特許第6579576号(P6579576)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6579576-ナースコールシステム 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6579576
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】ナースコールシステム
(51)【国際特許分類】
   A61G 12/00 20060101AFI20190912BHJP
   H04M 9/00 20060101ALI20190912BHJP
【FI】
   A61G12/00 E
   H04M9/00 D
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-173376(P2015-173376)
(22)【出願日】2015年9月3日
(65)【公開番号】特開2017-46981(P2017-46981A)
(43)【公開日】2017年3月9日
【審査請求日】2018年7月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】591253593
【氏名又は名称】株式会社ケアコム
(72)【発明者】
【氏名】大西 壮
【審査官】 須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−113679(JP,A)
【文献】 特開2013−027645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 12/00
A61B 5/00 − 5/01
G08B 19/00 − 31/00
H04M 9/00 − 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者のベッドの近傍に設置され、患者が医療従事者の携行する携帯端末を呼び出すために操作する呼出操作部と、前記呼出操作部の操作により生成された呼出信号を出力する子機インターフェースと、医療従事者が前記ベッドの設置されている病室の近くに居ることを表示する表示装置と、前記呼出操作部が操作された場合に、自装置を識別するための子機識別情報を含む前記呼出信号を生成するとともに、医療従事者が前記ベッドの設置されている病室の近くに居ることを示す医療従事者接近信号を前記子機インターフェースが入力し、前記自装置の子機識別情報と前記医療従事者接近信号に含まれる子機識別情報とが一致した場合に、前記表示装置を動作させる機制御部と、を有するナースコール子機と、
医療従事者によって携行され、報知信号を受信することにより報知を行う携帯端末と、
医療従事者によって携行され、自装置識別するための識別情報を送信する識別情報発信装置と、
前記病室の近傍に設置され、前記識別情報発信装置から識別情報を読み取り、装置を識別するための読取装置識別情報から成る読取信号を生成して出力する読取装置と、
前記ナースコール子機から呼出信号を入力するとともに前記読取装置から読取信号を入力するインターフェースと、前記子機識別情報とこの子機識別情報によって特定されるナースコール子機の近傍に設置された読取装置の読取装置識別情報とを関連付けて予め記憶する記憶部と、前記インターフェースが読取信号を入力した場合に、記記憶部を参照して前記読取信号に含まれる前記読取装置識別情報に関連付けて記憶されている子機識別情報を取得し、取得した子機識別情報を含む前記医療従事者接近信号を出力させるとともに、前記インターフェースが呼出信号を入力した場合に、前記報知信号を生成して前記インターフェースにより出力する制御部と、を有するナースコール親機と、
前記ナースコール親機に接続され、前記制御部が出力した報知信号を前記携帯端末に送信する無線装置と、
を備えたナースコールシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者や被介護者が看護師や介護師を呼び出すためのナースコールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、病院や介護施設などでは、ナースコールシステムが用いられている。ナースコールシステムは、病院の患者が看護師のサポートを必要とする際、または介護施設の被介護者が介護師のサポートを必要とする際に、患者や被介護者(以下、患者と記載する)が呼出ボタンを押下することによって看護師や介護師(以下、医療従事者と記載する)を呼び出すことができるように成されたシステムである。
【0003】
多くのナースコールシステムは、病室のベッド近傍やトイレ、浴室などに設置されるナースコール子機と、ナースステーションに設置されるナースコール親機と、病室や介護室等の各部屋の入口付近に設置される廊下灯と、通話やデータの送受信に関する制御を行う制御機とを備えて構成されている。また、上述した構成に加えて、医療従事者が携帯する携帯端末(例えば、PHS(Personal Handy phone System)端末など)とPBX(Private Branch Exchange:電話交換機)とを備えたナースコールシステムも提供されている。ここで、ナースコール子機としては、呼出ボタンなどの呼出操作部を有するものがある。
