(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記トリガは、前記スイッチを前記オン状態とする前記操作部の操作に応じて前記制御手段に始動信号を出力する信号出力部を有することを特徴とする請求項1に記載の電動工具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、小型で且つ出力の大きな電動工具が求められている。しかしながら、出力の大きな電動工具では、通常よりも過負荷領域での実用作業の場合、電流のピーク値、すなわちピーク電流が高くなってしまう。その結果、例えばインバータ回路に実装されるスイッチング素子や、モータ、スイッチ等の部品の破損や、電源となる発電機や電動工具に搭載された過電流保護回路の作動による工具の駆動停止等の不具合が発生するという問題があった。
【0005】
ピーク電流を抑制するためには、静電容量の大きな平滑コンデンサを使用することが考えられるが、この場合、工具本体が大型化してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、
良好な作業性を有した電動工具を提供することを目的とする
。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る電動工具は、ブラシレスモータと、交流電源から入力される交流電圧を整流して出力する整流回路と、スイッチング動作を行うことにより、整流回路の出力をブラシレスモータに供給するインバータ回路と、インバータ回路のスイッチング動作を制御する制御手段と、作業者が操作可能な操作部を有するトリガと、操作部の操作に連動してオン・オフされ、オン状態では交流電源とインバータ回路とを電気的に接続し、オフ状態では交流電源とインバータ回路との電気的な接続を遮断するスイッチと、スイッチと交流電源との間に接続され、制御手段に電圧を供給する電源回路と、スイッチとインバータ回路との間においてインバータ回路に並列に接続さ
れ、操作部の操作に連動してスイッチがオフされた際にブラシレスモータの電気的なエネルギーを吸収するコンデンサと、を有することを特徴とする。
また、本発明に係る電動工具は、ブラシレスモータと、交流電圧を整流して出力する整流回路と、整流回路の出力を平滑して出力する平滑回路と、スイッチング動作を行うことにより、平滑回路の出力をブラシレスモータに供給するインバータ回路と、インバータ回路のスイッチング動作を制御する制御手段と、作業者が操作可能な操作部と、を備え、平滑回路は、並列に接続された第1のコンデンサ及び第2のコンデンサと、整流回路とインバータ回路との間に設けられ、操作部の操作に連動してオン・オフされ、オン状態では整流回路とインバータ回路とを電気的に接続し、オフ状態では整流回路とインバータ回路との電気的な接続を遮断するスイッチと、を有し、制御手段は、スイッチをオン状態とする操作部の操作によって入力される信号に基づいて、インバータ回路のスイッチング動作を制御してブラシレスモータを駆動し、第1のコンデンサ及び第2のコンデンサは異なるインピーダンスを有し、スイッチは、第1のコンデンサとインバータ回路との間に配置されていることを特徴とする。
また、本発明に係る電動工具は、ブラシレスモータと、交流電圧を整流して出力する整流回路と、整流回路の出力を平滑して出力する平滑回路と、スイッチング動作を行うことにより、平滑回路の出力をブラシレスモータに供給するインバータ回路と、インバータ回路のスイッチング動作を制御する制御手段と、作業者が操作可能な操作部と、操作部の操作に基づきオン・オフ信号を制御手段に出力する信号出力部と、を備え、平滑回路は、並列に接続された第1のコンデンサ及び第2のコンデンサと、整流回路とインバータ回路との間に設けられ、操作部の操作に基づきオン・オフされ、オン状態では整流回路とインバータ回路とを電気的に接続し、オフ状態では整流回路とインバータ回路との電気的な接続を遮断するスイッチと、を有し、スイッチは、第1のコンデンサとインバータ回路との間に接続され、第1のコンデンサ及び第2のコンデンサは異なるインピーダンスを有し、制御手段は、ブラシレスモータに流れる電流値が閾値を超えていると判断した場合、操作部の操作にかかわらず、スイッチング動作を停止させるべくインバータ回路を制御することを特徴とする。
また、本発明に係る電動工具は、ブラシレスモータと、交流電圧を整流して出力する整流回路と、整流回路の出力を平滑して出力する平滑回路と、スイッチング動作を行うことにより、平滑回路の出力をブラシレスモータに供給するインバータ回路と、を備え、平滑回路は、並列に接続された第1のコンデンサ及び第2のコンデンサを有し、第1のコンデンサ及び第2のコンデンサは異なるインピーダンスを有することを特徴とする。
【0008】
かかる構成によれば、インピーダンスの異なる2つのコンデンサが平滑回路に設けられるので、出力の大きな電動工具においても、工具本体を大型化せずともピーク電流を効率的に抑制可能となる。したがって、ブラシレスモータへの安定した電圧の供給が可能となり、作業性が向上される。
