特許第6579479号(P6579479)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 横河電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6579479-入出力モジュール 図000002
  • 特許6579479-入出力モジュール 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6579479
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】入出力モジュール
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/05 20060101AFI20190912BHJP
   G06F 3/00 20060101ALI20190912BHJP
   H03K 17/687 20060101ALI20190912BHJP
   G05F 1/56 20060101ALI20190912BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20190912BHJP
【FI】
   G05B19/05 L
   G06F3/00 Q
   H03K17/687 A
   G05F1/56 310T
   H02M3/155 H
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-19574(P2015-19574)
(22)【出願日】2015年2月3日
(65)【公開番号】特開2016-143283(P2016-143283A)
(43)【公開日】2016年8月8日
【審査請求日】2017年11月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】有水 毅
(72)【発明者】
【氏名】楠 慎也
【審査官】 永田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第8392626(US,B2)
【文献】 特開平5−134701(JP,A)
【文献】 特開2010−152596(JP,A)
【文献】 特開平5−346809(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/05,
G06F 3/00,
H03K 17/687,
G05F 1/56,
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御システムを構成する制御部と外部に設けられるフィールド機器とを接続するための入出力モジュールにおいて、
前記フィールド機器に所定の駆動電流を出力する電流源と、
電源ラインがインダクタの一端に接続されるとともにVIN端子に接続され、前記インダクタの他端とダイオードのアノードの接続点にSW端子が接続され、FB端子の電圧が基準電圧と等しくなるようなフィードバックを行い、共通電位点がGND端子に接続される電源ICと、
前記ダイオードのカソードと前記電流源の電源端子とが一端に接続され、前記共通電位点に他端が接続されるコンデンサと、
前記コンデンサの一端と前記共通電位との間に設けられ、一端が前記コンデンサの一端に接続される第1の抵抗とこの第1の抵抗の他端に一端が接続され、前記共通電位点に他端が接続される第2の抵抗とにより電圧を分圧する第1の抵抗分圧回路と、
前記コンデンサの一端と前記共通電位との間に設けられ、一端が前記コンデンサの一端に接続される第3の抵抗とこの第3の抵抗の他端に一端が接続され、前記共通電位点に他端が接続される第4の抵抗とによりにより電圧を分圧する第2の抵抗分圧回路と、
ドレインが前記第1の抵抗分圧回路の前記第1、第2の抵抗の接続点に接続されると共に、前記電源ICのFB端子に接続され、ソースが前記第2の抵抗分圧回路の第3、第4の抵抗の接続点に接続され、ゲートに前記電流源の出力電圧が入力されるFETと、
前記第1の抵抗と並列に設けられ、第5の抵抗と第1のスイッチ素子からなる第1の直列回路と、
前記コンデンサの一端に一端が接続され、前記FETのゲートに他端が接続される第6の抵抗と、
前記FETのゲートと前記共通電位点との間に設けられ、第7の抵抗と第2のスイッチ素子からなる第2の直列回路と
