(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、積層型の電気化学セルにおいて、更なる高容量化を図るには、正極層及び負極層を多層化することが考えられる。
しかしながら、上述した全固体型の電気化学セルにあっては、固体電解質のペースト材と、正極層及び負極層のペースト材と、を積層した後、乾燥・焼成を行う必要があるため、正極層及び負極層の多層化には限界があり、高容量化を図ることが難しかった。
【0005】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、多層化を簡単に実現できるとともに、多層化に伴う高容量化を図ることができる電気化学セルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を提供する。
本発明に係る電気化学セルは、正極層及び負極層がポリマー電解質を介してそれぞれ積層されてなる複数の電極シートと、前記電極シートが積層されてなる電極群と、前記電極群を収納する外装体と、を備え、前記電極シートは、前記正極層に接続されるとともに、積層方向で隣り合う前記電極シートとのシート対向面上に露出する正極ビアと、前記負極層に接続されるとともに、前記シート対向面上に露出する負極ビアと、を有し、隣り合う前記電極シートは、前記シート対向面同士が互いに接合されるとともに、前記シート対向面上において、隣り合う前記電極シートの前記正極ビア同士が接続され、隣り合う前記電極シートの前記負極ビア同士が接続されていることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、複数の電極シート同士が積層されて電極群が構成されているため、電極シートの積層数に応じて電極群の厚さ寸法を適宜調整できる。この場合、複数の電極シートの積層により電極群を構成することで、例えば一枚の電極シートにより同等の厚さの電極群を構成した場合に比べて電極シートを高精度に形成できる。これにより、電極群の平面視外形を所望の形状に高精度に形成できる。
また、電極シートの外形形状に応じて電極群の平面視形状が決定されるので、電極群の平面視形状を簡単に調整できる。その結果、設計の自由度を向上させることができる。
しかも、同一の電極シートや、隣り合う電極シートの正極層同士及び負極層同士が、正極ビア及び負極ビアを介してそれぞれ接続されるので、正極層同士及び負極層同士を並列接続することができ、多層化に伴う二次電池の高容量化を図ることができる。
【0008】
また、本発明に係る電気化学セルにおいて、前記外装体は、前記電極群を積層方向の一端側から覆う正極側容器と、前記電極群を積層方向の他端側から覆う負極側容器と、を備え、複数の前記電極シートのうち、積層方向の一端側に位置する前記電極シートの前記正極側容器との容器対向面は、前記正極層により構成されるとともに、前記正極側容器に電気的に接続され、複数の前記電極シートのうち、積層方向の他端側に位置する前記電極シートの前記負極側容器との容器対向面は、前記負極層により構成されるとともに、前記負極側容器に電気的に接続されていてもよい。
この構成によれば、電極群が、容器側対向面それぞれを構成する正極層及び負極層を介して正極側容器及び負極側容器に電気的に接続されているため、電極群と各容器とを簡単、かつ確実に接続することができる。その結果、電気的信頼性を確保することができる。
【0009】
また、本発明に係る電気化学セルにおいて、前記電極群は、積層方向から見た平面視で多角形状を呈していてもよい。
この構成によれば、電極シートよりも外形が大きい母材シートから、複数の電極シートを得る場合に、例えば隣り合う電極シートの辺部分同士を重ね合わせた状態で、電極シートを打ち抜くことで、電極シートを円形状に打ち抜く場合に比べて、母材シートのうち、隣り合う電極シート間に形成されるスクラップ部分を小さくすることができる。これにより、母材シートを有効活用することができるので、製造コストの削減が可能となる。
【0010】
また、本発明に係る電気化学セルにおいて、前記外装体の内面形状は、前記平面視で円形状を呈し、前記電極群は、前記平面視で六角形状を呈していてもよい。
この構成によれば、母材シートから複数の電極シートを得る場合に、隣り合う電極シート間に形成されるスクラップ部分を確実に小さくすることができ、製造コストの更なる削減が可能となる。
また、内面形状が平面視で円形状の外装体内に、平面視で六角形状の電極群が収納されるので、上述した製造コストの削減を図った上で、外装体に対する電極群の体積効率を確保できる。なお、電極群と外装体の内面との間には、隙間が形成されることになるので、電気化学セルの充放電に伴う膨張時に電極群と外装体の内面とが干渉するのも抑制できる。
【0011】
また、本発明に係る電気化学セルにおいて、隣り合う前記電極シートの前記シート対向面のうち、少なくとも一方の前記シート対向面は、前記ポリマー電解質により構成され、隣り合う前記電極シートの前記シート対向面同士は、前記ポリマー電解質を介して互いに接合されてもよい。
この構成によれば、シート対向面がポリマー電解質により構成されているため、電極層がポリマー電解質によって被覆されることになる。これにより、電極層を保護することができるので、ハンドリング性を向上させるとともに、歩留まりを向上させることができる。
