特許第6579376号(P6579376)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6579376
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】車両用操舵装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 6/00 20060101AFI20190912BHJP
   B62D 5/04 20060101ALI20190912BHJP
   B62D 101/00 20060101ALN20190912BHJP
   B62D 119/00 20060101ALN20190912BHJP
【FI】
   B62D6/00
   B62D5/04
   B62D101:00
   B62D119:00
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-215942(P2015-215942)
(22)【出願日】2015年11月2日
(65)【公開番号】特開2017-87772(P2017-87772A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2018年10月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100087701
【弁理士】
【氏名又は名称】稲岡 耕作
(74)【代理人】
【識別番号】100101328
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 実夫
(74)【代理人】
【識別番号】100086391
【弁理士】
【氏名又は名称】香山 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】酒巻 正彦
(72)【発明者】
【氏名】泉谷 圭亮
【審査官】 飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−062625(JP,A)
【文献】 特開2006−240399(JP,A)
【文献】 特開2004−130971(JP,A)
【文献】 特開2014−133521(JP,A)
【文献】 特開2010−280312(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0146037(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 6/00
B62D 5/04
B62D 101/00 −137/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操向のために操作される操舵部材と転舵輪を転舵するための転舵機構とが機械的に結合されていない状態で、転舵モータによって前記転舵機構が駆動される車両用操舵装置であって、
操舵部材に連結される入力軸と、
前記入力軸に一端が連結されるトーションバーと、
前記トーションバーの他端に連結される出力軸と、
前記出力軸に連結され、前記操舵部材に反力を与えるための反力モータと、
前記操舵部材に加えられる操舵トルクを検出するトルク検出手段と、
前記出力軸の目標回転角を設定し、前記出力軸の回転角が前記目標回転角と等しくなるように、前記反力モータを制御する反力モータ制御手段とを含み、
前記反力モータ制御手段は、前記転舵輪の転舵角が転舵角限界値に到達しており、かつ前記転舵角限界値への到達時点の操舵トルクよりも前記操舵部材に大きな操舵トルクが加えられているときには、前記転舵角限界値に対応する前記出力軸の回転角に対して、前記トルク検出手段によって検出される操舵トルクに応じた回転角だけ、前記出力軸の中立位置側に近い位置に、前記出力軸の目標回転角を設定する目標回転角設定手段を含んでいる、車両用操舵装置。
【請求項2】
前記転舵輪の転舵角を検出する転舵角検出手段と、
前記出力軸の回転角を検出するための回転角検出手段とをさらに含み、
前記目標回転角設定手段は、
前記転舵角検出手段によって検出される転舵角が前記転舵角限界値に達したときに、前記回転角検出手段によって検出される前記出力軸の回転角および前記トルク検出手段によって検出される操舵トルクを、それぞれ第1回転角および第1操舵トルクとして記憶する第1手段と、
前記転舵角検出手段によって検出される転舵角が転舵角限界値に達してから、前記回転角検出手段によって検出される前記出力軸の回転角が前記第1回転角以上である状態が継続しているときは、前記トルク検出手段によって検出される操舵トルクと前記第1操舵トルクとの差に応じた回転角だけ、前記第1回転角から中立位置側に近い位置に、前記出力軸の目標回転角を設定する第2手段とを含む、請求項1に記載の車両用操舵装置である。
【請求項3】
前記転舵輪の目標転舵角を設定し、前記転舵輪の転舵角が前記目標転舵角と等しくなるように、前記転舵モータを制御する転舵モータ制御手段をさらに含み、