で構成され、前記制御部は、前記第1、第2のスイッチ素子のオン、オフを行い、電源設定を行うことを特徴とする入出力モジュール。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1、第2のスイッチ素子を、それぞれ、オフ、オフを行う場合、オン、オフを行う場合、オフ、オンを行う場合のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の入出力モジュール。
【請求項3】
前記制御部は、前記フィールド機器からのデジタル信号の入力が可能なデジタル入力モード、または、前記フィールド機器にオンまたはオフの信号が出力可能なデジタル出力モードの場合、前記第1、第2のスイッチ素子を、それぞれオフ、オフとし、前記フィールド機器からのアナログ信号の入力が可能なアナログ入力モードまたは電圧規格が低い前記デジタル入力モードの場合、前記第1、第2のスイッチ素子を、それぞれオン、オフとして、前記フィールド機器にアナログ信号の出力が可能なアナログ出力モードの場合、前記第1、第2のスイッチ素子を、それぞれオフ、オンとすることを特徴とする請求項1記載の入出力モジュール。
【請求項4】
前記制御部は、前記電流源に信号出力を出力し、この信号出力に対応した電流に前記電流源が変換し、前記電流源から前記フィールド機器に流れる電流のモニタ出力が入力されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の入出力モジュール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入出力モジュールに関し、詳しくは、発電所や製造プロセスや上下水道や都市ガスなどの各種の制御システムを構成する制御部と外部に設けられるフィールド機器を接続するための入出力モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図2は従来の制御システムにおけるフィールド機器の接続例を示すブロック図であり、1チャンネル分を示している。図2において、制御部100とフィールド機器200は、インタフェース回路300を介して接続されている。
【0003】
インタフェース回路300は、信号部310と出力部320とで構成されている。
【0004】
信号部310は、スイッチング素子として機能するFET311と、電流源312と、フィルタ313と、バッファアンプ314とで構成されている。
【0005】
FET311のソースは+24Vの直流電源ラインに接続されるとともに電流源312を構成する抵抗312bの一端およびフィルタ313を構成するコンデンサ313aの一端に接続され、ゲートは制御部100に接続され、ドレインは出力部320を構成するクランプダイオード321のカソードに接続されるとともに電流源312を構成するFET312aのドレインに接続されている。
【0006】
電流源312は、FET312aと抵抗312bと演算増幅器312cとで構成されている。
【0007】
FET312aのソースは演算増幅器312cの一方の入力端子およびフィルタ313を構成する抵抗313bの一端に直接接続されるとともに抵抗312bを介してFET311のソースおよびフィルタ313を構成するコンデンサ313aの一端に接続され、ドレインは出力部320を構成するクランプダイオード321のカソードに接続されるとともにFET311のドレインに接続され、ゲートは演算増幅器312cの出力端子に接続されている。
【0008】
演算増幅器312cの他方の入力端子は、制御部100に接続されている。
【0009】
フィルタ313は、コンデンサ313aと抵抗313bとで構成されている。
【0010】
これらフィルタ313を構成するコンデンサ313aと抵抗313bの接続点は、バッファアンプ314を介して制御部100に接続されている。
【0011】
出力部320は、クランプダイオード321で構成されている。クランプダイオード321のアノードは0Vの直流電源ラインに接続され、カソードはFET311のドレインおよびFET312aのドレインに接続されている。このクランプダイオード321の両端には、フィールド機器200が接続されている。
【0012】
入出力モジュールは、制御部100からの信号L1、L2の信号レベルによって複数の動作モードに切り替えて使用するように構成されている。たとえば信号L2がハイレベルの時はDOモードとなる。信号L1のレベルに応じてスイッチ素子311がオンまたはオフし、フィールド機器にはオンまたはオフの信号が出力される。