【0004】
そして、このようなナースコールシステムは、患者がナースコール子機の呼出操作部を操作した場合に、ナースコール子機からナースコール親機へ呼出信号を出力し、呼出信号を入力したナースコール親機にて呼び出しを報知するように構成されている。
【0005】
ナースコール親機には、LED(light-emitting diode)などのランプと患者の名前などを表示する表示欄とを備えた選局部を患者の数に応じて組み合わせたボード形のものが知られている。ボード形のナースコール親機は、ナースステーションの壁面などに取り付けられ、ナースステーション内の医療従事者がボード形親機に表示された情報を閲覧することが可能である。ここで、ナースコール子機から出力された呼出信号を入力したナースコール親機では、呼出信号に含まれ、ナースコール子機を識別するための子機識別情報により呼び出しを行った患者(実際にはナースコール子機)を特定する。そして、特定されたナースコール子機を使用している患者の表示欄に対応する選局部のランプを点灯または点滅させることで呼び出しの報知を行っている。また、呼び出しの報知は、選局部のランプの点灯/点滅だけではなく、スピーカーから出力される音声によっても行われる。
【0006】
ここで、ナースコール親機としては、上述したボード形のものだけではなく、卓上に設置される卓上形のものや、報知や各種情報をディスプレイ上に表示するPC(personal computer)形のものも知られている。
【0007】
このように、ナースコール親機にて呼び出しの報知が行われると、これに気付いた医療従事者が応答する必要がある。そのため、ナースコール親機には、呼び出しの報知に応答するためのハンドセットが設けられている。呼び出しの報知が行われている場合に、医療従事者がハンドセットをオフフックすると、呼び出しの報知が停止し、ナースコール親機とナースコール子機(またはナースコール子機が設置された病室)との間で通話路が形成される。ここで、ナースコール子機(または病室)には、通話用のスピーカーやマイクが設けられているため、患者と医療従事者との間で通話が可能となる。また、携帯端末が使用可能である場合には、医療従事者は、携帯端末を操作して呼び出しに応答することができる。
【0008】
ところで、携帯端末を各医療従事者に携行させることで、ナースコール子機の呼出操作部を操作した患者を担当する複数の担当医療従事者の携帯端末を呼び出すことが行われている(例えば、特許文献1など)。この特許文献1に記載の技術では、患者を他の患者と識別するための患者識別情報や、その患者が使用するナースコール子機を他の患者が使用するナースコール子機と識別するための子機識別情報と、担当医療従事者を他の医療従事者と識別するための医療従事者識別情報、または、それらの担当医療従事者が携行する携帯端末を他の医療従事者が携行する携帯端末と識別するための携帯端末識別情報とを関連付けて記憶しておく。
【0009】
そして、ナースコール子機の呼出操作部が患者によって操作され、その患者を担当する複数の担当医療従事者の携行する携帯端末が報知を行うと、複数の担当医療従事者のうちの何れかの担当医療従事者が携帯端末を操作して呼び出しに応答する。応答した担当医療従事者は、患者の居る病室に赴き、患者への看護行為を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−320555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に記載されたナースコールシステムを含む従来の技術では、患者が、医療従事者が忙しいのではないかと気を使って、呼び出しを我慢するケースが生じてしまうという問題があった。
【0012】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、患者が遠慮せずに医療従事者を呼び出すことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するために、本発明では、各病室に設置された読取装置に識別情報を発信する識別情報発信装置と、ナースコール子機からの呼び出しを報知するとともに応答するための携帯端末とを医療従事者に持たせ、読取装置が識別情報を読み取った場合に、医療従事者が読取装置の設置された病室の近くに居ると判断し、患者が呼び出しを行うためのナースコール子機またはその近傍に設置された表示装置にて医療従事者の接近を表示するようにしている。
【0014】
上記のように構成した本発明によれば、医療従事者が病室に接近したことが表示装置にて表示されるので、これを見た患者はナースコール子機を操作することで病室に接近した医療従事者を呼び出すことができる。これにより、医療従事者の移動距離が短くなることから、医療従事者への負担が軽減されるので、患者が医療従事者に遠慮することなく呼び出しを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態によるナースコールシステムの構成例を示すブロック図である。
