(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6579520
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】ワイヤーロープ圧縮止め用アルミ製クランプ管の製造方法及び玉掛けワイヤーロープにおけるアルミ製クランプ管の製造方法並びに曳網用ワイヤーロープ
(51)【国際特許分類】
D07B 9/00 20060101AFI20190912BHJP
B21F 15/06 20060101ALI20190912BHJP
D07B 1/00 20060101ALI20190912BHJP
【FI】
D07B9/00
B21F15/06
D07B1/00
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-54483(P2016-54483)
(22)【出願日】2016年3月1日
(65)【公開番号】特開2017-155394(P2017-155394A)
(43)【公開日】2017年9月7日
【審査請求日】2018年1月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】396013396
【氏名又は名称】松田製綱株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松田 一剛
【審査官】
岩本 昌大
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭53−088968(JP,U)
【文献】
国際公開第2008/117365(WO,A1)
【文献】
実開昭54−046794(JP,U)
【文献】
特開2007−224369(JP,A)
【文献】
特表2004−502877(JP,A)
【文献】
特開2004−225113(JP,A)
【文献】
特開2012−007234(JP,A)
【文献】
特開2008−261282(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0000572(US,A1)
【文献】
中国実用新案公告第2532101(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D07B 1/00−9/00
B21F 1/00−99/00
A01K 69/00−73/053,73/12−77/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入したワイヤーロープを圧縮により結合するワイヤーロープ圧縮止め用アルミ製クランプ管の製造方法であって、アルミ製クランプ管の表面に、カラーアルマイト処理を施してクランプ管ごとで着色された異なる色によりワイヤーロープの長さ又は/及び直径などの識別を可能にするカラーアルマイト層を形成する一方、アルミ製クランプ管の表面へのカラーアルマイト処理時、その加工温度を23〜25℃としかつ閉穴処理を10〜15分とするカラーアルマイト処理を施して、アルミ製クランプ管のワイヤーロープへの圧縮止め時の塑性変形に対するカラーアルマイト層のヒビ発生と色抜けを阻止するようにしたことを特徴とするワイヤーロープ圧縮止め用アルミ製クランプ管の製造方法。
【請求項2】
ワイヤーロープの端部をループ状に折り曲げ、ワイヤーロープとその自由端部とをワイヤーロープ圧縮止め用アルミ製クランプ管で圧縮締結することによりワイヤーロープの両端部にループ部を形成してなる玉掛けワイヤーロープにおけるアルミ製クランプ管の製造方法であって、アルミ製クランプ管の表面に、クランプ管ごとで着色された異なる色によりワイヤーロープの長さ又は/及び直径などの識別を可能にするカラーアルマイト層を形成する一方、そのアルミ製クランプ管の表面へのカラーアルマイト処理時、その加工温度を23〜25℃としかつ閉穴処理を10〜15分とするカラーアルマイト処理を施して、アルミ製クランプ管のワイヤーロープへの圧縮止め時の塑性変形に対するカラーアルマイト層のヒビ発生と色抜けを阻止するようにしたことを特徴とする玉掛けワイヤーロープにおけるアルミ製クランプ管の製造方法。