前記第2手段は、前記転舵角検出手段によって検出される転舵角が転舵角限界値に達してから、前記回転角検出手段によって検出される前記出力軸の回転角が前記第1回転角以上である状態が継続しているときは、前記目標転舵角を固定させる手段を含んでいる、請求項2に記載の車両用操舵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、操向のために操作される操舵部材と転舵機構とが機械的に結合されていない状態で、転舵モータによって転舵機構が駆動される車両用操舵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
操舵部材としてのステアリングホイールと転舵機構(舵取り機構)との機械的な結合をなくし、ステアリングホイールの操作に応じて制御される転舵モータの駆動力を転舵機構に伝達するステア・バイ・ワイヤシステムが提案されている。このようなステア・バイ・ワイヤシステムは、ステアリングホイールに反力を与えるための反力モータを備えている。ステアリングホイールに入力軸が連結され、反力モータに出力軸が連結されている。入力軸と出力軸とは、トーションバーによって相対回転可能に連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−240399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したステア・バイ・ワイヤシステムにおいて、出力軸の回転角の目標値である目標回転角を設定し、出力軸の回転角が目標回転角と等しくなるように、反力モータを制御することが考えられる。そして、転舵輪の転舵角が転舵角限界値に到達したときに、出力軸の目標回転角を一時的に固定することによって、ステアリングホイールがそれ以上回転しないように反力モータを制御することが考えられる。しかしながら、出力軸の目標回転角を一時的に固定したとしても、操舵トルクによってトーションバーが捩れるため、ステアリングホイールが回転してしまう。
【0005】
この発明の目的は、転舵輪の転舵角が転舵角限界値に到達しているときに、操舵部材が回転するのを抑制できる車両用操舵装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、操向のために操作される操舵部材(2)と転舵輪(5)を転舵するための転舵機構(6)とが機械的に結合されていない状態で、転舵モータ(3)によって前記転舵機構が駆動される車両用操舵装置(1)であって、操舵部材に連結される入力軸(11)と、前記入力軸に一端が連結されるトーションバー(13)と、前記トーションバーの他端に連結される出力軸(12)と、前記出力軸に連結され、前記操舵部材に反力を与えるための反力モータ(19)と、前記操舵部材に加えられる操舵トルクを検出するトルク検出手段(16)と、前記出力軸の目標回転角を設定し、前記出力軸の回転角が前記目標回転角と等しくなるように、前記反力モータを制御する反力モータ制御手段(70)とを含み、前記反力モータ制御手段は、前記転舵輪の転舵角が転舵角限界値に到達しており、かつ前記転舵角限界値への到達時点の操舵トルクよりも前記操舵部材に大きな操舵トルクが加えられているときには、前記転舵角限界値に対応する前記出力軸の回転角に対して、前記トルク検出手段によって検出される操舵トルクに応じた回転角だけ、前記出力軸の中立位置側に近い位置に、前記出力軸の目標回転角を設定する目標回転角設定手段(71)を含んでいる、車両用操舵装置である。なお、括弧内の英数字は後述の実施形態における対応構成要素等を表すが、むろん、この発明の範囲は当該実施形態に限定されない。以下、この項において同じ。
【0007】
転舵角が転舵角限界値に到達した後において、転舵角限界値への到達時点の操舵トルクよりも操舵部材に大きな操舵トルクが加えられると、操舵部材は、出力軸に対して操舵トルクに応じたトーションバーの捩れ角分だけ、出力軸の中立位置側とは反対方向に回転しようとする。この発明では、転舵角限界値に対応する出力軸の回転角に対して、操舵トルクに応じた回転角だけ、出力軸の中立位置側に近い位置に、出力軸の目標回転角が設定される。これにより、出力軸は、操舵トルクに応じた回転角だけ、出力軸の中立位置側に近い位置まで回転しようとする。この結果、操舵部材が回転するのを抑制できる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記転舵輪の転舵角を検出する転舵角検出手段(17)と、前記出力軸の回転角を検出するための回転角検出手段(22,82,83)とをさらに含み、前記目標回転角設定手段は、前記転舵角検出手段によって検出される転舵角が前記転舵角限界値に達したときに、前記回転角検出手段によって検出される前記出力軸の回転角および前記トルク検出手段によって検出される操舵トルクを、それぞれ第1回転角および第1操舵トルクとして記憶する第1手段と、前記転舵角検出手段によって検出される転舵角が転舵角限界値に達してから、前記回転角検出手段によって検出される前記出力軸の回転角が前記第1回転角以上である