【0009】
上記した電動工具において、第1のコンデンサは、有極性コンデンサであり、第2のコンデンサは、無極性コンデンサであることが好ましい。
【0010】
かかる構成によれば、有極性コンデンサはサイズに比して静電容量が大きいため、工具本体を大型化せずとも必要な静電容量を得ることが可能となる。また、無極性コンデンサは、高周波成分の吸収性能が高いため、瞬間的なピーク電流の発生を抑制可能となる。
【0011】
また、有極性コンデンサは、電解コンデンサであり、無極性コンデンサは、フィルムコンデンサであることが好ましい。
【0012】
かかる構成によれば、電解コンデンサに加えてフィルムコンデンサが設けられるので、ピーク電流を効率的に抑制可能となる。
【0013】
第1のコンデンサの容量は、第2のコンデンサの容量よりも大きいことが好ましい。
【0014】
かかる構成によれば、容量の異なる2つのコンデンサが平滑回路に設けられるので、ピーク電流を効率的に抑制可能となる。
【0015】
上記した電動工具において、ブラシレスモータは、誘起電圧を発生する固定子巻線を有し、平滑回路は、誘起電圧の電圧値よりも小さな最小値を有する脈動電圧を出力することが好ましい。
【0016】
かかる構成によれば、平滑回路のコンデンサ容量は、整流回路の出力を完全には平滑せず、平滑回路の出力電圧値が固定子巻線に発生する誘起電圧の電圧値よりも大きくなる期間ではブラシレスモータに電流が流れ、小さくなる期間ではブラシレスモータに電流が流れなくなるような脈動電圧を出力する小さな容量である。したがって、平滑回路の小型化が可能となり、電動工具本体の大型化の抑制が可能となる。
【0017】
また、作業者が操作可能な操作部と、整流回路とインバータ回路との間に設けられ、操作部の操作に基づきオン・オフされるスイッチと、を更に備え、スイッチは、第1のコンデンサとインバータ回路との間に配置されていることが好ましい。
【0018】
かかる構成によれば、整流回路からの出力電流は、第1のコンデンサを介してスイッチに入力されるので、ブラシレスモータの起動時に突入電流が発生した場合も、第1のコンデンサにより電流のピーク値が抑制され、当該突入電流がスイッチに直接入力されることを防止可能となる。したがって、スイッチの溶着等の発生を防止可能となり、スイッチ及び工具の寿命が向上される。
【0019】
スイッチは、第1のコンデンサと第2のコンデンサとの間に配置され、第2のコンデンサは、スイッチとインバータ回路との間に配置されていることが好ましい。
【0020】
かかる構成によれば、スイッチとインバータ回路との間に第2のコンデンサが設けられるので、スイッチのオフ時におけるインバータ回路への入力電圧の跳ね上がりを抑制可能となる。したがって、インバータ回路に実装されるMOSFETやIGBT等のスイッチング素子や、ブラシレスモータ等の破損を抑制可能となる。
【0021】
また、インバータ回路のスイッチング動作を制御する制御手段と、操作部の操作に基づきオン・オフ信号を制御手段に出力する信号出力部と、を更に備えることが好ましい。
【0022】
かかる構成によれば、操作部の操作に伴い、確実にブラシレスモータの駆動を開始及び停止可能となるので、良好な作業性の確保が可能となる。
【0023】
制御手段は、ブラシレスモータに流れる電流値が閾値を超えていると判断した場合、操作部の操作にかかわらず、スイッチング動作を停止させるべくインバータ回路を制御することが好ましい。
【0024】
かかる構成によれば、過電流によるブラシレスモータの焼損等の発生を防止可能となり、工具の寿命が向上される。
【0025】
上記した電動工具において、整流回路、平滑回路及びインバータ回路を搭載する基板を更に備えることが好ましい。この場合、第1のコンデンサ及び第2のコンデンサは、基板に電気的に接続され、基板の寸法内に配置されると共に、基板から突設される回路素子と同程度の高さ寸法を有することが好ましい。
【0026】
かかる構成によれば、基板上又は基板近傍に小さなコンデンサを配置した構成となるため、コンパクトな電動工具の提供が可能となる。
【0027】
本発明に係る電動工具は、ブラシレスモータと、交流電圧を整流して出力する整流回路と、整流回路の出力を平滑して出力する平滑回路と、スイッチング動作を行うことにより、平滑回路の出力をブラシレスモータに供給するインバータ回路と、インバータ回路のスイッチング動作を制御する制御手段と、作業者が操作可能な操作部と、操作部の操作に連動してオン・オフ信号を制御手段に出力する信号出力部と、を備え、平滑回路は、並列に接続された第1のコンデンサ及び第2のコンデンサと、第1のコンデンサ及び第2のコンデンサの間に配置され、操作部に操作に基づきオン・オフされ、オン状態では整流回路とインバータ回路とを電気的に接続し、オフ状態では整流回路とインバータ回路との電気的な接続を遮断するスイッチと、を有し、制御手段は、スイッチをオン状態とする操作部の操作に伴い入力されるオン信号に基づいて、インバータ回路のスイッチング動作を制御してブラシレスモータを駆動し、第1のコンデンサは、スイッチの整流回路側に接続され、第2のコンデンサは、スイッチのインバータ回路側に接続されることを特徴とする。
