(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6579591
(24)【登録日】2019年9月6日
(45)【発行日】2019年9月25日
(54)【発明の名称】エレベータの乗場装置、エレベータの乗場装置の据え付け方法
(51)【国際特許分類】
B66B 13/30 20060101AFI20190912BHJP
【FI】
B66B13/30 J
B66B13/30 L
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-109321(P2018-109321)
(22)【出願日】2018年6月7日
【審査請求日】2018年6月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000235
【氏名又は名称】特許業務法人 天城国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大谷 勇太
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隼人
【審査官】
八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】
特開平04−133990(JP,A)
【文献】
特開2003−155184(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0149523(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 13/00−13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に対して水平に調整された乗場敷居と、
前記乗場敷居の左右に前記乗場敷居に対して垂直に立設された縦枠と、前記縦枠の上端に両端が接続され前記乗場敷居に対して水平に配置される上枠とを有し、前記乗場敷居とともに乗場入り口を形成する三方枠と、
前記三方枠の上端を昇降路壁に固定するとともに、ドアレールを備えたヘッダーケースが取り付けられるブラケットと、
前記ドアレールに沿って開閉する乗場ドアと、
を備え、
前記ブラケットは、
前記ヘッダーケースを支持する支持部を有した長手方向に延びた平板状の支柱部と、
前記支柱部の下端に前記支柱部に対して垂直に形成された第1固定部と、
前記支柱部の上端近傍の側面に前記支柱部に対して垂直に形成された第2固定部と、
を備え、
前記縦枠は、前記縦枠の上方端部の近傍に前記乗場敷居に対して水平に形成された台座部を備え、
前記ブラケットの前記第1固定部は、前記支柱部が前記乗場敷居に対して垂直に配置されるように、前記台座部に固定されている、
エレベータの乗場装置。
【請求項2】
床面に対して水平に調整された乗場敷居と、
前記乗場敷居の左右に前記乗場敷居に対して垂直に立設された縦枠と、前記縦枠の上端に両端が接続され前記乗場敷居に対して水平に配置される上枠とを有し、前記乗場敷居とともに乗場入り口を形成する三方枠と、
前記三方枠の上端を昇降路壁に固定するとともに、ドアレールを備えたヘッダーケースが取り付けられるブラケットと、
前記ドアレールに沿って開閉する乗場ドアと、
を備え、
前記ブラケットは、
前記ヘッダーケースを支持する支持部を有した長手方向に延びた支柱部と、
前記支柱部の下端に前記支柱部に対して垂直に形成された第1固定部と、
前記支柱部の上端近傍の側面に前記支柱部に対して垂直に形成された第2固定部と、
を備え、
前記ブラケットの前記第1固定部は、前記支柱部が前記乗場敷居に対して垂直に配置されるように、前記乗場敷居に対して水平に配置された前記上枠に固定されている、
エレベータの乗場装置。
【請求項3】
前記第2固定部は、前記昇降路壁の面に対して垂直方向の径が長く形成された第1長穴を有し、前記ブラケットと前記昇降路壁との間の隙間がある場合においても、前記支柱部が前記乗場敷居に対して垂直に配置された状態で、前記ブラケットを前記昇降路壁に固定された取付金具に固定可能な、
請求項1または2に記載のエレベータの乗場装置。
【請求項4】
前記取付金具は、第1面と第2面からなるL金具で形成されており、
前記第1面には、前記ブラケットの前記第2固定部を固定するねじ穴が形成されており、
