(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項2〜請求項5のいずれかに記載のスイッチ装置において、前記ケースの外面と内面との少なくとも一方には、前記防水部材が装着される筒状突起部が、前記ケースの前記貫通孔に対応した状態で設けられ、前記筒状突起部には、これを覆って前記押え部材が取り付けられていることを特徴とするスイッチ装置。
請求項6に記載のスイッチ装置において、前記押え部材は、その内周面に設けられた雌ねじ部が前記筒状突起部の外周に設けられた雄ねじ部に螺合し、前記雄ねじ部に対する前記雌ねじ部の締め付け力によって前記ケースに対する前記防水部材の押え力を調整することを特徴とするスイッチ装置。
請求項1または請求項5に記載のスイッチ装置において、前記防水部材と前記押え部材とは、前記ケースの外面と内面との両方にそれぞれ設けられていることを特徴とするスイッチ装置。
請求項9に記載のスイッチ装置において、前記ケースの内面側に位置する前記操作部材の外周面と前記貫通孔の内面との間には、内側の防水部材が別に設けられていることを特徴とするスイッチ装置。
請求項11に記載のスイッチ装置において、前記ケースの外面側に位置する前記操作部材の外周面と前記貫通孔の内面との間には、外側の防水部材が別に設けられていることを特徴とするスイッチ装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、
図1〜
図3を参照して、この発明を腕時計に適用した第1実施形態について説明する。
この腕時計は、
図1〜
図3に示すように、腕時計ケース1を備えている。この腕時計ケース1の12時側と6時側とには、時計バンド2が取り付けられている。また、この腕時計ケース1の3時側には、スイッチ装置3が設けられている。
【0011】
この腕時計ケース1は、
図3に示すように、硬質の合成樹脂で形成され、その内部に金属製の補強部材1aが埋め込まれた構成になっている。この腕時計ケース1の上部開口部には、時計ガラス4がパッキン4aを介して取り付けられている。また、この腕時計ケース1の下部には、裏蓋5がパッキン5aを介して取り付けられている。
【0012】
さらに、この腕時計ケース1の内部には、
図3に示すように、時計モジュール6が設けられている。この時計モジュール6は、
図1および
図3に示すように、指針7を運針させて時刻を指示させる時計ムーブメント(図示せず)や、スイッチ接点部8などの時計機能に必要な各種の部品を備えている。
【0013】
ところで、スイッチ装置3は、
図3に示すように、腕時計ケース1の貫通孔10にスライド可能に取り付けられる操作部材11と、貫通孔10に対応する腕時計ケース1の外面と内面とに配置される第1、第2の防水部材12、13と、これら第1、第2の防水部材12、13を腕時計ケース1に対してそれぞれ押え付ける第1、第2の押え部材14、15と、を備えている。
【0014】
操作部材11は、
図3に示すように、腕時計ケース1の貫通孔10にスライド可能に挿入されて腕時計ケース1の内部と外部とに突出する軸部16と、この軸部16の外端部16aに設けられて腕時計ケース1の外部に突出する頭部17と、軸部16の内端部16bに取り付けられて腕時計ケース1の内面に接離可能に当接するEリングなどの抜止め部材18と、頭部17を腕時計ケース1の外部に押し出す方向に付勢するコイルばね19と、を有している。
【0015】
この場合、軸部16は、
図3に示すように、その外径が腕時計ケース1の貫通孔10の内径と同じか、それよりも少し小さく形成され、かつ軸方向の長さが貫通孔10の軸方向の長さよりも長く形成されている。頭部17は、円筒形のほぼキャップ状に形成され、その外径が軸部16の外径よりも大きい、例えば軸部16の外径の3倍程度の大きさに形成され、その内径が軸部16の外径よりも大きい、例えば軸部16の外径の2倍程度の大きさに形成されている。
【0016】
抜止め部材18は、
図3に示すように、腕時計ケース1の内部に突出した軸部16の内端部16bの外周に設けられた環状の取付溝16cに取り付けられ、腕時計ケース1の内面に配置された後述する第2の押え部材15に接離可能に当接するように構成されている。これにより、抜止め部材18は、腕時計ケース1内に位置する第2の押え部材15に当接することにより、軸部16が腕時計ケース1の外部に抜け出さないように構成されている。
【0017】
コイルばね19は、
図3に示すように、軸部16の外周に配置され、その一端部が頭部17の内面に弾接し、他端部が腕時計ケース1の外面に配置された後述する第1の押え部材14に弾接するように構成されている。このため、コイルばね19は、そのばね力によって頭部17を軸部16と共に腕時計ケース1の外部に向けて押し出すように構成されている。
【0018】
これにより、操作部材11は、
図3に示すように、コイルばね19のばね力に抗して頭部17が押されると、軸部16が貫通孔10内をスライドして、軸部16の内端部16bが腕時計ケース1内に突出し、この突出した内端部16bが時計モジュール6のスイッチ接点部8を押圧して、スイッチ動作させるように構成されている。
【0019】
すなわち、このスイッチ接点部8は、
図3に示すように、板ばね部8aと接点部8bとを有している。板ばね部8aは、軸部16の内端部16bによって押された際に、弾性変形して接点部8bに接離可能に接触することにより、スイッチ動作するように構成されている。
【0020】
この場合、腕時計ケース1の外面には、
図3に示すように、第1の防水部材12が装着する第1の筒状突起部20が、腕時計ケース1の貫通孔10と対応した状態で外部に突出して設けられている。この第1の筒状突起部20は、その外径が頭部17の内径と同じか、それよりも少し大きく形成されている。
【0021】
この第1の筒状突起部20の外端側に位置する内周部には、
図3に示すように、第1の防水部材12が装着する装着溝20aが設けられている。すなわち、この装着溝20aは、環状の切欠き凹部であり、腕時計ケース1の外部および貫通孔10の内部に開放された状態で設けられている。
【0022】
また、この腕時計ケース1の内面には、
図3に示すように、第2の防水部材13が装着する第2の筒状突起部21が、腕時計ケース1の貫通孔10と対応した状態で、腕時計ケース1の内部に突出して設けられている。この第2の筒状突起部21は、その外径が第1の筒状突起部20の外径と同じ大きさで形成されている。
【0023】
この第2の筒状突起部21の内端側に位置する内周部には、