状態が継続しているときは、前記トルク検出手段によって検出される操舵トルクと前記第1操舵トルクとの差に応じた回転角だけ、前記第1回転角から中立位置側に近い位置に、前記出力軸の目標回転角を設定する第2手段とを含む、請求項1に記載の車両用操舵装置である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記転舵輪の目標転舵角を設定し、前記転舵輪の転舵角が前記目標転舵角と等しくなるように、前記転舵モータを制御する転舵モータ制御手段(40)をさらに含み、前記第2手段は、前記転舵角検出手段によって検出される転舵角が転舵角限界値に達してから、前記回転角検出手段によって検出される前記出力軸の回転角が前記第1回転角以上である状態が継続しているときは、前記目標転舵角を固定させる手段(71)を含んでいる、請求項2に記載の車両用操舵装置である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、この発明の一実施形態に係る車両用操舵装置の構成を説明するための図解図である。
図2図2は、ECUの電気的構成を示すブロック図である。
図3図3は、転舵モータの構成を説明するための図解図である。
図4図4は、転舵モータ制御部の構成例を示すブロック図である。
図5図5は、反力モータ制御部の構成例を示すブロック図である。
図6図6は、反力側目標操舵角設定部の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る車両用操舵装置の構成を説明するための図解図であり、ステア・バイ・ワイヤシステムの構成が示されている。
この車両用操舵装置1は、運転者が操向のために操作する操舵部材としてのステアリングホイール2と、ステアリングホイール2の回転操作に応じて駆動される転舵モータ3と、転舵モータ3の駆動力を、転舵輪としての前方左右車輪5に伝達するステアリングギヤ4とを備えている。ステアリングホイール2と、転舵モータ3等を含む転舵機構6との間には、ステアリングホイール2に加えられた操作トルクが転舵機構6に機械的に伝達されるような機械的な結合はなく、ステアリングホイール2の操作量(操舵角または操舵トルク)に応じて転舵モータ3が駆動制御されることによって、転舵輪5が転舵されるようになっている。
【0012】
転舵モータ3は、ブラシレスモータ等の電動モータにより構成されている。この実施形態では、転舵モータ3は、ブラシレスモータによって構成されている。転舵モータ3には、転舵モータ3のロータの回転角を検出するためのレゾルバ等の回転角センサ21が設けられている。
ステアリングギヤ4は、転舵モータ3の出力シャフトの回転運動をステアリングロッド7の直線運動(車両左右方向の直線運動)に変換する運動変換機構を有する。ステアリングロッド7の動きがタイロッド8およびナックルアーム9を介して転舵輪5に伝達され、転舵輪5のトー角(転舵角)が変化する。つまり、転舵機構6は、転舵モータ3、ステアリングギヤ4、ステアリングロッド7、タイロッド8およびナックルアーム9から構成されている。ステアリングギヤ4は、公知のものを用いることができ、転舵モータ3の動きを転舵角が変化するように転舵輪5に伝達できれば構成は限定されない。
【0013】
この実施形態では、転舵モータ3が正転方向に回転されると、右方向に車両を換向させる方向(右転舵方向)に転舵輪5の転舵角が変化し、転舵モータ3が逆転方向に回転されると、左方向に車両を換向させる方向(左転舵方向)に転舵輪5の転舵角が変化するものとする。
ステアリングホイール2は、車体側に回転可能に支持された回転シャフト10に連結されている。この回転シャフト10には、ステアリングホイール2に作用する反力トルク(操作反力)を発生する反力モータ19が設けられている。
【0014】
回転シャフト10は、ステアリングホイール2に連結された入力軸11と、反力モータ19に減速機20を介して連結された出力軸12と、入力軸11と出力軸12とを連結するトーションバー13とを含む。反力モータ19は、ブラシレスモータ等の電動モータにより構成されている。この実施形態では、反力モータ19は、ブラシレスモータによって構成されている。反力モータ19には、反力モータ19のロータの回転角(ロータ角)を検出するためのレゾルバ等の回転角センサ22が設けられている。
【0015】
回転シャフト10の周囲には、運転者によってステアリングホイール2に付与される操舵トルクThを検出するためのトルクセンサ16が設けられている。この実施形態では、トルクセンサ16によって検出される操舵トルクTは、右方向への操舵のためのトルクが正の値として検出され、左方向への操舵のためのトルクが負の値として検出され、その絶対値が大きいほど操舵トルクの大きさが大きくなるものとする。
【0016】
ステアリングギヤ4の近傍には、転舵輪5の転舵角δを検出するための転舵角センサ17が備えられている。転舵角センサ17は、例えば、転舵角δに対応するステアリングロッド7の作動量を検出するポテンショメータにより構成されている。