【請求項3】
袋網を曳くワイヤーロープの中間所定長さ位置にワイヤーロープ圧縮止め用アルミ製クランプ管を圧縮締結することによりワイヤーロープの引出し規制用中間ロック体を形成してなる曳網用ワイヤーロープであって、上記クランプ管の表面にカラーアルマイト処理が施されて、クランプ管ごとで異なる色によりワイヤーロープの引出し長さの識別機能を有するカラーアルマイト層が形成されていることを特徴とする曳網用ワイヤーロープ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として挿入した2本のワイヤーロープを圧縮により結合するワイヤーロープ圧縮止め用アルミ製クランプ管
の製造方法及び玉掛けワイヤーロープにおけるアルミ製クランプ管の製造方法並びに曳網用ワイヤーロープ、に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば土木作業現場、建築作業現場、漁業作業現場などにおいてクレーンにより機械器具や建築材料、漁獲物などを移動する場合、玉掛けワイヤーロープを使用している。この玉掛けワイヤーロープAは
図12に示すようにワイヤーロープ2aの両端にクレーンのフックを引っ掛けるためのループ部20a,20aを設けた構造となっている。ループ部20a,20aは、ワイヤーロープ圧縮止め用アルミ製クランプ管1aにワイヤーロープ2aの先端部とループ部の根元となる部分を挿入し、その状態のままダイス型(図示せず)に嵌めクランプ管1を上下方向から圧縮して圧着結合して形成している。
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 実公昭61−42959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記した玉掛けワイヤーロープAを用いる場合、作業現場においては長さの異なる数種のものを用意している。そのため、例えば求める長さの玉掛けワイヤーロープAを選んで使用する場合や、同じ長さの玉掛けワイヤーロープAを複数本使用するような場合、何らかの印がないと、求める長さの玉掛けワイヤーロープAや、同一長さの玉掛けワイヤーロープAを選び出すのが面倒で手間を要するものであった。
【0005】
また、目印として、例えばワイヤーロープ2aの先端部とループ部の根元となる部分をクランプ管1aにより圧着結合した後、そのクランプ管1aの表面を塗料で着色したり、或いはクランプ管1を色付きの合成樹脂膜で被覆した玉掛けワイヤーロープが知られている。しかし、塗料ではその着色が簡単に剥げ落ちてしまうし、また、合成樹脂膜でもそのフィルム膜が容易に剥離することになりその目的を充分に達せられるものではなかった。
【0006】
そこで本発明の第1の課題は、ダイス型によるワイヤーロープの圧縮止め時の塑性変形やワイヤーロープへの装着後の過酷な使用において色落ちすることがなく、色分けによる識別機能を長期間わたって発揮するカラーアルマイト層を備えたワイヤーロープ圧縮止め用アルミ製クランプ管
の製造方法の提供にある。
【0007】
また、第2の課題は、
カラーアルマイト層を備えたワイヤーロープ圧縮止め用アルミ製クランプ管の圧縮締結によりワイヤーロープの端部にループ部を形成して、このクランプ管の色分けによりワイヤーロープの長さ又は/及び直径などを目視で容易に識別できる玉掛けワイヤーロープ
におけるアルミ製クランプ管の製造方法の提供にある。
【0008】
さらに、第3の課題は、上記したカラーアルマイト層を備えたワイヤーロープ圧縮止め用アルミ製クランプ管を用い、そのクランプ管の曳網を曳くワイヤーロープの中間所定長さ位置への圧縮締結によりワイヤーロープの引出し規制用中間ロック体を形成して、この中間ロック体の色分けによりワイヤーロープの引出し長さを目視で容易に識別できる曳網用ワイヤーロープの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した問題を解決するため、本願の請求項1記載の発明は、