前記第2面には、前記昇降路壁に設けられたアンカーボルトとの固定に使用する第2長穴が形成されており、
前記第2長穴は、前記取付金具を前記アンカーボルトに固定した際に、上下方向の径が長くなるように形成されている、
請求項3に記載のエレベータの乗場装置。
【請求項5】
前記縦枠は、平板を接合して中空の四角柱状に形成されており、
前記台座部は、前記平板をコの字状に切断し、切断された線で囲まれた面を直角にプレス加工して形成されている、
請求項1に記載のエレベータの乗場装置。
【請求項6】
前記縦枠は、平板を接合して中空の四角柱状に形成されており、
前記台座部は、2つの面のなす角度が直角に形成された断面がL字状の金具で形成され、前記縦枠を形成する前記平板に接合されている、
請求項1に記載のエレベータの乗場装置。
【請求項7】
前記台座部は、中空に形成された前記縦枠の内側に形成されている、
請求項5または6に記載のエレベータの乗場装置。
【請求項8】
前記ブラケットは、
前記ヘッダーケースを支持する支持部を有した長手方向に延びた支柱部と、
前記支柱部の上端近傍の側面に前記支柱部に対して垂直に形成された第2固定部と、
を備え、
前記支柱部は、前記縦枠との固定に使用する複数の第2ねじ穴を有し、
前記ブラケットは、前記支柱部が前記乗場敷居に対して垂直に配置されているように、前記第2ねじ穴を使用して前記縦枠に固定されている、
請求項1または2に記載のエレベータの乗場装置。
【請求項9】
乗場敷居を床面に対して水平に固定する工程と、
乗場入り口を形成する三方枠を前記乗場敷居に対して垂直に立設する工程と、
ブラケットが前記乗場敷居に対して垂直に配置されるように、前記ブラケットを前記三方枠に固定する工程と、
前記ブラケットが前記乗場敷居に対して垂直に配置された状態で、前記ブラケットに取付金具を固定する工程と、
前記ブラケットが前記乗場敷居に対して垂直に配置された状態で、前記ブラケットの高さ方向の位置がずれないように、前記取付金具を昇降路壁に固定する工程と、
ドアレールを備えたヘッダーケースを前記ブラケットに取り付ける工程と、
乗場ドアを前記ドアレールに取り付ける工程と、
を含むエレベータの乗場装置の据え付け方法。
【請求項10】
乗場敷居を床面に対して水平に固定する工程と、
乗場入り口を形成する三方枠を前記乗場敷居に対して垂直に立設する工程と、
ブラケットが前記乗場敷居に対して垂直に配置されるように、前記ブラケットを前記三方枠に固定する工程と、
前記ブラケットを昇降路壁に固定する工程と、
ドアレールを備えたヘッダーケースを前記ブラケットに取り付ける工程と、
乗場ドアを前記ドアレールに取り付ける工程と、
を上記の順に実施するエレベータの乗場装置の据え付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータの乗場装置、エレベータの乗場装置の据え付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの乗場装置は、乗場敷居、三方枠、乗場ドア等の多くの用品で構成されている。エレベータの乗場装置を建屋に据え付ける作業は、エレベータの乗場ドアを案内するドアレールと乗場敷居とが水平になるように多くの用品を調整しながら進める必要があるので、多くの作業時間を必要としている。
【0003】
乗場敷居、三方枠、ヘッダーケース等を一体ユニットとして製造し、工場でドアレールと乗場敷居とを水平に調整された乗場装置を建屋に据え付けることにより、現場での作業時間を短縮する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3384219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、建屋の構造的制約等により、一体ユニットとして製造された乗場装置を使用できない場合がある。この場合、ドアレールを乗場敷居に対して水平になるように調整する必要があり、乗場装置の据え付けに多くの作業時間を必要としている。
【0006】
本発明は、上述の事情の下になされたもので、エレベータの乗場装置を建屋に据え付ける作業時間を短縮することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係るエレベータの乗場装置は、床面に対して水平に調整された乗場敷居と、乗場敷居の左右に乗場敷居に対して垂直に立設された縦枠と、縦枠の上端に両端が接続され乗場敷居に対して水平に配置される上枠とを有し、乗場敷居とともに乗場入り口を形成する三方枠と、三方枠の上端を昇降路壁に固定するとともに、ドアレールを備えたヘッダーケースが取り付けられるブラケットと、ドアレールに沿って開閉する乗場ドアと、を備える。