【0012】
また、本発明に係る電気化学セルにおいて、隣り合う前記電極シートの前記シート対向面は、前記正極層及び前記負極層のうち、同極の電極層により構成され、隣り合う前記電極シートの前記シート対向面同士は、同極の前記電極層を介して互いに接合されてもよい。
この構成によれば、同極の電極層を介して電極シート同士を直接接合することで、ポリマー電解質を介して各電極シートを接合する構成に比べて薄型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、多層化を簡単に実現できるとともに、多層化に伴う高容量化を図ることができる電気化学セルを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、本発明の電気化学セルとして、二次電池の一種であるポリマーリチウムイオン二次電池(以下、単に二次電池という)を例にして説明する。また、以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
[二次電池]
図1は、
図3のI−I線に相当する二次電池1の断面図である。
図1に示すように、本実施形態の二次電池1は、いわゆるボタン型の二次電池1であって、外装体2と、外装体2内に収納された電極群3と、を備えている。
【0016】
<外装体>
外装体2は、平面視で円形状を呈している。具体的に、外装体2は、有底筒状の正極側容器11と、ガスケット12を介して正極側容器11に組み付けられるとともに、正極側容器11との間に収納空間Sを画成する有頂筒状の負極側容器13と、を有している。図示の例において、正極側容器11及び負極側容器13は、それぞれの中心軸線が共通軸上に位置している。以下、この共通軸を軸線Oといい、軸線O方向に沿う負極側容器13側を上側といい、正極側容器11側を下側といい、軸線O方向から見た平面視で軸線Oに直交する方向を径方向といい、軸線O回りに周回する方向を周方向という。
【0017】
正極側容器11及び負極側容器13は、例えばステンレス等の板材を絞り加工等して形成されている。図示の例において、正極側容器11の内径は、負極側容器13の外径よりも大きくなっている。
ガスケット12は、軸線Oと同軸状に配置された環状とされ、正極側容器11の周壁部11a内に嵌合されている。ガスケット12には、負極側容器13の周壁部13aを保持する溝部14が全周に亘って形成されている。そして、負極側容器13は、周壁部13aがガスケット12の溝部14内に保持された状態で、正極側容器11の周壁部11aを径方向の内側にカシメることで正極側容器11に固定されている。なお、ガスケット12は、樹脂材料(例えば、ポリプロピレン(PP))等の絶縁性を有する材料により構成されている。
【0018】
<電極群>
図2は電極群3の分解断面図である。
図1、
図2に示すように、電極群3は、複数の電極シート21〜23が軸線O方向で積層された積層型とされている。具体的に、本実施形態の電極群3は、第1電極シート21、中間電極シート22、及び第2電極シート23が下方から上方(積層方向の一端側から他端側)にかけて順に積層されて構成されている。なお、以下の説明では、各電極シート21〜23間で同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0019】
第1電極シート21は、正極活物質を含む第1正極層(正極層)31、及び負極活物質を含む第1負極層(負極層)32がポリマー電解質33を介して交互に積層されている。なお、第1電極シート21において、第1正極層31及び第1負極層32は、同じ層数積層されている。
第1正極層31は、電極群3の最下層(容器側対向面)を構成する正極集電層34と、ポリマー電解質33間に配置された正極接続層35と、を有している。
【0020】
図3は正極集電層34の平面図であり、
図4は正極接続層35の平面図である。
図1〜
図3に示すように、正極集電層34は、正極側容器11の底壁部11b上に配置され、正極側容器11に電気的に接続されている。
図1、
図2、
図4に示すように、正極接続層35には、正極接続層35を軸線O方向に貫通する逃げ孔36が、軸線O方向に直交する面内方向で間隔をあけて千鳥状に配列されている。
【0021】
図5は、負極接続層41の平面図である。
図1、
図2、
図5に示すように、第1負極層32は、正極接続層35に対して軸線O方向の両側にポリマー電解質33を介して配置された負極接続層41を有している。負極接続層41には、負極接続層41を軸線O方向に貫通する逃げ孔42が上述した面内方向で間隔をあけて千鳥状に形成されている。本実施形態において、上述した正極接続層35及び負極接続層41の逃げ孔36,42は、それぞれ同等の内径とされている。さらに、
図1に示すように、各接続層35,41の逃げ孔36,42は、異極の接続層35,41の逃げ孔36,42と軸線O方向で重ならない位置(具体的には、面内方向において異極の接続層35,41の各逃げ孔36,42間に位置する部分)に形成されている。なお、第1電極シート21において、各負極接続層41のうち最上層に位置する負極接続層41は、上述した正極接続層35よりも上方に位置している。
【0022】
図1、