【0013】
スイッチ素子311がオンの状態では+24Vの固定電源の電圧が出力される。たとえば信号L1をハイレベルに固定して信号L2をローレベルに固定すれば、アナログ信号の入力(AI)が可能なAIモードとなる。ここでの出力電圧は+24Vの固定電源の電圧が出力される。
【0014】
一方、信号L1をハイレベルに固定して信号L2を適当なアナログ電圧に調整すれば、アナログ信号の出力(AO)が可能なAOモードとなる。信号L2のレベルに応じて電流源312の出力電流が加減し、フィールド機器には適切な電流が出力される。デジタル信号の入力(DI)が可能なDIモードはAIと同様の制御でよい。なお、AIモードとDIモードの場合は、フィールド機器からの信号を受信してL3信号に変換し制御部に出力するように動作する。
【0015】
そして、電流源312はアナログ出力(AO)モードで使用され、スイッチング素子として機能するFET311はデジタル出力(DO)モードで使用される。
【0016】
特許文献1には、図2に示した回路構成とその動作が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許第8392626号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかし、図2に示す従来のフィールド機器の接続構成によれば、DOモードとAIモードでは+24Vの固定電源の電圧が出力されるが、実際にはDOモードとAIモードは異なる電圧が求められる場合が多く、フィールド機器の仕様に合わないことがある。
【0019】
DIモードにおいては+24Vの固定電源の電圧が出力されるが、実際にはフィールド機器の適合規格によって電圧が異なるため、+24Vでは使えない場合がある。
【0020】
AOモードでフィールド機器の端子電圧が低い場合、定電流源内のスイッチ素子312aに大きな電圧がかかるため、この素子の発熱が大きくなってしまう。この対策として、定格電力の大きな大型のスイッチ素子が必要になる。
【0021】
大型のスイッチ素子を用いることでIOモジュール全体の発熱量が大きくなるとともにコストも高くなり、実装面積も大きくなって消費電力も増大するという問題点がある。
【0022】
特にIOモジュールの大型化によりシステム全体が巨大化することになり、ユーザーが求めている制御システムの小型化の障害になってしまう。
【0023】
本発明は、これらの課題を解決するものであり、その目的は、出力精度などに悪影響を与えることなくIOモジュール全体の発熱量を抑えることができ、低コストで実装面積が小さく、制御システムの小型化・低コスト化を図ることができる入出力モジュールを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
このような課題を解決するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、
制御システムを構成する制御部と外部に設けられるフィールド機器とを接続するための入出力モジュールにおいて、
前記フィールド機器に所定の駆動電流を出力する電流源と、
電源ラインがインダクタの一端に接続されるとともにVIN端子に接続され、前記インダクタの他端とダイオードのアノードの接続点にSW端子が接続され、FB端子の電圧が基準電圧と等しくなるようなフィードバックを行い、共通電位点がGND端子に接続される電源ICと、
前記ダイオードのカソードと前記電流源の電源端子とが一端に接続され、前記共通電位点に他端が接続されるコンデンサと、
前記コンデンサの一端と前記共通電位との間に設けられ、一端が前記コンデンサの一端に接続される第1の抵抗とこの第1の抵抗の他端に一端が接続され、前記共通電位点に他端が接続される第2の抵抗とにより電圧を分圧する第1の抵抗分圧回路と、
前記コンデンサの一端と前記共通電位との間に設けられ、端が前記コンデンサの一端に接続される第3の抵抗とこの第3の抵抗の他端に一端が接続され、前記共通電位点に他端が接続される第4の抵抗とによりにより電圧を分圧する第2の抵抗分圧回路と、
ドレインが前記第1の抵抗分圧回路の前記第1、第2の抵抗の接続点に接続されると共に、前記電源ICのFB端子に接続され、ソースが前記第2の抵抗分圧回路の第3、第4の抵抗の接続点に接続され、ゲートに前記電流源の出力電圧が入力されるFETと、
