(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1のヘッドレストでは、使用範囲(同文献では、
図3(a)に示される「初期位置」から
図3(b)に示される「前方調整限界位置」に至るまでの範囲)にあるヘッドレスト本体に前向きの力を加え続けると、ヘッドレスト本体が使用最前方位置(同文献では、
図3(b)に示される「前方調整限界位置」)を超えて使用範囲外前方区間(同文献では、
図3(b)に示される「前方調整限界位置」から
図3(c)に示される「前方回動限界位置」に至るまでの区間)まで移動するようになっていることに加えて、ヘッドレスト本体が使用範囲外前方区間まで前方移動したときに、後方移動規制部材(同文献では、
図3に示される「ロックプレート60」)による後方移動の規制が自動的に解除されるようになっていた。
【0006】
このため、特許文献1のヘッドレストでは、ヘッドレスト本体が使用範囲にあるときに前方の衝突事故が発生すると、慣性力によってヘッドレスト本体が使用範囲から使用範囲外前方区間まで前方移動してヘッドレスト本体の後方移動の規制が解除されてしまい、反動で後方移動(揺り戻し)を開始したヘッドレスト本体が使用最後方位置(同文献では、
図3(a)に示される「初期位置」)まで後方移動する可能性があり、ヘッドレスト本体と同じく揺り戻しされる使用者の頭部をヘッドレスト本体によって前方位置で十分に支えることができなくなるおそれがあった。
【0007】
この点、特許文献1のヘッドレストのような構造を有する従来の前後調節式のヘッドレストでは、ヘッドレスト本体を後方に付勢する後方付勢部材の付勢力を強くして、ヘッドレスト本体が前方移動しにくくする対策や、ヘッドレスト本体の使用範囲を狭くする(使用最後方位置から使用最前方位置までの距離を短くする)対策が採られている。しかし、前者の対策には、ヘッドレスト本体の使用位置の調節に大きな操作力を要するようになるという欠点がある。また、後者の対策には、ヘッドレスト本体の使用位置の調節代が狭くなるという欠点がある。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、前方の衝突事故が発生したときでも、使用範囲にあるヘッドレスト本体の後方移動の規制が勝手に解除されないようにして、揺り戻しされる使用者の頭部をヘッドレスト本体によって前方位置で支えることができるヘッドレストを提供するものである。また、そのためにヘッドレスト本体の位置調節に要する操作力を大きくしたり、ヘッドレスト本体の使用位置の調節代を犠牲にしたりする必要のないヘッドレストを提供することも本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、
シートバックの上部で使用者の頭部を支えるヘッドレスト本体と、
シートバックに対して前後移動しない状態で設けられる第一部材と、
ヘッドレスト本体に固定された第二部材と、
第一部材に対して第二部材を前後移動可能な状態で支持する支持機構と、
ヘッドレスト本体が使用最後方位置から使用最前方位置に至るまでの各使用位置において第二部材の前方移動を許容しながらも後方移動を規制する後方移動規制部材と、
ヘッドレスト本体を使用最前方位置よりもさらに前方の使用範囲外前方区間まで移動させると後方移動規制部材に作用して、後方移動規制部材を後方移動規制解除側に移動させることで、第二部材の後方移動の規制を解除する後方移動規制解除部材と、
ヘッドレスト本体を使用範囲外前方区間から使用最後方位置まで後方移動させる間に後方移動規制解除部材を初期位置へと復帰させるリセット機構と
を備えた前後調節式のヘッドレストであって、
ヘッドレスト本体が使用最後方位置から前方移動して使用最前方位置になると第一部材に当接(第一部材に対して前後方向に移動しない状態の部材に当接する場合も含む。)して第二部材の前方移動を規制する前方移動規制部材と、
操作力が加わると前方移動規制部材に作用して、前方移動規制部材を前方移動規制解除側に移動させることで、第二部材の前方移動の規制を解除する操作手段と
をさらに備えたことを特徴とするヘッドレスト
を提供することによって解決される。
【0010】
ここで、「後方移動を規制」における「規制」とは、例えば、硬い金属製の部品同士が当接すること等により、その当接した場所から全く動かない状態で強固に規制される場合だけでなく、ある程度の弾性を有する部品が当接すること等により、その当接した場所からは多少動くことができる状態で非強固(弾性的)に規制される場合をも含まれるものとする。
【0011】