挿入したワイヤーロープを圧縮により結合するワイヤーロープ圧縮止め用アルミ製クランプ管の製造方法であって、アルミ製クランプ管の表面に、カラーアルマイト処理を施してクランプ管ごとで着色された異なる色によりワイヤーロープの長さ又は/及び直径などの識別を可能にするカラーアルマイト層を形成する一方、アルミ製クランプ管の表面へのカラーアルマイト処理時、その加工温度を23〜25℃としかつ閉穴処理を10〜15分とするカラーアルマイト処理を施して、アルミ製クランプ管のワイヤーロープへの圧縮止め時の塑性変形に対するカラーアルマイト層のヒビ発生と色抜けを阻止するようにしたことを特徴とする。
【0010】
本願の請求項2記載の発明は、
ワイヤーロープの端部をループ状に折り曲げ、ワイヤーロープとその自由端部とをワイヤーロープ圧縮止め用アルミ製クランプ管で圧縮締結することによりワイヤーロープの両端部にループ部を形成してなる玉掛けワイヤーロープにおけるアルミ製クランプ管の製造方法であって、上記アルミ製クランプ管の表面に、クランプ管ごとで着色された異なる色によりワイヤーロープの長さ又は/及び直径などの識別を可能にするカラーアルマイト層を形成する一方、そのアルミ製クランプ管の表面へのカラーアルマイト処理時、その加工温度を23〜25℃としかつ閉穴処理を10〜15分とするカラーアルマイト処理を施して、アルミ製クランプ管のワイヤーロープへの圧縮止め時の塑性変形に対するカラーアルマイト層のヒビ発生と色抜けを阻止するようにしたことを特徴とする。【0012】
本願の請求項
3記載の発明は、袋網を曳くワイヤーロープの中間所定長さ位置にワイヤーロープ圧縮止め用アルミ製クランプ管を圧縮締結することによりワイヤーロープの引出し規制用中間ロック体を形成してなる曳網用ワイヤーロープであって、上記クランプ管の表面にカラーアルマイト処理が施されて、クランプ管ごとで異なる色によりワイヤーロープの引出し長さの識別機能を有するカラーアルマイト層が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上記した請求項1記載のワイヤーロープ圧縮止め用アルミ製クランプ管
の製造方法によれば、その表面に形成されたカラーアルマイト層の色を目視することによって求める長さ又は/及び直径などの識別を簡単迅速に行うことができ、しかも、アルミ製クランプ管の表面へのカラーアルマイト処理時、その加工温度を通常は20℃前後であるのに対し23〜25℃と高く設定してカラーアルマイト層の加工硬度を下げ柔らかく形成すると共に、閉穴処理を通常5分は程度であるのに対し10〜15分として被膜厚さを厚くし色抜けしにくく形成することから、ワイヤーロープへの圧縮止め時の塑性変形に対するカラーアルマイト層のヒビ発生をより確実に防止できると共に、ワイヤーロープへの装着後における過酷な条件での使用においてもメッキやコーティングなどのように色落ちするといったことがなく、色分けによる識別機能を長期間にわたって発揮することができる。その上、表面に形成されたカラーアルマイト層によりアルミ製クランプ管の耐食性や耐摩耗性も向上され、長期にわたり美観と機能性を維持することができる。【0014】
また、請求項2記載の
玉掛けワイヤーロープにおけるアルミ製クランプ管の製造方法によれば、玉掛け作業時に、アルミ製クランプ管の表面に形成されたカラーアルマイト層の色を目視することによって求める長さ又は/及び直径の玉掛けワイヤーロープを簡単容易にかつ迅速に選択して玉掛け作業を行うことができ、しかも、該玉掛けワイヤーロープに用いるアルミ製クランプ管の表面へのカラーアルマイト処理時、その加工温度を通常は20℃前後であるのに対し23〜25℃と高く設定してカラーアルマイト層の加工硬度を下げ柔らかく形成すると共に、閉穴処理を通常5分は程度であるのに対し10〜15分として被膜厚さを厚くし色抜けしにくく形成することから、ワイヤーロープへの圧縮止め時の塑性変形に対するカラーアルマイト層のヒビ発生をより確実に防止できると共に、ワイヤーロープへの装着後における過酷な条件での使用においてもメッキやコーティングなどのように色落ちするといったことがなく、色分けによる識別機能を長期間にわたって発揮することができる。その上、表面に形成されたカラーアルマイト層によりアルミ製クランプ管の耐食性や耐摩耗性も向上され、長期にわたり美観と機能性を維持することができる。【0016】