また、本発明に係る電動工具は、ブラシレスモータと、交流電圧を整流して出力する整流回路と、記整流回路の出力を平滑して出力する平滑回路と、スイッチング動作を行うことにより、平滑回路の出力をブラシレスモータに供給するインバータ回路と、インバータ回路のスイッチング動作を制御する制御手段と、作業者が操作可能な操作部と、操作部の操作に基づきオン・オフ信号を制御手段に出力する信号出力部と、を備え、平滑回路は、並列に接続された2つのコンデンサと、2つのコンデンサの間に配置され、操作部の操作に基づきオン・オフされる、オン状態では整流回路とインバータ回路とを電気的に接続し、オフ状態では整流回路とインバータ回路との電気的な接続を遮断するスイッチと、を有し、制御手段は、ブラシレスモータに流れる電流値が閾値を超えていると判断した場合、操作部の操作にかかわらず、スイッチング動作を停止させるべくインバータ回路を制御することを特徴とする。
また、本発明に係る電動工具は、ブラシレスモータと、交流電圧を整流して出力する整流回路と、整流回路の出力を平滑して出力する平滑回路と、スイッチング動作を行うことにより、平滑回路の出力をブラシレスモータに供給するインバータ回路と、を備え、平滑回路は、並列に接続された2つのコンデンサと、2つのコンデンサ間に配置されるスイッチと、を有することを特徴とする。
【0028】
かかる構成によれば、整流回路とスイッチとの間にコンデンサが設けられ、整流回路からの出力電流はコンデンサを介してスイッチに入力されるので、ブラシレスモータの起動時に突入電流が発生した場合も、コンデンサにより電流のピーク値が抑制され、当該突入電流がスイッチに直接入力されることを防止可能となる。したがって、スイッチの溶着などの発生を防止可能となり、スイッチ及び工具の寿命が向上される。また、スイッチとインバータ回路との間にもコンデンサが設けられるので、スイッチのオフ時におけるインバータ回路の電圧の跳ね上がりを抑制可能となる。したがって、インバータ回路に実装されるMOSFETやIGBTなどのスイッチング素子や、ブラシレスモータ等の破損を抑制可能となり、製品寿命の向上を図ることができる。
【0029】
上記した電動工具において、コンデンサは、フィルムコンデンサであることが好ましい。
【0030】
かかる構成によれば、2つのフィルムコンデンサが平滑回路に設けられるので、ピーク電流の効率的な抑制が可能となる。
【0031】
また、ブラシレスモータは、誘起電圧を発生する固定子巻線を有し、平滑回路は、誘起電圧の電圧値よりも小さな最小値を有する脈動電圧を出力することが好ましい。
【0032】
かかる構成によれば、平滑回路のコンデンサ容量は、整流回路の出力を完全には平滑せず、平滑回路の出力電圧値が固定子巻線に発生する誘起電圧の電圧値よりも大きくなる期間ではブラシレスモータに電流が流れ、小さくなる期間ではブラシレスモータに電流が流れなくなるような脈動電圧を出力する小さな容量である。したがって、平滑回路の小型化が可能となり、電動工具本体の大型化の抑制が可能となる。
【0033】
また、作業者が操作可能な操作部を更に備え、スイッチは、操作部の操作に基づきオン・オフされることが好ましい。
【0034】
かかる構成によれば、操作部の操作に伴い、確実にブラシレスモータの駆動を開始及び停止可能となるので、良好な作業性の確保が可能となる。
【0035】
また、インバータ回路のスイッチング動作を制御する制御手段と、操作部の操作に基づきオン・オフ信号を制御手段に出力する信号出力部と、を更に備えることが好ましい。
【0036】
かかる構成によれば、操作部の操作に伴い、確実にブラシレスモータの駆動を開始及び停止可能となるので、良好な作業性の確保が可能となる。
【0037】
制御手段は、ブラシレスモータに流れる電流値が閾値を超えていると判断した場合、操作部の操作にかかわらず、スイッチング動作を停止させるべくインバータ回路を制御することが好ましい。
【0038】
かかる構成によれば、過電流によるブラシレスモータの焼損等の発生を防止可能となり、工具の寿命が向上される。
【発明の効果】
【0039】
本発明に係る電動工具によれば、工具本体を大型化することなくピーク電流の抑制が可能となる。
また、本発明に係る他の電動工具によれば、工具本体を大型化することなくピーク電流を抑制可能で、製品寿命の向上を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。ここでは、本発明を電動丸鋸に適用した場合を例に、説明を行う。尚、各図面に示される同一又は同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、重複した説明は適宜省略する。また、各実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、各実施の形態に記載されるすべての特徴やその組み合わせ等は、必ずしも本質的なものであるとは限らない。
