(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、操作者が前記ステアリングホイールを操作する前記自動運転モードの解除を示す入力信号の入力に基づいて前記ステアリングホイールと前記入力操作部が一体となって回転するように前記切替部を制御する、
請求項1に記載のステアリング制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態の要約)
実施の形態に係るステアリング制御装置は、なされた回転操作によって車両の進行方向の調整を可能とするステアリングホイールと、ステアリングホイールの中央の領域に配置され、操作者による入力操作を受け付ける入力操作部と、ステアリングホイールと入力操作部とに接続され、ステアリングホイールと入力操作部が一体となった回転、及びステアリングホイールのみの回転のいずれかに切り替える切替部と、ステアリングホイールの回転を制御する自動運転モードの開始を示す入力信号の入力に基づいてステアリングホイールのみが回転するように切替部を制御する制御部と、を備えて概略構成されている。
【0011】
ステアリング制御装置は、自動運転モードの際、ステアリングホイールのみが回転するので、自動運転モードでも手動運転モードでもステアリングホイールと入力操作部とが一体となって回転する場合と比べて、手動運転モードであっても自動運転モードであっても入力操作部の操作性が良い。
【0012】
[実施の形態]
(ステアリング制御装置1の概要)
図1(a)は、実施の形態に係るステアリング制御装置の一例を示す概略図であり、
図1(b)は、ステアリング制御装置とステアリング制御装置を含む車両制御システムのブロック図の一例である。
図2(a)は、実施の形態に係るステアリング制御装置の手動運転モードにおけるステアリングホイールの回転の一例を示す概略図であり、
図2(b)は、自動運転モードにおけるステアリングホイールの回転の一例を示す概略図である。なお、以下に記載する実施の形態に係る各図において、図形間の比率は、実際の比率とは異なる場合がある。また
図1(b)では、主な信号や情報の流れを矢印で示している。
【0013】
ステアリング制御装置1は、例えば、車両9の運転モードが手動運転モードか自動運転モードかによって、ステアリングホイール10のみの回転、又はステアリングホイール10と入力操作部12が一体となった回転に切り替わるように構成されている。
【0014】
具体的には、ステアリング制御装置1は、
図1(a)及び
図1(b)に示すように、なされた回転操作によって車両9の進行方向の調整を可能とするステアリングホイール10と、ステアリングホイール10の中央の領域に配置され、操作者による入力操作を受け付ける入力操作部12と、ステアリングホイール10と入力操作部12とに接続され、ステアリングホイール10と入力操作部12が一体となった回転、及びステアリングホイール10のみの回転のいずれかに切り替える切替部14と、ステアリングホイール10の回転を制御する自動運転モードの開始を示す入力信号(モード信号S
1)の入力に基づいてステアリングホイール10のみが回転するように切替部14を制御する制御部16と、を備えて概略構成されている。
【0015】
手動運転モードとは、例えば、操作者がステアリングホイール10を操作するモードである。また自動運転モードとは、例えば、操作者が操作することなく、車両9の速度、ブレーキ、進行方向などを制御して目的地まで制御するモードである。この自動運転モードにおいてステアリングホイール10は、例えば、駆動部92の駆動によって時計回り及び反時計回りに回転する。
図1(b)に示す車両制御システム90は、一例として、自動運転モードにおける車両9の進行方向を制御するシステムであるものとする。
【0016】
(ステアリングホイール10の構成)
ステアリングホイール10は、
図1(a)に示すように、リング形状を有している。このステアリングホイール10は、車両9の操舵装置であり、ステアリングシャフトなどを介して車両9の車輪の向きを変えるように構成されている。
【0017】
(入力操作部12の構成)
入力操作部12は、例えば、
図1(a)に示すように、操作面122になされたタッチ操作を検出するタッチパッド121と、タッチパッド121の周囲に配置されたスイッチ125と、を備えて概略構成されている。
【0018】
入力操作部12は、例えば、
図1(a)に示すように、矩形状を有する本体120の中央にタッチパッド121の操作面122が位置し、操作面122を挟んで対向するように複数のスイッチ125が位置している。
【0019】
タッチパッド121は、例えば、電磁気的に接続された電子機器の操作を行うことが可能である。タッチパッド121は、例えば、導電性を有するペンや指による操作により、電子機器の表示部に表示されたカーソルの移動や選択、表示されたアイコンの選択、決定、ドラッグ、ドロップなどの指示を行うことができるように構成されている。本実施の形態では、指(操作指)による操作について説明する。
【0020】
このタッチパッド121は、例えば、抵抗膜方式、赤外線方式、SAW(Surface Acoustic Wave)方式、静電容量方式などのタッチパッドを用いることが可能である。本実施の形態では、静電容量方式のタッチパッドを用いるものとする。
【0021】
タッチパッド121は、車両9の運転モードが手動運転モードである場合、