図2】本実施形態によるナースコールシステムの記憶部の記憶内容の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態によるナースコールシステムの構成例を示すブロック図である。同図において、1はナースコール子機であり、各患者のベッド近傍に設置される。ここで、ナースコール子機1は、子機制御部2、呼出操作部3、子機インターフェース4、表示灯5を備えて構成されている。
【0017】
6は識別情報発信装置であり、各医療従事者により携行され、この識別情報発信装置6を他の識別情報発信装置6と識別するための識別情報を送信する。ここで、識別情報発信装置6は、RFID(Radio Frequency IDentification)タグなどにより構成されており、後述する読取装置7に近付いた場合に、識別情報を送信する。また、識別情報発信装置6と読取装置7との通信距離は、5〜6メートル程度であることが好ましい。なお、通信距離を可変設定可能とすることで、病院内の病室の配置等に容易に対応することができるようになる。
【0018】
読取装置7は、ナースコール子機1が設置された病室の出入口近傍の廊下側などに設置されており、通信距離の範囲内に近付いた識別情報発信装置6に電源を供給し、電源が供給された識別情報発信装置6から送信された識別情報を受信する。また、読取装置7は、識別情報発信装置6から識別情報を受信すると、この識別情報と、この読取装置7を他の読取装置7と識別するための読取装置識別情報とを含む読取信号を生成して出力する。ここで、識別情報発信装置6がRFIDタグである場合には、読取装置7は、RFIDタグリーダにより構成される。
【0019】
なお、識別情報発信装置6および読取装置7は、読取装置7が識別情報発信装置6から識別情報を読み取ることができればどのような機器であっても良く、識別情報発信装置6が無線発信機であり、読取装置7が無線受信機であっても良い。また、識別情報発信装置6をバッテリー搭載可能な無線発信機とすることで、読取装置7から識別情報発信装置6へ電源を供給する必要が無くなる。
【0020】
10は携帯端末であり、各医療従事者により携帯され、ナースコール子機1からの呼び出しを報知し、それに医療従事者が応答するためのものである。ここで、携帯端末10は、携帯端末制御部11、送受信部12、携帯端末報知部13、応答操作部14を備えて構成されている。なお、携帯端末10と識別情報発信装置6とは、ともに医療従事者によって携行されることから、携帯端末10と識別情報発信装置6とを一体的に構成するようにしても良い。
【0021】
20はナースコール親機であり、医療従事者が常駐するナースステーションなどに設置されており、医療従事者によって使用される。ここで、ナースコール親機20は、制御部21、インターフェース22、記憶部23を備えて構成されている。
【0022】
30は無線装置であり、ナースコール親機20から出力された報知信号を入力し、各携帯端末10へ送信する。ここで、報知信号には、報知すべき携帯端末10を特定するための携帯端末識別情報が含まれる。また、無線装置30は、病院内の各所に設置された中継装置(図示せず)を備えており、その中継装置を介して報知信号を送信するため、携帯端末10が病院内のどの場所にあっても、報知信号を受信することが可能となる。
【0023】
次に、ナースコール子機1の各構成要素について説明する。子機制御部2は、ナースコール子機1の各構成要素を後述するように制御するためのものであり、CPU(Central Processing Unit)などにより構成されている。呼出操作部3は、呼出ボタンなどにより構成されており、医療従事者を呼び出すために患者によって使用される。呼出操作部3が操作されると、子機制御部2は呼出信号を生成する。ここで、呼出信号は、ナースコール子機1を他のナースコール子機1と識別するための子機識別情報(例えば、ベッド番号など)を含む。
【0024】
子機インターフェース4は、ナースコール子機1とナースコール親機20とを接続して通信を行うためのものである。ここで、子機インターフェース4は、子機制御部2によって生成された呼出信号を出力するとともに、後述する医療従事者接近信号を入力する。
【0025】
表示灯(特許請求の範囲の表示装置に該当)5は、ナースコール子機1が設置された病室に医療従事者が近付いたことを表示するためのものであり、ランプにより構成される。ここで、子機インターフェース4が医療従事者接近信号を入力すると、子機制御部2は、医療従事者接近信号に含まれる子機識別情報を取得し、この子機識別情報が自装置の子機識別情報と一致するか否かを判定する。そして、一致したと子機制御部2にて判定した場合には、子機制御部2は表示灯5を点灯させる。
【0026】
次に、携帯端末10の各構成要素について説明する。携帯端末制御部11は、携帯端末10の各構成要素を後述するように制御するためのものであり、CPUなどにより構成されている。送受信部12は、病院内の各所に設置されている中継装置を介して無線装置30と通信を行い、報知信号を受信するとともに、応答信号を送信する。