【0042】
まず、本発明の実施の形態に係る電動丸鋸の構成について、
図1及び
図2に基づき説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る電動丸鋸の外観を示す側面図であり、
図2は、本発明の実施の形態に係る電動丸鋸のハウジング内部を示す平面図である。本発明の実施の形態に係る電動丸鋸100は、ハウジング2、ハンドル3、鋸刃4、ソーカバー5及びベース6を備えており、ベース6を木材等の被切断材上で摺動させて鋸刃4の回転により被切断材を切断する工具である。説明の便宜のため、図面において、図中に示す前を前方向、後を後方向、上を上方向、下を下方向と定義し、後方向から見て右を右方向、左を左方向と定義する。
【0043】
電動丸鋸100において、ハウジング2は、例えば樹脂製であり、モータ1及び制御基板8を内部に収容する。ハウジング2には、また、商用交流電源や発電機等に接続するための図示せぬ電源コードが設けられる。
【0044】
モータ1は、ブラシレスモータであり、鋸刃4を回転駆動する駆動源である
モータ1は、
図2に示されるように、ハウジング2内部の左側中央部分に画成されたモータ収容部2a内に収容される。モータ1は、回転軸1aを有し、当該回転軸1aの軸方向が左右方向と一致するように配置される。
【0045】
制御基板8は、ハウジング2内部の左側後方部分に画成された基板収容部2b内に収容される。制御基板8は、基板平面がモータ1の回転軸1aの軸方向に略平行になるように配置される。制御基板8には、モータ1の動作を制御するための制御部(後述)が搭載される。制御基板8は、本発明の基板に相当する。
【0046】
ハンドル3は、ユーザが電動丸鋸100を使用する際に把持する部分であり、ハウジング2と一体もしくは別部材として連結して設けられる。また、ハンドル3には、
図1に示されるように、モータ1の駆動を制御するためのトリガ3aが設けられる。トリガ3aは、ハンドル3内部においてスイッチ(後述)と、またハウジング2内部において制御基板8と、それぞれ電気的に接続されており、ユーザがトリガ3aを上方に押し込むことによって、モータ1を始動させる始動信号(オン信号)がスイッチ及び制御基板8に出力される。トリガ3aは、本発明の操作部及び信号出力部に相当する。
【0047】
鋸刃4は、円板形状をなし、ハウジング2の右側において、モータ1の回転軸1aと同軸に回転可能に支持される。
【0048】
ソーカバー5は、例えば金属製であり、鋸刃4の外縁に沿う側面視において円弧形状をなし、ハウジング2の右側に設けられ、鋸刃4の上側略半分を覆っている。また、ソーカバー5は、保護カバー5aを備えている。保護カバー5aは、例えば樹脂製であり、ソーカバー5の後方側に鋸刃4の外縁に沿って回動可能に設けられている。保護カバー5aは、電動丸鋸100が切断作業を行っていない状態では、鋸刃4の前方の一部を除く下側半部を覆っている。
【0049】
ベース6は、例えばアルミ等の金属製の略矩形の板材である。ベース6は、ソーカバー5を介してハウジング2と連結される。ベース6の長手方向は、電動丸鋸100の切断方向、すなわち
図1及び
図2に示す前後方向に一致する。また、ベース6の底面6aは、被切断材との摺動面である。ベース6には、上下方向に貫通し前後方向に延びる図示せぬ開口部が形成されており、鋸刃4の下側部分が、当該開口部から底面6aより下方に突出している。
【0050】
次に、第1の実施の形態に係る電動丸鋸100の回路構成について、説明する。
図3は、第1の実施の形態に係る電動丸鋸100の電気的構成を示す回路図である。電動丸鋸100は、
図3に示されるように、モータ1、トリガ3a及び制御部9を含んで構成される。
【0051】
モータ1は、本実施の形態では3相のブラシレスモータから構成され、回転軸1a(
図2)及び複数の永久磁石を備えるロータ11と、当該ロータ11と対向する位置に配置されるステータ12とを含んで構成される。
【0052】
ロータ11は、N極及びS極を1組とした2組の永久磁石を含んで構成される。ロータ11の永久磁石に対向する位置には、3つの磁気センサ13が配置されている。磁気センサ13は、例えばホール素子であり、ロータ11の回転位置を検出し、位置信号を制御部9に出力する。
【0053】
ステータ12は、スター結線された3相のコイルU、V、Wにより構成される。コイルU、V、Wは、それぞれ制御基板8に接続される。モータ1において、ロータ11が回転すると、ステータ12の各コイルU、V、Wには誘起電圧が発生する。
【0054】
制御部9は、
図3に示されるように、整流回路91、平滑回路92、インバータ回路93、演算部94、電流検出抵抗95及び定電圧電源回路96を含んで構成される。これらのうち、整流回路91、インバータ回路93、演算部94及び定電圧電源回路96は、制御基板8に搭載される。