図3に示すように、第2の防水部材13が装着する装着溝21aが設けられている。すなわち、この装着溝21aは、第1筒状突起部20の装着溝20aと同様、環状の切欠き凹部であり、腕時計ケース1の内部および貫通孔10の内部に開放された状態で設けられている。
【0024】
第1の防水部材12は、
図3に示すように、弾力を有する合成樹脂によってリング状に形成され、第1の筒状突起部20の装着溝20aに装着されるように構成されている。すなわち、この第1の防水部材12は、その内径が操作部材11の軸部16の外径と同じか、それよりも少し小さく形成されている。これにより、第1の防水部材12は、その内周部が貫通孔10内に突出して軸部16の外周面に圧接し、この状態で軸部16が摺動するように構成されている。
【0025】
また、この第1の防水部材12は、
図3に示すように、その外径が第1の筒状突起部20の装着溝20aの内周面に圧接し、かつ第1の防水部材12の軸方向の厚みが第1の筒状突起部20の装着溝20aにおける軸方向の長さよりも少し大きく形成されている。これにより、第1の防水部材12は、第1の筒状突起部20の装着溝20aに装着された際に、軸方向に位置する外側部が装着溝20aから腕時計ケース1の外部に向けて少し突出すように構成されている。
【0026】
第1の押え部材14は、
図3に示すように、腕時計ケース1の第1の筒状突起部20にこれを覆って取り付けられ、この状態で第1の防水部材12を第1の筒状突起部20の装着溝20a内に押え付けるように構成されている。すなわち、この第1の押え部材14は、円筒形のほぼキャップ状に形成され、その側面部の中心に軸部16が挿入する挿入孔14aが設けられた構成になっている。
【0027】
また、この第1の押え部材14は、
図3に示すように、その外径が頭部17の外径と同じか、それよりも少し大きく形成され、内径が第1の筒状突起部20の外径と同じ大きさに形成されている。また、この第1の押え部材14は、その内部における軸方向の長さ(深さ)が第1の筒状突起部20の軸方向の長さと同じか、それよりも少し短い長さで形成されている。
【0028】
さらに、この第1の押え部材14は、
図3に示すように、その内周面に雌ねじ部22が設けられ、この雌ねじ部22が第1の筒状突起部20の外周に設けられた雄ねじ部23に螺合するように構成されている。このため、この第1の押え部材14は、第1の筒状突起部20を覆った状態で第1の筒状突起部20の外周に取り付けられるように構成されている。
【0029】
これにより、第1の押え部材14は、
図3に示すように、第1の防水部材12が第1の筒状突起部20の装着溝20aに装着された状態で、第1の筒状突起部20に取り付けられた際に、第1の押え部材14の締め付け力、つまり雄ねじ部23に対する雌ねじ部22の締め付け力に応じて、第1の防水部材12を第1の筒状突起部20の装着溝20a内に押し付けるように構成されている。
【0030】
この場合、第1の防水部材12は、
図3に示すように、第1の押え部材14の締め付けによる押え力によって、貫通孔10の軸方向に圧縮されることにより、その外周部が装着溝20aの内周面に圧接すると共に、内周部が軸部16の外周面に圧接するように構成されている。これにより、第1の防水部材12は、軸部16と貫通孔10との間の防水性を確保して、腕時計ケース1内の気密性を確保するように構成されている。
【0031】
一方、第2の防水部材13は、
図3に示すように、第1の防水部材12と同様、弾力を有する合成樹脂によってリング状に形成され、第2の筒状突起部21の装着溝21aに装着されるように構成されている。すなわち、この第2の防水部材13は、その内径が操作部材11の軸部16の外径と同じか、それよりも少し小さく形成されている。これにより、第2の防水部材13も、その内周部が貫通孔10内に突出して軸部16の外周面に圧接し、この状態で軸部16が摺動するように構成されている。
【0032】
また、この第2の防水部材13は、
図3に示すように、第1の防水部材12と同様、その外径が第2の筒状突起部21の装着溝21aの内周面に圧接し、かつ第2の防水部材13の軸方向の厚みが第2の筒状突起部21の装着溝21aにおける軸方向の長さよりも少し大きく形成されている。これにより、第2の防水部材13も、第2の筒状突起部21の装着溝21aに装着された際に、軸方向に位置する内側部が装着溝21aから腕時計ケース1内に向けて少し突出すように構成されている。
【0033】
第2の押え部材15は、
図3に示すように、第1の押え部材14と同様、腕時計ケース1の第2の筒状突起部21にこれを覆って取り付けられ、この状態で第2の防水部材13を第2の筒状突起部21の装着溝21a内に押え付けるように構成されている。すなわち、この第2の押え部材15も、円筒形のほぼキャップ状に形成され、その側面部の中心に軸部16が挿入する挿入孔15aが設けられた構成になっている。
【0034】
また、この第2の押え部材15は、
図3に示すように、第1の押え部材14と同様、その外径が頭部17の外径と同じか、それよりも少し大きく形成され、内径が第2の筒状突起部21の外径と同じ大きさに形成されている。また、この第2の押え部材15は、その内部における軸方向の長さ(深さ)が第2の筒状突起部21の軸方向の長さよりも少し短い長さで形成されている。
【0035】
さらに、この第2の押え部材15も、
図3に示すように、第1の押え部材14と同様、その内周面に雌ねじ部24が設けられ、この雌ねじ部24が第2の筒状突起部21の外周に設けられた雄ねじ部25に螺合するように構成されている。このため、この第2の押え部材15も、第2の筒状突起部21を覆った状態で第2の筒状突起部21の外周に取り付けられるように構成されている。
【0036】
これにより、第2の押え部材15は、
図3に示すように、第1の押え部材14と同様、第2の防水部材13が第2の筒状突起部21の装着溝21aに装着された状態で、第2の筒状突起部21に取り付けられた際に、第2の押え部材15の締め付け力、つまり雄ねじ部23に対する雌ねじ部22の締め付け力に応じて、第2の防水部材13を第2の筒状突起部21の装着溝21a内に押し付けるように構成されている。
【0037】
この場合にも、第2の防水部材13は、
図3に示すように、第2の押え部材15の締め付けによる押え力によって、貫通孔10の軸方向に圧縮されることにより、その外周部が装着溝21aの内周面に圧接すると共に、内周部が軸部16の外周面に圧接するように構成されている。これにより、第2の防水部材13も、軸部16と貫通孔10との間の防水性を確保して、腕時計ケース1内の気密性を確保するように構成されている。
【0038】
次に、このような腕時計におけるスイッチ装置3の作用について説明する。