図2に示すように、ポリマー電解質33は、ポリエチレンオキシド等のホストポリマーにリチウム支持塩を添加したドライ系ポリマー電解質、ポリフッ化ビニリデン等のマトリックスポリマーに電解液が含有されたゲル系ポリマー電解質、及びメタクリル酸メチル等のビニルモノマーにEMITFSI等のイオン液体を加えてその場重合させたイオンゲル電解質のいずれかが利用できるが、実用温度域(−20℃〜60℃)でイオン伝導度が高く、耐酸化性が良いことから特にゲル系ポリマー電解質が良い。
ゲル系ポリマー電解質のマトリックスポリマーには、ポリエチレンオキシド、ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン−パーフルオロエチレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン−トリフルオロエチレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン−フルオロエチレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン−プロピレンコポリマー、これらの誘導体、さらにこれらの共重合体や、混合物等を用いることができる。特に、ポリフッ化ビニリデンやポリフッ化ビニリデンーヘキサフルオロプロピレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレンコポリマーは熱可塑性であり、さらに、電極等の構成材料を劣化させない温度で圧着可能であるため、各電極シート21〜23を良好に圧着することができる。さらにこれらの材料は、積層体(後述する母材シート70)を作製する工程時は電解液を含まないゲル化前の状態で扱うことができ、積層体を作製した後にゲル化工程を行うことが可能であるため、積層体を作製しやすい。また、可塑剤であるジブチルフタレートをシート作製時に添加し、積層体を作製した後に、ジエチルエーテルやテトラヒドロフラン等の無極性有機溶媒で抽出することによってマトリックスポリマーを多孔構造とすることができ、電解液の保液率を向上させ、イオン伝導度を高めることが可能である。
電解液には、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ビニレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチル−n−ブチルカーボネート、メチル−t−ブチルカーボネート、ジ−i−プロピルカーボネート、t−ブチル−i−プロピルカーボネート等のカーボネート類、γ−ブチロラクトン、γ―バレロラクトン、ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酪酸エチル等のエステル類、ジメトキシエタン、エトキシメトキシメタン、ジエトキシエタン等のエーテル類、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン等のフラン類、スルホラン、テトラメチエルスルホラン等のスルホラン類、1、3−ジオキソラン等のジオキソラン類等の有機溶媒にLiPF
6、LiBF
4、LiAsF
6、LiSbF
6、LiSiF
6、LiAlF
4、LiSCN、LiCl、LiClO
4、LiF、LiBr、LiI、LiAlCl
4、LiCF
3SO
3、LiTFSI,LiBETI等のリチウム支持塩を溶解したリチウムイオン電池で一般的に使用される電解液を用いることができるが、電解液の材料はこれらに限られない。
また、ゲル系ポリマー電解質には、高温時のゲルの流動性を抑制し、強度向上のためにシリカやアルミナ等の無機微粒子を加えてもよい。
【0023】
このような材料により作製されるポリマー電解質33は、第1正極層31及び第1負極層32間に介在して、第1正極層31及び第1負極層32間を隔離する。さらに、ポリマー電解質33は、各負極接続層41のうち、最上層に位置する負極接続層41上にも形成され、第1電極シート21の最上層(中間電極シート22とのシート対向面)を構成している。なお、本実施形態のポリマー電解質33は、上述した各接続層35,41の逃げ孔36,42内にも充填されている。
【0024】
図2に示すように、第1電極シート21には、各第1正極層31(正極集電層34及び正極接続層35)同士を並列接続する第1正極ビア44と、各第1負極層32(負極接続層41)同士を並列接続する第1負極ビア45と、が形成されている。
第1正極ビア44は、第1電極シート21において、負極接続層41の逃げ孔42と軸線O方向で重なる部分を軸線O方向に沿って延設されている。具体的に、
図2〜
図5に示すように、第1正極ビア44は、ポリマー電解質33及び正極接続層35を貫通するとともに、正極接続層35に電気的に接続されている。
【0025】
第1正極ビア44は、その下端部が正極集電層34に電気的に接続され、上端面が第1電極シート21の上面(シート対向面)上で露出している。また、
図2、
図5に示すように、第1正極ビア44は、外径が負極接続層41における逃げ孔42の内径よりも小さくなっており、逃げ孔42内でポリマー電解質33を介して負極接続層41と隔離されている。なお、第1正極ビア44の下端部は、正極集電層34に電気的に接続されていれば、正極集電層34を貫通していても、貫通していなくても構わない。
【0026】
図2、