ブラケットは、ヘッダーケースを支持する支持部を有した長手方向に延びた平板状の支柱部と、支柱部の下端に支柱部に対して垂直に形成された第1固定部と、支柱部の上端近傍の側面に前記支柱部に対して垂直に形成された第2固定部と、を備える。縦枠は、縦枠の上方端部の近傍に乗場敷居に対して水平に形成された台座部を備える。ブラケットの第1固定部は、支柱部が乗場敷居に対して垂直に配置されるように、台座部に固定されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態1に係るエレベータの乗場装置の全体構成を示す図である。
【
図2】実施形態1に係るエレベータの乗場装置の縦枠を示す斜視図である。
【
図3】実施形態1に係るエレベータの乗場装置を示す断面図である。
【
図4】実施形態1に係るブラケットを示す斜視図である。
【
図5】実施形態1に係るブラケットと取付金具との関係を示す斜視図である。
【
図6】実施形態1に係るヘッダーケースとブラケットとの関係を示す斜視図である。
【
図7】実施形態1に係るエレベータの乗場装置の据え付け作業を説明するためのフローチャートである。
【
図8】変形例1に係るエレベータの乗場装置の縦枠を示す斜視図である。
【
図9】変形例2に係るブラケットを示す斜視図である。
【
図10】変形例2に係る縦枠とブラケットとの関係を示す斜視図である。
【
図11】変形例3に係るブラケットを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。説明には、相互に直交するX軸、Y軸、Z軸からなるXYZ座標系を用いる。
【0010】
先ず、エレベータの乗場装置の全体構成を説明する。
図1は、エレベータの乗場装置1の全体構成を示す図である。
図1は、左右の乗場ドア10が閉じた状態を示している。
【0011】
図1に示されるように、乗場装置1は、三方枠4、乗場敷居(以下、単に敷居と称する)7、乗場ドア10、ヘッダーケース12、ブラケット21を備える。乗場入り口は、三方枠4と敷居7によって形成される。
【0012】
敷居7は、乗場ドア10の開閉を案内する。敷居7は、床面と面一になるように床面に対して水平に調整されて設置されている。敷居7は、床に埋設されたアンカーボルト等に固定されている。敷居7は、アルミニュームもしくはアルミニュームを含む合金で形成されている。エレベータの大きさによって変わるが、敷居7の長手方向(X軸方向)の長さは、例えば約2mである。
【0013】
三方枠4は、敷居7の左右に垂直に立設された縦枠5と左右に立設された縦枠5を接続する上枠6により、正面視でコの字状に形成されている。縦枠5と上枠6は、鉄等の鋼材で形成されている。エレベータの大きさによって変わるが、一例として、縦枠5の長手方向(Z軸方向)の長さは約2.1mであり、上枠6の長手方向(X軸方向)の長さは約1.2mである。
【0014】
図2に示されるように、縦枠5は、直角にプレス加工して形成された2つの鋼材を溶接により接合し、中空の四角柱状に形成されている。縦枠5の上方近傍には、台座部5aが敷居7に対して水平に形成されている。
【0015】
例えば、台座部5aは、縦枠5の側面を構成する平板の一部をコの字状に切断し、切断された線で囲まれた面を直角にプレス加工して形成されている。台座部5aは、X軸とY軸で形成される面に対して水平に形成されている。台座部5aは、縦枠5の上端部から−Z方向に、例えば、5cm〜30cmの位置に形成されている。
【0016】
図3は、エレベータの乗場装置1のヘッダーケース12付近の断面図である。
図3に示されるように、乗場ドア10の上部にはドアハンガー15が固定されている。ドアハンガー15には、ドアレール13上を移動するローラ16が固定されている。
【0017】
ヘッダーケース12には、乗場ドア10の開閉を案内するドアレール13が固定されている。ドアレール13の長手方向(X軸方向)の長さは、例えば約2mである。ローラ16をドアレール13に乗せることにより、乗場ドア10をドアレール13に沿って開閉することができる。乗場ドア10をスムーズに開閉するためには、ドアレール13と敷居7とを水平に保つ必要がある。