図4は、制御基板8の平面図である。制御基板8には、
図4に示されるように、基板平面上に複数の回路素子が突設される。
【0055】
整流回路91は、ダイオードブリッジ回路であり、
図3に示されるように、入力側が例えば商用交流電源300に接続され、出力側が平滑回路92に接続される。整流回路91は、商用交流電源300から入力される交流電圧を全波整流し、平滑回路92へ出力する。整流回路91は、
図4に示されるように、制御基板8に搭載される。
【0056】
平滑回路92は、
図3に示されるように、整流回路91とインバータ回路93との間に配置され、整流回路91からの入力電圧を平滑し、インバータ回路93へ出力する。平滑回路92は、本実施の形態では、電解コンデンサ921、フィルムコンデンサ922、放電用抵抗923及びスイッチ924を含んで構成される。
【0057】
電解コンデンサ921は、有極性のコンデンサであり、
図3に示されるように、整流回路91からの入力側に接続される。電解コンデンサ921は、本発明の第1のコンデンサの相当し、本実施の形態では、静電容量が150〜200μFの小型のコンデンサである。
【0058】
電解コンデンサ921は、
図2に示されるように、制御基板8と基板収容部2bの前側部分との間の空間に配置され、制御基板8に接続される。このとき、電解コンデンサ921は、
図4に破線で示されるように、制御基板8の基板平面の寸法内に配置される。また、電解コンデンサ921の高さ寸法(電動丸鋸100の前後方向における寸法)は、
図2に示されるように、制御基板8上に突設された各回路素子の突設方向の寸法と同程度である。
【0059】
フィルムコンデンサ922は、無極性のコンデンサであり、
図3に示されるように、電解コンデンサ921に並列に接続され、平滑回路92の入力側である整流回路91と出力側であるインバータ回路93との間で、インバータ回路93側に配置される。フィルムコンデンサ922は、本発明の第2のコンデンサに相当し、本実施の形態では、静電容量が4.7μFの小型のコンデンサである。
【0060】
フィルムコンデンサ922は、
図2に示されるように、制御基板8と基板収容部2bの前側部分との間の空間に配置され、制御基板8に接続される。このとき、フィルムコンデンサ922は、
図4に破線で示されるように、制御基板8の基板平面の寸法内に配置される。また、フィルムコンデンサ922の高さ寸法(電動丸鋸100の前後方向における寸法)は、
図2に示されるように、制御基板8上に突設された各回路素子の突設方向の寸法及び電解コンデンサ921の高さ寸法と同程度である。
【0061】
スイッチ924は、電解コンデンサ921とフィルムコンデンサ922との間に配置され、トリガ3aからの始動信号の入力に基づきオンされ、始動信号の入力停止或いは始動停止信号(オフ信号)の入力に基づきオフされる。スイッチ924は、本実施の形態の電動丸鋸100では、ハンドル3の内部に収容される(不図示)。
【0062】
インバータ回路93は、3相ブリッジ形式に接続された6個のスイッチング素子Q1〜Q6を含んで構成される。ここで、スイッチング素子Q1〜Q6は、例えばMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)であり、
図4に示されるように、制御基板8に搭載される。インバータ回路93は、
図3に示されるように、平滑回路92の出力側に接続され、スイッチング動作を行うことにより、モータ1のコイルU、V、Wに駆動電力を供給する。
【0063】
演算部94は、本発明の制御手段に相当し、本実施の形態ではマイクロコンピュータである。演算部94は、
図4に示されるように、制御基板8に搭載され、トリガ3aの操作に伴い入力される始動信号に基づき、モータ1の回転方向や回転速度等を制御すべく、コイルU、V、Wへの通電方向及び通電時間を制御する。演算部94は、インバータ回路93の6個のスイッチング素子Q1〜Q6の各ゲートに接続され、各スイッチング素子Q1〜Q6をオン・オフするための駆動信号H1〜H6を供給する。
【0064】
ここで、インバータ回路93の6個のスイッチング素子Q1〜Q6の各ドレイン又は各ソースは、モータ1のコイルU、V、Wに接続される。スイッチング素子Q1〜Q6は、演算部94から入力される駆動信号H1〜H6に基づきスイッチング動作を行い、商用交流電源300から整流回路91及び平滑回路92を介して供給された電圧を、3相(U相、V相、W相)電圧Vu、Vv、Vwとして、モータ1のコイルU、V、Wに駆動電力を供給する。
【0065】
電流検出抵抗95は、モータ1及びインバータ回路93に流れる電流を検出するための抵抗であり、
図3に示されるように、平滑回路92とインバータ回路93との間に接続される。
【0066】
演算部94は、電流検出抵抗95の両端の電圧を測定することにより、モータ1及びインバータ回路93に流れる電流の値を検出する。演算部94には、所定の閾値が予め設定されており、検出した電流値が閾値を超えると、モータ1の駆動を停止すべく、インバータ回路93のスイッチング動作を停止させる。これにより、過電流がモータ1に流れることによる焼損等の発生が防止される。
