(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多くの日本人にとって、オーラルケアとは歯磨きのことであり、歯ブラシと歯磨剤を用いた歯磨きだけで十分と考えられている。近年、フロスや歯間ブラシ、マウスリンス等を用いたケアも行われるようになってはいるが、一般に普及しているとは言い難い状況である。
【0005】
しかしながら、要介護者や災害時の高齢被災者のように、オーラルケアの遂行が困難な状況下で肺炎の増加が見られたことから、オーラルケアの重要性があらためて認識されることとなってきており、関心が高まっている。
【0006】
なお、オーラルケアでは、歯磨きだけでなく、フロスや歯間ブラシ、あるいは舌ブラシ等を用いたケアも重要であり、各種の道具を用いる必要があるために、家庭で行うものとの認識が強く、携帯性を考慮した道具の提案は行われていない。
【0007】
特に、オーラルケアは、誤嚥性肺炎の予防を目的として、高齢者、入院患者、周述期患者、要介護者に対しての実施が求められており、携帯性に優れたオーラルケアキットが求められていた。
【0008】
本発明者らは、このような現状に鑑み、携帯性に優れたオーラルケアキットを提供すべく研究開発を行って、本発明を成すに至ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のオーラルケアキットは、カード型のオーラルケアキットであって、複数の歯ブラシを有して、1つずつ切り離し可能としたカード型の歯ブラシシートと、複数の糸ようじを有して、1つずつ切り離し可能としたカード型の糸ようじシートと、複数の舌ブラシを有して、1つずつ切り離し可能としたカード型の舌ブラシシートと、歯垢染色液を塗布するための複数の刷毛を有して、1つずつ切り離し可能としたカード型の歯垢染色液シートとを箱に収容しているものである。
【0010】
特に、糸ようじは、角柱状としたアーム部と、このアーム部の先端部分に所定間隔を隔てて突出させた第1支持片と第2支持片との間に張設したフロスと、アーム部の基端部分でアーム部よりも広幅とした把持部とを有し、2つの糸ようじで1セットとし、一方の糸ようじの第1支持片と第2支持片との間に、他方の糸ようじの把持部を挿入させた状態として、対向したアーム部と把持部の間を連結片を介して接続することで矩形のシート状とし、把持部には、他方の糸ようじのフロスを避ける溝を設けているものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のカード型オーラルケアキットは、携帯性に優れ、しかも複数のオーラルケア商品を同時に携行できるため、個人のニーズに合わせたオーラル家を可能とすることができる。
【0012】
特に、使用者の年齢や性別、目的や用途、あるいは状況に応じて適宜の組み合わせとすることも可能であり、利便性の高いオーラルケアキットを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のカード型オーラルケアキットは、複数の歯ブラシを有して、1つずつ切り離し可能としたカード型の歯ブラシシートと、複数の糸ようじを有して、1つずつ切り離し可能としたカード型の糸ようじシートと、複数の舌ブラシを有して、1つずつ切り離し可能としたカード型の舌ブラシシートと、歯垢染色液を塗布するための複数の刷毛を有して、1つずつ切り離し可能としたカード型の歯垢染色液シートとを箱に収容したオーラルケアキットである。
【0015】
このように、各オーラルケア商品をカード型とすることで、携行性が格段に優れ、しかも複数種類のオーラルケア商品の同時携行を可能とすることができる。本発明のカード型オーラルケアキットは、携行者本人が使用する場合だけでなく、たとえば高齢者、要介護者、入院患者や被災者等への提供、特に訪問介護時のオーラルケアに用いる際に利便性が高く、特に、使用者の目的や用途、あるいは状況に応じて適宜の組み合わせとすることで、さらに利便性を高めることができる。
【0016】
以下において、図面を用いながら具体的な実施形態を説明する。