車両には、さらに、車速Vを検出するための車速センサ14、ヨーレートYrを検出するためのヨーレートセンサ15等が設けられている。
【0017】
トルクセンサ16、転舵角センサ17、車速センサ14、ヨーレートセンサ15および回転角センサ21,22は、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)30にそれぞれ接続されている。ECU30は、転舵モータ3および反力モータ19を制御する。
図2は、ECU30の電気的構成を示すブロック図である。
【0018】
ECU30は、マイクロコンピュータ31と、マイクロコンピュータ31によって制御され、転舵モータ3に電力を供給する駆動回路(インバータ回路)32と、転舵モータ3に流れるモータ電流を検出する電流検出部33と、マイクロコンピュータ31によって制御され、反力モータ19に電力を供給する駆動回路(インバータ回路)34と、反力モータ19に流れるモータ電流を検出する電流検出部35とを備えている。
【0019】
マイクロコンピュータ31は、CPUおよびメモリ(ROM、RAM、不揮発性メモリなど)を備えており、所定のプログラムを実行することによって、複数の機能処理部として機能するようになっている。この複数の機能処理部には、転舵モータ3を制御するための転舵モータ制御部40と、反力モータ19を制御するための反力モータ制御部70とが含まれる。
【0020】
転舵モータ制御部40は、反力モータ制御部70から与えられる出力軸角θh、車速センサ14によって検出される車速V、トルクセンサ16によって検出される操舵トルクTh、ヨーレートセンサ15によって検出されるヨーレートYr、転舵角センサ17によって検出される転舵角δ、回転角センサ21の出力信号および電流検出部33によって検出される電流に基づいて、駆動回路32を制御する。出力軸角θhは、出力軸12の回転角である。これにより、転舵モータ制御部40は、操舵状態に応じた転舵制御を実現する。
【0021】
反力モータ制御部70は、転舵モータ制御部40から与えられる転舵側目標操舵角θht、転舵角センサ17によって検出される転舵角δ、回転角センサ22の出力信号および電流検出部35によって検出される電流に基づいて、駆動回路34を制御する。これにより、反力モータ制御部70は、操舵状態に応じた反力制御を実現する。
転舵モータ3は、例えば三相ブラシレスモータであり、図3に図解的に示すように、界磁としてのロータ100と、U相、V相およびW相のステータ巻線101,102,103を含むステータ105とを備えている。転舵モータ3は、ロータの外部にステータを対向配置したインナーロータ型のものであってもよいし、筒状のロータの内部にステータを対向配置したアウターロータ型のものであってもよい。
【0022】
各相のステータ巻線101,102,103の方向にU軸、V軸およびW軸をとった三相固定座標(UVW座標系)が定義される。また、ロータ100の磁極方向にd軸(磁極軸)をとり、ロータ100の回転平面内においてd軸と直角な方向にq軸(トルク軸)をとった二相回転座標系(dq座標系。実回転座標系)が定義される。dq座標系は、ロータ100とともに回転する回転座標系である。dq座標系では、q軸電流のみがロータ100のトルク発生に寄与するので、d軸電流を零とし、q軸電流を所望のトルクに応じて制御すればよい。ロータ100の回転角(ロータ角(電気角))θ-Sは、U軸に対するd軸の回転角である。dq座標系は、ロータ角θ-Sに従う実回転座標系である。このロータ角θ-Sを用いることによって、UVW座標系とdq座標系との間での座標変換を行うことができる。
【0023】
反力モータ19は、例えば三相ブラシレスモータからなり、転舵モータ3と同様な構造を有している。
図4は、転舵モータ制御部40の構成例を示すブロック図である。
転舵モータ制御部40は、角速度演算部41と、転舵側目標操舵角設定部42と、目標転舵角設定部43と、角度偏差演算部44と、PI(比例積分)制御部45と、角速度偏差演算部46と、PI制御部47と、電流偏差演算部48と、PI制御部49と、dq/UVW変換部50と、PWM(Pulse Width Modulation)制御部51と、UVW/dq変換部52と、回転角演算部53とを含む。
【0024】
転舵側目標操舵角設定部42は、反力モータ制御部70内の出力軸角演算部83(図5参照)によって演算される出力軸角θh(出力軸12の回転角)、車速センサ14によって検出される車速V、トルクセンサ16によって検出される操舵トルクThおよびヨーレートセンサ15によって検出されるヨーレートYrに基づいて、ステアリングホイール2の回転角(操舵角)の目標値である転舵側目標操舵角θhtを演算する。つまり、目標操舵角演算部42は、操舵状態を表す検出値(操舵状態検出値)に基いて、転舵側目標操舵角θhtを設定する。
【0025】
目標転舵角設定部43は、転舵側目標操舵角設定部42によって設定される転舵側目標操舵角θhtに基づいて、転舵角の目標値である目標転舵角δを設定する。目標転舵角設定部43によって設定される目標転舵角δは、角度偏差演算部44に与えられる。
