(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、超伝導加速器を組み立てる際には非常に手間を要し、例えば、冷媒槽内で超伝導加速空洞を支持するサポートや、大掛かりな治具等が必要になるといった問題がある。また仮にサポートを設けた場合、超伝導加速空洞の円滑な伸縮を可能とするためには超伝導加速器を組み立て後にサポートを取り外す必要が生じ、非常に手間を要する。超伝導加速器を分解する際にも同様の問題が生じる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、組み立ての容易化を図りつつ、運転時には超伝導加速空洞の動作への影響を低減可能な超伝導加速器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明の第一の態様に係る超伝導加速器は、荷電粒子ビームを加速する空間を形成する超伝導加速空洞と、前記超伝導加速空洞の外周側に配置されて、前記超伝導加速空洞との間に該超伝導加速空洞を冷却する冷媒が充填される冷媒空間を形成する冷媒槽と、前記冷媒槽に支持されて、運転準備段階の前に前記超伝導加速空洞に接触するとともに、前記運転準備段階で前記超伝導加速空洞に非接触となるサポート部材と、を備えている。
【0009】
このような超伝導加速器によれば、サポート部材が運転準備段階の前、即ち超伝導加速器の組み立ての際には、超伝導加速空洞に接触して冷媒槽に超伝導加速空洞を支持することができる。一方で、運転準備段階、即ち、超伝導加速器の運転の準備を行う段階では、サポート部材が超伝導加速空洞に非接触となるため、例えば超伝導加速空洞の動作を妨げることがなくなる。即ち、運転時に超伝導加速空洞の動作を妨げることなく、かつ、超伝導加速空洞を冷媒槽内部に挿入して設置する組み立ての際には、サポート部材が超伝導加速空洞に接触して超伝導加速空洞を支持可能とし、冷媒槽に対する超伝導加速空洞の位置決めを正確に行うことができる。
【0010】
また、本発明の第二の態様に係る超伝導加速器では、上記第一の態様における前記サポート部材は、前記運転準備段階として前記冷媒槽に前記冷媒が充填された際に前記超伝導加速空洞に非接触となり、前記冷媒が充填される前に前記超伝導加速空洞に接触してもよい。
【0011】
運転準備段階で冷媒槽に冷媒が充填されることで、超伝導加速器の運転が可能となる。そして超伝導加速器の運転が可能となった時点では超伝導加速空洞にサポート部材が非接触となるので、運転時に超伝導加速空洞の動作を妨げることない。また運転準備段階の前となる冷媒の充填前、即ち超伝導加速空洞を冷媒槽内部に挿入して設置する組み立ての際には、サポート部材が超伝導加速空洞に接触して超伝導加速空洞を支持可能とし、冷媒槽に対する超伝導加速空洞の位置決めを正確に行うことができる。
【0012】
また、本発明の第三の態様に係る超伝導加速器では、上記第二の態様における前記サポート部材は、前記冷媒槽を形成する材料よりも熱膨張率の大きな材料によって形成され、前記運転準備段階の前に前記超伝導加速空洞に接触し、前記運転準備段階で前記サポート部材と前記冷媒槽とにおける熱変形量の差異によって前記サポート部材が前記超伝導加速空洞に非接触となってもよい。
【0013】
運転準備段階で冷媒槽に冷媒が充填されることで、冷媒槽が収縮し、サポート部材の先端部が超伝導加速空洞に近接しようとするが、サポート部材が冷媒槽よりも熱膨張率の大きな材料を用いていることで、サポート部材の先端部が超伝導加速空洞から離れるようにサポート部材が収縮する。従って、運転準備段階ではサポート部材が超伝導加速空洞に非接触となって、運転時に超伝導加速空洞の動作を妨げることない。また運転準備段階の前となる冷媒の充填前、即ち超伝導加速空洞を冷媒槽内部に挿入して設置する組み立ての際には、サポート部材が超伝導加速空洞に接触して超伝導加速空洞を支持可能とし、冷媒槽に対する超伝導加速空洞の位置決めを正確に行うことができる。さらに、冷媒槽からの冷媒を抜いて分解を行う際にも、サポート部材が超伝導加速空洞に接触してサポート部材によって超伝導加速空洞を支持可能とし、超伝導加速空洞が冷媒槽内で傾く等の位置ズレを起こすことがなくなる。
【0014】
また、本発明の第四の態様に係る超伝導加速器では、上記第二の態様における前記サポート部材は、前記冷媒槽に支持されて、前記超伝導加速空洞に向かって延びて該超伝導加速空洞に非接触に設けられた支持部と、前記超伝導加速空洞と前記冷媒槽との間で、前記支持部と離間して配置されて、前記運転準備段階の前に前記超伝導加速空洞に接触するとともに前記運転準備段階で前記超伝導加速空洞に非接触となる接触部と、前記支持部における前記超伝導加速空洞側の先端部と、前記接触部における前記冷媒槽側の先端部とを接続し、これら前記支持部及び前記接触部よりも熱膨張率が小さな材料によって形成された接続部と、を有している。
【0015】