【0017】
本実施形態のカード型オーラルケアキットは、
図1に示すように、矩形状の箱Bに収容可能としたカード型の歯ブラシシート10と、カード型の糸ようじシート20と、カード型の舌ブラシシート30と、カード型の歯垢染色液シート40とを備えたものであり、更には、後述する歯磨剤シート(
図11参照)、手鏡(
図12参照)、コップ(
図14参照)、フィルター(
図16参照)、カード型とした開口器(
図17参照)を適宜組み合わせて収納可能としてもよい。
【0018】
箱Bの大きさとしては、正面視で名刺程度の大きさであることが望ましく、箱Bの厚みは収容するシートやコップ等の組み合わせに応じて適宜の厚みとしてよい。
【0019】
カード型の歯ブラシシート10は、
図2に示すように、短冊状の支持板11から側方に突出させた補助支持板12に、複数の歯ブラシ13を離脱可能に取り付けている。本実施形態では、5本の歯ブラシ13を取り付けている。
【0020】
歯ブラシ13は、角柱状としたアーム部13aと、このアーム部13aの先端部分に装着したスポンジ状のブラシ部13bと、アーム部13aの基端部分でアーム部13aよりも広幅とした把持部13cとで構成している。
【0021】
把持部13cの幅寸法は、アーム部13aの先端部分に装着したブラシ部13bのアーム部13aを含めた幅寸法と一致させている。
【0022】
図2(a)のA−A断面図である
図3に示すように、ブラシ部13bは、アーム部13a側に突出片13b-1を設けるとともに、アーム部13aには突出片13b-1が嵌り込む溝を設けて、この溝に突出片13b-1を嵌め込みながら接着剤を介してブラシ部13bをアーム部13aに装着している。なお、アーム部13aへのブラシ部13bの装着方法は、上記の方法に限定するものではなく、適宜の方法としてよいし、可能であれば通常の歯ブラシで使用される毛状の繊維体を多数植毛してもよい。
【0023】
歯ブラシ13は、アーム部13aの先端を薄肉状の第1連結片を介して補助支持板12に連結するとともに、隣り合わせた歯ブラシ13間の把持部13c同士を薄肉状の第2連結片で連結し、支持板11に最も近い歯ブラシ13は、把持部13cと支持板11とを第2連結片で連結することでシート状としている。
【0024】
歯ブラシ13を使用する場合には、第1連結片と第2連結片とをそれぞれ破断させることで切り離して使用することとしている。
【0025】
カード型の糸ようじシート20は、
図4に示すように、角柱状としたアーム部22aと、このアーム部22aの先端部分に所定間隔を隔てて突出させた第1支持片22bと第2支持片22cとの間に張設したフロス22dと、アーム部22aの基端部分で第1支持片22b及び第2支持片22cと同程度に突出させて広幅とした把持部22eとを備えた糸ようじ22で構成しており、複数の糸ようじ22を連結片を介して互いに連結し、さらに短冊状の支持板21に連結している。
【0026】
特に、2つの糸ようじ22を1セットとし、一方の糸ようじ22の第1支持片22bと第2支持片22cとの間に、他方の糸ようじ22の把持部22eを挿入させた状態として、対向したアーム部と把持部の間を第1連結片または第2連結片を介して接続することで矩形のシート状とした糸ようじセットを形成し、さらに、この糸ようじセット同士を第3連結片と第4連結片とで連結している。本実施形態では、3つの糸ようじセットで1つのカード型の糸ようじシート20を構成している。第3連結片と第4連結片は、隣り合わせた糸ようじセットの外側縁を構成しているアーム部同士を連結している。
【0027】
第1支持片22bと第2支持片22cとの間に挿入された状態となる把持部22eには、
図4(a)のA−A断面図である
図5に示すように、第1支持片22bと第2支持片22cとの間に張設したフロス22dを避ける溝22fを設けている。
【0028】
カード型の糸ようじシート20は、
図6に示すように、第1連結片と第2連結片、あるいは第3連結片と第4連結片をそれぞれ破断させることで個々に切り離し、糸ようじ22として使用可能となっている。