図4に示すように、第1負極ビア45は、第1電極シート21において、正極接続層35の逃げ孔36と軸線O方向で重なる部分を軸線O方向に沿って延設されている。具体的に、第1負極ビア45は、ポリマー電解質33及び負極接続層41を貫通して、各負極接続層41に電気的に接続されている。第1負極ビア45は、その下端面が最下層の負極接続層41に接続され、上端面が第1電極シート21の上面(シート対向面)上で露出している。また、第1負極ビア45は、外径が正極接続層35における逃げ孔36の内径よりも小さくなっており、逃げ孔36内でポリマー電解質33を介して正極接続層35と隔離されている。
【0027】
図2に示すように、中間電極シート22は、中間正極層(正極層)51及び中間負極層(負極層)52がポリマー電解質33を介して交互に積層されている。なお、中間電極シート22において、中間正極層51及び中間負極層52は、同じ層数積層されている。
【0028】
図2、
図4に示すように、中間正極層51は、上述した第1電極シート21の正極接続層35と同様の構成とされた複数の正極接続層35を有している。この場合、正極接続層35の逃げ孔36は、各電極シート21,22間において、面内方向で同等の位置に形成されている。
図2、
図5に示すように、中間負極層52は、上述した第1電極シート21の負極接続層41と同様の構成とされた複数の負極接続層41を有している。この場合、負極接続層41の逃げ孔42は、各電極シート21,22間において、面内方向で同等の位置に形成されている。なお、中間電極シート22において、各負極接続層41のうち最上層の負極接続層41は、各正極接続層35のうち最上層の正極接続層35よりも上方に位置している。
【0029】
ポリマー電解質33は、各接続層35,41間に介在して、各接続層35,41間を隔離するとともに、中間電極シート22における最上層及び最下層を構成している。
【0030】
図2、
図4、
図5に示すように、中間電極シート22には、各正極接続層35(中間正極層51)同士を並列接続する中間正極ビア54と、各負極接続層41(中間負極層52)同士を並列接続する中間負極ビア55と、が形成されている。
中間正極ビア54は、上述した第1正極ビア44と同軸上に配置され、中間電極シート22において、負極接続層41の逃げ孔42と軸線O方向で重なる部分を軸線O方向に沿って延設されている。具体的に、中間正極ビア54は、ポリマー電解質33及び正極接続層35を貫通するとともに、各正極接続層35に電気的に接続されている。中間正極ビア54の上下端面は、中間電極シート22の上下面(シート対向面)でそれぞれ露出している。中間正極ビア54は、外径が上述した第1正極ビア44と同等の外径となっており、負極接続層41の逃げ孔42内でポリマー電解質33を介して負極接続層41と隔離されている。
【0031】
中間負極ビア55は、上述した第1負極ビア45と同軸上に配置され、中間電極シート22において、正極接続層35の逃げ孔36と軸線O方向で重なる部分を軸線O方向に沿って延設されている。具体的に、中間負極ビア55は、ポリマー電解質33及び負極接続層41を貫通するとともに、各負極接続層41に電気的に接続されている。中間負極ビア55の上下端面は、中間電極シート22の上下面(シート対向面)でそれぞれ露出している。中間負極ビア55は、外径が上述した第1負極ビア45と同等の外径となっており、正極接続層35の逃げ孔36内でポリマー電解質33を介して正極接続層35と隔離されている。
【0032】
図1、
図2に示すように、第1電極シート21及び中間電極シート22は、ポリマー電解質33のうち第1電極シート21の最上層を構成するポリマー電解質33、及び中間電極シート22のうち最下層を構成するポリマー電解質33を介して互いに接合されている。このとき、各第1正極ビア44及び各中間正極ビア54のうち、面内方向で対応する第1正極ビア44及び各中間正極ビア54同士が互いに接続される。さらに、各第1負極ビア45及び各中間負極ビア55のうち、面内方向で対応する各第1負極ビア45及び各中間負極ビア55同士が互いに接続される。これにより、第1電極シート21及び中間電極シート22の正極層31,51及び負極層32,52同士が、正極ビア44,54及び負極ビア45,55を介してそれぞれ並列接続される。
【0033】
第2電極シート23は、第2正極層(正極層)61及び第2負極層(負極層)62がポリマー電解質33を介して交互に積層されている。なお、第2電極シート23において、第2正極層61及び第2負極層62は、同じ層数積層されている。
第2正極層61は、上述した第1電極シート21の正極接続層35と同様の構成とされた複数の正極接続層35を有している。この場合、正極接続層35の逃げ孔36は、各電極シート21〜23間において、面内方向で同等の位置に形成されている。
【0034】
図6は負極集電層63の平面図である。
図1、
図6に示すように、第2負極層62は、電極群3の最上層(容器側対向面)を構成する負極集電層63と、ポリマー電解質33間に配置された負極接続層41と、を有している。
負極集電層63は、負極側容器13における天壁部13bに電気的に接続されている。
図2、