このようなサポート部材を用いると、運転準備段階で冷媒槽に冷媒が充填された際のサポート部材の収縮量は、支持部及び接触部での収縮量の合計から接続部の収縮量を除いたものとなる。接続部の収縮量が支持部及び接触部に比べて小さければ、サポート部材を、単に冷媒槽と超伝導加速空洞との間に介在される一枚の板状をなす部材とする場合に比べて、冷媒充填時のサポート部材の収縮量を大きくすることができ、運転時にはサポート部材の接触部を十分な距離だけ、超伝導加速空洞から離間させることができる。よって、運転時に超伝導加速空洞の動作を妨げることなく、かつ、運転準備段階の前となる超伝導加速空洞を冷媒槽内部に挿入して設置する組み立ての際には、接触部が超伝導加速空洞に接触してサポート部材によって超伝導加速空洞を支持可能となり、冷媒槽に対する超伝導加速空洞の位置決めを正確に行うことができる。さらに、冷媒槽からの冷媒を抜いて分解を行う際にも、接触部が超伝導加速空洞に接触してサポート部材によって超伝導加速空洞を支持可能とし、超伝導加速空洞が冷媒槽内で傾く等の位置ズレを起こすことがなくなる。
【0016】
また、本発明の第五の態様に係る超伝導加速器では、上記第二の態様における前記冷媒槽には、前記荷電粒子ビームの進行方向の端部で前記冷媒空間に形成されて前記進行方向に開口する開口部を開放及び閉塞可能な蓋部材が設けられ、前記サポート部材は、前記冷媒槽と前記超伝導加速空洞との間に配置されて、前記冷媒槽の内面に対して前記開口する方向にスライド移動可能に設けられた接触部と、前記接触部を支持するとともに前記蓋部材に支持されて、前記冷媒槽を形成する材料よりも熱膨張率の大きな材料によって形成された接続部と、を有し、前記接続部は、前記運転準備段階の前に前記接触部を前記超伝導加速空洞に接触させ、前記運転準備段階で前記冷媒槽との熱変形量の差異によって前記接触部を前記冷媒槽に対して相対的にスライド移動させることで前記超伝導加速空洞に非接触としてもよい。
【0017】
運転準備段階で冷媒槽に冷媒が充填されることで冷媒槽が収縮し、サポート部材も収縮するが、接続部が冷媒槽を形成する材料よりも熱膨張率の大きな材料によって形成されていることで、冷媒槽の収縮量よりもサポート部材の接続部の方が、より収縮量が大きくなる。従って、接続部が接触部を引っ張ることで、冷媒槽に対して超伝導加速空洞から離れるようにして接触部がスライド移動し、接触部が超伝導加速空洞に非接触となる。よって、運転時にはサポート部材の接触部を超伝導加速空洞から離間させることができる。この結果、運転時に超伝導加速空洞の動作を妨げることなく、かつ、運転準備段階の前となる超伝導加速空洞を冷媒槽内部に挿入して設置する組み立ての際には、接触部が超伝導加速空洞に接触してサポート部材によって超伝導加速空洞を支持可能となり、冷媒槽に対する超伝導加速空洞の位置決めを正確に行うことができる。さらに、冷媒槽からの冷媒を抜いて分解を行う際にも、接触部が超伝導加速空洞に接触してサポート部材によって超伝導加速空洞を支持可能とし、超伝導加速空洞が冷媒槽内で傾く等の位置ズレを起こすことがなくなる。
【0018】
また、本発明の第六の態様に係る超伝導加速器では、上記第二の態様における前記冷媒槽には、前記荷電粒子ビームの進行方向の端部で前記冷媒空間に形成されて前記進行方向に開口する開口部を開放及び閉塞可能な蓋部材が設けられ、前記サポート部材は、前記冷媒槽と前記超伝導加速空洞との間に配置された接触部と、前記冷媒槽に支持されるともに、前記冷媒空間が開口する方向に交差する方向に延びる回動軸線を中心として前記接触部を回動可能に支持する支持部と、前記回動軸線よりも前記超伝導加速空洞側で前記接触部を支持するとともに前記蓋部材に支持されて、前記冷媒槽を形成する材料よりも熱膨張率の大きな材料によって形成された接続部と、を有し、
前記接続部は、前記運転準備段階の前に前記接触部を前記超伝導加速空洞に接触させ、前記運転準備段階で前記冷媒槽との熱変形量の差異によって前記接触部を前記冷媒槽に対して相対的に引っ張ることで前記接触部を回動させて、前記超伝導加速空洞に非接触としてもよい。
【0019】
運転準備段階で冷媒槽に冷媒が充填されることで冷媒槽が収縮し、サポート部材も収縮するが、接続部が冷媒槽を形成する材料よりも熱膨張率の大きな材料によって形成されていることで、冷媒槽の収縮量よりもサポート部材の接続部の方がより収縮量が大きくなる。従って、接続部が接触部を引っ張ることで回動軸線回りに接触部が回動し、接触部の先端部が超伝導加速空洞から離間するように移動する。この結果、接触部が超伝導加速空洞に非接触となる。よって、運転時にはサポート部材の接触部を超伝導加速空洞から離間させることができる。よって、運転時に超伝導加速空洞の動作を妨げることなく、運転準備段階の前となる超伝導加速空洞を冷媒槽内部に挿入して設置する組み立ての際には、接触部が超伝導加速空洞に接触してサポート部材によって超伝導加速空洞を支持可能となり、冷媒槽に対する超伝導加速空洞の位置決めを正確に行うことができる。さらに、冷媒槽からの冷媒を抜いて分解を行う際にも、接触部が超伝導加速空洞に接触してサポート部材によって超伝導加速空洞を支持可能とし、超伝導加速空洞が冷媒槽内で傾く等の位置ズレを起こすことがなくなる。
【0020】
また、本発明の第七の態様に係る超伝導加速器では、上記第一の態様における前記冷媒槽には、前記荷電粒子ビームの進行方向の端部で前記冷媒空間に形成されて前記進行方向に開口する開口部を開放及び閉塞可能な蓋部材が設けられ、前記サポート部材は、前記運転準備段階として前記蓋部材を前記冷媒槽に取り付ける際に前記蓋部材の取り付け動作に連動して前記超伝導加速空洞に非接触となり、前記蓋部材を取り付ける前に前記超伝導加速空洞に接触してもよい。
【0021】