前記第1の抵抗と並列に設けられ、第5の抵抗と第1のスイッチ素子からなる第1の直列回路と、
前記コンデンサの一端に一端が接続され、前記FETのゲートに他端が接続される第6の抵抗と、
前記FETのゲートと前記共通電位点との間に設けられ、第7の抵抗と第2のスイッチ素子からなる第2の直列回路と
で構成され、前記制御部は、前記第1、第2のスイッチ素子のオン、オフを行い、電源設定を行うことを特徴とする。
【0025】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の入出力モジュールにおいて、
前記制御部は、前記第1、第2のスイッチ素子を、それぞれ、オフ、オフを行う場合、オン、オフを行う場合、オフ、オンを行う場合のいずれかであることを特徴とする
【0026】
請求項3記載の発明は、請求項に記載の入出力モジュールにおいて、
前記制御部は、前記フィールド機器からのデジタル信号の入力が可能なデジタル入力モード、または、前記フィールド機器にオンまたはオフの信号が出力可能なデジタル出力モードの場合、前記第1、第2のスイッチ素子を、それぞれオフ、オフとし、前記フィールド機器からのアナログ信号の入力が可能なアナログ入力モードまたは電圧規格が低い前記デジタル入力モードの場合、前記第1、第2のスイッチ素子を、それぞれオン、オフとして、前記フィールド機器にアナログ信号の出力が可能なアナログ出力モードの場合、前記第1、第2のスイッチ素子を、それぞれオフ、オンとすることを特徴とする
【0027】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の入出力モジュールにおいて、
前記制御部は、前記電流源に信号出力を出力し、この信号出力に対応した電流に前記電流源が変換し、前記電流源から前記フィールド機器に流れる電流のモニタ出力が入力されることを特徴とする
【発明の効果】
【0028】
これらの構成により、出力精度などに悪影響を与えることなく、制御システムの小型化・低コスト化を図ることができる入出力モジュールを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明に基づく入出力モジュールの一実施例を示す構成説明図である。
図2】従来の制御システムにおけるフィールド機器の接続例を示すブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明に基づく入出力モジュールを用いた制御システムの一実施例を示す構成説明図であり、図2と共通する部分には同一の符号を付けている。図1において、制御部100とフィールド機器200とは、入出力モジュール30を介して接続されている。
【0031】
入出力モジュール30は、電源回路31と、電流源32と、出力部33とで構成されている。
【0032】
電源回路31は、電源ラインV+から入力された電圧を所望の電源電圧Vsupに変換して出力する機能を持つ。電源電圧Vsupは電流源32の電源端子に接続され、電流源32の出力は出力部33を介してフィールド機器200に接続されている。
【0033】
出力部33はダイオード33aにより構成されていて、ダイオード33aのアノードは電流源32の出力と電源回路31を構成するダイオード31rのアノードに接続されている。
【0034】
制御部100の信号出力A1は電流源32に入力され、電流源32のモニタ出力A2は制御部100に入力されている。制御部100のロジック信号P1とP2は電源回路31に入力されている。
【0035】
電源回路31において、電源ラインV+はインダクタ31aの一端に接続されるとともに電源IC 31dのVIN端子に接続されている。
【0036】
インダクタ31aの他端とダイオード31bのアノードの接続点には電源IC 31dのSW端子が接続され、電源IC 31dのGND端子は共通電位点に接続されている。
【0037】
ダイオード31bのカソードはコンデンサ31cを介して共通電位点に接続されるとともに、電源電圧Vsupを有する電流源32の電源端子に接続されている。電流源32の電源端子には、抵抗31eの一端と、抵抗31gの一端と、抵抗31mの一端と、抵抗31qの一端も接続されている。
【0038】