角度偏差演算部44は、目標転舵角設定部43によって設定される目標転舵角δと、転舵角センサ17によって検出される転舵角δとの偏差Δδ(=δ−δ)を演算する。
【0026】
PI制御部45は、角度偏差演算部44によって演算される角度偏差Δδに対するPI演算を行なうことにより、転舵角速度の目標値である目標転舵角速度ωtを演算する。PI制御部45によって演算される目標転舵角速度ωtは、角速度偏差演算部46に与えられる。
角速度演算部41は、転舵角センサ17によって検出される転舵角δを時間微分することによって、転舵角δの角速度(転舵角速度)ωtを演算する。角速度演算部41によって演算される転舵角速度ωtは、角速度偏差演算部46に与えられる。
【0027】
角速度偏差演算部46は、PI制御部45によって演算される目標転舵角速度ωtと、角速度演算部41によって演算される転舵角速度ωtとの偏差Δωt(=ωt−ωt)を演算する。
PI制御部47は、角速度偏差演算部46によって演算される角速度偏差Δωtに対するPI演算を行なうことにより、dq座標系の座標軸に流すべき電流の目標値である目標電流を演算する。具体的には、PI制御部47は、目標d軸電流Iおよび目標q軸電流I(以下、これらを総称するときには「目標二相電流Idq」という。)を演算する。さらに具体的には、PI制御部47は、目標q軸電流Iを有意値として演算する一方で、目標d軸電流Iを零とする。PI制御部47によって演算される目標二相電流Idqは、電流偏差演算部48に与えられる。
【0028】
回転角演算部53は、回転角センサ21の出力信号に基づいて、転舵モータ3のロータの回転角(電気角。以下、「ロータ角θ」という。)を演算する。
電流検出部33は、転舵モータ3のU相電流I、V相電流IおよびW相電流I(以下、これらを総称するときは、「三相検出電流IUVW」という。)を検出する。電流検出部33によって検出された三相検出電流IUVWは、UVW/dq変換部52に与えられる。
【0029】
UVW/dq変換部52は、電流検出部33によって検出されるUVW座標系の三相検出電流IUVW(U相電流I、V相電流IおよびW相電流I)を、dq座標系の二相検出電流IおよびI(以下総称するときには「二相検出電流Idq」という。)に変換する。これらが電流偏差演算部48に与えられる。UVW/dq変換部52における座標変換には、回転角演算部53によって演算されたロータ角θが用いられる。
【0030】
電流偏差演算部48は、PI制御部47によって演算される目標二相電流Idqと、UVW/dq変換部52から与えられる二相検出電流Idqとの偏差を演算する。より具体的には、電流偏差演算部48は、目標d軸電流Iに対するd軸検出電流Iの偏差および目標q軸電流Iに対するq軸検出電流Iの偏差を演算する。これらの偏差は、PI制御部49に与えられる。
【0031】
PI制御部49は、電流偏差演算部48によって演算される電流偏差に対するPI演算を行なうことにより、転舵モータ3に印加すべき目標二相電圧Vdq(目標d軸電圧Vおよび目標q軸電圧V)を生成する。この目標二相電圧Vdqは、dq/UVW変換部50に与えられる。
dq/UVW変換部50は、目標二相電圧Vdqを目標三相電圧VUVWに変換する。この座標変換には、回転角演算部53によって演算されたロータ角θが用いられる。目標三相電圧VUVWは、目標U相電圧V、目標V相電圧Vおよび目標W相電圧Vからなる。この目標三相電圧VUVWは、PWM制御部51に与えられる。
【0032】
PWM制御部51は、目標U相電圧V、目標V相電圧Vおよび目標W相電圧Vにそれぞれ対応するデューティのU相PWM制御信号、V相PWM制御信号およびW相PWM制御信号を生成し、駆動回路32に供給する。
駆動回路32は、U相、V相およびW相に対応した三相インバータ回路からなる。このインバータ回路を構成するパワー素子がPWM制御部51から与えられるPWM制御信号によって制御されることにより、目標三相電圧VUVWに相当する電圧が転舵モータ3の各相のステータ巻線101,102,103に印加される。
【0033】
角度偏差演算部44およびPI制御部45は、角度フィードバック制御手段を構成している。この角度フィードバック制御手段の働きによって、転舵輪5の転舵角δが、目標転舵角設定部43によって設定される目標転舵角δに近づくように制御される。また、角速度偏差演算部46およびPI制御部47は、角速度フィードバック制御手段を構成している。この角速度フィードバック制御手段の働きによって、転舵角速度ωtが、PI制御部45によって演算される目標転舵角速度ωtに近づくように制御される。また、電流偏差演算部48およびPI制御部49は、電流フィードバック制御手段を構成している。この電流フィードバック制御手段の働きによって、転舵モータ3に流れるモータ電流が、PI制御部47によって演算される目標二相電流Idqに近づくように制御される。
【0034】
図5は、反力モータ制御部70の構成例を示すブロック図である。