運転準備段階で蓋部材が冷媒槽に取り付けられることで、冷媒を冷媒槽に充填可能となり、超伝導加速器の運転が可能となる。そして超伝導加速器の運転が可能となった時点では超伝導加速空洞にサポート部材が非接触となるので、運転時に超伝導加速空洞の動作を妨げることない。また運転準備段階の前の蓋部材の取り付け前、即ち超伝導加速空洞を冷媒槽内部に挿入して設置する組み立ての際には、サポート部材が超伝導加速空洞に接触して超伝導加速空洞を支持可能となり、冷媒槽に対する超伝導加速空洞の位置決めを正確に行うことができる。
【0022】
また、本発明の第八の態様に係る超伝導加速器では、上記第七の態様における前記冷媒槽には、前記荷電粒子ビームの進行方向の端部で前記冷媒空間に形成されて前記進行方向に開口する開口部を開放及び閉塞可能な蓋部材が設けられ、前記サポート部材は、前記冷媒槽と前記超伝導加速空洞との間に配置されて、前記冷媒槽の内面に対して前記開口する方向にスライド移動可能に設けられた接触部と、前記蓋部材に支持されて前記開口する方向に延びる操作部と、を有し、前記操作部は、前記運転準備段階の前に前記接触部を前記超伝導加速空洞に接触させた状態から、前記運転準備段階で前記接触部を押圧することで前記接触部をスライド移動させて前記超伝導加速空洞に非接触としてもよい。
【0023】
運転準備段階で蓋部材が冷媒槽に取り付けられることで、超伝導加速器の運転が可能となる。そして超伝導加速器の運転が可能となった時点では、接触部が接続部によって押圧されることで前記接触部をスライド移動し、接触部が冷媒槽に対して超伝導加速空洞から離れるようにしてスライド移動し、接触部が超伝導加速空洞に非接触となる。よって、運転時に超伝導加速空洞の動作を妨げることなく、かつ、運転準備段階の前となる超伝導加速空洞を冷媒槽内部に挿入して設置する組み立ての際には、接触部が超伝導加速空洞に接触してサポート部材によって超伝導加速空洞を支持可能とし、冷媒槽に対する超伝導加速空洞の位置決めを正確に行うことができる。
【0024】
また、本発明の第九の態様に係る超伝導加速器では、上記第七の態様における前記冷媒槽には、前記荷電粒子ビームの進行方向の端部で前記冷媒空間に形成されて前記進行方向に開口する開口部を開放及び閉塞可能な蓋部材が設けられ、前記サポート部材は、前記冷媒槽と前記超伝導加速空洞との間に配置された接触部と、前記冷媒槽に支持されるともに、前記冷媒空間が開口する方向に交差する方向に延びる回動軸線を中心として前記接触部を回動可能に支持する支持部と、前記接触部を前記超伝導加速空洞に接触させる方向に付勢する付勢部と、前記蓋部材に支持されて前記開口する方向に延びる操作部と、を有し、前記操作部は、前記運転準備段階の前に前記接触部を前記超伝導加速空洞に接触させた状態から、前記運転準備段階で前記接触部を押圧することで前記付勢部の付勢力に抗して前記接触部を回動させて前記超伝導加速空洞に非接触としてもよい。
【0025】
運転準備段階で蓋部材が冷媒槽に取り付けられることで、超伝導加速器の運転が可能となる。そして超伝導加速器の運転が可能となった時点では、操作部によって接触部が押圧された状態となることで回動軸線回りに接触部が回動した状態となり、接触部の先端部が超伝導加速空洞から離間した状態となる。この結果、接触部が超伝導加速空洞に非接触となり、運転時にはサポート部材の接触部を超伝導加速空洞から離間させることができる。よって、運転時に超伝導加速空洞の動作を妨げることなく、かつ、超伝導加速空洞を冷媒槽内部に挿入して設置する組み立ての際には、接触部が超伝導加速空洞に接触してサポート部材によって超伝導加速空洞を支持可能とし、冷媒槽に対する超伝導加速空洞の位置決めを正確に行うことができる。
【発明の効果】
【0026】
上記の超伝導加速器によれば、運転準備段階の前に超伝導加速空洞に接触するとともに、運転準備段階で超伝導加速空洞に非接触となるサポート部材を設けることで、組み立ての容易化を図りつつ、運転時には超伝導加速空洞の動作への影響を低減可能である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
〔第一実施形態〕
以下、本発明の第一実施形態における超伝導加速器1について説明する。
図1に示すように、超伝導加速器1は、荷電粒子ビームBを加速する超伝導加速空洞2と、超伝導加速空洞2を覆う冷媒槽3と、超伝導加速空洞2及び冷媒槽3を収容する真空容器5と、超伝導加速空洞2を冷媒槽3内で支持可能なサポート部材4とを備えている。
【0029】
超伝導加速空洞2は軸線Oを中心とした略筒状をなすとともに、外面が拡径する大径部2aと大径部2aの軸線Oの方向の両側に設けられた管状をなす小径部2bとを有して軸線Oの方向に延びている。そして大径部2aと小径部2bとに対応するように、超伝導加速空洞2の内部には、拡径する部分を有する空間Sが形成されている。この空間Sを荷電粒子ビームBが通過する。
【0030】
さらに、この超伝導加速空洞2は、超伝導材料によって形成されている。超伝導材料の一例としては、ニオブが挙げられる。超伝導加速空洞2には、その他の超伝導材料を用いることも可能であり、高温超電導体等であってもよい。
【0031】
超伝導加速空洞2には、軸線Oの両端で、荷電粒子ビームBが上記空間Sを軸線Oの方向に通過可能とするように、ビームパイプ6が接続されている。軸線Oの方向の一方(
図1の紙面に向かって左側)のビームパイプ6には、入力結合器7が取付けられ、この入力結合器7からビームパイプ6を介して超伝導加速空洞2に電力が供給される。入力結合器7からの電力によって超伝導加速空洞2内の空間Sには、荷電粒子ビームBを加速する電界が発生する。
【0032】