【0067】
定電圧電源回路96は、
図3に示されるように、整流回路91の出力側に接続され、ダイオード961、コンデンサ962、IPD回路963、コンデンサ964及びレギュレータ965を含んで構成される。定電圧電源回路96は、整流回路91からの出力に基づいて、演算部94等へ安定化した基準電圧を供給するための回路である。定電圧電源回路96の各部は、
図4に示されるように、制御基板8に搭載される。
【0068】
次に、本実施の形態に係る電動丸鋸100の平滑回路92について、更に詳しく説明する。
【0069】
図5は、平滑回路92の出力電圧値及びインバータ回路93に流れる電流値の時間変化を示す説明図である。
図5(a)は平滑回路92の出力電圧値の時間変化を示し、縦軸が平滑回路92の出力電圧値Vを、横軸が時間tをそれぞれ表す。また、
図5(b)はインバータ回路93に流れる電流値の時間変化を示し、縦軸がインバータ回路93に流れる電流値Iを、横軸が時間tをそれぞれ表す。この電流値Iは、電流検出抵抗95の両端の電圧を測定することにより検出される。
【0070】
電動丸鋸100は、他の電動工具(例えばインパクトドライバ等)に比較して大きな出力が必要となることから、整流回路91から平滑回路92に入力される電圧値も高くなっている。一方、本実施の形態の電動丸鋸100では、平滑回路92に設けられる電解コンデンサ921及びフィルムコンデンサ922は、何れも小型で静電容量が小さい。そのため、整流回路91から平滑回路92に入力される電圧は、完全には平滑されない。平滑回路92は、
図5(a)に示されるように、周期的に電圧値が変動する脈動電圧Vを出力する。ここで、脈動電圧Vは、商用交流電源300の電源周波数を有する。
【0071】
平滑回路92から出力された脈動電圧は、インバータ回路93を介してモータ1に供給される。モータ1では、電圧の供給に伴いロータ11が回転駆動される。このとき、ステータ12の各コイルには、誘起電圧V
1が発生する。
【0072】
平滑回路92から出力される脈動電圧Vは、
図5(a)に示されるように、コイルに発生する誘起電圧V
1よりも小さな最小値を有する。そのため、インバータ回路93には、脈動電圧Vの電圧値が誘起電圧V
1よりも大きくなる期間T
1では電流が流れる(I>0)一方、脈動電圧Vの電圧値が誘起電圧V
1以下となる期間T
2では電流は流れない(I=0)。そのため、インバータ回路93に流れる電流Iの波形は、巨視的には、期間T
1における脈動電圧Vの波形に略相似形となる。つまり、電流Iは、巨視的には、商用交流電源300の電源周波数を有する脈動電流となる。
【0073】
ところで、モータ1は、インバータ回路93及びモータ1に電流が流れる期間T
1において回転駆動されるため、電流が流れない期間T
2においても慣性により回転している。このV>V
1となる期間T
1が周期的に生じ、モータ1が周期的に駆動される場合、モータ1は、電流が流れる期間T
1及び流れない期間T
2を通じて、回転を継続することが可能となる。
【0074】
次に、インバータ回路に流れる電流Iについて、
図6A及び
図6Bに基づき更に詳しく説明する。
図6A及び
図6Bは、インバータ回路に流れる電流値Iの時間変化を示す説明図である。
図6Aは、比較例である電動丸鋸に対応する図であり、
図6Bは、本実施の形態に係る電動丸鋸100に対応する図である。
図6A及び
図6Bの何れも、縦軸はインバータ回路に流れる電流値Iを表し、横軸は時間tを表す。
【0075】
比較例となる電動丸鋸では、平滑回路には、平滑コンデンサとして1つの電解コンデンサが設けられる。平滑回路は、整流回路の出力を平滑して、インバータ回路に入力する。ここで、静電容量の小さな小型の電解コンデンサを用いた場合、整流回路の出力は完全には平滑されず、脈動電圧がインバータ回路に入力される点は、上記した本実施の形態の電動丸鋸100の場合と同様である。
【0076】
このとき、インバータ回路に流れる電流Iは、
図6Aに破線で示されるように、巨視的には期間T
1における脈動電圧Vの波形に略相似形の値をとるが、
図6Aに実線で示されるように、微視的には短い周期で変動している。
【0077】
電解コンデンサは、サイズに比して静電容量が大きく、低周波領域でのインピーダンスが小さいため、例えば同じサイズのフィルムコンデンサに比較して、整流回路の出力をより平滑可能である。つまり、電解コンデンサは、電源周波数を有する巨視的な電流波形を平滑する。
【0078】
一方、電解コンデンサは、内部の寄生抵抗が大きく、高周波領域におけるインピーダンスが大きい。そのため、電解コンデンサは、高周波成分の吸収性能が低く、電源である発電機の動作状態や電源事情が要因となり発生する瞬間的なサージ電流を平滑することが困難である。したがって、
図6Aの実線で示されるように、比較例である電動丸鋸においてインバータ回路に流れる電流Iは、瞬間的なサージ電流を含んでいる。