反力モータ制御部70は、反力側目標操舵角設定部(目標回転角設定手段)71と、角度偏差演算部72と、PI制御部73と、角速度偏差演算部75と、PI制御部76と、電流偏差演算部77と、PI制御部78と、dq/UVW変換部79と、PWM制御部80と、UVW/dq変換部81と、回転角演算部82と、出力軸角演算部(回転角検出手段)83と、角速度演算部84とを含む。
【0035】
反力側目標操舵角設定部71は、転舵モータ制御部40内の転舵側目標操舵角設定部42によって設定される転舵側目標操舵角θhtと、トルクセンサ16によって検出される操舵トルクThと、転舵角センサ17によって検出される転舵角δとに基づいて、出力軸12の回転角の目標値である反力側目標操舵角θhrを設定する。反力側目標操舵角設定部71は、通常時は、転舵側目標操舵角設定部42によって設定される転舵側目標操舵角θhtを反力側目標操舵角θhrとして設定する。反力側目標操舵角設定部71の動作の詳細については、後述する。
【0036】
回転角演算部82は、回転角センサ22の出力信号に基づいて、反力モータ19のロータの電気角θおよび機械角θを演算する。出力軸角演算部83は、反力モータ19のロータの機械角θを減速機20の減速比で除算することにより、出力軸角θhを演算する。この実施形態では、出力軸角演算部83は、出力軸12の中立位置(基準位置)からの出力軸12の正逆両方向の回転量(回転角)を演算するものであり、中立位置から右方向への回転量を例えば正の値として出力し、中立位置から左方向への回転量を例えば負の値として出力する。
【0037】
角度偏差演算部72は、反力側目標操舵角設定部71によって設定される反力側目標操舵角θhrと、出力軸角演算部83によって演算される出力軸角θhとの偏差Δθh(=θhr−θh)を演算する。
PI制御部73は、角度偏差演算部72によって演算される角度偏差Δθhに対するPI演算を行なうことにより、出力軸角速度の目標値である目標出力軸角速度ωhを演算する。PI制御部73によって演算される目標出力軸角速度ωhは、角速度偏差演算部75に与えられる。
【0038】
角速度演算部84は、出力軸角演算部83によって演算される出力軸角θhを時間微分することによって、出力軸角θhの角速度(出力軸角速度)ωhを演算する。角速度演算部84によって演算される出力軸角速度ωhは、角速度偏差演算部75に与えられる。
角速度偏差演算部75は、PI制御部73によって演算される目標出力軸角速度ωhと、角速度演算部84によって演算される出力軸角速度ωhとの偏差Δωh(=ωh−ωh)を演算する。
【0039】
PI制御部76は、角速度偏差演算部75によって演算される角速度偏差Δωhに対するPI演算を行なうことにより、dq座標系の座標軸に流すべき電流の目標値である目標電流を演算する。具体的には、PI制御部76は、目標d軸電流iおよび目標q軸電流i(以下、これらを総称するときには「目標二相電流idq」という。)を演算する。さらに具体的には、PI制御部76は、目標q軸電流iを有意値として演算する一方で、目標d軸電流iを零とする。PI制御部76によって演算される目標二相電流idqは、電流偏差演算部77に与えられる。
【0040】
電流検出部35は、反力モータ19のU相電流i、V相電流iおよびW相電流i(以下、これらを総称するときは、「三相検出電流iUVW」という。)を検出する。電流検出部35によって検出された三相検出電流iUVWは、UVW/dq変換部81に与えられる。
UVW/dq変換部81は、電流検出部35によって検出されるUVW座標系の三相検出電流iUVW(U相電流i、V相電流iおよびW相電流i)を、dq座標系の二相検出電流iおよびi(以下総称するときには「二相検出電流idq」という。)に変換する。これらが電流偏差演算部77に与えられる。UVW/dq変換部81における座標変換には、回転角演算部82によって演算された電気角θが用いられる。
【0041】
電流偏差演算部77は、PI制御部76から出力される目標二相電流idqと、UVW/dq変換部81から与えられる二相検出電流idqとの偏差を演算する。より具体的には、電流偏差演算部77は、目標d軸電流iに対するd軸検出電流iの偏差および目標q軸電流iに対するq軸検出電流iの偏差を演算する。これらの偏差は、PI制御部78に与えられる。
【0042】
PI制御部78は、電流偏差演算部77によって演算される電流偏差に対するPI演算を行なうことにより、反力モータ19に印加すべき目標二相電圧vdq(目標d軸電圧vおよび目標q軸電圧v)を生成する。この目標二相電圧vdqは、dq/UVW変換部79に与えられる。
dq/UVW変換部79は、目標二相電圧vdqを目標三相電圧vUVWに変換する。この座標変換には、回転角演算部82によって演算された電気角θが用いられる。目標三相電圧vUVWは、目標U相電圧v、目標V相電圧vおよび目標W相電圧vからなる。この目標三相電圧vUVWは、PWM制御部80に与えられる。
【0043】
PWM制御部80は、目標U相電圧v、目標V相電圧vおよび目標W相電圧vにそれぞれ対応するデューティのU相PWM制御信号、V相PWM制御信号およびW相PWM制御信号を生成し、駆動回路34に供給する。