さらに、超伝導加速空洞2には、軸線Oの方向の他方にビームパイプ6に干渉しない位置でチューナ8が設けられている。チューナ8は、例えばステッピングモータやピエゾ素子等を有し、軸線Oの方向に超伝導加速空洞2を引っ張ったり、押し付けたりすることで超伝導加速空洞2を弾性域で伸縮させる。超伝導加速空洞2の伸縮によって、空間S内の共振周波数が調整される。
【0033】
冷媒槽3は、軸線Oを中心とした筒状をなし(矩形状であってもよく、形状は限定されない)、超伝導加速空洞2の外周側に配置されて超伝導加速空洞2の外面との間に冷媒RFが充填される冷媒空間RSを形成している。冷媒RFは、例えば液体ヘリウム等であって、超伝導加速空洞2を極低温に冷却可能となっている。冷媒槽3には、冷媒RFを冷媒空間RS内に供給可能とし、冷媒RFを冷媒空間RSから排出可能とする開口部(不図示)が設けられている。
ここで、冷媒RFの種類は液体ヘリウムに限定されず、超伝導加速空洞2の材料に応じて適宜選択可能である。
【0034】
さらに、冷媒槽3には軸線Oの方向の他方で、荷電粒子ビームBの進行方向となる軸線Oの方向に開口するように形成された冷媒空間RSの開口部OPを開放及び閉塞可能な蓋部材3aが設けられている。蓋部材3aには小径部2bが貫通しており、かつ蓋部材3aの外側にチューナ8が配置されている。
【0035】
真空容器5は、軸線Oを中心とした筒状(矩形状であってもよく、形状は限定されない)をなしている。この真空容器5は軸線Oの方向の両端で小径部2bを軸線Oの方向に貫通させるとともに、超伝導加速空洞2及び冷媒槽3の断熱を行うよう、内部が真空状態に保たれている。
【0036】
次に、
図2を参照して、サポート部材4について説明する。
サポート部材4は、冷媒槽3の内面3bに固定されて、内面3bから径方向の内側に(上方に)超伝導加速空洞2に向かって突出する部材である。サポート部材4は冷媒槽3を形成する材料よりも熱膨張率の大きな材料によって形成されている。例えば冷媒槽3がステンレス製である場合には、サポート部材4はアルミニウム製等である。
【0037】
サポート部材4は、軸線Oの方向に離間して一対が設けられ、超伝導加速空洞2の大径部2aを軸線Oの方向の両側から挟むようにして小径部2bに対向して設けられている。
【0038】
そして、サポート部材4は、
図2(a)に示す運転準備段階の前に超伝導加速空洞2に接触して冷媒槽3内で超伝導加速空洞2を支持するとともに、
図2(b)に示す運転準備段階で超伝導加速空洞2に非接触となっている。
より具体的には、本実施形態では、運転準備段階は、冷媒槽3に冷媒RFが充填される際の段階を示し、運転準備段階の前とは、冷媒槽3に冷媒RFが充填される前を示す。
【0039】
次に、サポート部材4の変化の様子について説明する。
図2(a)に示すように、運転準備段階の前では、冷媒槽3には冷媒RFが充填されておらず、冷媒槽3及びサポート部材4は冷えていない状態となっている。この状態では、サポート部材4の超伝導加速空洞2側の先端部4aは、超伝導加速空洞2に接触可能となっている。
【0040】
その後、
図2(b)に示すように、運転準備段階となって冷媒槽3への冷媒RFの充填が開始されると、冷媒槽3及びサポート部材4が冷やされて温度が低下する。この際、冷媒槽3の内面3bが超伝導加速空洞2に近接するように熱収縮し、サポート部材4の超伝導加速空洞2側の先端部4aが離間する方向に熱収縮する。そして、冷媒槽3の材料に比べてサポート部材4の材料の方が、熱膨張率が大きいため、冷媒槽3の内面3bが超伝導加速空洞2に近接する量よりも、サポート部材4の先端部4aが超伝導加速空洞2から離間する量の方が大きくなる。よって、運転準備段階では、サポート部材4が超伝導加速空洞2に非接触となる。
【0041】
以上説明した本実施形態の超伝導加速器1によると、運転準備段階の前、即ち、超伝導加速器1の組み立ての際には、サポート部材4が超伝導加速空洞2に接触して冷媒槽3に超伝導加速空洞2を支持することができる。その一方で、運転準備段階、即ち、超伝導加速器1の運転の準備を行う段階で冷媒槽3に冷媒RFが充填されることで、サポート部材4が超伝導加速空洞2に非接触となる。
【0042】
このように、超伝導加速器1の運転時にはチューナ8による超伝導加速空洞2の伸縮動作を妨げることなく、かつ、超伝導加速空洞2を冷媒槽3内部に挿入して設置する組み立ての際には、冷媒槽3に超伝導加速空洞2を支持することができるとともに、冷媒槽3に対する超伝導加速空洞2の位置決めを正確に行うことができる。さらに、冷媒槽3からの冷媒RFを抜いて分解を行う際にも、サポート部材4によって超伝導加速空洞2が支持され、冷媒槽3内で傾く等の位置ズレを起こすことがなくなる。
【0043】
従って、サポート部材4を設けることで、超伝導加速器1の組み立ての容易化を図りつつ、超伝導加速器1の運転時には超伝導加速空洞2の伸縮動作への影響を低減可能となる。
【0044】
また、超伝導加速器1の運転を停止し、冷媒RFを冷媒槽3から抜き取り、運転準備段階の前の状態となると、再び超伝導加速空洞2にサポート部材4が接触し、冷媒槽3に超伝導加速空洞2を支持することができ、メンテナンス等の容易化も可能となる。
【0045】
ここで、本実施形態ではサポート部材4は、小径部2bに対向するように一対が設けられているが、例えば一つのサポート部材4のみが設けられていてもよいし、三つ以上のサポート部材4が設けられていてもよい。また、大径部2aを支持するようにサポート部材4を設けてもよい。