上記のように、ヘッドレスト本体が使用最前方位置まで前方移動したときに、前方移動規制部材が第一部材に当接して第二部材の前方移動が規制されるようにするとともに、操作手段を操作しない限りは、前方移動規制部材による第二部材の前方移動の規制が解除されないようにすることで、前方の衝突事故が発生し、ヘッドレスト本体に前向きの慣性力が生じた場合でも、使用範囲にあるヘッドレスト本体が使用最前方位置を超えて使用範囲外前方区間(後方移動規制部材による第二部材の後方移動が規制された状態が解除される区間)まで移動しないようにすることができる。このため、使用範囲にあるヘッドレスト本体の後方移動の規制が勝手に解除されないようにすることができる。したがって、前方の衝突事故によって揺り戻しされる使用者の頭部を、少なくとも使用最前方位置にあるヘッドレスト本体で支えることが可能になる。
【0012】
本発明のヘッドレストにおいて、前方移動規制部材に作用して第二部材の前方移動の規制を解除する操作手段の構造は、特に限定されない。操作手段としては、押ボタンやレバー等を備えたものが例示される。しかし、前後調節式のヘッドレストでは、通常、ヘッドレスト本体がガタつかないように、ヘッドレスト本体を後方に付勢する後方付勢部材が設けられるところ、押ボタンやレバーを操作する方式の従来のヘッドレストでは、その後方付勢部材の付勢力に抗って押ボタンやレバーを操作しなければならない構造のものも多い。後方付勢部材は、ヘッドレスト本体等、ある程度重量のあるものを付勢するためのものであるため、その付勢力は比較的強く設定されている。このため、後方付勢部材に抗って押ボタンやレバーを操作しようとすると、押ボタンやレバーに大きな操作力を加える必要がある。
【0013】
この点、レバーは、それを長めに設定し、テコの原理が働きやすくすることで、小さな操作力で操作できるようにすることもできるが、押ボタンは、そのような工夫を施しにくい。このため、押ボタンは、ヘッドレストにおける操作手段としては敬遠されがちで、レバーの方が好まれる傾向がある。しかし、レバーは、意図しない操作力が加わりやすいという欠点や、操作が面倒であるという欠点や、それを設ける場所が制限されやすいという欠点を有している。
【0014】
このように、操作手段として押ボタンを採用した場合とレバーを採用した場合とのいずれにおいても欠点があるが、これらの欠点は、以下の構造を採用することによって解消することができる。すなわち、操作手段を、ヘッドレスト本体の左右方向に押し込み可能な押ボタンを備えたものとして、当該押ボタンを左右方向に押し込むと前方移動規制部材も左右方向に移動して、第一部材に対する前方移動規制部材の当接が外れることで、第二部材の前方移動の規制が解除されるようにする構造である。これにより、押ボタン(操作手段)の操作を軽くすることができる。というのも、本発明のヘッドレストでは、上記の後方付勢部材による付勢力(後方付勢力)は、後方移動規制部材によって受けられるようになり、前方移動規制部材には加えられないところ、この押ボタンの操作によって前方移動規制部材のみをダイレクトに動かすことができるからである。したがって、ヘッドレストにおける操作手段として指先等で容易に操作しやすい押ボタンを採用しながらも、極めて小さい操作力で操作できるようにすることが可能になる。
【0015】
本発明のヘッドレストにおいて、支持機構は、第一部材に対して第二部材を前後移動可能な状態で支持できるものであれば、その具体的な構造を特に限定されない。支持機構の構造としては、主に、以下の2通りが挙げられる。
【0016】
まず、
支持機構を、
第一部材及び第二部材に加えて、
第一部材の前部と第二部材の前部とを連結する前側連結部材と、
第一部材の後部と第二部材の後部とを連結する後側連結部材と
第一部材と前側連結部材、第一部材と後側連結部材、第二部材と前側連結部材、及び、第二部材と後側連結部材とを回動可能に連結する4本の回動用ピンと
で構成された四節リンクとし、
当該四節リンク機構によって第一部材に対して第二部材が前後移動するようにする
構造である。
以下においては、この構造を有する支持機構を「四節リンク型の支持機構」と呼ぶことがある。
【0017】
次に、
支持機構を、第一部材と第二部材とを揺動可能に連結するアーム部材とし、
当該アーム部材によって第一部材に対して第二部材が前後方向に揺動するようにする構造である。
以下においては、この構造を有する支持機構を「揺動アーム型の支持機構」と呼ぶことがある。揺動アーム型の支持機構としては、ヘッドレスト本体の下部を中心としてヘッドレスト本体の上部を前後移動(前後方向に揺動)させる上振りタイプのものと、ヘッドレスト本体の上部を中心としてヘッドレスト本体の下部を前後移動(前後方向に揺動)させる下振りタイプのものとがある。
【0018】
本発明のヘッドレストにおいて、後方移動規制部材は、ヘッドレスト本体の各使用位置において第二部材の前方移動を許容しながらも後方移動を規制するものであれば、その具体的な構造を特に限定されない。後方移動規制部材の構造としては、主に、以下の2通りが挙げられる。