駆動回路34は、U相、V相およびW相に対応した三相インバータ回路からなる。このインバータ回路を構成するパワー素子がPWM制御部80から与えられるPWM制御信号によって制御されることにより、目標三相電圧vUVWに相当する電圧が反力モータ19の各相のステータ巻線に印加される。
【0044】
角度偏差演算部72およびPI制御部73は、角度フィードバック制御手段を構成している。この角度フィードバック制御手段の働きによって、出力軸角θhが、反力側目標操舵角設定部71によって設定される反力側目標操舵角θhに近づくように制御される。また、角速度偏差演算部75およびPI制御部76は、角速度フィードバック制御手段を構成している。この角速度フィードバック制御手段の働きによって、出力軸角速度ωhが、PI制御部73によって演算される目標出力軸角速度ωhに近づくように制御される。また、電流偏差演算部77およびPI制御部78は、電流フィードバック制御手段を構成している。この電流フィードバック制御手段の働きによって、反力モータ19に流れるモータ電流が、PI制御部76から出力される目標二相電流Idqに近づくように制御される。
【0045】
図6は、反力側目標操舵角設定部71の動作を説明するためのフローチャートである。
反力側目標操舵角設定部71は、転舵角センサ17によって検出される転舵角δを取得する(ステップS1)。そして、反力側目標操舵角設定部71は、転舵角δが転舵角限界値に到達したか否かを判別する(ステップS2)。転舵角限界値は、右転舵方向の限界値δRend(δRend>0)と、左転舵方向の限界値δLend(δLend<0)とがある。転舵角δがδRend以上であるときまたは転舵角δがδLend以下であるときに反力側目標操舵角設定部71は転舵角限界値に達したと判別する。
【0046】
転舵角δが転舵角限界値に到達していない場合には(ステップS2:NO)、反力側目標操舵角設定部71は、転舵側目標操舵角設定部42よって設定されている転舵側目標操舵角θhtを取得し、反力側目標操舵角θhrとして設定する(ステップS3)。この場合には、転舵側目標操舵角θhtがそのまま反力側目標操舵角θhrとして、角度偏差演算部72に与えられる。そして、反力側目標操舵角設定部71はステップS1に戻る。
【0047】
前記ステップS2において、転舵角δが転舵角限界値に到達していると判別された場合には(ステップS2:YES)、反力側目標操舵角設定部71は、ステップS4に移行する。ステップS4では、反力側目標操舵角設定部71は、出力軸角演算部83によって演算されている出力軸角θh、トルクセンサ16によって検出されている操舵トルクThおよび転舵側目標操舵角設定部42よって設定されている転舵側目標操舵角θhtを取得する。そして、反力側目標操舵角設定部71は、取得した出力軸角θh、操舵トルクThおよび転舵側目標操舵角θhtを、それぞれ、転舵角限界値での出力軸角θhend、操舵トルクThendおよび転舵側目標操舵角θhtendとしてメモリ(図示略)に記憶する。
【0048】
次に、反力側目標操舵角設定部71は、次式(1)に基づいて、操舵トルクThに応じたトーションバー13の捩れ角θtbを演算する(ステップS5)。
θtb=(Th−Thend)÷Ktb …(1)
前記式(1)において、Thendは、ステップS4でメモリに記憶された転舵角限界値での操舵トルクである。また、Ktb[N・mm/deg]は、トーションバー13のばね定数である。また、Thは操舵トルクである。ステップS4からステップS5に移行した場合には、Thは、ステップS4で取得された操舵トルクThであり、後述するように、ステップS9からステップS5に移行した場合には、Thは、ステップS8で取得された操舵トルクThである。
【0049】
次に、反力側目標操舵角設定部71は、次式(2)に基づいて、反力側目標操舵角θhrを演算する(ステップS6)。そして、演算された反力側目標操舵角θhrが角度偏差演算部72に与えられる。
θhr=θhend−θtb …(2)
前記式(1)において、θhendはステップS4でメモリに記憶された転舵角限界値での出力軸角である。
【0050】
次に、反力側目標操舵角設定部71は、転舵側目標操舵角θhtがステップS4でメモリに記憶された転舵角限界値での転舵側目標操舵角θhtendに固定されるように、転舵側目標操舵角演算部42を制御する(ステップS7)。
この後、反力側目標操舵角設定部71は、出力軸角演算部83によって演算されている出力軸角θhおよびトルクセンサ16によって検出されている操舵トルクThを取得する(ステップS8)。
【0051】
そして、反力側目標操舵角設定部71は、出力軸角θhの絶対値|θh|が、ステップS4でメモリに記憶された転舵角限界値での出力軸角θhendの絶対値|θhend|よりも小さいか否かを判別する(ステップS9)。|θh|が|θhend|以上である場合には(ステップS9でNO)、反力側目標操舵角設定部71は、転舵角が転舵角限界値に達している状態が維持されていると判別し、ステップS5に戻る。これにより、ステップS5〜S9の処理が再度実行される。