【0046】
〔第二実施形態〕
次に、
図3を参照して、本発明の第二実施形態における超伝導加速器21について説明する。
第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
本実施形態の超伝導加速器21では、サポート部材24が第一実施形態とは異なっている。
【0047】
即ち、サポート部材24は、冷媒槽3に支持された支持部26と、超伝導加速空洞2と冷媒槽3との間で軸線Oの方向に支持部26と離間して配置されて、大径部2aに対向して設けられた接触部27と、支持部26と接触部27とを接続する接続部28とを有している。
【0048】
支持部26は、冷媒槽3の内面3bに固定されて、内面3bから径方向の内側に(上方に)超伝導加速空洞2に向かって突出する部材である。支持部26の超伝導加速空洞2側の先端部26aは、常に超伝導加速空洞2に非接触な状態を維持するような寸法に形成されている。支持部26は、例えばアルミニウム等によって形成されている。
【0049】
接触部27は、支持部26と略平行に、支持部26に対して軸線Oの方向の他方に離間して配置されている。また超伝導加速空洞2側の先端部27aは、運転準備段階の前に超伝導加速空洞2に接触するとともに、運転準備段階で超伝導加速空洞2に非接触となる。接触部27は、例えばアルミニウム等によって形成されている。
運転準備段階とは、第一実施形態と同様に冷媒槽3に冷媒RFが充填される際の段階を示す。
【0050】
接続部28は、支持部26の超伝導加速空洞2側の先端部26aと、接触部27の冷媒槽3側の先端部27bとを接続している。接続部28は、支持部26及び接触部27よりも熱膨張率が小さな材料である例えばステンレス等によって形成されている。
このようにしてサポート部材24は、軸線Oに交差する方向から、即ち超伝導加速空洞2の周方向から見てN字状をなしている。
【0051】
次に、サポート部材24の変化の様子について説明する。
図3(a)に示すように、運転準備段階の前では、冷媒槽3には冷媒RFが充填されておらず、冷媒槽3及びサポート部材24は冷えていない状態となっている。この状態では、接触部27の超伝導加速空洞2側の先端部27aは、超伝導加速空洞2に下方から接触している。
【0052】
その後、
図3(b)に示すように、運転準備段階となって冷媒槽3への冷媒RFの充填が開始されると、冷媒槽3及びサポート部材24が冷やされて温度が低下する。この際、冷媒槽3の内面3bが超伝導加速空洞2に近接するように熱収縮し、サポート部材24の支持部26、接触部27、及び接続部28も熱収縮する。
サポート部材24の合計の熱収縮量は、支持部26及び接触部27の収縮量の合計から接続部28の収縮量を除いたものとなる。そして、本実施形態では、接続部28の収縮量が支持部26及び接触部27に比べて小さくなっており、運転準備段階では、サポート部材24が超伝導加速空洞2に非接触となる。
【0053】
以上説明した本実施形態の超伝導加速器21によると、単に冷媒槽3と超伝導加速空洞2との間に介在される一枚の板状をなすサポート部材を設ける場合に比べて、支持部26、接触部27、及び接続部28を有するサポート部材24を設けることで、冷媒RFの充填時のサポート部材24の収縮量を大きくすることができ、運転時にはサポート部材24を十分な距離だけ、超伝導加速空洞2から離間させることができる。
【0054】
よって、運転時にチューナ8による超伝導加速空洞2の動作を妨げることない。また、超伝導加速空洞2を冷媒槽3の内部に挿入して設置する組み立ての際には、冷媒槽3に超伝導加速空洞2を支持でき、冷媒槽3に対する超伝導加速空洞2の位置決めを正確に行うことができる。さらに、冷媒槽3から冷媒RFを抜いて分解を行う際には、サポート部材24が膨張することで接触部27が超伝導加速空洞2に接触し、サポート部材24によって超伝導加速空洞2を支持でき、超伝導加速空洞2が冷媒槽3内で傾く等の位置ズレを起こすことがなくなる。
【0055】
ここで本実施形態では、接触部27に相当する部材を軸線Oの方向に離間して複数配置し、隣接する上記部材同士を接続部28で接続してもよい。このようにすることで、運転準備段階でのサポート部材24の熱収縮量をさらに大きくすることができ、超伝導加速器21の運転時には、サポート部材24を十分な距離だけ、超伝導加速空洞2から離間させることができる。
【0056】
また、本実施形態では、支持部26と接触部27とを軸線Oの方向に交差する方向(
図3の紙面に向かう方向)に離間して配置してもよい。また、接触部27は、大径部2aでなく、小径部2bに対向するように設けてもよい。
【0057】
〔第三実施形態〕
次に、
図4を参照して、本発明の第三実施形態における超伝導加速器31について説明する。
第一実施形態及び第二実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
本実施形態の超伝導加速器31では、サポート部材34が第一実施形態及び第二実施形態とは異なっている。
【0058】
即ち、サポート部材34は、冷媒槽3と超伝導加速空洞2との間に配置された接触部37と、接触部37を支持するとともに蓋部材3aに支持された接続部38とを有している。なお、接続部38は冷媒槽3の内面3bに支持されていてもよい。
【0059】