【0019】
まず、
第一部材に、複数の係止部α
1を所定の前後ピッチで設け、
後方移動規制部材を、第二部材又は支持機構に対して揺動可能に取り付けられて、係止部α
1に係止される被係止部α
2が先端側に設けられたロックプレートとし、
使用位置にあるヘッドレスト本体を前方移動させようとした際には、複数の係止部α
1のうち一の係止部α
1に対して後ろ向きに係止されていた被係止部α
2が当該一の係止部α
1から前方に離反することで、第二部材の前方移動が許容された状態となり、
使用位置にあるヘッドレスト本体を後方移動させようとした際には、複数の係止部α
1のうち一の係止部α
1に対して被係止部α
2が後ろ向きに係止されることで、第二部材の後方移動が規制された状態となるようにする
構造である。
以下においては、この構造を有する後方移動規制部材を「ロックプレート型の後方移動規制部材」と呼ぶことがある。
【0020】
次に、
後方移動規制部材を、第一部材に設けられた第一部材側軸部材と支持機構に設けられた支持機構側軸部材とに対して締め付け状態で外嵌されたロックバネとし、
使用位置にあるヘッドレスト本体を前方移動させようとした際には、ロックバネが支持機構側軸部材に対して緩むことで、第二部材の前方移動が許容され、
使用位置にあるヘッドレスト本体を後方移動させようとした際には、ロックバネが支持機構側軸部材を締め付けることで第二部材の後方移動が規制されるようにする
構造である。
以下においては、この構造を有する後方移動規制部材を「ロックバネ型の後方移動規制部材」と呼ぶことがある。
【0021】
ロックバネ型の後方移動規制部材としては、
使用位置にあるヘッドレスト本体を後方移動させようとした際に、ロックバネが支持機構側軸部材を締め付けることで第二部材の後方移動が強固に規制されるようにする「強固規制タイプ」のものと、
使用位置にあるヘッドレスト本体を後方移動させようとした際に、ロックバネが支持機構側軸部材を締め付けることで第二部材の後方移動が規制されながらも、後方に所定値(例えば882N)以上の衝撃力が加わった際には、第一部材側軸部材がロックバネに対してスリップすることで、その衝撃を吸収しながらヘッドレスト本体が後方移動するようにする「緩衝規制タイプ」のものと
が挙げられる。
緩衝規制タイプのものは、ヘッドレスト本体が使用者の頭部を受け止める際にヘッドレスト本体から使用者の頭部に加えられる衝撃を、ロックバネのダンパ作用及び摩擦ブレーキ作用によって和らげることができるという利点を有している。
【0022】
本発明のヘッドレストにおいては、
シートバックの上部に対して昇降可能な状態で挿入される左右一対のヘッドレストステーと、
ヘッドレスト本体の上下位置を調節するための上下位置調節機構と
をさらに備えたものとするとともに、
上下位置調節機構が、少なくとも一方のヘッドレストステーの外周部に所定の上下ピッチで設けられた複数の係止部β
1のうち一の係止部β
1に係止される被係止部β
2を有する上下位置調節用係止部材と、
第一部材に固定され、上下位置調節用係止部材をヘッドレストステーに略垂直な方向に摺動させながら案内するガイドホルダと
を有し、
操作手段を操作すると、前方移動規制部材が前方移動規制解除側に移動し、上下位置調節用係止部材もそれに設けた被当接部が押されて係止部β
1と被係止部β
2との係止が解除される側に一連に移動するようにする
ことも好ましい。
これにより、ヘッドレストにおける操作手段を集約して、ヘッドレストの機構や操作方法をシンプルにすることが可能になる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明によって、前方の衝突事故が発生したときでも、使用範囲にあるヘッドレスト本体の後方移動の規制が勝手に解除されないようにして、揺り戻しされる使用者の頭部をヘッドレスト本体によって前方位置で支えることができるヘッドレストを提供することが可能になる。また、そのためにヘッドレスト本体の位置調節に要する操作力を大きくしたり、ヘッドレスト本体の使用位置の調節代を犠牲にしたりする必要もない。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明のヘッドレストの好適な実施態様について、図面を用いてより具体的に説明する。以下においては、第一実施態様から第三実施態様までの3つの実施態様を例に挙げて、本発明のヘッドレストを説明する。しかし、本発明のヘッドレストの技術的範囲は、これらの実施態様に限定されず、本発明の趣旨を損なわない範囲で、適宜変更を施すことができる。
【0026】
1.第一実施態様のヘッドレスト
まず、第一実施態様のヘッドレストについて説明する。
図1は、第一実施態様のヘッドレストにおいて、ヘッドレスト本体1を(a)使用最後方位置から(b)使用最前方位置を経て(c)使用範囲外前方区間まで前方移動させる様子をそれぞれ示した断面図である。