このスイッチ装置3を腕時計ケース1に組み付ける場合には、まず、腕時計ケース1の外部と内部とに第1、第2の防水部材12、13を第1、第2の押え部材14、15によって取り付ける。
【0039】
すなわち、腕時計ケース1の外部に突出する第1の筒状突起部20の装着溝20aに第1の防水部材12を装着し、この状態で第1の筒状突起部20に第1の押え部材14を取り付ける。このときには、第1の筒状突起部20の雄ねじ部23に第1の押え部材14の雌ねじ部22を螺合させて軽く締め付ける。これにより、第1の防水部材12を第1の筒状突起部20の装着溝20aに軽く押え付ける。
【0040】
同様に、腕時計ケース1の内部に突出する第2の筒状突起部21の装着溝21aに第2の防水部材13を装着し、この状態で第2の筒状突起部21に第2の押え部材15を取り付ける。このときにも、第2の筒状突起部21の雄ねじ部25に第2の押え部材15の雌ねじ部24を螺合させて軽く締め付ける。これにより、第2の防水部材13を第2の筒状突起部21の装着溝21aに軽く押え付ける。
【0041】
この状態で、腕時計ケース1の上部開口部に時計ガラス4を取り付けると共に、操作部材11を腕時計ケース1の貫通孔10に挿入させて取り付ける。このときには、まず、操作部材11の軸部16の外周にコイルばね19を装着する。この状態で、軸部16の内端部16bを腕時計ケース1の外部に位置する第1押え部材14の挿入孔14aから第1の防水部材12および貫通孔10に挿入させると共に、この挿入された軸部16の内端部16bを貫通孔10から第2の防水部材13および第2の押え部材15の挿入孔15aに挿入させて腕時計ケース1内に突出させる。
【0042】
そして、操作部材11の頭部17をコイルばね19のばね力に抗して押し込み、軸部16の内端部16bを腕時計ケース1の内部に更に突出させる。この状態で、軸部16の内端部16bに設けられた取付溝16cに抜止め部材18を取り付ける。これにより、操作部材11が腕時計ケース1の貫通孔10に取り付けられる。この状態では、操作部材11の頭部17がコイルばね19のばね力によって腕時計ケース1の外部に向けて押し出され、抜止め部材18が腕時計ケース1内の第2の押え部材15に当接する。
【0043】
この状態で、第1、第2の押え部材14、15による第1、第2の防水部材12、13の押え力を調整する。すなわち、第1の押え部材14を回転させて、第1の筒状突起部20の雄ねじ部23に対する第1の押え部材14の雌ねじ部22の締め付け力を調整する。これにより、第1の防水部材12が貫通孔10の軸方向に圧縮されることにより、第1の防水部材12の内周部が操作部材11の軸部16の外周に最適な状態で圧接されると共に、第1の防水部材12の外周部が第1の筒状突起部20の装着溝20aの内周面に最適な状態で圧接される。
【0044】
同様に、第2の押え部材15を回転させて、第2の筒状突起部21の雄ねじ部25に対する第2の押え部材15の雌ねじ部24の締め付け力を調整する。これにより、第2の防水部材13が貫通孔10の軸方向に圧縮されることにより、第2の防水部材13の内周部が操作部材11の軸部16の外周に最適な状態で圧接されると共に、第2の防水部材13の外周部が第2の筒状突起部21の装着溝21aの内周面に最適な状態で圧接される。
【0045】
そして、腕時計ケース1内に時計モジュール6を配置し、この時計モジュール6のスイッチ接点部8の板ばね部8aを軸部16の内端部16bに対応させる。この後、腕時計ケース1の下部に裏蓋5を取り付ける。これにより、スイッチ装置3が腕時計ケース1に組み付けられる。
【0046】
次に、このスイッチ装置3の動作について説明する。
この場合には、まず、操作部材11の頭部17をコイルばね19のばね力に抗して押し込む。すると、操作部材11の軸部16が腕時計ケース1の貫通孔10内をスライドして、軸部16の内端部16bが腕時計ケース1内に突出する。
【0047】
これにより、腕時計ケース1内に突出した軸部16の内端部16bが時計モジュール6のスイッチ接点部8を押圧してスイッチ動作させる。すなわち、このときには、軸部16の内端部16bがスイッチ接点部8の板ばね部8aを押圧し、この板ばね部8aが弾性変形して接点部8bに接触する。これにより、スイッチ接点部8がオン状態になる。
【0048】
また、操作部材11の頭部17から外力が取り除かれると、頭部17がコイルばね19のばね力によって腕時計ケース1の外部に向けて押し出される。すると、操作部材11の軸部16が腕時計ケース1の貫通孔10内をスライドして、軸部16の内端部16bがスイッチ接点部8から離れる。これにより、板ばね部8aが元の形状に弾性復帰して接点部8bから離れ、スイッチ接点部8がオフ状態になる。
【0049】
ところで、軸部16が貫通孔10内をスライドする際には、第1、第2の防水部材12、13が第1、第2の押え部材14、15の押え力によって第1、第2の筒状突起部20、21の装着溝20a、21a内に最適な状態で圧接していると共に、操作部材11の軸部16の外周面に摺動可能な最適な状態で圧接している。
【0050】
このため、軸部16が貫通孔10内をスライドする際には、軸部16が第1、第2の防水部材12、13内を圧接摺動するので、軸部16が貫通孔10内をスライドしても、第1、第2の防水部材12、13によって軸部16と貫通孔10との間の防水性が確保されると共に、腕時計ケース1内の気密性が確保される。
【0051】
また、このときには、第1、第2の防水部材12、13が腕時計ケース1の貫通孔10における外端部と内端部とに位置していることにより、第1、第2の防水部材12、13の距離が最も離れているので、この最も距離が離れた第1、第2の防水部材12、13によって操作部材11の軸部16が安定した状態で摺動可能に保持されている。
【0052】
このため、軸部16が貫通孔10内をスライドする際には、軸部16がその軸方向に対して傾くことがなく、貫通孔10の中心軸と平行な状態で軸部16が安定した状態でスライドする。このときには、第1、第2の防水部材12、13が軸部16の外周面に均一に圧接した状態で摺動するため、これによっても第1、第2の防水部材12、13によって軸部16と貫通孔10との間の防水性が確保されると共に、腕時計ケース1内の気密性が確保される。
【0053】
このように、この腕時計のスイッチ装置3によれば、腕時計ケース1の貫通孔10にその内外に突出した状態で挿入された操作部材11と、腕時計ケース1の外面と内面との両方に配置され、操作部材11が摺動可能に挿入される第1、第2の防水部材12、13と、これら第1、第2の防水部材12、13を腕時計ケース1に対して押え付ける第1、第2の押え部材14、15と、を備えていることにより、長期間に亘って防水性を確保することができる。