抵抗31eの他端は抵抗31fを介して共通電位点に接続されるとともに電源IC 31dのFB端子とFET 31nのドレインに接続され、抵抗31gの他端はスイッチ素子31hを介して電源IC 31dのFB端子とFET 31nのドレインに接続され、抵抗31mの他端はFET 31nのソースに接続されるとともに抵抗31pを介して共通電位点に接続され、抵抗31qの他端はFET 31nのゲートに接続されるとともに抵抗31sとスイッチ素子31tの直列回路を介して共通電位点に接続されている。
【0039】
スイッチ素子31hのゲートには制御部100のロジック信号P1が入力され、スイッチ素子31tのゲートには制御部100のロジック信号P2が入力されている。
【0040】
抵抗31qとFET 31nのゲートと抵抗31sとの接続点には、ダイオード31rのカソードが接続されている。
【0041】
ダイオード31rのアノードは電流源32の出力端子とダイオード33aのアノードの接続点に接続されている。
【0042】
図1のように構成されるシステムの動作について説明する。
制御部100の信号出力A1は電流源32に入力されて信号出力A1のレベルに対応した電流に変換され、ダイオード33aを介してフィールド機器200に入力される。また、電流源32からフィールド機器200に流れる電流はモニタ出力A2に変換されて制御部100に入力される。
【0043】
フィールド機器200が電流出力機器の場合、電流源32の出力電圧は電源電圧Vsupの電位となるため、入出力モジュール30はAIモードまたはDIモードとして動作することができる。また、このとき、電源電圧Vsupを適切に選ぶことにより、DOモードの出力=オン状態としても使用できる。
【0044】
一方、フィールド機器200が電流入力機器の場合、電流源32の出力電圧はフィールド機器200の端子電圧となり、フィールド機器200へ流れ込む電流は信号出力A1のレベルに対応した電流となることから、入出力モジュール30はAOモードとして動作する。制御部100の信号出力A1がゼロ[A]設定の場合、電流源32の出力はハイ・インピーダンスとなり、入出力モジュール30の出力はオフとなる。これはDOモードの出力=オフ状態として使用できる。
【0045】
次に、電源回路31の動作について説明する。電流源32が正常に動作するためには、動作点が適切であることが必要であり、そのためには入出力モジュール30の機能モード毎にそれぞれ適切な電源電圧Vsupを電流源32に入力する必要がある。図2の従来例では+24Vの固定電源の電圧が供給されていたが、本発明ではこの点が異なる。
【0046】
制御部100のロジック信号出力P1とP2は、入出力モジュール30の電源回路31に入力される。この2ビットのロジック信号の組合せによって、電源回路31は異なる動作をする。以下、このロジック信号のビットパターンごとに電源回路31の動作を説明する。
【0047】
電源設定1:P1=L、P2=Lの場合
スイッチ素子31h、31tは両方ともオフとなるため、ダイオード31rのカソードとFET 31nのゲートが抵抗31qによりプルアップされ、ダイオード31rとFET 31nは共にオフになる。
【0048】
この結果、電源IC 31dのFB端子には電源電圧Vsupを抵抗31eと抵抗31fにより分圧した電圧が入力されることになる。電源IC 31dはFB端子がIC内部の基準電圧Vrefに等しくなるようなフィードバックをすることから、抵抗31eの抵抗値をRE、抵抗31fの抵抗値RFとし、このモードにおける電源電圧VsupをVsup0とすると、Vsup0は(1)式のようになる。
【0049】
Vsup0=Vref(RF+RE)/RF (1)
【0050】
(1)式に示すように、電圧Vsup0は電源IC内部のVrefの電圧と抵抗31e、31fの抵抗値だけで決まる一定値となる。従って電源電圧はVsup=Vsup0となり、一定値となる。入出力モジュール30がDIモードまたはDOモードの場合は、この設定が適する。
【0051】
電源設定2:P1=H、P2=Lの場合
スイッチ素子31hはオンになり、31tはオフとなるため、ダイオード31rのカソードとFET 31nのゲートが抵抗31qによりプルアップされ、ダイオード31rとFET 31nは共にオフする。
【0052】
この結果、電源IC 31dのFB端子には、電源電圧Vsupが、抵抗31eと抵抗31gの並列合成抵抗と抵抗31fにより分圧されて入力されることになる。その他の動作は電源設定1の場合と同様である。このモードにおける電源電圧VsupをVsup1とすれば(2)式のようになる。