図1の断面図は、ヘッドレスト本体1を左右方向に垂直な平面で切断して示したものである。
図2は、第一実施態様のヘッドレストにおいて、(a)ヘッドレスト本体1の前方移動が規制された状態と、(b)ヘッドレスト本体1の前方移動の規制が解除された状態とをそれぞれ示した断面図である。
図2の断面図は、ヘッドレスト本体1を前後方向に垂直な平面で切断して示したものである。
【0027】
第一実施態様のヘッドレストは、
図1に示すように、ヘッドレスト本体1と、それに固定された第二部材4と、ヘッドレストステー2と、第一部材3と、前側連結部材5と、後側連結部材6と、後方移動規制部材7と、後方移動規制解除部材8と、前方移動規制部材9と、操作手段10等を備えたものとなっている。
【0028】
ヘッドレスト本体1は、座席に着席した人(使用者)の頭部を後方から支えるためのものとなっており、ヘッドレストステー2の上部に取り付けられている。ヘッドレストステー2は、図視しない座席のシートバックの上部に配される。このヘッドレストステー2は、シートバックの上部に設けられたステーホルダ(図示省略)に挿入され、このステーホルダによって上下位置を調節可能な状態でシートバックに取り付けられている。
【0029】
第一部材3は、シートバックに対して前後移動しない状態で設けられており、第一実施態様のヘッドレストにおいては、ヘッドレストステー2の上部に第一部材3を溶接により固定している。この第一部材3には、複数の係止部α
1(
図1の例では5個の係止部α
1)が所定の前後ピッチで設けられている。第二部材4は、ヘッドレスト本体1(第一実施態様のヘッドレストにおいては、ヘッドレスト本体1のケース内面)に対して動かない状態で固定されている。
【0030】
前側連結部材5及び後側連結部材6は、第一部材3に対して第二部材4を前後移動可能な状態で連結するものとなっている。前側連結部材5の下部は、第一部材3の前部に対し、回動用ピン11を介して回動可能な状態で連結されており、前側連結部材5の上部は、第二部材4の前部に対し、回動用ピン12を介して回動可能な状態で連結されている。回動用ピン12の付近には、第二部材4及び前側連結部材5を付勢することで、ヘッドレスト本体1を後方に付勢する後方付勢部材15が設けられている。一方、後側連結部材6の下部は、第一部材3の後部に対し、回動用ピン13を介して回動可能な状態で連結されており、後側連結部材6の上部は、第二部材4の後部に対し、回動用ピン14を介して回動可能な状態で連結されている。
【0031】
第一部材3と第二部材4に加えて、前側連結部材5、後側連結部材6及び4本の回動用ピン11,12,13,14は、四節リンクを構成している。この四節リンクによって、第二部材4及びそれが固定されたヘッドレスト本体1は、第一部材3に対して前後移動可能な状態で支持された状態となっている。
【0032】
後方移動規制部材7は、ヘッドレスト本体1が
図1(a)に示す使用最後方位置から
図1(b)に示す使用最前方位置に至るまでの各使用位置において、第二部材4の前方移動を許容しながらも後方移動を規制するものとなっている。第一実施態様のヘッドレストにおいて、後方移動規制部材7は、前側連結部材5に対して揺動可能に取り付けられた板状部材(ロックプレート16)となっている。ロックプレート16(後方移動規制部材7)の先端側(揺動端側)は、第一部材3の係止部α
1に係止するための被係止部α
2となっている。ロックプレート16は、通常、図示省略の付勢部材(ロック付勢部材)によって、ロック方向(被係止部α
2が係止部α
1に係止する方向)に常時付勢された状態となっている。
【0033】
使用位置にあるヘッドレスト本体1に前向きの操作力を加えると、ある係止部α
1に対して後ろ向きに係止されていた被係止部α
2が、その係止部α
1から前方に離反し、その係止部α
1の前方にある凸部を乗り越えることで、1つ前の係止部α
1に係止されるようになる。このように、ヘッドレスト本体1が使用位置にあるときには、ヘッドレスト本体1の前方移動が許容された状態となっている。これに対し、使用位置にあるヘッドレスト本体1に後向きの操作力を加えると、被係止部α
2がそのときに係止されている係止部α
1に対して後ろ向きにさらに強く当接するようになる。このため、ヘッドレスト本体1が使用位置にあるときには、ヘッドレスト本体1の後方移動が規制された状態となっている。
【0034】
後方移動規制解除部材8は、ヘッドレスト本体1を
図1(b)に示す使用最前方位置から
図1(c)に示す使用範囲外前方区間まで移動させた際に、後方移動規制部材7に作用して、ロックプレート16(後方移動規制部材7)を後方移動規制解除側に移動させる(第一実施態様のヘッドレストにおいては、ロックプレート16の先端を上側に移動させる)ものとなっている。
