
【0067】
本明細書で説明する実施形態の非常に重要な態様は、スペックル除去解決法によって発生するノイズの著しい低減に対する可能性である場合がある。スクリーン上に配置された任意のトランスデューサによってある程度のレベルのノイズが生じる場合があり、映画館は非常に静かである可能性がある。商業劇場において聴衆がいない状態で映画と映画との間に、約25dBmが測定された。映画館全体において約30〜35dBmを実現することができる。実用的なトランスデューサタイプ(音声コイル、モータ、及び機械的トランスデューサを含む)であれば、スクリーンから3m(10ft)で測定したときに、35dBm超分のノイズを容易に発生させることができ、これは、ほとんどの映画館においてスクリーンから最前列席までとほぼ同等距離である。
【0068】
許容できるスペックル除去をもたらす音声コイル解決法は、所定の位置で消音を行なうことなく、トランスデューサから約3m(10ft)において概ね40〜55dBAの範囲内で発することが実験的に示されている。この実施形態を用いる同様の試験では、所定の位置で消音を行なうことなく概ね25〜40dBAの範囲内で発する間に、許容できるスペックル除去が実現されている。これは、音声コイルと比較したときにスペックル除去解決法によって発生するノイズの著しい低減を表している。これらの音圧レベル(SPL)を、以下の等式を用いて環境からバックグラウンドノイズを数学的に取り除いた後に計算した。
【0069】
【数1】
【0070】
SPL解決法は、スペックル除去解決法の音圧レベル(dBA)であり、I観察されたは、解決法及び試験環境の音強度レベルであり、Iバックグラウンドは、試験環境の音強度レベルであり、SPLバックグラウンドは、解決法及び試験環境の音圧レベルであり、SPL観察されたは、試験環境の音圧レベルである。
【0071】
実験データを音圧レベルに対するA−重み付けスケールを用いて集めた。なぜならば、それはヒトの聴覚の範囲に最も密接に関連する重み付けであり、したがって設計制約に最も適用可能であるからである。
【0072】
これらのスペックル除去解決法には実際には、偶然又は意図的な不正変更が生じる可能性を緩和又は除去する保護カバーが備え付けられていてもよい。スペックル除去機器の不正変更が最も起こりやすい時間は、日常的な映画館クリーニング及びメンテナンスの間である場合があり、スクリーン、フレーム、トランスデューサ、又は3つすべてがぶつかることで、位置合わせ不良となり得る。エンクロージャには保護用システムが入っていてもよい。このような設計の1つを図13及び14に示す。
【0073】
図13は、保護トランスデューサエンクロージャを例示する概略図であり、図14は、保護トランスデューサエンクロージャの断面図を例示する概略図である。最重要なことは、エンクロージャが電磁石及びリアクターを衝突又は衝撃から保護して、位置合わせ及び機能性をほぼ維持することである。更なる利益は、エンクロージャがスペックル除去解決法のノイズ出力を減らすことに役立つ場合があることである。エンクロージャに音減衰に対する対策(例えば音響発泡体又はゴム)が含まれている場合に、この効果は実質的に向上する。
【0074】
図13は、スクリーン1300、スクリーン支持部材1310、張力接続部1340、電磁石1330、及びエンクロージャ1380を含んでいる。図13に示すように、リアクター及び電磁石をエンクロージャ1380によって封入してもよい。
【0075】
図1400は、エンクロージャ1400、スロットスクリーン1410、電磁石空洞1420、電磁石ワイヤ出口1430、吸音用表面1440、及び装着孔1450を含んでいる。
【0076】
本明細書で説明する実施形態の重要な優位点は、移動する機械部品がないことであり、これは、長期使用すると、他のスクリーンベースのスペックル除去解決法の主要な障害点となる傾向がある。本明細書において説明したリアクターは、実際には、スクリーンの振動とともに動くが、その性能及び寿命は、動きには顕著には影響されない。トランスデューサ全体がスクリーン表面上に装着される他のスペックル除去解決法とは違い、本明細書で説明する実施形態では、スクリーンが直接熱又は電流にさらされることはない。これは、映画館スクリーンに関する安全規制を満たすのに有用である可能性がある。スクリーン上に完全に装着される他の解決法(例えば音声コイル又はモータ)では、スクリーンが熱及び電気負荷の両方にさらされるため、火災の危険が潜在的により高いことに起因して法的検査が強化される場合がある。
【0077】