【0053】
Vsup1=Vref[RF+{RE・RG/(RE+RG)}]/RF (2)
【0054】
(2)式に示すとおり、電圧Vsup1は電源IC内部のVrefの電圧と抵抗31e、31f、31gの抵抗値だけで決まる一定値となる。従って、電源電圧Vsup=Vsup1となって一定値となる。抵抗31gの効果で電源設定1の場合よりも電源電圧Vsupを低い電圧に設定することができ、入出力モジュール30がAIモードの場合や、電圧規格の低いDIモードの場合はこの設定が適する。
【0055】
電源設定3:P1=L、P2=Hの場合
このモードは、入出力モジュール30の機能モードがAOの時に使用する。スイッチ素子31hはオフ、31tはオンとなるため、ダイオード31rのカソードとFET 31nのゲートが抵抗31sによりプルダウンされ、ダイオード31rとFET 31nは共にオンになる。
【0056】
この結果、電流源32の出力電圧Vaはダイオード31rを介してFET 31nのゲートに入力される。今、FET 31nのソース・ゲート間電圧をVsgとし、ダイオード31rの端子電圧をVFとすれば、FET 31nのソースと抵抗31mと抵抗31Pの接続点の電圧Vsは(3)式のようになる。
Vs=Va−VF+Vsg (3)
【0057】
一般にVF≒0.5V、Vsg≒1.5Vでほぼ一定なので、これを代入すれば、
Vs≒Va+1[V] (4)
となり、FET 31nのソース電圧Vsは電流源32の出力電圧Vaに追従して動作し、その差は約1Vになる。
【0058】
説明を簡単にするために、仮に抵抗31eと抵抗31pの抵抗値が等しくRHとし、仮に抵抗31fと抵抗31mの抵抗値が等しくRLとすれば、(5)式が成り立つ。
F−IE=IM−IP (5)
【0059】
ここでIFは抵抗31fの電流、IEは抵抗31eの電流、IMは抵抗31mの電流、IPは抵抗31pの電流である。(5)式を書きかえれば(6)式のようになる。
(Vref/RL)−{(Vsup−Vref)/RH}={(Vsup−Vs)/RL}−Vs/RH
(6)
【0060】
(6)式を整理すれば(7)式になる。
{(Vsup−Vs)/RL}+{(Vsup−Vs)/RH}=(Vref/RL)+(Vref/RH)
(7)
【0061】
従って
Vsup−Vs=Vref (8)
となり、
【0062】
(8)式に(4)式を代入すれば
Vsup−Va≒Vref+1[V] (9)
となる。
【0063】
この結果、電源電圧Vsupは電流源の出力電圧Vaに追従し、その電位差は一定であってその値は(9)式に示すようにVref+1[V]である。一般に電源ICのVrefの値は1.25V〜2.5Vであることから前記電位差は2.25V〜3.5Vになる。
【0064】
次に、この動作の効果について説明する。フィールド機器200の出力電流が20mAとすると、従来の固定電圧の電源の場合、たとえばVsup=24Vとすると、フィールド機器の端子電圧を5V、ダイオード33aの端子電圧を0.5Vとすると、電流源32での発熱は(10)式のようになる。
20mA×(24V−0.5V−5V)=370mW (10)
【0065】
一方、本発明に係る入出力モジュールの電流源32の発熱は、Vrefを1.25Vとすれば、
20mA×(2.25V)=45mW (11)
であり、従来の8分の1以下となる。しかも、この発熱はフィールド機器200の端子電圧によらず一定となるという特長がある。
【0066】
以上詳細に説明したように、本発明に係る入出力モジュールでは、入出力モジュールの機能モード:AI、AO、DI、DOに合わせて制御部100のロジック信号P1、P2のビット設定を適切に選択することにより電源回路31の動作を選択して各機能モードに最適な電源電圧Vsupを電流源32に供給することができ、以下の課題を実現できる。
a)AI,AO,DO,DIの各モードにおいてそれぞれに適切な出力電圧をフィールド機器にあたえる
b)DIモードにおいて規格に応じた出力電圧をフィールド機器にあたえる
c)AOモードにおけるスイッチ素子の発熱を抑えて素子のサイズを小さくする
d)IOモジュール全体の発熱量を抑え低コストで実装面積を小さくする
【符号の説明】
【0067】
100 制御部
200 フィールド機器
30 入出力モジュール
31 電源回路
32 電流源
33 出力部
図1
図2