接触部37は、冷媒槽3の内面3bに載置され、冷媒槽3の内面3bに対して冷媒空間RSが開口する方向、即ち軸線Oの方向にスライド移動可能に設けられている。接触部37はブロック状をなし、運転準備段階の前に超伝導加速空洞2の大径部2aに接触するとともに運転準備段階で大径部2aに非接触となる。この接触部37には金属だけでなく、樹脂等の材料を用いてもよい。
運転準備段階とは、第一実施形態及び第二実施形態と同様に冷媒槽3に冷媒RFが充填される際の段階を示す。
【0060】
接続部38は、棒状をなして蓋部材3aと接触部37との間にわたって設けられている。そして接続部38は、冷媒槽3を形成する材料よりも熱膨張率の大きな材料によって形成されている。例えば冷媒槽3がステンレス製であれば、接続部はアルミニウム製である。
【0061】
次に、サポート部材34の変化の様子について説明する。
図4(a)に示すように、運転準備段階の前では、冷媒槽3には冷媒RFが充填されておらず、冷媒槽3及びサポート部材34は冷えていない状態となっている。この状態では、サポート部材34の接触部37は、超伝導加速空洞2の大径部2aに下方から接触している。
【0062】
その後、
図4(b)に示すように、運転準備段階となって冷媒槽3への冷媒RFの充填が開始されると、冷媒槽3及びサポート部材34が冷やされて温度が低下する。この際、冷媒槽3の内面3bが超伝導加速空洞2に近接するように熱収縮し、サポート部材34の接続部38も熱収縮する。
材料の熱膨張率の差によって、接続部38の収縮量は冷媒槽3の軸線Oの方向の収縮量よりも大きいため、接続部38が接触部37を冷媒槽3に対して大径部2aから離れるようにして、軸線Oの方向の他方(蓋部材3a側)に引っ張ることで接触部が軸線Oの方向にスライド移動し、接触部37が超伝導加速空洞2に非接触となる。
【0063】
以上説明した本実施形態の超伝導加速器31によると、運転準備段階では、サポート部材34の接触部37が冷媒槽3に対して大径部2aから離れるようにしてスライド移動し、接触部37が超伝導加速空洞2に非接触となる。よって、超伝導加速器31の運転時にはサポート部材34の接触部37を超伝導加速空洞2から離間させることができる。この結果、超伝導加速器31の運転時に、チューナ8による超伝導加速空洞2の動作を妨げることなくなる。
【0064】
また、運転準備段階の前となる超伝導加速空洞2を冷媒槽3の内部に挿入して設置する組み立てを行う際には、接触部37が大径部2aに接触することで、超伝導加速空洞2がサポート部材34によって支持可能となり、また、冷媒槽3に対する超伝導加速空洞2の位置決めを正確に行うことができる。
【0065】
さらに、冷媒槽3から冷媒RFを抜いて運転準備段階の前の状態とし、超伝導加速器31の分解を行う際にも、サポート部材34によって大径部2aを支持することで、冷媒槽3の内部で超伝導加速空洞2が傾く等の位置ズレを起こすことがなくなる。
【0066】
ここで、本実施形態では、
図5に示すように、サポート部材34Aは、接続部38と、超伝導加速空洞2の小径部2bに設けられて小径部2bから下方に突出する突出部39に接触可能な接触部37Aとを備えていてもよい。
また、
図6に示すように、サポート部材34Bは、接続部38と、超伝導加速空洞2の大径部2aに接触可能な接触部37Bとを備えていてもよい。接続部38は、軸線Oの方向に交差する方向(
図6の紙面に向かって左右方向)に延びるとともに冷媒槽3の内面3bに固定されている。そして接触部37Bは、冷媒槽3の内面3bbに設置された支持台39Bに載置されて、支持台39B上で軸線Oの方向に交差する方向にスライド移動可能に設けられている。
【0067】
〔第四実施形態〕
次に、
図7を参照して、本発明の第四実施形態における超伝導加速器41について説明する。
第一実施形態から第三実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
本実施形態の超伝導加速器41では、サポート部材44が第一実施形態から第三実施形態とは異なっている。
【0068】
即ち、サポート部材44は、冷媒槽3と超伝導加速空洞2との間に配置された接触部46と、冷媒槽3に支持されるとともに接触部46を支持する支持部47と、接触部46を支持するとともに蓋部材3aに支持された接続部48とを有している。
【0069】
接触部46は、冷媒槽3の内面3bから径方向の内側に(上方に)超伝導加速空洞2に向かって突出している。この接触部46には金属だけでなく、樹脂等の材料を用いてもよい。
本実施形態では、接触部46は、大径部2aが形成された位置よりも軸線Oの一方で、小径部2bに対向する位置に一つが設けられている。
【0070】
支持部47は、冷媒槽3の内面3bに固定されて冷媒槽3に支持されるともに、冷媒空間RSが開口する方向となる軸線Oの方向に直交する奥行方向に延びる回動軸線O1を中心として接触部46を回動可能に支持している。即ち、支持部47はヒンジ状の部材であって、回動軸線O1回りに接触部46を回動させることで、接触部46における超伝導加速空洞2側の先端部46aが大径部2aに対して近接離間するように接触部46を動作させる。この支持部47には金属だけでなく、樹脂等の材料を用いてもよい。
【0071】
接続部48は、第三実施形態と同様に、棒状をなして蓋部材3aと接触部46との間にわたって設けられている。また接続部48は、回動軸線O1よりも超伝導加速空洞2側で接触部46を支持している。そして接続部48は、冷媒槽3を形成する材料よりも熱膨張率の大きな材料によって形成されている。例えば冷媒槽3がステンレス製であれば、接続部48はアルミニウム製である。
