特許第6579435号(P6579435)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6579435
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】車両の側部構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/16 20060101AFI20190912BHJP
   B62D 31/02 20060101ALI20190912BHJP
【FI】
   B62D25/16 A
   B62D31/02 Z
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-196255(P2015-196255)
(22)【出願日】2015年10月1日
(65)【公開番号】特開2017-65621(P2017-65621A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年9月29日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)車両のデモ走行 開催日:平成27年7月31日〜同年8月2日 開催者:いすゞ自動車株式会社及び、いすゞ自動車販売株式会社 場所:株式会社ワーカム北海道 試験場内 (2)カタログの発行 カタログ名:ERGA 大型 路線バス LV ノンステップ 発行日:平成27年8月18日 発行者:いすゞ自動車株式会社及び、いすゞ自動車販売株式会社 (3)自社ウェブサイトへの掲載 掲載日:平成27年8月18日 掲載者:いすゞ自動車株式会社 ウェブサイトのアドレス: http://www.isuzu.co.jp/press/2015/8_18erga.html http://www.isuzu.co.jp/product/bus/erga_rt/index.html
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107238
【弁理士】
【氏名又は名称】米山 尚志
(72)【発明者】
【氏名】松原 一行
(72)【発明者】
【氏名】田村 和嗣
【審査官】 林 政道
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−274442(JP,A)
【文献】 特開2015−030359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 17/00−25/08
B62D 25/14−29/04
B62D 31/02,47/02
B60K 11/00−15/10
B60R 16/00−17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロアパネルの車幅方向外側で起立する側部パネルと、前記側部パネルの車幅方向内側で前記フロアパネルよりも上方に配置されて車輪のホイールハウスの上方を区画するフェンダー上面部と、前記フェンダー上面部の上方に載置される車載部品と有する車両の側部構造であって、
前記車輪の前後方向の一側で前後方向と交叉して前記フロアパネルから起立して少なくとも前記フェンダー上面部の前記一側の端縁まで延び、前記ホイールハウスの前記一側を区画するフェンダー壁面部と、
前記フェンダー壁面部よりも前記一側で前記側部パネルに沿って上下方向に延び、一端が前記車載部品に連結される配管と、
前記フェンダー壁面部に固定される固定端部と、前記固定端部から前記側部パネルに沿って前記一側へ延びて前記配管を支持する支持部とを有するブラケットと、を備える
ことを特徴とする車両の側部構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車両の側部構造であって、
前記ブラケットの前記固定端部は、前記フェンダー壁面部に対し、締結部材によって締結固定される
ことを特徴とする車両の側部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェンダーの上方に車載部品を有する車両の側部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、前左側タイヤハウスの上方にトレイが固定され、トレイ上にメインバッテリとサブバッテリとが設置されたバスが記載されている。トレイの側面には、カバーの端部がヒンジにより枢支される。カバーは、トレイ、メインバッテリ、及びサブバッテリの周囲及び上方を覆い、カバーの外側端縁が車体外板にねじ止めされる。トレイ、メインバッテリ、及びサブバッテリは、カバー及び車体外板により完全に覆われ、その結果、メインバッテリ及びサブバッテリがタイヤハウスの上方に格納される。カバーの後方端面にダクトの一端が連結され、ダクトの他端がタイヤハウスの後方床下に開口していると共に、トレイにドレンホースの一端が連結され、ドレンホースはカバーを挿通して、その他端がタイヤハウスの後方床下に開口している。