【0054】
すなわち、この腕時計のスイッチ装置3では、第1、第2の押え部材14、15によって第1、第2の防水部材12、13を腕時計ケース1に対して押え付けて、操作部材11に圧接させることができる。このため、操作部材11のスライド操作に伴って第1、第2の防水部材12、13が摩耗しても、その摩耗による第1、第2の防水部材12、13の圧接力の低下を抑えることができる。これにより、第1、第2の防水部材12、13による防水性の低下を防ぐことができるので、長期間に亘って防水性を確保することができる。
【0055】
この場合、腕時計ケース1の外面には、第1の防水部材12を装着する第1の筒状突起部20が、腕時計ケース1の貫通孔10に対応した状態で設けられ、この第1の筒状突起部20にこれを覆って第1の押え部材14が取り付けられているので、この第1の押え部材14によって第1の防水部材12を第1の筒状突起部20に確実に押え付けることができる。これにより、第1の防水部材12を操作部材11の軸部16に確実にかつ良好に圧接させることができるので、防水性を確保できると共に、腕時計ケース1内の気密性を確保することができる。
【0056】
すなわち、第1の押え部材14は、その内周面に設けられた雌ねじ部22が第1の筒状突起部20の外周に設けられた雄ねじ部23に螺合し、その締め付け力によって腕時計ケース1に対する第1の防水部材12の押え力を調整することにより、第1の防水部材12を第1の筒状突起部20の装着溝20a内に最適な状態で圧接させることができると共に、第1の防水部材12を操作部材11の軸部16の外周に最適な状態で摺動可能に圧接させることができる。これにより、防水性を確保することができると共に、腕時計ケース1内の気密性を確保することができる。
【0057】
また、腕時計ケース1の内面には、第2の防水部材13を装着する第2の筒状突起部21が、腕時計ケース1の貫通孔10に対応した状態で設けられ、この第2の筒状突起部21にこれを覆って第2の押え部材15が取り付けられているので、この第2の押え部材15によって第2の防水部材13を第2の筒状突起部21に確実に押え付けることができる。これにより、第2の防水部材13を操作部材11の軸部16に確実にかつ良好に圧接させることができるので、防水性を確保できると共に、腕時計ケース1内の気密性を確保することができる。
【0058】
すなわち、第2の押え部材15は、その内周面に設けられた雌ねじ部24が第2の筒状突起部21の外周に設けられた雄ねじ部25に螺合し、その締め付け力によって腕時計ケース1に対する第2の防水部材13の押え力を調整することにより、第2の防水部材13を第2の筒状突起部21の装着溝21a内に最適な状態で圧接させることができると共に、第2の防水部材13を操作部材11の軸部16の外周に最適な状態で摺動可能に圧接させることができる。これにより、防水性を確保することができると共に、腕時計ケース1内の気密性を確保することができる。
【0059】
また、このスイッチ装置3では、腕時計ケース1の外面に第1の防水部材12と第1の押え部材14とが設けられていると共に、腕時計ケース1の内面に第2の防水部材13と第2の押え部材15とが設けられていることにより、第1、第2の防水部材12、13の距離を最も離すことができる。これにより、この最も距離が離れた状態の第1、第2の防水部材12、13によって、操作部材11の軸部16を摺動可能に保持することができるので、操作部材11を安定した状態で良好に保持することができる。
【0060】
このため、このスイッチ装置3では、操作部材11が押圧操作されて軸部16が腕時計ケース1の貫通孔10内をスライドする際に、軸部16がその軸方向に対して傾くことがなく、貫通孔10の中心軸と平行な状態で軸部16をスライドさせることができる。これにより、第1、第2の防水部材12、13を軸部16の外周面に均一に圧接させた状態で摺動させることができるので、これによっても第1、第2の防水部材12、13によって軸部16と貫通孔10との間の防水性を確保することができると共に、腕時計ケース1内の気密性を確保することができる。
【0061】
(第2実施形態)
次に、
図4および
図5を参照して、この発明を腕時計に適用した第2実施形態について説明する。なお、
図1〜
図3に示された第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明する。
この腕時計のスイッチ装置30は、
図4および
図5に示すように、腕時計ケース1の外面に外側防水部材31と押え部材32とを設け、腕時計ケース1の内部側に位置する貫通孔10内に内側防水部材36を別に設けた構成であり、これ以外は第1実施形態と同じ構成になっている。
【0062】
この場合、腕時計ケース1の外面には、
図5に示すように、第1実施形態の第1の筒状突起部20と同様、外側防水部材31が装着する筒状突起部33が、腕時計ケース1の貫通孔10と対応した状態で、腕時計ケース1の外部に向けて突出して設けられている。この筒状突起部33は、その外径が頭部17の内径と同じか、それよりも少し大きく形成されている。
【0063】
また、この筒状突起部33の外端側に位置する内周部には、
図5に示すように、外側防水部材31が装着する装着溝33aが設けられている。この装着溝33aは、第1実施形態における第1の筒状突起部20の装着溝20aと同様、環状の切欠き凹部であり、腕時計ケース1の外部および貫通孔10の内部に開放された状態で設けられている。
【0064】
外側防水部材31は、
図5に示すように、第1実施形態の第1の防水部材12と同様、弾力を有する合成樹脂によってリング状に形成され、筒状突起部33の装着溝33aに装着されるように構成されている。すなわち、この外側防水部材31は、その内径が操作部材11の軸部16の外径と同じか、それよりも少し小さく形成されている。これにより、この外側防水部材31は、その内周部が貫通孔10内に突出して軸部16の外周面に圧接し、この状態で軸部16が摺動するように構成されている。
【0065】
また、この外側防水部材31は、
図5に示すように、その外径が筒状突起部33の装着溝33aの内周面に圧接し、かつ防水部材31の軸方向の厚みが筒状突起部33の装着溝33aにおける軸方向の長さよりも少し大きく形成されている。これにより、この外側防水部材31は、筒状突起部33の装着溝33aに装着された際に、軸方向に位置する外側部が装着溝33aから腕時計ケース1の外部に向けて少し突出すように構成されている。
【0066】
押え部材32は、