【0035】
後方移動規制解除部材8は、上記の機能を発揮するものであれば、その具体的な構造を特に限定されない。第一実施態様のヘッドレストにおいて、後方移動規制解除部材8は、第一部材3の前部に取り付けられた板状部材(ロック解除プレート17)となっている。このロック解除プレート17は、第一部材3に対して回動用ピン11を中心として揺動(回動)可能な状態で支持されており、特許第6012840号公報の
図7におけるロック規制部材150や、特許第5902847号公報の
図3におけるロック切替部材70と同様の動作を行うようになっている。
【0036】
すなわち、ロック解除プレート17の片方の側面は、前側連結部材5の片方の側面に対して接触しており、前側連結部材5が回動用ピン11を中心として回動(第一部材3に対して回動)すると、ロック解除プレート17と前側連結部材5との間に働く摩擦力によって、ロック解除プレート17も、前側連結部材5と共回り(一体的に前方回動又は後方回動)するようになっているものの、第一部材3に固定された規制ピン19が、ロック解除プレート17に設けられた円弧状(回動用ピン11を中心とした円弧状)の長孔18の端部に当接すると、ロック解除プレート17の前方回動又は後方回動が規制されて、前側連結部材5がロック解除プレート17を残した状態で前方回動又は後方回動するようになっている。
【0037】
第一実施態様のヘッドレストにおいて、上記の規制ピン19及び長孔18は、ヘッドレスト本体1を使用最前方位置(
図1(b))から使用範囲外前方区間(
図1(c))へと前方移動させる間に、ロックプレート16(後方移動規制部材7)によるヘッドレスト本体1の後方移動の規制を解除する機構(後方移動規制解除機構)として機能するだけでなく、ヘッドレスト本体1を使用範囲外前方区間から使用最後方位置まで後方移動させる間に、ロックプレート16(後方移動規制部材7)によるヘッドレスト本体1の後方移動の規制を再度発現させる機構(リセット機構)としても機能するようになっている。
【0038】
前方移動規制部材9は、ヘッドレスト本体1が
図1(a)の使用最後方位置から前方移動して
図1(b)の使用最前方位置になったときに、第一部材3に当接して第二部材4の前方移動を規制するものとなっている。第二部材4の前方移動が規制されると、それと一体のヘッドレスト本体1の前方移動も規制された状態となる。前方移動規制部材9は、上記の機能を発揮するものであれば、その具体的な構造を特に限定されない。第一実施態様のヘッドレストにおいて、前方移動規制部材9は、第二部材4の後部に後向きで取り付けられた板状部材となっている。この前方移動規制部材9は、第二部材4に対して、左右方向には移動することはできるものの、前後方向や回動方向には移動することができない状態となっている。
【0039】
この前方移動規制部材9を設けることによって、ヘッドレスト本体1を
図1(b)の使用最前方位置から
図1(c)の使用範囲外前方区間に前方移動させようとしても、前方移動規制部材9によるヘッドレスト本体1(第二部材4)の前方移動の規制を解除しない限りは、ヘッドレスト本体1を前方移動させることができず、ロックプレート16によるヘッドレスト本体1の後方移動の規制を解除することができないようになっている。このため、前方の衝突事故が発生し、ヘッドレスト本体1に前向きの慣性力が生じた場合でも、使用範囲にあるヘッドレスト本体1の後方移動の規制が勝手に解除されないようになっており、前方の衝突事故によって揺り戻しされる使用者の頭部を、少なくとも使用最前方位置にあるヘッドレスト本体1で支えることが可能となっている。
【0040】
操作手段10は、前方移動規制部材9によるヘッドレスト本体1の前方移動の規制を解除するために、使用者等が操作力を加える部分となっている。第一実施態様のヘッドレストにおいて、操作手段10は、ヘッドレスト本体1の左右方向に押し込み可能な押ボタン20となっている。この押ボタン20を押し込んで、
図2(a)に示す状態から
図2(b)に示す状態とすると、押ボタン20の奥側に設けられた左右スライド部材21と、左右スライド部材21に一体的に固定された前方移動規制部材9とが奥側に押し込まれて、前方移動規制部材9と第一部材3とが左右方向にずれた状態となり、前方移動規制部材9による第一部材3の前方移動の規制が解除されるようになっている。
【0041】
左右スライド部材21は、左右スライド部材付勢手段22によって、押ボタン20の側に常時付勢された状態となっている。このため、押ボタン20から手を離すと、左右スライド部材21が