また、同公報の図1には、ダクトが車体外板に対して固定されている状態が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−274442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のバスでは、上下方向に延びるダクトやドレンホースの一端がタイヤハウス(ホイールハウス)の上方に載置されるトレイやカバー(以下、車載部品という)に連結され、ダクトが車体外板(側部パネル)に対して固定されている。ところで、バスを組み立てる際には、側部パネルをバスに取り付ける前や、ホイールハウスの上方に車載部品を載置する前にダクトやドレンホース(以下、配管という)を配策する場合がある。この場合、特許文献1に記載のバスでは、配管を側部パネルや車載部品によって支持することができず、配管が不安定な状態となってしまうので、側部パネルをバスに取り付ける前や、ホイールハウスの上方に車載部品を載置する前に配管を配策することが難しい。
【0005】
そこで、本発明は、側部パネルを取り付ける前や、ホイールハウスの上方に車載部品を載置する前に配管を配策しても配管の安定性を確保することが可能な車両の側部構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、車両のフロアパネルの車幅方向外側で起立する側部パネルと、側部パネルの車幅方向内側でフロアパネルよりも上方に配置されて車輪のホイールハウスの上方を区画するフェンダー上面部と、フェンダー上面部の上方に載置される車載部品と有する車両の側部構造であって、フェンダー壁面部と配管とブラケットとを備える。フェンダー壁面部は、車輪の前後方向の一側で前後方向と交叉してフロアパネルから起立して少なくともフェンダー上面部の一側の端縁まで延び、ホイールハウスの一側を区画する。配管は、フェンダー壁面部よりも一側で側部パネルに沿って上下方向に延び、一端が車載部品に連結される。ブラケットは、フェンダー壁面部に固定される固定端部と、固定端部から側部パネルに沿って一側へ延びて配管を支持する支持部とを有する。
【0007】
上記構成では、ブラケットの固定端部がフェンダー壁面部に固定され、ブラケットの支持部が配管を支持する。すなわち、配管がブラケットを介してフェンダー壁面部に支持されるので、車両の製造工程において、配管の一端を燃料タンクに対して接続する前に配管を配策しても、配管の安定性を確保することができる。
【0008】
また、配管を支持するブラケットがフェンダー壁面部に固定されるので、車両に対して側部パネルを取り付ける前に配管を配策しても、フェンダー壁面部によって配管を支持することができ、配管の安定性を確保することができる。
【0009】
また、ブラケットの支持部が側部パネルに沿って延びるので、車両に対して側部パネルを取り付ける前に配管を配策し、その後、車両に対して側部パネルを取り付けた際に、ブラケットの支持部を側部パネルに対して固定して、配管の安定性を確実に確保することができる。
【0010】
また、上記ブラケットの固定端部は、フェンダー壁面部に対し、締結部材によって締結固定されてもよい。
【0011】
上記構成では、ブラケットの固定端部が、フェンダー壁面部に対し、締結部材によって締結固定されるので、溶接して固定する場合とは異なり、ブラケットは、フェンダー壁面部に対して脱着可能である。このため、例えば、車両に対して側部パネルを取り付ける前にフェンダー壁面部の外端縁部にブラケットの固定端部をボルトとナットとによって締結固定して配管を配策し、その後、車両に対して側部パネルを取り付けてフェンダー壁面部の外端縁を側部パネルに溶接する場合、フェンダー壁面部からブラケットを取り外してフェンダー壁面部の外端縁を側部パネルに対して溶接することができる。このように、フェンダー壁面部の外端縁を側部パネルに対して溶接する際にブラケットをフェンダー壁面部の外端縁部から取り外すことができるので、フェンダー壁面部の外端縁を側部パネルに対して溶接する際の作業性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、側部パネルを取り付ける前や、ホイールハウスの上方に車載部品を載置する前に配管を配策しても配管の安定性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る側部構造を適用したバスの側面図である。
図2図1のII−II矢視断面図である。
図3】側部パネル及び燃料タンクを取り付ける前の状態のフェンダーの斜視図である。
図4図3のIV−IV矢視断面図である。
図5】側部パネル及び燃料タンクを取り付けた後の状態のフェンダーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において、FRは車両の前方を、UPは上方を、INは車幅方向内側をそれぞれ示す。また、以下の説明において、左右方向は車両前方を向いた状態での左右方向を意味する。