図5に示すように、第1実施形態の第1の押え部材14と同様、腕時計ケース1の筒状突起部33にこれを覆って取り付けられ、この状態で外側防水部材31を筒状突起部33の装着溝33a内に押え付けるように構成されている。すなわち、この押え部材32は、円筒形のほぼキャップ状に形成され、その側面部の中心に軸部16が挿入する挿入孔32aが設けられた構成になっている。
【0067】
また、この押え部材32は、
図5に示すように、その外径が頭部17の外径と同じか、それよりも少し大きく形成され、内径が筒状突起部33の外径と同じ大きさに形成されている。また、この押え部材32は、その内部における軸方向の長さ(深さ)が筒状突起部33の軸方向の長さと同じか、それよりも少し短い長さで形成されている。
【0068】
さらに、この押え部材32は、
図5に示すように、第1実施形態の第1の押え部材14と同様、その内周面に雌ねじ部34が設けられ、この雌ねじ部34が筒状突起部33の外周に設けられた雄ねじ部35に螺合するように構成されている。このため、この押え部材32は、筒状突起部33を覆って筒状突起部33の外周に取り付けられるように構成されている。
【0069】
これにより、押え部材32は、
図5に示すように、外側防水部材31が筒状突起部33の装着溝33aに装着された状態で、筒状突起部33に取り付けられた際に、押え部材32の締め付け力、つまり雄ねじ部23に対する雌ねじ部22の締め付け力に応じて、外側防水部材31を筒状突起部33の装着溝33a内に押し付けるように構成されている。
【0070】
この場合、外側防水部材31は、
図5に示すように、押え部材32の締め付けによる押え力によって、貫通孔10の軸方向に圧縮されることにより、その外周部が装着溝33aの内周面に圧接すると共に、内周部が軸部16の外周面に圧接するように構成されている。これにより、外側防水部材31は、軸部16と貫通孔10との間の防水性を確保して、腕時計ケース1内の気密性を確保するように構成されている。
【0071】
ところで、腕時計ケース1の内部側に位置する操作部材11の軸部16と貫通孔10との間には、
図5に示すように、内側防水部材36が別に設けられている。この内部側に位置する内側防水部材36は、腕時計ケース1の外面に位置する外側防水部材31と同様、弾力を有する合成樹脂によってリング状に形成されている。
【0072】
この内側防水部材36は、
図5に示すように、軸部16の内端部16b側に位置する箇所、つまり腕時計ケース1の外面に位置する外側防水部材31から腕時計ケース1の内部側に向けて離れた箇所に位置する軸部16の外周面に取り付けられるように構成されている。すなわち、この内側防水部材36は、軸部16の内端部16b側に位置する箇所に設けられた環状溝36a内に装着され、この状態で外周部が貫通孔10の内周面に圧接して摺動するように構成されている。
【0073】
この場合、操作部材11は、
図5に示すように、コイルばね19のばね力によって頭部17が軸部16と共に腕時計ケース1の外部に向けて押し出された際に、軸部16の内端部16bに取り付けられた抜止め部材18が腕時計ケース1の内面に接離可能に当接することにより、軸部16が頭部17と共に腕時計ケース1の外部に抜け出さないように構成されている。
【0074】
次に、このような腕時計ケース1におけるスイッチ装置30の作用について説明する。
操作部材11の頭部17をコイルばね19のばね力に抗して押し込むと、第1実施形態と同様、操作部材11の軸部16が腕時計ケース1の貫通孔10内をスライドして、軸部16の内端部16bが腕時計ケース1内に突出する。
【0075】
これにより、腕時計ケース1内に突出した軸部16の内端部16bが時計モジュール6のスイッチ接点部8を押圧してスイッチ動作させる。このときには、第1実施形態と同様、軸部16の内端部16bがスイッチ接点部8の板ばね部8aを押圧し、この板ばね部8aが弾性変形して接点部8bに接触する。これにより、スイッチ接点部8がオン状態になる。
【0076】
また、操作部材11の頭部17から外力が取り除かれると、第1実施形態と同様、頭部17がコイルばね19のばね力によって腕時計ケース1の外部に向けて押し出される。すると、操作部材11の軸部16が腕時計ケース1の貫通孔10内をスライドして、軸部16の内端部16bがスイッチ接点部8から離れる。これにより、板ばね部8aが元の形状に弾性復帰して接点部8bから離れ、スイッチ接点部8がオフ状態になる。
【0077】
ところで、軸部16が貫通孔10内をスライドする際には、押え部材32の押え力によって外側防水部材31が筒状突起部33の装着溝33a内に最適な状態で圧接していると共に、操作部材11の軸部16の外周面に最適な状態で摺動可能に圧接している。このため、軸部16が外側防水部材31内を圧接摺動するので、軸部16が貫通孔10内をスライドしても、外側防水部材31によって軸部16と貫通孔10との間の防水性が確保されると共に、腕時計ケース1内の気密性が確保される。
【0078】
また、このときには、腕時計ケース1の内部側に位置する別の内側防水部材36が軸部16の内端部16b側に位置する箇所の外周面に設けられた環状溝36a内に装着され、この状態で内側防水部材36の外周部が貫通孔10の内周面に圧接して摺動するので、軸部16が貫通孔10内をスライドしても、この内側防水部材36によって軸部16と貫通孔10との間の防水性が確保されると共に、腕時計ケース1内の気密性が確保される。
【0079】
この場合、外側防水部材31が腕時計ケース1の貫通孔10における外端部に位置し、内側防水部材36が腕時計ケース1の貫通孔10における内端部に位置していることにより、外側防水部材31と内側防水部材36との距離が大きく離れている。このように距離が大きく離れた外側防水部材31と内側防水部材36とによって、操作部材11の軸部16が安定した状態で摺動可能に保持されている。
【0080】
このため、軸部16が貫通孔10内をスライドする際には、軸部16がその軸方向に対して傾くことがなく、貫通孔10の中心軸と平行な状態で軸部16が安定した状態でスライドする。このときには、外側防水部材31と内側防水部材36とが軸部16の外周面に均一に圧接した状態で摺動するため、これによっても外側防水部材31と内側防水部材36とによって、軸部16と貫通孔10との間の防水性が確保されると共に、腕時計ケース1内の気密性が確保される。
【0081】
このように、この腕時計のスイッチ装置30によれば、腕時計ケース1の貫通孔10にその内外に突出した状態で挿入された操作部材11と、腕時計ケース1の外面に配置され、操作部材11が摺動可能に挿入される外側防水部材31と、この外側防水部材31を腕時計ケース1に対して押え付ける押え部材32と、を備えていることにより、第1実施形態と同様、長期間に亘って防水性を確保することができる。