図2(a)の初期位置に自動的に復帰するとともに、押ボタン20も左右スライド部材21によって外方に押されて初期位置に自動的に復帰するようになっている。左右スライド部材21の形態は、特に限定されないが、第一実施態様のヘッドレストにおいては、1本の鋼線を「U」字状に折り曲げた部材としている。左右スライド部材21は、第二部材4又はヘッドレスト本体1のケースの仕切壁に形成された案内孔23に挿入されることによって、左右方向にのみ移動できるようになっている。
【0042】
2.第二実施態様のヘッドレスト
続いて、第二実施態様のヘッドレストについて説明する。第二実施態様のヘッドレストについては、主に、第一実施態様のヘッドレストと異なる部分について説明し、第一実施態様のヘッドレストと動作や機能が共通する部分の説明は、極力省略する。第二実施態様のヘッドレストで特に言及しない構成については、第一実施態様のヘッドレストの説明で述べたものと同様の構成を採用することができる。
【0043】
図3は、第二実施態様のヘッドレストにおいて、ヘッドレスト本体1を(a)使用最後方位置から(b)使用最前方位置を経て(c)使用範囲外前方区間まで前方移動させる様子をそれぞれ示した断面図である。
図3の断面図は、ヘッドレスト本体1を左右方向に垂直な平面で切断して示したものである。
図4は、第二実施態様のヘッドレストにおいて、(a)ヘッドレスト本体1の前方移動及び上下移動が規制された状態と、(b)ヘッドレスト本体1の前方移動及び上下移動の規制が解除された状態と、(c)ヘッドレスト本体1を使用範囲外前方区間まで前方移動させた状態とをそれぞれ示した断面図である。
図4の断面図は、ヘッドレスト本体1を上下方向に垂直な平面で切断して示したものであり、ヘッドレスト本体1の左側半分を示している。
【0044】
上述した第一実施態様のヘッドレストにおいては、
図1に示すように、前方移動規制部材9は、第二部材4に対して取り付けられていた。これに対し、第二実施態様のヘッドレストにおいては、
図3に示すように、前方移動規制部材9は、第一部材3に対して間接的に取り付けられている。ただし、前方移動規制部材9が左右スライド部材21に対して一体的に固定されている点は、第一実施態様のヘッドレストと同様である。
【0045】
また、第一実施態様のヘッドレストにおいて、左右スライド部材21は、ヘッドレスト本体1に対して左右方向には移動できるものの、ヘッドレスト本体1に対する左右スライド部材21の相対的な上下位置が変化しない構造になっていた。これに対し、第二実施態様のヘッドレストにおいて、左右スライド部材21は、
図4に示すように、ヘッドレスト本体1に対して左右方向に移動し、さらには、
図3に示すように、ヘッドレスト本体1に対する左右スライド部材21の相対的な上下位置も変化する構造となっている。つまり、ヘッドレストステー2に対する左右スライド部材21の上下位置が一定のままで、第一部材3、第二部材4、前側連結部材5、後側連結部材6及び4本の回動用ピン11,12,13,14で構成される四節リンクの動作によって、ヘッドレスト本体1に対する左右スライド部材21の相対的な上下位置が変化するようになっている。左右スライド部材21は、第一実施態様のヘッドレストと同様、1本の鋼線を「U」字状に折り曲げた形態を有しているところ、この左右スライド部材21がヘッドレスト本体1に対して相対的に上下移動する際には、その一方の棒状部が、左右スライド部材用ガイド33に設けた上下方向のガイド溝で上下方向に案内されるようになっている。このため、ヘッドレスト本体1が
図3(a)の使用最後方位置にあるときには、左右スライド部材21の後部に固定された前方移動規制部材9が、ヘッドレスト本体1の内底部付近にあるものの、ヘッドレスト本体1を前方移動させると、前方移動規制部材9がヘッドレスト本体1とともに前方移動しながら、ヘッドレスト本体1内を相対的に上方移動するようになっている。
【0046】
ヘッドレスト本体1が前方移動をし続け、ヘッドレスト本体1が
図3(b)の使用最前方位置に達すると、左右スライド部材21の後部に固定された前方移動規制部材9が、当接プレート24に当接する。この当接プレート24は、第一部材3(
図3)の下側に一体的に固定されている。当接プレート24が固定されている第一部材3は、ヘッドレストステー2に対して前後移動できないため、前方移動規制部材9が当接プレート24に当接すると、ヘッドレスト本体1は、前方移動が規制された状態となる。
【0047】
これにより、第一実施態様のヘッドレストと同様、第二実施態様のヘッドレストにおいても、ヘッドレスト本体1を
図3(b)の使用最前方位置から
図3(c)の使用範囲外前方区間に前方移動させようとしても、前方移動規制部材9によるヘッドレスト本体1の前方移動の規制を解除しない限りは、ヘッドレスト本体1を前方移動させることができず、ロックプレート16によるヘッドレスト本体1の後方移動の規制を解除することができないようになっている。
【0048】