【0052】
前記ステップS9において、|θh|が|θhend|よりも小さいと判別された場合には(ステップS9でYES)、反力側目標操舵角設定部71は、転舵角が転舵角限界値に達している状態が解除されたと判別し、ステップS10に移行する。ステップS10では、反力側目標操舵角設定部71は、転舵側目標操舵角θhtを転舵角限界値での転舵側目標操舵角θhtendに固定させるための制御を解除する。そして、反力側目標操舵角設定部71は、ステップS1に戻る。
【0053】
前述の実施形態では、転舵角δが転舵角限界値に到達すると、反力側目標操舵角設定部71は、出力軸角θh、操舵トルクThおよび転舵側目標操舵角θhtを取得する。そして、反力側目標操舵角設定部71は、取得した出力軸角θh、操舵トルクThおよび転舵側目標操舵角θhtを、それぞれ、転舵角限界値での出力軸角θhend、操舵トルクThendおよび転舵側目標操舵角θhtendとしてメモリに記憶する(S2、S4参照)。
【0054】
この後、反力側目標操舵角設定部71は、前記式(1)に基づいて、操舵トルクThに応じたトーションバー13の捩れ角θtbを演算する(S5参照)。ステップS4からステップS5に移行した場合には、θtb=0となる。ステップS9からステップS5に移行した場合において、ステアリングホイール2が切り増し操作されていると、トーションバー13の捩れ角θtbは零以外の値となる。この後、反力側目標操舵角設定部71は、前記式(2)に基づいて、反力側目標操舵角θhrを演算する(S6参照)。
【0055】
ステップS4からステップS5に移行した場合のように、操舵トルクThに応じたトーションバー13の捩れ角θtbが零である場合には、反力側目標操舵角θhrは、転舵角限界値での出力軸角θhendに設定される。
一方、操舵トルクThに応じたトーションバー13の捩れ角θtbが零以外の値である場合には、反力側目標操舵角θhrは、転舵角限界値での出力軸角θhendに対して、操舵トルクThに応じたトーションバー13の捩れ角の絶対値|θtb|分だけ出力軸12の中立位置側に近い位置に設定される。これにより、ステアリングホイール2が回転するのを抑制できる。この理由について説明する。
【0056】
転舵角限界値に到達した後においてもステアリングホイール2が切り増し操作されると、ステアリングホイール2は、出力軸12に対して操舵トルクThに応じたトーションバー13の捩れ角の絶対値|θtb|分だけ、出力軸12の中立位置側とは反対方向に回転しようとする。一方、反力側目標操舵角θhrが前述のように設定されることにより、出力軸12は、操舵トルクThに応じたトーションバー13の捩れ角の絶対値|θtb|分だけ、出力軸12の中立位置側に近い位置まで回転しようとする。この結果、ステアリングホイール2が回転するのを抑制できる。
【0057】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。たとえば、前述の実施形態では、転舵側目標操舵角設定部42は、車速V、操舵トルクTh、ヨーレートYrおよび出力軸角θhに基づいて、転舵側目標操舵角θhtを設定している。しかし、転舵側目標操舵角設定部42は、少なくとも出力軸角θhまたは操舵トルクThを用いて、転舵側目標操舵角θhtを設定すればよい。
【0058】
また、前述の実施形態では、転舵角センサ17によって転舵角δを検出しているが、転舵モータ3の回転角を検出するための回転角センサ21の出力信号に基づいて、転舵角δを演算するようにしてもよい。
また、図6のステップS9では、出力軸角θhの絶対値|θh|が、転舵角限界値での出力軸角θhendの絶対値|θhend|よりも小さいか否かを判別しているが、操舵トルクThの絶対値|Th|が、転舵角限界値での操舵トルクThendの絶対値|Thend|よりも小さいか否かを判別するようにしてもよい。この場合には、反力側目標操舵角設定部71は、|Th|が|Thend|よりも小さいときに、ステップS10に移行すればよい。
【0059】
また、前述の実施形態では、ステアリングホイール2と転舵機構6との間に、ステアリングホイール2に加えられた操作トルクを転舵機構6に機械的に伝達するための機構が設けられていない構成であったが、これらの間に結合、非結合を切り換えることができる機構、例えばクラッチ(電磁クラッチ)を設けてもよい。例えば、転舵機構6にラック&ピニオン式減速機構を設け、このピニオンの回転軸とステアリングホイール2の回転軸とをクラッチによって結合、非結合可能に連結してもよい。
【0060】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0061】
1…車両用操舵装置、2…ステアリングホイール、3…転舵モータ、5…転舵輪、6…転舵機構、11…入力軸、12…出力軸、13…トーションバー、16…トルクセンサ、19…反力モータ、22…回転角センサ、30…ECU、31…マイクロコンピュータ、40…転舵モータ制御部、70…反力モータ制御部、82…回転角演算部、83…出力軸角演算部
図1
図2
図3
図4
図5
図6