【0029】
カード型の舌ブラシシート30では、
図7に示すように、細長い板状の基板32aに正面視で長円状としたスポンジシート32bを装着した舌ブラシ32で構成しており、複数の舌ブラシ32を互いに第1連結片と第2連結片とで連結し、さらに短冊状の支持板31に連結している。
【0030】
基板32aは、スポンジシート32bが装着される部分は、スポンジシート32bと相似形状の長円状とし、スポンジシート32bが装着される部分から一方方向に引き延ばした把持部を形成している。把持部は、スポンジシート32bが装着される部分よりも細幅として、スポンジシート32bの装着部分が、舌ブラシ32の裏側からでもわかりやすい形状としている。
【0031】
図7(a)のA−A断面図である
図8に示すように、基板32aには、スポンジシート32bが装着される部分に、スポンジシート32bが嵌め込まれる凹部32cを設けており、この凹部32cの底面に接着剤を塗布してスポンジシート32bを装着することで、スポンジシート32bを強固に装着可能としている。また、基板32aに凹部32cを設けることで、スポンジシート32bを厚肉化することができ、スポンジシート32bによる舌苔等の除去効率を向上させることができる
【0032】
第1連結片と第2連結片を介して連結された舌ブラシ32は、第1連結片と第2連結片を破断させることで個々に切り離して、使用可能としている。
【0033】
カード型の歯垢染色液シート40では、
図9に示すように、正面視矩形状とした染色液タンク42aと、この染色液タンク42a内に差し込んだ刷毛42bと、この刷毛42bが装着された把持片42cとで構成した歯垢染色液の塗布セット42を、第1連結片と第2連結片を介して複数連結し、さらに短冊状の支持板41に連結している。
【0034】
より具体的には、
図10に示す組立分解図に示すように、カード型の歯垢染色液シート40は、第1シート40-1と、第2シート40-2と、第3シート40-3と、第4シート40-4と、刷毛42bと、第1封止シート40-5と、第2封止シート40-6で構成している。
【0035】
第1〜4シート40-1〜4は、それぞれプラスチック製の薄板状となっており、染色液タンク42a、把持片42c、支持板41、さらには第1連結片と第2連結片を構成する所定形状としている。
【0036】
特に、第1シート40-1と第4シート40-4には、刷毛42bの基端部に当接させて装着可能とする装着領域を設ける一方で、第2シート40-2と第3シート40-3では、装着領域部分を空間として、この空間部分に刷毛42bが挿入される構造としている。すなわち、
図9(a)のA−A断面図である
図11に示すように、把持片42cの中央部分に刷毛42bが配置された状態としている。
【0037】
刷毛42bは、本実施形態ではスポンジで構成しているが、適宜の状の繊維体を多数植毛してもよい。
【0038】
第1封止シート40-5と第2封止シート40-6は、薄膜状のシート体であって、第1封止シート40-5と第2封止シート40-6の何れか一方を先に染色液タンク42a部分に装着した状態で染色液タンク42aに歯垢染色液を充填し、他方で封止している。
【0039】
染色液タンク42aと把持片42cとの境界部分には破断構造を設けており、染色液タンク42aと、刷毛42bが装着された把持片42cとを分離可能としている。すなわち、使用時には、まず、第1連結片と第2連結片を破断させることで1つの塗布セット42を切り離し、次いで、染色液タンク42aから刷毛42bが装着された把持片42cとを切り離して、刷毛42bに含まれた歯垢染色液で歯垢の染色を可能としている。
【0040】
図12に示すように、歯磨剤シート50は、一回分の歯磨剤を個別包装した包装体52をマトリックス状に配置させて短冊状の支持板51に取り付けている。包装体52同士は弱め線を介して個々に切り離し可能として連結しており、使用する際には、1つの包装体52を切り離し、開封して歯磨剤を絞り出し可能としている。
【0041】