【0018】
ブラケット21は、敷居7に対して垂直に立設された三方枠4を昇降路壁2に固定するための金具であり、ヘッダーケース12を取り付けるための金具である。
図3に示されるように、ヘッダーケース12は、ボルト19によりブラケット21に固定されている。ブラケット21は、鉄等の鋼材で形成されている。
図4に示されるように、ブラケット21は、支柱部21a、固定部(第1固定部)21b、取付部(第2固定部)21cを有している。支柱部21aは、Z軸方向を長手方向とする平板状の鉄板で矩形状に形成されている。支柱部21aの長手方向の長さは、例えば、10cm〜50cmである。支柱部21aには、ヘッダーケース12の固定に使用する複数のねじ穴21dが形成されている。複数のねじ穴21dは、ヘッダーケース12を支持する支持部を形成している。
【0019】
固定部21bは、ブラケット21を縦枠5の台座部5aに対して垂直に固定するための面である。固定部21bは、支柱部21aの長手方向の下側(−Z側)の端部に、支柱部21aに対して垂直に(−Y側に)形成されている。
【0020】
取付部21cは、ブラケット21を取付金具22を介して昇降路壁2に固定するための面である。取付部21cは、支柱部21aの長手方向の上側(Z側)の端部近傍の側面(X側)に、支柱部21aに対して垂直に形成されている。取付部21cには、Y軸方向の径が長く形成された長穴21eが形成されている。
【0021】
取付金具22は、ブラケット21を昇降路壁2に固定するために使用するL金具である。
図5に示されるように、取付金具22を構成する第1面にはブラケット21を固定するために使用するねじ穴22aが形成されている。ブラケット21は、ねじ穴22aと長穴21eを介してボルト22cとナットで取付金具22に固定される。また、取付金具22を構成する第2面には、昇降路壁2に設けられたアンカーボルト18に固定するために使用する長穴22bが形成されている。長穴22bは、取付金具22をアンカーボルト18に固定した際、上下方向(Z軸方向)の径が長くなるように形成されている。
【0022】
図6に示されるように、ヘッダーケース12は、ブラケット21に形成されたねじ穴21dを使用して、ブラケット21にボルトで固定される。
【0023】
次に、
図7を参照しながら、乗場装置1の据え付け方法について説明する。最初に、敷居7を床面に対して水平になるように調整し、床に埋設された図示しない敷居取付金具に固定する(ステップS11)。次に、左右の縦枠5を敷居7に垂直に立設する(ステップS12)。次に、左右に立設した縦枠5の上に上枠6を固定する(ステップS13)。
【0024】
次に、ブラケット21の固定部21bを縦枠5の台座部5aにボルト締めもしくは溶接により固定する(ステップS14)。固定部21bは、支柱部21aに対して垂直に形成されている。また、台座部5aは、縦枠5の側面に垂直に形成されている。したがって、ブラケット21は、支柱部21aが敷居7に対して垂直になるように配置される。また、左右の縦枠5に固定された左右のブラケット21に形成されている対応するねじ穴21dは、対応するねじ穴21dを結ぶ線(
図6に一点鎖線で示す)が敷居7(X軸)に対して水平になるように配置される。
【0025】
次に、取付金具22をブラケット21に取り付ける(ステップS15)。ブラケット21は敷居7に対して垂直に立設されているので、
図3に示されるように、ブラケット21と昇降路壁2との間には隙間ができる場合がある。取付金具22は昇降路壁2に密着させて固定する必要がある。長穴21eを利用することにより、ブラケット21が昇降路壁2から離れた状態のままで、ブラケット21と取付金具22とをボルト22cで固定することができる。
【0026】
次に、取付金具22を昇降路壁2に設けられたアンカーボルト18にナットで固定する(ステップS16)。アンカーボルト18は、ミリメートル単位の精度で位置調整がなされていないことが多い。したがって、右側のブラケット21を取り付けるアンカーボルトの高さと、左側のブラケット21を取り付けるアンカーボルトの高さとが微妙に異なることがある。長穴22bの径の長さは、この誤差に基づいて決定される。
【0027】