図5に示すように、負極接続層41には、上述した電極シート21,22における負極接続層41の逃げ孔42と面内方向で同等の位置に逃げ孔42が形成されている。なお、第2電極シート23において、負極接続層41は、上述した正極接続層35のうち、最下層に位置する正極接続層35よりも上方に位置している。
【0035】
図2に示すように、ポリマー電解質33は、第2正極層61及び第2負極層62間に介在して、第2正極層61及び第2負極層62間を隔離している。さらに、ポリマー電解質33は、各正極接続層35のうち、最下層に位置する正極接続層35の下面にも形成され、第2電極シート23の最下層(中間電極シート22とのシート対向面)を構成している。
【0036】
第2電極シート23には、各第2正極層61(正極接続層35)同士を並列接続する第2正極ビア64と、各第2負極層62(負極接続層41及び負極集電層63)同士を並列接続する第2負極ビア65と、が形成されている。
図2、
図4、
図5に示すように、第2正極ビア64は、上述した各正極ビア44,54と同軸上に配置されるとともに、第2電極シート23において、負極接続層41の逃げ孔42と軸線O方向で重なる部分を軸線O方向に沿って延設されている。具体的に、第2正極ビア64は、ポリマー電解質33及び正極接続層35を貫通するとともに、各正極接続層35に電気的に接続されている。第2正極ビア64は、その上端部が最上層の正極集電層34内で終端し、下端面が第2電極シート23の下面(シート対向面)上で露出している。また、第2正極ビア64の外径は、負極接続層41における逃げ孔42の内径よりも小さくなっており、逃げ孔42内でポリマー電解質33を介して負極接続層41と隔離されている。
【0037】
第2負極ビア65は、上述した各負極ビア45,55と同軸上に配置され、第2電極シート23において、正極接続層35の逃げ孔36と軸線O方向で重なる部分を軸線O方向に沿って延設されている。具体的に、第2負極ビア65は、ポリマー電解質33及び負極接続層41を貫通するとともに、負極接続層41に電気的に接続されている。
【0038】
第2負極ビア65は、その上端部が負極集電層63に電気的に接続され、下端面が第2電極シート23の下面(シート対向面)上で露出している。また、第2負極ビア65の外径は、正極接続層35における逃げ孔36の内径よりも小さくなっており、逃げ孔36内でポリマー電解質33を介して正極接続層35と隔離されている。なお、第2負極ビア65の上端部は、負極集電層63に電気的に接続されていれば、正極集電層34を貫通していても、貫通していなくても構わない。
【0039】
中間電極シート22及び第2電極シート23は、ポリマー電解質33のうち中間電極シート22の最上層を構成するポリマー電解質33、及び第2電極シート23のうち最下層を構成するポリマー電解質33を介して互いに接合されている。このとき、各中間正極ビア54及び各第2正極ビア64のうち、面内方向で対応する中間正極ビア54及び第2正極ビア64同士が互いに接続される。さらに、各中間負極ビア55及び各第2負極ビア65のうち、面内方向で対応する中間負極ビア55及び第2負極ビア65同士が互いに接続される。これにより、中間電極シート22及び第2電極シート23の正極層51,61及び負極層52,62同士がそれぞれ並列接続される。
【0040】
このように、本実施形態の電極群3は、複数の電極シート21〜23が軸線O方向で積層されとともに、各正極層41,51,61同士及び各負極層42,52,62同士が正極ビア44,54,64及び負極ビア45,55,65を介して互いに並列接続されている。そして、電極群3は、積層方向を軸線O方向に一致させた状態で、収納空間S内に収納されている。さらに、電極群3は、第1電極シート21の正極集電層34を介して正極側容器11に接続されるとともに、第2電極シート23の負極集電層63を介して負極側容器13に接続されている。
【0041】
図7は電極群3の概略平面図である。
ここで、
図7に示すように、電極群3は、軸線O方向から見た平面視で六角形状を呈している。具体的に、電極群3は、外形が負極側容器13における周壁部13aの内形(平面視における内面形状)よりも小さくなっており、負極側容器13の周壁部13aに対して径方向に間隔をあけた状態で収納空間S内に収納されている。この場合、電極群3の各頂点部分は、隣り合う頂点部分間を接続する辺部分よりも負極側容器13の周壁部13aに対して径方向に近接している。
図3〜
図6に示すように、本実施形態では、電極群3の各頂点部分に正極ビア44,54,64及び負極ビア45,55,65の何れかが位置している。なお、電極群3の外周面に、電極群3を径方向の外側から囲繞する図示しない絶縁部材を配設し、電極群3と負極側容器13との間の絶縁を図るように構成しても構わない。
【0042】
[二次電池の製造方法]
次に、上述した二次電池1の製造方法について説明する。
ここでは、ポリマー電解質33の材料に、上述したポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマーを用いた二次電池1の製造方法を記す。なお、後述する積層工程までの各工程において、ポリマー電解質33は、ゲル化前(電解液なし)の状態のグリーンシートによって作製するものとする。
【0043】
(1:シート作製工程)
シート作製工程では、各電極シート21〜23を構成するグリーンシートを作製する。ここでは、電解質グリーンシート、正極グリーンシート、及び負極グリーンシートを作製する。