【0027】
携帯端末報知部13は、スピーカーや表示ディスプレイ、ランプなどにより構成されており、ナースコール子機1の呼出操作部3が操作されて患者が医療従事者を呼び出したことを報知する。
【0028】
応答操作部14は、オフフックボタンなどにより構成されており、携帯端末報知部13が動作している状態で操作可能となり、応答操作部14の操作により携帯端末報知部13の動作が停止し、携帯端末10とナースコール子機1との間で通話が可能となる。また、応答操作部14が操作されると、携帯端末制御部11は応答信号を生成し、送受信部12により送信を行う。ここで、応答信号には、この携帯端末10の携帯端末識別情報が含まれる。
【0029】
次に、ナースコール親機20の各構成要素について説明する。制御部21は、ナースコール親機20の各構成要素を後述するように制御するためのものであり、CPUなどにより構成されている。また、制御部21は、ナースコール親機10に接続された各病室の読取装置7を制御する。
【0030】
インターフェース22は、ナースコール親機20とナースコール子機1、読取装置7および無線装置6とを接続して通信を行うためのものである。ここで、インターフェース22は、ナースコール子機1から出力された呼出信号を入力するとともに、ナースコール子機1へ医療従事者接近信号を出力する。
【0031】
また、インターフェース22は、読取装置7から出力された読取信号を入力する。また、インターフェース22は、後述する制御部21によって生成された報知信号を無線装置30へ出力する。また、インターフェース22は、無線装置30から応答信号を入力する。
【0032】
記憶部23は、子機識別情報と、この子機識別情報によって特定されるナースコール子機1を使用する患者を担当する担当医療従事者が携行する識別情報発信装置6の識別情報と、この担当医療従事者が携帯する携帯端末10の携帯端末識別情報とを関連付けて予め記憶している。また、記憶部23は、子機識別情報と、この子機識別情報によって特定されるナースコール子機1の設置されている病室の出入口近傍の廊下側に設置された読取装置7の読取装置識別情報とを関連付けて予め記憶している。
【0033】
例えば、図2(a)に示すように、子機識別情報「101−1」に対して、識別情報「001」および携帯端末識別情報「01」、識別情報「002」および携帯端末識別情報「02」、識別情報「003」および携帯端末識別情報「03」、識別情報「004」および携帯端末識別情報「04」が記憶部13に関連付けて記憶されている。同様に、子機識別情報「201−1」に対して、識別情報「005」および携帯端末識別情報「05」、識別情報「006」および携帯端末識別情報「06」、識別情報「007」および携帯端末識別情報「07」、識別情報「008」および携帯端末識別情報「08」が記憶部13に関連付けて記憶されている。
【0034】
また、図2(b)に示すように、子機識別情報「101−1」に対して読取装置識別情報「1011」が記憶部13に関連付けて記憶されている。また、子機識別情報「201−1」に対して読取装置識別情報「2011」が記憶部13に関連付けて記憶されている。
【0035】
このように構成されたナースコールシステムにおいて、携帯端末10を携行している医療従事者がナースコール子機1の設置されている病室に近付くと、同じく医療従事者が携行している識別情報発信装置6が識別情報を読取装置7へ送信する。読取装置7は自装置の読取装置識別情報を識別情報に付加して読取信号を生成し、ナースコール親機20へ出力する。
【0036】
ナースコール親機20のインターフェース22が読取装置7から読取信号を入力すると、制御部21は、記憶部23を参照して、入力した読取信号に含まれる読取装置識別情報に関連付けて記憶されている子機識別情報を取得する。一方、制御部21は、記憶部23を参照して、入力した読取信号に含まれる識別情報に関連付けて記憶されている子機識別情報を取得する。
【0037】
このように取得された子機識別情報を用いることで、この子機識別情報によって特定されるナースコール子機1を使用している患者に対して医療従事者の接近を通知する。具体的には、制御部21は、取得した2つの子機識別情報を比較し、一致したと判定した場合に医療従事者接近信号を生成する。ここで、医療従事者接近信号には、上述した子機識別情報が含まれる。
【0038】
制御部21により生成された医療従事者接近信号は、インターフェース22により各ナースコール子機1へ出力される。各ナースコール子機1の子機制御部2は、子機インターフェース4にて入力した医療従事者接近信号に含まれる子機識別情報が自装置の子機識別情報と一致するか否かを判定し、一致したと判定した場合に表示灯5を点灯させる。
【0039】
この表示灯5の点灯を見た患者は、自分の居る病室の近くに自分を担当する医療従事者が居ると判断して、呼出操作部3を操作する。すると、子機制御部2は、呼出信号を生成し、子機インターフェース4によりナースコール親機20へ出力する。