図2(a)に示すように、ステアリングホイール10に追従して回転する。操作者は、ステアリングホイール10を把持して操作している際に、タッチパッド121がステアリングホイール10の回転に追従している方が操作がし易い。
【0022】
またタッチパッド121は、車両9の運転モードが自動運転モードである場合、
図2(b)に示すように、ステアリングホイール10に追従せずに車両9に対して静止している。この自動運転モードの際のタッチパッド121の静止は、操作者による操作面122の操作を容易にしている。
【0023】
スイッチ125は、操作者がステアリングホイール10を把持して操作し易い位置に配置されている。本実施の形態では、一例として、
図1(a)に示すように、操作面122を挟んで対向するように二つずつ配置されている。このスイッチ125は、一例として、プッシュスイッチである。
【0024】
スイッチ125は、タッチパッド121と同様に、車両9が自動運転モードにある場合、ステアリングホイール10に追従せずに静止している。またスイッチ125は、車両9が手動運転モードにある場合、ステアリングホイール10に追従して回転する。
【0025】
入力操作部12は、タッチパッド121及びスイッチ125になされた操作に基づいて入力情報S
3を生成して制御部16に出力する。
【0026】
(切替部14の構成)
切替部14は、駆動部92による駆動力をステアリングホイール10に伝達するように構成されている。また切替部14は、上述のように、車両9が自動運転モードにある場合、ステアリングホイール10のみを回転可能とし、手動運転モードにある場合、ステアリングホイール10と入力操作部12を一体となった回転が可能となるように構成されている。
【0027】
つまり切替部14は、ステアリングホイール10と入力操作部12を接続することにより、ステアリングホイール10と入力操作部12とを一体とし、この接続を解除することにより、ステアリングホイール10のみの回転に切り替える。なお入力操作部12は、接続が解除された場合、車両9に対して静止するように、切替部14によって初期位置に固定されるものとする。この初期位置は、例えば、
図1(a)に示すように、入力操作部12が回転していない位置である。
【0028】
切替部14は、制御部16から出力される切替信号S
2に基づいて接続の切替を行う。この切替信号S
2は、入力するモード信号S
1に基づいて制御部16が生成する信号である。
【0029】
(制御部16の構成)
制御部16は、例えば、記憶されたプログラムに従って、取得したデータに演算、加工などを行うCPU(Central Processing Unit)、半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などから構成されるマイクロコンピュータである。このROMには、例えば、制御部16が動作するためのプログラムが格納されている。RAMは、例えば、一時的に演算結果などを格納する記憶領域として用いられる。
【0030】
制御部16は、操作者がステアリングホイール10を操作する自動運転モードの解除を示すモード信号S
1の入力に基づいてステアリングホイール10と入力操作部12が一体となって回転するように切替部14を制御するように構成されている。
【0031】
つまり制御部16は、入力したモード信号S
1が手動運転モードを示している場合、ステアリングホイール10と入力操作部12を一体に回転させる切替信号S
2を生成して切替部14に出力する。切替部14は、入力した切替信号S
2に基づいてステアリングホイール10及び入力操作部12が一体となって回転するように切り替える。
【0032】
また制御部16は、自動運転モードを示すモード信号S
1が入力すると、ステアリングホイール10の回転に入力操作部12が追従しないようにするための切替信号S
2を生成して出力し、切替部14を制御する。
【0033】
なお車両9が手動運転モードにおいて操作者の運転補助としてステアリングホイール10の回転を制御する場合、駆動部92とステアリングホイール10は、接続される。この運転補助は、一例として、雪道などの悪路におけるスピン防止のための補助、レーンキープのための補助、適切な操作感を生成するための補助などである。この場合、入力操作部12が直接駆動部92に駆動されるように構成されても良いし、ステアリングホイール10と一体となることでステアリングホイール10と共に回転するように構成されても良い。本実施の形態では、一例として、手動運転モードにおいてステアリングホイール10と入力操作部12が一体となって運転補助として制御されるものとする。
【0034】
制御部16は、例えば、入力操作部12から出力された入力情報S
3に基づいて操作情報S
4を生成し、車両制御部900に出力するように構成されている。
【0035】
(車両制御システム90の構成)
車両制御システム90は、一例として、
図1(b)に示すように、ステアリング制御装置1と、駆動部92と、車両情報生成部94と、自動運転制御部96と、を備えて概略構成されている。
【0036】
駆動部92は、切替部14を介してステアリングホイール10を駆動するように構成されている。この駆動部92は、一例として、モータなどを含んで構成されている。なお駆動部92は、上述のように、手動運転モードの際、運転補助としてステアリングホイール10の回転方向と反対方向の駆動による反力の生成などを行っても良い。