【0082】
すなわち、この腕時計のスイッチ装置30では、押え部材32によって外側防水部材31を腕時計ケース1に対して押え付けて、操作部材11に圧接させることができる。このため、操作部材11のスライド操作に伴って外側防水部材31が摩耗しても、その摩耗による外側防水部材31の圧接力の低下を抑えることができる。これにより、外側防水部材31による防水性の低下を防ぐことができるので、長期間に亘って防水性を確保することができる。
【0083】
この場合、腕時計ケース1の外面には、外側防水部材31が装着する筒状突起部33が、腕時計ケース1の貫通孔10に対応した状態で設けられ、この筒状突起部33にこれを覆って押え部材32が取り付けられているので、この押え部材32によって外側防水部材31を筒状突起部33に確実に押え付けることができる。これにより、外側防水部材31を操作部材11の軸部16に確実にかつ良好に圧接させることができるので、防水性を確保することができると共に、腕時計ケース1内の気密性を確保することができる。
【0084】
すなわち、押え部材32は、その内周面に設けられた雌ねじ部34が筒状突起部33の外周に設けられた雄ねじ部35に螺合し、その締め付け力によって腕時計ケース1に対する外側防水部材31の押え力を調整することにより、外側防水部材31を筒状突起部33の装着溝33a内に最適な状態で圧接させることができると共に、外側防水部材31を操作部材11の軸部16の外周に最適な状態で摺動可能に圧接させることができる。これにより、防水性を確保することができると共に、腕時計ケース1内の気密性を確保することができる。
【0085】
また、このスイッチ装置30では、腕時計ケース1の内面側に位置する操作部材11の軸部16の外周面と貫通孔10の内面との間に内側防水部材36が別に設けられていることにより、この内側防水部材36によっても、防水性を確保することができると共に、腕時計ケース1内の気密性を確保することができるほか、外側防水部材31と内側防水部材36とによって、操作部材11の軸部16を摺動可能な状態で良好に保持することができる。
【0086】
この場合、外側防水部材31が腕時計ケース1の貫通孔10における外端部に位置し、内側防水部材36が腕時計ケース1の貫通孔10における内端部側に位置していることにより、外側防水部材31と内側防水部材36との距離を大きく離すことができる。これにより、距離が大きく離れた外側防水部材31と内側防水部材36とによって、操作部材11の軸部16を摺動可能に保持することができるので、操作部材11を安定した状態で良好に保持することができる。
【0087】
このため、このスイッチ装置30においても、操作部材11が押圧操作されて軸部16が腕時計ケース1の貫通孔10内をスライドする際に、軸部16がその軸方向に対して傾くことがなく、貫通孔10の中心軸と平行な状態で軸部16をスライドさせることができる。これにより、外側防水部材31と内側防水部材36とを軸部16の外周面に均一に圧接させた状態で摺動させることができるので、これら外側防水部材31と内側防水部材36とによって、軸部16と貫通孔10との間の防水性を確保することができると共に、腕時計ケース1内の気密性を確保することができる。
【0088】
(第3実施形態)
次に、
図6および
図7を参照して、この発明を腕時計に適用した第3実施形態について説明する。この場合にも、
図1〜
図3に示された第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明する。
この腕時計のスイッチ装置40は、
図6および
図7に示すように、腕時計ケース1の内面に内側防水部材41と押え部材42とを設け、腕時計ケース1の外部側に位置する貫通孔10内に外側防水部材46を別に設けた構成であり、これ以外は第1実施形態と同じ構成になっている。
【0089】
この場合、腕時計ケース1の内面には、
図7に示すように、第1実施形態の第2の筒状突起部21と同様、内側防水部材41が装着する筒状突起部43が、腕時計ケース1の貫通孔10と対応した状態で、腕時計ケース1の内部に向けて突出して設けられている。この筒状突起部43は、その外径が頭部17の内径と同じか、それよりも少し大きく形成されている。
【0090】
また、この筒状突起部43の内端側に位置する内周部には、
図7に示すように、内側防水部材41が装着する装着溝43aが設けられている。この装着溝43aは、第1実施形態における第2の筒状突起部21の装着溝21aと同様、環状の切欠き凹部であり、腕時計ケース1の内部および貫通孔10の内部に開放された状態で設けられている。
【0091】
内側防水部材41は、
図7に示すように、第1実施形態の第2の防水部材13と同様、弾力を有する合成樹脂によってリング状に形成され、筒状突起部43の装着溝43aに装着されるように構成されている。すなわち、この内側防水部材41は、その内径が操作部材11の軸部16の外径と同じか、それよりも少し小さく形成されている。これにより、この防水部材41は、その内周部が貫通孔10内に突出して軸部16の外周面に圧接し、この状態で軸部16が摺動するように構成されている。
【0092】
また、この内側防水部材41は、
図7に示すように、その外径が筒状突起部43の装着溝43aの内周面に圧接し、かつ内側防水部材41の軸方向の厚みが筒状突起部43の装着溝43aにおける軸方向の長さよりも少し大きく形成されている。これにより、この内側防水部材41は、筒状突起部43の装着溝43aに装着された際に、軸方向に位置する内側部が装着溝43aから腕時計ケース1内に向けて少し突出すように構成されている。
【0093】
押え部材42は、
図7に示すように、第1実施形態の第2の押え部材15と同様、腕時計ケース1の筒状突起部43にこれを覆って取り付けられ、この状態で内側防水部材41を筒状突起部43の装着溝43a内に押え付けるように構成されている。すなわち、この押え部材42は、円筒形のほぼキャップ状に形成され、その側面部の中心に軸部16が挿入する挿入孔42aが設けられた構成になっている。
【0094】
また、この押え部材42は、
図7に示すように、その外径が頭部17の外径と同じか、それよりも少し大きく形成され、内径が筒状突起部43の外径と同じ大きさに形成されている。また、この押え部材42は、その内部における軸方向の長さ(深さ)が筒状突起部43の軸方向の長さと同じか、それよりも少し短い長さで形成されている。
【0095】
さらに、この押え部材42は、