【0040】
ナースコール親機20のインターフェース22が呼出信号を入力すると、制御部21は、記憶部23を参照して、子機識別情報に関連付けて記憶されている携帯端末識別情報を取得し、この携帯端末識別情報を含む報知信号をインターフェース22により無線装置30へ出力する。
【0041】
無線装置40は、中継装置を介して報知信号を各携帯端末10に送信する。各携帯端末10の携帯端末制御部11は、送受信部12が受信した報知信号に含まれる携帯端末識別情報を取得し、自装置の携帯端末識別情報と一致するか否かを判定し、一致したと判定した場合に携帯端末報知部13を動作させる。
【0042】
ここで、図2(a)に示すように、1つの子機識別情報に対して複数の携帯端末識別情報が関連付けて記憶されているため、必ずしもナースコール子機1が設置されている病室の近くに居る医療従事者が携行する携帯端末10が呼び出されるわけではない。しかしながら、呼び出された携帯端末10にて応答が行われないリスクが生じてでも近くに居る医療従事者を呼び出したい場合には、上述した識別情報発信装置6の識別情報を用いて、ナースコール子機1が設置されている病室の近くに居る医療従事者が携行する携帯端末10のみを呼び出すようにしても良い。
【0043】
また、このようにナースコール子機1が設置されている病室の近くに居る医療従事者が携行する携帯端末10を呼び出すようにした場合には、各患者を担当する医療従事者が近くに来た場合だけではなく、全ての医療従事者が近くに来た場合に表示灯5を点灯させるようにしても良い。これにより、表示灯5が点灯する確率が上昇し、患者がナースコール子機1による呼び出しを行うことができる確率も上昇する。
【0044】
ただし、ナースコール子機1が設置されている病室の近くに居る医療従事者は、別の業務のためにその場所を通り過ぎただけであることも考えられるため、ナースコール子機1による呼び出しが医療従事者の負担を増やしてしまう可能性がある。従って、実際には、各患者の担当医療従事者を呼び出すようにすることが好ましい。
【0045】
このように携帯端末10にて携帯端末報知部13が報知の動作を行っている状態で、その携帯端末10を使用する医療従事者が応答操作部14を操作すると、携帯端末制御部11は、応答信号を生成し、送受信部12にて無線装置30へ送信する。
【0046】
無線装置30は、受信した応答信号をナースコール親機20へ出力する。ナースコール親機20のインターフェース22が応答信号を入力すると、制御部21は、応答信号に含まれる携帯端末識別情報を取得し、この携帯端末識別情報を含む報知信号の出力を停止するとともに、この携帯端末20と呼び出しを行ったナースコール子機1との間で通話路を形成する。
【0047】
以上詳しく説明したように、本実施形態によれば、各病室に設置された読取装置7に識別情報を発信する識別情報発信装置6と、ナースコール子機1からの呼び出しを報知するとともに応答するための携帯端末10とを医療従事者に持たせ、読取装置7が識別情報発信装置6から識別情報を読み取った場合に、医療従事者が読取装置7の設置された病室の近くに居ると制御部21にて判断し、患者が呼び出しを行うためのナースコール子機1に設置された表示灯5にて医療従事者の接近を通知するようにしている。
【0048】
これにより、医療従事者が病室に接近したことが表示灯5にて通知されるので、これを見た患者はナースコール子機1の呼出操作部3を操作することで、病室に接近した自身を担当する医療従事者を呼び出すことができる。従って、医療従事者の移動距離が短くなることから、医療従事者への負担が軽減されるので、患者も医療従事者に遠慮することなく呼び出しを行うことができる。
【0049】
なお、前述した実施形態では、識別情報発信装置6が発信する識別情報と携帯端末10の携帯端末識別情報とを別々に設定しているが、これに限定されない。例えば、識別情報発信装置6が発信する識別情報と携帯端末10の携帯端末識別情報とを同一のものとしても良い。
【0050】
また、前述した実施形態では、表示灯5をナースコール子機1に設けるようにしているが、これに限定されない。例えば、患者の居るベッドサイドや壁面などに設けるようにしても良い。すなわち、患者の目に入る場所であれば、表示灯5を何処に設けるようにしても良い。
【0051】
また、前述した実施形態では、ナースコール親機20に報知部を設けていないが、これに限定されない。例えば、ナースコール親機20に報知部を設け、各携帯端末10の報知に対して所定時間応答されない場合に動作させるようにしても良い。
【0052】
その他、上記実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 ナースコール子機
2 子機制御部
3 呼出操作部
4 子機インターフェース
5 表示灯
6 識別情報発信装置
7 読取装置
10 携帯端末
11 携帯端末制御部
12 送受信部
13 携帯端末報知部
14 応答操作部
20 ナースコール親機
21 制御部
22 インターフェース
23 記憶部
30 無線装置
図1
図2