【0044】
まず、電解質グリーンシートは、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマーとジブチルフタレート、シリカ微粒子を重量比45:45:10で適量のアセトンに溶解し、離形フィルムにキャスト、乾燥することで作製する。
【0045】
また、正極グリーンシートは、電極材料としてLiCoO
2、導電助剤としてアセチレンブラック、ポリフッ化ビニリデンーヘキサフルオロプロピレンコポリマー、ジブチルフタレートを重量比85:5:5:5として、さらに適量のアセトンで混合してスラリー状にし、離形フィルムにキャスト、乾燥することで作製する。
【0046】
また、負極グリーンシートは、電極材料として人造黒鉛、ポリフッ化ビニリデンーヘキサフルオロプロピレンコポリマー、ジブチルフタレートを重量比90:5:5として、さらに適量のアセトンで混合してスラリー状にし、離形フィルムにキャスト、乾燥することで作製する。
【0047】
(2:ビア形成工程)
次に、シート作製工程によって得られた各グリーンシートに対して、ビア(例えば、正極ビア44,54,64や負極ビア45,55,65)を形成する。この工程では、各グリーンシートを厚さ方向で並列接合するために、電解質グリーンシート、正極グリーンシート、負極グリーンシートのそれぞれに穴を形成する。穴を形成する際は、レーザー加工機(例えばパナソニックデバイスSUNX製、LP−V15U)を用いる。なお、ビアの密度を上げるために、正極グリーンシート、及び負極グリーンシートそれぞれのビアをスクリーン印刷機で印刷することも可能である。
【0048】
(3:積層工程)
所望のパターンに基づいてビアが形成された電解質グリーンシート、正極グリーンシート、及び負極グリーンシートを積層機でそれぞれ積層する。熱圧着条件は130℃とする。なお、ここまでの工程は、全て大気下で行っている。
【0049】
(4:打ち抜き工程)
図8は、母材シート70をポリマー電解質33側から見た平面図である。
続いて、各グリーンシートが積層された状態の積層体(母材シート70)に対して、打ち抜き工程を実施する。具体的には、
図8に示すように、第1電極シート21と同様の層構成からなるとともに、外形が第1電極シート21よりも大きい矩形状の母材シート70を、第1電極シート21の外形に合わせて打ち抜く。このとき、隣り合う第1電極シート21同士において、辺部分の一辺同士が重なり合うように、複数の第1電極シート21を順次打ち抜いていく(
図8中鎖線参照)。これにより、複数の第1電極シート21が母材シート70から隙間なく形成される。
【0050】
なお、母材シート70において、第1正極ビア44及び第1負極ビア45は、面内方向のうち、一方向に間隔をあけて交互に並んでビア列を構成するとともに、このビア列が一方向に直交する他方向に間隔をあけて配列されている。さらに、他方向で隣り合うビア列の同極のビア(正極ビア44同士及び負極ビア45同士)は、半ピッチずつずれて配列されている。すなわち、正極ビア44及び負極ビア45は、面内方向のうち、一方向及び他方向に間隔をあけて交互に配列されている。
【0051】
続いて、上述した第1電極シート21と同様の方法により、中間電極シート22及び第2電極シート23を形成する。すなわち、中間電極シート22及び第2電極シート23それぞれと同様の層構成からなる母材シート70を、中間電極シート22及び第2電極シート23の外形に合わせて打ち抜く。
【0052】
(5:電極群形成工程)
次に、各電極シート21〜23を積層して電極群3を形成する。まず、第1電極シート21上に中間電極シート22を積層する。具体的には、
図2に示すように、第1電極シート21と中間電極シート22とを面内方向で位置合わせし、その後両者を軸線O方向に接近移動させる。このとき、第1電極シート21及び中間電極シート22間において、対応する正極ビア44,54及び負極ビア45,55同士が面内方向で同等の位置に配置されるように、両電極シート21,22を位置合わせする。これにより、第1電極シート21及び中間電極シート22が、第1電極シート21の最上層及び中間電極シート22の最下層を構成するポリマー電解質33を介して接合される。さらに、対応する正極ビア44,54及び負極ビア45,55同士が、各電極シート21,22間で接続される。
【0053】
続いて、第1電極シート21及び中間電極シート22の積層体に第2電極シート23を積層する。具体的には、上述した第1電極シート21及び中間電極シート22の積層方法と同様の方法により、中間電極シート22上に第2電極シート23を積層する。
以上により、電極群3が完成する。電極群3の完成後、積層体内のジブチルフタレートをジエチルエーテルで抽出し、乾燥する。なお、乾燥以降の工程はドライ環境下で行う。
【0054】
(6:セット工程)
図9は、二次電池1の製造方法において、セット工程を説明するための工程図である。
次に、
図9に示すように、電極群3を正極側容器11内にセットする。具体的には、電極群3の正極集電層34と正極側容器11とを軸線O方向で対向させた状態で、電極群3と正極側容器11とを軸線O方向に相対的に接近移動させ、正極集電層34を底壁部11b上にセットし、電解液を滴下し、マトリックスポリマーをゲル化する。
【0055】