第二実施態様のヘッドレストにおいて、押ボタン20を奥側に押し込むと、左右スライド部材21と前方移動規制部材9とが奥側に押し込まれて、前方移動規制部材9と第一部材3とが左右方向にずれた状態になり、前方移動規制部材9による第一部材3の前方移動の規制が解除される点は、第一実施態様のヘッドレストと同様である。ただし、第二実施態様のヘッドレストでは、
図4(b)に示すように、押ボタン20を奥側に押し込んだ際に、前方移動規制部材9が、当接プレート24に設けられたスリット25に重なる位置まで移動するようになっている。
図4(b)に示す状態からヘッドレスト本体1を前方移動させると、
図4(c)に示すように、前方移動規制部材9がスリット25内に挿入された状態となる。
【0049】
また、第一実施態様のヘッドレストにおいては、押ボタン20を押し込むと、前方移動規制部材9によるヘッドレスト本体1の前方移動の規制のみが解除されるようになっていた。これに対し、第二実施態様のヘッドレストにおいては、押ボタン20を押し込むと、前方移動規制部材9によるヘッドレスト本体1の前方移動の規制だけでなく、上下位置調節機構26によるヘッドレスト本体1の上下方向の移動の規制も一連に解除されるようになっている。
【0050】
すなわち、押ボタン20を押し込んでいないときには、
図4(a)に示すように、ヘッドレストステー2の外周部に設けられた係止部β
1に対して、上下位置調節用係止部材27の被係止部β
2が係止され、ヘッドレスト本体1をヘッドレストステー2に対して上下方向に移動できない状態となっているところ、押ボタン20を押し込むと、
図4(b)に示すように、前方移動規制部材9が奥側にスライドして、ヘッドレスト本体1の前方移動の規制が解除されるだけでなく、上下位置調節用係止部材27も、左右スライド部材21によって押されて奥側に移動して、係止部β
1に対する被係止部β
2の係止が解除され、ヘッドレスト本体1を上下方向に移動することができるようになっている。第二実施態様のヘッドレストにおいて、上下位置調節用係止部材27は、
図3に示すように、溝型に形成した当接プレート24内に収容しており、この当接プレート24の溝内を左右方向に案内されるようになっている。すなわち、当接プレート24は、前方移動規制部材9を当接させるための部分としてだけでなく、上下位置調節用係止部材27をヘッドレストステー2に略垂直な方向に摺動させながら案内するガイドホルダとしても機能する部分となっている。ただし、ガイドホルダは、第一部材3に対して固定されていれば、当接プレート24とは別部材で構成してもよい。
【0051】
ヘッドレストステー2の外周部には、
図4に示されたものを含めて、複数の係止部β
1が所定の上下ピッチで設けられており、被係止部β
2が係止される係止部β
1を切り替えることで、ヘッドレスト本体1の高さを調節することができるようになっている。ヘッドレストステー2は、通常、左右一対に設けられるところ、ヘッドレストステー2の複数の係止部β
1と、上下位置調節用係止部材27の被係止部β
2とで構成される上下位置調節機構26は、少なくともいずれか一方のヘッドレストステー2側にのみ設けられていればよい。
【0052】
3.第三実施態様のヘッドレスト
続いて、第三実施態様のヘッドレストについて説明する。第三実施態様のヘッドレストについては、主に、第一実施態様や第二実施態様のヘッドレストと異なる部分について説明し、第一実施態様や第二実施態様のヘッドレストと動作や機能が共通する部分の説明は、極力省略する。第三実施態様のヘッドレストで特に言及しない構成については、第一実施態様や第二実施態様のヘッドレストの説明で述べたものと同様の構成を採用することができる。
【0053】
上述した第一実施態様や第二実施態様のヘッドレストでは、
図1又は
図3に示すように、後方移動規制部材7としてロックプレート16を用いていた。これに対し、第三実施態様のヘッドレストでは、
図5に示すロックバネ28を後方移動規制部材7として用いている。
図5は、第三実施態様のヘッドレストにおいて、後方移動規制部材7として用いたロックバネ28をその中心線Lを含む平面で切断して示した断面図である。
【0054】
このロックバネ28は、
図5に示すように、中心線L上で同軸に配された第一部材側軸部材29と支持機構側軸部材30とに対して締め付け状態で外嵌されたコイルバネとなっている。ロックバネ28の一端部は、第一部材側軸部材29に固定された固定端部31とされ、その他端部は、支持機構側軸部材30等に固定されていない自由端部32とされている。第一部材側軸部材29は、第一部材3(
図1等を参照)に取り付けられ、支持機構側軸部材30は、前側連結部材5等の支持機構に取り付けられる。このロックバネ28は、特許第5654177号公報の
図3におけるコイルバネ5と同様の動作を行う。
【0055】