【0072】
次に、サポート部材44の変化の様子について説明する。
図7(a)に示すように、運転準備段階の前では、冷媒槽3には冷媒RFが充填されておらず、冷媒槽3及びサポート部材44は冷えていない状態となっている。この状態ではサポート部材44の接触部46は、軸線O及び回動軸線O1に直交する方向に直立しており、超伝導加速空洞2の小径部2bに下方から接触している。
【0073】
その後、
図7(b)に示すように、運転準備段階となって冷媒槽3への冷媒RFの充填が開始されると、冷媒槽3及びサポート部材44が冷やされて温度が低下する。この際、冷媒槽3が軸線Oの方向に熱収縮し、サポート部材44の接続部48も軸線Oの方向に熱収縮する。
材料の熱膨張率が異なることで、接続部48の軸線Oの方向の収縮量は、冷媒槽3の軸線Oの方向の収縮量よりも大きいため、接続部48が接触部46を冷媒槽3に対して軸線Oの方向の他方(蓋部材3a側)に引っ張ることで、接触部46が直立した位置から軸線Oの他方に向かって、即ち、蓋部材3aに向かって傾斜するように配置される。よって、接触部46の先端部46aが小径部2bから離れ、接触部46が超伝導加速空洞2に非接触となる。
【0074】
以上説明した本実施形態の超伝導加速器41によると、運転準備段階では、サポート部材44の接触部46が冷媒槽3に対して小径部2bから離れるようにして回動し、接触部46が超伝導加速空洞2に非接触となる。よって、超伝導加速器41の運転時にはサポート部材44の接触部46を超伝導加速空洞2から離間させることができる。この結果、超伝導加速器41の運転時にチューナ8による超伝導加速空洞2の動作を妨げることなくなる。
【0075】
また、運転準備段階の前となる超伝導加速空洞2を冷媒槽3の内部に挿入して設置する組み立てを行う際には、接触部46が径方向に沿って直立し、接触部46が小径部2bに接触することで、超伝導加速空洞2が冷媒槽3に支持され、冷媒槽3に対する超伝導加速空洞2の位置決めを正確に行うことができる。
【0076】
さらに、冷媒槽3からの冷媒RFを抜いて運転準備段階の前となり、超伝導加速器41の分解を行う際にもサポート部材44によって小径部2bを支持することで、冷媒槽3内で超伝導加速器41が傾く等の位置ズレを起こすことがなくなる。
【0077】
ここで本実施形態では、サポート部材44は、大径部2aよりも軸線Oの方向の他方で、小径部2bに対向して設けられていてもよい。また、サポート部材44は大径部2aに対向して設けられていてもよい。
【0078】
また、本実施形態では、
図8に示すように接続部48は、蓋部材3aと接触部46との間で接触部46から十分に離れた位置で冷媒槽3の内面3bに設けられた支持部43に固定されていてもよい。
【0079】
また、例えば
図9に示すように、サポート部材44Aにおける接触部46及び支持部47は、大径部2aを軸線Oの方向の両側から挟むようにして小径部2bに対向して対をなして設けられていてもよい。この場合、サポート部材44Aは、軸線Oの方向に延びる棒状をなして二つの接触部同士を連結する連結部材49をさらに有している。
図9(a)に示す運転準備段階の前から
図9(b)に運転準備段階に移行する際には、連結部材49によって一対の接触部46が連動して回動し、小径部2bに非接触となる。そして、運転準備段階の前には、接触部46及び支持部47が対をなして設けられていることで、よりしっかりと超伝導加速空洞2を冷媒槽3に支持することができる。接触部46及び支持部47は、三組以上設けられていてもよい。
【0080】
また本実施形態でも、
図6に示す場合と同様に、接続部48は軸線Oの方向に交差する方向に延びるように設けられていてもよい。この場合、接触部46は、軸線Oの方向に延びる回動軸線を中心として回動するように支持される。
【0081】
〔第五実施形態〕
次に、
図10を参照して、本発明の第五実施形態における超伝導加速器51について説明する。
第一実施形態から第四実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
本実施形態の超伝導加速器51では、運転準備段階が第一実施形態から第四実施形態とは異なっており、かつ、サポート部材54が第一実施形態から第四実施形態とは異なっている。
【0082】
本実施形態では、運転準備段階は、蓋部材3aを冷媒槽3に取り付ける際の段階を示し、運転準備段階の前とは、蓋部材3aを冷媒槽3に取り付ける前を示す。
【0083】
サポート部材54は、第三実施形態と同様に冷媒槽3と超伝導加速空洞2との間に配置された接触部37と、接触部37を支持するとともに蓋部材3aに支持された操作部56とを有している。
【0084】
操作部56は、棒状をなして蓋部材3aと接触部37との間にわたって設けられている。この操作部56には金属だけでなく、樹脂等の材料を用いてもよい。
【0085】
次に、サポート部材54の動作の様子について説明する。
図10(a)に示すように、運転準備段階の前では、蓋部材3aは冷媒槽3に取り付けられておらず、サポート部材54の接触部37は、超伝導加速空洞2の大径部2aに下方から接触している。
【0086】
その後、
図10(b)に示すように、運転準備段階となって、接触部37に操作部56を取り付けるとともに蓋部材3aを冷媒槽3に取り付けると、蓋部材3aの取り付け動作に連動して、操作部56が接触部37を冷媒槽3に対して大径部2aから離れるようにして軸線Oの方向の一方(蓋部材3aから離れる側)に押圧することで、接触部37が軸線Oの方向にスライド移動し、接触部37が超伝導加速空洞2の大径部2aに非接触となる。