また、請求項
3記載の曳網用ワイヤーロープによれば、アルミ製クランプ管、つまり引出し規制用中間ロック体の表面に形成されたカラーアルマイト層の色を目視することによって曳網用ワイヤーロープの引出長さを容易に認識することができる。しかも、アルミ製クランプ管に着色を施す際、カラーアルマイト処理を施してカラーアルマイト層を形成したから、ダイス型によるワイヤーロープの圧縮止め時のクランプ管の塑性変形時や、曳網用ワイヤーロープの引出し規制用中間ロック体として使用する時にメッキやコーティングなどのように簡単に剥がれて色落ちすることといったことがなく、色分けによるワイヤーロープの引出し長さの識別を長期間わたって発揮することができる。その上、表面に形成されたカラーアルマイト層によりアルミ製クランプ管の耐食性や耐摩耗性も向上され、長期にわたり美観と機能性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係るワイヤーロープの圧縮止め用クランプの正面図である。
【
図3】
同クランプ管を用いた玉掛けワイヤーロープの正面図である。
【
図4】
同クランプ管にワイヤーロープを挿入した説明図である。
【
図5】
同クランプ管にワイヤーロープを圧縮締結した説明図である。
【
図6】同クランプ管を用いたエンドレスワイヤーロープの正面図である。
【
図7】本発明に係る玉掛けワイヤーロープの正面図である。
【
図8】色分けした玉掛けワイヤーロープの説明図である。
【
図9】高さの異なる機材を吊り上げるための玉掛けワイヤーロープの説明図である。
【
図10】3点吊りタイプの玉掛けワイヤーロープの説明図である。
【
図11】本発明に係る曳網用ワイヤーロープの正面図である。
【
図12】従来の玉掛けワイヤーロープの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0019】
図1及び
図2は、本発明
の製造方法に係るワイヤーロープ圧縮止め用アルミ製クランプ管を示し、このクランプ管1は、
図3に示すような玉掛けワイヤーロープAの両端ループ部20,20を形成するためのものである。クランプ管1は、アルミ製で2本のワイヤーロープ2を並べて挿入できる縦長状の管孔10が形成されており、管孔10の短手方向に位置する湾曲した左右の管壁11,11の肉厚が長手方向に位置する湾曲した上下の管壁12,12の肉厚よりも大きく形成されている。
【0020】
そして、アルミ製クランプ管1の表面には、カラーアルマイト処理が施されてクランプ管1ごとで異なる色に着色された色によりワイヤーロープ2の長さ又は/及び直径、その他用途機能などの識別機能を有するカラーアルマイト層(被膜)13が形成されている。
【0021】
そして、カラーアルマイト層13を有するアルミ製クランプ管1の製造方法として、アルミ製クランプ管1の表面へのカラーアルマイト処理時、その加工温度を通常は20℃前後であるのに対し23〜25℃と高く設定してカラーアルマイト層13の加工硬度を下げて柔らかく(軟質に)形成されると共に、閉穴処理を通常
は5分程度であるのに対し
10〜15分として被膜厚さを厚くし色抜けしにくく形成されている。これにより、後述するワイヤーロープ2への圧縮止め時の塑性変形に対するカラーアルマイト層13のヒビ発生と色抜けを積極的に阻止するように形成されている。また、カラーアルマイト層13の形成によるアルミ製クランプ管1の強度低下はなかった。
【0022】