次に、ヘッダーケース12をブラケット21のねじ穴21dにボルトで固定する(ステップS17)。縦枠5、ブラケット21及びヘッダーケース12の製造誤差は無視できるほどに小さい。左右の縦枠5に固定された左右のブラケット21に形成されている対応するねじ穴21dは、対応するねじ穴21dを結ぶ線(
図6に一点鎖線で示す)が敷居7に対して水平になるように配置されている。これにより、ヘッダーケース12に固定されたドアレール13は、敷居7に対して水平に配置される。
【0028】
次に、ローラ16が固定されたドアハンガー15を有する乗場ドア10を準備する。そして、ローラ16をドアレール13に乗せ、ヘッダーケース12に乗場ドア10を取り付ける(ステップS18)。乗場ドア10がドアレール13から脱落しないように、必要に応じて保護手段を施す。以上の作業により乗場装置1の据え付け作業を完了する。
【0029】
以上に説明したように、実施形態1に係る乗場装置1は、床面に対して水平に設置された敷居7を基準として、三方枠4(縦枠5と上枠6)、ブラケット21、ヘッダーケースを順次組み立てていく。三方枠4、ブラケット21、ヘッダーケース12等の製造誤差は無視できるほどに小さい。したがって、三方枠4に固定されたブラケット21にヘッダーケース12を取り付けることにより、ドアレール13の水平調整をしなくても、ドアレール13と敷居7とを水平に設置することができる。これにより、エレベータの乗場装置1を建屋に据え付ける作業時間を短縮することができる。
【0030】
また、ブラケット21の取付部21cには、長穴21eが形成されている。これにより、ブラケット21と昇降路壁2との間に隙間がある場合においても、敷居7に対して垂直に配置された状態のブラケット21を取付金具22を介して昇降路壁2に固定することができる。
【0031】
また、取付金具22には、アンカーボルト18に固定した際に上下方向の径が長くなるように長穴22bが形成されている。これにより、ブラケット21を固定する左右のアンカーボルト18の高さが異なっている場合でも、ドアレール13を敷居7に対して水平に設置することができる。
【0032】
(変形例1)
実施形態1では、縦枠5の側面を構成する平板の一部を加工して台座部5aを形成する場合について説明した。変形例1では、L金具5bを使用して台座部5aを形成する場合について説明する。
【0033】
図8に示されるように、縦枠5の側面には複数のねじ穴5cが形成されている。複数のねじ穴5cは、X軸に対して水平な直線上に形成されている。L金具5bは、2つの面のなす角度が直角に形成された断面がL字状の金具で形成されている。例えば、L金具5bは、鉄板をプレス加工して2つの面が直角になるように形成されている。2つの面の第1面は、台座部5aを構成している。第2面は、縦枠5との結合に使用される。第2面には、X軸に対して水平な直線上に形成された複数のねじ穴が形成されている。縦枠5に形成されたねじ穴5cと第2面に形成されたねじ穴とを重ねてボルトで固定する。これにより、L金具5bの台座部5aは、X軸とY軸とで形成される面に対して水平に配置される。
【0034】
ブラケット21の固定部21bは、L金具5bの台座部5aに固定される。これにより、ブラケット21の支柱部21aは、敷居7に対して垂直に配置される。左右の縦枠5に固定された左右のブラケット21に形成されている対応するねじ穴21dは、対応するねじ穴21dを結ぶ線(
図6に一点鎖線で示す)がX軸に対して水平になるように配置される。これにより、ドアレール13は、敷居7に対して水平に配置される。
【0035】
(変形例2)
変形例2では、縦枠5とブラケット21との異なる固定方法について説明する。
図9に示されるように、変形例2に係るブラケット21には、縦枠5とブラケット21とを固定するために使用される複数のねじ穴21fが形成されている。複数のねじ穴21fは、Z軸に対して水平な直線上に形成されている。
【0036】
縦枠5の側面には、複数のねじ穴21fに対応するねじ穴が形成されている。縦枠5の側面に形成された複数のねじ穴は、Z軸に対して水平な直線上に形成されている。
図10に示されるように、縦枠5の側面に形成された複数のねじ穴にブラケット21に形成されているねじ穴21fを重ねてボルトで固定する。
【0037】
以上に説明したように、変形例2に係る乗場装置1は、縦枠5にZ軸に対して水平な直線上に形成されたねじ穴と、ブラケット21にZ軸に対して水平な直線上に形成されたねじ穴21fと、を重ね合わせて固定する。これにより、ブラケット21は、支柱部21aが敷居7に対して垂直になるように配置される。また、左右の縦枠5に固定された左右のブラケット21に形成されている対応するねじ穴21dは、対応するねじ穴21dを結ぶ線(