【0015】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る側部構造を適用する車両1は、エンジン(図示省略)が車両1の後部に配置されるリヤエンジンバスであって、車幅方向左側で起立する側部パネル2には、左前輪(車輪)3よりも前方に前乗降口4が形成され、左前輪3と左後輪5との間に中乗降口6が形成されている。左前輪3及び左後輪5は、側部パネル2よりも車幅方向内側のホイールハウス8にそれぞれ収容される。車両1の車室9の床面を構成するフロアパネル11は、前乗降口4及び中乗降口6の下縁と略同一の高さに設けられる。すなわち、車両1は、低床バスである。
【0016】
図2及び図3に示すように、フロアパネル11は、前後方向に延びる複数の骨12aや車幅方向に延びる複数の根太12bによって構成される骨格12の上面29に貼り付けられる。なお、図3及び図5には、フロアパネル11が取り付けられる前の骨格12が示されている。
【0017】
図2及び図3に示すように、左前輪3のホイールハウス8(図1参照)を区画するフェンダー7は、車室9の車幅方向左側の外端部で、フロアパネル11から上方へ突出する箱体状に形成される。フェンダー7は、フェンダー上面部14とフェンダー側面部15とフェンダー前面部16とフェンダー後面部(フェンダー壁面部)17とフェンダーカバー18とを有する。なお、図3には、車両1に側部パネル2を取り付ける前の状態が示されており、また、フェンダー7のフェンダーカバー18を取り外した状態が示されている。
【0018】
フェンダー上面部14は、車両1の側面視においてアーチ形状に形成されて上下方向と交叉する板体であって、フロアパネル11よりも上方に配置され、ホイールハウス8の上方を区画する。フェンダー上面部14の上方には、車両1の燃料を貯留する燃料タンク(車載部品)19が載置される。燃料タンク19は、例えば、樹脂材料等で箱体状に形成されており、フェンダー上面部14に対して固定バンド27(図5参照)等によって固定される。
【0019】
フェンダー側面部15は、左前輪3よりも車幅方向内側に離間して配置され、車幅方向と交叉してフロアパネル11から起立する板体であって、ホイールハウス8の車幅方向の内側を区画する下部領域15aと、燃料タンク19を車幅方向内側から覆う上部領域15bとを有する。フェンダー側面部15の車幅方向外側面には、フェンダー上面部14の車幅方向内端縁が接続され、フェンダー上面部14よりも下方が下部領域15aであり、フェンダー上面部14よりも上方が上部領域15bである。フェンダー側面部15の上端縁は、燃料タンク19の上端部と略同じ高さ位置に配置される。
【0020】
フェンダー前面部16は、左前輪3の前方で前後方向と交叉してフロアパネル11から起立する板体であって、ホイールハウス8の前方を区画する下部領域16aと、燃料タンク19を前方から覆う上部領域16bとを有する。フェンダー前面部16の後面には、フェンダー上面部14の前端縁が接続され、フェンダー上面部14よりも下方が下部領域16aであり、フェンダー上面部14よりも上方が上部領域16bである。フェンダー前面部16の車幅方向内端縁は、フェンダー側面部15の前端縁に対して固定され、フェンダー前面部16の車幅方向外端縁は、側部パネル2に対して溶接によって固定される。フェンダー前面部16の上端縁は、フェンダー側面部15の上端縁と同じ高さ位置に配置される。
【0021】
フェンダー後面部17は、左前輪3の後方(一側)で前後方向と交叉してフロアパネル11から起立する板体であって、ホイールハウス8の後方を区画する下部領域17aと、燃料タンク19を後方から覆う上部領域17bとを有する。フェンダー後面部17の前面には、フェンダー上面部14の後端縁が接続され、フェンダー上面部14よりも下方が下部領域17aであり、フェンダー上面部14よりも上方が上部領域17bである。フェンダー後面部17には、フェンダー後面部17の車幅方向外端縁から曲折して後方へ延びるフランジ部30が形成される。フェンダー後面部17の車幅方向内端縁は、フェンダー側面部15の後端縁に対して固定され、フェンダー後面部17の車幅方向外端縁のフランジ部30は、側部パネル2に対して溶接によって固定される。フェンダー後面部17の上部領域17bの車幅方向外端部には、上部領域17bの車幅方向外端縁から車幅方向内側へ切り欠かれた切欠部31が形成される、切欠部31には、後述する複数の配管20が前後方向に挿通する。フェンダー後面部17の上端縁は、フェンダー側面部15の上端縁と同じ高さ位置に配置される。フェンダー後面部17の上部領域17bには、前後方向に貫通する点検口21が形成される。点検口21は、取り外し可能な点検口カバー22によって開閉自在に閉止される。図4に示すように、フェンダー後面部17の下部領域17aの車幅方向外端部には、上下に離間して2本のボルト(締結部材)24が溶接によって固定される。ボルト24は、ヘッド部24aとボルト軸部24bとを有し、ヘッド部24a側の端面がフェンダー後面部17の後面に面接触した状態で溶接によって固定され、ボルト軸部24bが後方へ突出する。フェンダー後面部17には、2本のボルト24とナット(締結部材)25によって、後述する上下2つのブラケット10が締結固定される。