次に、以上のように形成したワイヤーロープ圧縮止め用アルミ製クランプ管1を用いて玉掛けワイヤーロープAの玉掛けループ部20,20を形成する場合について説明する。
【0023】
クランプ管1の管孔10に、
図4の仮想線で示すようにワイヤーロープ2の先端部とループ部20の根元となる部分を挿入し、その状態のまま内面が鏡面処理されたダイス型(図示せず)に嵌め、ダイス型によりクランプ管1を上下方向から圧着結合することにより
、図5のような断面形状で図3に示すループ部20,20を形成する。
【0024】
このように形成した玉掛けワイヤーロープAによれば、ワイヤーロープ圧縮止め用クランプ管1の表面に形成されたカラーアルマイト層13の色を目視することによって、事前に取り決めた色分けによる例えば長さ又は/及び直径などを簡単容易にかつ迅速に確認でき、求める玉掛けワイヤーロープAを素早くに選び出すことができる。しかも、アルミ製クランプ管1に着色を施す際、カラーアルマイト処理を施してカラーアルマイト層13を形成したから、ダイス型によるワイヤーロープ2への圧縮止め時のクランプ管1の塑性変形時や、ワイヤーロープ2への装着後におけるか過酷な条件での使用においてもメッキやコーティングなどのように色落ちするといったことがなく、色分けによる識別機能を長期間わたって発揮することができる。
【0025】
なお、ワイヤーロープ圧縮止め用アルミ製クランプ管1は、上記したように玉掛けワイヤーロープAの圧着止め用アルミ製クランプ管1として用いる他、例えば
図6に示すようなエンドレスワイヤーロープの圧着止め用クランプ管1として用いたり、或いは各種の玉掛けワイヤーロープの圧着止め用アルミ製クランプ管1として用いたり、さらには、水産用の曳網におけるワイヤーロープの引出し規制用中間ロック体などとして幅広く適用できるものである。また、クランプ管1の形状としても、何ら
図1及び
図2の形状に限定されるものではなく、圧縮止めするワイヤーロープの本数や形状などに応じて円形や非円形状など適宜変更して用いてもよいこと勿論である。
【0026】
次に、本発明に係る玉掛けワイヤーロープAの実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、この玉掛けワイヤーロープAに用いるワイヤーロープ圧縮止め用アルミ製クランプ管1は上述したワイヤーロープ圧縮止め用アルミ製クランプ管1と同様のものを用いているので、同じ符号を付し、詳細な構造及び締結方法などの説明については省略する。
【0027】
図7は本発明に係る玉掛けワイヤーロープAであって、この玉掛けワイヤーロープAは、一般的な玉掛けワイヤーロープと同様両端部に例えばクレーンなどのフックを引っ掛けるためのループ部20,20が形成された構造となっている。
【0028】
そして、各ループ部20は、
図7に示すように、ワイヤーロープ2の長さ又は/及び直径によってそれぞれ異なる色としたカラーアルマイト層13が表面に形成された圧縮止め用のアルミ製クランプ管1を用い、このクランプ管1にワイヤーロープ2の先端部とループ部の根元となる部分を挿入し、その状態のままダイス型に嵌めクランプ管1を上下方向から圧着結合することにより玉掛けワイヤーロープAが形成される。
【0029】
この場合も、上述の実施の形態と同様にアルミ製のクランプ管1の表面へのカラーアルマイト処理時、その加工温度を通常は20℃前後であるのに対し23〜25℃と高く設定してカラーアルマイト層13の加工硬度を柔らかく(軟質に)形成されると共に、閉穴処理を通常
は5分程度であるのに対し
10〜15分として被膜厚さを厚くし色抜けしにくく形成されている。これにより、より積極的にワイヤーロープ2への圧縮止め時の塑性変形に対するカラーアルマイト層13のヒビ発生と色抜けを阻止することができる。また、カラーアルマイト層13の形成によるアルミ製クランプ管1の強度低下はなかった。
【0030】
一方、クランプ管1の色は、ワイヤーロープの長さ又は/及び直径によってそれぞれ異なる色とし、事前に取り決めたワイヤーロープの長さ又は/及び直径に対してそれぞれの色のカラーアルマイト層13が表面に形成された圧縮止め用のクランプ管1を用いて上記したようにループ部20,20を形成する。