図6に一点鎖線で示す)がX軸に対して水平になるように配置される。したがって、敷居7、縦枠5、ブラケット21、ヘッダーケース12の順に組み立てるだけで、ドアレール13の水平調整をしなくても、ドアレール13と敷居7とを水平に設置することができる。これにより、エレベータの乗場装置1を建屋に据え付ける作業時間を短縮することができる。
【0038】
(変形例3)
図11に示されるように、変形例3に係るブラケット21には、X軸方向に2列に配列された複数のねじ穴21fが形成されている。X軸方向に複数のねじ穴を配置することにより、縦枠5とブラケット21とをより平行に配置することができる。
【0039】
なお、
図2を用いた実施形態1の説明では、縦枠5の−Y側の側面に台座部5aを形成する場合について説明した。しかし、台座部5aを形成する面を限定する必要はない。
【0040】
また、台座部5aを縦枠5の上端部から5cm〜30cmの位置に形成する場合について説明したが、これに限定する必要はない。この長さを長くすると、ブラケット21の長さを長くする必要があり、材料費が高くなる。一方、ブラケット21を縦枠5の内面に接するように配置する場合、この長さが長いほどブラケット21と縦枠5とを角度誤差なく安定して固定することができる。変形例2の場合では、ねじ穴21fの数を増すほど、この長さを長くする必要がある。
【0041】
また、上記の説明では、中空に形成された縦枠5の内側に台座部5aを設ける場合につて説明したが、台座部5aを縦枠5の外側に設けるようにしてもよい。
【0042】
また、
図4を使用した説明では、ヘッダーケース12をブラケット21に取り付けるために使用するねじ穴21dを2個設ける場合について説明をした。しかし、ねじ穴21dの数を限定する必要はない。例えば、3個、4個、・・・と数を増やしてもよい。また、
図11に示すように、ねじ穴21dを2列とか3列に配列してもよい。また、取付部21cに設ける長穴21eの数を限定する必要はない。また、取付金具22に設ける長穴22bの数を限定する必要はない。
【0043】
また、上記の説明では、ブラケット21を縦枠5に固定する場合について説明した。他の実施形態としては、ブラケット21を敷居7に対して水平に配置された上枠6に固定することもできる。この場合、ブラケット21を取り付ける位置が縦枠5の位置に制約されない。したがって、3個以上のブラケット21を使用してヘッダーケース12を支持することが可能になる。
【0044】
また、
図9と
図10を使用した変形例2の説明では、複数のねじ穴21fをZ軸に対して水平な直線上に形成し、縦枠5の側面にもZ軸に対して水平な直線上に複数のねじ穴を形成し、このねじ穴を重ねて固定することにより、ブラケット21を敷居7に対して垂直に配置する説明をした。しかし、ねじ穴の配列をこれに限定する必要はない。ブラケット21の支柱部21aが、Z軸に対して平行に配置されるようにねじ穴を形成すればよい。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0046】
1…乗場装置
2…昇降路壁
4…三方枠
5…縦枠
5a…台座部
5b…L金具
5c…ねじ穴
6…上枠
7…敷居
10…乗場ドア
12…ヘッダーケース
13…ドアレール
15…ドアハンガー
16…ローラ
18…アンカーボルト
19…ボルト
21…ブラケット
21a…支柱部
21b…固定部(第1固定部)
21c…取付部(第2固定部)
21d…ねじ穴
21e…長穴(第1長穴)
21f…ねじ穴
22…取付金具
22a…ねじ穴
22b…長穴(第2長穴)
22c…ボルト
【要約】
【課題】エレベータの乗場装置を建屋に据え付ける作業時間を短縮する。
【解決手段】実施形態に係るエレベータの乗場装置は、床面に対して水平に調整された乗場敷居と、乗場敷居の左右に乗場敷居に対して垂直に立設された縦枠と、縦枠の上端に両端が接続され乗場敷居に対して水平に配置される上枠とを有し、乗場敷居とともに乗場入り口を形成する三方枠と、三方枠の上端を昇降路壁に固定するとともに、ドアレールを備えたヘッダーケースが取り付けられるブラケットと、ドアレールに沿って開閉する乗場ドアと、を備える。
【選択図】
図3