続いて、負極側容器13を正極側容器11に固定する。具体的には、負極側容器13の周壁部13aをガスケット12の溝部14内に挿入した後、正極側容器11の周壁部11aを径方向の内側に向けてカシメる。
これにより、負極側容器13が正極側容器11に固定され、上述した二次電池1が完成する。なお、ガスケット12がセットされた負極側容器13に対して、電極群3をセットし、その後正極側容器11を負極側容器13に固定する方法であっても構わない。
【0056】
このように、本実施形態では、複数の電極シート21〜23同士が積層されて電極群3が構成されているため、電極シート21〜23の積層数に応じて電極群3の厚さ寸法を適宜調整できる。この場合、複数の電極シート21〜23の積層により電極群3を構成することで、例えば一枚の電極シートにより同等の厚さの電極群を構成した場合に比べて母材シート70からの打ち抜き等を高精度に行うことができる。これにより、電極群3の平面視外形を所望の形状に高精度に形成できる。
また、電極シート21〜23の外形形状に応じて電極群3の平面視形状が決定されるので、例えば母材シート70から打ち抜く電極シート21〜23の外形形状に合わせて電極群3の平面視形状を簡単に調整できる。その結果、設計の自由度を向上させることができる。
【0057】
特に、本実施形態では、複数の電極シート21〜23同士が半固体状のポリマー電解質33を介して接合されているため、各電極シート21〜23の多層化を簡単に実現できる。さらに、各電極シート21〜23のシート対向面がポリマー電解質33により構成されているため、正極接続層35や負極接続層41がポリマー電解質33によって被覆されることになる。これにより、正極接続層35や負極接続層41を保護することができるので、ハンドリング性を向上させるとともに、歩留まりを向上させることができる。
しかも、同一の電極シート21〜23、及び隣り合う電極シート21〜23の正極層31,51,61同士及び負極層32,52,62同士が、正極ビア44,54,64及び負極ビア45,55,65を介してそれぞれ接続される。そのため、正極層31,51,61同士及び負極層32,52,62同士を並列接続することができ、多層化に伴う二次電池1の高容量化を図ることができる。
【0058】
また、第1電極シート21が正極集電層34を介して正極側容器11に電気的に接続されるとともに、第2電極シート23が負極集電層63を介して負極側容器13に電気的に接続されているため、電極群3と各容器11,13とを簡単、かつ確実に接続することができる。その結果、電気的信頼性を確保することができる。
【0059】
さらに、電極群3が平面視で六角形状を呈しているため、例えば母材シート70に対して各第1電極シート21の辺部分を重ね合わせて打ち抜き等を行うことで、隣り合う第1電極シート21間にスクラップ部分を発生させずに、複数の第1電極シート21を母材シート70から得ることができる。そのため、母材シート70全体を有効活用することができるので、製造コストの削減が可能となる。
また、内面形状が平面視で円形状の外装体2内に、平面視で六角形状の電極群3が収納されているので、上述した製造コストの削減を図った上で、外装体2に対する電極群3の体積効率を確保できる。なお、電極群3と外装体2(負極側容器13)の内面との間には、隙間が形成されることになるので、二次電池1の充放電に伴う膨張時に電極群3と外装体2の内面とが干渉するのも抑制できる。
【0060】
なお、本発明の技術範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上述した実施形態では、第1電極シート21、中間電極シート22、及び第2電極シート23からなる3層構成の電極群3について説明したが、これに限られない。例えば、第1電極シート21及び第2電極シート23が積層されてなる2層構成の電極群としてもよく、4層以上の電極群としても構わない。なお、4層以上の電極群を形成する場合は、第1電極シート21及び第2電極シート23間に介在する中間電極シート22の積層数を調整することが好ましい。
【0061】
また、上述した実施形態では、第1電極シート21の正極集電層34と、第2電極シート23の負極集電層63と、を介して電極群3が外装体2に電気的に接続された構成について説明したが、これに限られない。すなわち、電極群3と外装体2との接続方法は、適宜設計変更が可能である。
【0062】
さらに、上述した実施形態では、電極群3を平面視六角形状に形成した場合について説明したが、これに限らず、円形状であっても、六角形状以外の多角形状であっても構わない。なお、電極群3を多角形状とした場合であっても、母材シート70上において、隣り合う電極シートの辺部分を重ね合わせて打ち抜くことで、電極シートを円形状に形成する場合に比べてスクラップ部分を小さくすることができる。
また、上述した実施形態では、母材シート70上において、隣り合う電極シートの辺部分同士を重ね合わせて打ち抜く構成について説明したが、打ち抜き方法は適宜設計変更が可能である。例えば、隣り合う電極シートの辺部分同士を近接させた状態で打ち抜いても構わない。
さらに、電極シートは、打ち抜き以外の方法によって母材シート70から分離させても構わない。