図7に示すように、第1実施形態の第2の押え部材15と同様、その内周面に雌ねじ部44が設けられ、この雌ねじ部44が筒状突起部43の外周に設けられた雄ねじ部45に螺合するように構成されている。このため、この押え部材42は、筒状突起部43を覆った状態で筒状突起部43の外周に取り付けられるように構成されている。
【0096】
これにより、押え部材42は、
図7に示すように、内側防水部材41が筒状突起部43の装着溝43aに装着された状態で、筒状突起部43に取り付けられた際に、押え部材42の締め付け力、つまり雄ねじ部23に対する雌ねじ部22の締め付け力に応じて、内側防水部材41を筒状突起部43の装着溝43a内に押し付けるように構成されている。
【0097】
この場合、内側防水部材41は、
図7に示すように、押え部材42の締め付けによる押え力によって、貫通孔10の軸方向に圧縮されることにより、その外周部が装着溝43aの内周面に圧接すると共に、内周部が軸部16の外周面に圧接するように構成されている。これにより、内側防水部材41は、軸部16と貫通孔10との間の防水性を確保して、腕時計ケース1内の気密性を確保するように構成されている。
【0098】
ところで、腕時計ケース1の外部側に位置する操作部材11の軸部16と貫通孔10との間には、
図7に示すように、外側防水部材46が別に設けられている。この外部側に位置する別の外側防水部材46は、腕時計ケース1の内面に位置する内側防水部材41と同様、弾力を有する合成樹脂によってリング状に形成されている。
【0099】
この外側防水部材46は、
図7に示すように、軸部16の外端部16a側に位置する箇所、つまり腕時計ケース1の内面に位置する内側防水部材41から腕時計ケース1の外部側に向けて離れた箇所に位置する軸部16の外周面に取り付けられるように構成されている。すなわち、この外側防水部材46は、軸部16の外端部16a側に位置する箇所に設けられた環状溝46a内に装着され、この状態で外周部が貫通孔10の内周面に圧接して摺動するように構成されている。
【0100】
次に、このような腕時計ケース1におけるスイッチ装置40の作用について説明する。
操作部材11の頭部17をコイルばね19のばね力に抗して押し込むと、第1実施形態と同様、操作部材11の軸部16が腕時計ケース1の貫通孔10内をスライドして、軸部16の内端部16bが腕時計ケース1内に突出する。
【0101】
これにより、腕時計ケース1内に突出した軸部16の内端部16bが時計モジュール6のスイッチ接点部8を押圧してスイッチ動作させる。このときには、第1実施形態と同様、軸部16の内端部16bがスイッチ接点部8の板ばね部8aを押圧し、この板ばね部8aが弾性変形して接点部8bに接触する。これにより、スイッチ接点部8がオン状態になる。
【0102】
また、操作部材11の頭部17から外力が取り除かれると、第1実施形態と同様、頭部17がコイルばね19のばね力によって腕時計ケース1の外部に向けて押し出される。すると、操作部材11の軸部16が腕時計ケース1の貫通孔10内をスライドして、軸部16の内端部16bがスイッチ接点部8から離れる。これにより、板ばね部8aが元の形状に弾性復帰して接点部8bから離れ、スイッチ接点部8がオフ状態になる。
【0103】
ところで、軸部16が貫通孔10内をスライドする際には、押え部材42の押え力によって内側防水部材41が筒状突起部43の装着溝43a内に最適な状態で圧接していると共に、操作部材11の軸部16の外周面に最適な状態で摺動可能に圧接している。このため、軸部16が内側防水部材41内を圧接摺動するので、軸部16が貫通孔10内をスライドしても、内側防水部材41によって軸部16と貫通孔10との間の防水性が確保されると共に、腕時計ケース1内の気密性が確保される。
【0104】
また、このときには、腕時計ケース1の外部側に位置する別の外側防水部材46が軸部16の外端部16a側に位置する箇所の外周面に設けられた環状溝46a内に装着され、この状態で外側防水部材46の外周部が貫通孔10の内周面に圧接して摺動するので、軸部16が貫通孔10内をスライドしても、この外側防水部材46によって軸部16と貫通孔10との間の防水性が確保されると共に、腕時計ケース1内の気密性が確保される。
【0105】
この場合、内側防水部材41が腕時計ケース1の貫通孔10における内端部に位置し、外部側に位置する別の外側防水部材46が腕時計ケース1の貫通孔10における外端部に位置していることにより、内側防水部材41と外側防水部材46との距離が大きく離れている。このように距離が大きく離れた内側防水部材41と外側防水部材46とによって、操作部材11の軸部16が安定した状態で摺動可能に保持されている。
【0106】
このため、軸部16が貫通孔10内をスライドする際には、軸部16がその軸方向に対して傾くことがなく、貫通孔10の中心軸と平行な状態で軸部16が安定した状態でスライドする。このときには、内側防水部材41と外側防水部材46とが軸部16の外周面に均一に圧接した状態で摺動するため、これによっても内側防水部材41と外側防水部材46とによって、軸部16と貫通孔10との間の防水性が確保されると共に、腕時計ケース1内の気密性が確保される。
【0107】
このように、この腕時計のスイッチ装置40によれば、腕時計ケース1の貫通孔10にその内外に突出した状態で挿入された操作部材11と、腕時計ケース1の内面に配置され、操作部材11が摺動可能に挿入される内側防水部材41と、この内側防水部材41を腕時計ケース1に対して押え付ける押え部材42と、を備えていることにより、第1実施形態と同様、長期間に亘って防水性を確保することができる。
【0108】
すなわち、この腕時計のスイッチ装置40では、押え部材42によって内側防水部材41を腕時計ケース1に対して押え付けて、操作部材11に圧接させることができる。このため、操作部材11のスライド操作に伴って内側防水部材41が摩耗しても、その摩耗による内側防水部材41の圧接力の低下を抑えることができる。これにより、内側防水部材41による防水性の低下を防ぐことができるので、長期間に亘って防水性を確保することができる。
【0109】
この場合、腕時計ケース1の内面には、内側防水部材41が装着する筒状突起部43が、腕時計ケース1の貫通孔10に対応した状態で設けられ、この筒状突起部43にこれを覆って押え部材42が取り付けられているので、この押え部材42によって内側防水部材41を筒状突起部43に確実に押え付けることができる。これにより、内側防水部材41を操作部材11の軸部16に確実にかつ良好に圧接させることができるので、防水性を確保することができると共に、腕時計ケース1内の気密性を確保することができる。
【0110】