【0037】
駆動部92は、自動運転制御部96から出力される駆動信号S
5によって制御される。自動運転制御部96は、車両情報生成部94から出力された車両情報S
6に基づいて駆動信号S
5を生成する。
【0038】
車両情報生成部94は、一例として、車両9の速度情報、位置情報、地図情報、道路情報、目的地までの経路情報などの車両9に関する情報を取得して車両情報S
6を生成するように構成されている。車両情報生成部94は、一例として、車両9の車両制御部900を介して車両9に関する情報を取得する。この車両制御部900は、車両9に搭載されたセンサや電子機器などを総合的に制御するECU(Electronic Control Unit)である。
【0039】
自動運転制御部96は、一例として、CPU、RAM及びROMなどから構成されるマイクロコンピュータである。この自動運転制御部96は、例えば、車両制御部900から出力された指示信号S
7に基づいてモード信号S
1を生成して出力する。
【0040】
この指示信号S
7は、例えば、手動運転モード又は自動運転モードに移行することを示す信号である。自動運転制御部96は、指示信号S
7が手動運転モードを示す信号である場合、手動運転モードを示すモード信号S
1を生成して制御部16に出力する。
【0041】
また自動運転制御部96は、指示信号S
7が自動運転モードを示す信号である場合、自動運転モードを示すモード信号S
1を生成して制御部16に出力すると共に、駆動信号S
5を生成して駆動部92を制御する。
【0042】
自動運転モード及び手動運転モードは、一例として、操作者によるモードスイッチの操作によって選択される。車両制御部900は、例えば、モードスイッチの操作に基づいて指示信号S
7を生成し、自動運転制御部96に出力する。
【0043】
以下にステアリング制御装置1の動作の一例について
図3のフローチャートに従って説明する。
【0044】
(動作)
制御部16は、車両9の電源が投入された後に入力するモード信号S
1に基づいて車両9の運転モードが手動運転モードか自動運転モードかを判定する。制御部16は、車両9の運転モードが自動運転モードであった場合(Step1:Yes)、判定結果に対応する切替信号S
2を出力してステアリングホイール10のみが駆動部92によって駆動されて回転するように切替部14を制御する(Step2)。ステアリングホイール10は、例えば、
図2(b)に示すように、駆動部92の駆動によって入力操作部12と一体に回転せず、単体で回転する。
【0045】
また制御部16は、車両9の運転モードが手動運転モードであった場合(Step1:No)、判定結果に対応する切替信号S
2を出力してステアリングホイール10と入力操作部12が一体となって回転するように切替部14を制御する(Step3)。ステアリングホイール10は、例えば、
図2(a)に示すように、操作者の操作に従って入力操作部12と一体に回転する。
【0046】
(実施の形態の効果)
本実施の形態に係るステアリング制御装置1は、手動運転モードであっても自動運転モードであっても入力操作部12の操作性が良い。具体的には、手動運転モードでは、操作者は、ステアリングホイール10を把持しているので、ステアリングホイール10と共に回転する入力操作部12を操作し易い。しかし自動運転モードにおいてステアリングホイール10と入力操作部12とが一体となって回転した場合、操作者は、回転する入力操作部12を操作しなければならず、自身に対して静止する入力操作部12を操作する場合と比べて操作性が良くない。一例として、自動運転モードにおいて、操作者が入力操作部12を操作して追い越しなどを指示する場合、入力操作部12が回転しない方が、操作性が良い。従ってステアリング制御装置1は、手動運転モードではステアリングホイール10と入力操作部12が一体となり、自動運転モードではステアリングホイール10のみが回転するので、手動運転モードであっても自動運転モードであっても入力操作部12のタッチパッド121及びスイッチ125の操作性が良い。
【0047】
ステアリング制御装置1は、自動運転モードでは入力操作部12がステアリングホイール10と共に回転せず、手動運転モードでは入力操作部12とステアリングホイール10が一体となって回転するので、運転モードによらず入力操作部が回転しないように構成された場合と比べて、手動運転モードであっても自動運転モードであっても操作性が良いので、操作者の指や腕をステアリングホイール10と入力操作部12の間に挟むようなことが抑制される。
【0048】
ステアリング制御装置1は、操作性が良く、また指や腕を挟むようなことが抑制されるので、それらを回避する構成を用いる場合と比べて、意匠の制約が少なくて意匠の自由度が高い。
【0049】
以上、本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。これら新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。また、これら実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、これら実施の形態は、発明の範囲及び要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。