【0079】
これに対し、本実施の形態の電動丸鋸100では、平滑回路92には、電解コンデンサ921に加えて、フィルムコンデンサ922が設けられる。フィルムコンデンサ922は、静電容量が極めて小さく、低周波領域でのインピーダンスが大きい。したがって、
図6A及び
図6Bの破線の波形を比較すると、電源周波数を有する巨視的な電流波形について、フィルムコンデンサ922を設けたことによる変化はほとんど見られない。
【0080】
一方、フィルムコンデンサ922は、高周波領域におけるインピーダンスが小さいという特性を有する。そのため、フィルムコンデンサ922は、高周波成分の吸収性能が高く、
図6Bに実線で示されるように、
図6Aで生じていた瞬間的なサージ電流を平滑することができる。したがって、本実施の形態に係る電動丸鋸100においてインバータ回路93に流れる電流Iは、従来の電動丸鋸の場合と比較して、サージ電流によるピーク電流の発生が抑制されている。
【0081】
電動丸鋸では、例えば、スイッチをオンしてモータを起動した直後に、しばしば突入電流が発生することが知られている。ここで、突入電流とは、高周波数で電流値の極めて大きなピーク電流である。また、電源周波数の波形のピークにおいて電流値が跳ね上がった場合にも、同様のピーク電流が発生する。更に、発電機を電源として使用した場合に突発的に生じるサージ電流も、突入電流と同様に、高周波数で電流値の極めて大きなピーク電流である。本実施の形態の電動丸鋸100では、電解コンデンサ921に加えてフィルムコンデンサ922を平滑回路92に設けることにより、高周波数の電流を平滑可能となるので、ピーク電流の発生を効果的に抑制することができる。
【0082】
また、本実施の形態の電動丸鋸100では、
図3に示されるように、スイッチ924が電解コンデンサ921及びフィルムコンデンサ922の間に配置されている。このように配置することにより、整流回路91とスイッチ924との間に電解コンデンサ921が配置され、スイッチ924とインバータ回路93との間にフィルムコンデンサ922が配置されることとなる。
【0083】
したがって、スイッチ924をオンしてモータ1を起動した際に、整流回路91の出力が大きくなった場合も、整流回路91からの出力電流はスイッチ924に直接入力されず、電解コンデンサ921を介して入力されるので、スイッチ924の接点が溶着する等の不具合の発生を防止可能となる。
【0084】
また、スイッチ924をオフした場合、コイルU、V、Wに蓄積されたエネルギーがインバータ回路93に加わるが、本実施の形態の電動丸鋸100では、スイッチ924がオフされた場合にもインバータ回路93と接続されるように、フィルムコンデンサ922が配置されているため、前記エネルギーがフィルムコンデンサ922によって吸収される。したがって、スイッチング素子Q1〜Q6の破損を抑制可能となる。
【0085】
すなわち、本実施の形態の電動丸鋸100では、トリガ3aの操作を解除した際に、スイッチ924がオフされ、制御部9の指示にかかわらず確実にモータ1の駆動が停止される構成であって、スイッチ924及びインバータ回路93の寿命を向上した構成を実現することができる。
【0086】
以上のように、第1の実施の形態に係る電動丸鋸100では、特性の異なる2つの小型コンデンサ、すなわち電解コンデンサ921及びフィルムコンデンサ922が平滑回路92に設けられるので、大型で静電容量の大きな平滑コンデンサを設けずともピーク電流の効率的な抑制が可能となる。したがって、小型で且つ作業性の良好な電動丸鋸100の実現が可能となる。
【0087】
また、スイッチ924を電解コンデンサ921及びフィルムコンデンサ922の間に配置することにより、スイッチ924の溶着を防止可能となるとともに、インバータ回路93に実装されるスイッチング素子Q1〜Q6の破損も抑制可能となる。したがって、電動丸鋸100の寿命が向上される。
【0088】
次に、第2の実施の形態に係る電動丸鋸200について、説明する。本実施の形態に係る電動丸鋸200は、平滑回路292に2つのフィルムコンデンサ925、926を設ける構成が、第1の実施の形態とは異なる。尚、第1の実施の形態と同一又は同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、重複した説明は適宜省略する。
【0089】
図7は、第2の実施の形態に係る電動丸鋸200の電気的構成を示す回路図である。電動丸鋸200は、
図7に示されるように、モータ1、トリガ3a及び制御部209を含んで構成される。
【0090】
制御部209は、
図7に示されるように、整流回路91、平滑回路292、インバータ回路93、演算部94、電流検出抵抗95及び定電圧電源回路296を含んで構成される。これらのうち、整流回路91、インバータ回路93、演算部94及び定電圧電源回路296は、制御基板8に搭載される。
【0091】
平滑回路292は、