図13に示すように、手鏡60も、カード型の歯ブラシシート10やカード型の糸ようじシート20等が収容される箱Bに収容可能な大きさとしている。特に、本実施形態の手鏡60では、鏡面部62が支持板61に対して回動可能とし、
図14に示すように、鏡面部62の向きを調整可能としている。
【0042】
図15に示すように、コップ70も、カード型の歯ブラシシート10やカード型の糸ようじシート20等が収容される箱Bに収容可能な大きさとしている。本実施形態のコップでは、不使用時に正面視矩形状のシート状とした本体部72に短冊状の支持板71を装着した状態としており、使用時には、
図16に示すように、本体部72を有底の三角柱状としてコップとして機能させるとともに、自立可能としている。なお、本体部72及び支持板71は耐水性の厚紙で構成して、容易に廃棄可能としている。
【0043】
さらに、災害地での利用を考慮して、コップ70には、
図17に示すフィルター80を装着可能としている。このフィルター80もカード型の歯ブラシシート10やカード型の糸ようじシート20等が収容される箱Bに収容可能な大きさとしている。
【0044】
フィルター80は、コップ70内の上部部分に挿入可能な大きさとした有底の三角柱状の本体部82と、この本体部を支持する支持壁体83と、この支持壁体83に装着した短冊状の支持板81とで構成している。
【0045】
本体部82は、不織布で形成することでフィルタリング機能を生じさせている。支持壁体83は、二つ折り可能としており、折りたたむことでシート状とし、箱Bに収容可能としている。支持壁体83は、腰の弱い本体部82を支持可能であればどのような材質であってもよく、本実施形態では厚紙製としている。
【0046】
要介護者等のオーラルケアを行う際に、要介護者が口を開けた状態を維持することが困難な場合がある。このような場合には、要介護者に噛ませることで所定間隔の開口状態を維持可能とする開口器が便利である。
【0047】
図18に示すように、本実施形態のカード型の開口器90は、先端に向けて幅寸法を段階的に小さくした階段構造を有する開口支持片92を、支持板91に連結して構成している。
【0048】
カード型の開口器90は、具体的には、
図19に示すように、支持板第1シート91-1と、支持板第2シート91-2と、支持板第3シート91-3を重ね合わせて支持板91を構成し、開口支持片第1シート92-1と、開口支持片第2シート92-2と、開口支持片第3シート92-3を重ね合わせて開口支持片92を形成している。
【0049】
支持板第1シート91-1と支持板第3シート91-3は同一の短冊形状とし、支持板第2シート91-2は、支持板第1シート91-1と支持板第3シート91-3がそれぞれ張り合わされる貼合部を有するとともに、この貼合部から側方に向けて膨出させて設けた回動支持部91aを有している。
【0050】
回動支持部91aは先端部を半円状とし、この半円形状の中心部分に、半円形状の直径方向に沿って長手状とした棒状突起91bを形成している。棒状突起91bは支持板第2シート91-2の両面に形成している。
【0051】
開口支持片第1シート92-1と開口支持片第3シート92-3は同一形状であって、支持板第2シート91-2と重合する重合領域を有している。一方、開口支持片第2シート92-2は、重合領域部分を切り欠いた形状としている。
【0052】
さらに、開口支持片第1シート92-1と開口支持片第3シート92-3には、棒状突起91bが嵌り合うスライド溝92aを直線状に設けており、このスライド溝92aの一端に円形の開口部92bを設け、この開口部92bの一部に、円形の開口部92bの半径方向に延伸させた切欠溝92cを形成している。
【0053】
このように、スライド溝92aと、開口部92bと、切欠溝92cを設けていることで、スライド溝92aに沿って棒状突起91bを開口部92bまでスライドさせて、棒状突起91bが開口部92bに達したところで、支持板91に対して開口支持片92を回転させ、さらに、棒状突起91bを切欠溝92cに差し込むことで、
図20に示すように、カード型の開口器90を使用状態として、使用することとしている。