【0087】
以上説明した本実施形態の超伝導加速器51によると、運転準備段階では、蓋部材3aが冷媒槽3に取り付けられることで、冷媒RFの冷媒槽3への充填が可能となり、超伝導加速器51の運転が可能となる。そして超伝導加速器51の運転が可能となった時点では、接触部37が操作部56によって押圧されていることで、接触部37が超伝導加速空洞2に非接触となる。よって、運転時にサポート部材54がチューナ8による超伝導加速空洞2の動作を妨げることない。
【0088】
また、運転準備段階の前となる超伝導加速空洞2を冷媒槽3の内部に挿入して設置する組み立てを行う際には、接触部37が大径部2aに接触することで、超伝導加速空洞2がサポート部材54によって支持可能となり、また、冷媒槽3に対する超伝導加速空洞2の位置決めを正確に行うことができる。
【0089】
〔第六実施形態〕
次に、
図11を参照して、本発明の第六実施形態における超伝導加速器61について説明する。
第一実施形態から第五実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
本実施形態の超伝導加速器61では、運転準備段階が第五実施形態と同様であり、かつ、サポート部材64が第一実施形態から第五実施形態とは異なっている。
【0090】
サポート部材64は、第四実施形態と同様の接触部46及び支持部47と、第五実施形態と同様の操作部56と、支持部47に設けられて接触部46に付勢力(復元力)を与える付勢部57とを有している。
操作部56は、回動軸線O1よりも超伝導加速空洞2側で接触部46を押圧可能となるような位置に設けられている。
付勢部57は、例えば板バネ等の弾性部材であって、接触部46の先端部46aが超伝導加速空洞2に近接する側に、即ち、先端部46aを超伝導加速空洞2に接触させる方向に、接触部46を付勢している。
【0091】
次に、サポート部材64の動作の様子について説明する。
図11(a)に示すように、運転準備段階の前、即ち、冷媒槽3に蓋部材3aが取付けられる前では、サポート部材64の接触部46は、超伝導加速空洞2の小径部2bに下方から接触している。
【0092】
その後、
図11(b)に示すように、運転準備段階、即ち、蓋部材3aを冷媒槽3に取付けた際には、蓋部材3aの取り付け動作に連動して、操作部56が接触部46を冷媒槽3に対して軸線Oの方向の一方(蓋部材3aから離れる側)に、付勢部57の付勢力に抗して押圧することで、接触部46が直立した位置から軸線Oの一方に向かって、即ち、蓋部材3aから離れる側に向かって傾斜するように配置される。よって、接触部46の先端部46aが小径部2bから離れ、接触部46が超伝導加速空洞2に非接触となる。
【0093】
以上説明した本実施形態の超伝導加速器61によると、運転準備段階では、サポート部材64の接触部46が冷媒槽3に対して小径部2bから離れるようにして回動し、接触部46が超伝導加速空洞2に非接触となる。よって、超伝導加速器61の運転時にはサポート部材64の接触部46を超伝導加速空洞2から離間させることができる。この結果、超伝導加速器61の運転時に超伝導加速空洞2の動作を妨げることなくなる。
【0094】
また、運転準備段階の前となる超伝導加速空洞2を冷媒槽3内部に挿入して設置する組み立てを行う際には、接触部46が小径部2bに接触することで、超伝導加速空洞2がサポート部材64によって支持可能となり、また、冷媒槽3に対する超伝導加速空洞2の位置決めを正確に行うことができる。
【0095】
そして、再び運転準備段階の前の状態となると、付勢部57の付勢力によって、自動的に接触部46が直立した位置に戻るようになっている。
【0096】
ここで本実施形態では、サポート部材64は、大径部2aよりも軸線Oの方向の他方で、小径部2bに対向して設けられていてもよい。また、サポート部材64は大径部2aに対向して設けられていてもよい。
【0097】
また、例えば
図12に示すように、サポート部材64Aにおける接触部46、付勢部57、及び支持部47は、大径部2aを軸線Oの方向の両側から挟むようにして小径部2bに対向して対をなして設けられていてもよい。この場合、サポート部材64Aは、軸線Oの方向に延びる棒状をなして二つの接触部46同士を連結する連結部材49をさらに有している。
図12(a)に示す運転準備段階の前から
図12(b)に運転準備段階に移行する際には、連結部材49によって一対の接触部46が連動して回動し、小径部2bに非接触となる。そして、運転準備段階の前には、一対の接触部46によって、よりしっかりと超伝導加速空洞2を支持することができる。接触部46、付勢部57、及び支持部47は、三組以上設けられていてもよい。
【0098】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0099】
例えば、上述の実施形態では、超伝導加速空洞2が大径部2aを一か所のみ有する場合について説明したが、大径部2aと小径部2bとが軸線Oの方向に繰り返し設けられて、拡径と縮径とを繰り返す超伝導加速空洞2であっても、上述の各実施形態におけるサポート部材を適用可能である。
【0100】
また、上述の各実施形態におけるサポート部材を液化天然ガスの貯蔵タンクにも適用可能である。