また、上述した実施形態では、電極シートの外形よりも大きい母材シート70から複数の電極シートを得る場合について説明したが、これに限られない。すなわち、電極シートを一層ずつ形成しても構わない。この場合であっても、複数の電極シートを積層して電極群を構成することで、例えば一枚の電極シートにより同等の厚さの電極群を構成する場合に比べて各電極シートを高精度に形成できる。
【0063】
また、上述した実施形態では、各電極シートのうち、双方のシート対向面にポリマー電解質が形成された構成について説明したが、これに限られない。すなわち、少なくとも一方の電極シートのうち、一方のシート対向面にポリマー電解質を形成し、このポリマー電解質を介して電極シート同士を接合しても構わない。
【0064】
さらに、隣り合う電極シートのシート対向面を、正極層及び負極層のうち同極の電極層により構成し、これら電極層を介して電極シートのシート対向面同士を互いに接合しても構わない。具体的に、
図10に示す電極群3において、第1電極シート21の最上層は負極接続層41により構成され、第2電極シート23の最下層は負極接続層41により構成されている。また、中間電極シート22の最上層及び最下層は、それぞれ負極接続層41により構成されている。各電極シート21〜23は、軸線O方向で対向する負極接続層41を介して互いに接合され、電極群3を構成する。なお、各電極シート21〜23のシート対向面を正極接続層35により構成し、各正極接続層35を介して各電極シート21〜23を互いに接合しても構わない。
この構成によれば、同極の電極層を介して電極シート21〜23同士を直接接合することで、ポリマー電解質33を介して各電極シート21〜23を接合する構成に比べて薄型化を図ることができる。
【0065】
上述した実施形態では、各正極ビア44,54,64及び各負極ビア45,55,65の外径が軸線O方向の全体に亘って一様された構成について説明したが、これに限られない。例えば
図11に示すように、各正極ビア(
図11では正極ビア44,54のみ示す)のうち、シート対向面に露出する部分に、それ以外の部分よりも拡径された拡径部100を設けても構わない。
この構成によれば、各電極シート21〜23間において、各正極ビア44,54,64同士の接合面積を増加させることができ、接触抵抗を低減することができる。なお、図示の例では、正極ビア44,54に拡径部100を設けた構成について説明したが、これに限らず、正極ビア64に拡径部を設けても、各負極ビア45,55,65に拡径部を設けても構わない。
【0066】
また、電極シート上において、正極ビア及び負極ビアのレイアウトは、適宜設計変更が可能である。
上述した実施形態では、電極シート21〜23において、各頂点部分に正極ビア44,54,64及び負極ビア45,55,65の何れかが位置するように母材シート70を打ち抜く構成について説明したが、これに限られない。例えば
図12に示すように、母材シート70を打ち抜く際に、正極ビア44,54,64及び負極ビア45,55,65を横断しないように、正極ビア44,54,64及び負極ビア45,55,65をレイアウトしても構わない。この場合には、電極シート21〜23において、正極ビア44,54,64及び負極ビア45,55,65が各電極シート21〜23の外周面に露出しないので、各正極ビア44,54,64及び負極ビア45,55,65を保護できる。また、母材シート70を打ち抜く際、正極ビア44,54,64及び負極ビア45,55,65の欠けや破損等を抑制できる。
【0067】
また、
図13に示すように、同一の母材シート70から形成される電極シート21〜23が何れも同じ構成となるように、正極ビア44,54,64及び負極ビア45,55,65をレイアウトしても構わない。この構成によれば、同一の母材シート70から形成される電極シート21〜23に互換性を持たせることが可能になり、電気的特性や生産性を安定させることができる。さらに、
図12や
図13のような正極ビア44,54,64及び負極ビア45,55,65のレイアウトの他に、六角形状の電極シート21〜23の中心に対して、これらのビアを3回回転対称や、更に好ましくは6回回転対称となるようにレイアウトしてもよい。
具体的には、一枚の電極シート21〜23の内側において、六角形状の電極シートの中心に、重心が重なるように、3つの正極ビア、及び3つの負極ビアを、それぞれ正三角形の頂点に配置するようなレイアウトが挙げられる(この場合は3回回転対称)。また、6回回転対称となるように各々のビアをレイアウトする場合は、製造プロセスにおいて、電極シート同士の位置合わせを行う必要がなく、互換性を確保できるので、生産性を向上させることが可能になる。
【0068】
さらに、各電極シートにおいて、正極層及び負極層の積層数は、適宜設計変更が可能である。
また、外装体2の構成は、電極群3が収納可能であれば、適宜設計変更が可能である。この場合、例えばラミネートフィルム等を用いて電極群3を収納しても構わない。
また、上述した実施形態では、電気化学セルの一例として、二次電池を例に挙げて説明したが、キャパシタや一次電池であってもよい。また、各正極層31,51,61や負極層32,52,62、ポリマー電解質33に用いる材料についても、適宜変更が可能である。
【0069】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせても構わない。