基本的に、振動は、割れ目又は裂け目を開始して伝搬するための優れたメカニズムである。それは多くの場合、割れ目又は裂け目を開始して伝搬することに対して材料の弾力性を試験するために用いられる。しかしながら、このメカニズムは、スペックルを減らすために振動されるスクリーンの寿命に対する不利点として機能する。この問題点は、フレームの周りにスクリーンが巻かれる構成において更にいっそうはっきりとする場合があり、この構成では、スクリーン材料の部分が切り取られて、図8の場合と同様に電磁石がスクリーンと同一面内に装着されることを可能にする。これらの状況のすべてにおいて、割れ目又は裂け目が開始及び伝搬する可能性を減らすための非常に効果的な方法は、何らかの形態のエッジ保護をスクリーンのすべてのエッジに対して施すことである。エッジ保護は、接着された材料は、スクリーンエッジを支持し、またスクリーンエッジ付近の局所領域における振動エネルギーを抑制する、何らかの接着された材料の形態で存在する。梱包テープと同程度に単純な実施形態又はポリカーボネートストリップと同程度に複雑な実施形態はすべて、スクリーン上で割れ目又は裂け目が始まるか又は伝搬する可能性を減らすのに有効であることが分かっている。
【0078】
本明細書で使用され得るとき、用語「実質的に」及び「およそ(ほぼ)」は、それに対応する用語及び/又は項目間の相対性に対して、業界で受け入れられる許容範囲を付与するものである。このような、業界で受け入れられる許容範囲は、0パーセント〜10パーセントの範囲であり、成分値、角度などが該当するが、これらに限定されない。このような、項目間の相対性は、約0パーセント未満〜10パーセントの範囲である。
【0079】
本開示の各実施形態は、広範な光学系で使用することができる。実施形態は、種々のプロジェクタ、投影システム、光学部品、ディスプレイ、マイクロディスプレイ、コンピュータシステム、プロセッサ、自己内蔵型プロジェクタシステム、ビジュアルシステム及び/又はオーディオビジュアルシステム、並びに電気機器及び/又は光学機器を含んでよく、又はこれらとともに作動してもよい。本開示の態様は、光学機器及び電気機器、光学システム、プレゼンテーションシステム、又は任意の種類の光学システムを包含してもよい任意の装置に関連する、実質的にいかなる装置に使用されてもよい。したがって、本開示の実施形態は、視覚的な及び/又は光学的なプレゼンテーション、視覚的な周辺機器などにおいて、並びに多数のコンピュータ環境において使用される、光学システム、光学機器で用いられてもよい。
【0080】
理解されたいこととして、本開示は、他の実施形態が可能であるため、用途又は作成において、示した特定の配置の詳細に限定されない。更に、本開示の態様は、独自の固有の実施形態を規定するために様々な組み合わせ及び配置で述べられてもよい。また、本明細書で用いる専門用語は、説明するためのものであり、限定するためのものではない。
【0081】
本明細書に開示される原理による様々な実施形態を上述してきたが、それらは限定としてではなく単なる一例として提示されていることを理解されたい。それ故、この開示の広さ及び範囲は、上述した例示的な実施形態のいずれによっても制限されてはならず、請求項のいずれか、及び本開示に由来するそれらの均等物に従ってのみ規定されるべきである。更に、上述の利点及び特徴が記載された実施形態において提供されるが、かかる公開される特許請求の範囲の用途を、上述の利点のいずれか又はすべてを達成する方法及び構造に限定するものではない。
【0082】
加えて、本明細書におけるセクションの見出しは、37 CFR 1.77の規定するところに従って、さもなくば、編成上の目印として提供されるものである。これらの見出しは、本開示から生じ得る請求項に定める(単数又は複数の)実施形態を限定したり又は特徴付けたりしないものとする。具体的には、単に例示ではあるが、「技術分野」という見出しがあるが、いわゆる分野を説明するためにこの見出しの下に選択された表現によって、特許請求の範囲が限定されることはない。更に、「背景技術」に記載された技術に関する記述は、特定の技術が、本開示における任意の(単数又は複数の)実施形態に対する先行技術であることの承認として、解釈されるべきではない。「発明の概要」についても、公開される請求項で述べられる(単数又は複数の)実施形態を特徴付けるものとして考慮されるべきでない。更に、本開示においては、単数形での「発明」に対するいずれの言及も、本開示における新規な点が1つのみである、ということを主張するために使用されるべきではない。複数の実施形態は、本開示により、公開される複数の請求項の限定に従って、述べられる場合がある。したがって、これらの請求項は、この(単数又は複数の)実施形態及びそれらの均等物を定義することによって、それらを保護している。すべての例において、かかる請求項の範囲は、本開示に照らして、固有の利点が考慮されるべきであり、本明細書で定める見出しによって制約されてはならない。
図1
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