【0022】
燃料タンク19は、フェンダー前面部16の上部領域16b、フェンダー側面部15の上部領域15b、フェンダー後面部17の上部領域17b、及び側部パネル2が区画するタンク収容空間28に収容されてフェンダー上面部14に対して固定バンド27(図5参照)等によって固定される。
【0023】
図2及び図3に示すように、フェンダーカバー18は、上下方向と交叉する略矩形状の蓋体であって、フェンダーカバー18の外周縁部が、フェンダー前面部16の上端縁部、フェンダー側面部15の上端縁部、フェンダー後面部17の上端縁部、及び側部パネル2に固定される。フェンダーカバー18がフェンダー前面部16、フェンダー側面部15、フェンダー後面部17、及び側部パネル2に固定された状態で、フェンダーカバー18がタンク収容空間28の上方の開口23を上方から塞ぎ、燃料タンク19がフェンダー7に覆われて外部に露出しない。
【0024】
図3及び図4に示すように、上下2つのブラケット10は、フェンダー後面部17の下部領域17aの車幅方向外端部にボルト24とナット25とによって締結固定される固定板部(固定端部)10aと、固定板部10aの車幅方向外端縁から曲折して後方へ延びる支持板部(支持部)10bとを一体的に有する略L字状にそれぞれ形成される。固定板部10aは、ブラケット10の前端部で前後方向と交叉する板状に形成され、固定板部10aの中央部には、前後方向に貫通するボルト挿通孔(図示省略)が形成される。ボルト挿通孔には、フェンダー後面部17のボルト24のボルト軸部24bが前方から挿通される。固定板部10aのボルト挿通孔を挿通したボルト24のボルト軸部24bにナット25を螺合して締め付けることにより、ブラケット10がフェンダー後面部17に対して締結固定される。ブラケット10がフェンダー後面部17に対して締結固定された状態で、支持板部10bは、側部パネル2から車幅方向内側に僅かに離間した状態で、固定板部10aの車幅方向外端縁から側部パネル2に沿って後方へ延びる中間部32と、中間部32から連続して車幅方向外側の後方へ延びて側部パネル2に接触する後端部33とを有する。支持板部10bの中間部32には、複数(本実施形態では、4つ)のクリップ26が固定される。支持板部10bの中間部32は、クリップ26を介して複数(本実施形態では、4本)の配管20を支持し、支持板部10bの後端部33は、側部パネル2に対して溶接によって固定される。
【0025】
複数の配管20は、ブラケット10の支持板部10bに支持されて側部パネル2に沿って上下方向に延びる。複数の配管20の一端側は、上側のブラケット10の上方からフェンダー後面部17の上部領域17bの切欠部31を挿通して燃料タンク19に連結される。複数の配管20の他端側は、下側のブラケット10の下方からフロアパネル11の下方へ延びる。4本の配管20は、例えば、燃料タンク19からエンジンへ燃料を供給する第1フィードパイプ、エンジンから燃料タンク19へ燃料を戻すリターンパイプ、燃料タンク19からプレヒーター等へ燃料を供給する第2フィードパイプ、燃料タンク19のドレンパイプ等である。
【0026】
次に、車両1を組み立てる際の工程を説明する。
【0027】
車両1を組み立てる際には、先ず、車両1の骨格12に対してフェンダー7を固定し、フェンダー7のフェンダー後面部17に2つのブラケット10をボルト24とナット25とによって締結固定する。次に、複数の配管20を骨格12の車幅方向外端部から上方へ延びるように配策し、クリップ26を介してブラケット10の支持板部10bの中間部32に固定する(図3参照)。次に、骨格12の車幅方向左側の外端部に対して側部パネル2を取り付け、フェンダー7のフェンダー前面部16及びフェンダー後面部17の車幅方向外端縁のフランジ部30を側部パネル2に対して溶接によって固定する。フェンダー後面部17のフランジ部30のうちブラケット10が固定されている箇所又はその近傍を側部パネル2に対して溶接する際には、ナット25を緩めて該ブラケット10をフェンダー後面部17の車幅方向外端部から取り外し、作業者が手で該ブラケット10を溶接箇所から避けた状態でフランジ部30を溶接し、その後、該ブラケット10をナット25によってフェンダー後面部17に再度締結固定する。次に、ブラケット10の支持板部10bの後端部33を側部パネル2に対して溶接によって固定する。最後に、フェンダー7の開口23からタンク収容空間28に燃料タンク19を収容し、フェンダー上面部14に対して固定バンド27等によって燃料タンク19を固定した状態で、複数の配管20の一端を燃料タンク19に接続する(図5参照)。
【0028】