すなわち、押え部材42は、その内周面に設けられた雌ねじ部44が筒状突起部43の外周に設けられた雄ねじ部45に螺合し、その締め付け力によって腕時計ケース1に対する内側防水部材41の押え力を調整することにより、内側防水部材41を筒状突起部43の装着溝43a内に最適な状態で圧接させることができると共に、内側防水部材41を操作部材11の軸部16の外周に最適な状態で摺動可能に圧接させることができる。これにより、防水性を確保することができると共に、腕時計ケース1内の気密性を確保することができる。
【0111】
また、このスイッチ装置40では、腕時計ケース1の外面側に位置する操作部材11の軸部16の外周面と貫通孔10の内面との間に外側防水部材46が別に設けられていることにより、この外部側に位置する外側防水部材46によっても、防水性を確保することができると共に、腕時計ケース1内の気密性を確保することができるほか、内側防水部材41と外側防水部材46とによって、操作部材11の軸部16を摺動可能な状態で良好に保持することができる。
【0112】
この場合、内側防水部材41が腕時計ケース1の貫通孔10における内端部に位置し、外側防水部材46が腕時計ケース1の貫通孔10における外端部側に位置していることにより、内側防水部材41と外側防水部材46との距離を大きく離すことができる。これにより、距離が大きく離れた内側防水部材41と外側防水部材46とによって、操作部材11の軸部16を摺動可能に保持することができるので、操作部材11を安定した状態で良好に保持することができる。
【0113】
このため、このスイッチ装置40においても、操作部材11が押圧操作されて軸部16が腕時計ケース1の貫通孔10内をスライドする際に、軸部16がその軸方向に対して傾くことがなく、貫通孔10の中心軸と平行な状態で軸部16をスライドさせることができる。これにより、内側防水部材41と外側防水部材46とを軸部16の外周面に均一に圧接させた状態で摺動させることができるので、これら内側防水部材41と外側防水部材46とによって、軸部16と貫通孔10との間の防水性を確保することができると共に、腕時計ケース1内の気密性を確保することができる。
【0114】
なお、上述した第1〜第3の実施形態では、操作部材11の頭部17をコイルばね19のばね力で腕時計ケース1の外部に向けて付勢するように構成した場合について述べたが、この発明は必ずしもコイルばね19を用いる必要はなく、例えばスイッチ接点部8の板ばね部8aのばね力で操作部材11の軸部16を腕時計ケース1の外部に向けて付勢するように構成しても良い。
【0115】
また、上述した第1〜第3の実施形態では、押え部材の内周面に雌ねじ部が設けられ、この雌ねじ部が筒状突起部の外周に設けられた雄ねじ部に螺合するように構成されている場合について述べたが、ねじ部の螺合に限らず、例えば押え部材の内周面と筒状突起部の外周とが圧接され、はめ込み固定される構造にしても良い。この場合でも防水部材を確実に押え付けることができ防水性を確保することができると共に、腕時計ケース内の気密性を確保することができる。
【0116】
また、上述した第1〜第3の実施形態では、腕時計に適用した場合について述べたが、必ずしも腕時計である必要はなく、例えばトラベルウオッチ、目覚まし時計、置き時計、掛け時計などの各種の時計に適用することができる。また、この発明は、必ずしも時計である必要はなく、例えば携帯電話機や携帯情報端末機などの電子機器に広く適用することができる。
【0117】
以上、この発明のいくつかの実施形態について説明したが、この発明は、これらに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0118】
(付記)
請求項1に記載の発明は、貫通孔を有するケースと、前記ケースの前記貫通孔にその内外に突出した状態で挿入された操作部材と、前記ケースの外面と内面との少なくとも一方に配置され、前記操作部材が摺動可能に挿入される防水部材と、前記防水部材を前記ケースに対して押え付ける押え部材と、を備えていることを特徴とするスイッチ装置である。
【0119】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスイッチ装置において、前記ケースの外面と内面との少なくとも一方には、前記防水部材が装着される筒状突起部が、前記ケースの前記貫通孔に対応した状態で設けられ、前記筒状突起部には、これを覆って前記押え部材が取り付けられていることを特徴とするスイッチ装置である。
【0120】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のスイッチ装置において、前記押え部材は、その内周面に設けられた雌ねじ部が前記筒状突起部の外周に設けられた雄ねじ部に螺合し、前記雄ねじ部に対する前記雌ねじ部の締め付け力によって前記ケースに対する前記防水部材の押え力を調整することを特徴とするスイッチ装置である。
【0121】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のスイッチ装置において、前記防水部材と前記押え部材とは、前記ケースの外面と内面との両方にそれぞれ設けられていることを特徴とするスイッチ装置である。
【0122】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のスイッチ装置において、前記防水部材と前記押え部材とは、前記ケースの外面のみに設けられていることを特徴とするスイッチ装置である。
【0123】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のスイッチ装置において、前記ケースの内面側に位置する前記操作部材の外周面と前記貫通孔の内面との間には、内側の防水部材が別に設けられていることを特徴とするスイッチ装置である。
【0124】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のスイッチ装置において、前記防水部材と前記押え部材とは、前記ケースの内面のみに設けられていることを特徴とするスイッチ装置である。
【0125】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のスイッチ装置において、前記ケースの外面側に位置する前記操作部材の外周面と前記貫通孔の内面との間には、外側の防水部材が別に設けられていることを特徴とするスイッチ装置である。
【0126】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜請求項8のいずれかに記載されたスイッチ装置を備えていることを特徴とする時計である。