【0031】
具体的には、色分けする場合、
図8に示すように、事前に取り決めた例えば2mは赤色、3mは青色、4mは緑色、5mは黄色というように決めておく。また、
図9に示すような高さの異なる機材を吊り上げるための2点吊り玉掛けワイヤーロープAについても上記のように色分けを統一しておくことで、目視により直ちに求める長さの異なる2点吊りの玉掛けワイヤーロープAを、つまり2mの短い赤色と3mの長い青色の玉掛けワイヤーロープAを直ちに見付けて選び出すことができる。その上、2mの短い赤色玉掛けワイヤーロープAに例えば1mの紫色の玉掛けワイヤーロープ(図示せず)を連結すれば色の識別により簡単に左右のロープ長さを同じ長さにセットできる。
さらに、
図10に示す3点吊り玉掛けワイヤーロープのように2本が同じで1本が長いような場合、例えば2mの短い2本は赤色、3mの長い1本は青色というように決めておけばよい。これにより求める長さの3点吊り玉掛けワイヤーロープAをクランプ管1の色分けにより簡単かつ迅速に選びだすことができる。このようにクランプ管1の色分けを利用して、2点吊り乃至4点吊りなどの多点吊り玉掛けワイヤーロープにおいても、求める長さの多点吊り玉掛けワイヤーロープを簡単かつ迅速に選びだすことができる。
【0031】
なお、玉掛けワイヤーロープAの両端部にカラーアルマイト層13が形成されているクランプ管1を使用するとコストが高く付くことから、その使用に際し、玉掛けワイヤーロープAの一端部にのみ使用してもよい。さらに、多点吊りの場合にも、カラーアルマイト層を形成していない通常のクランプ管とカラーアルマイト層13が形成されているランプ管1とを組み合わせて用いてもよい。例えば2点吊りの場合、クレーンフック側はカラーアルマイト層を形成していない通常のクランプ管をそれぞれ用い、吊り荷側の長さ違いの1本のみカラーアルマイト層13が形成されているランプ管1を使用するようにすればコストを抑えることができる。
【0032】
以上のように構成した玉掛けワイヤーロープAによれば、玉掛け作業時に、アルミ製クランプ管1に形成されたカラーアルマイト層13の色を目視することによって求める長さ又は/及び直径の玉掛けワイヤーロープAを簡単容易にかつ迅速に選択して玉掛け作業を行うことができる。しかも、クランプ管1に着色を施す際、カラーアルマイト処理を施してカラーアルマイト層13を形成したから、ダイス型によるワイヤーロープの圧縮止め時のクランプ管1の塑性変形時や、過酷な条件の基で行われる玉掛け作業時においてメッキやコーティングなどのように容易に剥がれて色落ちすることといったことがなく、色分けによる識別機能を長期間わたって発揮することができる。その上、表面に形成されたカラーアルマイト層13によりアルミ製クランプ管1の耐食性や耐摩耗性も向上され、長期にわたり美観と機能性を維持することができる。
【0033】
さらに、本発明に係る曳網用ワイヤーロープBの実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、ワイヤーロープ圧縮止め用アルミ製クランプ管1は上述したワイヤーロープ圧縮止め用アルミ製クランプ管1と基本的に同様のものを用いているので、同じ符号を付し、詳細な構造及び締結方法の説明については省略する。
【0034】
図11は、袋網4を曳くワイヤーロープ3の中間所定長さ位置に圧縮止め用アルミ製クランプ管1を圧縮締結することによりワイヤーロープ3の引出し規制用中間ロック体(以下中間ロック体という)1を形成するようにした曳網用ワイヤーロープBであって、上記中間ロック体1の表面にカラーアルマイト処理が施されて、中間ロック体1ごとで異なる色によりワイヤーロープ3の引出し長さの識別機能を有するカラーアルマイト層13が形成された構造となっている。
【0035】
ここで、曳網は