上記のように構成された車両1では、ブラケット10の固定板部10aがフェンダー後面部17に固定され、ブラケット10の支持板部10bが複数の配管20を支持する。このように、配管20がブラケット10を介してフェンダー後面部17に支持されるので、車両1の製造工程において、車両1に燃料タンク19が取り付けられる前に配管20を配策しても、配管20の安定性を確保することができる。すなわち、配管20の一端が燃料タンク19に対して接続されていない状態でも、配管20の安定性を確保することができる。
【0029】
また、配管20を支持するブラケット10がフェンダー後面部17に固定されるので、車両1に対して側部パネル2を取り付ける前に配管20を配策しても、フェンダー後面部17によって配管20を支持することができ、配管20の安定性を確保することができる。
【0030】
また、ブラケット10の支持板部10bの後端部33が側部パネル2に対して固定されるので、車両1に対して側部パネル2を取り付けてから、燃料タンク19を取り付けるまでの配管20の安定性を確実に確保することができる。
【0031】
従って、本実施形態によれば、側部パネル2を取り付ける前や、ホイールハウス8の上方に燃料タンク19を載置する前に配管20を配策しても、配管20の安定性を確保することができる。
【0032】
また、ブラケット10の固定端部10aが、フェンダー後面部17に対し、ボルト24とナット25とによって締結固定されるので、溶接して固定する場合とは異なり、ブラケット10は、フェンダー後面部17に対して脱着可能である。このため、フェンダー後面部17のフランジ部30のうちブラケット10が固定されている箇所又はその近傍を側部パネル2に対して溶接する際に、ブラケット10をフェンダー後面部17から取り外し、作業者が手でブラケット10を溶接箇所から避けた状態でフランジ部30を溶接することができる。このように、フェンダー後面部17のフランジ部30を側部パネル2に対して溶接する際にブラケット10をフェンダー後面部17から取り外すことができるので、フェンダー後面部17の外端縁を側部パネル2に対して溶接する際の作業性を向上させることができる。
【0033】
なお、本実施形態では、ブラケット10をフェンダー後面部17の下部領域17aに固定したが、フェンダー後面部17の上部領域17bに固定してもよい。或いは、配管20をフェンダー前面部16の前方(一方)に配策する場合には、フェンダー前面部(フェンダー壁面部)16の上部領域16bや下部領域16aに固定してもよい。
【0034】
また、本実施形態では、上下2つのブラケット10をフェンダー後面部17に固定したが、1つのブラケット10をフェンダー後面部17に固定してもよく、又は3以上のブラケット10をフェンダー後面部17に固定してもよい。
【0035】
また、本実施形態では、ボルト24のヘッド部24aをフェンダー後面部17に溶接によって固定したが、これに限定されるものではなく、例えば、フェンダー後面部17から後方へ突出するスタッドボルト(締結部材)であってもよい。或いは、フェンダー後面部17に雌ネジが形成されたボルト穴(締結部材)を形成し、該ボルト穴にボルト(締結部材)を螺合してもよい。
【0036】
また、本実施形態では、ブラケット10をフェンダー後面部17に対してボルト24とナット25とによって締結固定したが、ブラケット10をフェンダー後面部17に溶接によって固定してもよい。
【0037】
また、本実施形態では、フェンダー側面部15、フェンダー前面部16、及びフェンダー後面部17のそれぞれにフェンダー上面部14よりも上方へ延びる上部領域15b,16b,17bを設けたが、上部領域15b,16b,17bを有さないフェンダー側面部15、フェンダー前面部16、及びフェンダー後面部17であってもよい。この場合、フェンダー7は、フェンダーカバー18を有さなくてもよい。
【0038】
また、本実施形態では、4本の配管20を設けたが、少なくとも1本の配管20を有していればよい。
【0039】
また、本実施形態では、車載部品の一例として燃料タンク19をフェンダー上面部14に載置したが、車載部品はこれに限定されるものではなく、バッテリ等の他の車載部品であってもよい。
【0040】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【0041】
例えば、上記実施形態では、本発明に係る側部構造を車両1の車幅方向左側に適用したが、車両1の車幅方向右側に適用してもよい。また、車両1の後方の車輪のホイールハウスを区画するフェンダー側に適用してもよい。
【符号の説明】
【0042】
1:車両
2:側部パネル
3:左前輪(車輪)
7:フェンダー
8:ホイールハウス
10:ブラケット
10a:ブラケットの固定板部(固定端部)
10b:ブラケットの支持板部(支持部)
11:フロアパネル
14:フェンダー上面部
17:フェンダー後面部(フェンダー壁面部)
19:燃料タンク(車載部品)
20:複数の配管
24:ボルト(締結部材)
25:ナット(締結部材)
図1
図2
図3
図4
図5