すなわち、ヘッドレスト本体1を前方移動させようとした際には、ロックバネ28が支持機構側軸部材30に対して緩んだ状態となるため、ヘッドレスト本体1の前方移動が許容されるものの、ヘッドレスト本体1を後方移動させようとした際には、ロックバネ28が支持機構側軸部材30を締め付けた状態となるため、ヘッドレスト本体1の後方移動が規制されるようになっている。ただし、ヘッドレスト本体1を使用範囲外前方区間まで移動させた際に、後方移動規制解除部材8(
図1を参照。)に相当する部材が、ロックバネ28の自由端部32に当接して、その自由端部32を、ロックバネ28を緩める方向に押圧する状態となると、ロックバネ28が強制的に支持機構側軸部材30に対して緩んだ状態となるため、ヘッドレスト本体1の後方移動が許容されるようになっている。
【0056】
参考までに、
図6に、ロックバネ28の自由端部32の動作を示す。
図6(a)は、ヘッドレスト本体1が使用位置にある状態を、
図6(b)は、ヘッドレスト本体1が使用範囲外前方区間に移動し、ヘッドレスト本体1の後方移動の規制が解除される状態を、
図6(c)は、
図6(b)に示す状態からヘッドレスト本体1を後方移動させていき、ヘッドレスト本体1の後方移動が再び規制される状態をそれぞれ示している。
図6(a)に示す状態からヘッドレスト本体1が前方移動していくと、ロックバネ28の自由端部32が第一カム34によって緩め方向に押圧されるとともに、そのうち、
図6(b)に示すように、補助カム35によって自由端部32が保持用係止部36に係止され、ロックバネ28が緩んだ状態で保持されるようになる。すなわち、ヘッドレスト本体1の後方移動の規制が解除された状態が保たれるようになる。
図6(b)に示す状態からヘッドレスト本体1を後方移動させていくと、第二カム37によって案内されて自由端部32が保持用係止部36から外れ、自由端部32が初期位置に復帰する。すなわち、ヘッドレスト本体1の後方移動が再び規制された状態となる。
【0057】
ロックバネ28は、使用位置にあるヘッドレスト本体1(
図1を参照。)が後方移動しようとした際に、支持機構側軸部材30を強く締め付けることで、ヘッドレスト本体1の後方移動が強固に規制された状態となるように構成する場合と、使用位置にあるヘッドレスト本体1が後方移動しようとした際に、支持機構側軸部材30を締め付けることで、ヘッドレスト本体1の後方移動を規制しながらも、後方に所定値(例えば882N)以上の衝撃力が加わった際には、支持機構側軸部材30がロックバネ28に対してスリップするように構成する場合とのいずれもあり得る。後者の構成を採用すると、ヘッドレスト本体1から使用者の頭部に加えられる衝撃を、ロックバネ28のダンパ作用及び摩擦ブレーキ作用によって和らげることができるようになる。
【0058】
4.その他
上述した第一実施態様から第三実施態様までのヘッドレストは、いずれも、第一部材3に対して第二部材4を前後方向に移動可能な状態で支持する支持機構として四節リンクを用いるもの(四節リンク型の支持機構)であった。しかし、この支持機構は、上記の四節リンク型のものに限定されない。その他、支持機構としては、第一部材3と第二部材4とを揺動可能に連結するアーム部材とし、当該アーム部材によって第一部材3に対して第二部材4が前後方向に揺動するようにする構造のもの(揺動アーム型の支持機構)等が例示される。
【0059】
揺動アーム型の支持機構は、例えば、
図1に示した第一実施態様のヘッドレストから、後側連結部材6を取り除き、前側連結部材5が上記のアーム部材として機能するようにし、その他必要な調整を行うことで、容易に実現することができる。揺動アーム型の支持機構としては、ヘッドレスト本体1の下部を中心としてヘッドレスト本体1の上部を前後移動(前後方向に揺動)させる上振りタイプのものと、ヘッドレスト本体1の上部を中心としてヘッドレスト本体1の下部を前後移動(前後方向に揺動)させる下振りタイプのものとが挙げられる。
【0060】
5.用途
以上で述べた本発明のヘッドレストは、各種の座席に設けることができ、その用途を特に限定されるものではないが、自動車等の移動体に据え付けられる座席のシートバックに設けるものとして好適である。
ヘッドレストを、第一部材3に対して第二部材4を前後移動可能な状態で支持する支持機構5,6と、各使用位置において第二部材4の前方移動を許容しながらも後方移動を規制する後方移動規制部材7と、ヘッドレスト本体1を使用最前方位置よりもさらに前方の使用範囲外前方区間まで移動させた際に後方移動規制部材7を後方移動規制解除側に移動させる後方移動規制解除部材8とを備えた前後調節式のものとするとともに、ヘッドレスト本体1が前方移動して使用最前方位置になると第一部材3に当接して第二部材4の前方移動を規制する前方移動規制部材9と、前方移動規制部材9を前方移動規制解除側に移動させる操作手段10とをさらに備えたものとした。