図7に示されるように、整流回路91とインバータ回路93との間に配置され、整流回路91からの入力電圧を平滑し、インバータ回路93へ出力する。平滑回路292は、本実施の形態では、フィルムコンデンサ925、フィルムコンデンサ926及びスイッチ927を含んで構成される。
【0092】
フィルムコンデンサ925、926は、それぞれ無極性のコンデンサであり、
図7に示されるように、互いに並列に接続された状態で、フィルムコンデンサ925が整流回路91からの入力側に接続され、フィルムコンデンサ926がインバータ回路93への出力側に接続される。本実施の形態では、フィルムコンデンサ925、926は、それぞれ、静電容量が4.7μFの小型のコンデンサである。
【0093】
また、フィルムコンデンサ925、926は、第1の実施の形態の場合と同様に、制御基板8と基板収容部2bの前側部分との間の空間に配置され、制御基板8に接続される。このとき、フィルムコンデンサ925、926は、制御基板8の基板平面の寸法内に配置される。また、フィルムコンデンサ925、926の高さ寸法(電動丸鋸200の前後方向における寸法)は、制御基板8上に突設された各回路素子の突設方向の寸法と同程度である。
【0094】
スイッチ927は、フィルムコンデンサ925とフィルムコンデンサ926との間に配置され、トリガ3aからの始動信号の入力に基づきオンされ、始動信号の入力停止に基づきオフされる。スイッチ927は、第1の実施の形態と同様に、ハンドル3の内部に収容される。
【0095】
定電圧電源回路296は、
図7に示されるように、整流回路91の出力側に接続され、ダイオード961、コンデンサ962、コンデンサ966、IPD回路963、コンデンサ964及びレギュレータ965を含んで構成される。定電圧電源回路296は、整流回路91からの出力に基づいて、演算部94等へ安定化した基準電圧を供給するための回路である。
【0096】
上記のように構成した電動丸鋸200では、平滑回路292には、静電容量の小さな2つのフィルムコンデンサ925、926のみが設けられている。したがって、平滑回路292は、第1の実施の形態と同様に、整流回路91からの入力電圧を完全には平滑せず、モータ1のコイルに発生する誘起電圧V
1よりも小さな最小値を有する脈動電圧Vを出力する。ここで、脈動電圧Vは、商用交流電源300の電源周波数を有する。また、インバータ回路93及びモータ1には、脈動電圧Vの電圧値が誘起電圧V
1よりも大きくなる期間T
1では電流が流れる一方、脈動電圧Vの電圧値が誘起電圧V
1以下となる期間T
2では電流が流れない。つまり、インバータ回路93に流れる電流Iは、巨視的には、商用交流電源300の電源周波数を有する脈動電流となる。
【0097】
ここで、平滑回路292に設けられる2つのフィルムコンデンサ925、926は、静電容量は小さい一方、高周波領域におけるインピーダンスが小さく、高周波成分の吸収性能が高い。そのため、平滑回路292は、瞬間的なサージ電流を平滑する。したがって、本実施の形態に係る電動丸鋸200では、平滑回路292によりピーク電流の発生を抑制することが可能となる。
【0098】
また、平滑回路292には、スイッチ927が2つのフィルムコンデンサ925、926の間に配置されている。このように配置することにより、整流回路91とスイッチ927との間にフィルムコンデンサ925が配置され、スイッチ927とインバータ回路93との間にフィルムコンデンサ926が配置されることとなる。
【0099】
したがって、スイッチ927をオンしてモータ1を起動した際に、整流回路91から突入電流が出力された場合も、整流回路91からの出力電流はスイッチ927には直接入力されず、フィルムコンデンサ925を介して入力されるので、突入電流をフィルムコンデンサ925において吸収可能となる。したがって、スイッチ927の接点が溶着する等の不具合の発生を防止可能となる。
【0100】
また、スイッチ927がオフされた場合にもインバータ回路93と接続されるように、フィルムコンデンサ926が配置されているため、コイルU、V、Wに蓄積されたエネルギーがフィルムコンデンサ926によって吸収される。したがって、スイッチング素子Q1〜Q6の破損を抑制可能となる。
【0101】
以上のように、第2の実施の形態に係る電動丸鋸200では、2つの小型のフィルムコンデンサ925、926が平滑回路292に設けられるので、大型で静電容量の大きな平滑コンデンサを設けずともピーク電流の抑制が可能となる。したがって、小型で且つ作業性の良好な電動丸鋸200の実現が可能となる。
【0102】
また、スイッチ927を2つのフィルムコンデンサ925、926の間に配置することにより、スイッチ927の溶着を防止可能となるとともに、インバータ回路93に実装されるスイッチング素子Q1〜Q6の破損も抑制可能となる。したがって、電動丸鋸200の寿命が向上される。
【0103】
以上、本発明の実施の形態に基づき説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。