図11に示すように袋網4と袋網4の両翼についたワイヤーロープ3,3とからなり、ワイヤーロープ3,3はそれぞれ揚網ウィンチ5,5に巻き取り或いは繰り出し可能に取り付けられている。ワイヤーロープ3,3にはそれぞれ中間部に所定の間隔で相対向して複数個ずつ引出し規制用中間ロック体1…1が圧縮締結されている。この中間ロック体1をクランプ管の圧縮締結により形成する場合、クランプ管内にワイヤーロープ3を挿通すると同時に、クランプ管の長さよりもやや長いワイヤーロープ切断片を一緒にクランプ管に挿通してその上で圧縮締結されている。そして、従来では曳網漁を行うとき、各揚網ウィンチ5,5からワイヤーロープ3,3を、中間ロック体1,1を目安にそれぞれ等しい長さ繰り出し、その繰り出し位置で各揚網ウィンチ5,5を止め、ストッパー用フック6,6を中間ロック体1,1にそれぞれ引っ掛けてワイヤーロープ3,3の各揚網ウィンチ5,5からの引き出しを阻止するようにしている。その後、引き出し阻止状態で曳網漁を行い、漁が終わったとき、ストッパー用フック6,6を外して各揚網ウィンチ5,5で巻き揚げるようにしている。
【0036】
ところで、左右のワイヤーロープ3,3をそれぞれ所定長さ繰り出しストッパー用フック6,6を中間ロック体1,1に引っ掛ける際、従来ではすべて同じ大きさで同色の中間ロック体1,1を使用しているため、左右のワイヤーロープ3,3の繰り出し長さを見間違うといったことが多々あった。
【0037】
この問題に対し、上記した本発明の曳網用ワイヤーロープBによれば、例えば、左右のワイヤーロープ3,3の袋網4からそれぞれ中間100mの位置に赤色の中間ロック体1,1を圧縮止めし、また、袋網4からそれぞれ中間200mの位置に青色の中間ロック体1,1を圧縮止めして用いる。これによりアルミ製クランプ管からなる引出し規制用中間ロック体1に形成されたカラーアルマイト層13の色によってそれぞれのワイヤーロープ3,3の引出長さを目視で容易にかつ正確に認識することができる。そして、ワイヤーロープ3,3の求める繰り出し長さで正確に各揚網ウィンチ5,5を止め、ストッパー用フック6,6を同色の中間ロック体1,1にそれぞれ引っ掛けることによりワイヤーロープ3,3の各揚網ウィンチ5,5からの引き出しを阻止できる。
【0038】
したがって、左右のワイヤーロープ3,3の繰り出し長さを見間違ったりすることなく同一長さの状態で安定よく曳網漁を行うことができる。しかも、アルミ製のクランプ管つまり中間ロック体1,1に着色を施す際、カラーアルマイト処理を施してカラーアルマイト層13を形成したから、ダイス型によるワイヤーロープ3,3の圧縮止め時のクランプ管1,1の塑性変形時や、曳網用ワイヤーロープ3,3の引出し規制用中間ロック体1,1として使用する時にメッキやコーティングなどのように簡単に剥がれて色落ちすることといったことがなく、色分けによるワイヤーロープ3,3の引出し長さの識別を長期間わたって発揮することができる。その上、中間ロック体1,1の表面に形成されたカラーアルマイト層13によりクランプ管1の耐食性や耐摩耗性も向上され、長期にわたり美観と機能性を維持することができる。
【0039】
また、この曳網用ワイヤーロープBに使用するアルミ製クランプ管1についても、前述した発明の実施の形態と同様にアルミ製クランプ管の表面へのカラーアルマイト処理時、その加工温度を通常は20℃前後であるのに対し23〜25℃と高く設定してカラーアルマイト層13の加工硬度が柔らかく(軟質に)形成されると共に、閉穴処理を通常
は5分程度であるのに対し
10〜15分として被膜厚さを厚くし色抜けしにくく形成されている。これにより、より積極的にワイヤーロープへの圧縮止め時の塑性変形に対するカラーアルマイト層13のヒビ発生と色抜けを阻止することができる。また、カラーアルマイト層13の形成によるアルミ製クランプ管の強度低下はなかった。
【符号の説明】
【0040】
1 ワイヤーロープ圧縮止め用アルミ製クランプ管
2 ワイヤーロープ
3 ワイヤーロープ
13 カラーアルマイト層
20 ループ部
A 玉掛けワイヤーロープ
B 曳網用ワイヤーロープ